JP4037713B2 - 着色ランプ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗り物の照明とくに自動車の照明に用いられているヘッドランプ、テールランプ、方向ランプ等のランプ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の証明に用いられているランプは、キセノンランプ、ハロゲンランプ、白熱球であり、電流を流すと黄色味を帯びた白色光であり、色温度等をコントロールするために酸化コバルト膜をコーティングしたり、また自動車の安全を確保するために、ストップランプは赤色、また方向ランプはオレンジ色等の顔料をコーティングして、各機能色をもったランプを装着していた。
しかし、近年自動車ランプの灯具が透明レンズになって来たため、赤色、青色、オレンジ色等の電球を灯具に装着した場合、特に昼間にランプを見ると一点だけが、赤色、青色、オレンジ色等に見えるためでデザイン性損なっていたのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、透明レンズの灯具に、カラー電球を装着した場合、一点だけが着色されたように見えるため、自動車のデザイン性を損ねていた。
本発明は、光の透過率が高く、点灯前は透明レンズの灯具の色に溶け込む金属色であり、点灯時に多種多様な真珠色の光を出す高級感のあるカラー電球及びその製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、点灯しているときには白色、青色、赤色などの真珠色の光を放ち、消灯すると金属色の着色ランプを得るべく鋭意研究した結果、ガラス管表面に金属コロイド層と特 定の透明保護被膜を設けてなる着色ランプが目的を達成することを見出した。
すなわち、本発明は、ガラス管表面に金属コロイド層、その上に透明保護被膜を設けてなる着色ランプであって、透明保護膜が、シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤からなるゾルをゲル化させたものであり、透明保護被膜がアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた 1 種若しくは 2 種以上を被膜形成組成物に対して5wt%以下含むことを特徴とする着色ランプである。
また、本発明においては、3価金属としてAl粉末又はZn粉末を用いることができる。
さらに本発明においては、金属コロイドとして、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、ニッケルコロイド、銅コロイド、コバルトコロイド、パラジウムコロイド、スズコロイド、ロジウムコロイド、インジウムコロイド、ルテニウムコロイドから選ばれる1種若しくは2種以上を用いることができる。
さらに、本発明においては、金属コロイド層と透明保護被膜の組み合わせ層を、複数層設けることができる。
また、本発明は、(1)ランプのガラス管の表面を金属コロイドに浸漬する工程、(2)150℃〜350℃で焼成し、金属被膜とする工程、(3)シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤とアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた 1 種若しくは 2 種以上を被膜形成組成物に対して5wt%以下含むゾルを金属被膜の上に塗布し、次いで溶剤を除去してゲル化する工程、(4)150℃〜350℃で焼成する工程からなる着色ランプの製造方法である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる金属コロイドは、粒子径が10nm〜50nm程度の金属微粒子を櫛型ブロックコポリマーと溶剤に分散させたものであり(化学工業2001年3月号、41〜46頁参照)、よく知られた材料である。最近では10nm以下の金属コロイドも市販されるようになってきている。金属コロイドは、通常金属単体であるが、金属酸化物、金属水酸化物等であっても良い。
金属コロイドの種類としては、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、ニッケルコロイド、銅コロイド、コバルトコロイド、パラジウムコロイド、スズコロイド、ロジウムコロイド、インジウムコロイド、ルテニウムコロイドなどがあり、これらのうちの1種または2種以上を用いても良い。
金属コロイドを塗布焼き付けた被膜は、薄いほど光の透過率がよいので望ましいが、あまり薄いと点灯時に光の着色ができない。
通常、0.001〜0.3μmであることが望ましく、0.005〜0.05μmがとくに好ましい。
【0006】
