JP4041549B2 - 粘度安定性イソシアネート末端プレポリマーおよび貯蔵安定性の向上したポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール - Google Patents

粘度安定性イソシアネート末端プレポリマーおよび貯蔵安定性の向上したポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘度安定性イソシアネート末端プレポリマー、ならびに該プレポリマー製造用の、貯蔵安定性の向上したポリオキシアルキレンポリオールに関するものである。より詳細には、本発明は、安定化量の二重(複)金属シアン化物錯体またはその残渣を含むポリオールよりなるポリオキシアルキレンポリエーテルポリオール成分から製造された粘度安定性イソシアネート末端プレポリマーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン製品を製造するのに有用なポリエーテルポリオールは、一般に、プロピレンオキシドから誘導されたオキシプロピレン部分を高い比率で含有し、通常はプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、スクロースなどの適当な官能価の開始剤分子を塩基触媒でオキシアルキル化することによって製造される。このようなポリオールの製造に用いられるプロピレンオキシドは、Block And Graft Polymerization,Ceresa編,John Wiley and Sons,New York,pp.17−21に詳述されるような反応条件下でアリルアルコールへの競争転位反応に付される。この転位反応により生成された1官能性のアリルアルコール種が、プロピレンオキシドについて所望の開始剤分子およびそのオキシアルキル化オリゴマーと競争し、所望のジ−、トリ−またはより高い官能性の開始剤誘導ポリオキシアルキレンポリオールに加えてポリオキシアルキレンモノオールを存在させる結果となる。反応が進行するにつれてアリルアルコール種が生成され続けるので、モノオールのモル百分率が上昇し続け、実際問題として、約2000Da以上のポリオール当量を達成することは困難になる。これらの当量でさえ、モノオールのモル百分率は50モル%ほどに達し、そして理論的官能価はポリオキシプロピレンジオールの場合の2の呼称官能価から1.5に近い平均官能価へと低下する。1官能性はポリオール生成物の不飽和含量の測定により、またはGPC分析により決定しうる。各モノオールはある程度のエチレン性不飽和を含むので、一般に不飽和の滴定がモノオール含量を示すものとして認められている。
【0003】
塩基触媒オキシプロピル化に伴う難点にもかかわらず、水酸化ナトリウムまたはカリウム、あまり多くはないが、対応する低級アルコキシドといった触媒が商業的に用いられてきた。現在、塩基触媒を用いて製造されたポリオールが市販されているウレタン用ポリエーテルポリオールの大部分を占めている。上記した問題に加えて、塩基性触媒残渣をポリオール生成物から取り除く必要がある。これに関して、ケイ酸マグネシウムのごとき固体吸着剤の使用だけでなく、酸による中和も同様に用いられてきた。しかし、ポリウレタン反応の性質は一般に触媒残渣に対して非常に敏感であり、吸着剤を用いて精製したポリオールに代えて中和ポリオールを使用してもその逆もポリマー系の破損を引き起こした事例が数多く報告されている。
【0004】
1960年代から70年代の初めにかけて、二重金属シアン化物錯体に基づく新しい種類のオキシアルキル化触媒、例えば亜鉛ヘキサシアノコバルテートの非化学量論的グライム(glyme)錯体、が開発された。これらの触媒は塩基触媒を用いて製造されたポリオールよりも不飽和度がかなり低い高分子量のポリオキシプロピレンポリオールの製造を可能とすることが見いだされた。例えば、二重金属シアン化物錯体により触媒されるオキシアルキル化の採用により0.015〜0.020meq/g(ポリオール)の範囲の不飽和度が達成されたことを記述している“Hexacyanometalate Salt Complexes As Catalysts For Epoxide Polymerizations(エポキシド重合用の触媒としてのヘキサシアノメタレート塩錯体)”,R.J.Heroldら,Advances In Chemistry Series,No.128,1973,American Chemical Society;およびHerold,米国特許第3,829,505号を参照されたい。これらの文献はさらに、製造直後のポリエーテルトリオール(240ppmの触媒残渣を含む)からのポリウレタンフォームの製造を記述している。
【0005】
