JP4040095B2 - スピン分極された希ガスを製造するための大容量超分極装置 - Google Patents

スピン分極された希ガスを製造するための大容量超分極装置 Download PDF

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Description

本発明は、番号DAAH04−94−G−0204、DAMD1794J4469、及びF49620−94−0466の政府補助金の下で政府とともに実施された。このため政府は本発明に対する権利を持ち得る。
発明の背景
本発明は、希ガスを超分極(hyperpolarizing)させるための装置及び方法に関する。詳細には、本発明は連続的方法で多量の超分極された希ガスを製造するための方法及び装置に関する。
核磁気共鳴(NMR)は、磁場内に保持されている原子核に対してエネルギーを付与することにより誘導することができる現象である。核は、磁気モーメントを有していれば、外部から適用された磁場内に整列させることができる。この整列は、その後システムに高周波エネルギーの短時間バーストを適用することによって一時的に乱すことができる。結果として生じた核の乱れは、外部磁場に比較して測定可能な核の共鳴又はゆらぎとして発現する。
しかし、何らかの核を外部磁場と相互作用させるためには、核は磁場モーメント、即ち非ゼロスピンを有していなければならない。このため、実験的核磁気共鳴法は非ゼロスピンを示している核を相当程度の割合で含有している標的サンプルの試験に限定されている。高度に好ましいそうした核の1つは、典型的には磁場内の水プロトン類(120)の行動を観察及び操作することによって試験されるプロトン(1H)である。3He及び129Xeのような一定の希ガス核を含むその他の核は、原理的にはNMRによって試験するために適している。しかし、これらの同位体類の低相対天然存在度、それらの小さな磁気モーメント、及びその他の物理的因子のために、これらの核のNMR試験の遂行はたとえ不可能でなくても困難であった。
NMRによる希ガス核の試験における1つの重要な問題は、それらが標準的には極めて低いNMR信号強度しか産生しないという点にある。しかし、3He及び129Xeのような希ガス類のスピン分極は天然レベルより上に増大させることができる、即ちこれらの同位体類の集団を人工的に「超分極(hyperpolarized)」させてはるかに大きなNMR信号を生じさせることができることは知られている。1つの好ましい超分極法はスピン交換超分極として知られている。この方法を詳細にではなく述べると、この概要では希ガスは適切な波長のレーザーエネルギーの吸収によってそれ自体が分極させられているルビジウムのようなアルカリ金属蒸気との相互作用によって超分極される。分極されたルビジウムは、スピン交換転移として知られている現象を通してその分極を希ガスへ移行させる。最終結果は、希ガスが「超分極」される、即ち他の方法によるよりはるかに高度に分極される。スピン交換超分極法の基礎になる理論の詳細は文献から入手できる。
スピン交換超分極は理論的現象としては明瞭に確立されているが、これを実践するには相当に高度の技術を必要とすることが証明されている。超分極された希ガスの製造及び取扱いは論理的に困難であるだけではなく、費用が高い。さらに、スピン交換に関する研究はまだ実験的段階であるため、超分極された希ガスの製造は標準的には小規模でしか実施されていない。典型的には、レーザー、エレクトロニクス、ガラス吹込成形、超高真空ポンプ操作、高純度ガスハンドリング並びに核磁気共鳴分光学を含む様々な分野の専門家を包含した精巧な技能が必要とされる。
例えば、単一サンプルの超分極された希ガスの製造には、典型的にはたった数十から数百立方センチメートルの容積しかないディスポーザブルのシールド・ガラスセルの製造が含まれてきた。そうしたセルは製造において精密さを必要とし、希ガスを減極する傾向によって測定されるようなそれらの品質はまだ必ずしも予測可能にはなっていない。さらに、スピン交換のためのそうしたセルの使用には、セルをそれらの中に存在するアルカリ金属と一緒に密閉することを必要とする。これは、金属の酸化及びその結果としてのセルの破壊を惹起する可能性のある不純物を除去するために細心の注意を払わなければならないことを意味する。その他の問題は、希ガスが分極されるよりも速く希ガスを減極する可能性のあるガラス自体の中で発生する。核磁気共鳴(NMR)法により分極された希ガスを試験するためには、NMR分光計内に超分極されたガスを放出させるためにシールドセルが開封又は破壊されなければならない。次のサンプルに進行するには、新規のガラスセルを加工して充填することを含めたこれらのステップ全部を繰り返す必要があり、これは類似の品質を有しているかも、或いは有していないかも知れず、その結果として長々としたし時に予測不可能な方法となる。
Middletonは初めて、スピン交換法による超分極のために相当多量の希ガスを含有することのできるシールドセルを製造する可能性を確立した。Middleton H., The Spin Structure of the Neutorn Determined Using a Polarized 3He Target. Ph. D. Dissertation, Princeton University,(1994)。それでも、この出版物に記載された方法の信頼性が日常使用に適しているとは証明されておらず、未だにサンプル間変動性が問題として残っている。さらに、本文献においては重大な修復を行わずに連続的又は流れ方式で使用することのできる再充填可能なセルを製造する方法については何ら開示されていない。従って、セル製造における進歩は見られたが、現行技術はまだ再充填可能又は連続流れ方式のスピン交換ポンピングセルを製造するための手段は提供していない。
Beckerら,Nucl. Inst. & Meth. in Phys. Res. A, 346:45-51(1994)による出版物は、明白に相違する、準安定交換として知られている分極法によって超分極された3Heを製造する方法を開示している。このアプローチは、極めて低い圧、即ち約0.001atm〜約0.01atmの3Heを必要とし、アルカリ金属の使用を包含していない。超分極されたガスの多量の集積は、非常に大きなポンピングセル(即ち、長さ約1メートル)を使用し、その後さらにガスを有用なレベルまで圧縮する必要性によって制限されている。Beckerら.の出版物は、ガスをほぼ大気圧まで圧縮するためにチタン製の大容量圧縮装置を使用する、上首尾が得られるが技術的には困難なアプローチを開示している。あいにくなことに、そうしたシステムの製造及び操作は極めて高度の工学的技術を必要とし、ルーチンベースでのシステムの再現性及び操作性を制限する。Beckerら.によって記載された装置はさらに、非常に広い床面積を必要とし、移動させるのが不可能である。Beckerらの論文はさらに、ポンピングセルにおいてアルカリ金属を使用することを回避しており、スピン交換により超分極された希ガスを製造する方法は全く開示していない。従って、Beckerらの論文は、アルカリ金属が使用されているポンピングセルを製造する際の複雑さを解決していない。その結果として、この出版物はスピン交換による任意に多量又は少量の超分極された希ガスの製造及び送出に関する方法又は装置を全く開示又は提案していない。
近年、超分極された希ガスは核磁気共鳴イメージング(MRI)法によって画像描出できることが証明された。米国特許出願連続番号第08/225,243号を参照の事。さらに、集団としての希ガスは不活性かつ非毒性であるので、超分極された希ガスをヒト及び動物の被験者(体)のMRI試験に使用できることが発見された。その結果、多量の超分極された希ガスの生成に対する必要性が増大している。さらに、医学的及び獣医学的問題から、ガスの純度及び超分極量における制御された一様性及び確実性が重要になってきた。同様に、上記の実験室技術についてほとんど又は全く特殊な研修を受けていない技術者であってもMRIを受ける被験者へ個別に又は連続的に超分極された希ガスサンプルを提供できるように、臨床環境において使用するための、これら超分極されたガスの便宜的かつ確実な生成への要求が高まってきた。
上記の考察から見て、現行技術において使用されている装置及び方法が数々の点で制限されていることは明白である。例えば、現行技術はスピン交換分極チャンバ(セル)がいったん使用された場合にこれを再充填するための実際的手段は全く提供していない。ほとんどの現行チャンバは初回充填後に永久的に密閉されるか、若しくはせいぜい不十分な成績が得られた場合に再充填されるかのいずれかである。従って、材料及び人員の費用を削減できるように、同一チャンバにおいて連続流れ方式でポンピングチャンバを効率的に再充填するため、又は光学的にポンピングするための手段を開発することは有益であろう。
さらに、以前に使用された永久的に密閉されたセルに対する上首尾の充填さえ有意に相違するシステムによって遂行された。これまでは、高品質分極チャンバを充填するために十分に清潔な装置を製造するためには、無潤滑式ポンプ若しくはクライオトラッピングされたオイル含有ポンプのいずれかを備えた高価な超高真空システムが必要とされた。そうしたシステムは高価で(約3万ドル)、余りコンパクトではなく(底面、3フィート×6フィート)、さらに研修を積んだ真空技術者による高度の保守を必要とする。そこで最小限の保守しか必要とせず、特殊な真空テクノロジーの知識を持たずに操作することのできる新規システムが望ましいであろう。同様に、臨床環境ではもっと使い易い寸法のシステムが有用であろう。
さらに、これまで連続方式で超分極されたガスを製造するための実際的方法はなかった。各スピン交換超分極法を実施するためには、新規の密閉されたサンプルが調製され、超分極装置内に導入されなければならなかった。このため、流れている希ガスの連続式超分極のための手段を提供するためにはこの制限を克服するシステムを開発することが望ましいであろう。
超分極されたガスを製造するためのシステムはこれまで又極めてかさが大きく、標準的にはそれらを据え付けるための個別の部屋を必要とした。そうしたシステムは輸送不可能である。従って、使い易い超分極装置があれば有益であろう。又輸送可能なシステムがあればスペースが決定的問題であるような状況で有用であろう。
又、任意量(大気圧で数リットルのガスまで)の個々別々の量で後に配分するために実質的な量の超分極された希ガスを貯蔵するための都合の良い方法は以前にはなかった。超分極された希ガスの連続的集積のため、並びに実質的な量の超分極を維持しながら必要に応じて超分極されたガスを貯蔵及び制御放出する装置を提供するためにこの限界を克服することは重要であろう。
発明の要約
従って、本発明の結果として、超分極された希ガス類を製造するための改良された装置及び方法が提供される。特に、磁気共鳴イメージングにおいて使用するための多量で高純度の超分極希ガスを製造及び送り出すための自給式装置が提供される。
1つの実施態様においては、本装置は、好ましくはキセノン129若しくはヘリウム3である流れている希ガスを実質的に以前に可能であったより多量に超分極させることのできる高容量超分極装置を含んでいる。本超分極装置は、流れている希ガスを連続式又はバッチ方式で超分極させるための手段を含んでいる。例えば、希ガスは流速が核の実質的分画が分極チャンバ内の通過中に超分極されることを許容するような連続方式で超分極装置の分極チャンバ中を流してよい。この連続式流動アプローチは、特に129Xeのような相当に短い分極時間を有する希ガスに良好に適している。或いは又、半連続アプローチでは、個別容量での希ガスの超分極を可能にするために希ガスの流れを分離又は一時的に中断することができる。この半連続方式では、ある量若しくは容積の希ガスが分極チャンバにおいて超分極され、その後に別個の量又はパルスの希ガスを送達するために流れが再開される。同様に、次の流れているガスを希ガスの個別的若しくは定期的パルスを提供するために処理することができる。ヘリウム3は相当に長い、即ち数時間までの分極時間を有しており、好ましくはこの個別的な流動のアプローチを用いて分極される。
本装置においては、分極チャンバは、連続式又は半連続式ベースのいずれかで希ガスを通過させる。従って、相当に多量の超分極された希ガスの生成が各分極毎の新規の超分極セルを製造する必要によって妨げられたり又は制限されることがない。
もう1つの実施態様においては、本発明の超分極装置は、さらに超分極された129Xeを連続方式又は半連続方式で集積させるための手段を含んでいる。このシステムは、超分極されたキセノンが分極チャンバからクライオトラッピング・リザーバを通って流され、冷凍キセノンとして効率的かつ選択的に捕捉されることを可能にする。アキュムレータは、キセノンがリザーバ内を流れて以前に堆積したキセノンの一番上に堆積するようにし、それによってキセノン氷が集積される。超分極された129Xeの固体形は気体形よりはるかに長い分極寿命を有しているので、アキュムレータは貯蔵装置として機能することができ、後の時点に使用するための多量の超分極されたガスが集積される。
本発明はさらに、129Xeの混合ガスが超分極される、希ガスを超分極させる方法を含んでいる。混合ガスは少量のキセノン、少量の窒素若しくは水素のような蛍光クエンチガス、及び多量のバッファガスを含んでいる。これまでは、高分圧のキセノンの超分極が期待されるほど効率的ではない、つまり高圧のキセノンは非常に強力にアルカリ金属を減極することによって自身の超分極を阻害する可能性があることが観察されていた。従って低圧での超分極が必須基準であった。しかし、本発明に従ってキセノン超分極の効率を改良した新規方法は、レーザーエネルギーの吸収を拡大するためにバッファガスを使用することを含んでおり、それによって超分極プロセスの効率を強化している。1つの好ましいバッファガスはヘリウムであるが、水素も又使用することができる。従って、本発明は一定のクエンチガスは、クエンチガスが高圧の場合にはアルカリ金属蒸気の減極を誘発するという問題を解決するためにクエンチガスとは相違するバッファガスの使用を含んでいる。従って、好ましい混合ガスは、少量の129Xe、少量の蛍光クエンチガス、及び残余のヘリウムを含んでいる。より好ましくは、混合ガスは約0.1%〜約5%までの129Xe、約0.1%〜約30%までの窒素若しくは水素のようなクエンチガス、及び残余のヘリウムを含んでいる。さらにより好ましくは、混合ガスは約1%の129Xe及び約1%の窒素を残余のヘリウムとともに含んでいる。或いは又、混合ガスは水素がクエンチ及びプレッシャーブロードニング機能を実行する場流れているの残余の水素とともに約0.1%〜約5%の129Xeを含んでいる。
