JP4564899B2 - 駆動伝達装置、シート搬送装置および画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、駆動伝達装置および搬送装置に関するものである。また、ファクシミリ、プリンタ、複写機などの画像形成装置に関するものである。
従来、記録シート収容部に積載されている記録シート束の一番上の記録シートを、ピックアップローラによってフィードローラへ案内し、フィードローラとリバースローラとによって一枚に分離して、画像形成部へ搬送するシート搬送装置を備えた画像形成装置が知られている。
特許文献1には、ピックアップローラとフィードローラとリバースローラとをフレームに一体的に装着し、ユニット化して装置本体から着脱可能にしたシート搬送装置が記載されている。このシート搬送装置は、フィードローラおよびピックアップローラを回転駆動させる第1駆動源と、リバースローラを回転駆動させる第2駆動源とを設けている。そして、第1駆動源の回転駆動力をフィードローラの回転軸に伝達するため、第1カップリングを備えた第1駆動伝達装置と、第2駆動源の回転駆動力をリバースローラの回転軸に伝達するため、第2カップリングを備えた第2駆動伝達装置とを備えている。第1駆動伝達装置は、第1カップリングを用いて、フィードローラの回転軸とフィードローラおよびピックアップローラを回転駆動させる駆動源の駆動軸とを連結させ、駆動源の駆動力をフィードローラおよびピックアップローラに伝達している。また、第2駆動伝達装置は、第2カップリングを用いて、リバースローラの回転軸とリバースローラを回転駆動させる駆動源の駆動軸とを連結させ、駆動源の駆動力をリバースローラに伝達している。
図15は、フィードローラの回転軸およびリバースローラの回転軸に取り付けられる従来のカップリング240の概略構成図であり、図16は、従来のカップリング240の概略断面図であり、図17は、カップリング240を駆動軸側から見た図である。図15に示すように、カップリング240は、第1回転軸たる回転軸261が挿入される回転軸取り付け部240bと、第2回転軸たる駆動軸262が挿入される駆動軸取り付け部240aとを有している。回転軸取り付け部240bには、軸方向に延びるピン孔たる長穴240cが設けられている。また、回転軸261の先端には、図示しない貫通孔が設けられている。上記カップリング240の長穴240cと回転軸261の貫通孔とにスプリングピン243が貫通して、カップリング240が回転軸261に取り付けられている。また、回転軸261に固定されたばね受け244とカップリング240との間に圧縮スプリング241が配置されており、カップリング240を駆動軸側へ付勢している。
カップリング240の駆動軸取り付け部240aには、図17に示すように、駆動軸262の係合ピン262aが係合する係合溝部240dが形成されている。
回転軸261と駆動軸262との連結は、以下のように行う。まず、駆動軸262を相対的にカップリング側へ移動させる。このとき、係合溝240dに駆動軸262の係合ピン262aが挿入されずに、側面240eに突き当たってしまった場合は、駆動軸262の係合ピン262aによって、カップリング240が回転軸側に押され、スプリング241が圧縮変形する。次に、駆動軸262を相対的に回転させ、係合ピン262aを係合溝240dの位置まで移動させる。係合ピン262aが係合溝240dの位置まで移動すると、係合ピン262aのカップリング240を回転軸側に押し込む力がなくなり、カップリング240は、スプリング241の付勢力で駆動軸側へ移動する。これにより、係合ピン262aがカップリング240の係合溝240dと係合する。
この係合溝240dに駆動軸262の係合ピン262aが係合することで、駆動軸262の回転駆動力が係合ピン262aを介してカップリング240に伝達され、カップリング240から回転軸261に駆動力が伝達される。
特許第2815923号公報 特開2001−193755号公報
従来のカップリングは、図16に示すように、カップリング回転軸取り付け部240bの内径を回転軸261の直径と同等とし、回転軸261に対して、ガタ無く取り付けられていた。よって、装置の積み上げ公差などで、回転軸261の軸心と駆動軸262の軸心とが大幅にズレると、図16、図17などに示すように、駆動軸取り付け部240aの内周面240fに駆動軸262が強く当接してしまう。このように、駆動軸262が駆動軸取り付け部240aの内周面240fに強く当接してしまうと、駆動軸取り付け部240aの内周面240fが早期に摩耗してしまい、カップリング240の寿命が早まってしまう。
特許文献2には、回転軸の直径よりもカップリングの回転軸取り付け部の内径を大きくして、回転軸に対して、任意のガタが生じるようにしたものが記載されている。このように、回転軸の直径よりも回転軸取り付け部の内径を大きくすることで、カップリングがスプリングピンの軸方向および周方向に移動可能となる。回転軸の軸中心と、駆動軸の軸中心とが大きくずれて、駆動軸がカップリングをズレ方向に押し込むと、カップリングがピンの軸方向と周方向とに移動して、駆動軸がカップリングを押し込む力を吸収する。これにより、駆動軸とカップリングの内周面とが強く当接するのが抑制される。
このように、回転軸の直径よりも回転軸取り付け部の内径を大きくして、回転軸に対して、任意のガタが生じるようにした場合は、カップリングに伝達された回転駆動力は、スプリングピンを介して回転軸に伝達されるようになる。このとき、カップリングの長穴とスプリングピンとの間に回転方向の遊び(隙間)があると、カップリングに伝達された駆動力が、スプリングピンに直ぐに伝達されなくなり、回転ムラが生じてしまう。また、カップリングに伝達された駆動力がスプリングピンに伝達されていないときと、カップリングに伝達された駆動力がスプリングピンに伝達されているときとでは、駆動源にかかる負荷が大きく異なってくる。このため、駆動源をステッピングモータにした場合は、駆動源にかかる負荷が大きく変動することで、脱調してしまい、回転駆動を制御できなくなってしまう問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、第1回転軸の軸中心と第2回転軸の軸中心とが大きくズレても、第2回転軸がカップリング内周面と強く当接するのを抑制するとともに、カップリングと第1回転軸との駆動伝達を良好に行うことができる駆動伝達装置、シート搬送装置および画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、第1回転軸と第2回転軸との間にあり、該2つの軸端部を内包して軸同士を連結し、一方の回転軸の回転駆動力を他方の回転軸へ伝達するカップリングを備えた駆動伝達装置において、上記カップリングに設けられた軸方向に延びる長穴状のピン孔と上記第1回転軸の軸端部に設けられた貫通孔とにピンを貫通させることで上記第1回転軸に該カップリング取り付けられ、上記カップリングの内周面に設けられた係合溝に上記第2回転軸の先端部に設けられ第2回転軸を貫通する係合ピンが係合することで、一方の回転軸の回転駆動力を他方の回転軸へ伝達するものであって、上記カップリングは、該第1回転軸が内包される部分の内径が、該第1回転軸の直径よりも大きく、かつ、上記回転軸に固定されたバネ受けと上記カップリングとの間に配置された付勢部材によって第2回転軸側へ付勢されており、上記カップリングの第2回転軸側側面の上記係合溝から回転方向逆側を、少なくとも上記係合ピンの半径よりも第1回転軸側に凹んだ段部とし、該段部の係合溝からの形成範囲が120°以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は請求項の駆動伝達装置において、上記第1回転軸と上記第2回転軸との連結が外れ、再び連結されたと想定される動作が行われたとき、上記第2回転軸を該第1回転軸に対して相対的に所定角度回転させることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1または2の駆動伝達装置において、上記ピンは、割り部が有るスプリングピンであり、該スプリングピンの割り部が、第2回転軸側へ向いていることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、上記係合ピンが上記係合溝に係合したとき、上記第1回転軸と直交する仮想平面上で上記ピンと該係合ピンとのなす角度が90°であることを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項1乃至いずれかの駆動伝達装置において、上記カップリングを摺動性の高い材質で構成したことを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、記録シート収容部から繰り出された記録シートを、フィードローラとリバースローラとによって一枚に分離して搬送するシート搬送装置において、該フィードローラを回転駆動させる第1駆動源と、該リバースローラを回転駆動させる第2駆動源とを備え、該第1駆動源の回転駆動力を該フィードローラへ伝達する駆動伝達装置及び該第2駆動源の回転駆動力を該リバースローラへ伝達する駆動伝達装置のうち少なくともひとつの駆動伝達装置を、請求項1乃至いずれかの駆動伝達装置としたことを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項のシート搬送装置において、上記フィードローラおよび上記リバースローラを、フレームに一体的に装着し装置本体に対して着脱可能とした給紙ユニットとしたことを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項のシート搬送装置において、上記フィードローラを回転駆動させる第1駆動源と、上記リバースローラを回転駆動させる第2駆動源とをフレームに一体的に装着し装置本体に対して着脱可能とした駆動ユニットとし、該駆動ユニットと上記給紙ユニットのうち、装置本体から着脱される回数の多い方のユニットの軸に、上記カップリングを取り付けたことを特徴とするものである。
また、請求項の発明は、請求項6乃至8いずれかのシート搬送装置を備えたことを特徴とするものである
発明によれば、第1回転軸の直径よりも、該カップリングの第1回転軸取り付け部の内径を大きくしているので、カップリングは、ピンの周方向に、ピンを中心にして回転することができる。また、ピンの軸方向にも、ピンと摺動してカップリングを移動可能にできる。
第1回転軸の軸中心と、第2回転軸の軸中心とが大きくずれて、第2回転軸がカップリングの内周面に当接すると、第1回転軸の軸中心と、第2回転軸の軸中心とのズレ方向に第2回転軸がカップリングを押し込む。すると、カップリングがピンと摺動してピンに対して軸方向に移動し、第2回転軸がカップリングを押し込む力のうちピンの軸方向成分を吸収する。また、これと同時にカップリングがピンを回転の中心としてピンの周方向に回転して、第2回転軸がカップリングを押し込む力のうちピンに対して垂直方向成分を吸収する。このように、カップリングがピンの軸方向と周方向とに移動することで、第2回転軸とカップリングの内周面とが強く当接するのが抑制される。その結果、カップリングの内周面が早期に摩耗して、カップリングの寿命が早まることが抑制される。
また、ピンとカップリングとは、摺動可能な範囲できつく嵌合されているので、ピンとカップリングとの間に回転方向の遊びを無くすことができる。その結果、カップリングと第1回転軸との駆動伝達を良好に行うことができ、回転ムラを抑制することができる。また、ピンとカップリングとは、摺動可能な範囲できつく嵌合されているため、負荷変動が生じることが抑制される。このため、駆動源としてステッピングモータを使用しても、脱調してしまい、回転駆動を制御できなくなるのを抑制することができる。
以下、本発明を、画像形成装置としての複写機に適用した一実施形態について説明する。
まず、本実施形態に係る複写機の構成及び動作について説明する。
図1は、本実施形態に係る複写機全体の概略構成図である。複写機本体10の内部には画像形成部100が設けられており、その画像形成部100には像担持体としてのドラム状の感光体11が備わっている。この感光体11の周りには、帯電装置12、現像装置13、転写搬送装置14、クリーニング装置15などが配置されている。また、画像形成部100の上部には、レーザ書込装置16が設けられている。このレーザ書込装置16は、レーザダイオード等からなる光源、ポリゴンミラーからなる走査用の回転多面鏡、ポリゴンモータ、fθレンズ、ミラーなどの図示しない走査光学系を備えている。また、クリーニング装置15の図中左側には、定着装置17が設けられている。この定着装置17は、ヒータを内蔵する定着ローラ18と、その定着ローラ18に対して記録シートを下方から押し当てるための加圧ローラ19とを備えている。
また、複写機本体10の内部における画像形成部100の下方には、両面ユニット22が設けられ、更にその下方には、シート搬送装置たる4段の給紙装置23が設けられている。各給紙装置23には、紙やOHPシートなどの記録シートが収納されている。各給紙装置23内の記録シートは、それぞれ図中符号Bで示す供給路を介して共通給紙路Cに搬送され、感光体11の下方における転写部へ送られる。
なお、記録シートの両面に画像を形成する場合には、まず、給紙装置23内の記録シートを転写部に送ってその記録シートの片面に画像を転写し、その画像を定着装置17で記録シート上に定着させる。その後、その記録シートを、定着装置17の出口からシート後処理装置31へと延びる排紙路Dの途中から分岐している反転路Eに通し、両面ユニット22へと送る。両面ユニット22へ送られた記録シートは、再給紙路Aを通じて、再び感光体11の下方における転写部へ送られ、上記片面とは反対側の面に画像が転写される。
また、複写機本体10の画像形成部100の上方には、画像読取部24とコンタクトガラス26が設けられている。また、このコンタクトガラス26の上部には、シート搬送装置たる自動原稿搬送装置(ADF)27がコンタクトガラス26を覆うように設けられている。この自動原稿搬送装置(ADF)27は、コンタクトガラス26に対して開閉自在に設けられている。なお、この自動原稿搬送装置(ADF)27の詳細については後述する。