製造直後に使用するときには、このような大量の二重金属シアン化物触媒残渣がポリエーテルポリオール中に存在してもフォームの性質に影響を及ぼさないが、時間の経過に伴って揮発性成分が生成されるため、こうした生成物の貯蔵安定性は疑問視されてきた。ポリウレタン用のポリエーテルポリオールはしばしば長期間にわたって貯蔵されることから、貯蔵安定性は重大な商業上の問題を提起する。例えば、J.L.Schuchardtら,“Preparationof High Molecular Weight Polyols Using Double Metal Cyanide Catalysts(二重金属シアン化物触媒を用いる高分子量ポリオールの製造)”,第32回ポリウレタンテクニカルマーケティング大会,1989年10月1−4日;およびHeroldら,米国特許第4,355,188号を参照されたい。さらに、二重金属シアン化物触媒残渣の存在は、おそらくアロファネートの生成のために、貯蔵中のイソシアネートプレポリマーの粘度を増加させると記述されている。例えば、Schuchardt,前掲文献およびHerold,前掲 '188特許を参照されたい。その結果、二重金属シアン化物触媒から製造されたポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールから該触媒を取り除くための方法が数多く工夫された。例えば、米国特許第3,427,256号には、強塩基による不活性化とその後の再沈殿、または水もしくは水性アンモニアによる生成物の処理および遠心分離が記載されている。しかし、遠心分離および濾過工程は生成物のコストを相当に増加させるものである。
【0006】
Hinneyら,米国特許第5,248,833号は、粗製ポリオールをC1-6 脂肪族アルコールおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤と一緒に合わせて不溶性錯体を形成させ、次いでこの錯体を濾過により除去することからなる二重金属シアン化物錯体触媒の除去方法を記述している。また、粗製ポリオールをアルカリ金属またはアルカリ金属水酸化物とともに加熱して二重金属シアン化物錯体残渣を除去することが米国特許第4,355,188号および同第4,721,818号に記述されている。このような化学的処理法は一般に触媒錯体を破壊または「変性」させるものである。米国特許第5,010,047号には、ヘキサンやトルエンのような無極性溶媒を大量に用いて粗製ポリオールを希釈し、続いて濾過により触媒を除去することが記載されている。米国特許第4,987,271号には、粗製ポリオールをpH緩衝剤溶液とともに加熱し、場合によりキレート剤を加え、吸着剤またはイオン交換樹脂を添加し、その後濾過することが記載されている。こうした方法はどれも時間がかかり、相当量の、しばしば高価な、試薬、吸着剤またはイオン交換樹脂を使用するものであり、一般的に労力を要するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
今回、予期せざることに、二重金属シアン化物錯体は、50〜250ppmまたはそれ以上の量で存在するとき、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを安定化させるのに役立ち、通常の酸化防止剤とともに使用するときには10〜250ppmまたはそれ以上の範囲で同様にふるまうことが見いだされた。これらの知見は統計的に有効であって再現性があると考えられ、そして二重金属シアン化物錯体触媒を用いて製造されるポリエーテルポリオールならびにそれから製造されるポリウレタン製品の顕著なコスト削減を実現させるものである。さらに驚くべきことに、このようなポリオールから製造されたイソシアネート末端プレポリマーの粘度増加は、従来技術の教示とは反対に、二重金属シアン化物錯体が存在しないときよりも遅く起こることが見いだされた。
従って、本発明の目的は、粘度安定性イソシアネート末端プレポリマー、該プレポリマー製造用の、貯蔵安定性の向上したポリオキシアルキレンポリオール、および適当な官能価の開始剤を二重金属シアン化物錯体触媒を用いてオキシアルキル化することにより製造されたポリオキシアルキレンポリオールの貯蔵安定性を高める方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、触媒有効量の二重金属シアン化物錯体触媒の存在下で適当な官能価の開始剤をオキシアルキル化することにより有利に製造される。適当な開始剤分子には、ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールの製造に常用されるような、1価から8価までのまたはそれ以上の官能価の開始剤が含まれるが、これらに限らない。例を挙げると、脂肪族グリコールおよびグリコールエーテル類、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオール;脂環式ジオール類、例えばシクロペンタンジオールおよびシクロヘキサンジオール、特に1,4−シクロヘキサンジオール;脂肪族/脂環式ジオール類、例えばシクロヘキサンジメタノール;芳香族ジオール類、例えばカテコール、ヒドロキノン、およびレゾルシノール;脂肪族トリオール類、例えばグリセリンおよびトリメチロールプロパン;脂肪族テトロール類、例えばペンタエリトリトール;そして、より高い官能価のヒドロキシル官能性開始剤、例えばジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ポリグリセロール、ソルビトール、マンニトール、マンノース、フルクトース、スクロース、α−メチルグルコシド、α−ヒドロキシエチルグルコシドなどがある。
【0009】
