JP4037044B2 - 回転体駆動装置及び画像形成装置 - Google Patents

回転体駆動装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転体駆動装置及び回転体駆動装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、印刷機、又はこれらの複合機を含む画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ドラム状の感光体を具備した画像形成装置において、感光体及び感光体周辺の部材を感光体ユニットとして構成し、該感光体ユニットを当該画像形成装置の主たる構造部(以下、単に本体という。)に対して着脱可能にした構成が知られている。
【0003】
この着脱作業は、感光体の経時的劣化の対策として例えば、10万枚オーダーの画像形成単位毎に、感光体ユニット全体を新しいものと交換するなどのため行なわれる。この着脱作業の操作性、ひいては感光体ユニットの交換作業の容易性を図るため、従来、以下の回転体駆動装置が用いられている。
【0004】
図9において、感光体1は筒状に構成されている。この筒状をした感光体の軸方向の右側を本体の後側(以下、本体後側という。)、左側を当該画像形成装置本体の前側(以下、本体前側という。)とする。感光体1の本体前側での端部はフランジ2により一体的に支持されている。フランジ2には、駆動軸ガイド穴3が貫通し、その右側に隣接して駆動軸ガイド穴3よりも大径のガイド穴4が連通している。駆動軸ガイド穴3とガイド穴4との境界部を構成する隔壁の、ガイド穴4側の部位には、ガイド穴4の軸心と同心の円周上に4つの凸部5と、4つの凹部6とが十字状に等間隔に形成されている。これら凸部5と凹部6により被駆動側ジョイント部11が構成されている。
【0005】
一方、感光体1の本体前側の端部については図示しない感光体ユニットに軸支されている。感光体ユニットは装置本体に着脱可能に装着されるが、この装着状態において、駆動軸7の回転動力がフランジ2に伝達されて感光体1が回転される。
【0006】
図7において駆動軸7には、本体前側の端部近傍に直径方向に貫通する穴9が形成されている。駆動軸7には、図8(a)に示す駆動伝達部材10が取り付けられる。駆動伝達部材10は概形が筒形をしていて駆動軸7に摺動可能に嵌合することができる。
【0007】
駆動伝達部材10の本体前側での端部には駆動側ジョイント部12が構成されている。この駆動側ジョイント部12には該駆動伝達部材の軸心と同心の円周上に十字状に4つの凹部14及び凸部15が等間隔に形成されている。これら4つの凹部14及び凸部15は被駆動側ジョイント部11を構成する凸部5と凹部6に噛み合うことができる。駆動伝達部材10の軸方向の他端側、つまり、本体後側の筒部13には軸線方向に長い長穴16が形成されている。
【0008】
駆動伝達部材10を駆動軸7に組み立てるに際しては、図7に示すように、駆動側ジョイント部12を本体前側に向けた状態で駆動軸7に嵌合させ、長穴16を穴9に合わせた上で、スプリングピン8を長穴16と穴9に圧入する。
【0009】
図8(a)、(b)、(c)において、長穴16の短径をW1、スプリングピン8の割部8aを間に入れて測定した可変径の方向でかつ外力をかけない状態での径をD1、当該径D1と直交する方向の径をD2とすると、本例では、D2=1.95mm、D1=2.15mm、W1=2.1〜2.2mmであり、スプリングピン8を長穴16に通しかつ、穴9に圧入する場合、径D2部を長穴16の短手方向のW1に合わせて圧入し、圧入時の抵抗を少なくしている。
【0010】
上記の構成により駆動伝達部材10は長穴16のストローク範囲でスプリングピン8に案内されて摺動可能であり、短径W1方向での緩みが可能な限り小さい嵌合状態のもとで移動することができる。長穴16の軸線方向での両端部はスプリングピン8の外形に適合するR形状になっていてスプリングピン8との密着性が高められている。スプリングピン8の駆動軸7からのはみ出し量は、筒状の駆動伝達部材10の肉厚程度としている。
【0011】
