JP4038359B2 - インシュレータ用ガスケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電機、動力噴霧器および草刈機などの動力源として使用される汎用エンジンに適用されるインシュレータ用ガスケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
発電機、動力噴霧機および草刈機などの動力源として、汎用エンジンが広く用いられている。汎用エンジンにあっては、エンジン本体の吸気ポートに混合気を供給するためにキャブレターがエンジン本体に搭載されており、エンジン本体の熱がキャブレターに伝達されないように、キャブレターはインシュレータを介してエンジン本体に装着されている。
【0003】
このインシュレータには、従来、たとえば特開2000-136752公報に示されるように、そのキャブレター出口側と吸気ポート入口側にそれぞれ個別にガスケットが配置されている。そして、この2枚ガスケットにより、キャブレターとインシュレータの間および吸気ポートとインシュレータの間のシールを行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなシール構造においては、エンジン組み付けの際にインシュレータの両側に2枚のガスケットを取り付ける必要がある。このため、エンジンの部品点数が増加するのみならず、エンジンの組立作業工数が増加するなどの問題があった。
【0005】
本発明の目的は、インシュレータ用ガスケットの枚数を削減し、エンジン部品点数や組立作業工数の低減を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のインシュレータ用ガスケットは、エンジンの吸気ポートと混合気を前記エンジンに供給するキャブレターとの間に配置されるインシュレータのシール用に用いられるガスケットであって、前記インシュレータは、前記吸気ポートおよび前記キャブレターとの接合部の一側に前記ガスケット位置決め用の第1突起と、前記接合部の他側であって前記第1突起と反対面側に前記ガスケット位置決め用の第2突起とを有し、前記ガスケットは、前記吸気ポートと前記インシュレータとの間に配設される第1シール片と、前記キャブレターと前記インシュレータとの間に配設される第2シール片と、前記第1シール片と前記第2シール片の間に設けられ前記第1および前記第2シール片を連結するブリッジ片と、前記第1シール片の先端側に形成された第1端片と、前記第2シール片の先端側に形成された第2端片とを有し、前記ブリッジ片には前記第1突起に嵌合する第1穿孔が形成されるとともに、前記第1端片および前記第2端片には前記第2突起に嵌合する第2穿孔が形成されることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、吸気ポートとインシュレータとの間に介設される第1シール片と、キャブレターとインシュレータとの間に介設される第2シール片とをブリッジ片にて一体に連結したので、1部品のガスケットによりインシュレータをシールすることができる。従って、従来2個使用していたガスケットを1個使いとすることができ、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0008】
本発明によれば、ガスケットを予めインシュレータに取り付け、ガスケットとセットになった1個のインシュレータモジュールを形成することにより、インシュレータの組み付けに際し、ガスケットの取付作業を行うことなく、インシュレータを組み付けることができる。従って、インシュレータ組み付け時の作業をインシュレータモジュールの取付作業のみに集約でき、エンジンの組立作業性が向上し、組付工数の削減を図ることが可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態であるインシュレータ用ガスケット(以下、ガスケットと略記する)を用いた汎用エンジンを示す断面図である。
【0010】
図1に示す汎用エンジンは、単気筒4サイクルガソリンエンジンであり、クランクシャフト1が回転自在に組み込まれたクランクケース2を有する。クランクケース2にはクランクシャフト1の一端部を支持するベアリングケース3が取り付けられ、このベアリングケース3にはベアリング4aが固定され、クランクシャフト1の他端部はクランクケース2に固定されたベアリング4bにより支持されている。クランクケース2にはシリンダ5が一体となっており、クランクケース2およびシリンダ5はアルミニウムなどの軽合金や鉄などによって形成されている。シリンダ4の上側には、アルミニウム合金製のシリンダヘッド6が取り付けられており、シリンダヘッド6の上側には板金製若しくは合成樹脂製のロッカーカバー7が装着され、クランクケース2、シリンダ5およびシリンダヘッド6によりエンジン本体8が形成されている。