また、複写機本体10の図中右側面には、ユーザーが手差しした記録シートを上記共通給紙路C内に案内するための手差しトレイ28が開閉自在に設けられている。
また、複写機本体10の複写機本体10の図中右側には、シート搬送装置たる大量給紙装置30が取り付けられている。この大量給紙装置30は、内部に大量の記録シートを積載することが可能で、積載された大量の記録シートを昇降自在に構成されている。この大量給紙装置30の詳細については、後述する。
また、複写機本体10の図中左側には、シート後処理装置31が取り付けられている。このシート後処理装置31は、排紙路Dを通して排出する記録シートを受け入れて、上段の排紙トレイ32上にそのまま排出するか、あるいは、ステイプルや孔開け等の後処理を行って上段の排紙トレイ32又は下段の排紙トレイ33上に排出する。
本実施形態における複写機を用いてコピーをとる場合、ユーザーは、自動原稿搬送装置27に原稿をセットし、または自動原稿搬送装置27を開いてコンタクトガラス26上に直接原稿をセットする。そして、図示しないスタートスイッチを押すと、自動原稿搬送装置27が駆動して画像読取部24のコンタクトガラス26上に送られた原稿、又はあらかじめコンタクトガラス26上にセットされた原稿を、画像読取部24で読み取る。また、ユーザーがスタートスイッチを押すと、画像形成部100の感光体11が図中時計方向に回転する。そして、帯電装置12で一様に帯電された感光体表面部分に対し、画像読取部24で読み取った読取内容に応じてレーザ書き込み装置16がレーザ光を照射する。これにより、感光体11の表面には静電潜像が形成される。この静電潜像には、現像装置13との対向領域(現像領域)でトナーが付着する。これにより、その静電潜像がトナー像となり、そのトナー像が転写部に送られる。
また、給紙装置23内の記録シートに画像を形成する場合、ユーザーがスタートスイッチを押すと、ピックアップローラ63が回転し、4つの給紙装置23のうちの指定の給紙装置23内から記録シートが供給路Bに送り出される。この記録シートは、搬送ローラ35により給紙路Cを通じて、レジストローラ36まで搬送される。そして、感光体11上のトナー像の先端が転写部にくるタイミングで記録シートが転写部に進入するようにレジストローラ36が回転し、記録シートが転写部に送られる。
一方、大量給紙装置30内の記録シートに画像を形成する場合、ユーザーがスタートスイッチを押すと、ピックアップローラ63が回転し、大量給紙装置30内から記録シートが搬送路Fに送り出される。この記録シートは、搬送ローラ35により給紙路Cを通じて、レジストローラ36まで搬送される。以後は、給紙装置23内の記録シートに画像を形成する場合と同じである。
他方、手差しトレイ28に手差しされた記録シートに画像を形成する場合、ユーザーがスタートスイッチを押すと、給紙ローラ38が回転し、手差しトレイ28上から記録シートが給紙路Cに送り出されて、レジストローラ36まで搬送される。以後は、給紙カセット23内の記録シートに画像を形成する場合と同じである。
感光体11の表面に形成されたトナー像は、転写搬送装置14により、上述したごとく転写部に送られる記録シート上に転写される。転写後の感光体11の表面に残留した転写残トナーは、クリーニング装置15により除去される。一方、転写後の記録シートは、転写搬送装置14により定着装置17へ搬送される。そして、定着ローラ18と加圧ローラ19とにより熱と圧力を加えてトナー像を記録シート上に定着する。定着後の記録シートは、排紙路Dを通してシート後処理装置31へと送られ、最終的に排紙トレイ32,33上に排紙される。
記録シートの両面に画像を形成する場合には、上述したようにして記録シートの片面にトナー像を定着させた後、その記録シートを排紙路Dの途中から反転路Eに送り込み、両面ユニット22から再給紙路Aを通じて、再び転写部へ送る。そして、同様にして、上記片面とは反対側の面にトナー像を転写して定着し、排紙路Dを通してシート後処理装置31へと送る。
本実施形態の複写機は、感光体11と、転写搬送装置14及びクリーニング装置15が一体化されたプロセスカートリッジとなっており、このプロセスカートリッジは、複写機本体10に対して着脱自在に構成されている。なお、プロセスカートリッジは、感光体11と、その周囲に設けられる帯電装置21、現像装置13、転写搬送装置14、クリーニング15等の装置の少なくとも1つとを一体に支持したものであればよい。
次に、シート搬送装置である給紙装置23および大量給紙装置30について説明する。本実施形態の給紙装置23は、シート収容部と、このシート収容部に積載されている記録シートを一枚に分離して送り出す給紙ユニットたるFRR分離装置90とを備えている。
まず、給紙装置23および大量給紙装置30内の記録シート束のうち最上の記録シートを記録シート束から分離して送り出すFRR分離装置90について説明する。
図2は、FRR分離装置90を示す概略斜視図である。
図2に示すように、FRR分離装置90は、大量給紙装置30および給紙装置23内のシート収容部に積載された記録シート束の一番上の記録シートと接触するピックアップローラ63と、ピックアップローラ63によって搬送されてきた記録シートを一枚に分離して搬送するフィードローラ61とリバースローラ62とを備えている。フィードローラ61の回転軸61aは、図示しない駆動モータに接続されている。また、フィードローラ61の回転軸61aには、アーム66が回動自在に取り付けられている。アーム66には、ローラ取り付け部66aとバネ取り付け部66bが設けられている。ローラ取り付け部66aには、アイドラギヤ65及びピックアップローラ63が回転自在に取り付けられている。アイドラギヤ65は、フィードローラ61に設けられたギヤ61b及びピックアップローラ63に設けられたギヤ63aに噛み合っている。これにより、フィードローラ61に設けられたギヤ61からアイドラギヤ65を介して、駆動モータの回転駆動力がピックアップローラ63に伝達され、ピックアップローラ63が回動する。バネ取り付け部66bには、バネ67が取り付けられており、ピックアップローラ63を記録シートと弾性的に接触させて、所定の接触圧が得られるようにしている。また、バネ取り付け部66bには、ピックアップローラ63を記録シートから離間させるための図示しないソレノイドが取り付けられている。そして、後述する所定のタイミングでソレノイドを駆動させて、バネ取り付け部66bを図中下側へ移動させる。すると、アーム66がフィードローラ61の回転軸61aを回転中心とし図中右方向に回転する。その結果、ピックアップローラ63が記録シートから離間する。
次に、FRR分離装置90における記録シート束のうち最上の記録シートを記録シート束から分離して送り出す動作を説明する。
図3は、FRR分離装置90の記録シート分離動作を説明する図である。
