JP4039174B2 - ディスプレイパネルの貼り合わせ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディスプレイパネルの組立工程において、2枚の光透過性基板を光硬化型の接着剤で貼り合わせるディスプレイパネルの貼り合わせ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子の製造方法として、特開平9−73096号公報にも示されているように、滴下工法(One Drop Fill)が採用されるようになってきた。
【0003】
この工法は、まず、光透過性基板(ガラス基板)上に、紫外線硬化樹脂であるシール剤による囲みを形成し、その中に液晶を滴下する。液晶が滴下されたガラス基板上に別のガラス基板を載せ、そのガラス基板越しに、シール剤に紫外線を照射してシール剤を硬化させ、2枚のガラス基板を貼り合わせるものである。シール剤に紫外線を照射する際に、液晶に紫外線が照射されると、液晶が分解や特性変化を起こすため、シール剤以外の液晶に紫外線が照射されないように紫外線照射装置の光源とガラス基板との間に遮光マスクを設けて、紫外線を照射している。
【0004】
図6は、従来技術に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の一例を示す図である。
同図に示すように、この貼り合わせ装置は、ワークステージ上にシール剤を挟んで形成された2枚のガラス基板を載せ、その上部において、前記シール剤に位置する箇所は透光部で形成し、前記シール剤で囲まれ液晶が充填される箇所に相当する箇所は遮光部で形成した遮光マスクを、マスクステージの下側で真空吸着により保持し、さらにこの遮光マスクの上部に配置された光照射部の光源(ランプ)から、遮光マスクの透光部を介してシール剤に紫外線を照射するものである。
【0005】
図7は、遮光マスクの保持手段として、図6における遮光マスクをマスクステージの下側で真空吸着して保持するものに代えて、マスクステージ上に遮光マスクを載せる場合の例を示す図である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のごとく、遮光マスクは、シール剤に対応する箇所のみ紫外線が透過する透光部で形成し、それ以外の部分を遮光部で形成し、この遮光部は、通常、石英板にクロムメッキすることによって作られるが、近年、液晶ガラス基板は年々大型化しており、液晶ガラス基板の大型化に伴い前記遮光マスクも大型化している。
【0007】
さらに、図6および図7に示すように、遮光マスクをマスクステージに保持する際には、遮光マスクに「保持しろ」を設ける必要があるため、遮光マスクを貼り合わせを行うガラス基板より、より一層大きく形成する必要がある。また、遮光マスクは、上記の「保持しろ」を確保するためにガラス基板のサイズより大きくする必要があるとともに、自重による撓みを防ぐために厚さも厚くする必要がある。
その結果、例えば、ガラス基板サイズが、680×880mmである場合、遮光マスクの大きさは800〜850×1050〜1100mmで厚さは5〜10mm程の大きさが必要になる。
【0008】
また、遮光マスクは、半導体の露光装置に用いられるマスク(レチクル)と同様に、紫外線を効率良く透過させるために石英が用いられるが、石英はガラス素材の中でも高価なものである。さらに、遮光マスクは、クロムメッキを行う面の平面度をよくするために高い加工精度が必要である。
【0009】
上記したような大面積の石英表面を高い精度で加工するには、大型の加工装置と長時間を要し、マスクにかかるコストが非常に大きくなる。さらに、遮光マスクは、ガラス基板に形成するパターンの数だけ必要となるので、遮光マスクのコストだけで、貼り合わせ装置の価格を非常に高価なものとしてしまう。
【0010】
また、遮光マスクが大型化すると、遮光マスク用の石英基板にクロムを蒸着するための装置がなく、また蒸着したクロムをエッチングして遮光部のパターンを形成するための装置もない等、遮光マスクにパターンを形成するために必要な種々の装置がない。そのため、これらの装置を作ってから遮光マスクを作ろうとすると遮光マスクの価格が極めて高いものとなってしまう。
【0011】
本発明の目的は、上記の種々の問題点に鑑みて、遮光マスクにかかるコストを低廉にすることを可能にしたディスプレイパネルの貼り合わせ装置を提供することにある。
【0012】
本発明は、上記の課題を解決するために、次のような手段を採用した。