本発明において用いられる透明保護膜は、シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤からなるゾルをゲル化させたものである。
Siアルコキシド、Zrアルコキシド、Tiアルコキシド、Alアルコキシド、ホウ素アルコキシド及びこれらの2種以上を用いることが出来る。
ジルコニア前駆体は低温焼成ができ、硬い保護膜を形成するので酸化されやすい金属に対しては、特に保護作用が大きい。
溶剤としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、アセトン、アセチルアセトン等が用いられる。
シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスに対する溶剤の質量比は、約1〜5%:99〜95%が好ましく、とくに1〜3%:99〜97%がより好ましい。
透明保護膜の厚さを溶剤の量で調節することが出来る。
また、干渉縞が出るような場合は透明保護被膜を、複数層設けることができる。例えば、ジルコニアゾルを塗布後焼成し、さらにシリカーアルミナゾルを塗布しても良いし、シリカーアルミナゾルを塗布後焼成し、さらにジルコニアゾルを塗布しても良い。さらにこの場合、透明保護被膜は異種であっても同種であっても良い。
また、金属コロイド層と透明保護被膜の組み合わせ層を、複数層設けることができる。
【0007】
金属コロイドのうち、酸化され易い銀などのコロイドは、ランプのガラス管の表面を金属コロイドに浸漬したあと、150℃〜350℃で焼成すると、一部が酸化されて黒ずんだ色を呈する。
この場合に、次工程で用いるシリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤からなるゾル中に、アルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた1種若しくは2種以上を質量比でゾルに対して1〜20%添加したゾルを用いると、黒ずんだ色を金属色に還元することが出来る。これらの金属の中でAlとZnは水素ガスをゆるやかに発生させるので取扱いが容易である。水素気流中で還元を試みたが、黒ずんだ色を金属色に還元することはできなかった。
【0008】
発明の実施の形態を挙げれば、以下のとおりである。
<1> ガラス管表面に金属コロイドを焼成した金属被膜層、その上に透明保護被膜を設けてなる着色ランプであって、透明保護被膜が、シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤からなる被膜形成組成物ゾルに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた1種若しくは2種以上を被膜形成組成物ゾルに対して0wt%を超えて、かつ5wt%以下含む被膜形成組成物ゾルをゲル化したのち焼成したものであることを特徴とする着色ランプ。
<2> 3価金属がAl粉末又はZn粉末であることを特徴とする上記<1>に記載した着色ランプ。
<3> 金属コロイドが、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、ニッケルコロイド、銅コロイド、コバルトコロイド、パラジウムコロイド、スズコロイド、ロジウムコロイド、インジウムコロイド、ルテニウムコロイドから選ばれる1種若しくは2種以上である上記<1>又は上記<2>に記載した着色ランプ。
<4> 金属コロイドを焼成した金属被膜層と透明保護被膜の組み合わせ層を、複数層設ける上記<1>ないし上記<3>のいずれかひとつに記載した着色ランプ。
<5>(1)ランプのガラス管の表面を金属コロイドに浸漬する工程、(2)150℃〜350℃で焼成し、金属被膜とする工程、(3)シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤とアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた1種若しくは2種以上を被膜形成組成物ゾルに対して0wt%を超えて、かつ5wt%以下含む被膜形成組成物ゾルを金属被膜の上に塗布し、次いで溶剤を除去してゲル化する工程、(4)150℃〜350℃で焼成する工程からなる着色ランプの製造方法。
【0009】
本発明の具体例を示す。
(参考例1)
自動車のサイドランプのガラス管表面を、イソプロピルアルコール脱脂した。乾燥後、ランプのガラス管表面を、アクリル系の櫛形ブロックポリマー、アルカノールアミン(三級アミン)、粒子径約10nmの銀、アルコール系溶剤からなる銀コロイド(AgE−001、Ag濃度17%、日本ペイント(株)製)に、浸漬し乾燥させた後、温度300℃で焼成し、表面が少し黒ずんでいるが厚さ0.02μmの銀層を得た。
