JP4034851B2 - 低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法及び測定用組成物、並びに低密度及び高密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法 - Google Patents
低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法及び測定用組成物、並びに低密度及び高密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールの特異的測定方法及び測定用組成物、並びに低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールと高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールとを同時に特異的に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
血漿又は血清中の各リピドフラクション中に含有されるコレステロールは、近年アテローム性動脈硬化症や心筋梗塞の危険度を示す診断材料として重要視されている。血清のリピドフラクションはそれぞれ脂質複合体粒子としての大きさが異なり、比重の差を利用した分離法である超遠心法に従って、カイロミクロン、超低密度リポプロテイン(Very low density lipoprotein;以下VLDLとも称する)、低密度リポプロテイン(Low density lipoprotein;以下LDLとも称する)、及び高密度リポプロテイン(High density lipoprotein;以下HDLとも称する)の4種類に分別されている。各リピドフラクションは、アポリポタンパク質と脂質とに大別され、脂質は更に遊離型コレステロール、エステル型コレステロール、トリグリセリド、及びリン脂質から構成されている。このため、コレステロールの測定は遊離型とエステル型の両者について行われている。
【0003】
日常的な臨床検査では、自動分析装置を使用して酵素法による総コレステロールの測定が広く行われている。リピドフラクションについては、最近、HDLコレステロールの酵素法による自動分析測定(自動化)が、総コレステロールと同様に、可能となった。他方、LDLコレステロールの測定については、試料の前処理(分画、及び分離操作)を行うことが必要なため、酵素法による自動分析測定(自動化)の普及が遅れていた。
【0004】
このLDLコレステロール測定用試料の前処理方法としては、種々の沈殿法が報告されている。例えば、特開昭58−70180号公報には、血漿又は血清試料中に抗HDL抗体を添加し、抗原抗体反応を利用してHDLを不溶化して沈殿させる前処理方法が記載されている。また、特開昭59−223130号公報には、抗HDL抗体に加えて、更に、ポリアニオンと2価のカチオンとの混合物を添加した後、不溶物を分離する前処理方法が記載されている。前記のいずれの特許公報にも、残留物に対して、総コレステロール測定用の酵素試薬を用いた自動分析システムによる測定が可能になるものと記載されている。
【0005】
HDLを不溶化する前記の前処理方法とは逆に、LDLを特異的に不溶化させる前処理方法も報告されている。例えば、特表昭54−500069号公報には、LDLと植物レクチンとの特異的凝集反応によって集合体を形成させ、LDLを沈殿させた後、HDLを選択的に消費する酵素を加えることによってHDLを消費させる前処理方法が記載されている。また、特表平7−501945号公報には、LDLと、多価陰イオン化合物、2価金属塩及び造核粒子とで集合体を形成させてLDLを沈殿させ、HDLを選択的に消費する酵素を加えてHDLを消費させた後、集合体を再溶解することにより得られる残留分中のコレステロールを、前記と同様に、総コレステロール測定用の酵素試薬を用いた自動分析システムによって測定する方法が記載されている。
しかしながら、これらの方法には、多くの工程と時間とを要するという欠点があり、均一な溶液反応系を用いて実施されている通常の自動化測定には本質的に不向きなことは明らかである。
【0006】
更に近年では、同様のリピドフラクション前処理を目的とする乾燥試験具(Dry chemistry)による測定方法が報告されている。例えば、特開平7−55812号公報には、多孔質シリカ又はシリケートなどからなる種々のマトリックスなどを組み合わせて多層構造物を形成し、その多層構造物中に試料を通過させることにより、リピドフラクションの分離分画を行う方法が記載されている。しかしながら、この方法も、リピドフラクション前処理を行わずにLDLコレステロールを測定するものではない。
【0007】
