JP4040671B2 - 靴下 - Google Patents
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Description
この従来の靴下では、締め付け領域が強力締め付け領域と通常締め付け領域とに区分され、強力締め付け領域で土踏まずのアーチ構造をサポートし、通常締め付け領域により、締付け過ぎることなく圧迫感の少ない快適な状態を実現しようとしている。
すなわち、足部3の周方向に均一な編み組織で形成された靴下1を着用した場合、足の甲部分に大きな圧力がかかり、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分には所望する着圧が加わらず、十分なサポート機能が得られないという不具合を有するものであった。
一方、人の足裏には、たとえば図6に示すように、母趾球a、小趾球b、踵骨cの3点を支点とする3つのアーチ構造A,B,Cと、人が歩行する際の重心の移動(あおり運動)ラインに沿った歩行ラインDとがあることが知られている。この場合、a−b間には、親指の付け根から小指の付け根にかけて膨らんでいる部分に横アーチ(前アーチ)Aが形成され、b−c間には、親指の付け根から踵の外側を結んだライン上にある大きな窪み部分に内側縦アーチB(所謂、土踏まずのアーチ)が形成され、a−c間には、小指の付け根から踵の外側を結んだライン上にある小さな窪み部分に外側縦アーチCが形成されている。そして、この3つのアーチA,B,Cにより、歩行時の衝撃が吸収・緩和され、荷重が分散されて身体に負担の少ない安定した歩行が可能となることも知られている。
したがって、運動時に重要な役割を果たす土踏まず部分を十分にサポートすることができない従来の靴下1では、内側縦アーチBを支援する補助的ツールとしての機能を十分に満足させるものではなく、延いては、足裏の3つのアーチを効果的にサポートすることも不十分なものであった。つまり、この従来の靴下1では、歩行時の足の運動パフォーマンス機能を高め、身体に負担の少ない安定した歩行を補助的に支援することが難しいものとなっている。
さらに、この従来の靴下1では、図16に示すように、土踏まず部分のサポート方向が足部3の周方向に、この場合、足裏3aから足の甲3bの方向に向けて真っ直ぐ持ち上げる方向となっているため、足のあおり運動に寄与する足首の運動に十分に追従するものではなかった。つまり、歩行時における足のあおり運動は、先ず踵から着地して、引き続き、歩行ラインDに沿って行われることが好ましく、この場合、土踏まず部分は足首の方向に向いてサポートされることがより一層効果的となるためである。
すなわち、従来の靴下1では、足裏の3つのアーチの内、特に、土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)を十分にサポートすることが困難であったため、足の運動パフォーマンス能力が低下すると共に足の疲労感も軽減されないものであった。
この場合、3つの領域に当接される部位の締付力(着圧)をみてみると、足甲部はローサポート着圧領域となり、土踏まず部はハイサポート着圧領域となり、足側面部はミドルサポート着圧領域となる。すなわち、この発明にかかる靴下では、足の甲から土踏まずに至る足の断面形状が非均一な断面形状であるのに対応して、3つのサポート領域に作用する締付力(着圧)を変えるように構成されている。そのため、この発明にかかる靴下を着用した場合、3つのサポート領域に応じて足裏の3つのアーチを効果的にサポートして活性化することができる。そして、特に、ハイサポート着圧領域となる土踏まず部には、より効果的に締付力(着圧)が付与されるので、歩行,ランニング等の運動の際に、土踏まず部分をより効果的に持ち上げて土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)機能を支援・補助することが可能となる。さらに、土踏まず部にかかるサポート着圧領域は、足首方向に向けてリフトアップされることになるので、土踏まず部分が足首方向に向けて持ち上げられるような着用感が得られ、土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)機能をより一層効果的に支援・補助することが可能となる。したがって、この靴下を着用した場合、歩行時における足のあおり運動が歩行ラインDに沿ってより一層スムーズに行われる。