従って、本発明は流れている希ガスを超分極させるための方法を提供する。本発明は、
a)希ガスを含んでいる標的ガス(target gas)をポンピングチャンバを通して流すことと、
b)アルカリ金属原子とのスピン交換によってポンピングチャンバ内の流れている希ガスを超分極させることと
を含み、流れている超分極された希ガスを提供する方法である。
本方法は好ましくは標的ガス(target gas)をポンピングチャンバを通してアルカリ金属と希ガスの原子間のスピン交換時間τSEの約0.5〜5倍の希ガスの平均原子滞留時間を生じさせる速度で流すことを含んでいる。さらに好ましくは、流速はアルカリ金属と希ガスの原子間のスピン交換時間τSEの約1〜3倍の希ガスの平均原子滞留時間を生じさせる。
本方法は、標的ガスが超分極中に連続的にポンピングチャンバを通って流れるように実行することができる。本方式は相当に短い分極時間を有する129Xeのような希ガスのために好ましい。或いは又、本方法は多量の希ガスの超分極を許容するために一時的に流れを中断(減少若しくは停止)させてポンピングチャンバ内の個別量の標的ガスを分離させることができる。ガスの流れは、いったん望ましい量の希ガスが望ましい程度に超分極されたら回復若しくは増量される。より長い分極時間を有する3Heのような希ガスは好ましくはこの方式を用いて分極される。個別的又は定期的アプローチにおいて、本方法は、半連続流動送給するために2種以上の別個の量の超分極された希ガスを提供するためには好ましくは少なくとも2度実施される。
本発明の方法は、アルカリ金属原子とのスピン交換によって希ガスを超分極させることを含んでいる。好ましいアルカリ金属は、好ましくはルビジウム85及び/又はルビジウム87を含有するルビジウムである。ルビジウム原子は129Xe及び3Heを分極させるために適していることが発見されている。しかし他の用途では、セシウム(129Xeにとって好ましい)若しくはカリウム(3Heにとって好ましい)も又適切な場合がある。その他のアルカリ金属も又必要に応じて使用することができる。
希ガスは、好ましくは核スピンを有している分極可能な量の希ガス同位体を含有している。好ましい希ガスは、129Xeを含むキセノン及び3Heを含むヘリウムを含有している。その他の希ガスは必要に応じて使用することができる。好ましくは、非ゼロスピンを有する同位体が少なくとも天然同位体存在度で希ガス中に存在している。濃縮希ガス類、即ち天然で発見されるより実質的に大きな割合の適切な同位体を有している希ガス類がより好ましい。特にヘリウム3は、ヘリウム中で濃縮を必要とするほど低い(即ち、10-6)天然存在度を有している。有用な量の3He(例、少なくとも約10%、好ましくは約50%を越える3He)はトリチウムの放射性壊変によって産生する3Heを捕獲することによって入手することができ、100%までの3Heを含有するヘリウムガスは市販で入手可能である。
好ましい態様では、標的ガスは希ガスだけではなく、さらに超分極中にアルカリ金属原子による蛍光を抑制するように作用するクエンチガスを含んでいる。好ましいクエンチガスは窒素ガス(N2)及び水素ガス(H2)を含んでいる。
特に好ましい方法は、希ガスが129Xeを含有している標的ガスを使用するこを含んでいる。この場合には、標的ガスはクエンチガス並びにアルカリ金属原子が適切な超分極放射線を吸収する光吸収スペクトルのプレッシャーブロードニングを誘発するバッファガスを含有している。高度の好ましいバッファガスは実質的には4Heであるヘリウムである。したがって、本実施態様に従った有用なバッファガスは少量の129Xe、クエンチガスとしての少量の窒素若しくは水素、及び多量のヘリウムを含有している。より好ましくは、標的ガスは約0.1%〜約5%の129Xe、約0.1%〜30%のクエンチガスをヘリウムである残余とともに含有している。さらに又より好ましくは、標的ガスは約1%の129Xe、約1%の窒素をヘリウムである残余とともに含有している。従って、本発明はクエンチガスとバッファガスとが相違する3種からなる標的ガス類を含有している。しかし、標的ガスはクエンチガス及びバッファガスの両方として水素を含有することができ、例えば約0.1%〜約5%の129Xeを残余の水素とともに含有することができる。
もう1つの実施態様では、本超分極法は、さらにポンピングチャンバから流れている超分極された希ガスを集積させることを含る。3Heの場合は多量の3Heを(大気圧以上で)ガス貯蔵リザーバ内に集積させることができる。129Xeの場合は、好ましい集積手段は標的混合ガス内に最初に存在しているクエンチガス及びバッファガスのような他のガス類の集積を制限しながら、ガスの通過を許容して冷凍形での129Xeの集積を生じさせるクライオトラッピング・リザーバを含んでいる。
本方法は有益には高圧若しくは大気圧以上の条件下で希ガスを流すことを含んでいる。好ましくは、ガスは約1atm(気圧)〜約30atmの圧で流される。現在の好ましい圧は約10atmである。
特に有益なアプローチにおいては、ポンピングチャンバを通して流される希ガス(又は標的ガス)は超分極プロセスを妨害する可能性のある不純物を実質的に含有していない。従って、アルカリ金属反応性不純物のような不純物及びさもなければポンピングチャンバ内の固相上へのアルカリ金属の堆積を惹起するであろう不純物は除去されなければならない。同様に、特に3Heの場合には、希ガスを減極する可能性のある不純物が除去されなければならない。好ましくは、精製手段は超分極法前のガス製造若しくは混合中に導入される水蒸気及び酸素のような不純物を除去する(例、ゲッタで取り除く)。
本発明の超分極法は、プロセスの効率を高めるためにポンピングチャンバ及びその内容物を超分極中に加熱することによって強化される。さらに、本プロセスの様々な態様及びパラメータ類は、標準的にはコンピュータを含む中央制御手段によって適切に監視及び制御される。
1つの好ましい実施態様では、本発明はさらに標的ガス中の129Xeを超分極させる方法を提供する。標的ガスは、129Xe、並びに分極中にアルカリ金属原子の蛍光をクエンチするためのクエンチガス、及びアルカリ金属原子の光吸収帯をプレッシャーブロードニングするためのバッファガスを含んでおり、そして超分極はアルカリ金属原子とのスピン交換によって129Xeの超分極を誘導し、それによって超分極された129Xeを提供するために十分な条件下で実施される。バッファガスとクエンチガスは好ましくは相違している。好ましくは、クエンチガスは窒素若しくは水素である。バッファガスは好ましくはヘリウム若しくは水素である。より好ましくは、標的ガスは約0.1%〜約5%の129Xe、約0.1%〜約30%のクエンチガスをヘリウムである残余とともに含有している。さらにより好ましくは、標的ガスは約1%の129Xe、約1%の窒素をヘリウムである残余とともに含有している。
またもう1つの実施態様では、本発明は流れている希ガスを超分極させるための装置を含んでいる。本実施態様では、本装置は、
a)流れている希ガスを送給できるようになっている標的ガス送達システムと、
b)アルカリ金属原子とのスピン交換によって流れている希ガスを超分極させるためのポンピングチャンバと、
c)ポンピングチャンバ内の流れている希ガスを超分極させるための超分極手段と
を含んでいる。
本実施態様における標的ガス送給システムは、好ましくは希ガスをポンピングチャンバ内を通して流す前に希ガスを圧縮下で保持することのできるガス容器を含んでいる。高圧ガスボンベ若しくはガス容器又は他のそうした器具をこの目的に使用することができる。さらに、本送給システムは高圧条件下で標的ガスを送給できなければならない。標的ガス送給システムの残りの部分は、好ましくはガスを約1atm〜約30atm、より好ましくは約10atmの高圧条件下で保持するために密閉されている。実際に、導管及び弁に接続されているポンピングチャンバを含む本発明の装置のガスに接触する全ての部分は、好ましくは約1atm〜約30atmの高圧のガス圧を使用して操作可能でなければならない。標的ガス送給システムはさらに又、ガスがポンピングチャンバ内に流される前に好ましくはアルカリ金属反応性不純物及び減極性不純物のような不純物を標的ガスから取り除くための手段を含んでいる。
本装置におけるポンピングチャンバは、好ましくは超分極放射線、つまりアルカリ金属原子とのスピン交換により希ガスの分極を可能にするために十分な波長及びエネルギーの放射線を受け入れられるよう。従って、少なくとも1ヶ所の照射窓がポンピングチャンバ内に含まれている。照射が2ヶ所以上の位置若しくは方向から実施される状況においては、追加の照射ポートを含めることができる。
本装置はさらに、ポンピングチャンバから流れている分極された希ガスを受け入れることができる受入れリザーバを含むことができる。129Xeのためには、高度に好ましい受入れリザーバは冷凍状態で129Xeを集積させるためのクライオトラッピング・アキュムレータを含んでいる。
1つの好ましい実施態様では、本装置は超分極中にポンピングチャンバを通過する標的ガスが連続的に流れるように構成されている。或いは又、本装置は超分極中にポンピングチャンバ内の別個の量の流れている希ガスの制御可能な分離を可能にしなければならない。例えば、本装置は必要な場合に流れの再開若しくは増大を可能にしながら、流れを一時的に減少又は中止させるように流速の制御を可能にするために弁を取り付けることができる。
本装置は、アルカリ金属と希ガスの原子間のスピン交換時間τSEの約0.5〜約5倍、より好ましくは約1〜約3倍のポンピングチャンバにおける希ガスの平均原子滞留時間を生じさせるために十分な速度でポンピングチャンバを通して標的ガスを送球できるようになっていなければならない。
本発明の装置における超分極手段は、好ましくはルビジウム、セシウム又はカリウムのようなアルカリ金属原子とのスピン交換によって希ガスを超分極させるために十分な放射線をポンピングチャンバ内に送給することのできるレーザーシステムを含んでいる。従来型のレーザーは本発明に適しているが、レーザーシステムが少なくとも1つのレーザーダイオードアレイを使用することが好ましい。本発明に従った1つの好ましい装置においては、レーザーシステムは単一光軸に沿って対向する配置にある2つのレーザー源を含んでおり、両方のレーザーからの放射線を受け入れることができるポンピングチャンバを備えている。2つのレーザー源は各々、好ましくは少なくとも1つのレーザーダイオードアレイを含んでいる。二次元の、若しくは積重ねレーザーダイオードアレイが好ましく、ポンピングチャンバ内に実質的な出力を送給することができる。これらの実施態様のいずれかのレーザーシステムは、好ましくは視準する、さらにより好ましくはレーザーシステムから放出された放射線を集束するための放射線集束手段を含んでいる。そうした集束手段は好ましくはフレネルレンズを含んでいる。
ポンピングチャンバ自体は、レーザー源からの放射線を超分極させることを許容しなければならない。チャンバの好ましい構造は円錐形若しくは先端の切られた円錐形(切頭円錐形)構造を含んでいるが、一定の形状では円筒状セルが適合する。好ましくは、超分極法の効率を最大化するために、チャンバはチャンバ内及びその内部を通しての光の送給を最大化するようにレーザーシステムと結合して設計されている。
その他の装置は、有益にはレーザーシステム及びポンピングチャンバと統合されている。例えば、本装置は好ましくはさらに超分極法中にポンピングチャンバを加熱するための加熱手段も含んでいる。さらに、本装置は望ましくはNMR旋光計によるようなポンピングチャンバ内における超分極を監視するための手段も含んでいる。さらに、ポンピングチャンバは好ましくは蛍光観察窓、並びに蛍光観察窓を通して蛍光を監視するための蛍光監視手段を含んでいる。
さらにその上、連続的流動システムにおいては、本装置は好ましくは超分極プロセスの良好な効率を保持するために流れている標的ガス中の十分なアルカリ金属蒸気密度を提供するためにアルカリ金属気化器を含んでいる。さらに、ポンピングチャンバは、望ましくは超分極後に通常は流れているガスと一緒にチャンバから排気されてしまう可能性のあるアルカリ金属蒸気を回収するためのアルカリ金属還流手段を装備している。気化器及び還流手段は、ポンピングチャンバを通してのアルカリ金属蒸気の連続的な再循環を行うために一緒に作動することができる。好ましい場合においては、本装置は超分極法中に十分なアルカリ金属蒸気密度の保持を可能にするために多量のアルカリ金属を含有している。
もう1つの実施態様では、本発明は希ガス、最も好ましくは3Heを超分極させるための装置を提供するが、その装置は、
1)超分極放射線を送給することのできるレーザーシステムと
2)超分極法の制御及び監視を可能にするコンピュータシステムと
を含んでなる超分極手段と、
1)希ガス、好ましくは3Heを含有している標的ガスを高圧で保持及び送給するための標的ガス送給システム、及び
2)標的ガス送給システムと流体連絡しているポンピングチャンバと
を含んでなる交換可能な分極ユニットと
からなっている。
本実施態様では、交換可能な分極ユニットは、希ガスの超分極のためにレーザー源からの光エネルギーをポンピングチャンバ内に伝達するためにポンピングチャンバが配向されるように該ユニットが超分極手段と組合わさっており、一緒に作動できるような形状に作られている。好ましくは、本装置は希ガスとアルカリ金属の原子間でのスピン交換によって超分極を生じさせることができるようになっている。。
交換可能な分極ユニットを含んでいる本装置の1つの望ましい特徴は、多量の標的ガスをポンピングチャンバ内に流れさせることができ、多量の希ガスを超分極させることができ、その後に必要に応じて、例えばMRIを受ける患者に多量のガスを流動送給できるように超分極手段から分極ユニットを取り除くことができる点である。直ちに、他の交換可能なユニットを超分極手段内に据え付けて、別の多量のガスの流動超分極を開始することができる。この操作モードは特に、相当に長い分極時間を必要とする3Heについて望ましい。
さらにもう1つの実施態様においては、本発明は、流れている希ガス、最も好ましくは3Heを超分極させるときに使用するための装置であって、希ガスが通過できるようになっており、流れている希ガスを超分極させるために放射線を超分極させることを可能にするポンピングチャンバを含む取り外し可能な分極ユニットを含む装置である。本実施態様における分極ユニットは、分極ユニットがそれと組み合わされているときにポンピングチャンバ内に超分極放射線を送給することのできるレーザーシステムを含む超分極システムと取外し可能に組合わさっていて一緒に作動するようになっている。本実施態様に従った装置は好ましくは希ガスのスピン交換超分極を可能にする。