このFRR分離装置90は、大量給紙装置30および給紙装置23内に積載された記録シートの一番上の記録シートを、ピックアップローラ63の摩擦力によってフィードローラ61へ案内する。これにより、給紙方向Gへ記録シートを送る方向(正方向)に回転するフィードローラ61には、給紙方向Gとは逆方向に所定のトルクがトルクリミッタ70によって付与される。このトルクは、駆動ギヤ62Bと噛み合うようにリバースローラ62の軸に設けた従動ギヤ62Aを介して伝達される。そして、駆動ギヤ62Bと従動ギヤ62Aの間の歯面圧力Iと初期加圧力が、スプリング64の力でフィードローラ61へ圧接したリバースローラ62に加わってリバースローラ62が駆動する。これにより、大量給紙装置30および給紙装置23内の記録シートが1枚ずつ分離搬送される。
図4は、FRR分離装置90の概略断面図である。図4に示すように、FRR装置90は、フレーム91内に、リバースローラ62とフィードローラ61と図示してないがピックアップローラ63を備えている。フレーム91の装置奥側側面には、位置決めピン92a、92bが設けられている。また、フレーム91の装置奥側側面からは、フィードローラ61の回転軸61aおよびリバースローラ62の回転軸62aが突出しており、その軸の先端にそれぞれ第1カップリング41、第2カップリング42が取り付けられている。
装置本体奥側の第2側板84には、ブラケット53と第1駆動モータ51と第2駆動モータ52とを備えた駆動ユニット50が取り付けられている。具体的には、第1駆動モータ51及び第2駆動モータ52がブラケット53に取り付けられており、ブラケット53が装置奥側の第2側板84に取り付けられている。第1駆動モータ51の第1駆動軸51aの先端には、係合ピン51bが固定されている。この係合ピン51bが第1カップリング41に挿入されることで、第1駆動軸51aとフィードバックローラ61の回転軸61aとが連結される。また、第2駆動モータ52の第2駆動軸52aの先端にも、係合ピン52bが固定されており、この係合ピン52bが第2カップリング42内に挿入されることで、第2駆動軸52aリバースローラ62の回転軸62aとが連結される。
本実施形態においては、第1カップリング41と係合ピン51bとで、第1駆動モータ51の回転駆動力をフィードローラ61の回転軸61aに伝達する第1駆動伝達装置が構成されている。また、第2カップリング42と係合ピン52bとで、第2駆動モータ52の回転駆動力をリバースローラ62の回転軸62aに伝達する第2駆動伝達装置が構成されている。
FRR分離装置90は、位置決めピン92a、92bによって、装置奥側の第1側板83に位置決めされて、装置奥側の第1側板83に取り付けられている。この取り付けの際に、第1駆動軸51aとフィードバックローラ61の回転軸61aとの連結と、第2駆動軸52aとリバースローラ62の回転軸62aとの連結ととがなされる。
次に、駆動伝達装置について、詳細に説明する。以下においては、第1駆動伝達装置及び第2駆動伝達装置については、同様の構成を有しているので、ここでは第1駆動伝達装置のみについて説明する。
FRR分離装置90の装置奥側の第1側板への位置決め公差、フィードローラ61のフレーム91内での位置決め公差、駆動ユニットの装置奥側の第2側板への位置決め公差などにより、回転軸の軸心と駆動軸の軸心とが大幅に異なる場合がある。従来の駆動伝達装置は、カップリングの回転軸取り付け部の内径と回転軸の直径とを同じにしてガタ無くカップリングを回転軸に取り付けたいた。このため、駆動軸がカップリングの駆動軸側取り付け部の内周面と強く当接し、カップリングの摩耗を早めてカップリングの寿命を早めてしまっていた。特に、FRR分離装置90の場合は、フィードローラの回転軸と、リバースローラの回転軸とが並列に並んで、それぞれの駆動源の回転軸に連結させる。このため、一方の回転軸を位置決めの主基準として、装置に取り付けて、回転軸と駆動軸との位置ズレを抑制したとしても、位置決めの従基準となるもう一方の回転軸が、公差の積み上げの影響を受けて駆動軸との位置ズレが大幅に異なってしまう。その結果、従基準となった方のカップリングが駆動軸と強く当接してしまい早期に摩耗してしまう不具合が生じてしまう。そこで、少なくとも従基準となる回転軸に、以下に説明する駆動伝達装置を用いて、回転軸と駆動軸との位置ズレが大きくても、カップリングが早期に摩耗しないようにしている。以下に、本実施形態の駆動伝達装置について実施例1および実施例2で具体的に説明する。
まず、実施例1の駆動伝達装置について説明する。図5は、実施例1の駆動伝達装置40の概略構成図であり、図6は、第1カップリング41の斜視図であり、図7は、実施例1の駆動伝達装置40の断面図である。
実施例1の駆動伝達装置40は、第1回転軸たる回転軸61aが挿入される回転軸取り付け部41bと、第2回転軸たる駆動軸51aが挿入される駆動軸取り付け部41aとを有している。回転軸取り付け部41bには、ピン孔たる軸方向に延びる長穴41cが設けられている。また、回転軸61aの先端には、図示しない貫通孔が設けられており、上記カップリング41の長穴41cと回転軸61aの貫通孔とを合わせて、回転軸61aの貫通孔にスプリングピン413が圧入されている。これにより、カップリング41が回転軸61aに軸方向に摺動自在に取り付けられる。また、図8に示すように、スプリングピン413の直径Dに対して、長穴41cの短径Wは、D−0.1≦W≦Dの関係を有しており、カップリング41が軸方向に摺動可能な範囲で、スプリングピン413に対して可及的きつく勘合させている。このように、スプリングピン413に対して摺動可能な範囲で可及的きつくカップリング41を勘合させることで、カップリング41とスプリングピン413との間の回転方向の遊びを無くすことができ、回転ムラや、急激なトルク変動を抑制することができる。
また、スプリングピン413の割り部413aは、駆動軸側に向くように貫通孔に圧入して、スプリングピン413の割り部413aが、長穴41cの内周面と接触しないようにするのが好ましい。これは、後述するが、カップリング41は、このスプリングピン413に対して相対的に摺動するため、スプリングピン413の割り部413aが長穴41cの内周面と接触すると、スプリングピン413の割り部413aによって長穴41cの内周面が削られるおそれがあるからである。このように、長穴41cの内周面が削られてしまうと、内周面とスプリングピン413との間にガタが生じてしまい、回転ムラを生じてしまう。
先の図5に示すように、回転軸61aに固定されたばね受け411とカップリング41との間に圧縮スプリング412が配置されており、カップリング41を駆動軸側へ付勢している。
また、図7に示すように、回転軸61aの直径aよりもカップリング41の回転軸取り付け部41bの内径bは、大きくなっており、カップリング41は、回転軸61aに対してガタがある状態で取り付けられている。これにより、カップリング41は、スプリングピン413を中心にして、スプリングピン413に対して垂直方向に揺動(首振り)可能となる。また、スプリングピン413の軸方向にカップリング41の姿勢を変えずに移動可能となる。
