JP4035918B2 - 薄膜ヒータおよびその製造方法 - Google Patents

薄膜ヒータおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プレヒート機能付サーマルヘッド、リライト用消去ヘッド、熱定着ヘッド、オーバコート層ラミネートヘッドなどに用いて好適な薄膜ヒータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、薄膜ヒータは、プレヒート機能付きサーマルヘッド、リライト(書き換え)カード印刷における消去ヘッド、フォトキレート昇華プリンタにおける熱定着ヘッド、オーバコート層ラミネートヘッド等種々の用途において用いられている。
この薄膜ヒータとしては、次に説明するような幾つかの構造が知られている。図2は従来の薄膜ヒータの第一例の平面図であり、図4は図2のA−A′線断面図である。これらの図において、1はアルミナなどからなるフラットな形状に形成された基板、2は基板1の表面に被着された抵抗体膜である。3はアルミニウムなどからなる電極、4はニッケルなどからなるバインダー層、5はハンダメッキ部、6は抵抗体膜2の摩耗や酸化を防止するための保護膜である。7は抵抗体膜2の一部をなす発熱部である。
【0003】
図5は、従来の薄膜ヒータの第二例を示す断面図であり、この図に示すものが図4に示す第一例と異なる点は、基板1の形状が単純にフラットな形状ではなく、表面の一部が凸状に盛り上げられた、部分グレーズ構造に形成されていることである。この構造の薄膜ヒータは、第一例の薄膜ヒータに比べ、発熱部7と感熱紙またはインクリボンなどとの接触面の圧力が大きく、熱伝達効率が高い特徴がある。
【0004】
図3は、従来の薄膜ヒータの第三例を示す平面図であり、図3に示すものが図2に示すものと異なる点は、発熱部7が基板1の長さ方向に対して直角の絶縁スリット21を介して複数に分割されていることである。絶縁スリット21は、分割ピッチPをサーマルヘッドと同等の1インチ当たり600ドット程度まで小さくすることも可能である。なお、この薄膜ヒータのA−A′線断面は図4または図5となる。
【0005】
上述した第一〜第三例の薄膜ヒータは、機能的には全て同じであり、図6の等価回路で表わすことができる。この図において、31は抵抗体膜、32はスイッチ手段、33はDC電源である。なお、図2〜図5には、スイッチ手段32とDC電源33の記載を省略している。
【0006】
次に、従来のプレヒート機能付きサーマルヘッド(第四例)を、図7〜図9を参照して説明する。図7は同サーマルヘッドの斜視図、図8は図7のA−A’線断面図である。このサーマルヘッドは、図7に示すように、第1発熱抵抗体44および第2発熱抵抗体45の2つの発熱抵抗体を具備しており、第1発熱抵抗体44によって感熱紙やインクリボンなどの感熱記録媒体を予熱することにより、第2発熱抵抗体45での印刷加熱時間を短縮することができる。これにより、このサーマルヘッドは印刷時間を短縮し印刷を高速化することができる。なお、プレヒート機能付きサーマルヘッドにおいて、この発明と関係するのは図7の第1発熱抵抗体44であり、この発熱抵抗体44は、前記した従来の第一から第三例の薄膜ヒータとほぼ同様の構成となっている。図9は図7のプレヒート機能付きサーマルヘッドの等価回路である。図7、図8には図9の等価回路のうち、第1発熱抵抗体44、第二発熱抵抗体45およびコントロールIC47しか表示されておらず、等価回路の接点53とDC電源部55、56は省略されている。
【0007】
上述した第一〜第四例の従来の薄膜ヒータは、薄膜技術や厚膜技術により作成されるが、いずれの場合においても発熱抵抗体は基板の長さ方向の抵抗値分布が均一であることが望ましい。発熱抵抗体の抵抗値をR、印加電圧をVとすると、発熱抵抗体の発熱エネルギーはV2/Rに比例する。したがって、発熱抵抗体の抵抗値Rがばらつくと、発熱抵抗体の発熱エネルギーもバラツキ、熱的に不均一となり、次のような固有な問題が生じる。
【0008】