本発明の本実施態様はさらに、取外し可能な分極ユニットがさらに超分極されるべき希ガスを含んでいる標的ガスを保持してポンピングチャンバを通して流すための標的ガス送給システムを含んでいる装置を提供する。標的ガス送給システムは好ましくは、超分極されるべき希ガスを含んでいる標的ガスを含有している。
さらに本実施態様では、ポンピングチャンバはさらに超分極法中にアルカリ金属蒸気を保持するために十分な量のアルカリ金属を含むことができる。
本明細書のいずれかに記載されている本発明の装置のその他の特徴は本実施態様に統合することができる。例えば、本装置はさらにポンピングチャンバを加熱するための加熱システムを含んでいる取外し可能な分極ユニットを含有することができる。同様に、標的ガス送給システムはさらにポンピングチャンバを通して標的ガスを流す前に標的ガスからアルカリ金属反応性不純物を取り除くための標的ガス精製装置を含むことができる。アルカリ金属気化器手段及び還流手段も又含めることができる。
標的ガス送給システムの素子を含む分極ユニット及び分極チャンバは、好ましくは標的ガスが高圧下、例えば約1atm〜約30atmの条件下で操作可能である。
本発明はさらに、もう1つの実施態様において下記を含む、流れている希ガス、好ましくは3Heを超分極させるための装置であって、流れている希ガスの超分極を可能にするために十分な超分極放射線を送給するためのレーザーシステムを含む超分極システムを含んでいる装置である。
本実施態様では、超分極システムは希ガスを通し、さらに分極ユニットがそれに組合わさっているときにポンピングチャンバ内へ超分極放射線を送球できるようになっている汎用ポンピングチャンバを有する取外し可能な分極ユニットと一緒に取外し可能に組合わさって一緒に作動するようになっている。超分極システムは好ましくは希ガスのスピン交換分極を可能にする。
超分極システムは好ましくはさらに超分極監視システム、例えば超分極法の状態を監視するためのNMR旋光計システムを含んでいる。さらに、本システムはそうしたユニットがそれと組合わさっている取外し可能な分極ポンピングチャンバを加熱するための加熱システムを含むことができる。
このタイプの超分極システムはさらに、流れている分極された希ガスを集積させるためのリザーバ手段を含むことができる。この場合は、アキュムレータは取外し可能な分極ユニットがそれと組合わさっているときにポンピングチャンバとの流体連絡ができるようになっている。リザーバ手段は好ましくは標的ガスの通過を許容する。3Heを含有している好ましい場合においては、リザーバは超分極3Heの高圧集積を許容する。或いは又超分極された129Xeは超分極された129Xeガスの選択的クライオトラッピングによって冷凍形で集積させることができる。
さらに本実施態様では、レーザーシステムは少なくとも1つの、そして好ましくは2つのレーザー源を含んでいる。2つのレーザー源が用意されている場合は、それらは好ましくは分極ユニットが超分極システムと組合わさっているときに超分極放射線を反対方向からポンピングチャンバ内に送り込むことができるように単一光軸に沿って対向する位置に配置される。使用されるレーザー源が1つ以上であれば、各レーザー源は少なくとも1つのレーザーダイオードアレイを含んでいることが好ましい。本発明に従った他の装置を使用した場合と同様に、2以上のレーザーダイオードアレイが使用された場合は、それらは好ましくは積み重ね配置で保持される。
本発明のこれらやその他の長所は下記に記載する詳細な説明及び実施例から明白になるであろう。詳細な説明及び実施例は本発明の理解を強化するが、本発明の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
本発明の好ましい実施態様は図解及び説明の目的で選択されており、いかなる点においても本発明の請求の範囲を制限することは意図されていない。本発明の一定の態様の好ましい実施態様を下記の添付の図面において示す:
図1は、本発明に従った超分極装置の一般的形状を示したブロック図である。
図2は、本発明に従った流動超分極装置及びアキュムレータ装置を示した略線図である。
図3は、一定の関連装置を含めた、本発明に従った連続的又は個別的流動分極セルの略線図である。
図4は、本発明に従った単独及び二重レーザーシステムの構造を示している、本発明の超分極装置の略図である。
図5は、本発明に従った輸送可能な超分極装置システムの略図である。
図6は、本発明に従った取外し可能な分極ユニットの略図である。
発明の詳細な説明
一般的に述べると、図1は本発明に従った多量の流れている超分極された希ガスを発生させて集積させるために有用な統合超分極装置システムのブロック略図を示している。図1では、超分極装置ユニットは、それを通って流れている分極されたガスを必要に応じてイメージング試験のために送給することのできるMRIガス送給サブシステムを含む数種の主要サブシステムを含んでいることが示されている。
図に示されているポンピングチャンバは、その中でアルカリ金属の光ポンピング及びアルカリ−希ガスのスピン交換が発生するチャンバである。最初は、分極されていないガスが高純度ガスハンドリングサブシステムから進入し、超分極されたガスを集積させる分極ガス貯蔵チャンバへ流出する。
ガスハンドリングサブシステムは、超分極プロセスのために必要とされるガスを発生させ、及び/又はガス純度を保持しながら、分極チャンバへのガスの適正な供給を提供する。
分極チャンバ内で分極された後は、超分極されたガスは分極ガス貯蔵チャンバ内に流入することができ、その場所で集積されて使用時まで貯蔵される。分極チャンバ及び分極ガス貯蔵チャンバは一般的にはガス分極を保持するように注意深く準備されなければならず、さらに不活性バッファガスから超分極された希ガスを分離するために機能する場合もある。必要な場合は、超分極されたガスはこのチャンバからMRI送給サブシステムへ流される。
図1に示したMRI送給サブシステムは、分極ガス貯蔵チャンバ又は直接に分極チャンバからのいずれかからの超分極されたガスで被験者を呼吸させるために必要な全ての装置を包含している。これは様々な望ましい機能を実施するための、好ましくは圧調節、ウイルス濾過(HEPAその他)、酸素を含むためのガス混合、適切なMR適合呼吸マスクその他を含有する器具及びシステムを含むことができる。典型的には、吐き出された空気は同一マスクによって収集され、ガス回収サブシステムへ向けられる。一被験者に使用された後、ガスはその後に使用するために再循環させることができるようにガス回収サブシステムによって収集される。収集されたガスは精製及び/又は殺菌のために中央再プロセス場所へ定期的に輸送することができる。
図1に示されている旋光計サブシステムは分極チャンバ又はガス貯蔵チャンバ内のガスの分極のレベルを監視する。
同様に図1に示されているように、レーザーサブシステムは光ポンピングプロセスのために必要な光子(超分極放射線)を供給する。本システムの出力ビームは分極チャンバ内に向けられる。
制御サブシステムは、統合コンピュータソフトウエア、及び様々なサブシステムにおいて発生する種々のプロセスを制御及び監視するハードワイヤード・サブシステムである。
図2は、本発明に従って多量の流れている超分極希ガスを精製及び集積させるために有用な統合超分極装置システムを幾分より詳細に具体的に示している。
図2では、レーザーダイオードアレイ1は約100W〜約500Wの出力を有しており、アルカリ金属原子によって吸収されるために適した波長λの放射線を放出する。波長拡張量Δλは、約95%以上の線形分極を伴って約2nm FWHMである。波長における大きな拡張のために、このタイプのレーザーは本書では「広帯域」レーザーと呼ぶ。もう1つの実施態様においては、セル4及び光学診断システム10の適切な再設計を行うことにより、ポンピングセル4の両側からポンピングする2つのレーザーを使用することができる。
非球面フレネルレンズ2(標準的にはプラスチック製)はほとんどの光をダイオードレーザーアレイ1から光ポンピングセル4内へ差し向ける。ダイオード表面の画像は光ポンピングセル4の末端のすぐ上方で形成される。フレネルレンズは安価で現在利用可能なダイオードレーザーアレイに良好に適合しているが、現在利用可能なものより高度の固有の明るさを有するようになる可能性のある将来のレーザーには別の光学素子がより適切となるかも知れない。
1/4波長板3はダイオードレーザーアレイから線形に分極された光を円形に分極された光に転換する。図示されているように、プラスチック製1/4波長板はレンズ及び波長板の加熱が問題とはならないようにレーザービームが大きく拡張されるフレネルレンズ2をちょうど過ぎたところに配置されている。既に高度に線形に分極されているレーザー1からの光は、天然線形分極が不十分な場合は1/4波長板3に到達する前に線形分極装置(図示せず)を通過することができる。
光ポンピングセル4は、前混合ガスタンク11と結合して下記で説明されるように、飽和アルカリ金属蒸気、例えばRb又はCs及び129Xe、N2及びHeの至適混合ガスを備えて図示されている。セル4は、レンズ2からの集束光を受け入れるために先の切断された円錐形を有している。出口パイプ6からの還流アルカリ金属はセルを通して滴下し、気化器5に収集される。セル及び関連パイピングは、標準的には約1atm〜約30atmの高圧の前混合ガスに耐えられなければならない。セル内の高いガス圧はダイオードレーザーからの十分な広帯域光吸収を許容するために重要である。
気化器5は、この場合は、ガスがセル内に進入する前に流れている混合ガスにアルカリ金属蒸気を付加するためにポンピングセル4の上流に備えられている。気化器5は、銅若しくはその他の非磁性金属若しくは液状アルカリ金属によって容易に湿らされる焼結金属からできたしわのよったワイヤー(例、金属製スポンジ)から製造することができる。気化器5は液体アルカリ金属と一緒に浸漬させられ、適切な材料のレセプタクル内にガスへの蒸気の十分な負荷を保証する大きさに詰め込まれる。ガスの流速度、ガスが通過する距離、及び「スポンジ」の孔径はガスが光ポンピングセルに進入する前にアルカリ金属蒸気で完全に飽和することを保証するように調整される。気化器は、しばしば光ポンピングセル内でのガスの蒸気による不十分な飽和を惹起する光ポンピングセル内のアルカリ金属的の小さな表面積の問題を除去する。
希ガスにアルカリ金属蒸気を負荷するためにその他の手段を使用できることを述べておかなければならない。例えば、分極チャンバ内へ注入する前に比較的に静的な量のガスへアルカリ金属蒸気を供給するための手段を有する混合チャンバを使用することができる。そうしたアプローチは、流れが調整若しくは中断されるシステム及び方法においては有益であろう。
図2に示されている気化器5は、セルから実質的に垂直方向に離れる還流用排気パイプ6からの濃縮アルカリ金属の重力流動によって補充される。還流用排気パイプ6はセルから排気されたガス中のアルカリ金属蒸気がパイプ壁上で濃縮されることを惹起する。寸法及び流速はほとんどのアルカリ金属が重力流動によって、場合によっては気化器へ戻ることによって光ポンピングセル内に滴り戻ることを保証するように調整される。従って、気化器及び還流コンデンサは一緒に、本発明に従った流動超分極装置のための再循環式アルカリ金属供給システムとして機能する。
例えば電荷結合デバイス(CCD)カメラ及び適切なフィルターを含む蛍光監視検出器7は、光学的にポンピングされるアルカリ金属蒸気からのクエンチされていない弱いD2蛍光を観察するために備えられている。蛍光監視配置はセルの両側からポンピングする2つのレーザーと一緒に使用するために調整することができる。
絶縁窓8は、ポンピング光がオーブン9及び光ポンピングセル4に進入することを許容するように備えられている。この窓及びその他の光伝達表面は反射防止コーティングを備えることができる。蛍光モニター7及び光学マルチチャネルアナライザ(OMA)10のためにも同様の窓が備えられている。
オーブン9は、ダイオードレーザーからの有用な光のほとんどを吸収するために適切な温度で光ポンピングセルを維持するために備えられている。ルビジウムのための標準的な操作温度は約100℃〜約200℃である。より容易に揮散させられるセシウムに対してはこれよりいくらか低い温度が適切である。オーブンは流れている高温空気によって、又は内臓されている非磁性電気加熱器によって加熱することができる。
光学マルチチャネルアナライザ(OMA)10は、広帯域ダイオードレーザーアレイからの光の吸収の効率を測定する。セルが両側からポンピングされる場合は、相違するOMAの配置が必要とされる。本発明の装置において使用するために適したOMAシステムは市販で入手可能である。
高圧タンク11は、前混合された標的ガスを数百気圧に保持するために含まれている。好ましい標的ガスの部分圧による構成要素は次の通りである:
a.光ポンピングセル4内での超分極及びキセノンアキュムレータ17における集積のための約0.1%〜約5%の129Xe(若しくは少なくともほぼ天然同位体組成のキセノン);
b.光ポンピングセル4内で蛍光をクエンチするための約1%〜約3%のN2。N2ガスに比較してH2ガスにおけるアルカリ金属原子のより小さなスピン減極断面積を利用するために、N2の代わりにいくらか高い部分圧(例、約1%〜約30%)でH2が使用されてもよい;
c.ガスの残余は、光ポンピングセル4内のアルカリ金属原子の光吸収線のプレッシャーブロードニングのためのバッファガス、好ましくはHeである。HEガス圧は、キセノンに比較してほんの僅かなスピン減極を誘発することを保証するように調整される。標的ガスへのクエンチング及びプレッシャーブロードニング特性を与えるためにその他の混合ガスが使用されてもよい。
圧調整装置12は、貯蔵タンク11内の極めて高圧の前混合ガスを光ポンピングセル4に適切な圧へ低下させるために使用される。これは標準的には、広帯域レーザー光の至適使用のためにどの程度のプレッシャーブロードニングが必要とされるかに依存して、約10〜約30気圧である。
ガス精製装置(ゲッタ)13は、前混合標的ガス流から微量不純物、主として水蒸気を取り除くために使用される。
図2に示されているように、キセノンを集積させるための集積リザーバ17は、ジュワー容器内で液体窒素又はその他の寒剤によって冷却された向流式コールドトラップを含んでいる。冷却のためには又密閉サイクル式冷凍機も又使用できる。そうしたシステムは3He専用の装置には含まれないであろう。
着脱点15は、着脱点20とともに集積リザーバ17の取外しを許容する。弁14は、光ポンピングセル4を着脱点15から分離し、それらの間の流れを制御する。弁16は、着脱点15から集積リザーバ17を分離するために使用される。