カップリング41の駆動軸取り付け部41aには、図6に示すように、長穴41cに対して、90°回転した位置に駆動軸51aの係合ピン51bが係合する係合溝部41fが形成されている。この係合溝41fに駆動軸51aの係合ピン51bが挿入されることで、駆動軸51aの回転駆動力が係合ピン51bを介してカップリング41に伝達され、回転軸61aが回転するようになる。カップリングの駆動軸側側面の係合溝41fの回転方向逆側には、回転軸側に凹んだ段部41dが円周2箇所設けられている。図7に示すように、この段部41dの凹み量cは、係合ピン51bの半径(d/2)よりも深く凹ませている。本実施形態においては、この段部41dを係合溝41fから回転方向逆側にそれぞれ90°回転した位置まで設けている。
カップリング41は、摺動性が良い材料、例えば、POM、テフロン(登録商標)粉末含有材、含有材などで形成されるのが好ましい。これにより、スプリングピン413と長穴41cとの摺動性や、係合ピン51bとの摺動性を良好にすることができ、係合ピン51bとの係合を容易に行うことができる。
次に、回転軸61aと駆動軸51bとの連結について説明する。まず、駆動軸51aを相対的にカップリング側へ移動させて、駆動軸51aをカップリング41の駆動軸取り付け部内部の挿入する。このとき、係合溝41fに駆動軸51aの係合ピン51bが挿入されずに、壁部41gに突き当たってしまった場合は、駆動軸51aに対してカップリングが回転軸側に移動し、スプリング412が圧縮変形する。このような状態で駆動軸51aを回転させると、係合ピン51bは、段部41dに落ち込む。さらに駆動軸51aを回転させると、係合ピン51bが係合溝41fの回転方向側の壁面に突き当たる。段部41dは、係合ピン51bの半径以上凹ませてあるので、確実に、係合ピン51bが係合溝41fの回転方向側の壁面に突き当たる。すると、係合ピン51bがカップリング41を回転軸側に押し込む力が解除されて、スプリング412の付勢力でカップリング41が駆動軸側移動する。これにより、係合ピン51bがカップリング41の係合溝41fに係合する。
このような段部41dを設けることで、係合ピン51bを確実に係合溝41fに係合させることができる。段部41dを設けていない場合、駆動軸51aの回転速度が速いと、係合ピン51bが係合溝上にきたとき、カップリング41がスプリング412の付勢力で駆動軸側へ移動するよりも早く、係合ピン51bが係合溝41fの回転方向側の壁面41gに乗り上げてしまう場合がある。本実施形態においては、スプリングピン413と長穴41cとを摺動可能な範囲で可及的にきつく嵌合させている。このため、スプリングピン413が長穴41cとの摺動抵抗となり、係合ピン51bが係合溝上にきたとき、カップリング41がスプリング412の付勢力で駆動軸側へ素早く移動することができない。その結果、係合ピン51bが係合溝41に係合せずに、回転軸61aと駆動軸51aとの連結がなされない不具合が生じる。しかし、本実施形態は、係合溝41fの回転方向逆側に、係合ピン51bの直径以上回転軸側に凹んだ段部41dを設けて、係合ピン51bを係合溝41fの回転方向側壁面に突き当たらせるので、カップリング41がスプリング412の付勢力で駆動軸側へ素早く移動できなくても、係合ピン51bが係合溝41fの回転方向側の壁面41gに乗り上げてしまうことがない。その結果、係合ピン51bを確実にカップリング41の係合溝41fに係合させることができる。
本実施形態のカップリングは、段部41dの範囲は、係合溝41fから回転方向逆側に最大でも約120°程度に収めるのが好ましい。これは、段部41dの範囲を120°よりも大きくすると、係合溝41fの回転方向側壁面の強度が保てなくなり、係合ピン51bが突き当たったときに破損したり、変形したりするおそれがあるためである。このため、段部41dの形成範囲を角度120°以下とすることで、係合溝41fの回転方向側壁面の強度を十分保つことができ、係合ピン51bが突き当たったときに破損したり、変形したりすることを抑制することができる。
駆動軸51aの軸中心と回転軸61aの軸中心とが大きくズレていた場合は、係合ピン51bがカップリング41の係合溝41fと係合し、駆動軸51aがさらにカップリング内へ相対的に移動したとき、駆動軸51aとカップリング41の内周面41eとが当接する。すると、駆動軸51aが、回転軸61aの軸中心に対して、駆動軸51aの軸中心のズレ方向にカップリング41を押し込む。カップリング41が駆動軸51aに押し込まれると、図9の矢印E示すように、駆動軸のカップリング押し込み力のスピリングピン413と平行成分分、カップリング41がスピリングピン413と摺動して、スプリングピン413の軸方向に移動する。また、これと同時に、図10に示すように、駆動軸51aの押し込み方向のスピリングピン413に対して垂直方向成分分、カップリング41がスピリングピン413を回転の中心として、スプリングピン413の周方向に回転移動する。このように、カップリング41がスプリングピン413の軸方向と周方向とに移動することで、駆動軸51aの軸中心のズレ方向へのカップリング41の押し込み力を、吸収している。これにより、駆動軸51aとカップリング内周面41eとが強く接触するのが抑制される。これにより、カップリング内周面41eと駆動軸51aとが強く接触することなく、駆動軸51aと回転軸61aとの連結がなされる。このように、カップリング41が軸方向と周方向とに移動可能とすることで、回転軸61aの軸中心に対して駆動軸51aの軸中心がどの方向のずれていても、カップリング41と駆動軸51aとが強く当接することがない。
また、回転中に駆動軸51aとカップリング41の内周面41eとが強く当接することもない。以下に詳しく説明する。回転軸51aの軸中心に対して、駆動軸51aの軸中心のズレ方向と同一方向にスプリングピン413が向いている場合は、カップリング41は、図9に示すように、スプリングピン413に対して軸方向の変位だけであり、スピリングピン413を中心とした回転変位はしていない。そして、駆動軸51aが回転して、カップリング41が回転すると、スプリングピン413の軸方向の変位が除々に減少し、スピリングピン413を中心とした回転変位が除々に増大する。そして、駆動軸51aが90°回転すると、図10に示すように、スプリングピン413の軸方向の変位が0となり、スピリングピン413を中心とした回転変位が最大となる。さらに、駆動軸51aが回転すると、スプリングピン413の軸方向の変位が増大し、スピリングピン413を中心とした回転変位が減少していき、駆動軸51aが180°回転した時点で、再び、図9に示すような、スプリングピン413の軸方向の変位が0となり、スプリングピンの軸方向の変位が最大となる。さらに駆動軸51aが回転すると、再び、スプリングピン413の軸方向の変位が増大し、スプリングピン413の軸方向の変位が減少していき、駆動軸が270°回転した時点で、再び図10に示すようにスプリングピン413の軸方向の変位が最大となり、スプリングピン413の軸方向の変位が0となる。
このようにして、カップリング41がスプリングの軸方向の変位と周方向の変位とが周期変動することで、回転中にカップリング41の内周面41eが駆動軸51aと強く当接することが抑制され、カップリング41の内周面41eが早期に摩耗してしまうことを抑制することができる。