まず、プレヒートの場合には、発色状態にムラが生じ、画質が著しく劣る。リライトの場合には、白濁部が一部残留し、消去にムラが残り、また、新たな情報を記録しても視認性が劣る。熱定着の場合には、熱定着にムラが残り、耐光性のムラになる。また、光による退色が進む過程で色ムラが出る。オーバコートの場合には、部分的にオーバコート層の接着不足が生じたり、熱のかけ過ぎで表面アレが起きる。
【0009】
このような発熱抵抗体の抵抗値のバラツキに伴い生じる加熱ムラを解消するために、抵抗値のバラツキを可能な限り小さくする必要があるが、現状は次の通りである。通常、スパッタリングによる膜厚分布はかなり良いと言われているが、薄膜ヒータやサーマルヘッドでは膜厚が薄いこともあり、長さ方向には、かなり抵抗値のバラツキが生じる。図10はスパッタリングで形成した薄膜の発熱抵抗体の典型的な抵抗値分布の実測である。この実測によれば、発熱抵抗体は、±7.5%の範囲でばらついている。また、厚膜技術で形成した発熱抵抗体の抵抗値のバラツキは、薄膜技術で形成した発熱抵抗体の抵抗値のバラツキよりもさらに大きい。
【0010】
また、感熱紙やインクリボンが発熱抵抗体から受ける熱は、感熱紙やインクリボンの幅方向において均一であることが望ましい。しかし、図3の従来の発熱ヒータにおいては、絶縁スリット21に対向する感熱紙やインクリボンの部分が発熱部7から外れるために、この部分が受ける熱は発熱部7に直接接触する部分に比べて少なくなる。
【0011】
他方、図6において、抵抗体膜31の抵抗値をr、流れる電流をiとすると、発熱電力はi2r=iVである。単位面積当たりの発熱電力は、i2r/lw(図2において、lは発熱部7の長さ、wは発熱部7の幅)であり、発熱部7の全域で一様に発熱する。発熱は全域で一様であるが、熱は電極3(図2)から逃げやすい。温度分布は、図11に示すように発熱部7の中央部付近が最高温度Tとなり、電極3の付近がほぼ室温に近い温度になる。電極3と発熱部7の境界部近傍には、急激な温度勾配が生じる。
【0012】
昇華プリント方式の1種であるフォトキレートプリント方式は、Y、M、Cプリント後キレート化反応を完結させるため、薄膜ヒータ、サーマルヘッド、ヒートローラなどで加熱処理する。熱定着温度とキレート化反応の関係は、キレート化反応がアレニウスの法則に従うと考えると、次式で表せる。
【数1】
Figure 0004035918
ただし、A,B:定数
R:活性化エネルギー
T:温度
t:ヒーティング時間(ms)
A0:未反応染料初期濃度(ヒーティング開始時の濃度)
A:ヒーティング開始tms後の染料濃度
従って、キレート化反応を完結させるためには、ヒータの表面温度は高いほどよく、ヒーティング時間も長い程よい。
【0013】
高速プリントが要求されるプリンタでは、熱定着に費やされる時間は短ければ短いほど好ましい。一般に、熱定着は薄膜ヒータと用紙の間に薄いフィルムを挟んだ状態でヒータを発熱させるため、ヒータ温度が高いとフィルムが熱により変形し、シワの原因になったり、用紙表面が軟化し、表面アレの原因となり易い。通常、用紙の表面荒れはシワより低い温度領域で発生する。一方、逆にフィルムの熱変形や用紙の表面荒れを避けようとすると、熱定着時間が長くなり、プリント速度が遅くなる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、発熱抵抗体の抵抗値のバラツキの小さい薄膜ヒータの製造方法を提供することにあり、また他の目的は、発熱抵抗体の熱を感熱紙やインクリボンなどに均一に与えることができる薄膜ヒータを提供することにある。さらに他の目的は、熱定着時間が短く、しかも用紙の表面アレが少ない薄膜ヒータを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、基板上の長さ方向に、絶縁スリットを介して等間隔に形成された抵抗体発熱部と、前記各抵抗体発熱部の一端部に共通接続された共通電極と、前記各抵抗体発熱部の他端部に形成された個別電極と、を有し、前記共通電極と前記発熱体と個別電極との配列方向に感熱記録媒体が搬送され、薄膜ヒータに対し感熱記録媒体が相対移動することにより前記感熱記録媒体を加熱する薄膜ヒータであって、前記感熱記録媒体の前記スリットに対応する部分が前記抵抗体発熱部から一定量の熱を受けるべく前記絶縁スリットが前記感熱記録媒体の搬送方向に対し一定角度θをもって傾斜して形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の薄膜ヒータにおいて、前記絶縁スリットの傾斜角θを、