【0011】
シリンダ5内にはピストン9が往復動自在に装着され、ピストン9はコンロッド10を介してクランクシャフト1に連結されている。クランクシャフト1の他端部には、フライホイール11と一体となった冷却ファン12が取り付けられ、冷却ファン12はファンカバー13により覆われている。ファンカバー13の外側にはリコイル装置14がクランクシャフト1に連結されて配置され、リコイルレバー15を手動により引っ張ることによってクランクシャフト1が回転され、エンジンが始動される。エンジン回転時には冷却ファン12の回転によって、ファンカバー13の正面壁に形成された空気取入口13aから外気が流入してエンジン本体8に向けて冷却風が生成される。
【0012】
図示する汎用エンジンは、OHCエンジンであり、シリンダヘッド6内にはクランクシャフト1と平行にカムシャフト16が設けられている。カムシャフト16には動弁カム17と従動側のスプロケット18とが一体に形成され、クランクシャフト1に取り付けられた駆動側のスプロケット19と従動側のスプロケット18とにはチェーン21が掛け渡されている。動弁カム17にはロッカーアーム22が当接し、動弁カム17によって、図示しない吸気弁と排気弁が所定のタイミングで開閉動作する。
【0013】
シリンダヘッド6には吸気ポート23が形成されており、吸気ポート23に混合気を供給するために気化器つまりキャブレター24がインシュレータ25を介してシリンダヘッド6に取り付けられている。インシュレータ25の吸気ポート23側とキャブレター24側にはガスケット35が介設されており、これにより、インシュレータ25は吸気ポート23とキャブレター24の間にシールされた状態で組み付けられる。キャブレター24には、清浄化された外気をキャブレター24に供給するためのエアークリーナ26が取り付けられている。
【0014】
また、クランクケース2内のブローバイガスをエアークリーナ26に戻すために、ロッカーカバー7内に連通するブローバイ通路27がエアークリーナ26に接続され、ブローバイガスはシリンダヘッド6に形成された気液分離室28およびロッカーカバー7内を通ってエアークリーナ26に案内される。なお、符号29は点火プラグを示す。
【0015】
図2はインシュレータ25の構成を示す斜視図、図3は図2のインシュレータを矢印A方向(図2の裏面側方向)から見た斜視図、図4は図2のインシュレータの部分側面図である。インシュレータ25はフェノール樹脂などの断熱性の樹脂を用いて成形され、その中央部には、吸気ポート23やキャブレター24とガスケット35を介して接合される接合部36が形成されている。接合部36の上下にはエアガイド34が一体に形成されており、これにより冷却ファン12によって生成された冷却風がエンジン本体8側に案内されるようになっている。
【0016】
接合部36の中心部には、インシュレータ25を貫通する形で混合気供給孔31が設けられている。また、混合気供給孔31の両側には、これもインシュレータ25を貫通する形で取付孔32が形成されている。インシュレータ25は、この取付孔32を介してボルト37(図11参照)によりエンジン本体8に装着され、さらに、このボルト37によりインシュレータ25にキャブレター24が取り付けられる。また、接合部36の両端面は接合面38a,38bとなっており、それぞれ吸気ポート23の入口、キャブレター24の出口と接合するようになっている。そして、接合面38aと吸気ポート23の入口、接合面38bとキャブレター24の出口との間にガスケット35が取り付けられる。
【0017】
図5は、ガスケット35の構成を示す平面図である。図5に示すように、ガスケット35は、接合面38aに接し吸気ポート23との間に介設される第1シール片39aと、接合面38bに接しキャブレター24との間に介設される第2シール片39bとを備えている。そして、両シール片39a,39bの間はブリッジ片40にて連結され一体となっている。また、両シール片39a,39bの中央には、混合気供給孔31に対応する位置に連通孔41a,41bが形成されており、この連通孔41a,41bの両側には、取付孔32に対応する位置に連通孔42a,42bが2個ずつ形成されている。