永久磁石18は、集積リザーバ内の冷凍キセノンの貯蔵場所で約500ガウス(0.05T)より大きい静磁場を作り出すために備えられている。この大きな磁場は、できる限り長いスピン格子緩和時間を入手するために適切である(例、液体窒素温度で約3時間)。はるかに長いスピン格子緩和時間を達成可能なより低い濃縮温度のためには、より大きな磁場が必要とされる。磁石は又、極低温組立体の内側に含めてキセノン集積リザーバに沿って低温で維持されてもよい。
弁19は、着脱点20からキセノンコンデンサ17を分離するために使用されており、着脱点15と一緒にキセノンコンデンサ17の取外しを許容する。
弁21は、昇華超分極された129Xeガスを種々の用途、例えば患者のMRI、非破壊的評価その他のために大気圧で輸送用バッグ22へ、若しくは超分極された129Xeガスの輸送のための何か他の容器へ放出するために使用される。超分極129Xeガスを他の圧で輸送するためには硬質壁容器を使用することができる。
弁23は、濃縮キセノンの昇華中及びバッグ若しくはその他のレセプタクル22へのガス輸送中にキセノンアキュムレータ17を分離する。
シールのポンプ側にパイプのついたガラス−金属シール24が供給され、好ましくはステンレス鋼か他の金属が良い。シールのキセノンコンデンサ側は、パイプはガラスでできている。ガス流の吸気側上の類似のガラス−金属シール及び適切な応力除去ベローズは図示されていないが、通常は好まれている。
圧ゲージ25は、集積段階中の圧を監視及び制御するために使用される。
弁26によって分離されるポンプ27は、集積期の最後に残留しているHe及びN2をキセノンコンデンサ17から排気するために使用される。
ニードル弁28若しくはその他の流量制御装置は、再使用のための室内若しくは回収容器への汚れたHe及びN2ガスの排気を許容するために含まれている。通気速度は、我々が開発した原則に従って超分極された129Xeの調整を至適化するように調整されている。ガス流量は流量計29によって監視される。
ベント30は、使用済みのバッファガス(例、He)及びクエンチガス(例、N2若しくはH2)のために大気若しくは収集容器に通じるように備えられている。
ポート31は、前混合ガスのタンクが取り付けられた後にベント24を通してガス管に清潔なガス(例、アルゴン、ヘリウム若しくは窒素)をパージングするために含まれている。ベント33は、ポート31で導入されたパージガスの放出を許容する。
付着点32は、光ポンピングセルへ前混合ガス供給管を接続するために備えられている。弁34は、ガス供給管のパージング中は光ポンピングセルを分離する。
核磁気共鳴ピックアップコイル35も又ポンピングチャンバ内の129Xe分極を監視するために含まれており、これはガス流量を至適化するために有用である。
温度センサ36、例えば抵抗温度装置(RTD)は、オーブンの温度を監視するために使用されている。
静磁場37も又図示されている。光源は示されていないが、我々はヘルムホルツコイル若しくは磁気共鳴イメージング磁石のフリンジ領域又はそれら2つの組み合わせのいずれかを使用して成功した。
制御サブシステム(図示せず)は、一般には統合コンピュータソフトウエア、及び様々なサブシステムにおいて発生する種々のプロセスを制御及び監視するために使用されるハードワイヤード・サブシステムであることが望ましい。
図3は、本発明に従った超分極システムの1つの形状を図示しており、分極チャンバの一定成分に関する追加の詳細を含んでいる。この図面は、分極チャンバ(セル)4、セル4が収容されているオーブン9、及びオーブン4を選択された温度に維持するために必要な加熱及び制御装置40a−fを示している。
分極チャンバの1つの実施は図3に示されている。チャンバ内では光ポンピング及びスピン交換が発生するので、チャンバは数多くの必要条件を満たさなければならない。例えば、ポンピングチャンバは実質的に気密性環境において適切な量の分極可能なガスを保持しなければならない。チャンバ内のガス圧は装置の必要条件に従って、好ましくは約30atmまでの大気圧を超える圧力(従って本書では「高圧」と呼ばれる)で、そしてより好ましくはガラスセルのためには約8atm〜約12atmで保持される。ガス圧は、必要に応じてこの範囲外(上方若しくは下方)であってもよい。現在好ましい圧力は約10atmであるが、これは分極チャンバの製造において最も標準的に使用される材料であるガラスの構造的限界を反映している。これより高い圧力若しくはガス密度は他の分極チャンバ構造において使用できるであろう。
図3に示されているポンピングチャンバ4は、同一軸に沿って、しかし対向する方向から放射するように配置された2個のレーザー(図示せず)からセル内への超分極放射線(矢印41及び42)を放出するために2つの光ポート若しくは窓(4a及び4b)を有している好ましい実施態様である。使用されている光ポートが1つなのか若しくは2つなのかとは無関係に、これらのポートは好ましくは使用されているアルカリ金属の光ポンピング遷移線(即ち「超分極放射線」)の波長及び/又はその波長の近くで光に対して少なくとも実質的に透過性である。例えば、ルビジウムにおけるD1遷移の波長は794.7nmであり、ルビジウムと一緒に使用するために適した光ポートは少なくとも実質的にこの波長の光に対して透過性でなければならない。他のアルカリ金属は他の波長を用いて超分極され、光ポートは適切な波長に対して透過性でなければならない。ポンピング効率の至適化には、光ポートができる限り必要な波長の光に対して透過性であることを必要とするであろう、つまり超分極放射線の吸収は最小限でなければならないであろう。それらは光伝達を至適化するために反射防止コーティングを施すことができる。
ポンピングチャンバ内のガスの核分極の容積平均緩和時間は、達成されるべき望ましいレベルのセル内での分極を許容するためにアルカリ金属原子と希ガス核間のスピン交換速度に比較して十分に緩徐でなければならない。分極チャンバの材料及び設計はこのため細心の注意を払って選択しなければならない。例えば、ポンピングチャンバはアルカリ金属と化学的に適合しなければならず、好ましくは光ポンピングのために適切な温度(例、約200℃以上まで)でアルカリ金属と適合しなければならない。さらに、超分極法を監視するためにNMR旋光計システムを使用する場合は、ポンピングチャンバの壁が実質的に偏光測定のために必要な高周波領域を妨害しないことが好まれる。
ポンピングチャンバの特別な実施は分極されるガスのタイプに依存するであろう。上記のように、本発明に従った有用な分極チャンバはガラスから製造することができる。ガラスはスピン交換プロセスで使用されるアルカリ金属(類)に対して抵抗性でなければならない。さらに3Heについては、ポンピングチャンバは好ましくはヘリウムに対して限定された透過性を有するガラスから製造されている。さらに好ましくは、ガラスはCorning 7704(Pyrex)より小さいヘリウム透過性を有している。そうしたガラス類の例はアルミノケイ酸塩ガラス(Cornig 1720のような)、又は金属シーリングのホウケイ酸塩ガラス(Corning 7052若しくはSchott 8502のような)である。他方129Xeについては、キセノンは実質的により大きな原子であり、透過性は重大な問題ではないので、限定された透過性に対する厳密な必要性はない。別の有用なガラスは、実質的に鉄を含まずに調製されるガラスである。より低温の用途に対しては、標準ホウケイ酸塩の実験用ガラス製品、例えばPyrex、Duranを使用することができる。
ポンピングチャンバは好ましくは、実質的に超分極放射線の集束ビームに適合するガス量を提供するために円錐形若しくは先端の切られた円錐形(切頭円錐形)の形状を有している。光軸に沿って直径が減少するセル内にレーザー照射線を集束させることによって、レーザーから遠位のセルの領域での光強度は近位領域での光吸収のために発生する強度の減少を少なくとも部分的に相殺されるために効果的に上昇する。それでも、一定の実施態様においては円筒形のポンピングセルが望ましい場合がある。鼓形セル(即ち、それらの先端で対向している2つの円錐に似ているセル)が対向式レーザーシステムの効率を至適化するために望ましい場合がある。
現在は、ポンピングセルはガラスから製造されている。より高い圧で作動することのできるその他のポンピングチャンバ設計を使用することができる。10atmを越える圧を備えたセルは光を許容するための適切な光学窓を備えた金属壁及びパイプを使用することによって容易に製造することができる。さらに又適切な窓を備えた外部セルにおいて周囲高圧ガス若しくは透明液(例、ポンプ油)内に含まれているガラス製光ポンピングセルを設計することも可能である。それによりセル内壁内外の圧較差は最小限に抑えられ、破損の危険が生じない。
以前は、鉄及びその他の常磁性不純物との相互作用によってガスが緩和する十分な機会があることを前提として、密閉型セルが超分極されたガスを長期間に渡ってセルの壁と接触させて保持していた。しかし、本発明の連続的若しくは半連続的超分極システムの長所は、超分極された希ガスを長時間に渡ってガラスと接触させる必要がない点にある。我々は、この特徴のために、ガラス中の常磁性不純物を取り除く必要が減少し、余り高価ではない材料の使用が許容されることを発見した。
ポンピングチャンバ4はさらに望ましくは、分極されるガスの連続的若しくは個別的除去及び交換を許容するOリング弁のような個別の再密閉可能な吸気及び排気ポートを有している。流量制御を許容するあらゆる適切なガスポートを使用することができる。ガスチャンバ4は、それを通って個別的にガスが流入し、さらにセルから排気される単一ガスポートを備えることができる。しかし、連続方法で流れるガスのためには2つのガスポートが必要とされる。そうした配置は図3に示されており、吸気ポート43と排気ポート44が図示されている。ガスハンドリングシステムの残りの部分はこの図面には図示されていない。
再密閉可能なガスポートはガスの流量を制御するための弁手段を含んでいる。標準的には、これらの弁はPyrexガラス製本体及びステムを有しており、同様にアルカリ金属に対して抵抗性である柔軟かつ弾性のシールを備えている。そうしたシールは標準的にはOリングであり、様々な高分子材料から製造することができる。アルカリの攻撃に実質的に全く感受性を示さない好ましいOリング材料は、エチレンとプロピレンの共重合体である。適合する可能性のあるその他の重合体類にはシリコン重合体類が含まれる。VitonTM、Teflonその他のようなフルオロエラストマー類はアルカリの攻撃に対して比較的に抵抗性が小さいために余り望ましくないが、短期間の使用には適する。アルカリ攻撃に対するOリング類の抵抗性は重要な特徴であるが、これは万一破損したOリングを通して酸素が流入した場合にはポンピングチャンバの酸化が発生する可能性があるためである。
再密閉可能なガス吸気及び排気装置の弁は、導管、好ましくは分極チャンバのために使用されているものに類似するガラスで製造されたチューブによってポンピングチャンバの本体から分離されている。図3に示されている導管43及び44を参照の事。これらのチューブは感熱性Oリング材料が、分極プロセス中にしばしばOリングの限界を超えて加熱されるセルの本体及びセルの周囲のオーブンから熱的に分離されることを許容する。これらのチューブは又、超分極された希ガスと弁本体との相互作用による正味分極緩和を制限するのに役立つ。これは、チューブの全長に沿った圧拡散低下がバルク量の減極時間定数と比較して緩徐である高い操作ガス圧の使用と関連していると考えられる(これはチューブ容積対総容積の割合に依存する)。同様に、毛細管は超分極されたガス、特に3Heが接触指得る(中へ拡散する)及び弁シールによって減極される度合いを制限する。非磁性金属から製造された弁も又使用することができよう。
我々は、セルの加工中に在庫のガラスチューブを完全に再吹込成形した場合はポンピングセルの3He分極寿命がより長くなることを発見した。再吹込成形とは、加工中にあらゆる内面が溶融され、再成形されることを意味する。分極寿命を向上させるためにはHNO3又はHClのような強酸を用いての酸洗も又使用できるが、これ単独では再吹込成形ほど効果的ではない。
ガラスの内面が十分に清潔でチャンバが本書に記載された方法に従って加工されている場合は、スピン交換プロセスのタイムスケールに比較して希ガス分極の重大な緩和は発生しない。そうした方法の詳細な説明はMiddleton H.L., The Spin Structure of the Neutorn Determined Using a Polarized 3H3 Target. Ph.D. Dissertation, Chapter 5, Princeton University(1994)に所見される。この説明は参照してここに組み込まれている。簡略に述べると、セル内壁は、それらを500℃までの温度へベーキングすることによって洗浄されており、その間にセルは真空下に置かれるか、純粋バッファガスを用いてパージングされる。表面から汚染物質を除去するのに役立つようにセル内では高周波(rf)放電が実行される。洗浄された後、アルカリ金属及び希ガスが導入されるまではセルは大気に曝露させられずに真空下で保持されるか若しくは純粋パージガスが充填される。アルカリ金属は標準的には金属リザーバを加熱することによってセル内に導入させられるので、セルとリザーバ間の接続ガス/真空ラインは全てアルカリ金属耐性でなければならず、セルの洗浄方法に類似する方法で揮発性吸着物質が洗浄されなければならない。アルカリ金属がセル内に負荷された後、適切な量の標的ガスが導入され、セルの密閉が解除されると、その時点で分極の準備が整う。
ガス減極の低下におけるその他の改善を本発明の装置に有益に組み込むことができる。例えば、金属塗膜コーティング(金、アルカリ金属その他)は分極寿命を向上させ、セルを洗浄して加工することにおける努力を減らす可能性がある。我々は例えば、金は核分極の重大な緩和を全く誘発しないので、良好な壁コーティング材料として役立つことを発見した。1995年6月7日に出願された米国特許出願連続番号第08/478,276号に記載されているような高分子コーティングも又有益に使用することができる。
洗浄プロセスを向上させる別の方法には高周波放電と同時に低圧ガスパージを使用することが含まれている。
第3の代替方法は、高いガス圧に対して耐えられるように、セルを機械加工可能な非磁性金属から加工することを含んでいる。そうした内面は適切な金属又は重合体フィルムによるコーティングを必要とすることがある。さらに、レーザー光のセル内への導入を許容するためにレーザーポートを付け加えなければならないであろう。NMR偏光測定のために使用される高周波はたった数十kHzに過ぎないので、金属の壁圧は金属壁がNMRを妨害しない程度であろう。或いは又、偏光測定を省略して、別個の貯蔵チャンバで実施する、又は分極3Heの存在のためにアルカリEPR周波数の周波数シフトを測定することによって光学的に遂行することができる。