W/tan θ>G
但し、Wは抵抗体発熱部の幅
Gは絶縁スリットの幅
なる式を満たすようにしたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、共通電極と発熱抵抗体膜と個別電極との配列方向に感熱記録媒体が搬送され、薄膜ヒータに対し感熱記録媒体が相対移動することにより前記感熱記録媒体を加熱する薄膜ヒータの製造方法であって、基板上に前記発熱抵抗体膜を形成する第1の過程と、前記発熱抵抗体膜に絶縁スリットを前記感熱記録媒体の前記絶縁スリットに対応する部分が発熱部から一定量の熱を受けるべく前記基板の長さ方向に対し一定角度θをもって傾斜して形成して該発熱抵抗体膜を複数の発熱部に分割する第2の過程と、前記各発熱部に共通する前記共通電極および前記各発熱抵抗体膜前記個別電極を形成する第3の過程と、前記各発熱部の各抵抗値を通電トリミング法によって一定値に調整する第4の過程と、を有することを特徴とする。
【0018】
また、請求項に記載の発明は、基板上に、帯状に形成された第1〜第n(nは2より大きい正の整数)の抵抗体発熱部と、前記第1、第nの各抵抗体発熱部の端部に当接して形成された電極と、を具備し、前記第1〜第nの抵抗体発熱部のうちの特定の抵抗体発熱部の抵抗値を高く設定し、他の抵抗体発熱部の抵抗値をそれより低く設定されてあり、前記電極と前記抵抗体発熱部との配列方向に感熱記録媒体が搬送され、薄膜ヒータに対し感熱記録媒体が相対移動することにより前記第1〜第nの抵抗体発熱部のそれぞれによって前記感熱記録媒体を加熱することを特徴とする。
【0019】
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の薄膜ヒータにおいて、前記抵抗体発熱部は第1〜第3の発熱部からなり、前記第2の発熱部の抵抗値を高く、第1、第3の発熱部の抵抗値を低く設定したことを特徴とする。
また、請求項に記載の発明は、請求項に記載の薄膜ヒータにおいて、前記第1の抵抗体発熱部の抵抗値を最も高く設定し、以下、第nの抵抗体発熱部まで段階的に順次抵抗値を低く設定したことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による薄膜ヒータを図面を参照して説明する。図1は第1の実施の形態による薄膜ヒータの平面図であり、図3と同一部分には同一符号を付してその説明を省略する。また、図1のA−A’線断面図は前述した図5と同じである。図1に示す薄膜ヒータが、構造上図3の薄膜ヒータと異なる点は、発熱部7を分割する絶縁スリット10が基板1の長さ方向に対し直角ではなく、一定角度θをもって形成されていることである。この角度θは、次の条件を満たすように決められている。
W/Tan θ>G
但し、Wは発熱抵抗体7の幅
Gは絶縁スリット10の幅
【0021】
ここで、発熱部7を分割する絶縁スリット10を傾斜させる理由は次の通りである。従来の図3で示す薄膜ヒータは、発熱部7を分割する絶縁スリット21が基板の長さ方向に対して直角(すなわち感熱紙やインクリボンの搬送方向と平行)になっている。したがって、感熱紙やインクリボンが薄膜ヒータから熱を受ける場合、発熱部7に接触する部分がその発熱部7から直接に熱を受けるのに対して、絶縁スリット10に対向する部分は発熱部7から直接に熱を受けることはない。すなわち、このタイプの薄膜ヒータを用いると、感熱紙やインクリボンの幅方向の位置により、薄膜ヒータから受ける熱が不均一になる。
【0022】
これに対し、図1の薄膜ヒータでは、絶縁スリット10が基板の長さ方向に対して一定角度θだけ傾斜(すなわち感熱紙やインクリボンの搬送方向に対し90°−θだけ傾斜)しているので、感熱紙やインクリボンの絶縁スリット10に対向する部分も発熱抵抗体7から一定量の熱(100%ではないが)を受ける。これにより、従来のものに比較し、図1のものは、感熱紙やインクリボンの各部の温度差が小さくなる。
【0023】
上述した薄膜ヒータは、通常の薄膜プロセス技術や厚膜プロセス技術を用いて容易に作成することが可能である。
