JP4035164B2 - ケトル ホップエキス及びそれらの使用 - Google Patents
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Description
本発明は一般に飲料へのホップ風味の付与に関する。更に、かかる方法における使用のための完全なケトル ホップの香味の飲料及び合成物の製造にかかる新規な方法に関する。
背景の技術
粉砕乾燥された植物又はペレットの何れかの形態にあるホップは、ビールやエール等の飲料にそれらの特徴的なビターな香味及び快い芳香を付与するために醸造中に使用される。ホップは通常醸造釜中の煮沸する麦汁に添加される。更に、主としてビターな香味が望まれる場合、ホップエキスが醸造釜に添加されるか又は、高度に精製されたものであれば、イソ化ホップエキスが後釜、即ち麦汁が煮沸された後又は発酵の後に添加されうる。
醸造工程において利用される主要なホップ成分は、アルファ酸、ベータ酸、未詳の樹脂及びホップ油である。アルファ酸はフムロンとしてしられ、ベータ酸はルプロンとして知られる。アルファ酸はビール中の苦味物質の前駆体である。ベータ酸又はルプロンは麦汁及びビール中で低い溶解度を有し、醸造工程においてあまり有意でない役割を果すと理解される。
醸造中、アルファ酸又はフムロンにおいて化学変化が起こされ、イソ−アルファ酸、即ち、イソフムレン、イソコフムレン及びイソアドフムレンとして知られる化合物の形成をもたらす。アルファ酸は煮沸する麦汁によりホップから抽出され、釜煮沸段階の間にイソ−アルファ酸に異性化される。
ホップ又はイソ−アルファ酸を含む還元されてないホップエキスから誘導されたイソ−アルファ酸は麦芽中に光不安定性をもたらす。かかるビール又はエールを光に晒すことは、飲料を”光劣化(light struck)”されたようにし、スカンクのような臭気を持つ結果となりうる。結果に従い、かかる飲料は、”光劣化”特性の進行の危険無しに、透明又は緑色のガラス瓶び充填されることが出来ない。
ホップエキスは長年にわたりビール醸造において使用されてきた。その理由は幾つかある。完全なホップが釜に加えられる場合、イソ−アルファ酸の収率は、例えばホップ中に存在するアルファ酸を基にして10−25%と、低い。しかし、ホップエキス中のアルファ酸のイソ−アルファ酸への変換は、例えば80%ととても高くなりうる。更に、後釜に加えられる事前イソ化エキス中の純粋なイソ−アルファ酸の利用は、例えば70−90%と、極限的に高いことが知られている。
ホップエキスの主要な生産は、有機溶媒又は二酸化炭素の何れかを使用することにより、ホップ花のセルロース物質から本質的な苦味の酸を抽出することからなる。アルファ酸の除去されたホップは通常”ホップ粕(spent hop)”と言われ(しかし、以後(ホップ固体”と称す)、それらは捨てられるか又は動物飼料として売られる。
こうして得られたホップエキスは醸造する釜に加えられるか又は、アルファ酸を異性化し若しくは還元するために化学的に処理されうる。ホップエキスの使用にかかる一つの欠点は、完全なホップの全ての香味成分が完全にホップから抽出されるわけではなく、ホップエキスを使用して調製された飲料が完全なホップを用いて作られた飲料の”完全な”ホップの香味を有しないことである。
ホップエキスの使用に対する数多くの欠点が記載される。例えば、CO2又はヘキサンによるホップエキスの使用は光に安定な又は完全にケトル ホップで香味を付けられた飲料を製造しない。また、処理されたCO2ホップエキスの(”ハイドロホップ”を作るための)使用は完全にケトル ホップで香味を付けられた飲料を製造しない。しかし驚くべきことに、ホップ固体又はホップ固体からの抽出物の使用は光に安定な、完全にケトル ホップで香味を付けられた飲料を製造することが発見された。
親アメリカ特許出願シリアル番号 No. 08/218,559号は、従来ホップ抽出工程による副生成物であったホップ固体を使用して完全なホップの香味の飲料を調製する方法を開示する。今回、驚くべきことにホップ固体の抽出物自身が優れたホップの香味を持つと判断されるビールを生産するために使用されうるということが発見された。
発明の記載