【発明の実施の形態】
二重金属シアン化物錯体触媒による上記の低分子量開始剤の直接オキシアルキル化は一般的に効率が悪く、加えて、長い誘導期を必要とする。こうした理由のために、開始剤を通常の塩基触媒で100〜約700の当量へとオキシアルキル化することにより製造された、開始剤のオリゴマーオキシアルキル化生成物を用いることが一般に望ましい。通常の塩基性触媒残渣は二重金属シアン化物錯体触媒を失活させることがあるので、オリゴマー開始剤中の残留触媒を除去または中和することが好適である。
【0010】
オキシアルキル化は1種以上のアルキレンオキシドおよび/またはオキセタンを用いて行われ、プロピレンオキシドまたはプロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物を用いることが好ましい。他のアルキレンオキシドも単独でまたは混合物として同様に用いることができる。その他のアルキレンオキシドとして1,2−および2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド、およびアルキレン残基中に約6〜30個の炭素原子を有するα−アルキレンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
オキシアルキル化の触媒は好ましくは二重金属シアン化物錯体触媒、より好ましくは亜鉛ヘキサシアノコバルト錯体触媒である。適当な触媒は米国特許第5,158,922号、同第5,248,833号、継続中の米国特許出願第08/156,534号および第08/302,296号に記載されるように製造することができ、これらの開示内容を参考としてここに組み入れる。
【0012】
触媒製造用の適当な錯化剤には、米国特許第5,158,922号(参考としてここに組み入れる)に記載されるような、水混和性の、ヘテロ原子含有有機配位子が含まれる。好ましい配位子はイソプロピルアルコール、グライム、ジグライムおよびt−ブチルアルコール(特に後者)ならびにオリゴマーポリオキシアルキレンポリオール(これはt−ブチルアルコールと共に使用するときにも好適である)である。一般に、触媒を除去する前の完成ポリオール生成物の重量に基づいて10〜300ppmの触媒レベルとすることが好適である。
【0013】
このように製造されたポリオキシアルキレンポリオールは、二重金属シアン化物錯体触媒または二重金属シアン化物錯体触媒残渣を最高1000ppm、好ましくは500ppm以下、より好ましくは50〜250ppmの範囲の量で含みうる。安定化有効量の通常の酸化防止剤と共に用いるときは、二重金属シアン化物錯体触媒またはその残渣が、有利には10〜250ppm、より好ましくは25〜250ppmの範囲でありうる。
【0014】
触媒または触媒残渣の量を求めるには、ポリオール中の遷移金属の量を分析的に測定して、用いた特定の触媒の化学量論に基づいて二重金属シアン化物錯体触媒の量を逆算する。例えば、実施例3の亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒は6.9重量%のコバルトを含有する。このような触媒から製造される15ppmのコバルトを含むポリオールでは、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体の含量は逆算して217ppm(15/0.069)となるだろう。
【0015】
二重金属シアン化物錯体触媒および/またはその残渣は、不均一な状態あるいは溶解状態で存在しうる。例えば、錯生成配位子としてグライムを用いて製造される従来技術の触媒にあっては、初期には反応混合物中に固体(不均一)として存在するが、オキシアルキル化の進行中に、この固体触媒は可溶化されるようになり、それゆえ濾過によって簡単に取り除くことができない。従来技術の生成物においては、このような可溶性の触媒残渣(触媒活性が低減されたとはいえ、まだ若干の活性を示す)は変性させることにより、例えば濾過可能な沈殿物を形成するように化学反応させることにより、取り除かれてきた。驚くべきことに、今回明らかになったことであるが、こうした可溶化された触媒または触媒残渣は、変性したり触媒除去を行ったりすることなく、ポリオール生成物中に保持させることが可能である。
【0016】
好適な、実質的に無定形の二重金属シアン化物錯体触媒、例えば本明細書中の実施例1および3に記載の触媒、をオキシアルキル化のために用いる場合、触媒の大半は実質的に不均一(固体)な状態で残存する。かかる触媒は濾過によって取り除くことができ、このように分離された固体触媒は実質的な触媒活性を保持している。しかし、触媒を相対的に完全に除去するには、比較的微孔質のフィルターを通す必要があり、ポリオールの粘度を考慮すると、こうした濾過には時間がかかる。本発明によれば、このような残留触媒はポリオール生成物中に残しておくことができ、あるいは、粗孔フィルターを用いて触媒の実質的部分を除去することにより、ポリオール中に50ppmから1000ppmまで、またはポリオールが酸化防止安定剤により安定化されるのであれば10ppmから好ましくは250ppmまで、の触媒または触媒残渣を残すようにすることができる。粗孔フィルターの使用は濾過の速度を増し、その結果、ポリオール生成物の安定性を損なうことなく、むしろポリオールの貯蔵安定性を高めつつ、全処理時間の短縮、ひいてはコストの削減をもたらす。