以上のように、個々のリピドフラクションを測定する従来法では、酵素法による検出処理を実施する前に、測定対象の脂質複合体粒子を予め分離分画してから、その分離分画された個々のリピドフラクションにおける総コレステロール量を酵素法によって測定するものであり、その際に使用される酵素は、リピドフラクション全体に対して作用する酵素であり、分離分画された特定のリピドフラクションに対して特異性を有する酵素ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、現在の臨床検査試験では、迅速で簡便な手段である自動分析装置による測定が主流である点に鑑み、LDLコレステロールの測定方法において、試料(例えば、血清又は血漿)の遠心操作など種々の分離分画操作を行うことなく、簡便な操作で、且つ高精度の測定結果が得られる方法の開発を目的として、鋭意研究を重ねた結果、LDLコレステロールの測定方法において利用する酵素(コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼ)とリピドフラクション含有コレステロールとの反応に関して、LDLフラクションのコレステロールとの反応には影響しないが、HDL及びVLDLフラクションのコレステロールとの反応を抑制する化合物が存在することを見出し、これらの化合物を用いることにより、試料(例えば、血清又は血漿)の分画操作を行うことなく、簡便な操作で、LDLコレステロールを高精度に測定することができることを見出した。本発明は、こうした知見に基づくものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、生体試料と、哺乳動物膵臓由来コレステロールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを、アルブミンが測定系全体の0.01〜30重量%の量で存在する条件下、及びn−オクチル−β−D−チオグルコシド又はn−ヘプチル−β−D−チオグルコシドと胆汁酸又はその塩との存在下で接触させ、次いで、こうして処理した生体試料とシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼとを接触させ、低密度リポタンパク質コレステロールとシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を測定することを特徴とする、低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法に関する。
更に、本発明は、生体試料と、哺乳動物膵臓由来コレステロールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを、アルブミンが測定系全体の0.01〜30重量%の量で存在する条件下、及びn−オクチル−β−D−チオグルコシド又はn−ヘプチル−β−D−チオグルコシドと胆汁酸又はその塩との存在下で接触させ、高密度リポタンパク質コレステロールと哺乳動物膵臓由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を測定し、続いて、こうして処理した生体試料とシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼとを接触させ、低密度リポタンパク質コレステロールとシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を測定することを特徴とする、高密度リポタンパク質コレステロール及び低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法にも関する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明においては、生体試料として、特に哺乳動物(特にヒト)の血液試料、例えば血清試料又は血漿試料をそのまま用いることができる。すなわち、血清又は血漿を分離分画処理したり、抗体で処理する必要がない。
本発明においては、前記の生体試料をコレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼと接触させる際に、それらの酵素とLDLコレステロールとの反応には影響を与えないが、それらの酵素とHDLコレステロール及びVLDLコレステロールとの反応を抑制する化合物、すなわち、抑制剤として、アルブミンを用いる。アルブミンの濃度は、測定系において、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.01〜30重量%、最も好ましくは0.03〜15重量%である。アルブミンの濃度が、測定系において、0.01重量%未満になると、酵素反応の特異性が減少することがあり、15重量%を越えると反応量が減少することがある。
【0011】
本発明において用いる被検試料が血液(血清又は血漿)由来の場合には、被検試料内に既にアルブミンが含まれている。しかしながら、試薬溶液へ添加された被検試料の終濃度が低い場合には、被検試料由来のアルブミンだけでは、目的とする抑制効果を充分に得ることができない。一般に、測定用試薬と被検試料との混合比は、被検試料中の測定対象物質(本発明ではLDLコレステロール)の濃度と検出系の感度(例えば、発色反応の場合は、発色剤のモル分子吸光係数)とによって決められるので、高感度の検出系を用いる場合には、被検試料の使用量(添加量)が少量でもよいことになり、測定系における被検試料の終濃度は低くなる。また、一般的な血液試料(血清又は血漿試料)中のアルブミン濃度は、一般的に1〜5%であるが、極端な場合では、無アルブミン症患者由来の血液試料(血清又は血漿試料)のように、アルブミンが実質的に存在しない例もある。