完全なケトル ホップの風味の飲料を製造する方法を開示することが本発明の第一の目的である。
ホップの抽出物を使用して完全なケトル ホップの香味の飲料を製造するための方法を開示することが別の目的である。ホップ固体は従来、第一のホップ抽出工程の捨てられた副生成物である。
本発明の方法により製造された新規な飲料を開示することが更に別の目的である。
ホップ固体の抽出物からなる新規な香味を付与する薬剤を開示することがさらなる目的である。
完全なケトル ホップの香味の飲料を作るための本発明の方法は、生物−転換の前に(例えば、釜煮沸の前若しくはその間、又はノックアウトの後)、発酵性生育媒体にホップの香味を付与する薬剤を添加し;ホップの香味の飲料を形成するためにその媒体を生物−転換することからなり、ここで、ホップの香味を付与する薬剤はホップ固体の抽出物からなり、そのホップ固体は全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を実質的に取り除くためのホップの第一の抽出の残さである。
本発明の別の様相は前述の方法により製造されたホップの香味の飲料を提供することである。さらなる様相は、生物−転換の前に、発酵性生育媒体に、全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を実質的に取り除くためのホップの第一の抽出の残さであるホップ固体の抽出物からなるホップの香味を付与する薬剤を添加し、その後その媒体をホップの香味の飲料へ生物−転換することにより製造されたホップの香味の飲料を提供する。
本発明の別の様相は、アルファ酸取り除くためのホップの第一の抽出の残さであるホップ固体の抽出物からなる飲料のためのホップの香味を付与する薬剤を提供することである。好ましくは、二酸化炭素又はヘキサン等の非極性溶媒がホップの第一の抽出のために使用される。ホップ固体の抽出は好ましくは極性溶媒を用いて行なわれる。
極性溶媒は水、エタノール、イソプロパノール、メタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、n−ブタノール、酢酸エチル、エチレンクロライド、及びトリクロロエチレンからなる群より選択されうる。最も好ましくは、極性溶媒はエタノール又は水である。
本発明のさらなる様相は、発酵性生育媒体を生物−転換し、転換された媒体に、全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を実質的に取り除くためのホップの第一の抽出の残さであるホップ固体の発酵された水抽出物からなるホップの香味を付与する薬剤を転換された媒体に加えることからなる。ホップの香味の飲料はまたこの方法により提供される。
本発明のまたさらなる様相は、生物−転換された発酵性生育媒体に、全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を実質的に取り除くためのホップの第一の抽出の残さであるホップ固体の発酵された水抽出物からなるホップの香味を付与する薬剤を加えることにより製造されたホップの香味の飲料を提供する。
本発明の最後の様相は、全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を実質的に取り除くためのホップの第一の抽出の残さであるホップ固体の発酵された水抽出物からなる飲料のためのホップの香味を付与する薬剤を提供する。
本発明の重要な利点は、それが従来は得られなかった完全なケトル ホップの香味の飲料の製造を可能にすることであり、そしてかかる飲料がそれ自身高価でなく従来は捨てられた副生成物であるホップ固体の副生成物を使用して製造されうることである。
本発明の驚くべき様相は、アルファ酸の殆どが除去されているホップ固体の抽出物がビダーな香味を飲料に付与する方法の中で使用されうることである。
本発明の実施の最良の方式
ホップ固体は、好ましくは粉砕ホップ若しくはホップペレットの液体二酸化炭素(CO2)抽出により実質的に全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を含むホップエキスがホップから取り除かれた後に残る物である。ホップ固体はその後、麦汁の煮沸の前又はその間に効果的な量で醸造する釜中の麦汁に加えられる。麦汁はそれから発酵される。苦味の追加が望まれる場合は、異性化され還元されたアルファ酸の源が、完全なホップの香味を持つ光に安定な飲料を得るために発酵の前又は後に添加される。