次いで、シリカ(SiO2)−ジルコニア(ZrO2)前駆体となるジルコニア変性オルガノシロキサン縮合物20wt%、2−プロパノール55wt%、メタノール15wt%、プロピレングリコールメチルエーテル10wt%からなるゾルを、前記0.02μmの銀層の上に塗布し、溶剤を蒸発させてゲル状とし、300℃で焼結して厚さ0.1μmの透明保護被膜を形成した。
ガラス管表面に薄い銀層及び透明保護被膜が形成された。電流を流してランプを点灯したところ、白に近い灰色の真珠色の発色が見られた。
100時間後、500時間後も殆ど変色しなかった。
【0010】
(参考例2)
自動車のサイドランプのガラス管表面を、イソプロピルアルコール脱脂した。乾燥後、ランプのガラス管表面を、アクリル系の櫛形ブロックポリマー、アルカノールアミン、粒子径約10nmの金、アルコール系溶剤からなる金コロイド(エタノール系金コロイド、Au濃度20%、日本ペイント(株)製)に浸漬し、乾燥させた後、温度300℃で焼成し、厚さ0.02μmの金層を得た。
次いで、シリカ(SiO2)前駆体となるオルガノシロキサン縮合物20wt%、2−プロパノール55wt%、メタノール15wt%、プロピレングリコールメチルエーテル10wt%からなるゾルを、前記0.02μmの金層の上に塗布し、溶剤を蒸発させてゲル状とし、300℃で焼結して厚さ0.1μmの透明保護被膜を形成した。
ガラス管表面に薄い金層及び透明保護被膜が形成された。電流を流してランプを点灯したところ、赤系統の真珠色の発色が見られた。
100時間後、500時間後も殆ど変色しなかった。
【0011】
(実施例1)
自動車のサイドランプのガラス管表面を、イソプロピルアルコール脱脂した。乾燥後、ランプのガラス管表面を、アクリル系の櫛形ブロックポリマー、アルカノールアミン、粒子径約10nmの銀、アルコール系溶剤からなる銀コロイド(AgE−001、Ag濃度17%、日本ペイント(株)製)に、浸漬し乾燥させた後、温度300℃で焼成し、表面が少し黒ずんでいるが厚さ0.02μmの銀層を得た。
次いで、シリカ(SiO2)−ジルコニア(ZrO2)前駆体となるジルコニア変性オルガノシロキサン縮合物20wt%、2−プロパノール55wt%、メタノール15wt%、プロピレングリコールメチルエーテル10wt%からなるゾルにAl粉末(53−150μm、和光純薬工業(株)製)をゾルの質量に対して2%加えて均一に撹拌した。Al粉末添加ゾルを、前記0.02μmの銀層の上に塗布し、溶剤を蒸発させてゲル状とし、300℃で焼結して厚さ0.1μmの透明保護被膜を形成したところ、少し黒ずんでいた表面が銀白色になった。
電流を流してランプを点灯したところ、白銀系統の真珠色の発色が見られた。
100時間後、500時間後も殆ど変色しなかった。
【0012】
【発明の効果】
本発明の着色ランプは、大量に製造できるばかりか、金属コロイドを変えることにより、点灯時に多種多様な真珠光を放ち、しかも長時間使用しても、変色することがなく、消灯時には高級感がある金属色の着色ランプが得られた。
Claims (5)
- ガラス管表面に金属コロイドを焼成した金属被膜層、その上に透明保護被膜を設けてなる着色ランプであって、透明保護被膜が、シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤からなる被膜形成組成物ゾルに、アルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた1種若しくは2種以上を被膜形成組成物ゾルに対して0wt%を超えて、かつ5wt%以下含む被膜形成組成物ゾルをゲル化したのち焼成したものであることを特徴とする着色ランプ。
- 3価金属がAl粉末又はZn粉末であることを特徴とする請求項1に記載した着色ランプ。
- 金属コロイドが、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、ニッケルコロイド、銅コロイド、コバルトコロイド、パラジウムコロイド、スズコロイド、ロジウムコロイド、インジウムコロイド、ルテニウムコロイドから選ばれる1種若しくは2種以上である請求項1又は請求項2に記載した着色ランプ。
- 金属コロイドを焼成した金属被膜層と透明保護被膜の組み合わせ層を、複数層設ける請求項1ないし請求項3のいずれかひとつに記載した着色ランプ。
- (1)ランプのガラス管の表面を金属コロイドに浸漬する工程、(2)150℃〜350℃で焼成し、金属被膜とする工程、(3)シリカ前駆体、シリカ系複合酸化物前駆体、ジルコニア前駆体、アルミ前駆体、チタニア前駆体、ホウ素前駆体から選ばれるマトリックスと溶剤とアルカリ金属、アルカリ土類金属、3価金属より選ばれた1種若しくは2種以上を被膜形成組成物ゾルに対して0wt%を超えて、かつ5wt%以下含む被膜形成組成物ゾルを金属被膜の上に塗布し、次いで溶剤を除去してゲル化する工程、(4)150℃〜350℃で焼成する工程からなる着色ランプの製造方法。
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