駆動伝達部材10を駆動軸7に組み付けるには、図7において、本体後側より伸張性のコイル状のばね17を駆動軸7に通した上で本体前側に向かう外力を作用させて該ばね17を撓ませた状態で、Eリング18を予め駆動軸7に形成された溝19に装着する。これによりばね17の本体後側が止められる。これにより、ばね17の弾性が常時駆動伝達部材10に作用することとなり、駆動伝達部材12は常時本体前側に付勢されるようになる。
【0012】
駆動軸7に取り付けられた駆動軸伝達部材10に対して何ら外力を与えない状態では、ばね17の弾性により、長穴16の一端部(本体後側の端部)がスプリングピン8に付勢力により密着した状態になっている。仮に駆動軸伝達部材10に対して、本体後側に向かう向きの外力を与えた場合には、図8(a)に示すように長穴16の他端部(本体前側の端部)或いは他端部近傍にスプリングピン8が位置した状態になる。
【0013】
このように、駆動伝達部材10の移動範囲は、スプリングピン8に長穴16の他端部がスプリングピン8に当接する位置から長穴の一端部がスプリングピン8に当接する位置までの距離である。
【0014】
図9において、駆動軸7は本体前側にも、本体後側にも位置がずれないように装置本体(図示省略)に軸支されていて動力伝達用のギヤなどを介して駆動モータと連結されている。
【0015】
駆動軸7に感光体1を装着する場合には、作業者は、感光体1を支持している図示省略の感光体ユニットとともに感光体1を持ち上げ、駆動軸ガイド穴3の軸心と駆動軸7の軸心とをほぼ合わせた状態で本体後側に向けて移動させ、駆動軸7の先端部に形成されたテーパ部7aをガイド穴4に係合させた上で、当該感光体ユニットを図9に示すように矢印20の向き、つまり、本体後側に向けて図示しないストッパで規制される位置まで押し動かす。
【0016】
これにより、テーパ部7aがガイド穴4を経て駆動軸ガイド穴3に導かれ感光体ユニットは所定の装着位置に位置決めされて図示しない係止手段により係止される。
【0017】
こうして感光体ユニットが係止手段により係止された状態のもとで、ばね17の付勢力を以って、駆動軸7の駆動側ジョイント部12を構成する凹部14、凸部15を、感光体1側の被動側ジョイント部11を構成する凸部5、凹部6に挿入させて両ジョイント部の接合状態を得、駆動軸7の回転を感光体1に伝達する。
【0018】
ここで、駆動側ジョイント部12と被駆動側ジョイント部11との接合状態を容易に得るようにするため、凸部15の幅は凹部6の幅よりも小さく、凹部6の幅も凸部15の幅よりも大きくしてあり、凸部については先細のテーパ状、凹部については奥側ほど幅が狭くなるテーパ状に形成されていて、これら凹部と凸部との噛み合い状態が容易に得られるようにしてある。
【0019】
しかし、作業者が感光体ユニットと共に感光体1を装置本体に装着しただけでは、凹部14に対する凸部5及び、凸部15に対する凹部6の位置が最初から都合よく合致することはなく、例えば、図10に示すように凹部14の入口と凸部5の先端部とが当たって噛み合いができない状態となっている。
【0020】
このような事態を想定し、駆動側ジョイント部12と被駆動側ジョイント部11とが離脱状態にある場合でも、駆動軸7を空転させることにより、凹部14に対して凸部5及び、凸部15に対して凹部6が合致したときに、ばね17の弾性加圧力により駆動伝達部材10が本体前側に移動し、図11に示すように凹部14に対して凸部5及び、凸部15に対して凹部6が自動的に噛み合う。
【0021】
このように自動的に噛み合い動作を行なわせるため、駆動伝達部材10を前記したように長穴16の範囲で軸方向に可動とし、凸部15の一部と凸部5の一部とが当接した図10に示す位置では、駆動伝達部材10は被動側ジョイント部11により押し動かされて正規の噛み合い位置よりも本体後側に退避できるようにしてあり、凹部14に対する凸部5及び、凸部15に対する凹部6が合致したときにばね17の付勢力により駆動伝達部材10が本体前側に移動することで、噛み合わせ状態が得られ、両ジョイントが接合状態となるようにしている。
【0022】