本発明の範囲と効果を決めるために、実験作業がCO2抽出物、ホップ固体、α−酸、β−酸、及びカスケード ホップペレットから製造されたHCFを用いて行なわれた。超臨界CO2、エタノール、及び苛性抽出物もまた評価された。それぞれのフラクションはケトル ホップの香味に対する寄与に対し評価された。結果によると、ホップ固体はビールに対し通常の完全なホップの香味を効果的に付与することが見出された。官能評価の結果は、ホップ固体を用いて作られた飲料はホップペレットを使用して作られた飲料のそれと同様のホップの香味を持つことを確証した。その試験はまた、ホップ固体を用いて作られたビール透明な白色(フリントガラス)又は緑色の瓶中に充填されうるを確証した。
ホップ固体により我々は液体二酸化炭素、超臨界二酸化炭素、ヘキサン等の液体で、加工しないホップから実質的に全てのアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油が(全部又は一部)抽出された後の残るホップのことを言う。一般に、ホップ固体は実質的に全てのアルファ酸、ベータ酸、及び/又はホップ油を取り除くためのホップの抽出の後に残る残さであり得る。ホップ固体、アルファ酸及びホップの特性フラクション(ホップ キャラクター フラクション:HFC)は以下に示されうる方法により完全ホップから得られうる:
以下の記載は行なわれた実験的試験と使用された物質に関する記載である。
例1
醸造酒は表1に示す多様なホップを用いて従来プラント中で管理された。全てのホップの香味を付与する物質は煮沸の完了(ノック−アウト)の45分前にホップの香味を付与されてない醸造所麦汁に加えられた。添加される量は、それらが含むアルファ酸の苦味値(BU)に基づいて計算された。アルファ酸を含まない物質の量はペレット中に元々あるアルファ酸の量とほぼ等しい量で添加された。
超臨界CO2抽出物(試験醸造酒No.3)及び苛性抽出物(試験醸造酒No.7)を用いたこれらの実験は、不十分な量とα−酸含有量により成功しなかったが、ビールにおけるケトル ホップの香味に対するそれらの効果は調査された。
味覚パネルにより試験醸造酒について三回の官能評価が実施された。結果は以下にまとめられた。
1.QDA(Quantitative Descriptive Analysis)法が対照(ペレットでホップの香味が付与されたNo.1)に対する全ての特別な試料(No.2からNo.6)に対して使用された。QDA製法はMcCredy,J.M.他のFood Technology, 28巻の36−41頁(1974年)中に詳細に記載される。官能結果は、対照が他の醸造酒に比べ十分に強いケトル ホップの香味を持つことを示した。一つの可能な説明は、特別のもの(No.2からNo.6)における個別のフラクションの香味の強さが完全なホップのペレットと同じでではないことである。No.1に対する30BU値が、全ての特別のものに比べはるかに大きいことは価値がない。
2.代わりのQDAによる対にした比較が実施され;各特別な試料はケトル ホップの香味付け無し(NKH)に製造されたビールに対して賞味された。4つのカテゴリーの結果が表2にまとめられた。
興味深いことに、試験された4種の属性の内、パネルは試験醸造酒No.5(HCFを使用)及び試験醸造酒No.6(ホップ固体を使用)におけるフルーティー/エステリィ、ホップ特性、及び後味における有意な違いを感知した。
3.8人のラウンドテーブルのパネルが3種の試料(No.2,5,及び6)の間の違いを述べるように求められた。パネルは試験醸造酒No.6(ホップ固体を使用)がケトル ホップの香味を持つことを見出した。それは適度なホップの芳香とホップの味を有することとして記載される。試験醸造酒No.5(HCFを使用)は生のホップ/ホップ油の芳香を持つとして記載された。一方、試験醸造酒No.2(CO2抽出物を使用)は低度のホップの芳香及び適度なホップの味を有することが見出された。