【0012】
従って、本発明においては、被検試料中に存在するアルブミンに依存せずに、常に安定した測定を可能にするために、試薬から供給されるアルブミンのみでも、測定系でのアルブミン濃度が、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上となるようにする。測定系でのアルブミン濃度が、試薬から供給されるアルブミンと被検試料中に存在するアルブミンとによって、0.01重量%以上、又は0.03重量%以上となっても全く問題はない。また、被検試料として、アルブミンを含まない精製リピドフラクションや他の生体試料(例えば、組織抽出液)を用いる場合には、アルブミンを添加して共存させることが必要である。この場合のアルブミン濃度は、前記のとおり、測定系にて、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.03〜15重量%である。
本発明において試薬から供給するアルブミンの由来は特に限定されず、例えば、ウシ、ヒト、ヒツジ、又はウマ等の哺乳動物由来のアルブミンを使用することができ、遺伝子工学的に産生されたアルブミンも使用することができる。
【0013】
本発明においては、HDLコレステロールとの反応には膵臓由来コレステロールエステラーゼを使用し、LDLコレステロールとの反応には微生物由来コレステロールエステラーゼを使用する。
膵臓由来コレステロールエステラーゼとしては、例えば、ウシ又はブタなど哺乳動物の膵臓由来の酵素を用いることができ、微生物由来コレステロールエステラーゼとしては、例えば、シュードモナス属に属する微生物又はキャンディダ属に属する微生物由来の酵素を用いることができる。これらの膵臓由来コレステロールエステラーゼ及び微生物由来のコレステロールエステラーゼは、いずれもポリエチレングリコール(PEG)等を結合させる化学修飾の有無に関わらず使用することができる。
【0014】
本発明方法によれば、被検試料(例えば、血清試料又は血漿試料)について測定前に予め遠心分離等のリピドフラクション分画操作を行わなくても、最初に第1工程として、アルブミン(抑制剤)の存在下で、前記被検試料と、膵臓由来コレステロールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを接触(共存)させることによって、被検試料中のLDLコレステロール及びVLDLコレステロールと前記膵臓由来コレステロールエステラーゼとの反応を抑制すると共に、HDLコレステロールと前記膵臓由来コレステロールエステラーゼとの反応を抑制せずに進行させ、被検試料中のコレステロールと前記各酵素との酵素反応により消費される化合物(例えば、酸素)又は生成される化合物(例えば、過酸化水素)を、公知の手段により検出するかあるいは消去する。すなわち、HDLコレステロールとLDLコレステロールとの同時測定の場合には、前記各酵素との酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を検出し、LDLコレステロールの単独測定の場合の場合には、前記各酵素との酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を検出する必要はなく、消去することができる。
【0015】
前記の第1工程においては、膵臓由来コレステロールエステラーゼを、測定系において、好ましくは0.05〜90u/ml、より好ましくは0.1〜20u/mlの量で存在させる。また、コレステロールオキシダーゼを、測定系において、好ましくは0.05〜90u/ml、より好ましくは0.1〜20u/mlの量で存在させる。コレステロールオキシダーゼとしては、例えば、ストレプトマイセス属に属する微生物又はノカルディア属に属する微生物に由来する酵素を用いることができる。前記酵素の使用量が0.05u/ml未満になると、反応量が低下することがあり、90u/mlを越えると、特異性が減少することがある。
【0016】
本発明方法において、膵臓由来のコレステロールエステラーゼを用いる前記第1工程においては、胆汁酸又はその塩を同時に用いる。この胆汁酸は、前記酵素の活性発現への関与が知られており(J.Hynn et al.,JBC,244,1937,1969;及びK.B.Calame et al.,Arch.Biochem.Biophys.,168,57,1975)、活性発現に必須である。この場合、胆汁酸又はその塩の濃度は、測定系において、好ましくは0.05〜4mM、より好ましくは0.15〜3mMである。胆汁酸又はその塩の濃度が0.05mM未満になると反応量が低下することがあり、4mMを越えると特異性が減少することがある。