被駆動側ジョイント部11が構成されたフランジ2や、駆動側ジョイント部12が形成された駆動伝達部材10、スプリングピン8、長穴16、ばね17、Eリング18等は回転体駆動装置を構成している。
【0023】
凹部14に対する凸部5及び、凸部15に対する凹部6が噛み合い状態にある図11に示す接合位置では、スプリングピン8は長穴16の一端部(本体前側の端部)に位置しており、この状態では前記したように、長穴16の短径W1とスプリングピン8との隙間が極力小さくなるように設定してある。仮に、隙間が大きいと、この隙間を介して感光体1が振動し、画像にジターを生ずるからである。
【0024】
そのため、従来、図8に示すように、長穴16の一端部(本体前側の端部)についてのR形状部をスプリングピン8が密着するように設定し、隙間がほぼ0になるようにしている。
【0025】
駆動伝達部材10と駆動軸7との遊びは、スプリングピン8と長穴16との隙間により生ずるので、前記したように、長穴16の短径W1とスプリングピン8との隙間は極力小さく設定し、かつ、長穴16の端部をR形状とし、スプリングピン8と長穴16との密着性を高めている。
【0026】
しかし、このように密着性を長穴16の全範囲で高めると、図10に示すように離脱状態において、駆動軸7と共に駆動側ジョイント部12が回転して凹部14に対する凸部5及び、凸部15に対する凹部6の位置が合致することでばね17の付勢力により駆動伝達部材10を本体前側に移動させようとしても、スプリングピン8と長穴16との密着性を高いため、駆動伝達部材10が移動せず、被動側ジョイント部10と駆動側ジョイント部12との接合状態が得られないことがあった。そのため、感光体1は駆動されず、画像形成動作が不能になる。
【0027】
上記例では、感光体を感光体ユニットと共に構成する例で説明したが、感光体を単独で装置本体に着脱する構成においても同様の問題がある。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、装置本体に対する回転体の着脱操作の操作性を向上するとともに、回転体への動力伝達の確実性を保持することのできる回転体駆動装置及び当該回転体駆動装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1).駆動軸の動力を回転体に断、接自在に切り換え可能な動力伝達手段であって、前記駆動軸に沿って駆動伝達部材を移動することにより被駆動体としての回転体に形成した被駆動側ジョイント部と前記駆動伝達部材に形成した駆動側ジョイント部とを離脱状態から接合状態に切り換え、前記駆動伝達部材と前記駆動軸の何れか一方に設けた長穴と他方に設けた軸との嵌合により前記駆動伝達部材の前記移動量を規制し、前記長穴の一端部に前記軸が位置するときに前記接合状態を得、前記長穴の他端部又は該他端部近傍に前記軸が位置するときに前記離脱状態を得る回転体駆動装置において、前記一端部における前記軸と前記長穴との嵌合度合を、前記軸が前記長穴中で摺動可能な範囲で可及的にきつくしているのに対して前記他端部における前記軸と前記長穴との嵌合度合を前記一端部よりも緩くした(請求項1)。
(2).(1)記載の回転体駆動装置において、前記長穴は前記他端部の半径が前記端部の半径よりも大きいR形状に形成された、たまご形とした(請求項2)。
(3).(1)又は(2)記載の回転体駆動装置において、前記駆動伝達部材には前記駆動側ジョイント部を前記被駆動側ジョイント部に近づける向きの付勢力を与える付勢手段が設けられ、前記被駆動側ジョイント部、前記駆動側ジョイント部はそれぞれ凹凸部を具備し、前記接合状態では前記被駆動側ジョイント部の凹部(又は凸部)と前記駆動側ジョイント部の凸部(又は凹部)とが噛み合い、前記離脱状態では前記被駆動側ジョイント部の凸部と前記駆動側ジョイント部の凸部とが当接する非噛み合い状態にあることとした(請求項3)。
(4).(3)記載の回転体駆動装置において、前記付勢力は前記離脱状態、前記接合状態を通じて作用するようにした(請求項4)。
(5).(1)、(2)、(3)又は(4)記載の回転体駆動装置において、前記軸は割部の有るスプリングピンからなり、割部が前記長穴の長手方向に向くように組み立てた(請求項5)。
