JP4078035B2 - 汎用エンジン用マフラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電機、動力噴霧機および草刈機などの動力源として使用される汎用エンジンに適用される汎用エンジン用マフラに関し、特に、マフラ本体とそれを覆う断熱用のマフラカバーとを有する汎用エンジン用マフラに関する。
【0002】
【従来の技術】
発電機、動力噴霧機および草刈機等の動力源として、汎用エンジンが広く用いられている。汎用エンジンにあっては、エンジン本体の排気ポートから排出される排気ガスの排気騒音を低下させるために、エンジン本体にマフラが取り付けられている。マフラには排気ポートに連通する消音室が設けられたマフラ本体と、このマフラ本体との間に断熱隙間を形成してマフラ本体を覆うように取り付けられるマフラカバーとを有するものがある。従来では、マフラカバーは、たとえば特開平7-312846号公報に示されるように、複数本のボルトを用いてマフラ本体に取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数本のボルトを用いてマフラカバーをマフラ本体に取り付ける場合には、それぞれのボルトに対応してマフラ本体に設けられた雌ねじに、マフラカバーに形成された取付孔を位置合わせする必要がある。また、それぞれのボルトを雌ねじに位置合わせしてそれぞれのボルトを順次締結する必要がある。このため、マフラの組立作業を容易に行うことができず、エンジンの組み立てに時間と工数がかかることになる。
【0004】
本発明の目的は、マフラの組立作業性を向上することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の汎用エンジン用マフラは、エンジン本体に取り付けられるマフラ本体と、前記マフラ本体の外側に装着され、前記マフラ本体との間で断熱隙間を形成するマフラカバーと、前記マフラカバーを前記マフラ本体に締結するねじ部材とを有し、前記マフラカバーは、前記マフラ本体の上面および外側面を覆い下面が開口する形状であり、前記マフラ本体の上面に対向する前記マフラカバーの面に互いに離間する複数の凹凸部を形成し、前記マフラ本体にそれぞれの前記凹凸部が係合する係合部を形成し、前記凹凸部を前記係合部に係合することにより前記マフラカバーを前記マフラ本体に対し所定の位置に位置決めし、前記ねじ部材で締結することを特徴とする。また、本発明の汎用エンジン用マフラは、一つの前記ねじ部材で前記マフラ本体の上面とそれに対向する前記マフラカバーの面とを締結することにより前記マフラカバーを固定することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、マフラカバー側の凹凸部をマフラ本体側の係合部に凹凸係合させることにより、マフラカバーをマフラ本体に対して容易にかつ正確に位置決めすることができる。位置決めされた状態のもとで、単一のねじ部材をねじ結合することによってマフラカバーを迅速にマフラ本体に締結することができる。これにより、マフラの組立作業性を向上させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態である汎用エンジン用マフラを有する汎用エンジンの全体を示す一部切り欠き正面図であり、図2は図1の平面図である。
【0008】
図1に示す汎用エンジンは、単気筒4サイクルガソリンエンジンであり、クランクシャフト1が回転自在に組み込まれたクランクケース2を有する。クランクケース2にはクランクシャフト1の一端部を支持するベアリングケース3が取り付けられている。クランクシャフト1の他端部はクランクケース2に取り付けられた図示しないベアリングにより支持されている。クランクシャフトには図2に示すようにリコイルスタータ4が取り付けられ、リコイルレバー5を手動によって引っ張ることによりクランクシャフト1を回転させてエンジンを始動させることができる。
【0009】
クランクケース2にはシリンダ6が一体にアルミニウム合金や鉄によって形成されており、シリンダ6にはアルミニウム合金などからなるシリンダヘッド7が取り付けられ、クランクケース2とシリンダ6とシリンダヘッド7とによりエンジン本体8が形成されている。図示するエンジンは、エンジン本体8が天地方向に対して傾斜したいわゆる傾斜型のOHC(頭上カム軸)エンジンであり、シリンダヘッド7には板金製若しくは合成樹脂製のロッカカバー9が取り付けられている。
【0010】