第4のアプローチは、セルの残りの部分が洗浄された後に開くことのできる機械的シールを有しているアルカリ金属製アンプルをセルに装備することであろう。例えば、薄いガラス窓は小さなガラスビーズによって、又はセルが充填されているときは希ガスの圧力によって破損する可能性がある。そうしたシステムはセル充填プロセス中に必要とされるアルカリ金属のハンドリング量を低下させるであろう。
さらにもう1つの有益な技術には、アルカリ金属の化学的耐性及び光ポンピングレーザー光に対する透過性の必要条件が緩和されることを除いて、分極チャンバと実質的に同一であるように前に分極された希ガスのための貯蔵チャンバを製造することを含んでいる。これは本発明に従った有用な集積リザーバにおいては特に重要になる。我々は予想外に、超分極された129Xeの緩和が冷凍状態では極めて効率的に低下するので、リザーバの壁の製造の品質は余り重要ではないことを発見した。このため、この特徴は同時に費用の節約をもたらしながら観察されるべき品質基準の低下を可能にする。
我々は、細心の注意を払わないと、中等度のガス流(10〜20cm3/min)中でさえ流動ガス分極チャンバからアルカリ金属蒸気が失われる傾向があることを発見している。これは以前は再充填可能又は連続式流動セルの開発にとっての実質的な障害であった。我々は例えば、ルビジウム吸収共鳴及びD2共鳴は不都合な条件下では完全に消失する可能性のあることを観察した。我々の試験は、流動ガスシステムにおけるルビジウム消失の主要原因がルビジウム蒸気による不純物(おそらくH2O及びO2)のゲッタリングによるものであることを指摘している。供給ガス中の少量のこれらの不純物は通常はシールドセル中のルビジウムにほんの弱い小さな影響しか及ぼさないであろう。しかし、ガスの流れは、分極チャンバ内へのそうしたアルカリ反応性不純物の連続的な新たな供給を提供して、利用可能なアルカリ蒸気の連続的かつ実質的減少を生じさせると思われる。我々の現在の理解は、このルビジウム蒸気の消失がUltra−Pure Systems.Inc.から入手できる窒素精製装置類(ゲッタ類)の1つのようなインライン・ガス精製装置を据え付けることによって実質的に防止できるという我々の所見に基づいている。そうした精製装置は、広範囲の流量でルビジウム蒸気消失を実質的に除去するのに十分な程度に供給ガスを精製することが観察されている。そうした精製装置は、典型的には窒素精製のために設計されているが、それらはさらに問題を生じることなく希ガスも通過させ、例えば本発明の方法に従って優先的に使用されるHe:Xe:N2の混合ガスの精製のためにも理想的に適合することが発見されている。
もう1つの余り重大ではないルビジウムの消失は、ガスがセルを通過して流れると同時にルビジウムがセルから排気されるときに発生する。我々はこの問題を幾つかの方法で克服した。第1に、ルビジウム消失はポンピングセルから外へ向かう導管の温度を確実に導管壁上のルビジウムの堆積を保証するのに十分な低さに保持することによって制限することができる。通常は室温が適正である。追加のフィルター又はトラップは必要とされないが、医療用途においては完全なルビジウム除去を保証するためにコールドトラップが使用されてもよい。第2に、そしてより好ましくは還流装置を使用することができる。例えば、アルカリ金属蒸気を濃縮するためには還流排気パイプが使用されてもよい。パイプの寸法及びガス流速はアルカリ金属の大部分が濃縮して重力流動によってポンピングセル内に滴り戻ることを保証するように調整することができる。従って、実質的には垂直方向でポンピングチャンバから外へ向かう排気導管はそうした重力流動を利用するであろうが、この形状は図2に示されている。以前に一般的に使用されていたシールドセルのような非流動式システムでは、アルカリ金属はそうしたシールドセルから逃れることができないのでそうした還流は明らかに不要である。
それでも、そうした予防措置にも関わらず、ポンピングチャンバ内のアルカリ金属は場合によっては酸化されたり消費し尽くされたりするであろう。そのような場合は、ポンピングチャンバ自体を容易にリサイクルすることができる。現在はチャンバを温水ですすぎ洗いし、その後オーブン内で乾燥させる方法が使用されている。セルはジメチルジクロロシランのようなコーティング剤で再コーティングしてマニフォールドに再取り付けすることができる。その後セルを一晩かけてベーキングして、さらに真空状態にすることができる。これで超分極装置上への再据付の準備が整う。セルはこの方法で性能における検出可能な変化を示すことなく何度でもリサイクルすることができる。
上記に簡単に述べたように、図3も又分極チャンバ4を収容しているオーブン9を示している。光ポンピングオーブンは、過度に高温ではアルカリ金属蒸気分極の消失によって制限される温度範囲で機能する。ルビジウム分極が生じないように温度を最大化すると、スピン交換速度を最大化でき、分極された希ガスのより高速の集積が可能になる。典型的にはオーブンの温度範囲は約80℃〜約200℃である。好ましい温度は約105℃〜約150℃である。例えば、約150℃の温度は約22sのRb−129Xeスピン交換時間及び約50%の平均ルビジウム分極を生じさせる。レーザー光の約20−30%はこの温度でルビジウムによって吸収される。約130℃の温度が好ましい場合があるが、それはこれより高温では129Xe NMR信号が急勾配で低下するためである。130℃では、Rb−129Xeスピン交換時間は約65sで、これは150℃におけるスピン交換時間より大まかには3倍遅い。従って、流速はより低温ではより遅くなるはずで、分極された129Xeのより低い収量を生じさせるであろう。さらに又、レーザー誘導加熱はオーブン温度計によって反映されるよりも高い(〜20℃高い)効果的なセル温度(従ってより高いルビジウム気体密度([Rb]))を誘発することも発見されている。
分極チャンバ内のガス流量及び温度を制御することによって、分極の度合い及び生成する分極されたガスの総量を調整することができる。一定の利用可能なレーザー出力及び帯域幅に対して、ポンピングチャンバの温度はアルカリ金属蒸気の容積平均分極を重大に犠牲にしない範囲でできる限り高く設定されるであろう。この至適化は、分極が希ガスに転移されるスピン交換速度γSEを決定する。流速はその後好ましくは、希ガス原子が分極チャンバ内で平均して約1−3スピン交換時間定数(1/γSE)を費やすように調整されるであろう。より高温のチャンバはより高速のスピン交換を生じさせ、従ってより高いガスの流量を許容するであろう。流動設定は流量に対して希ガスNMR信号を比較することによって検証することができる。流れが速すぎる場合は、サンプルが完全に分極される機会を得られないので希ガス信号が低下するであろう。
オーブンは、希ガスにおける核緩和を誘導することのできる磁場勾配の発生を最小限に抑えるように建造されなければならない。好ましくは、オーブンは希ガスにおける重大な核緩和を誘導するために十分な勾配を作り出さない材料から建造される。オーブン材料はさらに、少なくとも約250℃までの温度では実質的な構造的完全性を保持しなければならない。高温プラスチック類又はアルミニウムが適切な選択である。スチールのような強磁性材料は希ガスを急速に減極する可能性のある磁場勾配を作り出すので、従って余り適切な材料ではない。この作用についての考察は、本書の他の場所で言及したMiddletonの学位論文の中に見ることができる。
図3を参照して言及したように、図示されているオーブン9には本システムの光軸に沿ってオーブンの内外へレーザー光(矢印41及び42)が通過することを許容するように配置されている2又は3以上のレーザー窓8a及び8bが備えられている。(光軸はレーザー、光学素子及びセルを含む経路として定義されており、それに沿ってレーザー光が進行する。)オーブンは、好ましくは光軸が光ポンピングのために必要な適用された磁場の方向と整列するように配向されている。好ましくは、オーブン窓8a及び8bは反射及び/又は吸収を通してのレーザー光の伝達を重大に妨害しない。それらには光伝達を最大化するために反射防止コーティングを施すことができる。
再び図3を参照して、オーブンにはさらに蛍光観察窓7dが備えられてよい。好ましくは、観察窓は光軸に実質的に垂直な位置から分極チャンバの視認を許容するように配向される。この窓7dは、アルカリ金属蒸気の光ポンピングの結果として生じるD2共鳴蛍光の観察を許容する。図3はさらに、蛍光視認手段を図示している。一般的には、そうした手段は蛍光を観察するためにD2フィルタ7bと一緒にビデオカメラ7a及びモニタ7cを含んでいる。光ポンピング温度を最大化し、レーザーを整列させ、並びにレーザー波長を調整するためには画像を使用することができる。
オーブンは、磁場勾配を最小限に抑えるための上記と同一条件を満たす材料を使用し、さらにそうした方法で加熱しなければならない。図3に示されているように、好ましい実施態様では導管45a中の圧縮空気がオーブンから数フィート離れた場所に置かれたフィラメントヒータ45bを通過させられる。(ヒータはそれを通過する電流によって作り出される磁場勾配を最小限に抑えるために距離を置いて配置されている。)高温の空気はその後適切な温度を達成するために吸気口45cを通ってオーブン9を通して流される。温度制御装置45dはオーブン内部の温度センサ45eの示度に基づいてヒータを作動させる。高温空気は排気口45fを通して排気される。センサ45eは磁場勾配の発生を回避するために非強磁性でなければならない。代替アプローチでは、チャンバを加熱するために高周波電気ヒータが使用されてもよい。そうした高周波出力の使用には分極を妨害する可能性のあるタイプの勾配がもともと欠けている。
本発明の装置の1つの好ましい実施態様では、ポンピングチャンバの弁組立体はオーブンの外側にとどまっている。これは感熱性Oリングの劣化を減少させ、さらに弁に向かっての有害なアルカリ金属の移動の可能性を制限する。
ガスハンドリング及び精製システムは数多くの特徴を組み込むことができる。本システムは、同時に分極チャンバの品質の重大な低下を防止するためにガス流における十分な純度を同時に保証しながら分極チャンバ内へ制御可能な混合ガスを導入する。分極チャンバの品質はその中で超分極されるガスのT1(分極寿命)によって決定される。分極チャンバの質は、ガスの不純物及び壁上の汚染物質の両方によって影響を受けることが知られている。
分極プロセスは分極可能な希ガス(標準的にはどこでも0.1atm〜数十atm)及び少量(一般的には10〜100トル)のクエンチガス(通常は窒素、しかし水素その他の場合もある)の両方を必要とする。クエンチガスは光ポンピングプロセスの効率を向上させる。129Xeを超分極させるためには、アルカリ金属吸収線を拡大して分極効率を向上させるために作用する多量のバッファガス(一般には約1atm〜数十atm)を含めることが好まれている。バッファガスに関する詳細については下記を参照の事。
標的ガスハンドリングシステムについての配管設計実施のあるタイプは、低圧(窒素)及び高圧ガスを導入するための別個の経路を含んでいる。この方法では別個の低範囲圧ゲージはその破裂を防止するために高圧ガスから分離することができる。ガス純度を上昇させるためには、必要に応じて化学的又は極低温ゲッタをガス流動ラインに配置しなければならないことが発見されている。様々な純度のガスを利用可能であるので、追加の精製の総量は再充填回数(別個のチャージを使用する場合)若しくは総操作時間(連続流動システムを使用する場合)のいずれかに対する分極チャンバ変性測定に基づいて確定されるであろう。しかし高純度ガスでさえ、相当に短期間の流れ内若しくは数回の再充填後にセルの重大な変性を惹起するのに十分なO2及びH2Oのような不純物を含んでいることが発見されている。
マルチプルガスハンドリングシステムを用いて、セルの充填は分極されたガスの別個のチャージを得るために下記のように進行する。第1に、本システム内の何らかの残留不活性バッファガスは粗引きポンプを使用して排気される。第2に、必要とされる少量の窒素は分極チャンバ内に導入されてい範囲圧ゲージの弁が閉じられる。次に、分極されるべきガス及び何らかの追加の高圧バッファガスが導入され、分極チャンバの弁は適切な圧が達成されると閉じられる。
ポンピングチャンバ内への連続的流動は、種々のガス流動ライン内へ絞り弁を挿入し、圧勾配及び絞り弁設定に対して流量を校正するために分極チャンバの排気ポート上の流量計を使用することによって遂行することができる。少量の窒素しか必要としないので、その他のガスの流量がはるかに多い場合は窒素の流量を設定するのが困難な場合がある。窒素は光ポンピング中に分極チャンバから生じる蛍光に強力に影響を及ぼすが、これは光ポンピング中のチャンバから生じる総蛍光に対して窒素流量を校正することによって克服することができる。
マルチプルガスハンドリングアプローチは実行可能で、連続ベースで混合ガスの調整を許容するという長所はあるが、前混合ガスを使用する方がより好ましい。高度に好ましい実施態様では、前混合ガスが相対的流量の調整の必要なく単一リザーバから分極チャンバへ直接に供給される。これはシステムの操作を単純化し、分極プロセスのより高い再現性及び一貫性をもたらす。例えば、混合期中のガスの割合は経時的に及び超分極法間で不変である。適切な混合ガスについては本書の他の場所で考察されており、市販で入手可能である。
本発明の超分極装置は連続ベースでの希ガスの超分極を許容するので、ガス送給システムは好ましくはポンピングチャンバへのガスの容易に制御された一貫した供給を許容するように構成されていると理解されるはずである。より大規模のシステムでは、単一のガスハンドリングシステムを使用して標的ガスを連続的若しくは同時に2つ以上の分極システムへ供給することができる。ポンピングセル各々へのガス流の個別の制御を許容するためには個別制御手段を備えることができる。
あらゆる場合において、ガスハンドリング配管ラインの全ては分極チャンバを充填する前に内部が洗浄されていなければならない。これは汚染物質が内面から発生し、分極チャンバ内へ持ち込まれ、そこでその表面を劣化させるのを防止する。この洗浄は適切な高純度不活性バッファガスを用いてのラインのパージング又はラインの排気をしながら約100℃まで配管ラインを中等度に加熱することによって遂行することができる。パージングと排気の組み合わせを実施する場合は、この方法は同時若しくは順次組み合わせで実施してもよい。