(6).回転体としてドラム状の像担持体を具備した画像形成装置において(1)、(2)、(3)、(4)又は(5)記載の前記回転体は前記駆動軸から着脱可能とした(請求項6)。
【0030】
【発明の実施の形態】
[1]画像形成装置
本発明に係る回転体駆動装置を用いた画像形成装置の一例として複写機の構成及び動作の概要を図4により説明する。なお、以下の説明において、図7〜図11において従来技術として説明した部材と共通の部材については同じ符号で示した。
【0031】
図4において、この複写機には像担持体の一例であるドラム状をした感光体1の他にもいくつかの回転体が示されている。基本的には、これらの回転体について本発明を適用することは可能である。以下の例では、感光体1を本発明に係る回転体の例として、この感光体1を駆動するための動力伝達手段を回転体駆動装置として説明する。
【0032】
感光体1は図示しない感光体ユニットに支持されていて、この感光体ユニットが装置本体のフレーム支持されると共に、感光体1が駆動軸7と接続されて回転力を受け、所定の回転方向に回転駆動される。
【0033】
図4において、感光体1は矢印で示す回転中に、感光体1に接して回転する帯電ローラ21によって表面が所定の極性に一様に帯電される。この帯電面に、光書き込み装置22から光変調されたレーザー光Lが照射され、このレーザー光Lによって感光体表面に所定の静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置4を通過する間にトナーによって可視像化される。
【0034】
一方、図示していない給紙装置から記録用紙Pが給送される。この記録用紙Pは送給の途中でレジストローラ対24によって一時的に進行が止められ、所定のタイミングを図って転写位置25に送り込まれて該転写位置25で感光体1上のトナー像が記録用紙P上に転写される。
【0035】
トナー像が転写された記録用紙Pは、転写ベルト26によって図示していない定着装置へ送られ、該定着装置を通過する間にトナー像が記録用紙P上に定着される。トナー像の定着を終えた記録用紙Pは図示していない排紙トレイ上にスタックされる。
【0036】
一方、トナー像転写後に感光体表面に付着している転写残トナーは、感光体1に摺接されるクリーニングブレード27aを具備したクリーニング装置27によって除去され、感光体表面が清掃される。感光体表面はクリーニング後、除電ランプ28からの光によって除電され、次の画像形成に備えられる。
【0037】
上述した感光体1を回転駆動する駆動モータ29から感光体1に至る回転駆動力の伝達経路を、図5、図6により説明する。図5において、駆動モータ29は本体のフレーム30に固定されたブラケット31に固定支持されている。
【0038】
駆動モータ29の出力軸と一体の出力ギヤ32に、樹脂製の第一減速ギヤ33が噛み合っている。この第1減速ギヤ33は、ブラケット31に固定された軸34に回転自在に支持されて樹脂製の第2ギヤ35に噛み合わされている。第2ギヤ35はブラケット31に軸支された軸36に固定されている。
【0039】
軸36の一方の端部には第2ギヤ35と同心にタイミングプーリ37が固定されている。タイミングプーリ37と他のタイミングプーリ38間には無端状のタイミングベルト39が巻き掛けられていて、タイミングプーリ38は感光体1を駆動支持する駆動軸7に固定されている。
【0040】
駆動軸7の一方の端部側は2つの軸受40、41を介して感光体ホルダ42に回転自在に支持されており、感光体ホルダ42はフレーム30に固定されている。駆動軸7の図示していない他方の端部側は感光体ユニットに軸支されていて、該感光体ユニットが装置本体に装着されている。或いは、感光体1が直接、装置本体に軸支されている。駆動軸7と感光体1とは、本発明に係る回転体駆動装置43を介して連結されている。
【0041】
図5、図6において、駆動モータ29が作動して出力ギヤ32が回転すると、その回転は第1ギヤ33、第2ギヤ35及び軸36を介してタイミングプーリ37に伝わる。さらに、その回転はタイミングベルト39、タイミングプーリ38、駆動軸7、回転駆動装置43を介して感光体1に伝えられ、感光体1が図4における時計方向に回転する。
