JP4035036B2 - 電話機のエコー及びノイズ減少装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電話機に関し、特に、エコー(echo)及びノイズ(noise)を減少させる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、VoIP(Voice Over Internet Protocol)のように遅延(delay)を生じる有線や無線システムにおいては、送信信号に対するエコーが目立つようになる。このエコーは、相手(far end talker)の声が受話者(near end talker)の電話機スピーカーから出力されると、その相手の音声が受話者のマイクに入力され通信チャネルの様々な経路を経て相手にフィードバック(feedback)されことにより発生するもので、相手の声は受話者だけでなく声を発した相手にも聞こえるようになるので、通話に支障をきたす。
【0003】
PSTN(Public Switched Telephone Network)の有線電話の場合、エコーが発生しても遅延がほとんど発生しない。ハンドセット(handset)通話の場合、エコーは、側音(sidetone)に覆われて聞こえなくなるか又は、はっきりと区別できなくなるので、特に問題にならなかった。
【0004】
これに対して、VoIP電話機または移動電話機の場合は、網使用量及び距離によって遅延が大きく発生する可能性があるので、エコーによる通話品質の低下が深刻である。
【0005】
VoIP電話機において、エコーの発生を原因別に分類すると、側音を含むエコー、誘起されたエコー(induced echo)及び音響エコーがある。ここで、側音は送話者が通常の音声通話をする場合、電話機内部の送話経路における信号の一部が再び受話経路に入力されることによって発生するエコーであり、誘起されたエコーは通信ラインまたはハンドセット接続コードでの誘起によって発生するエコーであり、音響エコーは受信端末のスピーカーから出力された音声が再びマイクに入力されて発生するエコーである。
【0006】
前述したエコーのうち、側音は意図的に発生させることもあるので、問題はない。音響エコーは一般的にDSP(Digital Signal Processor)を使用したエコーキャンセラー(echo canceller)を使用することによって減少することができる。
【0007】
一方、電話機において、ハンドセット接続コードは一般的に一対の送話ライン及び一対の受話ラインが平行に配列されるフラットタイプ(flat type)カールコード(curl cord)を使用する。そのカールを解くと、2〜3メートルに至るほど長い。従って、受話ラインの信号が送話ラインで誘起されるので、通話の相手が一定時間後に自分の音声を聞くエコーが発生する。
【0008】
これを、一般的な電話機のハンドセット連結構成を示す図1に基づいて説明する。図1は、電話機本体100とハンドセット(HAND-SET)102がフラットタイプのハンドセット接続コード104によって連結されている。図1の電話機本体100では、本発明と関連する送話部(SPEECH-TRANSMITTING UNIT)106、受話部(SPEECH-RECEIVING UNIT)108及び接続部110のみを示し、その他の部分は図示せずに省略する。図1に示すように、接続部110は一対の送話ライン端子Tx+、Tx−及び一対の受話ライン端子Rx+、Rx−を有し、送話ライン端子Tx+、Tx−は送話部106に接続され、1つの受話ライン端子Rx+は受話部108に接続され、受話ライン端子Rx−は接地接続されている。また、送話ライン端子Tx+には抵抗R1を通じてバイアス電源Vrefが印加される。この接続部110と連結してハンドセット102を電話機本体100に連結するハンドセット接続コード104は、ハンドセット102内のマイク(図示せず)に接続される一対の送話ライン112、118及びハンドセット102内のスピーカー(図示せず)に接続される一対の受話ライン114、116からなる。このハンドセット接続コード104は、図2に示すように、Tx+送話ライン112、Rx+受話ライン114、Rx−受話ライン116及びTx−送話ライン118の順に配列されるフラットタイプのカールコードが使用される。また、一般的に、接続部110とハンドセット接続コード104の接続にはモジュラジャック(modular jack)が使用される。
【0009】