【0017】
ポリオールの貯蔵安定性を評価するには、後述するような標準的方法、好ましくは分析が簡単かつ迅速に行えることからヘッドスペースガスクロマトグラフィー、を用いることができる。貯蔵安定性は、総揮発分および/または酸価またはカルボニル含量で示した場合、二重金属シアン化物錯体触媒を用いるオキシアルキル化により製造されるが0〜5ppmの残留触媒または触媒残渣を含むように上記処理の1以上により触媒および触媒残渣が除去された同様のポリオールよりも優れているべきである。
【0018】
二重金属シアン化物錯体含有ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールはさらに安定化有効量の1種以上の酸化防止剤を含むことが特に有利である。このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)および米国特許第4,156,759号(参考としてここに組み入れる)に記載されるヒンダードフェノール類;2,6−ジアルキル−6−sec−アルキルフェノール類、例えば米国特許第5,356,976号(参考としてここに組み入れる)に記載されるもの;第2級アミン系酸化防止剤、例えばオクチルジフェニルアミンおよび上記の米国特許第4,156,759号に記載されるもの;有機亜燐酸エステル類、例えば亜燐酸トリス−(ノニルフェニル)、ヒンダードフェノール亜燐酸エステル類、チオプロピオン酸のエステル類、例えばジラウリルチオジプロピオネート、チオカーボネート類、フェノチアジンなどがある。さらに各種のケイ皮酸エステル類も有用である。その他の酸化防止剤には米国特許第5,132,387号に記載されるものが含まれる。酸化防止剤の量は各酸化防止剤ごとに変化し、ポリオールの重量に対して約10〜10,000ppm、好ましくは50〜800ppm、特に約500ppmとする。非アミノ基含有酸化防止剤が好ましいものである。
【0019】
本発明の粘度安定性イソシアネート末端プレポリマーは、化学量論的過剰量のジ−またはポリイソシアネートを、10〜1000ppmまたはそれ以上、好ましくは25〜250ppm、より好ましくは25ppm、有利には50〜100ppmの二重金属シアン化物錯体安定剤を含むポリオキシアルキレンポリオールと反応させることにより製造される。プレポリマーは諸成分を溶媒なしでまたは非反応性溶媒中でウレタン化促進触媒(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートなどの各種スズ塩を含むが、これらに限らない)の存在下または不在下に反応させることにより常法により製造しうる。イソシアネート末端プレポリマーは、有利には1〜約25重量%のNCO基を含み、好ましくは4〜22重量%、より好ましくは約5〜15重量%のNCO基を含む。プレポリマーの製造法は、Polyurethane Handbook,Gunter Oertel編,Hanser Publishers,Munich,1985、およびPolyurethanes:Chemistry And Technology,J.H.Saunders and K.C.Frisch,Interscience Publishers,New York,1963に記載されている。とりわけ驚くべきことは、従来技術の知見にもかかわらず、二重金属シアン化物錯体を含むイソシアネート末端プレポリマーは、二重金属シアン化物錯体触媒残渣を除去したポリオールを用いて製造したものよりも高い粘度増加を示さないことである。その上、プレポリマーを製造するために用いたポリエーテルポリオール中の二重金属シアン化物錯体の濃度が250ppmまたはそれ以上に増加するときは、粘度の変化によって示される貯蔵安定性も増加するのである。「粘度安定性」という用語は、50℃で1ヵ月間貯蔵した後にプレポリマーの粘度が高々15%程度しか増加しないこと、好ましくは10%またはそれ以下の増加を示すことを意味する。
【0020】
二重金属シアン化物錯体触媒は一般に、初期には開始剤分子および反応開始直後のオリゴマー生成物に不溶性である。しかし、オキシアルキル化が進行するにつれて、殆どでないにしても多くの場合に、触媒は可溶化されるようになり、おそらくそれは開始剤および/または低分子量オリゴマーと比べたときの高分子量ポリエーテルポリオールの溶解パラメーターが異なるためであり、あるいは触媒の化学的組成および/または形態が変化したためであろう。実施例1に記載したような触媒の場合は、触媒残渣を回収することができ、しかもそれはまだ触媒活性を示す。ところが、他の触媒はそれらが生成物中で可溶化されるために回収が困難になる。「二重金属シアン化物錯体触媒残渣」という用語および類似の用語は、粗製の、濾過した、または化学的処理を行った生成物中に存在しうる触媒それ自体、またはその分解および/または反応生成物を指す。残渣の存在は残留金属の濃度を測定することによって確かめることができる。本明細書中で100万部あたりの部(ppm)として表される触媒または触媒残渣の濃度はポリオールの総重量に対するもので、上記のようにppmで表される。