前記胆汁酸又はその塩の種類は、特に限定されることはないが、胆汁酸としては、例えば、コール酸、タウロコール酸、グリココール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、又はリトコール酸などを挙げることができ、その塩としては、例えば、ナトリウム塩などを挙げることができる。水溶性が高い点で、胆汁酸塩、例えば、コール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、又はデオキシコール酸ナトリウムを使用することが好ましい。
【0017】
本発明方法において、膵臓由来のコレステロールエステラーゼを用いる前記第1工程においては、前記抑制剤としてのアルブミンに加えて、補助抑制剤として、一般式(I):
A−(CH2 )n−CH3 (I)
(式中、Aはグルコシド基、チオグルコシド基、シュークロースオキシカルボニル基、又はN−メチルグルカミドカルボニル基であり、nは4〜10の整数である)で表わされる化合物、又は一般式(II):
B−CH2 −CH(R1 )−CH2 −SO3 - (II)
(式中、Bは3−(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ基であり、R1 は水素原子又はヒドロキシ基である)で表わされる化合物の少なくとも1種を共存させることが好ましい。
【0018】
前記一般式(I)で表わされる化合物において、Aがグルコシド基又はチオグルコシド基である場合には、nは好ましくは4〜9、より好ましくは5〜8である。グルコシド基は、好ましくはグルコピラノシド基、より好ましくはβ−D−グルコピラノシド基である。チオグルコシド基も、好ましくはチオグルコピラノシド基、より好ましくはβ−D−チオグルコピラノシド基である。Aがグルコシド基である場合の化合物としては、具体的には、n−オクチル−β−D−グルコシド(以下、n−ODGとも称する)及びn−ヘプチル−β−D−グルコシド(以下、n−HDGとも称する)を挙げることができる。また、Aがチオグルコシド基である場合の化合物としては、具体的には、n−オクチル−β−D−チオグルコシド(以下、n−OTGとも称する)及びn−ヘプチル−β−D−チオグルコシド(以下、n−HTGとも称する)を挙げることができる。
【0019】
前記一般式(I)で表わされる化合物において、Aがシュークロースオキシカルボニル基である場合には、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜9であり、この場合の化合物としては、具体的には、シュークロースモノカプレート(以下、SM−1000とも称する)を挙げることができる。
前記一般式(I)で表わされる化合物において、AがN−メチルグルカミドカルボニル基である場合には、nは好ましくは5〜9である。AがN−メチルグルカミドカルボニル基である場合の化合物としては、具体的には、オクタノイル−N−メチルグルカミド(以下、MEGA−8とも称する)、ノナノイル−N−メチルグルカミド(以下、MEGA−9とも称する)、及びデカノイル−N−メチルグルカミド(以下、MEGA−10とも称する)を挙げることができる。
【0020】
前記一般式(II)で表わされる化合物としては、具体的には、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(以下、CHAPSとも称する)及び3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(以下、CHAPSOとも称する)を挙げることができる。
【0021】
本発明においては、補助抑制剤は、水溶液として用いるのが好ましい。補助抑制剤の濃度は、測定系において、好ましくは、0.01〜2.0重量%、より好ましくは0.02〜1.0重量%、最も好ましくは0.03〜0.5%重量%である。補助抑制剤の濃度が0.01重量%より少ないと、LDL及びVLDLフラクションのコレステロールとの酵素反応に対する抑制効果が見られないことがあり、正確な測定を行うことができないことがある。逆に、2.0重量%を越える濃度では、フラクションのコレステロールとの酵素反応に対する特異性が全く見られなくなることがあり、また補助抑制剤の溶解性の点においても不都合が生じることがある。
【0022】
本発明方法によってHDLコレステロールとLDLコレステロールとの同時測定を行う場合には、前記の第1工程での吸光度変化量によりHDLコレステロールの検出を行う。例えば、過酸化水素を検出する場合には、HDLコレステロールとの反応に由来するH2 O2 を、公知の方法で、例えば、適当な被酸化性発色剤の存在下にペルオキシダーゼの反応により発色させて、分光学的に比色測定することができる。被酸化性発色剤としては、3−ハイドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIBA)やN−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(ESPT)と4−アミノアンチピリン(4−AP)が好適であり、例えば、HTIBAやESPTは0.1mM〜5mMの濃度範囲で、そして4−APは0.05mM〜2mMの濃度範囲で適宜含有させることができる。自動分析装置による測定では、波長510nm(HTIBAを使用する場合)、又は546nm(ESPTを使用する場合)における吸光度を測定することができる。