前述したようなハンドセット接続コード104は、Tx+送話ライン112とRx+受話ライン114が隣接して並列に配列されているので、Rx+受話ライン114の信号がTx+送話ライン112に誘導電流を誘起させることによって、エコーが生じるようになる。さらに、受話側はローインピーダンス(low impedance)であるので外部ノイズには強いが、送話側はハイインピーダンス(high impedance)であるので外部の小さいノイズによっても影響を受けやすい。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、電話機において、ハンドセット接続コードに誘起される信号によって発生するエコーを減少させるためのエコー減少装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、電話機において、ハンドセット接続コードに誘起される信号によって発生するエコーを減少させるとともにノイズを減少させる、エコー及びノイズ減少装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するための本発明による電話機のエコー減少装置は、電話機本体にハンドセットのマイクを連結するTx+、Tx−送話ライン及び電話機本体にハンドセットのスピーカーを連結するRx+、Rx−受話ラインからなり、Tx+、Tx−送話ラインを対向させ、Rx+、Rx−受話ラインを対向させてTx+、Tx−送話ライン及びRx+、Rx−送話ラインをラウンド型で配列したラウンドタイプのハンドセット接続コードと、電話機本体に設置され、Tx+、Tx−送話ラインから受信する信号を差動増幅して送話部に印加する差動増幅器を有し、Tx+、Tx−送話ラインを差動増幅器の非反転入力端子+及び反転 入力端子−にそれぞれ接続し、Rx+受話ラインを受話部に接続し、Rx−受話ラインを接地接続した接続部と、を備える。
【0013】
このエコー減少装置におけるハンドセット接続コードは、Tx+送話ライン、Rx−受話ライン、Tx−送話ライン、Rx+受話ラインの順によってラウンド型で配列されているとよく、カールコードであると好ましい。
【0014】
また、本発明では他の電話機のエコー減少装置を提供する。この電話機のエコー減少装置は、電話機本体にハンドセットのマイクを連結するTx+、Tx−送話ライン及び電話機本体にハンドセットのスピーカーを連結するRx+、Rx−受話ラインからなり、Tx+送話ライン、Rx+受話ライン、Rx−受話ライン、Tx−送話ラインの順で配列したフラットタイプのハンドセット接続コードと、電話機本体に設置され、Tx+送話ライン及びRx−受話ラインをそれぞれ送話部及び受話部に接続し、Rx+受話ライン及びTx−送話ラインを接地接続した接続部と、を備える。ここで、ハンドセット接続コードはカールコードであると好ましい。
【0015】
さらに、本発明では、電話機のエコー及びノイズ減少装置をも提供する。この電話機のエコー及びノイズ減少装置は、電話機本体にハンドセットのマイクを連結するTx+、Tx−送話ライン及び電話機本体にハンドセットのスピーカーを連結するRx+、Rx−受話ラインからなり、Rx+受話ライン、Rx−受話ライン、Tx+送話ライン、Tx−送話ラインの順で配列したフラットタイプのハンドセット接続コードと、電話機本体に設置され、Tx+送話ライン及びRx+受話ラインをそれぞれ送話部及び受話部に接続し、Rx−受話ライン及びTx−送話ラインを接地接続した接続部と、を備える。このエコー及びノイズ減少装置におけるハンドセット接続コードはカールコードであるとよい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従う好適な一実施形態について添付図を参照しつつ詳細に説明する。下記の説明において、本発明の要旨のみを明確にする目的で、関連した公知機能または構成に関する具体的な説明は省略する。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態によるエコー減少装置の構成図である。図3を参照すると、図1に示した電話機本100における接続部110に代えて、差動増幅器206を備える接続部204を電話機本体200に使用する。ハンドセット接続コード202は、図4(a)に示すようなラウンドタイプ(round-type)を使用する。接続部204において、受話ライン端子Rx+及びRx−は図1と同様に受話部108及び接地にそれぞれ接続され、送話部106と送話ライン端子Tx+、Tx−との間には差動増幅器206が設置されている。Tx+、Tx−送話ライン112、118は送話ライン端子Tx+、Tx−を通じて差動増幅器206の非反転入力端子+及び反転入力端子−にそれぞれ接続される。従って、差動増幅器206は、Tx+、Tx−送話ライン112、118を通じて受信する信号を差動増幅して送話部106に印加する。この場合、Rx+受話ライン114からTx+、Tx−送話ライン112、118に誘起される信号は、同位相及び同サイズで差動増幅器206に入力されるので、除去されるようになる。なお、Rx+、Rx−受話ライン114、116はスピーカー10に連結されており、Tx+、Tx−送話ライン112、118はマイク20に連結されている。