試験結果はホップの抽出からの粕物質であるホップ固体がビールにケトル ホップの香味を付与するのに使用可能であることを示す。官能結果(ODA及びラウンドテーブル法)は、カスケードホップ固体(試験醸造酒No.6)で醸造されたビールが適度なレベルのケトル ホップの香味を有することを明らかにした。HCFを使用して醸造されたビールは最も高いホップの芳香をもつが、ケトル ホップの香味は有しなかった。ホップ固体単独の利用又はHCFの特別の種類を用いて醸造されることは、釜に加えられたホップペレットによって産み出されたのと同様の特異なケトル ホップの香味を産み出す。ホップ固体及びHCFはアルファ酸を含有しないので、これらの物質によって醸造されたビールは透明な白色又は緑色の瓶中に調製され充填されうる。
さらに、ホップ固体を用いて醸造された試料がUV(通常のBU法)により測定された非イソ−α−酸による10.5BUを持っていた。そのビールのHPLC分析はイソ−α−酸が存在しないこと及びBU値が非イソ−α−酸の寄与によるものであることを示した。これらの値は有意であり2−3BUの予想された背景に比べ大きい。液体CO2抽出物(試験醸造No.2)又はα−酸を使用して醸造されたビールのBU値は真のBU値(イソ−α−酸の)を与えた。
例2
再構成されたホップペレットを使用して醸造された試験ビールのホップの香味及び光安定性
5つのタイプの再構成されたホップペレットが、ホップ固体を水及びCO2ホップ抽出物の多様なフラクションと共にブレンドし、造粒機を使用してその混合物をペレットに形作ることにより製造された。
1.ホップ固体+CO2抽出物
2.ホップ固体+α−酸
3.ホップ固体+β−酸
4.ホップ固体+HCF
5.ホップ固体
表3に示された試験醸造酒は例1に記載された方法を使用して製造された。
全てのビールは20BUを目標とした。結果より、不十分なBUを持ついくつかのビールが官能によ20BUを達成するために光安定なホップエキスでスパイクされた。希釈されたビールは3.65%w/wのアルコールレベルまで希釈水で希釈された初期ビールである。CO2抽出物は39.65%のα−酸と44.11%のβ−酸が含まれた液体CO2抽出物により作られたホップエキスであった。
ホップの香味の評価
試験醸造酒8から12までは対照試験醸造酒(No.13)及びケトル ホップの香味付け無し(NKH)に製造されたビールを用いてそれぞれ評価された。各評価はQDA法を使用した単一逐次試験を含んだ。使用は芳香強度、フルーティー/エステリィ特性、ホップ特性及び苦味において評価された。結果は表4から8に示された。以下の有意な違いが見出された。:
(a)カスケードホップ固体+CO2抽出物(試験醸造酒No.8)は対照(No.13)に比べより高いホップ特性を有した。それはまた、NKHビールに比べより高い芳香強度、フルーティー/エステリィ特性、ホップ特性及び苦味を有した。
(b)カスケードホップ固体+アルファ酸(試験醸造酒No.9)はその4つの属性において、対照ビール(No.13)と有意な違いは無かった。試験醸造酒No.9はNKHビールに比べより高い芳香強度、フルーティー/エステリィ特性、ホップ特性及び苦味を有した。
(c)カスケードホップ固体+HCF(試験醸造酒No.10)はその4つの属性において、対照ビール(No.13)と有意な違いは無かった。試験醸造酒No.10はNKHビールに比べより高い芳香強度、フルーティー/エステリィ特性及びホップ特性を有した。
(d)カスケードホップ固体のみ(試験醸造酒No.11)はその4つの属性において、対照ビール(No.13)と有意な違いは無かった。試験醸造酒No.11はNKHビールに比べより高い芳香強度、フルーティー/エステリィ特性及びホップ特性を有した。
(e)カスケードホップ固体+ベータアルファ酸(試験醸造酒No.12)は対照ビール(No.13)に比べより高いホップ特性を有した。試験醸造酒No.12はNKHビールに比べより高い芳香強度、フルーティー/エステリィ特性及びホップ特性を有した。
試験醸造酒No.10、No.11及びNo.13はまた、ラウンドテーブルパネルによってケトル ホップの香味付けの無しに産出されたビールである対照に対して評価された。
8人のラウンドテーブルパネルはホップの芳香及びホップの香味における違いを述べるように求められた。結果は表9に示された。