エンジン本体8に供給される燃料を収容するために燃料タンク11がクランクケース2に取り付けられ、クランクケース2にはさらにエンジン本体8に供給される外気を清浄化するためのエアークリーナ12が取り付けられている。エアークリーナ12はキャブレターを介してエンジン本体の吸気ポートに接続されている。一方、エンジン本体8には排気ポートから排出される排気ガスの排気騒音を低下するために消音器つまりマフラ13が設けられている。マフラ13はロアケース14aとアッパケース14bとを接合して全体的にほぼ直方体形状に形成されるマフラ本体15と、この上面と外側面とを覆うようにマフラ本体15に取り付けられるマフラカバー16とを有している。
【0011】
図3(A)はマフラ本体15の平面図であり、図3(B)はマフラ本体15の正面図であり、図3(C)はマフラ本体15の底面図であり、図4はマフラ本体15の一部を示す断面図である。マフラ本体15を構成するロアケース14aとアッパケース14bとの間には、図4に示すように、複数の連通孔が形成された仕切板17が組み込まれている。ロアケース14aには取付フランジ18が溶接などの手段により一体に直接固定されており、この取付フランジ18にはロアケース14aに形成された排気流入ポート19に連通する流入孔21と、この流入孔21の両側に位置させて2つの取付孔22a,22bとが形成されている。マフラ本体15は取付フランジ18に形成された2つの取付孔22a,22bを貫通するボルト23により取付フランジ18の部分でエンジン本体8に締結されるようになっている。
【0012】
取付フランジ18は、図3(A),(C)に示すように、マフラ本体15の角部に取り付けられている。これにより、取付フランジ18の一方の取付孔22aはマフラ本体15の水平方向外方に位置することになる。しかも、ロアケース14aのうち他方の取付孔22bに対応する部分には、図3(A)に示すように、凹部24が形成されるとともに、図3(B)に示すように、取付フランジ18は取付孔22a,22bがマフラ本体15の外側を向くように、マフラ本体15に対して幅方向に傾斜している。したがって、ロアケース14aに直接固定された取付フランジ18をエンジン本体8にボルト23を用いて締結するようにしても、ボルト23はマフラ本体15と干渉することなく、容易にボルト23をエンジン本体8に取り付けることができる。このように、マフラ本体15を排気管を用いることなく、直接エンジン本体8に取り付けるようにしたので、マフラ13の耐振性を向上させることができる。
【0013】
マフラカバー16は、マフラ本体15の上面と外側面とを覆い、下面が開口されて断面カップ形状となっており、マフラ本体15とマフラカバー16との間には遮熱隙間つまり断熱隙間25が形成される。マフラカバー16をマフラ本体15の上面に固定するために、マフラ本体15の上面中央部分にはねじ孔26が形成されており、ねじ孔26が形成される部分は他の部分よりも上方に向けて突出している。一方、マフラカバー16にはねじ孔26に対応させて貫通孔27が形成されており、貫通孔27が形成される部分は下方に向けて、つまりマフラ本体15に向けて突出し、マフラカバー16の上面は凹部となっている。この凹部内にボルト28の頭部を収容させるようにして、ボルト28をねじ孔26にねじ結合することによって、マフラカバー16はマフラ本体15に締結される。
【0014】
マフラカバー16にはマフラ本体15に向けて突出する3つの凸部31が形成されており、それぞれの凸部31に対応してマフラ本体15の上面には3つの凹部32が係合部として形成されている。凸部31は図1に示すように先端部の断面が円弧状となっており、凹部32は凸部31の先端部に対応した断面形状となっている。それぞれの凸部31はマフラカバー16をプレスにより成形する際に成形され、それぞれの凹部32はアッパケース14bをプレスにより成形する際に成形される。したがって、凸部31を凹部32に係合させた状態でボルト28によりマフラカバー16がマフラ本体15に締結される。
【0015】
このように、マフラカバー16の取付時にマフラ本体15の上にそれぞれの凸部31をマフラ本体15の凹部32に係合させると、マフラカバー16はマフラ本体15に対して所定の位置に位置決めされ、組立時におけるマフラカバー16の位置決めを容易に行うことができる。それぞれの凸部31を凹部32に係合させる際には、凸部31の先端が断面円弧状となっているので、正確に凸部31を凹部32の中心に位置に合わせなくとも、凸部31が凹部32に入り込む位置でマフラカバー16を押し付けると、凹凸係合によってマフラカバー16は所定の位置に位置決めされる。凸部31の高さ寸法によってマフラカバー16とマフラ本体15との間における断熱隙間25の厚み寸法が所定値に設定される。
【0016】