【0019】
図2に示すように配列されたフラットタイプのハンドセット接続コード104を使用する場合、Rx+受話ライン及びTx+送話ラインは隣接しているが、Rx+受話ラインとTx−送話ラインとの間にRx−受話ラインが配列されているので、Tx+送話ラインに誘起される信号がTx−送話ラインに誘起される信号より大きい。このためエコー除去の効果があまり期待できない。従って、エコーを除去するためには、図4(a)に示したように、Tx+送話ラインに誘起される信号及びTx−送話ラインに誘起される信号のサイズを同一にするラウンドタイプのハンドセット接続コード202を使用するとよい。図4(a)に示すように、ハンドセット接続コード202は、Tx+、Tx−送話ライン112、118及びRx+、Rx−受話ライン114、116がラウンド型で配列されており、Tx+、Tx−送話ライン112、118が対向し、Rx+、Rx−受話ライン114、116が対向している。図4(a)において、時計方向に見ると、Tx+送話ライン112、Rx−受話ライン116、Tx−送話ライン118及びRx+受話ライン114の順によってラウンド型で配列される。
【0020】
図4(a)に示すようなラウンドタイプのハンドセット接続コード202を使用すると、Rx+受話ライン114とTx+送話ライン112との間の間隔、及びRx+受話ライン114とTx−送話ライン118との間の間隔が同一であるので、Tx+、Tx−送話ライン112、118に誘起される信号サイズが同一になる。従って、差動増幅器206によってTx+、Tx−送話ライン112、118に誘起される信号が相殺されるので、結果的に、エコーの大部分が除去されるようになる。
【0021】
図4(a)に示すようなラウンドタイプのハンドセット接続コード202を実際に製造する場合、程度の差はあるが、図4(b)に示したように、ハンドセット接続コード202’におけるRx+受話ライン114とTx+送話ライン112との間隔がRx+受話ライン114とTx−送話ライン118との間隔と同一にならず、その配列が乱される可能性が大きい。この場合、エコー減少の効果が低下する。
【0022】
図5は、上記の説明を考慮して、図2に示したような一般的なフラットタイプのハンドセット接続コード104を用いてエコーを減少することができる本発明の他の一実施形態によるエコー減少装置の構成図である。図5に示したエコー減少装置は、前述した図1の電話機本体100における接続部110に代えて、接続部302を電話機本体300に使用して構成されている。電話機本体300において、受話ライン端子Rx−は、図1の受話ライン端子Rx−を接地接続した場合とは異なり、受話部108に連結され、送話ライン端子Tx−が接地接続される。また、送話ライン端子Tx+は、図1と同様に、送話部106に接続される。従って、Tx+送話ライン112及びRx−受話ライン116は、それぞれ送話部106及び受話部108に接続され、Rx+受話ライン114及びTx−送話ライン118は共に接地接続される。ここで、図1と異なっているのはRx+受話ライン114を接地接続した点及びRx−受話ライン116を受話部108に接続した点であるが、ハンドセット102のスピーカー10は、Rx+、Rx−のうちどちらの信号を入力しても動作するので通常通り正常に動作する。一方、Tx−送話ライン118は図1の送話部106に接続する代わりに接地接続されているが、Tx+送話ライン112がハンドセット102のマイク20に接続されるので、マイク20も通常通り正常に動作する。
【0023】
前述したように、Tx−送話ライン118が接地接続されているので、Rx−受話ライン116によってTx−送話ライン118に誘起される信号は接地され、また、Tx+送話ライン112は、接地接続されているRx+受話ライン114に隣接しているので、Rx−送話ライン116によってTx+送話ライン112に信号が誘起されるのを防止できる。従って、受話部108から出力された信号が送話部106にフィードバックされるのを防止できるので、エコーが大きく減少する。
【0024】
一方、前述したように、受話側はローインピーダンスであるので外部ノイズに対して強いが、送話側はハイインピーダンスであるので外部の小さいのノイズによっても影響を受けやすい。従って、このことを考慮して、エコーだけでなくノイズをも減少させることが望ましい。
【0025】