また、上記では、カップリング41のスプリングピン413の軸方向の移動は、カップリング41がスプリングピン413をスライドするような形態で移動するようにしているが、スプリング412の抗力との関係によっては、一方のスライドピン413と長穴41cとの当接部を回転の中心として、揺動するようにしても良い。また、カップリング41のスプリングピン413の軸方向の移動は、カップリング41がスプリングピン413をスライドするような形態とスライドピン413と長穴41cとの当接部を回転の中心として、揺動する形態とが混在するようにしても良い。
また、本実施形態においては、係合ピンが係合溝に係合したとき、回転軸と直交する仮想平面上でスプリングピンと係合ピンとのなす角度が90°となっている。このようにすることで、カップリングのスプリングピンの軸方向の移動が、係合ピンを中心として回転運動にすることができる。その結果、カップリングのスプリングピンの軸方向の動きがスムーズにすることができる。
この実施例1の駆動伝達装置では、カップリング41を回転軸61aに取り付け、カップリング41の係合溝41fに係合する係合ピン51bを駆動軸51aに設けているが、カップリング41を駆動軸51aに取り付け、係合ピン51bを回転軸61aに取り付けても良い。しかしながら、カップリング41は樹脂であり、金属製の係合ピン51bに比べて摩耗し易く、耐久性に乏しいので、カップリング41は、メンテナンスなどの理由で頻繁に装置から取り外される装置の軸側に取り付けられるのが好ましい。上記の場合、駆動モータ51、52などは耐久性に優れているが、リバースローラ62、フィードバックローラ61、ピックアップローラ63等は、表面をゴムなどの部材で構成しているため、これらのローラを備えたFRR分離装置90の方がモータなどを備えた駆動ユニット50に比べてメンテナンス回数が多い。このため、カップリング41は、モータの駆動軸先端部に取り付けるよりも、フィードバックローラ61やリバースローラ62の回転軸の先端に取り付ける方が好ましい。これにより、FRR分離装置90のメンテナンスをするために、FRR分離装置90が装置から着脱されたときに、カップリングの劣化状態を定期的に確認することができる。
また、回転軸61aと駆動軸51aとの連結が外され、駆動ユニット50またはFRR分離装置90が、装置本体から抜き出されて、再び装着されたと想定されるときに、駆動モータを所定回転角度回転させて、自動的にカップリング41と係合ピン51bと係合がなされるようにしてもよい。具体的には、装置本体の電源がOFFからON状態に切り替わったときに、駆動ユニット50またはFRR分離装置が、装置本体から抜き出されて、再び装着されたと想定し、駆動モータを所定回転角度回転させる。FRR分離装置90や駆動ユニット50は、装置本体の電源を一旦OFFにしなければ、装置本体から着脱できないようになっている。よって、装置がOFF状態からON状態切り替わったときは、駆動モータを所定回転角度回転させる。駆動ユニット50またはFRR分離装置90が、装置から脱着されていなければ、そのまま駆動軸51aと回転軸61aとが連結された状態で所定角回転せしめられて停止する。このときピックアップローラ63は、用紙から離間状態となっている。
一方、駆動ユニット50やFRR分離装置が脱着されている場合は、駆動軸51aの係合ピン51bがカップリング41の壁部41gに当接して、カップリング41が係合ピン51bによって、回転軸側に押された状態で駆動ユニット50またはFRR分離装置90が装置本体に装着されている可能性がある。このような場合、駆動モータを所定回転角駆動させれば、係合ピン51bが係合溝41fの回転側壁面に突き当たって、係合溝41fに装着される。これにより、駆動軸51aと回転軸61aとが自動的に連結することができ、装置のメンテナンス性を向上させることができる。
次に、実施例2の駆動伝達装置について説明する。図11は、実施例2の駆動伝達装置の140の概略断面図である。この実施例2の駆動伝達装置140は、駆動軸51aに取り付けられる駆動軸側カップリング142と、回転軸61aに取り付けられる回転軸側カップリング141とからなっている。回転軸側カップリング141は、回転軸取り付け部141bと、駆動軸側カップリング取り付け部141aとを有している。回転軸取り付け部141bの内径gは、回転軸61aの直径hとほぼ同じになっており回転軸側カップリング141は、回転軸61aにガタなく固定されている。回転軸側カップリング141の駆動軸側カップリング取り付け部141aの内周には、図12に示すように、略十字状の係合溝部141cが設けられている。
駆動軸側カップリング142は、筒状の形状を有しており、図13に示すように駆動側カップリング142の外周には、略十字状の係合突部142aが設けられている。係合突部142aの先端は、テーパ状の案内面142bとなっている。駆動軸側カップリング142の内周面には、駆動軸51aが挿入されている。駆動軸51aには、貫通孔が設けられており、駆動軸側カップリング142にも同様な貫通孔な設けられている。そして、駆動側カップリング142の貫通孔にスプリングピン143が挿入され、駆動軸51aの貫通孔にスプリングピン143が圧入される。また、駆動軸側カップリング142の貫通孔は、スプリングピン143に対して摺動可能な範囲できつく固定されている。これにより、駆動軸51aの回転駆動力がスプリングピンを介してガタなく駆動側カップリング142に伝達されることとなり、バックラッシや回転ムラを抑制することができる。
先の図11に示すように、駆動側カップリング142の内径Iは、駆動軸51aの直径Lよりも大きくなっており、駆動側カップリング142は、駆動軸51aに対してガタのある状態で取り付けられている。これにより、駆動側カップリング142は、スプリングピン143の軸方向(図13の矢印M方向)に移動可能、かつ、スプリングピン143の周方向(図13の矢印N方向)にスプリングピン143を中心として回転(首振り)可能となっている。
実施例2のカップリング140は、駆動軸側カップリング142の十字状の係合突部142aが回転軸側カップリング141の係合溝部141cに挿入して係合することで、駆動軸51aの回転駆動力がカップリング140を介して介して回転軸61aに伝達されるようになる。
図14に示すように、回転軸51aの軸心に対して駆動軸61aの軸心が大きくずれた状態で、駆動軸側カップリング142の係合突部142aを回転軸側カップリング141の係合溝部141cに挿入すると、係合突部142aの案内面142bと係合溝部141cの端部とが接触する。さらに、駆動側カップリング142の係合突部142aを回転軸側カップリング141の係合溝部141cに挿入すると、駆動側カップリング142が、回転軸側カップリング141の係合溝部141cの端部から力を受ける。すると、図14(a)に示すように、係合溝部141cの端部から受ける力のスプリングピン143の軸方向に働く力分、回転駆動側カップリング142がスプリングピン143の軸方向に移動する。また、これと同時に、図14(b)に示すように、係合溝部141cの端部から受ける力のスプリングピン143に対して垂直方向に働く力分、駆動側カップリング142がスプリングピン143の周方向に回転する。このようにして、駆動軸側カップリング142がスプリングピン143の軸方向および周方向に移動することで、駆動軸側カップリング142と回転軸側カップリング141との接触圧が高まることなく、駆動軸側カップリング142と回転軸側カップリング141とが係合する。よって、駆動軸側カップリング142と回転軸側カップリング141との摩擦力が高まることがなく、カップリング140の早期摩耗を抑制することができる。
