JP4040969B2 - 電気接続箱の冷却構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された電気接続箱の電子部品等の内蔵部品を冷却する電気接続箱の冷却構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の電気接続箱の冷却構造として、図4に示すものがある(例えば、特許文献1参照。)。この電気接続箱50の冷却構造は、図4に示すように、車両のエンジンルーム内に電気接続箱50が配置され、この電気接続箱50の2層の外装ケース部材51a,51bによって空気流通路52が形成されている。
【0003】
この空気流通路52には空気取入ダクト53と空気排出ダクト54の一端がそれぞれ接続されており、空気取入ダクト53と空気排出ダクト54の各他端側に空気取入口55と空気排出口56がそれぞれ設けられている。空気排出ダクト54内には電気接続箱50内の空気を強制的に吸引する送風ファン57が設けられている。
【0004】
上記構成において、送風ファン57が駆動すると、空気取入口55より空気が電気接続箱50の空気流通路52を通り、この際に電気接続箱50内の熱を吸収し、熱を吸収した空気が空気排出口56より排出される。このような空気循環が強制的に行われることから電気接続箱50内の冷却を行うことができる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−289719号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平10−329624号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の電気接続箱50の冷却構造では、送風ファン57を設置する必要があるため、コスト高であり、また、送風ファン57の設置スペースにより冷却構造が大型化し、さらに、電源供給の配線が必要であると共に、消費電力の増加になる等の問題があった。
【0008】
尚、特開平10−329624号公報には、上記と略同様な冷却構造で、且つ、送風ファンを設置しないものが開示されているが、上記した空気循環系では電気接続箱内の冷却を有効にできない。つまり、電気接続箱の空気流通路内が高温となり、電気接続箱の外部の温度との間に温度差が生じると、空気取入口から外気が取り込まれるが、空気流通路内に取り込まれた空気は空気排出ダクトへのほぼ最短経路を通って単純に流れるだけなので、電気接続箱内の冷却を有効に行うことができない。
【0009】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、送風ファンを設置することなく、内蔵部品を有効に冷却することができる電気接続箱の冷却構造を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、車両の内部に電気接続箱を配置し、この電気接続箱内に連通する空気取入口と空気排出口を設け、空気取入口より流入する空気を前記電気接続箱内を通過させて前記空気排出口より排出することにより前記電気接続箱内を冷却する前記電気接続箱の冷却構造において、前記空気取入口は、相対的に暖かい位置に開口する第1開口部と相対的に冷たい位置に開口する第2開口部とを有し、前記第1開口部と前記第2開口部の前記電気接続箱内における位置は前記第2開口部より前記第1開口部の方が低い位置に位置していて、これら第1開口部と第2開口部より流入された空気がそれぞれ別位置から前記電気接続箱内に流入するようにしたことを特徴とする。
【0011】
この電気接続箱の冷却構造では、電気接続箱内の温度が上昇して第1開口部や第2開口部の近傍温度との間に温度差が生じると、第1開口部及び第2開口部から電気接続箱内に温度差のある空気が別位置より流入され、その温度差によって電気接続箱内に空気の循環流が発生し、この循環流によって内蔵部品が冷却される。また、電気接続箱内の循環が一部領域に限られずに行われる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1記載の電気接続箱の冷却構造であって、前記電気接続箱が配置される車両の内部は、エンジンルーム内の内側ボディ側であり、前記第1開口部の開口位置は、エンジンルーム内であり、前記第2開口部の開口位置は、内側ボディと外側ボディの間の間隙スペースであることを特徴とする。
【0013】
この電気接続箱の冷却構造では、請求項1の発明の作用に加え、車両が走行中には第2開口部より冷たい外気が電気接続箱内に多く流入し、電気接続箱への空気流出入量が促進される。
【0016】
請求項の発明は、請求項1又は請求項記載の電気接続箱の冷却構造であって、前記第1開口部と前記第2開口部の少なくともいずれか一方をワイヤーハーネスの配索経路に利用したことを特徴とする。
【0017】
この電気接続箱の冷却構造では、請求項1又は請求項の発明の作用に加え、電気接続箱の内部と外部との間を接続するワイヤーハーネスの配索経路を別途設ける必要がない。また、ワイヤーハーネスの周囲を空気流が通るため、ワイヤーハーネスが確実に冷却される。
【0018】
請求項の発明は、請求項1〜請求項記載の電気接続箱の冷却構造であって、前記空気排出口は、前記電気接続箱の上面側より空気が排出するように配置したことを特徴とする。