[2]請求項に対応する例
図5に示した回転体駆動装置43の構成は、前記従来技術の項で図7〜図11により説明したように、被駆動側ジョイント部11が構成されたフランジ2や、駆動側ジョイント部12が形成された駆動伝達部材10、スプリングピン8、ばね17、Eリング18、長穴16等にそれぞれ相当する構成部分を有している。
【0042】
以下では煩雑を避けるため、回転駆動装置43の構成部分のうち、前記図7〜図11において説明したものと機能的に同じ構成部分については、同じ符号で示すにとどめ、重複した説明はできるだけ省略する。
【0043】
図1(a)は駆動伝達部材10の正面図であり、図1(b)は駆動伝達部材10に形成された長穴160を拡大して示したものである。なお、図1(b)には、従来の長穴16を2点鎖線で示し、本発明に係る長穴160と従来の長穴16とを対比できるようにしている。長穴160には、スプリングピン8からなる軸が長穴160の長手方向の全範囲で摺動可能に嵌合している。
【0044】
本例では、長穴160の一端部(本体後側の端部)におけるスプリングピン8と長穴160との嵌合度合を、スプリングピン8が長穴160中で摺動可能な範囲で可能な限り、つまり可及的にきつくし、長穴160の他端部(本体前側の端部)におけるスプリングピン8と長穴160との嵌合度合を一端部(本体後側の端部)よりも緩くしている。
【0045】
スプリングピン8は略円柱状の軸であり、長穴160の長手方向の両端部はスプリングピン8の輪郭に合わせた半円形の所謂R形状をしている。ここで、従来の長穴16は、一端部(本体後側の端部)でのR部の半径と、他端部(本体前側の端部)でのR部の半径は共にRaで等しいので半径Raの円を狙いの距離で2つ描き、2本の接線で結び、内側の領域をパンチプレスで打ち抜いているのに対して、本例における長穴160については、一端部(本体後側の端部)でのR部の半径はスプリングピン8の摺動を許す範囲でスプリングピン8の半径と略等しい半径のRaであるが、他端部(本体前側の端部)でのR部の半径はRaよりも大きいRbとしている。つまり、図1(a)、図1(b)において明らかなように、長穴160はたまご形の穴となっている。
【0046】
このような長穴160では、スプリングピン8が長穴160の他端部(本体前側)に位置するときには緩い嵌合度合いとなり、スプリングピン8が長穴160の一端部(本体後側)に位置するときには摺動可能な限度できつい嵌合の度合いとなる。前記したように、駆動伝達部材10には付勢手段としてのばね17により、駆動側ジョイント部12を被駆動側ジョイント部11に近づける向きの付勢力が与えられている。
【0047】
感光体ユニットを装置本体に装着したときには、図2に示すように被駆動側ジョイント部11の凸部5と駆動側ジョイント部12の凸部15とが当接したことにより、一時的に互いに離間した状態になるがすぐにばね17の加圧力により凸部5と凸部15とが当接した状態になる。
【0048】
この当接状態では、駆動側ジョイント部12と非駆動側ジョイント部11とが非噛み合い状態にあり、スプリングピン8は長穴160の他端部(本体前側の端部)に位置している。
【0049】
この状態のもとで、駆動軸7が回転することにより被駆動ジョイント部11の凸部5と駆動側ジョイント部12の凸部15との位置がずれ、駆動側ジョイント部12の凸部15と被動側ジョイント部11の凹部6とが合致するようになると、スプリングピン8と長穴160との嵌合関係は緩いので、従来のように引っ掛かることなく、ばね17の加圧力によって円滑にスプリングピン8は長穴160中を移動し、これら被駆動側ジョイント部11と駆動側ジョイント部11との正規の噛み合い状態を得ることができる。これにより、感光体1は駆動力を得て回転されるようになる。
【0050】
駆動伝達部材10は燒結材で製作されており、長穴160は燒結材をプレス加工で打ち抜いて形成されているため、長穴160の内周面にはギザギザの所謂かえりが生じていて表面状態が荒れている。このようなかえり部とスプリングピン8とが面と面とで当たると所謂噛みこみを生じ、円滑な摺動ができなくなる。
【0051】