パネルは対照が最少の芳香、低度のホップ芳香及び低度の苦味を有することを見出した。カスケードホップ固体及びHCF(試験醸造酒No.10)を用いて組成された試験醸造酒は最強の芳香及びホップ芳香を有することが見出された。パイナップル/グレープフルーツの特性及び適度な苦味を有する4つの生成物の果物の香味として記載された。カスケードホップ固体(P.B.No.11)で組成された試験醸造酒及びカスケードホップペレット(P.B.No.13)で組成された試験醸造酒は何れもグレープフルーツ/シトラスの特性、適度なホップ特性及び適度に強い苦味を有してした。それらは何れもP.B.No.10及び対照に比べより苦いと感知された。
光安定性評価
上記ビールについての10日間の光安定性試験が味覚パネル(6人の人)により管理された。シールされた透明瓶中に充填された試料は開口する低い側面の6パックキャリヤー中に置かれ、25フット−燭度の蛍光灯の下に設置された。10日間の期間の終わりに、試料はスカンクのような臭気の存在によって評価される光劣化特性の程度が評価された。
試験醸造酒No.8,9,及び13が有意な量の光劣化特性を生じたにも関わらず、試験醸造酒No.10及び11は光劣化特性を発現しなかった。しかし、試験醸造No.12は僅かな光劣化特性を示した。それは、ベータ酸中に存在する残留量のアルファ酸のためである。
好ましい実施例の記載
発酵性生育媒体により我々は(1)通常の麦汁、又は(2)ディフコ酵母窒素原基培地(Difco yeast N base)(0.8−8g/1、好ましくは1.7g/1)及びグルコース(1−20重量%、好ましくは8−10%)を含む最小限度の培地、又は(1)と(2)のある組み合わせを意味する。生物−転換によって我々は、グルコースが存在し酵母が発酵可能な温度にあり、ホップ固体抽出物がケトル ホップの香味に転換される発酵工程を意味する。
1.ホップ固体のエタノール抽出物
例3
ホップの香味の飲料を作るためのホップ固体(ホップ固体はアルファ酸を取り去るためのホップの第一の抽出の残さである)の抽出物の使用にかかる本発明のさらなる様相は、肯定的なホップの構成要素(フルーティーな、エステリィな、ホップ香味の)に富み、否定的なそれ(乾燥ホップ、生の、茶のような、ホップ油のような)を欠いた飲料をもたらす。カスケードホップの多様な構成要素(全ペレット;CO2抽出物;CO2抽出物のHCFフラクション)は最終的な醸造酒にケトル ホップの香味を付与するそれらの能力を評価するために調査された。
官能パネルは有意なレベルのケトル ホップの香味はCO2抽出物又はそれのフラクションの何れかにより結合されることはないことが結論された。このことは、ケトル ホップの香味の原因である構成要素はまだホップ粕(CO2抽出後の)中にあるという結論を導く。ホップの香味の飲料を作るためにCO2抽出されたホップ固体を使用することは、それが発酵の間に”ケトル ホップの香味”に転換される前駆体物質を実際に含むことを確証した。上記の例1及び表2を参照のこと。
CO2抽出されたホップ固体は通常、取扱いを困難にする粉末の形態にある。探究された一つの選択は、重要なホップの香味構成要素が簡単に取扱われる液体として提供されうるように、その粉末を溶媒抽出することである。こうして、エタノールが、消耗されたカスケード及び賞申されたガレナホップ固体を抽出するために溶媒として使用された。
表10を参照するに、数10ガロンの実験室醸造酒がホップ固体からのエタノール抽出物を使用して作られ、その醸造酒が評価された。特定のエタノール抽出物を伴う淡色の麦芽飲料生成物(PPI−03−112894)が官能試験に提供された(欄2)。その生成物は内植の飲料試料を決まった手順で評価する15人のパネリストにより単一的に評価された。9つの香味の属性がQDA法を使用して繰り返し評価された。平均値は24点の直線スケールに基づく。
結果は以下に示される。低度のホップの香味の淡色の麦汁飲料と比較すると(欄3)、低度のホップの香味の淡色の麦汁飲料で典型的に見られたものに比べ、この生成物はより高い芳香強度、フルーティー/エステリィ特性、ホップ特性、ジアセチル特性及び後味を持つ。