2枚の光透過性基板間に挟み込まれた紫外線硬化性接着剤に紫外線を照射して、前記2枚の光透過性基板を貼り合わせるディスプレイパネルの貼り合わせ装置において、
ワーク用に作製された光透過性基板と同じ光透過性基板に前記紫外線硬化性接着剤に対応する透光部を残して遮光部を形成した遮光マスクと、紫外線を透過する部材で形成され、下面に設けられた吸着板によって前記遮光マスクの遮光部を面吸着して該遮光マスクを保持するマスク保持手段と、前記遮光マスクより大きな開口部を有し、前記マスク保持手段を保持するマスクステージと、を備えることを特徴とするディスプレイパネルの貼り合わせ装置。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図1および図2を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成の一部を示す斜視図、図2は同装置の構成を示す正面断面図である。
これらの図において、1はマスク保持手段を支持するマスクステージ、1aはマスクステージの開口部、2は透明部材(石英)で形成され、遮光マスクを保持するマスク保持手段、3は吸着板(または吸着パッド)を介してマスク保持手段2に保持される遮光マスク、31は遮光マスク3における遮光部、32は遮光マスク3における透光部、4はマスク保持手段2の下面に設けられ、真空配管に接続される遮光マスク3を面吸着する吸着板(または吸着パッド)、5は紫外線に耐性を有する、例えばステンレス等の金属からなる真空配管、6はガラス基板を載置するワークステージ、7は貼り合わせを行うガラス基板、8は2枚のガラス基板7,7間に形成されたシール剤、9は遮光マスク3の透光部32を介してシール剤8に紫外線を照射する光照射部、10は紫外線を放射する光源(ランプ)である。
【0015】
本実施形態では、マスク保持手段2として、遮光マスク3全体を吸着するような大きなものは必要でなく、図1に示すように分割された複数の棒状のものを用いてもよいし、また一体に形成されたものを用いてもよい。その結果、マスク保持手段2として、1枚の加工精度の高い大きな石英板を用いる必要がないので、部材が小型化され、コストを低減させることが可能となる。
【0016】
同装置において、真空配管5によって、光源(ランプ)10と遮光マスク3間に不透明な配管が存在することになるが、マスク保持手段2に真空吸着孔を設ける位置を遮光マスク3の遮光部31の位置になるように配置し、配管は真空吸着孔の位置から垂直にできるだけ光源(ランプ)10の近くまで立ち上げ、その後曲げて装置外に延びるようにする。このように配管することによって、立ち上げ部分の影は、遮光部31に隠れるので問題がなく、また曲がって装置外に延びる部分の影は、光源(ランプ)10に近いことと、光源(ランプ)10からの光が発散光であることにより全体がぼやけることになり、殆ど影響を生じない。
【0017】
吸着板4としては、複数の真空吸着孔を設けたプレートを用いるが、多孔質の焼結体を用いたものが市販されており、これを利用することが可能である。多孔質の焼結体を用いれば、一般的に真空吸着孔を設けたものより、開口率を大きくすることができ、大きな吸着力(マスクの保持力)を得ることができる。また吸着板4によって遮光マスク3のある程度の面積を保持できるようにすることができるので、真空配管5の本数を比較的少なくすることができる。
【0018】
さらに、遮光マスクは、殆どが遮光部で形成されるので、この部分を利用して遮光マスクを保持することができるので、遮光マスクが薄くても撓みが少ない状態で保持することが可能となる。
【0019】
また、これらの図に示すように、この貼り合わせ装置では、ワークステージ6上にシール剤8を挟んで形成された2枚のガラス基板7の上部に、シール剤8に位置する箇所は透光部32で形成され、シール剤8で囲まれ液晶が充填された箇所に相当する箇所は遮光部31で形成された遮光マスク3がマスク保持手段2によって真空吸着により保持され、遮光マスク3の上部に配置された光照射部9の光源(ランプ)10から、遮光マスク3の透光部32を介してシール剤8に紫外線が照射されることにより、シール剤8が紫外線硬化され、2枚のガラス基板7を貼り合わすことができる。
【0020】
次に、参考発明の第の実施形態を図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成を示す正面断面図である。