【0019】
この電気接続箱の冷却構造では、請求項1〜請求項の発明の作用に加え、電気接続箱内の暖まった空気が上方に移動することから主に暖まった空気が空気排出口より排出される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図3は本発明の電気接続箱の冷却構造を適用した一実施形態を示し、図1はエンジンルーム内に設置された電気接続箱の設置状態を示す斜視図、図2は電気接続箱の冷却構造の斜視図、図3は電気接続箱の断面図である。
【0022】
図1に示すように、電気接続箱1は、リレーボックス、ジャンクションボックス、電子コントロールユニット等であり、車両10のエンジンルーム11内で、且つ、内側ボディ12の近傍に配置されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、電気接続箱1は、外周を被う外装ケース2と、この外装ケース2内に配置され、電子部品等の内蔵部品3を収容した接続箱本体4とを有し、この接続箱本体4と外装ケース2との間には空気流通路5が形成されている。この空気流通路5は、接続箱本体4の全外周に亘って配置されている。
【0024】
電気接続箱1には空気取入口6と空気排出口7とが設けられている。この空気取入口6は第1開口部6aと第2開口部6bとから構成され、この第2開口部6bより第1開口部6aの方が低い位置に位置している。第1開口部6aは外装ケース2の底面部を直接に開口することによって設けられ、相対的に暖かいスペースのエンジンルーム10内に開口されている。第2開口部6bは外装ケース2に一端側が接続された空気取入ダクト8を利用して設けられ、相対的に冷たいスペースの内側ボディ12と外側ボディ13との間の間隙スペース14に開口されている。この間隙スペース14には自動車の車両10の走行中に該車両10の前方から後方に向かって空気流が発生する。
【0025】
内側ボディ12の第2開口部6bの近傍には、車両10の前方から後方に向かって流れる空気流を取り込むための空気ガイド部材15が設けられている。空気取入ダクト8の一端側の接続位置は、内側ボディ12に近接配置された前面で、且つ、第1開口部6aに対して対角線上の位置に設けられている。つまり、第1開口部6aより取り入れられる空気と第2開口部6bより取り入れられる空気はそれぞれ別位置で、且つ、電気接続箱1内の対角線上にある位置から空気流通路5に流入するようになっている。
【0026】
空気排出口7は、外装ケース2の上面部を開口することによって設けられている。
【0027】
また、電気接続箱1の内部と外部とを電気的に接続するワイヤーハーネスWHは、第1開口部6aを通すことによって配索されている。つまり、第1開口部6aがワイヤーハーネスWHの配索経路に利用されている。第1開口部6aは、ワイヤーハーネスWHの配索された状態にあっても空気が流入する十分な開口径に設定されている。
【0028】
次に、電気接続箱1の冷却作用を説明する。電気接続箱1内の温度が上昇して第1開口部6aや第2開口部6bの近傍温度との間に温度差が生じると、空気が第1開口部6a及び第2開口部6bから取り入れられ、この取り入れられた各空気が電気接続箱1の空気流通路5内に別位置より流入される。第1開口部6aから取り入れられた空気は暖かく、第2開口部6bから取り入れられた空気は冷たく温度差があるため、空気流通路5内には空気の循環流が発生し、この循環流によって電子部品等の内蔵部品3が確実に冷却される。従って、従来例のように送風ファンを設置することなく、内蔵部品3を有効に冷却することができる。空気流通路5内で熱を吸収して暖まった空気は、外装ケース2の上面部に位置する空気排出口7より排出される。
【0029】
前記実施形態では、電気接続箱1は車両10のエンジンルーム11内に配置され、第1開口部6aの開口位置はエンジンルーム11内とし、第2開口部6bの開口位置は内側ボディ12と外側ボディ13の間の間隙スペース14としたことにより、車両10が走行中に第2開口部6bより冷たい外気が電気接続箱1内に多く流入し、電気接続箱1への空気流出入量が促進される。従って、特に、車両10の走行中において、温度上昇し易いエンジンルーム11内に配置された電気接続箱1を有効に冷却することができる。また、第2開口部6bの開口位置は内側ボディ12と外側ボディ13の間の間隙スペース14としたので、電気接続箱1内への水滴等の浸入を確実に防止することができる。
【0030】
前記実施形態では、電気接続箱1は車両10のエンジンルーム11内に配置されたものであるが、エンジンルーム11以外に配置されたものであっても同様に適用することができる。
【0031】
前記実施形態では、第1開口部6aと第2開口部6bの電気接続箱1内における位置は、第2開口部6bより第1開口部6aの方が低い(即ち、冷たい空気を取り入れる開口が上方にある)ので、電気接続箱1内の循環が一部領域に限られずにほぼ全域に亘って行われる。従って、冷却効果の向上になる。
【0032】
前記実施形態では、第1開口部6aをワイヤーハーネスWHの配索経路に利用したので、電気接続箱1の内部と外部との間を接続するワイヤーハーネスWHの配索経路を別途設ける必要がない。また、ワイヤーハーネスWHの周囲を空気流が通るため、ワイヤーハーネスWHを確実に冷却することができる。尚、第2開口部6bをワイヤーハーネスWHの配索経路に利用しても、また、第1開口部6aと第2開口部6bの双方を共にワイヤーハーネスWHの配索経路に利用しても良い。