ガスがいったん分極チャンバ内に流入して超分極が開始されると、分極法が監視されなければならない。特に、超分極が進行するにつれてチャンバ内のガス含量の状態が測定されなければならない。NMR偏光測定法は、分極チャンバ(セル)内のガス分極を監視するための好ましい方法である。本システムは好ましくは、129Xeに対しては数十kHzのNMR周波数に相当する次数10Gが適用された磁場において作動することができる。NMR信号の発生はセルの近くに誘導コイルを配置することによって遂行される。コイルはNMR周波数の近くで共鳴する同調回路の一部である。低周波数が含まれているので、同調はコイルからかなり離れている同軸ケーブルを通して接続されている個別同調箱において行うことができる。
偏光測定サブシステムは標準的NMR原理に従って機能する。NMR信号を発生させるには2つの段階がある:高周波励起及び信号捕捉である。単一高周波パルスは、引き続いて適用された磁場の周囲で歳差運動をする小分画のスピンを励起させるためにラーマー周波数又はその近くでコイルに送給される。歳差運動はそれが同一コイルにおいて小さな電圧を発生させると検出される。信号−電圧は増幅され、別の周波数を混ぜてうなりが発生させられ、フィルタにかけられ、コンピュータ上で解析及び表示されるためにディジタル化される。他の回路成分は高周波励起中の重要な検出成分を遮断するため(ミューティングミキサ)、そして信号捕捉中に漏れ高周波がコイルに到達するのを防止するため(アイソレーションミキサ及びダイオードゲート)の両方に役立つ。
分極を効率的に監視するためには、信号のサイズがガスの分極に直接的に比例していなければならない。これはサンプルの重大な減極を生じることなく、核のほんの小さな分画を励起する表面コイルと結び付けて小さな励起(フリップ)角度を使用することによって遂行される。信号を発生させるプロセスは効果的に分極を破壊するが、影響を受ける核の数はサンプル全体に比較するとごく僅かである。それでもこの小分画のスピンは標準的にはガスが超分極されると十分に強度のNMR信号を発生させる。高周波励起が再現性で実行される場合は、核のこの小分画において発生した信号はサンプル全体の分極に比例している。本システムは分極されたガス信号をそれに対して熱平衡分極を計算することのできる同一形状をもつ水サンプルの信号に比較することによって、分極の絶対値(0−100%)を産生するように校正されている。偏光測定を実施するための低磁場パルス式NMR法はAdiabatic Fast Passage(AFP)の先行技術に比較して大きな前進であるが、それはAFPが全サンプル量の強力な高周波励起を必要とするので、より多量を分極させるためにはNMR法の方がより適切なためである。
或いは又、分極されたガスの試験サンプルの集積を許容するために別個の排気バルブを分極チャンバに備えることができる。バルブは、ポンピングチャンバ上でパルス式NMRよりはるかに良好なNMR信号を産生することができるAdiabatic Fast Passage(AFP)装置で評価することができる。この装置は、ガス分極の実験測定値を生じさせるように校正することができ、これは集積パラメータの調整をさらにいっそう精密化するために使用できる。
1つの好ましい実施態様においては、超分極システム全体を少数の特殊回路ボードを備えたデスクトップコンピュータから実行することができる。そうしたボードの1つは直接ディジタル合成(DDS)を通して必要な高周波パルスを発生させる。もう1つの適切な回路ボードは、信号をディジタル化するアナログ−ディジタル変換器(ADCボード)である。レーザー回路ボードは又ミューティング及びアイソレーションミキサを切り換える(TTL)ゲートパルスを発生する。
超分極装置のレーザーサブシステムは光ポンピングプロセスに必要な光子(超分極放射線)を供給する。好ましくは、光子は連続波(CW)出力を発生する1若しくは2以上のレーザーダイオードアレイによって供給される。しかし、アルカリ金属D1若しくはD2ラインで十分な出力を生じさせるあらゆるレーザーシステムは容認できるかも知れない。しかし、本書に記載されているような高圧操作は10W以上の、そして好ましくは50W以上の出力を送出することのできるレーザーを必要とすることが発見されている。そうした出力を送給できる従来型レーザーは購入費も運転費も手が出せないほど高価である。さらにその上、そうしたレーザーはかさが大きく、費用のかかる、そして多かれ少なかれ永久的な据付を必要とする。輸送可能又は統合超分極ユニットのためには、そうしたレーザーは余りに実用的でない。そうした態様では、レーザーダイオードアレイはコンパクトで効率的であり、並びに購入費も運転費も安価であるため高度に好ましい。
図4は本発明の装置において使用するために適したレーザーサブシステムの略図である。図4の上半分はレーザーダイオードのための光学的配置を示しており、図の下半分は電気機器構成を示している。点線で囲まれた部分に示されている光学素子の配置は放出光を準備するための数種の方法の1つを表している。光は、光軸に沿って実施的に適用された磁場に平行に、オーブン窓を通過してセル内に進行する。光学素子は光を吸収するセル内の容積を最大化するように調整されている。上述の通り、セルの軸に沿った分極放射線の吸収を最大化するためには、集束セル構造を用いるとともに、集束ビームが好ましい。任意で、第2の類似のレーザー及び光学素子セットが同一光軸に沿って、しかし反対方向からセル内に光を差し向ける。電気機器構成は、電源及びレーザーダイオードの監視及び保護のために必要な数種の回路素子から構成されている。
単一波長のコヒーレント光(プロファイルが非常に狭い)を放出する従来型レーザーとは相違して、ダイオードアレイレーザーは、その放出光がスペクトル幅を有している、つまり典型的には連続波長帯で光を放出している広帯域装置である。通常は、このスペクトル幅は相当に狭く、一部の主要波長の周囲の拡張のように見え、たった約1−5nm幅である。3Heのスピン交換分極のためにはより出力の低いGaALAsダイオードアレイが使用されてきた。Chupp et al, Phys, Rev. A 40(A):4447-4454(1989)は、ほぼ1−Wのダイオードアレイの使用について記載しており、Cummings et al., Phys. Rev. A 51(6)4842-4851(1995)は20−Wのダイオードアレイについて記載している。本発明の方法及び装置のためには、ダイオードアレイの出力は好ましくは有意に大きな約50W以上であり、そしてより好ましくは約100W以上である。
レーザー放出波長λの選択はスピン交換のために使用するアルカリ金属によって決定される。上述のように、レーザーは適切なアルカリ金属のD1(若しくはD2)遷移線の周囲で光を放出するはずである。ルビジウムについては、λは約795nmであるのが好ましく、他方セシウムについては、λは約894nmであるのが好ましい。従って、ルビジウムについては、レーザーはGaAlAzレーザーであってよい。しかしルビジウム金属ではなくむしろセシウムを使用すると、Csの方が共鳴波長が長いためにより確実性のある、アルミニウムを含まないダイオードレーザーアレイ(例、InGaAsPレーザー)、より低い操作温度、及び1ワット当たり13%以上の光子の使用を許容する。現在好ましいレーザーダイオードアレイ(Opto Power,Tucson,Arizonaから入手できる)は、積重ね配置で10バーダイオードから構成されているGaAlAsレーザーダイオードアレイであり、約125Wの連続波(cw)出力を発生し、794.44nmのピーク波長へ調整することができ、半最大で約2nmの全スペクトル幅(FWHM)を示す。
将来においてより狭い帯域幅を持つレーザーが従来型アレイと競合的(効率、費用その他において)になれば、現在利用可能な上記のレーザーに比較してよりライン拡張性のバッファガスは必要とされなくなるであろう。これは標的ガス混合ガス中のより高い割合のキセノンの使用を許容し、これは順に集積装置の収量を向上させるであろう。より低い圧での操作も又超分極装置に関する一部の工学的問題を単純化するであろう。
同様に従来型レーザーとは相違して、ダイオードレーザー発光は典型的には高度に発散性で、適切な焦点へ光を集中させるためには光学的補正を必要とする。図4に示されている光学素子は、特にレーザーダイオードアレイ51、1若しくは2以上の(円筒形又は非球形)レンズ52a−52d、分極ビームスプリッターキューブ53、及び1/4波長板54を含んでいる。レンズ52a−52dはレーザー光を窓8aを通して一般的にはオーブン9内の分極セル4の寸法に適合するビームサイズへ視準又は集束させる。用途に依存して、光学素子は少なくとも実質的にビームの発散性を低下させ、ビームを視準させる、又はより好ましくは集束ビームを生じさせる。我々は、磁場方向から30°の大きさの角度で循環的に分極された集束光がアルカリ金属原子を効果的にスピン分極できることを発見した。レンズは2セットに分かれている:光の独立水平(52a及び52c)及び垂直(52b及び52d)運動及び集束のための各1セットである。図4はさらに、オーブン9内の窓8bを通してセル4内へ超分極放射線を差し向けるために第2レーザーが使用されている好ましい任意のレーザーシステムも間接的に示している。任意の第2レーザーシステムは図面の右側にある点線で囲まれた部分IIとして識別されており、実質的には図面の左側の点線の部分I内に含まれているのと同一素子を含んでいるはずである。
我々は予想外にも、ダイオードアレイからの光を集束させるために単純な非球形フレネルレンズを使用できることを発見した。これらの安価なレンズは伝送された光を集束するが、通常は鮮明な画像を発生させるために十分な焦点は提供しない。しかしこの焦点の欠如は重大な限界ではなく、そうしたレンズの使用は実質的にもっと高価な円筒形のレンズを使用する他のタイプの設備に比較して超分極装置の費用を低下させるのに役立つ。その他の光収集配置、例えばダイオードアレイ上のマイクロレンズ又は鏡とレンズの組み合わせも又可能である。
ビームスプリッターキューブ53は、入射光を2つの別個の直交直線偏光に分割する。1本の偏光は光軸に対して90°で反射され、ビームブロック(図示せず)によって吸収される。もう1本の偏光は直線偏光を光ポンピングのために必要な円偏光へ変換する1/4波長板54を通過する。
図4に示されているように、レーザーダイオードアレイ51は各々真鍮製冷却ブロック55に取り付けられており、それを通して冷却液導管57及び弁58及び59によって水が熱交換器56から流入及び流出する。熱交換器56は、レーザー出力に依存して単純なラジエータへの第2の水導管を備えた再循環式冷却機からのいずれかであってよい。同様に図4に示されているように、マルチレーザーセットアップでは、単一熱交換器ユニットを使用して、個別に各レーザーの温度を制御するための各セットの給水ライン上の弁に又は個別ヒータユニットを用いて両方のレーザーに供給することができる。或いは又、各レーザーに独自の熱交換器が備えられてもよい。
レーザーダイオードアレイは、図4に同様に図示されている回路によって、又はそれに等価の別の回路によって電気的に駆動させられる。電源61の精確な定格はレーザーダイオード数及びそれらが連続して、若しくは平行して配置されているかどうかに依存する。例えば単一レーザーに対しては、電源は約20−40V、及び約20−40Aの定格のDC電源である。再び図4を参照して、200オームのシャントレジスタ62は電源61から発生するあらゆる電圧スパイクの強度を低下させる。0.1オーム直列レジスタ63及びDC電圧計64は、レーザーダイオード65を通過する電流を監視するために使用される。並列逆方向バイアス・ショットキーダイオード66は、レーザーダイオード65の不注意による誤った極性接続から保護する。電流は調整され、電流限界は電源61上の制御装置を使用して設定される。冷却ブロック55上に直接取り付けられている熱電対67はその温度を監視する。この温度が設定温度を超えた場合は、上限温度検出器68が手動リセットリレースイッチ69をトリップし、電源を遮断する。
ヘリウムのスピン交換超分極の1つの特徴は、準安定交換方法を用いて場合は不可能である相当に高いガス圧で実行できる点にある。これは準安定交換方法に比較して長所を提供するが、それは準安定交換方法が本来ガスを圧縮するよりむしろ減圧することが専門という訳ではないからである。上述したように、使用可能なガス圧(〜1atm)を達成するための振幅次数2までの準安定交換法により生成された3Heを圧縮するためには複雑な装置が必要とされる。
以前は、超分極3Heは高圧(〜10atm)でのスピン交換による高分極で生成できることが認識されていた。しかし我々は、これは高圧の129Xeを使用した場合は不可能であることを発見した。特に、キセノンがルビジウム蒸気を減極する効率は驚くべく高い。我々は、分子的関与を無視した場合に、0.1atmのキセノンは270atmのヘリウムとほぼ同様のスピン破壊効果を有していると推定している。その結果として、現在では約1atmを越えるキセノンの圧力はほとんどの強度(即ち、数千ワット)ポンプレーザー以外の全てについて極めて低いルビジウム分極を生じさせるであろうと考えられている。
例えば、ダイオードレーザーについては、約20W/cm2(又は100W/5cm2)のレーザー強度は10atmのキセノンを含有しているチャンバの正面ではたった約25%のRb電子分極しか生じさせないであろう。この分極レベルはチャンバの背部に向かって低下するのみであるので、ほんの少しの分極量しか許容することができず、相対的に分極された129Xeの収量は小さくなる。
低圧のキセノンの使用はより高いRb偏光をしかし実質的に不利な条件で生じさせる可能性がある。低いガス圧は狭いRb D1共鳴線を与えるので、従って使用されるダイオードアレイの広いスペクトル出力(2nm FWHM)のほんの小さな分画しか許容しない。さらにその上、狭いD1共鳴の結果として生じるスペクトルホールバーニングは、同様に極めてほんの僅かな量のRbしか分極されず、非常に少量の分極された129Xeを産生することを意味する。例えば、0.5atmのキセノンを含有しており、1000sの壁緩和時間を有している20cm3のセルは、セル上の100Wの入射光中たった2.3Wしか使用せずに最高で56%の129Xe分極を生じさせるであろう。結果として生じる10cm3の分極されたガス(1atmで)は重要なほとんどの用途にとって十分ではない。
標準的な超分極法では、未分極129Xeはレーザー励起ルビジウム原子の蛍光をクエンチし、それによって光ポンピングプロセスを補助するする数十トルのガス(しばしば窒素)と一緒に密閉されたポンピングセル内に配置されている。しかし我々は予想外に、アルカリ金属共鳴線を拡大するためにサンプルにバッファガスを添加でき、これによって現在の高出力レーザーダイオードアレイの広範囲の出力のより効率的吸収を許容できることを発見した。この高圧バッファガスを使用しないと、ダイオードレーザーアレイの広い帯域幅(2nm以上)及びアルカリ金属の低圧での極めて狭い(0.01nm)吸収帯域幅のために、ダイオードレーザーからはほんの少し(約1%)の光しか吸収できない。この作用を達成するためには、バッファガスは光ポンピング中のアルカリ金属蒸気又は129Xeのいずれかの重大なスピン破壊を誘発してはならない。高度に好ましいバッファガスは、天然で99+%の3Heの同位体存在度を有しているヘリウムであるが、類似の特性を持つその他のガス類も使用することができる。