次に、薄膜プロセスを用いた製造手順を説明する。まず、アルミナなどの材料からなる基板1の表面上のゴミや油を除去するために、超音波洗浄などにより基板1の清浄を行う。洗浄後に、基板1の表面にTaSiO2などからなる抵抗体をスパッタリング装置でスパッタリングにより被着させ、所定の厚さの抵抗体膜2を形成する。
【0024】
次に、抵抗体膜2の上にマスキング用NiCrを蒸着する。次に、フォトリソグラフィーにより絶縁スリット10の形状のレジストパターンを作成する。このレジストパターンをマスクとして、NiCrをエッチングする。その後、レジストを全て剥離し、次いで、抵抗体TaSiO2をエッチングして絶縁スリット10を形成する。そして、マスキング用NiCrを除去する。
【0025】
次に、スパッタリングにより、抵抗体膜2の表面にアルミニウムなどの材料により所定の厚みの電極材料を被着する。そして、フォトリソグラフィーによりアルミニウムの表面に共通電極3および個別電極8を形成するためのレジストパターンを作成する。このレジストパターンをマスクとして、アルミニウムをエッチングし、共通電極3および個別電極8を形成する。次に、共通電極3および個別電極8の表面に、それぞれハンダメッキ部を被着させ、共通電極ハンダメッキ部5および個別電極ハンダメッキ部9を形成する。そして、レジストをすべて剥離する。その後、真空中で熱処理により抵抗体膜2とアルミニウム電極との密着を安定化させる。
【0026】
次に、各発熱部7の抵抗値を測定する。次いで、スパッタリングにより、発熱部7、共通電極3および個別電極8の表面に、SiO2+SIALONなどからなる保護膜6を形成する。その後、共通電極ハンダメッキ部5と個別電極ハンダメッキ部9に、外部から先に測定した各発熱部7の抵抗値に応じて適切に発熱部7に通電することにより、発熱部7の抵抗値を所定の値に調整する(これを通電トリミングと称する)。通電トリミングを実施した後、個別電極ハンダメッキ部9に結束線をハンダ付けし、分割された発熱部7を相互に短絡接続する。
【0027】
次に、上記した通電トリミングについて説明する。図12は抵抗体膜のヒステレシス曲線を示す図である。図12(a)〜(c)は、抵抗体膜をT1、T2、T3の異なる温度で熱処理した場合の温度上昇過程と冷却過程の典型的な抵抗値変化のヒステレシスを示す図である。図12の横軸は温度であるが、通電による自己発熱で温度上昇させる通電トリミングの場合は、温度を通電エネルギーと見做すこともできる。T0は実機の実使用状態での温度(エネルギー)を示している。
【0028】
発熱抵抗体の熱処理前の抵抗値が図10に示すような分布をしていたとしても、個々の発熱部7毎に異なるエネルギーを加え、異なる熱ヒステリシスを辿らせることで、抵抗値を一定に揃えることができる。例えば、図12(b)ではT2の温度で熱処理することで、R0の抵抗値をR1に下げることができる。逆に、図12(c)ではT3の温度で熱処理することで、R0の抵抗値をR2に上げることができる。
【0029】
なお、上記の実施形態では、基板が部分グレーズ構造の場合について説明したが、基板がフラット構造の場合にも、第1の実施形態の適用が容易である。
【0030】
次に、この発明の第2の実施の形態について、図13〜図16を参照して説明する。図13は同実施形態による薄膜ヒータの平面図、図14は図13におけるA−A線断面図である。図13,図14において、11はアルミナ基板、12はグレーズガラス、13は抵抗膜の厚い発熱体、14,15は抵抗膜の薄い発熱体、16,17は電極、18は保護膜、19,19,19はリード電極である。
このように、上記の薄膜ヒータは、発熱部が、抵抗膜が薄く抵抗値が高い発熱体13と、それに比較して抵抗膜が厚く抵抗値が低い発熱体14,15とから構成されている。
【0031】
このような構成は、薄膜または厚膜プロセスを用いて製造可能であり、以下、薄膜プロセスを用いる場合の製造過程を説明する。