同図において、11は本発明の実施形態に示したマスク保持手段2と異なる形態を有する、透明部材(石英)で形成されたマスク保持手段、111はマスク保持手段11内に形成された真空室(減圧室)、112は真空室(減圧室)111につながり遮光マスク3を吸着するために設けられた複数の真空吸着孔である。
【0021】
なお、マスク保持手段11は、真空吸着孔112を設ける側の面は、遮光マスク3を良い平面度で吸着できるように、高い平面度で加工されている。また、真空吸着孔112は、光を透過するがレンズ効果を防ぐために遮光マスク3の遮光部31に位置するように形成する。その他の構成は図2に示す同符号の構成に対応するので説明を省略する。
【0022】
本実施形態の貼り合わせ装置においても、ワークステージ6上にシール剤8を挟んで形成された2枚のガラス基板7の上部に、シール剤8に位置する箇所が透光部32で形成され、シール剤8で囲まれ液晶が充填された箇所に相当する箇所が遮光部31で形成された遮光マスク3がマスク保持手段11の真空吸着孔によって吸着保持され、さらに遮光マスク3の上部に配置された光照射部9の光源(ランプ)10から、遮光マスク3の透光部32を介してシール剤8に紫外線が照射されることにより、シール剤8が紫外線硬化され、2枚のガラス基板7が貼り合わされる。
本実施形態の貼り合わせ装置は、本発明の実施形態のものと比べて、真空配管を設ける必要がなくなるが、マスク保持手段11に真空室(減圧室)111となる空洞を設ける加工が必要となる。
【0023】
次に、参考発明の第の実施形態を図4および図5を用いて説明する。
図4は、本実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成の一部を示す斜視図、図5は同装置の構成を示す正面断面図である。
これらの図において、12はマスク保持手段2上に保持された遮光マスク3を所定の位置に位置決めする位置決めピンである。A部はマスクステージ1上にマスク保持手段2の端部を載せ真空吸着により固定する状態を示し、B部はマスクステージ1上にマスク保持手段2の端部を載せ固定器具13によって固定する状態を示し、A部またはB部のいずれかの固定手段が採用される。
なお、その他の構成は図1および図2に示す同符号の構成に対応するので説明を省略する。
【0024】
本実施形態においても、マスク保持手段2は、遮光マスク3全体を保持するような大きなものは必要ではなく、図4に示すように分割された複数の棒状のものを用いてもよいし、また分割されない一体に形成されたものを用いてもよい。これによって、マスク保持手段2として1枚の加工精度の高い大きな石英板を用いる必要がなく、部材が小型化され、コストが低減される。
【0025】
また、これらの図に示すように、この貼り合わせ装置においては、ワークステジ6上にシール剤8を挟んで形成された2枚のガラス基板7の上部に、シール剤8に位置する箇所は透光部32で形成され、シール剤8で囲まれ液晶が充填された箇所に相当する箇所は遮光部31で形成された遮光マスク3がマスク保持手段2上に保持され、さらに遮光マスク3の上部に配置された光照射部9の光源(ランプ)10から、遮光マスク3の透光部32を介してシール剤8に紫外線を照射することにより、シール剤8が紫外線硬化され、2枚のガラス基板7を貼り合わすことが可能となる。
【0026】
以上述べたように、上記の各実施形態に示したディスプレイパネルの貼り合わせ装置は、従来の遮光マスクの機能のうち、所定の領域にのみ光を照射する機能を遮光マスクに、マスクをマスクステージに平面度良く保持する機能をマスク保持手段に分割した点に特徴を有するものであり、このように構成することにより貼り合わ装置のコストを低減することが可能となるものである。
即ち、マスク保持手段は、遮光マスクが小さく薄く作製される結果、マスクステージに保持できない大きさとなるため、また保持された状態では撓みを生じるので、遮光マスクを保持し、撓ませない透明な遮光マスクの保持手段として設けられるものである。マスク保持手段を設けることは、従来装置に比べて新たに構成部品が増加したことになり、コストアップ要因となる。しかし、マスクパターンが変わることによって遮光マスクが変わっても、マスク保持手段はそのまま汎用的に用いることが可能であるため、遮光マスクのみを交換すればよく、全体として貼り合わ装置を低コスト化することが可能となる。
【0027】