図6は、本発明の一実施形態によるエコー及びノイズ減少装置の構成図である。図6を参照すると、図1のハンドセット接続コード104と同様に、フラットタイプのハンドセット接続コード402を使用する。図6及び図7に示すように、フラットタイプのハンドセット接続コード402は、Rx+受話ライン406、Rx−受話ライン408、Tx+送話ライン410及びTx−送話ライン412の順で配列される。本発明のエコー及びノイズ減少装置において、フラットタイプのハンドセット接続コード402に対応するように電話機本体400の接続部404を構成する。接続部404において、送話ライン端子Tx+及び受話ライン端子Rx+は、それぞれ送話部106及び受話部108に接続され、送話ライン端子Tx−及び受話ライン端子Rx−は共に接地接続される。従って、Tx+送話ライン410及びRx+受話ライン406は、それぞれ送話部106及び受話部108に接続され、Tx−送話ライン412及びRx−受話ライン408は共に接地接続される。
【0026】
接続部404及びハンドセット接続コード402を使用すると、図1のような一般的なハンドセット102内部のマイク及びスピーカーの端子配列と合わず、互換性が無いので、端子配列を対応させた専用のハンドセット414を使用する必要がある。専用のハンドセット414の使用において、Tx+送話ライン410は、接地接続されるRx−受話ライン408とTx−送話ライン412との間に位置するので、Rx+受話ライン406によってTx+送話ライン410に信号が誘起されるのを防止できる。従って、受話部108から出力された信号が送話部106にフィードバックされるのを防止することができるので、エコーが大きく減少するだけでなく、送話部106に流れ込むノイズを非常に減少することができるようになる。なお、Rx+、Rx−受話ライン406、408はスピーカーに連結されており、Tx+、Tx−送話ライン410、412はマイクに連結されている。
【0027】
前述の如く、本発明の詳細な説明では具体的な一実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲はそのような一実施形態によって限られるべきではなく、本発明の範囲内で様々な変形が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を持つ者には明らかである。
【0028】
【発明の効果】
前述したように、本発明によれば、受話ラインによってTx+、Tx−送話ラインに同一サイズの信号を誘起させて差動増幅により除去するので、ハンドセット接続コードのライン間に誘起する信号であるエコーを減少することができるようになる。さらに、ハンドセット接続コードのライン配列を変更することで、ハンドセット接続コードのライン間に誘起する信号であるエコーを減少することができるとともに、ノイズをも減少することができるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一般的な電話機におけるハンドセット連結の構成図。
【図2】 一般的な電話機に使用されるフラットタイプのハンドセット接続コードの断面図。
【図3】 本発明の一実施形態によるエコー減少装置の構成図。
【図4】 (a)は図3の一実施形態によるラウンドタイプハンドセット接続コードの断面図であり、(b)は図3の一実施形態によるラウンドタイプハンドセット接続コードの配列が乱れていることを示す断面図。
【図5】 本発明の一実施形態によるエコー減少装置の構成図。
【図6】 本発明の一実施形態によるエコー及びノイズ減少装置の構成図。
【図7】 図6の一実施形態によるフラットタイプハンドセット接続コードの断面図。
Claims (3)
- 電話機におけるエコー減少装置において、電話機本体にハンドセットのマイクを連結するTx+、Tx−送話ライン及び前記電話機本体にハンドセットのスピーカーを連結するRx+、Rx−受話ラインからなり、
前記Tx+、Tx−送話ラインを対向させ、前記Rx+、Rx−受話ラインを対向させてTx+、Tx−送話ライン及びRx+、Rx−受話ラインをラウンド型で配列したラウンドタイプのハンドセット接続コードと、
前記電話機本体に設置され、前記Tx+、Tx−送話ラインから受信する信号を差動増幅して送話部に印加する差動増幅器を有し、前記Tx+、Tx−送話ラインを前記差動増幅器の非反転入力端子+及び反転入力端子−にそれぞれ接続し、前記Rx+受話ラインを受話部に接続し、前記Rx−受話ラインを接地接続した接続部と、
を備えることを特徴とするエコー減少装置。 - 前記ハンドセット接続コードが、前記Tx+送話ライン、前記Rx−受話ライン、前記Tx−送話ライン、前記Rx+受話ラインの順によってラウンド型で配列されている請求項1記載のエコー減少装置。
- 前記ハンドセット接続コードが、カールコードである請求項1記載のエコー減少装置。
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