【0021】
以下、本発明およびその好ましい態様を記載する。
1.過剰の有機ジ−またはポリイソシアネートを、2以上の呼称官能価を有するポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールを1種以上含むポリオール成分と反応させることにより製造された、粘度安定性のイソシアネート末端プレポリマーであって、上記の1種以上のポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールの少なくとも1種が二重金属シアン化物錯体触媒の存在下で適当な官能価の開始剤分子をオキシアルキル化することにより製造されたもので、二重金属シアン化物錯体触媒または二重金属シアン化物錯体触媒残渣を含むものであり、
該プレポリマーが10〜1000ppmの二重金属シアン化物錯体触媒または二重金属シアン化物錯体触媒残渣を含有することを特徴とする、上記のプレポリマー。
2.二重金属シアン化物錯体触媒残渣を含むポリオキシアルキレンポリオールが25〜250ppmの二重金属シアン化物錯体残渣を含む、上記1項に記載のプレポリマー。
3.二重金属シアン化物錯体触媒残渣を含むポリオキシアルキレンポリオールが50〜150ppmの二重金属シアン化物錯体残渣を含む、上記2項に記載のプレポリマー。
4.プレポリマーの重量に基づき1〜25重量%のイソシアネート基含量を有する、上記1項に記載のプレポリマー。
5.ポリオール成分がさらに該ポリオール成分の重量に基づき10〜3000ppmの酸化防止剤を1種以上含む、上記1項に記載のプレポリマー。
6.1種以上の酸化防止剤の少なくとも1種がヒンダードフェノール酸化防止剤からなる、上記5項に記載のプレポリマー。
7.ヒンダードフェノール酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンからなる、上記6項に記載のプレポリマー。
8.二重金属シアン化物錯体触媒が実質的に無定形の亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒からなる、上記1項に記載のプレポリマー。
9.亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒中の錯化剤としてt−ブチルアルコールを用いる、上記8に記載のプレポリマー。
10.亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒中の錯化剤としてt−ブチルアルコールとポリオキシプロピレンポリオールを用いる、上記8項に記載のプレポリマー。
11.亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒中の錯化剤としてグライムを用いる、上記8項に記載のプレポリマー。
12.1種以上の二重金属シアン化物錯体触媒の存在下で1種以上の多価開始剤を1種以上のアルキレンオキシドでオキシアルキル化することにより製造された、1.5〜8の呼称計算官能価を有する貯蔵安定性のポリオキシアルキレンポリオール成分であって、上記のポリオキシアルキレンポリオール成分が10〜1000ppmの二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣、ならびに安定化有効量の1種以上の酸化防止剤を含有し、
該ポリオール成分が二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣を実質的に含まないがその他の点では同様のポリオール成分と比べて向上した貯蔵安定性を示すことを特徴とする、上記のポリオキシアルキレンポリオール成分。
13.二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣がポリオール成分の重量に基づき25〜500ppmの量で存在する、上記12項に記載のポリオキシアルキレンポリオール成分。
14.二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣がポリオール成分の重量に基づき40〜150ppmの量で存在する、上記12項に記載のポリオキシアルキレンポリオール成分。
15.上記の酸化防止剤が非アミノ基含有酸化防止剤である、上記12項に記載のポリオキシアルキレンポリオール成分。
16.上記の酸化防止剤がヒンダードフェノール酸化防止剤を含む、上記12項に記載のポリオキシアルキレンポリオール成分。
17.上記の酸化防止剤がヒンダードフェノール酸化防止剤を含む、上記13項に記載のポリオキシアルキレンポリオール成分。
18.上記の酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンからなる、上記12項に記載のポリオキシアルキレンポリオール成分。
19.二重金属シアン化物錯体触媒を用いて製造されたポリオキシアルキレンポリオールの貯蔵安定性を向上させる方法であって、
a)二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣の量を、該ポリオールの重量に基づき10〜250ppmに調節し、
b)該ポリオールに安定化有効量の酸化防止剤を1種以上添加する、