【0018】
一方、接合部36の側部にはガスケット位置決め用の突起43,44が形成されており、ガスケット35にもこれらに対応して穿孔45,46a,46bが形成されている。このうち突起43は、図3に示すように、四角形断面を有する台状の突起であり、接合部36の側部に接合面38a,38bとの間に亘って形成されている。そして、これに対応するガスケット35の穿孔45は、ブリッジ片40に長方形状の孔として形成されている。
【0019】
これに対し突起44は、接合部36の突起43とは反対面側に形成され、図4に示すように、B方向から見てその断面がT字形となっている。すなわち、突起44の上端にはフランジ47が形成されている。また、突起44は、突起43とは略直交する方向を長手方向として突設されている。そして、これに対応するガスケット35の穿孔46a,46bは、両シール片39a,39bの先端側に形成された端片48a,48bに、穿孔45とは略直交する方向を長手方向とする長方形状の孔として形成されている。
【0020】
次に、このようなガスケット35をインシュレータ25に装着する手順、ならびに、ガスケット35を装着したインシュレータ25をエンジン本体8に組み付ける方法について説明する。図6〜図10はガスケット35の装着手順を示す説明図、図11はインシュレータ25の組付方法を示す説明図である。
【0021】
ここでは、まずガスケット35の穿孔45をインシュレータ25の突起43に嵌合させ、ガスケット35の位置決めを行う。すなわち、図6に示すように穿孔45を突起43に嵌め込み、図7のようにガスケット35をインシュレータ25に取り付ける。次に、図7,8に示すように、両シール片39a,39bを折り曲げ、接合面38a,38bに接するようにする。両シール片39a,39bが接合面38a,38bに接するように折り曲げられた状態を図3の視点で見たものが図9である。
【0022】
図9のように両シール片39a,39bを折り曲げた後、対向する端片48a,48bを互いに重ね合わせるように折り曲げる。この際、穿孔46a,46bに突起44に嵌め込み、そのフランジ47を穿孔46a,46bの縁部に係合させる。これにより、突起44から端片48a,48bが脱落しない状態となり、ガスケット35がインシュレータ25に装着される。
【0023】
このようにガスケット35をインシュレータ25に取り付けた後、インシュレータ25をエンジン本体8に取り付ける。図11に示すように、インシュレータ25は、取付孔32にエンジン本体8側に設けられたボルト37を通すことによりエンジン本体8に装着される。この際、インシュレータ25では既にガスケット35が装着されており、その接合面38aと吸気ポート23の入口との間にはガスケット35のシール片39aが配設される形となる。
【0024】
その後、ボルト37にキャブレター24を取り付ける。この際、接合面38bとキャブレター24の出口との間には、ガスケット35のシール片39bが配設される。そして、図示しないナットを締め付けることにより、インシュレータ25と吸気ポート23の入口の間およびインシュレータ25とキャブレター24の出口との間でガスケット35が挟持される。これにより、インシュレータ25は、ガスケット35にてシールされつつ、キャブレター24とエンジン本体8との間に装着される。
【0025】
このように当該ガスケット35では、インシュレータ25と吸気ポート23およびキャブレター24との間に介設される両シール片39a,39bを一体に連結形成したので、1部品のガスケット35にてインシュレータ25をシールすることができる。従って、従来2個使用していたガスケットを1個使いとすることができ、部品点数の削減を図ることが可能となる。また、ガスケット35を予めインシュレータ25に取り付け、ガスケットとセットになった1個のインシュレータモジュールを形成することができるので、インシュレータ25の組み付けに際し、ガスケット35の取付作業を行うことなく、インシュレータ25を組み付けることが可能となる。従って、「ガスケット→インシュレータ→ガスケット」という取り付け手順をインシュレータモジュールの取付作業のみに集約でき、エンジンの組立作業性が向上し、組付工数の削減を図ることが可能となる。
【0026】