この点、本例のように、一端部(本体後側の端部)でのR部の半径はRaであるが、他端部(本体前側の端部)でのR部の半径はRaよりも大きいRbとした場合、他端部(本体前側の端部)ではスプリングピン8と長穴160とが面同士で接触することがなくなるので、密着状態を生ぜず、よって、被駆動側ジョイント部11と駆動側ジョイント部11との凹凸部の正規の噛み合い状態を確実に得ることができる。
【0052】
このように長穴160の他端部(本体前側の端部)におけるスプリングピン8と長穴160との嵌合の度合を緩くすることは、燒結材をプレス抜きした長穴では前記したようにかえ部を生じていることがあるので特に重要である。
【0053】
また図3に示すように、被駆動側ジョイント部11と駆動側ジョイント部11とが接合状態にあり凹部と凸部とが正規の噛み合い状態を得ているときには、スプリングピン8は長穴160の一端部(本体後側の端部)に位置した接合状態にあり、これらスプリングピン8と長穴160との嵌合関係は隙間が殆どないきつい嵌合状態にあるので、感光体1の振動がおさえられて、画像にジターが生じない。
【0054】
特に、図4に示した複写機のように感光体1にクリーニングブレード27a、帯電ローラ21、転写ベルト26などが接触している構成ではこれらの接触によって感光体1は振動を生じやすいが、本例のようにスプリングピン8が長穴160の一端部(本体後側の端部)に位置しているときに、これらスプリングピン8と長穴160との嵌合状態がきつく緩みが小さければ、感光体1の振動が生じにくくなり、ジターも生じなくなる。
【0055】
従来、前記図8(a)、(b)、(c)で説明したように、スプリングピン8を穴9に圧入する場合、径D2部を長穴16の短手方向のW1に合わせて圧入し、圧入時の抵抗を少なくしていた。つまり、スプリングピン8の割部8aは、長穴16の周面に接するような図8に2点鎖線で示すような態様で組み立られているが、このような組み立て状態では、割部8aの開口部を構成する縁の部位が鋭利なため、この部位が長穴160の内周面部と摺接する際に、長穴の内周面部に引っ掛かり大きな摺動抵抗を受けてしまう。
【0056】
スプリングピン8をチャッキングし外径を絞る治具を使用すれば、該スプリングピン8の割部の向きを任意に代えて圧入することが可能である。そこで、本例では、このような治具を使用し、スプリングピン8に沿う駆動伝達部材10の移動を円滑にするため、図1(a)に示すように割部8aを長穴160の長手方向に向くような配置でスプリングピン8を装着した。
【0057】
スプリングピン8の割部8aを長穴160の長手方向に向けた組み立て状態では、割部8aから90°ずれた滑らかな周面部が長穴160に摺接することとなり、駆動伝達部材10の動作の円滑性が確保され、一層、スプリングピン8と長穴160との動きが容易となり、駆動側ジョイント部12と被動側ジョイント部11との確実な接合状態を得ることが容易となる。
【0058】
なお、割部のあるスプリングピン8を使用せず、中実のピンを用いることもできるが、割部の弾性は長穴短径部との緩みを吸収する機能があり、また、規格品のスプリングピンを使用するのがコスト面で有利であるのでスプリングピンの使用が好ましい。
【0059】
以上の例では、長穴160は1ヵ所しか設けなかった必要に応じて、2ヵ所設けることもできる。また、駆動伝達部材10側に長穴160を形成し、駆動軸7側にスプリングピン8を設けたが、この逆に、駆動伝達部材10側にスプリングピンを設け、駆動軸7側に該スプリングピンと嵌合する長穴を形成するとすることも可能である。
【0060】
本例では、回転体の一例としてドラム状の感光体1を例示したが、これに限らず、感光体以外の磁気的作用により潜像を担持する像担持体や、その他、駆動軸からの動力を得て回転する他の回転体であって、メンテナンス等の必要性から本体に対して着脱が行なわれるものについても上記例に準じて回転体駆動装置として構成することができる。