まず、中央部に凸部のあるグレーズガラス12上に一層目の抵抗体材料(TaSiO2)をスパッタリングなどの方法で成膜する。次に、フォトリソグラフィを用い、領域L1(図13参照)を除く部分をレジストによってマスキングする。次に、抵抗体膜をエッチングする。エッチング完了後は、領域L1以外が抵抗体膜でカバーされる。次に、再度抵抗体材料(TaSiO2)をスパッタリングなどの方法で成膜する。次に、フォトリソグラフィを用い、領域L1〜L3(図13)を全てレジストによってマスキングする。次に抵抗体膜をエッチングする。エッチング完了後は領域L1〜L3の全てが抵抗体膜でカバーされる。結果として、領域L2,L3に2層の、領域L1に1層の抵抗体膜が形成される。なお、領域L2,L3を形成する発熱体は必ずしも同一材料である必要はなく、膜厚も同一である必要はない。
【0032】
図15は上述した薄膜ヒータの等価回路図であり、この図においてr1〜r3は各々領域L1〜L3の抵抗値である。この図15に示す回路に電流iが流れると、各領域L1〜L3での発熱量は各々次の通りである。
領域L1:i2r1
領域L2:i2r2
領域L3:i2r3
【0033】
そして、温度分布は図16に示すように、領域L1が特に高く、領域L2,L3がそれよりも低い分布となる。この温度分布から次の利点が得られる。
▲1▼ 熱定着は高温領域L1で進む。この時のエネルギーは薄膜ヒータと用紙間に挟まれた薄いフィルムが熱ダメージを受けない範囲で高温にする。しかし、この温度で用紙に表面荒れが生じても構わない。
▲2▼ 領域L1で発生した表面荒れは、領域L3の低温領域を通過する過程で解消される。
▲3▼ 領域L2,L3の別の意味は、領域L1の高温領域の熱が電極16,17に直接逃げるのを防止し、ヒータとしてのエネルギー効率を高める効果を持つ。
なお、発熱体13〜15は、蒸着、スパッタ、CVD等の薄膜形成装置を用いるか、または、スクリーン印刷等の厚膜形成技術によって形成される。
【0034】
次に、この発明の第3の実施形態について説明する。上記第2の実施形態は発熱部を3分割しているが、分割する個数は2以上あれば何分割であってもよい。図17は発熱部を5分割した場合であり、この図において61はアルミナ基板、62はグレーズガラス、63,64は電極、65〜69は発熱部である。ここで、発熱部65の抵抗膜が最も薄く、従って抵抗値が最も高く、稼働時の温度が最も高温となり、一方、発熱部69の抵抗膜が最も厚く、従って抵抗値が最も低く、稼働時の温度が最も低温となる。図18は上記薄膜ヒータの等価回路を示し、また、図19はその温度分布を示している。この実施形態の場合、単なる熱定着ヒータとしてだけでなく、多結晶ポリマーや、ロイコ染料を用いたリライトカードの消去用ひヒータとして用いることも可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、薄膜ヒータの発熱抵抗体を分割する絶縁スリットを基板の長さ方向に対し一定角度θ(θ=0〜90°)をもって形成したので、絶縁スリットに対向した感熱紙やインクリボンの部分も薄膜ヒータから一定の熱を受けることができ、この結果、感熱紙やインクリボンの各部の温度差を小さくすることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、複数に分割された発熱抵抗体の抵抗値を通電トリミング法により一定値に調整するようにしたので、発熱抵抗体の抵抗値のバラツキを小さくすることができる効果がある。
【0036】
また、請求項5に記載の発明によれば、第1〜第nの抵抗体発熱部のうちの特定の抵抗体発熱部の抵抗値を高く設定し、他の抵抗体発熱部の抵抗値をそれより低く設定したので、熱定着時間を短くし、しかも用紙の表面アレを少なくすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施形態による薄膜ヒータの平面図である。
【図2】 従来の薄膜ヒータの一例を示す平面図である。
【図3】 従来の薄膜ヒータの他の例を示す平面図である。
【図4】 図1、図2および図3のA−A′線断面図である。
【図5】 図1、図2および図3のA−A′線断面図である。
【図6】 図2,図3の薄膜ヒータの等価回路を示す図である。
【図7】 従来のプレヒート機能付きサーマルヘッドの一例を示す斜視図である。
【図8】 図7のA−A′線断面図である。
【図9】 図7のプレヒート機能付きサーマルヘッドの等価回路を示す回路図である。