評価は最もの好ましいエステリィホップの香味がエタノール抽出物を使用して産み出され、ホップ固体単独の使用に比べより好ましいと判断された。このことは、エタノール抽出物が否定的なものではなく、最も好ましい属性をホップ固体から取り出すとういう理解の至る。
この観測は(1)ホップ固体;(2)エタノール抽出されたホップ固体;及び(3)ホップ固体のエタノール抽出物を用いて作られた醸造酒を評価することにより確証される。ホップ固体(1)を用いた醸造酒は典型的なカスケードケトル ホップの香味を有していた。エタノール抽出されたホップ固体(2)を用いた醸造酒はフルーティー、エステリィ属性を欠いた明瞭な乾燥ホップの香味を有していた。ホップ固体のエタノール抽出物(3)を用いた醸造酒は非常に好ましいフルーティーな/エステリィな/ホップの香味及びホップの香味の飲料中で珍重される芳香を有していた(表10参照)。乾燥ホップの香味により我々は発酵後のホップ添加に由来する或る香味を意味する。
エタノールはホップ固体の抽出に最も好ましい溶媒であるが、何れの極性溶媒も作用することが予想される。我々は、好ましい抽出溶媒は水、イソプロパノール、メタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、n−ブタノール、酢酸エチル、エチレンジクロライド、及びトリクロロエチレンを含むを予測する。
加えられるべきホップ固体抽出物の量は結果の飲料における望ましい香味付加の量及び抽出溶媒中の望みの抽出構成要素の濃度に依存する。通常は、添加されるホップ固体抽出物の量は10ppmから10,000ppm,より好ましくは100ppmから5,000ppm、そして最も好ましくは1,000ppmから3,000ppm(与えられた量のホップ固体の抽出物に基づいて)の範囲にある。
カスケードホップのCO2抽出物。ホップは50°F及び700psiで液体CO2を用いて抽出された。残さ(ホップ固体)はさらなる処理のために保持された。
ホップ固体のエタノール抽出物の製造。カスケードホップ固体の試料は640−641ランのホップ試験装置の液体CO2抽出器から得られた。ホップ固体はアルファ酸(0.3%のみ残留)、ベータ酸、及びホップ油が大きく減らされていた。ホップ固体は通常抽出粕として扱われ、価値無しと見なされる。通常は、CO2抽出物のみが価値を持つと見なされる。
110.9グラムのホップ固体が576グラムの95%v/vエタノールと共にスラリー化され、ガラスのクロマトグラフィーカラムに注入された。エタノールは大気の温度と気圧でホップ固体のベッドを通って、ゆっくり浸透するようにされた。濾過された溶出物(暗い緑色のエタノール抽出物)が集められた(収量は350.6グラムの乾燥してない重量)。
エタノール抽出物を用いてケトル ホップの香味の付与されたビールの製造。冷蔵庫からのミルウォーキー ブレウェリイ 麦汁(無視しうる量のホップ生成物を含む)が再煮沸にために実験室に運ばれた。18.2kgの冷蔵庫の麦汁及び2.0kgの水が釜の中での煮沸のためにもたらされた。95.9グラムのエタノール抽出物(ホップ固体に基づいて1,000ppm)(上記参照)が60分間でノックアウトの前に添加された。ノックアウトの30分前、別の95.9グラムのエタノール抽出物(ホップ固体に基づいて1,000ppm)が釜に添加された。ノックアウト麦汁16.8kgが冷却され、12百万の酵母細胞/mlで打ち込まれ、通気されて60°Fで7日間発酵された。若ビールが一次濾過され3.65%w/wアルコールに仕上げられた。得られたビールは、表10に示されるように15人の熟練者のラウンドテーブルによって評価されて、乾燥ホップの香味が無く、好ましいエステリィ/ホップの香味を有するとみなされた。
2.ホップ固体の水抽出物
例4
水もまた、発酵段階の前に加えられる場合、所望のホップの香味の飲料を生成するホップ固体の抽出物を得るために使用されうる。ホップ固体の水抽出物はこれ以後、”ホップ茶”と称される。同様に、ホップ茶は発酵され所望のホップの香味の飲料を生成するのに使用されうる。発酵されたホップ茶は同様に使用され、またはそれは限外濾過(300の公称分子量カットオフ膜を通す)により更に処理され、透過物はホップの香味を付与するものとして使用されうる。ホップ茶発酵物からのガスはまた、冷却捕捉されえて、濃縮物はホップの香味を付与するものとして使用されうる。