【0033】
前記実施形態では、空気排出口7は、電気接続箱1の上面側より空気が流出するよう配置したので、電気接続箱1内の暖まった空気が上方に移動することから主に暖まった空気を空気排出口7より排出することができる。従って、冷却効果の向上になる。
【0034】
尚、前記実施形態によれば、第1開口部6a及び第2開口部6bは、共に1箇所ずつ配置したが、それぞれ2箇所以上に配置しても良い。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、空気取入口が相対的に暖かい位置に開口する第1開口部と相対的に冷たい位置に開口する第2開口部を有し、第1開口部と第2開口部の電気接続箱内における位置は第2開口部より第1開口部の方が低い位置に位置していて、これら第1開口部と第2開口部より流入された空気がそれぞれ別位置から電気接続箱内に流入するようにしたので、電気接続箱内の温度が上昇して第1開口部や第2開口部の近傍温度との間に温度差が生じると、第1開口部及び第2開口部から電気接続箱内に温度差のある空気が別位置より流入され、その温度差によって電気接続箱内に空気の循環流が発生し、この循環流によって内蔵部品を確実に冷却することができる。これにより、送風ファンを設置することなく、内蔵部品を有効に冷却することができる。特に、第1開口部と第2開口部の電気接続箱内における位置は第2開口部より第1開口部の方が低いので、電気接続箱内の循環が一部領域に限られずに行われる。従って、冷却効果をより向上させることができる。
【0036】
請求項2の発明によれば、電気接続箱が配置される車両の内部はエンジンルーム内のボディ側であり、第1開口部の開口位置はエンジンルーム内であり、第2開口部の開口位置は内側ボディと外側ボディの間のスペースであるので、車両が走行中に第2開口部より冷たい外気が電気接続箱内に多く流入し、電気接続箱への空気流出入量を促進することができる。従って、温度上昇し易いエンジンルーム内に配置された電気接続箱を有効に冷却することができる。
【0038】
請求項の発明によれば、第1開口部と第2開口部の少なくともいずれか一方をワイヤーハーネスの配索経路に利用したので、電気接続箱の内部と外部との間を接続するワイヤーハーネスの配索経路を別途設ける必要がない。また、ワイヤーハーネスの周囲を空気流が通るため、ワイヤーハーネスを確実に冷却することができる。
【0039】
請求項の発明によれば、空気排出口は電気接続箱の上面側より空気が排出するように配置したので、電気接続箱内の暖まった空気が上方に移動することから主に暖まった空気を空気排出口より確実に排出することができる。従って、冷却効果をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、エンジンルーム内に設置された電気接続箱の設置状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態を示し、電気接続箱の冷却構造の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態を示し、電気接続箱の断面図である。
【図4】従来例の電気接続箱の冷却構造を示す構成図である。
【符号の説明】
1 電気接続箱
6 空気取入口
6a 第1開口部
6b 第2開口部
7 空気排出口
10 車両
11 エンジンルーム
12 内側ボディ
13 外側ボディ
14 間隙スペース
WH ワイヤーハーネス

Claims (4)

  1. 車両の内部に電気接続箱を配置し、この電気接続箱内に連通する空気取入口と空気排出口を設け、空気取入口より流入する空気を前記電気接続箱内を通過させて前記空気排出口より排出することにより前記電気接続箱内を冷却する前記電気接続箱の冷却構造において、
    前記空気取入口は、相対的に暖かい位置に開口する第1開口部と相対的に冷たい位置に開口する第2開口部とを有し、前記第1開口部と前記第2開口部の前記電気接続箱内における位置は前記第2開口部より前記第1開口部の方が低い位置に位置していて、これら第1開口部と第2開口部より流入された空気がそれぞれ別位置から前記電気接続箱内に流入するようにしたことを特徴とする電気接続箱の冷却構造。
  2. 請求項1記載の電気接続箱の冷却構造であって、
    前記電気接続箱が配置される車両の内部はエンジンルーム内の内側ボディ側であり、前記第1開口部の開口位置はエンジンルーム内であり、前記第2開口部の開口位置は内側ボディと外側ボディの間の間隙スペースであることを特徴とする電気接続箱の冷却構造。
  3. 請求項1又は請求項記載の電気接続箱の冷却構造であって、
    前記第1開口部と前記第2開口部の少なくともいずれか一方をワイヤーハーネスの配索経路に利用したことを特徴とする電気接続箱の冷却構造。
  4. 請求項1〜請求項記載の電気接続箱の冷却構造であって、
    前記空気排出口は、前記電気接続箱の上面側より空気が排出するように配置したことを特徴とする電気接続箱の冷却構造。
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