ボルト28を締結する際には、凸部31によってこれらを頂点として形成される三角形の範囲の中にボルト28が配置されている。これにより、それぞれの凸部31はボルト28の位置から離れるとともにボルト28の回転方向にずらして形成されることになり、ボルト28を回転させる際にマフラカバー16が回転方向にずれることを防止できる。ボルト28を締結すると、3つの凸部31により形成される三角形の範囲の中にボルト28が配置されているので、1本のボルト28によっても強固にマフラカバー16をマフラ本体15に締結することができる。ただし、ボルト28の位置と他の2つの凸部とのそれぞれを頂点とする三角形が形成されるように、それぞれの位置を配置すれば、たとえば、2つの凸部のみとしても良い。
【0017】
図5は変形例であるマフラカバー16とマフラ本体15の要部を示す断面図であり、前述した場合にはマフラカバー16の内面にマフラ本体15に向けて突出した凸部31が凹凸部として形成されているのに対して、図5に示すマフラカバー16には内面側から見て凹部31aとなって凹凸部が形成されている。それぞれの凹部31aに対応させて、マフラ本体15の上面には上方に突出した凸部32aが係合部として形成されている。このように、マフラカバー16に形成される凹凸部の凹凸関係は逆としても良い。
【0018】
以上、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。たとえば、前述の実施の形態では、マフラ本体15にねじ孔を設け、ボルト28によってマフラカバー16を締結しているが、マフラ本体15にボルトを溶接し、ボルトにねじ結合するナットを用いてマフラカバー16を締結するようにしても良い。つまり、ねじ部材としナットを用いるようにしても良い。一方、前述の実施の形態では、傾斜型エンジンに本発明を適用したものを示したが、シリンダ軸線が天地方向に沿って配置された通常のエンジンに本発明を適用することも勿論可能である。また、単気筒の空冷エンジンを例として示したが、本発明を多気筒の空冷エンジンや、単気筒または多気筒の水冷エンジンに適用することも可能である。さらに、シリンダ6とクランクケース2を一体に形成した例を示したがこれらを分離形成することも可能である。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、マフラカバーに形成された凹凸部をマフラ本体に形成された係合部に係合させることにより、マフラカバーを正確にマフラ本体に位置決めすることができる。位置決めされた状態で単一のねじ部材によってマフラカバーをマフラ本体に締結することができるので、少ない部品点数によって容易にマフラカバーを取り付けることができ、汎用エンジンの組立を少ない工数で迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるマフラを有する汎用エンジンの全体を示す一部切り欠き正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】(A)はマフラ本体の平面図であり、(B)はマフラ本体の正面図であり、(C)はマフラ本体の底面図である。
【図4】マフラ本体の一部を示す断面図である。
【図5】変形例であるマフラ本体とマフラカバーの一部を示す断面図である。
【符号の説明】
6 シリンダ
7 シリンダヘッド
8 エンジン本体
11 燃料タンク
13 マフラ
15 マフラ本体
16 マフラカバー
25 断熱隙間
26 ねじ孔
28 ボルト(ねじ部材)
31 凸部(凹凸部)
32 凹部(係合部)
Claims (2)
- エンジン本体に取り付けられるマフラ本体と、
前記マフラ本体の外側に装着され、前記マフラ本体との間で断熱隙間を形成するマフラカバーと、
前記マフラカバーを前記マフラ本体に締結するねじ部材とを有し、
前記マフラカバーは、前記マフラ本体の上面および外側面を覆い下面が開口する形状であり、
前記マフラ本体の上面に対向する前記マフラカバーの面に互いに離間する複数の凹凸部を形成し、
前記マフラ本体にそれぞれの前記凹凸部が係合する係合部を形成し、
前記凹凸部を前記係合部に係合することにより前記マフラカバーを前記マフラ本体に対し所定の位置に位置決めし、前記ねじ部材で締結することを特徴とする汎用エンジン用マフラ。 - 請求項1記載の汎用エンジン用マフラにおいて、一つの前記ねじ部材で前記マフラ本体の上面とそれに対向する前記マフラカバーの面とを締結することにより前記マフラカバーを固定することを特徴とする汎用エンジン用マフラ。
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