なお、本発明方法によってLDLコレステロールの単独測定を行う場合には、例えば、前記の過酸化水素を適当な被酸化性発色剤少なくとも1種の存在下にペルオキシダーゼ反応を進行させることによって消失させる。
【0023】
本発明方法においては、前記の第1工程に続いて、微生物由来コレステロールエステラーゼを使用する第2工程を実施する。この第2工程は、前記第1工程に使用した被検試料をそのまま使用して実施することができる。この場合には、前記の第1工程において被検試料に添加したアルブミン及び胆汁酸又はその塩、更には、場合により添加した補助抑制剤がそのまま残留している。また、酵素、すなわち、膵臓由来コレステロールエステラーゼも残留するが、続く第2工程への影響はほとんどなく、他方、残留するコレステロールオキシダーゼは、第2工程でのLDLコレステロールとの反応でインディケーター酵素として働くことができる。
【0024】
前記第1工程に使用した被検試料をそのまま使用して第2工程を実施する場合には、被検試料に、微生物由来コレステロールエステラーゼを添加する。この第2工程においては、微生物由来コレステロールエステラーゼを、測定系において、好ましくは0.05〜90u/ml、より好ましくは0.1〜20u/mlの量で存在させる。前記酵素の使用量が0.05u/ml未満になると、反応量が低下することがあり、90u/mlを越えると、特異性が減少することがある。
【0025】
この第2工程においては、VLDLコレステロールと前記各酵素との反応が抑制された状態で、LDLコレステロールとの反応が特異的に進行するので、LDLコレステロールを定量することができる。第2工程での吸光度変化量により、LDLコレステロール量の測定を行う。例えば、過酸化水素を検出する場合には、前記と同様に、公知の方法で、例えば、適当な被酸化性発色剤の存在下にペルオキシダーゼの反応により発色させることができる。被酸化性発色剤としては、3−ハイドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIBA)やN−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(ESPT)と4−アミノアンチピリン(4−AP)が好適であり、例えば、HTIBAやESPTは0.1mM〜5mMの濃度範囲で、そして4−APは0.05mM〜2mMの濃度範囲で適宜含有させることができる。自動分析装置による測定では、波長510nm(HTIBAを使用する場合)、又は546nm(ESPTを使用する場合)における吸光度を測定することができる。
【0026】
本発明によるLDLコレステロール測定用試薬は、現在汎用されている自動分析装置に合わせて、2試薬系として構成するのが好ましい。本発明試薬を用いる場合には、最初に、被検試料と第1試薬とを接触させて、被検試料中のLDLコレステロール及びVLDLコレステロールと酵素との反応を抑制しながら、HDLコレステロールと酵素との反応を進行させ、HDLコレステロールの定量を行うか、あるいは被検試料中のHDLコレステロールを消去する。
【0027】
従って、第1試薬は、膵臓由来コレステロールエステラーゼ(好ましくは0.05〜90u/ml、より好ましくは0.1〜20u/ml)、コレステロールオキシダーゼ(好ましくは0.05〜90u/ml、より好ましくは0.1〜20u/ml)、アルブミン(好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは0.03〜15重量%)、胆汁酸又はその塩(好ましくは0.05〜4mM、より好ましくは0.15〜3mM)、更には、場合により前記一般式(I)又は前記一般式(II)で表わされる補助抑制剤(好ましくは0.01〜2.0重量%、より好ましくは0.02〜1.0重量%)を含有する。更に、HDLコレステロールの定量を行うために、各酵素反応により消費される化合物の量又は生成される化合物の量を測定する目的で、例えば、被酸化性発色剤(例えば、HTIBA又はESPT、及び4−アミノアンチピリン)を添加することができる。HDLコレステロールの定量を行わない場合には、HDLコレステロールを消去する目的で、例えば、被酸化性発色剤、例えば、HTIBA又はESPTを添加することもできる。
【0028】
本発明によるLDLコレステロール測定用試薬の第2試薬を、前記の第1試薬によって処理した被検試料と接触させて、VLDLコレステロールと酵素との反応を抑制した状態で、LDLコレステロールとの反応を特異的に進行させることができる。従って、第2試薬は、微生物由来コレステロールエステラーゼ(好ましくは0.1〜350u/ml、より好ましくは0.1〜80u/ml)を含有する。更に、各酵素反応により消費される化合物の量又は生成される化合物の量を測定することのできる測定系試薬、例えば、被酸化性発色剤(例えば、HTIBA又はESPT、及び4−アミノアンチピリン)(好ましくは0.1〜10mM、より好ましくは0.1〜5mM)を含有することができる。また、第2試薬に、場合により、コレステロールオキシダーゼ、アルブミン、胆汁酸又はその塩、及び/又は補助抑制剤を含有させることができる。この場合、第1試薬及び第2試薬における各構成成分の合計量は、コレステロールオキシダーゼについては0.05〜90u/ml、アルブミンについては0.01〜30重量%、胆汁酸又はその塩については0.05〜4mM、補助抑制剤については0.01〜2.0重量%であることができる。