ことを含んでなり、二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣と酸化防止剤の両方を含む該ポリオールの貯蔵安定性が、二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣を含まないがその他の点では同様のポリオールよりも優れていることを特徴とする上記の方法。
20.二重金属シアン化物錯体触媒またはその残渣が実質的に無定形の亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体触媒またはその残渣である、上記19項に記載の方法。
21.イソプロパノール、t−ブチルアルコール、グライム、およびイソプロパノールとt−ブチルアルコールおよび/またはグライムとポリオキシプロピレンポリオールとの混合物より成る群から選ばれる有機錯化剤が二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣の錯体部分を構成する、上記20項に記載の方法。
22.上記の酸化防止剤がヒンダードフェノール酸化防止剤を含む、上記19項に記載の方法。
23.ヒンダードフェノール酸化防止剤がブチル化ヒドロキシトルエンからなる、上記22項に記載の方法。
24.ポリオキシアルキレンポリオールの重量に基づき10〜1000ppmの1種以上の二重金属シアン化物錯体またはその残渣を含み、該二重金属シアン化物錯体またはその残渣を実質的に含まないがその他の点では同様のポリオールよりも優れた貯蔵安定性を示すことを特徴とする、貯蔵安定性ポリオキシアルキレンポリオール。
25.上記のポリオール中に含まれる二重金属シアン化物錯体またはその残渣の量が50〜250ppmである、上記24項に記載のポリオール。
26.イソシアネート指数70〜130のジ−またはポリイソシアネートを上記12項のポリオール成分と反応させることにより製造されるポリウレタンポリマー。
27.イソシアネート反応性成分を指数90〜110の上記1項のイソシアネート末端プレポリマーと反応させることにより製造されるポリウレタンポリマー。
28.1〜3重量%の遊離NCO基を含む上記1項のイソシアネート末端プレポリマーを大気湿分の存在下で硬化させることにより製造される湿分硬化一成分ポリウレタンエラストマー。
29.指数70〜130のジ−またはポリイソシアネートと上記24項のポリオールとの反応生成物からなるポリウレタンポリマー。
【0022】
【実施例】
本発明について一般的に説明してきたが、特定の実施例を参考とすることにより一層理解が深まるであろう。このような実施例は例示のためにここに提示されるのであって、特にことわらないかぎり本発明を制限するものではない。実施例1〜4は、好ましい二重金属シアン化物錯体触媒の製造を示すものである。
実施例1
ビーカー中の脱イオン水(150mL)にカリウムヘキサシアノコバルテート(8.0g)を加え、この混合物を固体が溶解するまでホモジナイザーを使ってブレンドした。第2のビーカー中で、脱イオン水(30mL)に塩化亜鉛(20g)を溶解させた。塩化亜鉛の水溶液をコバルト塩の溶液と一緒に合わせ、ホモジナイザーを使ってこれら2溶液を均質に混合した。2溶液の混合直後に、t−ブチルアルコール(100mL)と脱イオン水(100mL)の混合物を亜鉛ヘキサシアノコバルテートの懸濁液に徐々に添加し、この混合物を10分間ホモジナイズした。固体を遠心により分離し、続いてt−ブチルアルコールと脱イオン水の70:30(v/v)混合物250mLと共に10分間ホモジナイズした。固体を再度遠心分離し、最後にt−ブチルアルコール250mLと共に10分間ホモジナイズした。触媒を遠心分離し、一定の重量となるまで50℃、30インチ(Hg)で真空オーブン内で乾燥した。
【0023】
実施例2
一般的に特開平4−145123号公報に記載の手順に従った。ビーカー中の脱イオン水(75mL)にカリウムヘキサシアノコバルテート(4.0g)を加え、この混合物を固体が溶解するまで攪拌した。第2のビーカー中で、塩化亜鉛(10g)を脱イオン水(15mL)に溶解させた。塩化亜鉛の水溶液をコバルト塩の溶液と一緒に合わせ、電磁攪拌棒を使って2溶液を混合した。2溶液の混合直後に、t−ブチルアルコール(50mL)と脱イオン水(50mL)の混合物を亜鉛ヘキサシアノコバルテートの懸濁液に徐々に添加し、この混合物を常法により10分間攪拌した。固体を遠心により分離し、続いてt−ブチルアルコールと脱イオン水の70:30(v/v)混合物100mLと共に10分間攪拌した。固体を再度遠心分離し、最後にt−ブチルアルコール100mLと共に10分間攪拌した。触媒を遠心分離し、一定の重量となるまで50℃、30インチ(Hg)で真空オーブン内で乾燥した。
【0024】
実施例3
1ガロンの耐圧ガラス反応容器に、脱イオン水(700mL)に溶解したカリウムヘキサシアノコバルテート(40g)の溶液(溶液1)を入れた。脱イオン水(200mL)を入れたビーカー中で塩化亜鉛(125g)を溶解させた(溶液2)。脱イオン水(500mL)を入れたビーカー中でt−ブチルアルコール(500mL)を溶解させた(溶液3)。脱イオン水(1000mL)とt−ブチルアルコール(10mL)中に分子量4000のポリ(オキシプロピレン)ジオール(60g)を懸濁させて第4の混合物(溶液4)を調製した。