【0061】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、回転体に対する動力伝達状態を確実に得ることができ、回転体着脱時における操作性が向上する。請求項2記載の発明では、回転体に対する動力伝達状態を簡単かつ確実に得ることができる。請求項3、4記載の発明では、回転体の装着動作に応じて自動的に回転体の動力伝達がなされる。請求項5記載の発明では、スプリングピンによる部材の摺動抵抗を軽減して回転体に対する動力伝達の一層の確実さが得られる。請求項6記載の発明では、画像形成装置において、像担持体の交換作業の操作性、像担持体への動力伝達の確実性を向上し、ジターのない高画質の画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は駆動伝達部材の正面図、図1(b)は本発明に係る長穴の説明図である。
【図2】駆動側ジョイントと被駆動側ジョイントとが離脱状態にあるときの回転体駆動装置の要部断面図である。
【図3】駆動側ジョイントと被駆動側ジョイントとが接合状態にあるときの回転体駆動装置の要部断面図である。
【図4】本発明が適用される画像形成装置の一例を説明した図である。
【図5】感光体駆動系の機械的な構成を説明した図である。
【図6】感光体駆動系の動力伝達経路を説明した図である。
【図7】駆動軸に装着される駆動伝達部材及びその付帯部材の分解組立図である。
【図8】図8(a)は従来の駆動伝達部材の正面図、図8(b)はスプリングピンの平面図、図8(c)はスプリングピンの正面図である。
【図9】感光体と駆動軸との関係を示す分解組立図である。
【図10】従来技術であって、駆動側ジョイントと被駆動側ジョイントとが離脱状態にあるときの回転体駆動装置の要部断面図である。
【図11】従来技術であって、駆動側ジョイントと被駆動側ジョイントとが接合状態にあるときの回転体駆動装置の要部断面図である。
【符号の説明】
1 感光体
5、15 凸部
6、14 凹部
7 駆動軸
8 スプリングピン
8a 割部
160 長穴

Claims (6)

  1. 駆動軸に沿って駆動伝達部材を移動することにより被駆動体としての回転体に形成した被駆動側ジョイント部と前記駆動伝達部材に形成した駆動側ジョイント部とを離脱状態から接合状態に切り換え、前記駆動伝達部材と前記駆動軸の何れか一方に設けた長穴と他方に設けた軸との嵌合により前記駆動伝達部材の前記移動量を規制し、前記長穴の一端部に前記軸が位置するときに前記接合状態を得、前記長穴の他端部又は該他端部近傍に前記軸が位置するときに前記離脱状態を得る回転体駆動装置において、前記一端部における前記軸と前記長穴との嵌合度合を、前記軸が前記長穴中で摺動可能な範囲で可及的にきつくしているのに対して前記他端部における前記軸と前記長穴との嵌合度合を前記一端部よりも緩くしたことを特徴とする回転体駆動装置。
  2. 請求項1記載の回転体駆動装置において、前記長穴は前記他端部の半径が前記端部の半径よりも大きいR形状に形成された、たまご形であることを特徴とする回転体駆動装置。
  3. 請求項1又は2記載の回転体駆動装置において、前記駆動伝達部材には前記駆動側ジョイント部を前記被駆動側ジョイント部に近づける向きの付勢力を与える付勢手段が設けられ、前記被駆動側ジョイント部、前記駆動側ジョイント部はそれぞれ凹凸部を具備し、前記接合状態では前記被駆動側ジョイント部の凹部(又は凸部)と前記駆動側ジョイント部の凸部(又は凹部)とが噛み合い、前記離脱状態では前記被駆動側ジョイント部の凸部と前記駆動側ジョイント部の凸部とが当接する非噛み合い状態にあることを特徴とする回転体駆動装置。
  4. 請求項3記載の回転体駆動装置において、前記付勢力は前記離脱状態、前記接合状態を通じて作用していることを特徴とする回転体駆動装置。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の回転体駆動装置において、前記軸は割部の有るスプリングピンからなり、割部が前記長穴の長手方向に向くように組み立てられていることを特徴とする回転体駆動装置。
  6. 回転体としてドラム状の像担持体を具備した画像形成装置において、請求項1、2、3、4又は5記載の前記回転体は前記駆動軸から着脱可能であることを特徴とする画像形成装置。
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