我々は、バッファガス圧を上昇させるとルビジウムの吸収帯の拡大を誘発すること、そして適切な拡大を達成するためには約10atm以上のガス圧が好ましいことを観察した。しかしキセノンにはアルカリ金属分極を破壊する固有の能力があるために、10atm以上の純粋キセノンを含有するサンプルは使用できないであろうと考えられている。これとは対照的に、ヘリウムは分極されたアルカリ金属スピンにとって極めて非破壊的であり、不利な条件を伴うことなく線拡張剤として使用できることが発見されている。水素は、光吸収線を拡張するためのクエンチガス及びバッファガスの両方として役立つことができる。窒素はアルカリ金属原子の実質的なスピン減極を誘発するので、この目的のためには水素若しくはヘリウムほど良好なガスではない。
従って、本発明の方法に従った129Xeの超分極のための好ましい混合ガスは、僅かだが有意な量の129Xeとともに実質的な割合のバッファガス、例えばヘリウムを含有するであろう。例えば、混合ガスは少なくとも天然同位体存在度の129Xeを含有している約0.1%〜約5%のキセノン、約0.1%〜約3%のN2をヘリウムである残余とともに含有することができる。最も好ましくは、混合ガスは約1%の129Xe、約1%のN2及び約98%のヘリウムを含有している。或いは又、クエンチガスが水素である場合は、混合ガスの約1%〜約30%は水素であり、それに相応してヘリウムの正味割合が低下するはずである。ヘリウムについては、バッファガスを含有することから何の利益も得られないので、混合ガスはより単純になるであろう。しかし129Xeについてと同様に、ヘリウム混合ガスは好ましくは129Xeのために使用された量に匹敵する量の窒素又は水素をクエンチガスとして含んでいる。
好ましい方法で使用されるXeの低い分圧は幾つかの問題を生じさせる。第1に、分極された129Xeは129Xeの有用な濃度を達成するためにヘリウムから分離されなければならない。第2に、分極された129Xeは分極装置から抽出できるように圧縮されなければならない。第3に、極めて短時間のタイムスケールで高い129Xe分極が達成されるが、ポンピングチャンバからの分極されたガスの収率は非常に小さい。我々は今回、分極された129Xeを固体に冷凍することが(T≦160K)これら3つの問題全てを解決することを発見した。
レーザー分極された129Xeを有意な量で産生するために、我々は固体129Xeの非常に長いスピン格子緩和時間T1を利用した。いったん分極されると、129Xeは分極をほとんど消失することなく固体に冷凍できることが証明されている。Gatzkeら.,Phys.Rev.Lett.,70(5):690−693(1993)に詳細に解説されているように、これまで気相において達成されていたより固相における方が緩和時間ははるかに長い。
現在では、クライオトラップアキュムレータ装置によって、キセノン氷の特性を利用することが可能である。特に、現在では液体窒素温度の氷中の129Xeの3時間の緩和時間は一度に3時間までの分極された129Xeのポンピング及び連続的集積を許容することが認識されている。さらにこれより低い温度の使用はさらに可能集積時間を延長させる可能性がある。
流れている標的ガスがいったん超分極されると、全ガス流(129Xe、ヘリウム、及び窒素)はアキュムレータを通って流れることができる。129Xeのために特に好ましいアキュムレータの詳細は、その全開示が参照としてここに組み込まれている「Cryogenic Accumulator for Spin−Polarized Xenon−129(スピン分極キセノン−129のための極低温アキュムレータ)」と題する、本明細書と同日に出願された同時係属特許出願連続番号第08/XXX/XXX号に記載されている。アキュムレータは、好ましくは約4.2K〜約157Kの温度範囲で作動するクライオスタットを含んでいる。約77Kの温度は便宜性のために、即ち容易に入手可能な冷媒である液体窒素の温度(沸点=77K)とほぼ等しいために好ましい。しかし、集積及び貯蔵の温度が低下するにつれてより長い分極寿命を入手できるので、一般にはより低い温度が好ましい。
とにかく、クライオスタットを通過した分極された129Xeは融点が157Kであるために直ちに氷結する。十分に低い温度では窒素も又氷結することがあるが、これは129Xe分極及び長いT1へ有害な影響を全く与えない。この問題を回避するために水素をクエンチガスとして置換することもできる。大半のガス、つまりヘリウムはクライオスタットを簡単に通過し、出口ポートから出てくる。従って、この方法の有用な特徴は、超分極されたキセノンを標的混合ガスの他の不必要な成分から効果的に分離するために使用できる点である。
冷凍129Xeの緩和時間T1は適用された磁場に保持されている場合は有意により長いので、保持時間を改善するために極低温アキュムレータには好ましくはそうした磁場強度を生じさせることのできる小さな永久磁石が装備される。適用された磁場の強度を選択するときの重要な考察は、磁場が集積/貯蔵温度でほぼ可能性ある最大のスピン格子緩和時間中の集積及び/又は貯蔵を可能にしなければならない点である。従って、適用された磁場は液体窒素温度で少なくとも約500G(0.05T)でなければならない。しかし、我々は磁場強度の選択は129xeが集積又は貯蔵される温度に依存することを観察している。特に、より低い温度での集積及び/又は貯蔵はより高い磁場強度の使用から利益を得る。
ここに記載された装置は、米国特許出願連続番号第08/225,243号に記載されたシステムと一致するMRIイメージングシステムと統合することができる。そうしたシステムの典型的なものは、Middleton et al., Magn. Rison. in Med, 33:271-275(1995)に詳細に記載されている2−テスラ、30cm水平Omega CSI magnet(G.E. NMR Instruments, Fremont, CA)及び関連装置である。多量の超分極された希ガスを製造する能力は、現在ではイメージングの前に十分なガスの集積及び貯蔵を有益に許容するために使用することができ、イメージング中自体には追加の超分極を実施する必要は全くない。従って、1人又は2人以上の被験者を事前に集積された単一キセノン源を使用して臨床環境において画像描出することができる。或いは又、イメージングは現在では、希ガス類の驚くべき特性によって可能になる呼吸又はその他の生理学的プロセスを試験するために被験者に供給される連続的超分極されたガス源を連続的超分極法が発生させる場所で実施することができる。以前は、この種類のイメージングは使用するために利用可能な超分極されたガスが少量であったために不可能であるか又は非常に非実際的であった。
1つの好ましい実施態様では、本発明の超分極装置は独立式の統合ユニットであり、実質的に自給式で使用し易い。例えば、本装置は底面積が約2フィート×6フィートの可動式カートシステムに装備することができる。この実施態様では、ユニットはレーザーシステム、ガス源、分極セル、NMR旋光計システム、電源及びこれらのシステムの大部分若しくは全部を制御及び監視するためにプログラミングされているコンピュータを含んでいる。
超分極装置システムユニットのレーザーサブシステムは、好ましくは1又は2以上の高出力ダイオードレーザーアレイ、レーザーのための電源、保護回路機構、冷却ユニット及びレーザーエネルギーを制御及び管理する種々の光学素子を含んでいる。
制御サブシステムは、パーソナルマイクロコンピュータ若しくはワークステーションのようなコンピュータシステム、分極法が実施されるときにNMRによって分極を監視するためのコンポーネント類、及び手技中にセル温度を監視及び維持するためのコンポーネント類を含んでいる。例えば、偏光測定のための高周波は本書の他の場所で記載されているような直接ディジタル合成を使用して提供することができる。
理想的には、超分極装置システムはさらにインタロック類、リミットスイッチ類、非コンピュータ制御リレー類その他を含む多数の安全システムを含有している。
好ましくは、統合分極システムは分極法中にガスが接触するコンポーネント類の全てを含んでいる交換可能な分極カートリッジユニットを含有している。従って、分極装置ユニットは超分極中に実質的に高圧ガス流を提供するために十分なガスを含んでいる高圧ガス容器を含有することができる。分極装置ユニットはさらにポンピングセルを含んでいる。さらに各々がポンピングセルの内外へ通じている吸気管及び排気管が含まれている。これらはセルの内外へのガスの流量を制御するための弁を含んでいる。使い易いように、分極カートリッジはさらにポンピングオーブンの一部若しくは全部の素子並びに旋光プローブを含有することができる。圧トランスデューサ、レギュレータ及びガス精製装置のようなその他の素子も又必要に応じて含めることができる。
分極ユニットは超分極装置システムユニットからの簡単な挿入及び抜去を許容するように設計されている。カートリッジは容易な取扱い及び据え付けを促進するような寸法及び重量でなければならない。出願人は、適切な分極ユニットは約30cm×50cm×10cm又は大まかにこれと同等の寸法にすることができると考えている。この寸法だと、必須コンポーネント類はユニットの取扱いを不当に損なうことなく含めることができる。これらの様々な設計要件を満たすことのできる1つの構造を下記で詳細に説明する。
交換可能な分極ユニットのもう1つの使い易い特徴は、標的ガスが好ましくは前混合されて単一のボンベで供給される点である。これは一貫した標的混合ガスのフォーミュレーション及び使用を許容し、ユニットのオペレータに混合ガスを制御させる必要性を回避し、それによってユニットの操作が単純化される。それでも或いは又、分極ユニットは標的ガスに混合される各ガスのための個別ボンベを含むことができる。
図5は本発明に従った輸送可能な超分極装置システムユニットの1つの実施態様を示している。この実施態様では、2つのレーザーダイオードアレイ100a及び100bが車輪付きカート101の一番上に取り付けられている。光学素子サブシステム102a及び102bはレーザーエネルギーを視準し、該エネルギーをポンピングセル103に集束させるために備えられている。ポンピングセルは下記に記載するように個別に、若しくは交換可能な分極ユニットサブシステムの一部として取り付けることができる。図5では、ポンピングセル103はそうした分極ユニット110の一部として示されている。従って、超分極装置は分極カートリッジをその中で超分極装置上のシステムと噛み合わせて一緒に操作できるようなドッキングステーションであると見ることができる。超分極装置システムはさらに電源120、主電源保安装置121及び必要に応じて各々コントロール装置及びディスプレイを有しているその他の保護回路機構122を含んでいる。冷却システム125は、レーザーの操作温度を調整するために備えられている。棚127は分極プロセスを制御及び監視するためのマイクロコンピュータ(図示せず)のための据付場所を提供する。カート101はさらにレーザー光を閉じ込めるためのカバー105を含んでいる。類似のシステムは例えば壁取付式又は固定式電気ラックシステムに永久的又は半永久的に取り付けられてよい。その他の構成は本発明の請求の範囲内である。好ましくはメインシステム及びサブシステムの各々がプラグ及びジャック継手によってユニット内に統合されるように容易に交換可能である。
図6は、本発明に従った交換可能な分極ユニットの1つの実施態様の略図を提供している。ガスボンベ201は3He又は129Xeのような希ガスを含む標的ガスを含有して装備されている。本書に記載されているような適切な混合ガスはIsotec,Inc.Miamisburg,OHのようなガス供給業者から入手可能である。ガスボンベは高圧下で標的ガスを保持することができ、ポンピングチャンバ221の数回の高圧充填を許容するために十分なガスを含有しているか、又は超分極された希ガスの必要量を生成するために十分なチャンバを通しての高圧連続流動を許容する。分極ユニットの重要な長所は、ガス供給が消費し尽くされたときに容易に交換できる点である。さらに、交換分極ユニットは超分極装置システム内に据え付けるための完全な構成で製造かつ輸送することができ、さらに無期限に予備で貯蔵することができる。
ガスボンベ201は、導管205及び206によって圧レギュレータ203と流体連絡しており、弁207によって制御される。圧レギュレータ203はガス流量を制御し、好ましくはステンレススチール製二段階超高純度(UHP)レギュレータのような高純度レギュレータである(例、Air Products社から入手可能なE99−OLRC型)。カートリッジに備えられているガスに接触する弁207及びその他の弁は高圧下で操作可能でなければならない。適切な弁にはPenn Valve & Fitting Co.,Willow Grove,PAから入手可能な全ての金属Nupro弁SS−4BG−VRR型を含んでいる。
導管209はレギュレータ203から流通形圧トランスデューサ211に通じており、流量は弁213によって制御される。弁213はセルを新規のガスチャージで充填するときの流量を調節するために使用される。セル圧は流通形圧トランスデューサ211によって監視される。トランスデューサ211は好ましくは約200℃までベーキングすることができる。適切なトランスデューサには、例えばHastings NALL Mass Flowmetersから入手可能なHS−10S型又はSetra Systems,Inc.,Acton,MAから入手可能な212FT型が含まれる。
トランスデューサ211は、導管217によってガス精製装置215と流体連絡している。精製装置215は標的ガスから水蒸気及びその他の不純物を除去するために望ましいが、それはそうした不純物が分極プロセスを妨害する可能性があるためである。精製装置215は好ましくはUltra−Pure Systems,Inc.,Colorado Springs,CO.から入手可能な小型精製導管のようなゲッタ装置である。典型的には、そうした装置は例えば熱電対を備えた外部バンドヒータ(例、Ultra−Pure Systems,Inc.から入手可能)によって精製を向上させるために加熱される。
導管219及び220は精製装置215をポンピングセル221へ接続し、弁223によって制御される。ポンピングセル221は本書の他の場所で記載されたように製造されており、約10cm3〜約100cm3、好ましくは約30cm3の容積を有している。ポンピングセル221はさらに排気ベント225を有しており、これは弁227によって制御される。