【0029】
本発明においては、緩衝剤として、例えば、グッド緩衝液(例えば、HEPES、PIPES、MOPS、又はBis−Trisなど)、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液、又はイミダゾール緩衝液等を使用することができる。緩衝液の濃度は、好ましくは5〜1000mM、より好ましくは5〜500mM、最も好ましくは10〜200mMである。また、それらの緩衝液のpHは、好ましくは4.5〜8.0、より好ましくはVLDLのコレステロールと酵素との抑制が良好なpH5.5〜7.5の範囲で適宜選択することができる。
【0030】
本発明試薬を用いて、LDLコレステロールの単独測定を実施する場合の反応系を模式的に示せば以下のとおりである。
反応特異性
第一反応(第1試薬:膵臓由来コレステロールエステラーゼ使用)
生体試料+アルブミン+胆汁酸又はその塩+場合により補助抑制剤
↓HDLコレステロール反応,LDL及びVLDLの非基質化
第二反応(第2試薬:微生物由来コレステロールエステラーゼ使用)
↓LDLコレステロール反応
酵素反応及び発色反応(第2試薬:第二反応)
(コレステロールエステラーゼ反応)
コレステロールエステル+H2 O→コレステロール+脂肪酸 (1)
(コレステロールオキシダーゼ反応)
コレステロール+O2 →Δ4−コレステン−3−オン+H2 O2 (2)
(ペルオキシダーゼ反応)
H2 O2 +被酸化性発色剤→酸化縮合物 (3)
↓
吸光度測定
【0031】
本発明試薬を、HDLコレステロール及びLDLコレステロールの同時定量用試薬として構成するか、あるいはLDLコレステロールの単独定量用試薬として構成することができる。LDLコレステロールの単独定量用試薬の場合には、第1試薬の構成成分から、被酸化性発色剤〔前記反応式(3)〕の内、例えば、4−アミノアンチピリンを除いておき、HTIBA又はESPTのみを添加しておく。これにより、前記反応式(2)によって生じたH2 O2 は、全く発色することなく、第1試薬による反応を完結させることができる。次いで、第2試薬の構成成分に4−アミノアンチピリンを共存させておけば、酵素反応に伴う発色反応が進行し、LDLコレステロールのみの測定を行うことができる。
【0032】
前記の説明では、吸光度測定を例として取り上げたが、酵素反応による発色物を反射光強度の差として測定したり、発色以外にも電気化学的な酸化還元反応量として測定することができる。例えば、前記反応式(2)で生成するH2 O2 は、直接に白金電極を用いるか、フェロセンなどの適当なメディエーターとペルオキシダーゼの存在下に反応させることにより、あるいは直接コレステロールオキシダーゼ反応時にフェロシアン化カリウムなどのメディエーターを介して、生成する酸化還元電流の変化量を電気化学的に測定することもできる。他方、酵素反応により消費される化合物、例えば、前記反応式(2)で消費される酸素(溶存酸素)を、従来公知の方法、例えば、酸素電極で測定することもできる。また、酵素反応により生成される化合物としては、前記の過酸化水素以外にも、例えば、前記反応式(2)の生成物であるΔ4−コレステン−3−オンを適当な方法で測定することもできる。
【0033】
【作用】
以下の説明に限定されるものでないが、本発明は、LDLコレステロールの測定方法において、利用する酵素(コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼ)とリピドフラクション含有コレステロールとの反応に際して、アルブミンを存在させ、しかも由来の異なるコレステロールエステラーゼを用いると、全く異なった反応特異性を示すという知見から導かれたものである。すなわち、微生物由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼは、アルブミンの共存下で、LDLコレステロールと反応するのに対し、膵臓由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼは、アルブミン及び胆汁酸又はその塩、並びに場合により共存することのある前記補助抑制剤の存在下で、HDLコレステロールと反応する。これらの現象は、簡単には、酵素とアルブミンという高分子タンパク質及び各脂質粒子間で、直接リピドフラクションのアポリポタンパク質に酵素が親和性を示すか、あるいは間接的にリピドフラクションのコレステロールと酵素との反応時に、アルブミンが酵素と相互作用するものと考えられる。その相互作用の結果は、リピドフラクション特異的な酵素活性の活性化も考えられるが、むしろリピドフラクション特異的な抑制効果の方が、主に生じているものと考えられる。
