JP2019010128A - 麦芽とホップに由来する香気を共存させた発酵麦芽飲料 - Google Patents
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Description
(1)濃色麦芽を原料として得られる発酵麦芽飲料であって、色度(EBC)に対するリナロール濃度(ppb)の比率が0.48以上である、発酵麦芽飲料。
(2)色度(EBC)に対するリナロール濃度(ppb)の比率が0.63以上である、前記(1)の発酵麦芽飲料。
(3)リナロール濃度が60ppb以上である、前記(1)または(2)の発酵麦芽飲料。
(4)色度が40EBC以上である、前記(1)〜(3)のいずれかの発酵麦芽飲料。
(5)原料として濃色麦芽およびホップを用いて発酵麦芽飲料を製造する方法であって、濃色麦芽が仕込み工程において添加され、前記ホップが、65℃〜70℃の温度で10〜60分間という条件下で加熱処理され、加熱処理されたホップが酵母添加の直前に添加される、方法。
(6)濃色麦芽が糖化工程において添加される、前記(5)の方法。
(7)濃色麦芽が、カラメル麦芽および/または黒麦芽である、前記(5)または(6)の方法。
(8)ホップが、ハラタウトラディッション種、ミレニアム種、ナゲット種、ヘルスブルッカー種、ペルレ種およびザーツ種からなる群から選択される、前記(5)〜(7)のいずれかの方法。
本発明の発酵麦芽飲料は、濃色麦芽を原料として得られる発酵麦芽飲料であり、色度(EBC)に対するリナロール濃度(ppb)の比率、すなわちリナロール濃度(ppb)/色度(EBC)、が0.48以上、好ましくは0.63以上であることを特徴とする。
よって、リナロール濃度(ppb)/色度(EBC)の上限値は特に制限されるものではないが、好ましくは5、より好ましくは3、さらに好ましくは2.5とされる。
このような発酵麦芽飲料としては、ビール、発泡酒、リキュール(例えば、酒税法上、「リキュール(発泡性)(1)」に分類される飲料)などが挙げられる。本発明による発酵麦芽飲料は、好ましくは、原料として少なくとも水、ホップ、および麦芽(濃色麦芽を含む)を使用した発酵麦芽飲料とされる。
本発明の発酵麦芽飲料は、濃色麦芽の配合量を調節することによって色度を調整するとともに、リナロールを所定の濃度となるように添加することにより製造することができる。
以下の実施例において、飲料の色度はEBC(European Brewery Convention)法(色度の単位は「EBC」)によって測定した。
以下の実施例において、飲料中のリナロール濃度は、質量分析計付きガスクロマトグラフィー(GC/MS)によって算出した。
以下の実施例において、飲料中のイソα酸の濃度は、EBC(European Brewery Convention)法によって測定した。具体的には、以下に示す条件での高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた。
以下の実施例において、飲料の官能評価は3名の訓練されたパネラーによって行われた。官能評価では、甘く、重い香気印象を、1(感じない)、2(少し感じる)、3(感じる)、4(やや強く感じる)および5(強く感じる)の5段階で評価した。ホップ香気が加わることで得られた爽快さも、1(感じない)、2(少し感じる)、3(感じる)、4(やや強く感じる)および5(強く感じる)の5段階で評価した。総合的な官能評価は、表3の通り、4段階で行った。
本実施例では、発酵麦芽飲料の色度およびホップ香気成分と該飲料の風味との関係を解明するため、濃色麦芽を用いて製造された市販の発泡性発酵麦芽飲料に様々な量のホップ抽出物を添加し、各サンプルについて、色度およびリナロール濃度を測定し、官能評価を行った。
フローラル香を有するドイツ産ハラタウトラディッション(Hopsteiner社)のペレット40gを1Lの水に加え、室温で3時間撹拌抽出した。ろ紙でろ過した後、糖度10度になるように糖(グルコース、シュークロース、マルトースなど)を加え、80℃で20分保持した。その後、10℃まで冷却した後、ビール醸造用酵母を加え、20℃で発酵させた。ダイアセチル等のオフフレーバーの消失を官能評価で確認した後、発酵液を冷却して0℃に1日置き、ろ紙でろ過した後、常圧蒸留によって回収し、ホップ抽出物を製造した。
濃色麦芽を使用した市販の発泡性発酵麦芽飲料(色度180EBC)に、上記(1)において製造したホップ抽出物を様々な濃度で添加し、各サンプルについて官能評価を行った。また、各サンプルについて、色度およびリナロール濃度を測定した。その結果を表4に示す。
色度を100未満に低減させた場合の試験を行うため、濃色麦芽を使用していない発泡性発酵麦芽飲料(色度6EBC)を色度180EBCの発泡性発酵麦芽飲料に混ぜてサンプルを作製し、上記(1)において製造したホップ抽出物を様々な濃度で添加し、各サンプルについて官能評価を行った。また、各サンプルについて、色度およびリナロール濃度を測定した。その結果を表5に示す。
上記の(2)および(3)で得られた表4および表5のデータを、リナロール(ppb)/色度(EBC)の順に並べ替えて、以下の表6を作成した。
実施例1で述べたように、リナロール濃度が60ppb以上、かつリナロール濃度(ppb)/色度(EBC)が一定の値以上という条件下において、濃色麦芽を原料とする発酵麦芽飲料の甘く、重い香気が減り、爽快さが増加し、好ましい香味印象を得ることができた。そこで、発酵麦芽飲料に60ppb以上のリナロール濃度を付与できるホップの使用条件を検討した。
試飲サンプルは、次のように調製した。まず、淡色麦芽に濃色麦芽を混ぜ、通常のインフュージョン糖化を行った。麦汁糖度12.5度に調整した仕込麦汁(麦芽使用比率100%)をサンプルとして煮沸試験に用いた。電気ヒーターで麦汁を加温煮沸し、煮沸強度は一定で、60分間で蒸発率が10%となるようにコントロールして行った。その後、90℃で60分間、麦汁を静置した(ワールプール静置を想定)。ろ紙でろ過した後、氷水で冷却した麦汁にビール酵母を添加し、1週間主発酵、4日間後発酵を行なった。得られたサンプルを試飲用貯酒サンプルとした。
上記(1)で得られた試飲サンプルについて、リナロール濃度およびイソα酸濃度の測定、および官能評価を行った。麦汁静置中に未処理のホップを添加した試験区の分析結果を表7に、前処理したホップを発酵前液に添加した試験区の分析結果を表8に示す。
Claims (8)
- 濃色麦芽を原料として得られる発酵麦芽飲料であって、色度(EBC)に対するリナロール濃度(ppb)の比率が0.48以上である、発酵麦芽飲料。
- 色度(EBC)に対するリナロール濃度(ppb)の比率が0.63以上である、請求項1に記載の発酵麦芽飲料。
- リナロール濃度が60ppb以上である、請求項1または2に記載の発酵麦芽飲料。
- 色度が40EBC以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発酵麦芽飲料。
- 原料として濃色麦芽およびホップを用いて発酵麦芽飲料を製造する方法であって、
濃色麦芽が仕込み工程において添加され、
前記ホップが、65℃〜70℃の温度で10〜60分間という条件下で加熱処理され、加熱処理されたホップが酵母添加の直前に添加される、方法。 - 濃色麦芽が糖化工程において添加される、請求項5に記載の方法。
- 濃色麦芽が、カラメル麦芽および/または黒麦芽である、請求項5または6に記載の方法。
- ホップが、ハラタウトラディッション種、ミレニアム種、ナゲット種、ヘルスブルッカー種、ペルレ種およびザーツ種からなる群から選択される、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
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