【0025】
溶液1と溶液2を300rpmで攪拌しながら混合し、続いてすぐに、得られた亜鉛ヘキサシアノコバルテート混合物に溶液3を徐々に添加した。攪拌速度を900rpmに上げ、この混合物を室温で2時間攪拌した。次いで攪拌速度を300rpmに下げて溶液4を加えた。この生成物を5分間混合し、加圧下で濾過して固体の触媒を分離した。
【0026】
分離した固体をt−ブチルアルコール(700mL)と脱イオン水(300mL)中に再スラリー化し、900rpmで2時間攪拌した。攪拌速度を300rpmに下げ、分子量4000のポリ(オキシプロピレン)ジオール(60g)を加えた。この混合物を5分間攪拌して濾過した。
【0027】
得られた固体をt−ブチルアルコール(1000mL)中に再スラリー化し、900rpmで2時間攪拌した。攪拌速度を300rpmに下げ、分子量4000のポリ(オキシプロピレン)ジオール(30g)を加えた。この混合物を5分間攪拌して濾過した。得られた固体触媒を一定の重量となるまで50℃、30インチ(Hg)で真空乾燥させた。この触媒は微細な乾燥粉末へと容易に粉砕できた。
【0028】
固体触媒の元素分析、熱重量分析および質量スペクトル分析から、ポリオール=45.8重量%、t−ブチルアルコール=7.4重量%、コバルト=6.9重量%であることが示された。
【0029】
実施例4
水(263.35g)に溶解したカリウムヘキサシアノコバルテート(13.00g,0.0391モル)の攪拌溶液に、水(26.65g)に溶解した塩化亜鉛(26.65g,0.1956モル)の溶液を速やかに加えた。塩化亜鉛溶液の添加の間中、カリウムヘキサシアノコバルテート溶液を40℃に維持した。添加後すぐに亜鉛ヘキサシアノコバルテート粒子の無色の沈殿物が形成された。40℃で15分間攪拌した後、触媒の水性スラリーにジメトキシエタン(84.00g,0.9321モル)を加えた。この混合物をさらに30分攪拌し、水平バスケット遠心濾過器とナイロン軽布濾過材を使って濾過することにより亜鉛ヘキサシアノコバルテート・塩化亜鉛・ジメトキシエタン・水錯体触媒を回収した。ジメトキシエタン300mLで洗浄し、周囲温度および圧力で自然乾燥させた後に得られた濾過ケーキはかなり軟質であって、微細粉末へと容易に粉砕できた。
【0030】
実施例5は二重金属シアン化物錯体触媒を用いたポリオールの製造を示すものである。
【0031】
実施例5
2ガロンの攪拌型反応容器に、450Daのポリオキシプロピレンジオール開始剤および完成ポリオール中の濃度が250ppmに相当する量の実施例1の亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒を入れた。この混合物を攪拌し、105℃に加熱し、そして減圧下でストリッピングして開始剤から出る痕跡量の水を除去した。最初は30インチ(Hg)の減圧下で、反応容器に少量のプロピレンオキシドを供給し、注意深く反応容器の圧力を監視した。加速された圧力降下が反応容器内で生じるまでは追加のプロピレンオキシドを加えなかった。圧力降下は触媒が活性化されたことの証拠である。触媒の活性化が確認されたら、4000Daのポリオキシプロピレンジオール生成物を得るのに十分な量のプロピレンオキシドを、反応容器の圧力を40psi以下に維持しながら約2時間かけて徐々に添加した。プロピレンオキシドの添加が完了した後、一定の圧力が観察されるまでこの混合物を105℃に保った。次いで、未反応の残留モノマーをポリオール生成物から減圧下でストリッピングした。反応容器の底に取り付けたフィルターカートリッジ(0.45〜1.2ミクロン)を通過させて高温のポリオール生成物を100℃で濾過し、触媒を分離した。生成物ポリオールはヒドロキシル価が約27で、不飽和が約0.005meq/g(ポリオールのグラムあたりの不飽和)であると測定された。
【0032】
ポリオキシアルキレンポリエーテルポリオールは、酸素が吸収されかつ反応してヒドロペルオキシドを形成する遊離基作用機構により自動酸化されると考えられる。高温では、ヒドロペルオキシドが容易に分解されて種々のカルボニル化学種と水を生成する。同定しうるカルボニル化学種の中にはアルデヒド、ケトン、有機酸、およびエステルがある。例えば、“The Autoxidation of Poly(propylene oxide)s(ポリプロピレンオキシドの自動酸化)”,P.J.F.Griffithsら,Eur.Polym.J.,Vol.29,No.213,pp.437−442(1993)を参照されたい。
【0033】
ポリオールの安定性を評価するにあたって、いろいろな公知方法を用いることができる。これらには、貯蔵ポリオールの上に蓄積する種々の揮発性化学種の面積計算が総揮発分を示すヘッドスペースガスクロマトグラフィー、および酸価とカルボニル含量を測定するための通常の湿式化学的方法がある。湿式化学的方法は揮発性化学種だけでなく非揮発性の物質をも検出できるという利点を有する。
【0034】