発酵されたホップ茶(又は透過物/濃縮物)の利用の一つの利点は、望みのホップの香味の付与された飲料を生成するために発酵の後にそれが加えられうることである。このように、発酵されたホップ茶は、仕上げられたホップの香味の飲料に対する所望のレベルのホップの香味付与をカスタマイズするために発酵後に添加されうる。
ここで以下の表11,12及び13を参照するに、数多くのホップの香味の飲料が上記のホップ茶を使用して作られ、15人の官能パネルにより評価された。9種の香味の属性がQDA法を使用して繰り返し評価された。平均値は24点の直線スケールに基づく。いる。対照試料はホップの香味の付与されない淡色の麦汁ラガービールであった。
試料#2は上記の例1及び2の主成分に従うホップ固体を用いて作られたホップの香味の付与されたビールであった(ホップ固体は3,000ppmで添加された)。試料#7及び#9は15,000ppmでホップ固体を用いて作られたが、最終的な3,000ppmのホップ固体相当量のためにホップの香味の付与されないストックビールとブレンドされたホップの香味の付与されたビールである。試料#3から#6は3,000ppmのホップ固体相当量で加えられた(170°又は煮沸の何れかの下で水を用いてホップ固体の徹底的な抽出により生成された)ホップ茶を使用して作られたホップの香味の付与されたビールである。
試料#8は発酵後に、発酵されたホップ茶を3,000ppmのホップ固体相当量になるまで加えることにより作られたホップの香味の付与されたビールである。ホップ茶は25×104細胞/mlの標準醸造酵母で打ち込まれ、最小限度の培地(ディフコ酵母窒素原基培地及びグルコース)を使用して10日間60°Fで発酵された。
BFKOは”ノックアウトの前”を意味する。SCO2は超臨界CO2で抽出されたホップを意味する。MRは淡色の麦汁ラガービールを意味する。
表11から13は、ホップ茶又は発酵されたホップ茶が所望の芳香、フルーティー/エステリィ属性及び好ましいホップ特性を有するホップの香味の飲料を生産するのに使用されうることを示す。仕上げられたホップの香味の飲料の望みの特性に従い、ホップ固体、ホップ茶、又は発酵されたホップ茶がホップ固体当量に基にして0.1から7.5 1bs/バレルで添加されうる。
他の考察。本発明はエタノール抽出物が釜の煮沸に添加されると記載しているが、発酵前の後釜に極性溶媒抽出物を添加することも可能である。
ホップ固体中のアルファ酸、ベータ酸、又はホップ油の好ましい消耗のパーセントは(オリジナルの完全なホップ物質と比較して)、それぞれ>80%,>80%,>80%である。最も好まし範囲は、それぞれ≧90%、≧90%、≧90%である。
極性抽出溶媒はまた、ある組み合わせのエタノールと水の混合物でもよい。
結論
前記の試験結果は、本発明の方法により製造された光安定なビールとホップを用いて製造された光に不安定なビールとの間に本質的にケトル ホップで付与された香味の違いはないことを示す。本発明の実施によって製造されたビールは、低レベルのイソ−アルファ酸による光安定性と同様に、受容可能な味と泡の特性を持っていた。このように、本発明の方法の実施により、ホップ固体及びホップ固体の抽出物を使用して光安定な、完全なホップの香味のビールを製造することができる。
本発明の方法は、新規で有用であるのに加えて、単純で経済的であることも当業者には明白である。例えば、簡便な醸造技術と装置のみが使用され、ホップ固体の有用な香味を付与成分は浪費されない。
本発明の方法における使用のために好ましいホップ固体は、40°から80°Fで500−1000psigの下のホップの液体二酸化炭素抽出の後に得られたホップ固体である。ホップの液体二酸化炭素抽出はアメリカ特許第4,344,978号に記載される。使用可能な他のホップ固体は、100°−150°Fの温度と1100−3000psigの圧力での超臨界CO2を使用したホップの抽出により、又はアメリカ特許第3,798,332号;4,002,683号等記載の抽出方法の実施により得られたものである。
ホップエキス及びホップ固体の製造に使用可能なホップの異なるタイプの代表はカスケードホップ及びガレナホップである。しかし、他の種類のホップも使用可能である。