(1)
以上、本実施形態の駆動伝達装置によれば、第1回転軸の軸中心と、第2回転軸の軸中心とが大きくずれて、第2回転軸がカップリングの内周面に当接すると、第1回転軸の軸中心と、第2回転軸の軸中心とのズレ方向に第2回転軸がカップリングを押し込む。すると、カップリングがスプリングピンと摺動してスプリングピンの軸方向に移動し、第2回転軸がカップリングを押し込む力のうちスプリングピンの軸方向成分を吸収する。また、これと同時にカップリングがスプリングピンを回転の中心としてスプリングピンの周方向に回転して、第2回転軸がカップリングを押し込む力のうちスプリングピンに対して垂直方向成分を吸収する。これにより、第2回転軸とカップリングの内周面とが強く当接するのが抑制される。その結果、カップリングの内周面が早期に摩耗して、カップリングの寿命が早まることが抑制される。
また、スプリングピンとカップリングとは、摺動可能な範囲できつく嵌合されているので、ピンとカップリングとの間に回転方向の遊びを無くすことができる。その結果、カップリングと第1回転軸との駆動伝達を良好に行うことができ、回転ムラを抑制することができる。
(2)
また、上記スプリングピンの直径をD、ピン孔の径方向の長さをWとしたとき、D−0.1≦W≦Dとしている。これにより、スプリングピンとカップリングとが、摺動可能な範囲できつく嵌合される。
(3)
また、駆動軸の先端部に駆動軸軸を貫通する係合ピンを設け、上記カップリングの駆動軸取り付け部の内面に係合ピンと係合する係合溝を設け、係合ピンが係合溝と係合することで、一方の回転軸の回転駆動力を他方の回転軸へ伝達するように構成している。これにより、駆動軸を相対的に軸方向に移動させるだけで、係合ピンと係合溝と係合し、苦動軸と回転軸との連結を行うことができる。
(4)
また、駆動軸を相対的に軸方向に移動させて係合ピンを駆動軸取り付け部の内面の係合溝に係合させとき、係合ピンの位置と係合溝の位置とが異なっていると、係合ピンがカップリングの駆動軸側側面と当接する場合がある。このとき、さらに駆動軸をカップリング側へ相対的に移動させると、軸が変形してしまうなどの不具合が生じる。本実施形態においては、ピン孔を軸方向に延びる長穴として、カップリングを軸方向に移動可能とし、カップリングを駆動軸側へ付勢部材たるスプリングで付勢させている。よって、係合ピンがカップリングの駆動軸側側面と当接した状態で、さらに駆動軸をカップリング側へ相対的に移動させても、カップリングが移動して、駆動軸の押し込み力を吸収する。これにより、軸が変形してしまうなどの不具合を抑制できる。また、装着位置まで駆動軸を移動させたら、駆動軸をカップリングに対して相対的に回転させる。駆動軸とカップリングとは、強く接触してないので、駆動軸を容易に相対的に回転させることができる。駆動軸をカップリングに対して相対的に回転させると、駆動軸の係合ピンが係合溝の位置まで移動する。すると、駆動軸のカップリングを押し込んでいた力が解除され、カップリングが駆動軸側へ移動する。その結果、係合ピンが係合溝に係合し、駆動軸と回転軸とが連結される。このように、係合溝と係合ピンとを係合させるときに、係合ピンの位置と係合溝の位置とが異なっていても、駆動軸を連結位置まで軸方向に相対的に移動させて、駆動軸を相対的に回転させれば、自動的に係合溝と係合ピンとを係合とが係合し駆動軸と回転軸との連結がなされる。よって、駆動軸と回転軸との連結を容易に行うことができる。
(5)
また、回転軸と駆動軸との連結が外され、再び連結された動作が行われたと想定されるとき、駆動軸を相対的に所定角度回転させる。具体的には、装置のOFF状態からON状態に切り替わったときに、駆動軸を相対的に所定角度回転させる。装置のOFF状態のときは、装置のメンテナンスが行われて、回転軸と駆動軸との連結が外されて、再び連結動作が行われて、装置のスイッチがONにされた場合がある。このような場合は、駆動軸を相対的に所定角度回転させて、駆動軸と従動軸との連結を行う。これにより、サービスマンが装置のメンテナンスを行うために、駆動軸と回転軸の連結外して、再び、駆動軸と回転軸とを連結させる際は、駆動軸を連結位置まで軸方向に相対的に移動させるだけで、駆動軸を相対的に回転させなくても、駆動軸と回転軸との連結を行うことができる。その結果、駆動軸と回転軸との連結をさらに容易に行うことができる。
(6)
また、本実施形態においては、スプリングピンと長穴とを摺動可能な範囲で可及的にきつく嵌合させているため、カップリングがスプリングの付勢力で駆動軸側へ移動する際、スプリングピンが摺動抵抗となって素早く元の位置の戻ることができない。このため、駆動軸の回転速度が速いと、係合ピンが係合溝に係合せずに、係合溝よりも回転方向側にある駆動軸側側面に乗り上げてしまい、駆動軸と回転軸との連結がなされない場合がある。しかし、本実施形態においては、カップリングの駆動軸側側面の係合溝から回転方向逆側を、少なくとも係合ピンの半径よりも第1回転軸側に凹んだ段部としている。これにより、係合ピンを係合溝に係合させるために、駆動軸をカップリングに対して相対的に回転させると、係合ピンが段部に落ち込む。そして、さらに駆動軸をカップリングに対して相対的に回転させると、係合ピンが係合溝の回転方向側の側面と突き当たる。これにより、カップリングが駆動軸側へ移動しなくても、係合ピンと係合溝との係合を行うことができる。また、段部の凹みは、係合ピンの半径以上としているので、係合ピンが係合溝の回転方向側の側面を乗り越えてしまうのを抑制し、確実に係合ピンが係合溝の回転方向側の側面と突き当たらせることができる。さらに、段部の係合溝からの形成範囲を120°以下としているので、係合溝の回転方向側の側面の強度を保つことができ、係合ピンが係合溝の回転方向側の側面と突き当たっても、係合溝の回転方向側の側面が変形したり破損したりすることが抑制される。
(7)
また、スプリングピンの割り部を、駆動軸側へ向かせて、割り部を長穴の側面と当接しない位置に設ける。これにより、長穴の側面が割り部によって削られることが抑制される。よって、長穴の側面が割り部によって削られて、長穴の短手方向の長さがスプリングピンの直径よりも大きくなってしまうことが抑制される。その結果、経時にわたり、回転ムラが生じるのを抑制することができる。

(8)
また、係合ピンが係合溝に係合したとき、回転軸と直交する仮想平面上でスプリングピンと係合ピンとのなす角度が90°となっている。係合ピンとスプリングとが平行となるように、係合ピンがカップリングの係合溝に係合している場合は、カップリングのスプリングピンの軸方向の移動は、カップリング全体が姿勢を変えずにスプリングピンに摺動するように移動する。しかし、係合ピンが係合溝に係合したとき、回転軸と直交する仮想平面上でスプリングピンと係合ピンとのなす角度が90°となっている場合、カップリングのスプリングピンの軸方向の移動が、係合ピンを中心とした回転運動にすることができる。カップリングのスプリングピンの軸方向の移動を、係合ピンを中心とした回転運動にすることができるため、カップリング全体が姿勢を変えずにスプリングピンに摺動するように平行移動する場合に比べて、位置ズレをスムーズに吸収することができる。