【図10】 スパッタリングで形成した抵抗体膜の抵抗値の実測例を示す図である。
【図11】 図2に示す薄膜ヒータの温度分布を示す図である。
【図12】 抵抗体膜のヒステレシス特性を示す図である。
【図13】 この発明の第2の実施形態による薄膜ヒータの平面図である。
【図14】 同薄膜ヒータのA−A線断面図である。
【図15】 同薄膜ヒータの等価回路図である。
【図16】 同薄膜ヒータの温度分布を示す図である。
【図17】 この発明の第3の実施形態による薄膜ヒータの構成を示す断面図である。
【図18】 同薄膜ヒータの等価回路図である。
【図19】 同薄膜ヒータの温度分布を示す図である。
【符号の説明】
1…基板
2…抵抗体膜
3…共通電極
4…バインダー層
5…共通電極ハンダメッキ部
6…保護膜
7…発熱部
8…個別電極
9…個別電極ハンダメッキ部
10…絶縁スリット
11…基板
12…グレーズガラス
13〜15…発熱体
16,17…電極
21…絶縁スリット
31…発熱抵抗体
32…接点
33…DC電源
41…裏面グレーズガラス
42…突出部
43…グレーズガラス
44…第1発熱抵抗体
45…第2発熱抵抗体
46…コモン電極
47…コントロールIC
53…接点
55、56…DC電源部
61…基板
62…グレーズガラス
63,64…電極
65〜69…発熱部

Claims (6)

  1. 基板上の長さ方向に、絶縁スリットを介して等間隔に形成された抵抗体発熱部と、
    前記各抵抗体発熱部の一端部に共通接続された共通電極と、
    前記各抵抗体発熱部の他端部に形成された個別電極と、を有し、
    前記共通電極と前記発熱体と個別電極との配列方向に感熱記録媒体が搬送され、薄膜ヒータに対し感熱記録媒体が相対移動することにより前記感熱記録媒体を加熱する薄膜ヒータであって、
    前記感熱記録媒体の前記スリットに対応する部分が前記抵抗体発熱部から一定量の熱を受けるべく前記絶縁スリットが前記感熱記録媒体の搬送方向に対し一定角度θをもって傾斜して形成されていることを特徴とする薄膜ヒータ。
  2. 前記絶縁スリットの傾斜角θが、
    W/tan θ>G
    但し、Wは抵抗体発熱部の幅
    Gは絶縁スリットの幅
    なる式を満たすことを特徴とする請求項1記載の薄膜ヒータ。
  3. 共通電極と発熱抵抗体膜と個別電極との配列方向に感熱記録媒体が搬送され、薄膜ヒータに対し感熱記録媒体が相対移動することにより前記感熱記録媒体を加熱する薄膜ヒータの製造方法であって、
    基板上に前記発熱抵抗体膜を形成する第1の過程と、
    前記発熱抵抗体膜に絶縁スリットを前記感熱記録媒体の前記絶縁スリットに対応する部分が発熱部から一定量の熱を受けるべく前記基板の長さ方向に対し一定角度θをもって傾斜して形成して該発熱抵抗体膜を複数の発熱部に分割する第2の過程と、
    前記各発熱部に共通する前記共通電極および前記各発熱抵抗体膜前記個別電極を形成する第3の過程と、
    前記各発熱部の各抵抗値を通電トリミング法によって一定値に調整する第4の過程と、
    を有することを特徴とする薄膜ヒータの製造方法。
  4. 基板上に、帯状に形成された第1〜第n(nは2より大きい正の整数)の抵抗体発熱部と、
    前記第1、第nの各抵抗体発熱部の端部に当接して形成された電極と、を具備し、前記第1〜第nの抵抗体発熱部のうちの特定の抵抗体発熱部の抵抗値を高く設定し、他の抵抗体発熱部の抵抗値をそれより低く設定されてあり、
    前記電極と前記抵抗体発熱部との配列方向に感熱記録媒体が搬送され、薄膜ヒータに対し感熱記録媒体が相対移動することにより前記第1〜第nの抵抗体発熱部のそれぞれによって前記感熱記録媒体を加熱する
    ことを特徴とする薄膜ヒータ。
  5. 前記抵抗体発熱部は第1〜第3の発熱部からなり、前記第2の発熱部の抵抗値を高く、第1、第3の発熱部の抵抗値を低く設定したことを特徴とする請求項に記載の薄膜ヒータ。
  6. 前記第1の抵抗体発熱部の抵抗値を最も高く設定し、以下、第nの抵抗体発熱部まで段階的に順次抵抗値を低く設定したことを特徴とする請求項に記載の薄膜ヒータ。
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