添加されるべきホップ固体抽出物の量は、得られる飲料において望まれるケトル ホップの香味の量に依存する。通常、ホップ固体抽出物が単独で用いられる場合、使用される量は、完全なホップで香味付与された同じ香味のビールのために使用される完全なホップの当量と等しい。ホップ固体とHCFの両方を含む好みの合成物が使用される場合、使用される量は使用される完全なホップの量の約0.5×から3×又はそれ以上である。
数多くの改良と変化が本発明の概念と範囲から逸脱すること無く形成されうることは当業者には明白である。
例えば、沸騰するエタノールによるホップ固体の徹底的な抽出は乾燥基準に基づき約28%重量の抽出物をもたらした。また、沸騰する水によるホップ固体の徹底的な抽出は乾燥基準に基づき約45%重量の抽出物をもたらした。これらの抽出物は両方とも完全なケトルホップの香味の飲料を生成する。
そのため、本発明は説明及び例によて限定されるものではなく、以下の請求の範囲によってのみ限定される。
産業上の応用性
本発明は、積極的なホップの構成要素(フルーティー、エステリィ、ホップの香味性)に富み、否定的なそれ(乾燥ホップ、生の、茶のような、ホップオイルのような)の全く無い、完全なケトルホップの香味の飲料の製造に対し有用である。
Claims (13)
- 発酵性増殖培地からホップ風味の飲料を製造する方法であって、
生物変換より先に、前記培地へ、唯一のホップ苦味調合材料としてのホップの固形物の抽出物を加えるステップ及び、
前記培地を生物変換して前記ホップ風味の飲料を形成するステップを含み、
前記ホップの固形物は、実質的にアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を取り除くホップの第一の抽出の残留物であり、
前記ホップの第一の抽出は、ホップのCO2の抽出であり、
前記ホップの固形物は、わずかに0.3重量%のアルファ酸を有する方法。 - 前記ホップの固形物は、極性溶媒で抽出される請求項1記載の方法。
- 前記極性溶媒は、それが、前記ホップの固形物から乾燥したホップの風味の成分を本質的に抽出しないように選択される請求項2記載の方法。
- 前記極性溶媒は、水、エタノール、イソプロパノール、メタノール、ジクロロメタン、トリクロロメタン、n−ブタノール、酢酸エチル、二塩化エチレン、及びトリクロロエチレンからなる群から選択される請求項2記載の方法。
- 前記極性溶媒は、エタノールである請求項4記載の方法。
- 前記極性溶媒は、水である請求項4記載の方法。
- 請求項1の方法によって調製される、透き通った又は緑のガラスのボトルにおいて増強した光安定性を有するホップ風味のビール。
- 請求項1、3、5又は6記載の方法によって調製されるホップ風味の飲料。
- 発酵性増殖培地からホップ風味の飲料を製造する方法であって、
前記培地を生物変換するステップ、及び
前記生物変換された培地へ、唯一のホップ苦味調合材料としてのホップの固形物の発酵した水抽出物を加えるステップを含み、
前記ホップの固形物は、実質的にアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を取り除くホップの第一の抽出の残留物であり、
前記ホップの第一の抽出は、ホップのCO2の抽出であり、
前記ホップの固形物は、わずかに0.3重量%のアルファ酸を有する方法。 - 請求項9記載の方法によって調製されるホップ風味の飲料。
- 本質的に、唯一のホップ苦味調合材料としてのホップの固形物の抽出物からなる飲料用のホップの香料添加剤であって、
前記ホップの固形物は、実質的にアルファ酸、ベータ酸、及びホップ油を取り除くホップの第一の抽出の残留物であり、
前記ホップの第一の抽出は、ホップのCO2の抽出であり、
前記ホップの固形物は、わずかに0.3重量%のアルファ酸を有するホップの香料添加剤。 - 前記ホップの香料添加剤は、ホップの固形物の極性溶媒抽出物を含む請求項11記載のホップの香料添加剤。
- 前記ホップの固形物の抽出物は、ホップの固形物の発酵した水抽出物である請求項11記載のホップの香料添加剤。
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