(9)
また、カップリングを摺動性の高い材質で構成することで、スプリングピンとカップリングとの摺動性を良好にすることができる。よって、カップリングのスプリングピンの軸方向の移動、スプリングピンの周方向への移動、軸方向の移動が良好に行うことができる。
(10)
また、フィードローラを回転駆動させる第1駆動源と、該リバースローラを回転駆動させる第2駆動源とを備え、該第1駆動源の回転駆動力を該フィードローラへ伝達する駆動伝達装置及び第2駆動源の回転駆動力をリバースローラへ伝達する駆動伝達装置のうち少なくともひとつの駆動伝達装置を、上記(1)〜(9)いずれかの駆動伝達装置としている。これにより、回転軸の軸中心と駆動軸の軸中心とが大幅に異なっても、カップリングの寿命が早まることがなく、また回転ムラが生じることがない。よって、良好に用紙を一枚に分離して、搬送することができる。
(11)
また、上記フィードローラおよび上記リバースローラを、フレームに一体的に装着し装置本体に対して着脱可能とした給紙ユニットたるFRR分離装置としている。これにより、FRR分離装置のメンテナンス作業を容易に行うことができる。
(12)
また、駆動ユニットおよび上記FRR分離装置のうち、メンテナンス等により、装置本体から着脱される回数の多い方のユニットの軸に、上記カップリングを取り付けている。これにより、装置本体から着脱される回数の少ない方のユニットの軸にカップリングを取り付けた場合に比べて、装置着脱時にカップリングの劣化状態が確認される回数を増やすことができる。その結果、装置本体から着脱される回数の少ない方のユニットの軸にカップリングを取り付けた場合に比べて、適正な時期にカップリングの交換を行うことができる。
(13)
また、本実施形態の画像形成装置は、上記(10)〜(12)いずれかの給紙装置を備えているので、用紙搬送性能が長期に渡り維持することのできる画像形成装置を提供することができる。
本実施形態に係る複写機の概略構成図。 FRR分離装置を示す概略斜視図。 FRR分離装置の記録シート分離動作を説明する図。 FRR分離装置の概略断面図。 実施例1の駆動伝達装置の概略構成図。 実施例1の駆動伝達装置のカップリングを示す図。 実施例1の駆動伝達装置の断面図。 実施例1の駆動伝達装置のカップリングの長穴とスプリングピンとを示す図。 実施例1の駆動伝達装置のカップリングがスプリングピンの軸方向に移動する様子を示す図。 実施例1の駆動伝達装置のカップリングがスプリングピンの周方向に回転する様子を示す図。 実施例2の駆動伝達装置の断面図。 実施例2の駆動伝達装置の回転軸側カップリングを示す図。 実施例2の駆動伝達装置の駆動軸側カップリングを示す図。 (a)は、駆動側カップリングがスプリングピンの軸方向に移動する様子を示す図。(b)は、駆動側カップリングがスプリングピンの周方向に移動する様子を示す図。 従来の駆動伝達装置の一例を示す図。 従来の駆動伝達装置の断面図。 従来の駆動伝達装置を駆動軸側から見た図。
符号の説明
1 プリンタ
23 給紙装置
27 原稿自動搬送装置
30 大量給紙装置
36 レジストローラ
41 カップリング
50 駆動ユニット
51 第1駆動モータ
52 第2駆動モータ
61 フィードローラ
62 リバースローラ
63 ピックアップローラ
90 FRR分離装置
91 フレーム
412 スプリング

Claims (9)

  1. 第1回転軸と第2回転軸との間にあり、該2つの軸端部を内包して軸同士を連結し、一方の回転軸の回転駆動力を他方の回転軸へ伝達するカップリングを備えた駆動伝達装置において、
    上記カップリングに設けられた軸方向に延びる長穴状のピン孔と該第1回転軸の軸端部に設けられた貫通孔とにピンを貫通させることで該第1回転軸に該カップリング取り付けられ、上記カップリングの内周面に設けられた係合溝に上記第2回転軸の先端部に設けられ第2回転軸を貫通する係合ピンが係合することで、一方の回転軸の回転駆動力を他方の回転軸へ伝達するものであって、
    上記カップリングは、該第1回転軸が内包される部分の内径が、該第1回転軸の直径よりも大きく、かつ、上記回転軸に固定されたバネ受けと上記カップリングとの間に配置された付勢部材によって第2回転軸側へ付勢されており、
    上記カップリングの第2回転軸側側面の上記係合溝から回転方向逆側を、少なくとも上記係合ピンの半径よりも第1回転軸側に凹んだ段部とし、該段部の係合溝からの形成範囲が120°以下であることを特徴とする駆動伝達装置。
  2. 請求項の駆動伝達装置において、
    上記第1回転軸と上記第2回転軸との連結が外れ、再び連結されたと想定される動作が行われたとき、上記第2回転軸を該第1回転軸に対して相対的に所定角度回転させることを特徴とする駆動伝達装置。
  3. 請求項1または2の駆動伝達装置において、
    上記ピンは、割り部が有るスプリングピンであり、該スプリングピンの割り部が、第2回転軸側へ向いていることを特徴とする駆動伝達装置。
  4. 請求項1乃至3いずれかの駆動伝達装置において、
    上記係合ピンが上記係合溝に係合したとき、上記第1回転軸と直交する仮想平面上で上記ピンと該係合ピンとのなす角度が90°であることを特徴とする駆動伝達装置。
  5. 請求項1乃至いずれかの駆動伝達装置において、
    上記カップリングを摺動性の高い材質で構成したことを特徴とする駆動伝達装置。
  6. 記録シート収容部から繰り出された記録シートを、フィードローラとリバースローラとによって一枚に分離して搬送するシート搬送装置において、
    該フィードローラを回転駆動させる第1駆動源と、該リバースローラを回転駆動させる第2駆動源とを備え、該第1駆動源の回転駆動力を該フィードローラへ伝達する駆動伝達装置及び該第2駆動源の回転駆動力を該リバースローラへ伝達する駆動伝達装置のうち少なくともひとつの駆動伝達装置を、請求項1乃至いずれかの駆動伝達装置としたことを特徴とするシート搬送装置。
  7. 請求項のシート搬送装置において、
    上記フィードローラおよび上記リバースローラを、フレームに一体的に装着し装置本体に対して着脱可能とした給紙ユニットとしたことを特徴とするシート搬送装置。
  8. 請求項のシート搬送装置において、
    上記フィードローラを回転駆動させる第1駆動源と、上記リバースローラを回転駆動させる第2駆動源とをフレームに一体的に装着し装置本体に対して着脱可能とした駆動ユニットとし、該駆動ユニットと上記給紙ユニットのうち、装置本体から着脱される回数の多い方のユニットの軸に、上記カップリングを取り付けたことを特徴とするシート搬送装置。
  9. 請求項6乃至8いずれかのシート搬送装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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