また、この発明にかかる靴下では、3つの領域の編地組織の編成が、土踏まず部の編地組織の伸縮性をαとし、足側面部の編地組織の伸縮性をβとし、足甲部の編地組織の伸縮性をγとしたとき、α<β<γとなるように、3つの領域の編地組織が編成されているとよいものである。
この場合、3つのサポート着圧領域に所望されるサポート力に応じて、各領域における編地組織の伸縮性が変更されている。つまり、盛り上がりが大きく硬い足の甲部分に高い着圧が作用しても、編地組織の伸縮性γにより着圧を緩和させることが可能となり、足甲部に求められるサポート力が付与されることとなる。そのため、均一な編地組織で形成された従来の靴下のように、土踏まずに求められるサポート力が足甲部にかかる圧力により阻害されることがない。
さらに、この発明にかかる靴下では、前記3つの領域が、足裏の3つのアーチの内の内側縦アーチ側と外側縦アーチ側との2つの領域にさらに区分され、外側縦アーチ側よりも内側縦アーチ側の方の締付力が大きくなるように、内側縦アーチ側の3つの領域の編地組織が編成されていることがより一層好ましいものとなる。
この場合、足の甲から土踏まずに至る足の周方向に区分された3つの領域を、さらに、足の縦方向にみて、足裏の内側縦アーチ側および外側縦アーチ側に2つに区分することで、サポート着圧領域を細分化することが可能となる。そして、内側縦アーチ側の締付力が大きくなるように編地組織が編成されることによって、土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)構造がより一層望ましいアーチ構造を有することになり、土踏まず部分のサポート領域により一層望ましいサポート力を付与することが可能となる。そのため、この靴下では、内側縦アーチを中心に足裏の3つのアーチ構造が正常に機能するように、横アーチ、内側縦アーチおよび外側縦アーチの3つのアーチをより一層効果的にサポートすることが可能となる。
すなわち、この発明にかかる靴下を着用した場合、足裏の3つのアーチ構造が望ましいものとなり、また、土踏まずから足首方向にリフトアップできるように、足裏の3つのアーチにあわせて足の周方向と足の縦方向で3つのサポート着圧領域のパワーコントロールが可能となるため、内側縦アーチ(土踏まずのアーチ)を中心にして、足裏の3つのアーチ機能の活性化が図れる。そのため、この発明にかかる靴下を着用すれば、土踏まずのアーチ(内側縦アーチ)の崩れによる機能障害が原因の扁平足、横アーチ(前アーチ)の崩れによる機能障害が原因の開帳足等を予防するための補助ツールとして期待できるものとなり、快適な着用感も得られるものとなる。また、この発明にかかる靴下を着用すれば、外側縦アーチの活性化も図れるので、歩行する際に、正常な歩行ラインに沿ったあおり運動を促進することができ、身体に負担のかからない効率的な歩行が可能となり、足の疲労の軽減や怪我の防止等にも役立つものとなる。
12 足甲部
14 土踏まず部
16 足側面部
18 リフトアップ用編み目
18a 稜線ライン
a 母趾球
b 小趾球
c 踵骨
t 山形の頂点部
A 横アーチ(前アーチ)
B 内側縦アーチ(土踏まずのアーチ)
C 外側縦アーチ
D 歩行ライン
CL−CL 基準線
さらに、この発明にかかる靴下では、足裏の3つのアーチの内、特に、土踏まずのアーチを効果的にサポートし、且つ、土踏まず部分のサポート領域を足首方向にリフトアップすることによって、内側縦アーチを中心に足裏の3つのアーチを巧く再生し活性化することが可能となった。そのため、この発明にかかる靴下を着用した場合、足の疲れ,負担等を和らげ、運動パフォーマンス機能を高めることができる。つまり、着用時の運動機能に優れ、長時間の運動による疲労が少なくなるものとなる。
本実施形態例にかかる靴下10は、編地組織により形成された靴下であって、足の甲から土踏まずに至る足の周方向にかけて3つの領域に区分されたサポート着圧領域として、足甲部12、土踏まず部14および足側面部16を含む。足側面部16は、足甲部12と土踏まず部14との間に配設され、足甲部12と土踏まず部14とに連接されている。この実施形態例では、足側面部16が、足甲部12と土踏まず部14との間に挟持され、且つ、足甲部12で覆われるように配置されている。土踏まず部14および足側面部16の足の縦方向の長さは、略同じに形成されている。また、土踏まず部14および足側面部16の足の周方向の長さは、土踏まず部14の方が、足側面部16のそれよりも、たとえば数倍長く形成されている。