図1は、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーで測定した総揮発分により示されるような、約10ppmから250ppm以上にわたる二重金属シアン化物錯体濃度において生じるポリオール安定性の向上を示す。触媒残渣は実施例1の触媒を用いて実施された約4000Daの分子量へのオキシアルキル化反応に由来するものであった。データ点は精製ポリオール(0ppmに等しいか0ppmに近似);濾過ポリオール(25ppm);粗製ポリオール(250ppm);および粗製ポリオールと濾過ポリオールの50:50(w/w)ブレンド(137.5ppm)を表す。ポリオールは500ppmのBHT安定剤を含有する。100℃で7日間貯蔵した後に採取したサンプルを、DB−waxカラム(Hewlett-Packard Innowax)とDB−1カラム(Restek RTX−1)の両方を用いるPerkin-Elmer Sigma2000ガスクロマトグラフィー装置で分析した。ヘッドスペースのサンプリング前にサンプルを100℃に20分間保った。注入器および検出器の温度はどちらも250℃とし、初期オーブン温度は10分の保持時間で50℃とし、続いて10℃/分で15分の保持時間でもって220℃とした。図から明らかなように、両方のカラムともほぼ同様の結果を与えた。ポリオールの安定性の向上はめざましく、従来技術から予測される方向とは明らかに反対である。
【0035】
図2および3は、図1に示したものと同じポリオールおよびポリオールブレンドの貯蔵後の酸価の変化およびカルボニル含量をそれぞれ示す。これらにより測定された安定性の向上は総揮発分により示されるものに匹敵し、この場合もかなり顕著であった。酸価はまた、二重金属シアン化物錯体の不在下で提示された数値からの低下を示す。
【0036】
図4は、さまざまな濃度の残留二重金属シアン化物・グライム触媒がBHT安定化ポリオールに及ぼす影響を示す。図4のポリオールは、二重金属シアン化物・グライム錯体触媒を用いて製造された、精製4000Daポリオール(0ppmに等しいか0ppmに近似);濾過ポリオール(25ppm);精製ポリオールと濾過ポリオールの50:50ブレンド(12.5ppm);粗製の未精製ポリオール(250ppm);濾過ポリオールと粗製ポリオールの75:25(w/w)ブレンド(81.25ppm);および粗製ポリオールと濾過ポリオールの50:50(w/w)ブレンド(137.5ppm)であった。対照は従来の触媒(KOH)を用いて製造された、分子量が約4000Daのポリオキシプロピレングリコールである。ポリオール安定性の著しい向上は12.5ppmの残留触媒でさえも起こり、約50ppmの残留触媒ではカルボニル含量により測定される安定性の約100%向上が得られた。
【0037】
実施例6
4,4’−メチレンジフェニレンジイソシアネート〔Mondur(登録商標)M;Miles社から入手〕を、実施例1、3および4で製造したような二重金属シアン化物錯体触媒を用いて製造された分子量4000Daのポリオキシプロピレンジオールと反応させることにより、一連の6%NCO末端プレポリマーを製造した。種々の濃度の残留触媒を含有するプレポリマーを50℃で窒素下に貯蔵した。貯蔵1ヵ月後に粘度を測定した。初期粘度に対する粘度の変化パーセントで表される結果を表1に示す。表から明らかなように、全部の残留触媒を除去してしまったプレポリマーと比べて、残留触媒を保持するプレポリマーの場合には粘度の変化が比較的少なかった。
【0038】
【表1】
Figure 0004041549
【0039】
本発明について十分に説明してきたので、当業者には、ここに記載した本発明の精神または範囲を逸脱することなく多くの変更および修飾が可能であることが明らかだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】二重金属シアン化物錯体をいろいろな濃度で含むポリエーテルポリオールを100℃で7日間貯蔵した後に測定された総揮発分を示す。
【図2】二重金属シアン化物錯体の濃度が100℃で7日間貯蔵した後でポリオールの酸価に及ぼす影響を示す。
【図3】二重金属シアン化物錯体が100℃で7日間貯蔵した後でカルボニル含量に及ぼす影響を示す。
【図4】従来の触媒を用いて製造されたポリオールおよび二重金属シアン化物錯体触媒をさまざまな濃度で含むポリオールのカルボニル含量の変化を示す。

Claims (1)

  1. 二重金属シアン化物錯体触媒を用いて製造されたポリオキシアルキレンポリオールの貯蔵安定性を向上させる方法であって、
    a)二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣の量を、該ポリオールの重量に基づき10〜250ppmに調節し、
    b)該ポリオールに安定化有効量の非アミノ基含有酸化防止剤を1種以上添加する、
    ことを含んでなり、二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣と酸化防止剤の両方を含む該ポリオールの貯蔵安定性が、二重金属シアン化物錯体触媒および/または二重金属シアン化物錯体触媒残渣を含まないがその他の点では同様のポリオールよりも優れていることを特徴とする上記の方法。
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