以上、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、単気筒の空冷エンジンに本発明を適用した例を示したが、本発明を多気筒の空冷エンジンや、単気筒または多気筒の水冷エンジンに適用することも可能である。さらに、シリンダ5とクランクケース2を一体に形成した例を示したがこれらを分離形成することも可能であり、シリンダヘッド6とシリンダ5とを一体に形成するようにしても良い。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、吸気ポートとインシュレータとの間に介設される第1シール片と、キャブレターとインシュレータとの間に介設される第2シール片とをブリッジ片により一体に連結してインシュレータ用ガスケットを形成したので、1部品のガスケットにてインシュレータをシールすることができる。従って、従来2個使用していたガスケットを1個使いとすることができ、部品点数の削減を図ることが可能となる。
【0028】
また、インシュレータ用ガスケットに、インシュレータのガスケット位置決め用突起に係合する位置決め用の穿孔を設けたので、ガスケットを予めインシュレータに取り付け、ガスケットとセットになった1個のインシュレータモジュールを形成することができ、インシュレータの組み付けに際し、ガスケットの取付作業を行うことなく、インシュレータを組み付けることが可能となる。従って、インシュレータ組み付け時の作業をインシュレータモジュールの取付作業のみに集約でき、エンジンの組立作業性が向上し、組付工数の削減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるインシュレータ用ガスケットを用いた汎用エンジンを示す断面図である。
【図2】インシュレータの構成を示す斜視図である。
【図3】図2のインシュレータを矢印A方向から見た斜視図である。
【図4】図2のインシュレータの部分側面図である。
【図5】ガスケットの構成を示す平面図である。
【図6】ガスケットをインシュレータへ装着する際の手順を示す説明図である。
【図7】ガスケットをインシュレータへ装着する際の図6に続く手順を示す説明図である。
【図8】ガスケットをインシュレータへ装着する際の図7に続く手順を示す説明図である。
【図9】ガスケットをインシュレータへ装着する際の図8に続く手順を示す説明図である。
【図10】ガスケットをインシュレータへ装着する際の図9に続く手順を示す説明図である。
【図11】インシュレータをエンジン本体へ組み付ける方法を示す説明図である。
【符号の説明】
23 吸気ポート
24 キャブレター
25 インシュレータ
35 インシュレータ用ガスケット
39a 第1シール片
39b 第2シール片
40 ブリッジ片
43 突起
44 突起
45 穿孔
46a 穿孔
46b 穿孔
Claims (2)
- エンジンの吸気ポートと混合気を前記エンジンに供給するキャブレターとの間に配置されるインシュレータのシール用に用いられるガスケットであって、
前記インシュレータは、前記吸気ポートおよび前記キャブレターとの接合部の一側に前記ガスケット位置決め用の第1突起と、前記接合部の他側であって前記第1突起と反対面側に前記ガスケット位置決め用の第2突起とを有し、
前記ガスケットは、前記吸気ポートと前記インシュレータとの間に配設される第1シール片と、前記キャブレターと前記インシュレータとの間に配設される第2シール片と、前記第1シール片と前記第2シール片の間に設けられ前記第1および前記第2シール片を連結するブリッジ片と、前記第1シール片の先端側に形成された第1端片と、前記第2シール片の先端側に形成された第2端片とを有し、
前記ブリッジ片には前記第1突起に嵌合する第1穿孔が形成されるとともに、前記第1端片および前記第2端片には前記第2突起に嵌合する第2穿孔が形成されることを特徴とするインシュレータ用ガスケット。 - 前記インシュレータに予め取り付けられることにより、インシュレータモジュールを形成することを特徴とする請求項1記載のインシュレータ用ガスケット。
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Family Applications (1)
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JP2001340437A Expired - Fee Related JP4038359B2 (ja) | 2001-11-06 | 2001-11-06 | インシュレータ用ガスケット |
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