この足甲部12の編地組織では、各コースにメッシュ(透かし目)部分が編成されているため、伸縮性の大きい編地組織となっている。また、メッシュ(透かし目)部分を配置することによって、通気性および放熱性が良好なものとなり、着用者の足の皮脂とか汗の臭いをこもり難いものとしている。
この足側面部16では、1コースおきに平編み部分が編成されているため、上述した足甲部12よりも伸縮性の小さい編地組織に形成されている。
この土踏まず部14では、1コースおきに平編み部分が配置され、且つ、1コースおきにフロート(浮き目)部分が編成されているため、上述した足側面部16よりもさらに伸縮性の小さい編地組織に形成されている。なお、この土踏まず部14には、たとえば裏糸と同じループを作る足し糸(モーレ)が補強糸して編成することができる。足し糸としては、たとえば伸縮糸が用いられてもよい。
これらのリフトアップ用編み目18は、図13および図14に示すように、土踏まず部14および足側面部16に、たとえばメッシュ(透かし目)部分を、土踏まず部から足首の方向に向けて斜め上に斜行するように挿入・編成することによって形成されている。
なお、図13および図14では、便宜上、省略して図示していないが、足側面部16側の平編み部分と、土踏まず部14側の平編み部分および浮き編み部分とには、それぞれ、ゴム糸等の弾性糸が編成されている。
ところで、通常、着用した靴下から人の足にかかる圧力は、仮に、靴下が均一の編地組織で、人の足の断面形状が均一と仮定して場合、足の周方向の各部分から足に均一な圧力がかかるが、実際には、人の足の断面形状は不均一となっているので、靴下の編地組織が均一となっている場合、足の周方向から足にかかる圧力は異なったものとなり、足の周方向の各部分に作用する締付圧力(着圧)に圧力差が生じるものとなる。
したがって、この靴下10では、内側縦アーチBを中心に足裏の3つのアーチ構造が正常に機能するものとなり、図6等に示す横アーチA、内側縦アーチBおよび外側縦アーチCの3つのアーチ構造をより一層効果的にサポートすることができるものとなる。
また、土踏まず部14の編地組織は、平編み部分と、浮き編みによるたとえば2目のフロート(浮き目)部分とで編成され、さらに、足側面部16の編地組織は、平編み部分とメッシュ(透かし目)部分[1×1メッシュ]とで編成されることが好ましいが、これらの編地組織も限定されるものではなく、当該サポート領域に所望される着圧に応じて、編地組織が適宜変更され得るものである。
Claims (3)
- 編地組織により形成された靴下であって、
足の甲から土踏まずに至る足の周方向にかけて、足甲部、土踏まず部、前記足甲部と前記土踏まず部とに連接される足側面部に区分された3つの領域を含み、
前記靴下が着用されたときに、前記土踏まず部の締付力をXとし、前記足側面部の締付力をYとし、前記足甲部の締付力をZとしたとき、X>Y>Zとなるように、前記3つの領域の編地組織の編成が変えられ、
前記土踏まず部のサポート方向は、足の縦方向でみて、前記土踏まず部から足首の方向に向けてサポートされるように、前記編地組織が編成されていることを特徴とする、靴下。 - 前記3つの領域の編地組織の編成は、前記土踏まず部の編地組織の伸縮性をαとし、前記足側面部の編地組織の伸縮性をβとし、前記足甲部の編地組織の伸縮性をγとしたとき、α<β<γとなるように、前記3つの領域の編地組織が編成されていることを特徴とする、請求項1に記載の靴下。
- 前記3つの領域は、足裏の3つのアーチの内の内側縦アーチ側と外側縦アーチ側との2つの領域にさらに区分され、前記外側縦アーチ側よりも前記内側縦アーチ側の方の締付力が大きくなるように、前記内側縦アーチ側の3つの領域の編地組織が編成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の靴下。
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