また、上記各実施形態の遮光マスクは、従来の遮光マスクのような高価な石英を材料として用いる必要がなく、ワーク用に作製された光透過性基板と同じ光透過性基板を用いることが可能であり、光透過性基板については、ディスプレイパネル製造メーカは、当然多くの光透過性基板を持っているので、遮光マスクと共通に用いることが可能であり、遮光マスクを安価に製造することが可能である。さらに、光透過性基板(ガラス基板)は、高い平面精度が要求されるが、従来の遮光マスクのような「保持しろ」等は不要となり、その大きさはワーク(2枚のガラス基板)と同じ大きさまで小さくすることが可能であり、より一層安価に作ることが可能となる。
【0028】
さらに、光透過性基板と同じ基板を遮光マスクとして使うと、光透過性基板用の蒸着装置やエッチング装置等の既存の装置をそのまま用いることができるので、従来の遮光マスクのようにそのために作製された格別の装置を必要としないため、より一層遮光マスクを安価に製造することが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ディスプレイパネルの貼り合わせ装置において、ワーク用に作製された光透過性基板と同じ光透過性基板に前記紫外線硬化性接着剤に対応する透光部を残して遮光部を形成した遮光マスクと、紫外線を透過する部材で形成され、下面に設けられた吸着板によって前記遮光マスクの遮光部を面吸着して該遮光マスクを保持するマスク保持手段と、前記遮光マスクより大きな開口部を有し、前記マスク保持手段を保持するマスクステージを用いるようにしたので、マスク保持手段は、マスクパターンが変わることによって遮光マスクが変わっても、マスク保持手段はそのまま汎用的に用いることができ、遮光マスクのみを変換すればよく、全体として貼り合わせ装置を低コスト化することができる。また、遮光マスクとして、従来の遮光マスクのような高価な石英を材料に用いる必要がなく、ワーク用に作製された光透過性基板と同じ光透過性基板を用いることが可能であり、液晶パネル製造メーカは多くの光透過性基板を持っていることから、遮光マスクと共通的に用いることが可能であり、さらに、従来の遮光マスクのような「保持しろ」等は不要であるため、その大きさは光透過性基板(ガラス基板)と同じ大きさまで小さくすることが可能となり、遮光マスクを安価に製造することが可能である。さらに、遮光マスク上にクロムメッキからなるパターンを形成するための装置として既存の装置を用いることができるので、、従来の遮光マスクのようにそのための格別の装置を必要としないため、より一層遮光マスクを安価に製造することが可能となる。さらに、マスク保持手段は、遮光マスクを該遮光マスクの遮光部において保持するようにしたので、遮光マスクは多くの部分が遮光マスクで形成されているので、広い範囲で遮光マスクを保持することが可能となり、遮光マスクが薄くても平面度良く保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成の一部を示す斜視図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成を示す正面断面図である。
【図3】 参考発明の第1の実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成を示す正面断面図である。
【図4】 参考発明の第2の実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成の一部を示す斜視図である。
【図5】 参考発明の第2の実施形態に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成を示す正面断面図である。
【図6】 従来技術に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成を示す正面断面図である。
【図7】 従来技術に係るディスプレイパネルの貼り合わせ装置の構成の一部を示す正面断面図である。

Claims (1)

  1. 2枚の光透過性基板間に挟み込まれた紫外線硬化性接着剤に紫外線を照射して、前記2枚の光透過性基板を貼り合わせるディスプレイパネルの貼り合わせ装置において、
    ワーク用に作製された光透過性基板と同じ光透過性基板に前記紫外線硬化性接着剤に対応する透光部を残して遮光部を形成した遮光マスクと、紫外線を透過する部材で形成され、下面に設けられた吸着板によって前記遮光マスクの遮光部を面吸着して該遮光マスクを保持するマスク保持手段と、前記遮光マスクより大きな開口部を有し、前記マスク保持手段を保持するマスクステージと、を備えることを特徴とするディスプレイパネルの貼り合わせ装置。
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