導管219はポンピングセルへの導管220及び弁231への導管229を提供するために分岐している。その後導管233は弁231から、ダイヤフラムポンプ237へ通じている導管235(弁239によって制御される)及びパージ排気口243へ通じていて弁245によって制御される導管241を提供するために分岐している。
このガス送給機器構成は、超分極法の効率を維持するために重要である使い易いシステムのパージングを許容する。パージングプロトコルは次のように進行することができる:第1に、高温清浄パージガスがパージ吸気口247内へ注入され、導管249を通って進行し、弁251によって制御される。次に、パージガスはレギュレータ203、圧トランスデューサ211、及び精製装置215を通過する。弁231及び245を開くことによって、パージガスはパージ排気口243を通して排気することができる。原理的に、弁223及び227を使用してセルをパージすることができるが、しかしこれはルーチン作業としては必要とはならないと考えられている。最後に、ダイアフラムポンプ237を使用してパージ後に残留パージガスを弁239を通して取り除くことができる。
本発明のさらに深い理解を助けるために下記の実施例を提供する。使用された特定材料及び条件は本発明をいっそう具体的に説明することを意図したもので、それらの合理的な請求の範囲を限定するものではない。特に、本発明に従った希ガス類の分極に適用可能な一定の考察はルビジウム原子とのスピン交換による流れている129Xeの分極の参照となるようにここに例として挙げられている。しかし、この説明は本発明の請求の範囲を限定するものと理解されてはならない。そうした考察は半連続式流動法におけるような3Heの分極並びにセシウム及びカリウムのような他のアルカリ金属の使用において該当する。それらがよく知られているようなこれらの一般化への例外及び変更は、本発明の一般的適用可能性から取り除くことなく、適切な場合にここに言及されている。
例1
本発明に従った連続式流動分極装置は一般に上記で説明され、図2に図示されている構造に従って構成されてきた。ポンピングチャンバは長さ6cm及び容量約30cm3のガラス製シリンダである。光軸はチャンバの縦軸と同一直線上にある。
我々は、ポンピングチャンバを通る最適の流れが温度に依存することを発見した。この30cm3のチャンバ内での129Xe(ヘリウム96%中の3%;10atm)の超分極については、流量は150℃で約300cm3/min〜約600cm3/minの範囲内である。モデリングは、約20%〜約30%のレーザー光が150℃で吸収され、これは22sのスピン交換時間(τSE)、及び約50%の平均ルビジウム分極に相当することを示している。
例2
約26%の129Xe、1%の窒素、及び96%のヘリウムの天然同位体組成を有している3%のXeの混合ガスを例1記載の装置を使用して分極した。さらに、本発明に従ったクライオトラッピングアキュムレータを使用してポンピングチャンバに残留しているガスを集積させた。ガラス製冷却指用の冷媒として液体窒素を使用して、120cm3の冷凍超分極129Xeを0.5時間で集積させた。集積中の標的ガスの公称流量はSTPで80−100cm3/minであった。混合ガスはたった3%のXeであったので、これはSTPで約3cm3/minまでのキセノン集積量を許容した。昇華すると、129Xeはパルス式NMRコイルが装備されたポンピングチャンバ内で再び膨張することが許容された。NMR信号強度は密閉されたポンピングチャンバ内のHe:Xe:N2混合ガスから見てさえ最大飽和の約1/4であると測定された。コンピュータモデリングから、光ポンピング方法中の129Xeの飽和分極は約75%であると考えられる。昇華キセノンの圧は、静電容量マノメータを用いてポンピング中の混合ガス中のキセノンの−/27atmに比較して1.21atmであると測定された。圧及びNMR信号の割合を前提として、我々は集積129Xeの5%の粗分極に到達した。
この実験で入手された正味分極は理論的最高分極の振幅次数の範囲内であった。従って、この方法は至適化されていないと認識しなければならないが、超分極された129Xeの連続製造が本発明の方法及び装置を使用して可能であることは証明されている。さらに、製造及び集積プロセスは重大な量のキセノンの分極を保存した。本試験に基づき、我々は昇華されたガスについての収率の向上を期待している。
本発明の方法及び装置の重要な特徴は、現在では標的ガスとして実質的に純粋なキセノンを使用して可能な量より実質的に多量の超分極キセノンを製造できる点である。つまり、標的ガスが90%以上バッファガスから構成されていてキセノンはほんの小さな分画としてしか存在していないという事実にもかかわらず、時間の関数としての超分極キセノンの収率が実質的に増大している。
明らかに、本発明の装置を使用して入手された超分極された129Xeの量は少なくとも1日当たり数十リットルの次数の量の超分極された希ガスの生成を許容する。従って、本発明は現在では初めて、MRIによるヒト肺の臨床換気試験を可能にするために十分な分極された希ガスの製造を可能にする。
従って、現在本発明の好ましい実施態様であると考えられるものを記載してきたが、当業者であればその他及び将来の実施態様を本発明の精神から離れることなく行うことができることを認識するであろうから、下記に記載した請求項の真の範囲内で起こるような全ての将来の修正及び変更を含めることが意図されている。

Claims (21)

  1. a)希ガスを含んでなる高圧条件下の標的ガスを、連続的に分極可能な量の希ガスの多くを保持できる加圧されたガス供給源から連続式又は半連続式にポンピングチャンバに制御可能に流すステップと、
    b)超分極された希ガス流を得るために、上記ポンピングチャンバ内の上記希ガスを、アルカリ金属原子とのスピン交換によって超分極するステップと、該ポンピングチャンバから超分極させた希ガスを連続式又は半連続式に制御可能に放出するステップとを含む、
    連続的に流れる又は一時的に中断された希ガスを超分極する、超分極希ガスの製造方法であって、
    前記標的ガスが、
    (a)アルカリ金属蛍光をクエンチするための蛍光クエンチガスと、
    (b)アルカリ金属原子の光吸収スペクトルのプレッシャーブロードニングのためのバッファガスと、
    (c)少なくとも同位体存在度で 129 Xeを含んでいるキセノンと
    を含んでなり、
    前記超分極が、アルカリ金属原子とのスピン交換によって前記 129 Xeの超分極を誘導するために充分な条件下で行われることによって、超分極された 129 Xeを得る、超分極希ガスの製造方法
  2. 前記アルカリ金属と前記希ガスの原子間のスピン交換時間τSEの0.5〜5倍の前記希ガスの平均原子滞留時間を生じさせる速度で、前記ポンピングチャンバを通して前記標的ガスが流れる請求項1に記載の方法。
  3. 前記アルカリ金属と前記希ガスの原子間のスピン交換時間τSEの1〜3倍の前記希ガスの平均原子滞留時間を生じさせる速度で、前記ポンピングチャンバを通して前記標的ガスが流れる請求項2に記載の方法。
  4. 記標的ガスを流すステップが、前記希ガスの前記超分極の間、前記分極チャンバを通って前記標的ガスを連続式に流すことを含んでなる請求項1に記載の方法。
  5. 前記希ガスが、3Heを含み、さらに、前記希ガスの少なくとも二回の超分極を許容するために、前記ポンピングチャンバ内に前記標的ガスの少なくとも二回の連続する量を一時的に連続して分離するステップを含んでなる請求項1に記載の方法。
  6. a)希ガスを含んでなる高圧条件下の標的ガスを、連続的に分極可能な量の希ガスの多くを保持できる加圧されたガス供給源から連続式又は半連続式にポンピングチャンバに制御可能に流すステップと、
    b)超分極された希ガス流を得るために、上記ポンピングチャンバ内の上記希ガスを、アルカリ金属原子とのスピン交換によって超分極するステップと、該ポンピングチャンバから超分極させた希ガスを連続式又は半連続式に制御可能に放出するステップとを含む、
    連続的に流れる又は一時的に中断された希ガスを超分極する、超分極希ガスの製造方法であって、
    前記標的ガスが、蛍光クエンチガス及び/又はアルカリ金属原子の光吸収スペクトルのプレッシャーブロードニングのためのバッファガスを含んでなり、該バッファガスが存在するときは、該クエンチガスとは相違する超分極希ガスの製造方法。
  7. 前記標的ガスを超分極するステップが、0.1〜5%の 129 Xeと、0.1〜30%のクエンチガスを含有する請求項1又は請求項6に記載の方法。
  8. 前記クエンチガスと前記バッファガスが相違しており、前記超分極ステップが、該超分極のステップの間、前記標的ガスを流すことを含み、前記クエンチガスが実質的に窒素及び/又は水素である請求項7に記載の方法。
  9. 前記標的ガスが、天然同位体存在度より実質的に多い量で 129 Xe成分を含んでなる請求項7又は請求項8に記載の方法。
  10. (a)光学的にポンプされたアルカリ金属原子とのスピン交換によって、連続式に流れる又は半連続式に流動可能な希ガスを超分極するためのポンピングチャンバであって、半連続式なモードでは、一時的に分極可能な量の希ガスの多くを、制御可能に繰り返して、受け入れ、分極し、放出できるポンピングチャンバと、
    (b)希ガスを含む標的ガス流を、連続的に及び/又は一時的に分極可能な量の希ガスの多くを保持するできる加圧ガス供給源から前記ポンピングチャンバに連続式に又は半連続式に送給できる標的ガス送給システムと、
    (c)前記ポンピングチャンバ内の前記希ガスを超分極するための超分極手段と、を含んでなる、希ガスを超分極するための装置であって、
    前記標的ガスが、蛍光クエンチガス及び/又はアルカリ金属原子の光吸収スペクトルのプレッシャーブロードニングのためのバッファガスを含んでなり、該バッファガスが存在するときは、クエンチガスとは相違する、希ガスを超分極するための装置
  11. 前記アルカリ金属と前記希ガスの原子間のスピン交換時間τ SE の0.5〜5倍の前記希ガスの平均原子滞留時間を生じさせる速度で、前記ポンピングチャンバを通して前記標的ガスが流れる請求項10に記載の装置。
  12. 前記アルカリ金属と前記希ガスの原子間のスピン交換時間τSE1〜3倍の前記希ガスの平均原子滞留時間を生じさせる速度で、前記ポンピングチャンバを通して前記標的ガスが流れる請求項11に記載の装置。
  13. 前記希ガスが、 3 Heを含み、前記超分極手段が、アルカリ金属原子とのスピン交換によって 3 Heの超分極を可能とするのに充分な超分極放射線を送給するためのレーザシステムを含み、前記ポンピングチャンバが、 3 Heを含む標的ガスの半連続式な流れを許容でき、前記装置と取り外し可能な分極ユニットの中に置かれ、該分極ユニットが該装置上に置かれるときは、該装置は前記ポンピングチャンバ内へ超分極放射線を送給できる請求項10に記載の装置。
  14. 前記希ガスが、 129 Xeを含み、前記超分極手段が、アルカリ金属原子とのスピン交換によって 129 Xeの超分極を可能とするのに充分な超分極放射線を送給するためのレーザシステムを含み、前記ポンピングチャンバが、 129 Xeを含む標的ガスの連続式な流れを許容でき、前記装置と取り外し可能な分極ユニットの中に置かれ、該分極ユニットが該装置上に置かれるときは、該装置は前記ポンピングチャンバ内へ超分極放射線を送給できる請求項10に記載の装置。
  15. 前記標的ガスの超分極が、約0.1〜5%の 129 Xeと、約0.1〜30%のクエンチガスを含有する請求項10に記載の装置。
  16. 前記クエンチガスと前記バッファガスが相違しており、前記超分極が、該超分極の間、前記標的ガスを流すことを含み、前記クエンチガスが実質的に窒素及び/又は水素である請求項15に記載の装置。
  17. (a)光学的にポンプされたアルカリ金属原子とのスピン交換によって、連続式に流れる又は半連続式に流動可能な希ガスを超分極するためのポンピングチャンバであって、半連続式なモードでは、一時的に分極可能な量の希ガスの多くを、制御可能に繰り返して、受け入れ、分極し、放出できるポンピングチャンバと、
    (b)希ガスを含む標的ガス流を、連続的に及び/又は一時的に分極可能な量の希ガスの多くを保持するできる加圧ガス供給源から前記ポンピングチャンバに連続式に又は半連続式に送給できる標的ガス送給システムと、
    (c)前記ポンピングチャンバ内の前記希ガスを超分極するための超分極手段と、を含んでなる、希ガスを超分極するための装置であって、
    前記標的ガスが、天然同位体存在比より実質的に多い量で 129 Xe成分を含んでなる希ガスを超分極するための装置。
  18. 前記標的ガスが、天然同位体存在比より実質的に多い量で 129 Xe成分を含んでなる請求項15又は請求項16に記載の装置。
  19. a)光学的にポンプされたアルカリ金属原子とのスピン交換によって、連続式に流れる又は半連続式に流動可能な希ガスを超分極するためのポンピングチャンバであって、半連続式なモードでは、一時的に分極可能な量の希ガスの多くを、制御可能に繰り返して、受け入れ、分極し、放出できるポンピングチャンバと、
    (b)希ガスを含む標的ガス流を、連続的に及び/又は一時的に分極可能な量の希ガスの多くを保持するできる加圧ガス供給源から前記ポンピングチャンバに連続式に又は半連続式に送給できる標的ガス送給システムと、
    (c)前記ポンピングチャンバ内の前記希ガスを超分極するための超分極手段と、を含んでなる、希ガスを超分極するための装置であって、
    前記超分極手段が、レーザシステムを含み、該レーザーシステムが、単一の光軸に沿って対向する配置で2つのレーザ源を含んでおり、前記ポンピングチャンバが両方のレーザ源からの放射線を受け入れるようになっている希ガスを超分極するための装置。
  20. 前記超分極手段が、前記レーザシステムから前記ポンピングチャンバに放出された放射線を集束させるための光学レンズを含んでなる放射線集束手段と、前記ポンピングチャンバを加熱するための加熱手段とをさらに含んでなり、該ポンピングチャンバが、円筒形、円錐形、又は切頭円錐形であり、高圧条件下で操作可能である請求項19に記載の装置。
  21. NMR偏光測定を実行するための手段をさらに含み、前記ポンピングチャンバが、蛍光観察窓と、該蛍光観察窓を通して蛍光を監視するための蛍光監視手段をさらに含んでなる請求項20に記載の装置。
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