【0034】
一般に、各リピドフラクションは、脂質とアポタンパク質との脂質複合体からなり、その脂質構成比の違いとアポタンパク質のタイプ(A−I、A−II、B−100、B−48、C、又はEなど)の差による物理化学的性質(粒子サイズや等電点など)及び量的(各フラクション中に含まれる量)な違いによって識別される。これら脂質粒子に対する酵素の反応は、界面活性剤の共存により最大限に進行するが、このような界面活性剤による脂質粒子の可溶化が有効に利用されている例として、例えば、総コレステロールの測定を挙げることができる。しかし、この場合、高濃度の界面活性剤の使用は、酵素反応の代謝回転を大きくさせる効果がある反面、脂質粒子の崩壊を招くことから、本発明のような高分子間相互作用に関わるユニークな現象を観察することは不可能なことであった。リピドフラクション間で最も大きく異なるアポタンパク質のタイプは、HDLフラクションでは、A−I、及びA−IIであり、LDLフラクションでは、B−100、VLDLフラクションでは、B−100、C、及びEである。従来、この違いに着目して、アポタンパク質に対する抗体を用いる方法も開発されてきた。この方法は、HDL及びVLDLに対する抗体を固定化した不溶性担体(例えば、ラテックス粒子)と試料とを混和し、免疫複合体を形成させた後、遠心分離し、上清に残った総コレステロールを測定するものである。しかし、この方法では自動化はもちろん、免疫複合体を形成することができる抗体の反応性を一定に維持することは難しく、また、LDL及びVLDLの両者に含まれるアポタンパク質B−100に対する抗体の反応特異性を制御することは、基本的に困難を伴うものであった。これに対して、本発明では、抗体や金属イオンによる錯体形成などの反応を利用する必要はなく、単純で簡潔な試薬構成を用いることによって自動化が可能となる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
本実施例では、超遠心法によるリピドフラクションの分画を行った。超遠心法による脂質フラクションの分画は、Freeman,N.K.ら(The Progress in the Chemistry of Fats and Other Lipids,vol.6,Pergamon Press,1963,p.216〜250)の方法に準じて行った。具体的には、プール血清20mlへ、EDTAナトリウム塩1mgを加え溶解した。これとは別に二種類の比重液を作成した。すなわち、比重1.182の比重液は、塩化ナトリウム0.57gと臭化ナトリウム13.65gとを精製水50mlに溶解して調製した。比重1.483の比重液は、塩化ナトリウム0.57gと臭化ナトリウム39.14gとを精製水50mlに溶解して調製した。
30ml容量の遠心管に上記の処理血清20mlを入れ、10℃で40000rpmにて24時間遠心した。遠心終了後、遠心管の最上層部の6.7mlを回収し、VLDL画分とした。次いで、この遠心管へ比重1.182の比重液6.7mlを加えてよく攪拌し、再度、同じ条件で遠心した。遠心終了後、遠心管の最上層部6.7mlを回収し、これをLDL画分とした。更に、この遠心管へ比重1.483の比重液6.7mlを添加し、よく攪拌した。これを再度、10℃で40000rpmにて24時間遠心した。遠心終了後、同様に最上層部より6.7mlを回収し、これをHDL画分とした。各画分を生理的食塩水に一夜透析した後(冷蔵下)、冷蔵保存し、測定に用いた。各画分中の総コレステロール濃度を酵素法(ヤトロン製)により測定したところ、LDLはコレステロール140mg/dlのコレステロールを含み、VLDLはコレステロール80mg/dlを含み、そしてHDLはコレステロール100mg/dlを含んでいた。
【0036】
【実施例2】
本実施例では、実施例1で精製した各脂質フラクションを試料として用いて、各フラクションに対する反応特異性及び反応経時変化を調べた。1mM ESPT、5μg/mlペルオキシダーゼ、0.3%牛アルブミン、0.37%n−HTG、0.75mMコール酸ナトリウム、0.3u/ml牛膵臓由来コレステロールエステラーゼ及び1.5u/mlコレステロールオキシダーゼを含む40mM Bis−Tris緩衝液(pH6.8)1mlを37℃で3分間予加温した。これに、各脂質フラクション試料10μlを添加し、37℃で5分間反応させた。更に、この反応液に0.2M 4−APの3μlと938u/mlシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼ2μlとを加え、波長546nmでの発色反応を記録した。各脂質フラクションに対する反応経時変化の結果を図1に示す。本発明方法は、良好な反応特異性を示すことが明らかである。
【0037】
【実施例3】
本実施例では、自動分析機での測定を行った。本発明の試薬組成物として、1mM ESPT、5μg/mlペルオキシダーゼ、0.3%牛アルブミン、0.1%n−OTG、0.75mMコール酸ナトリウム、0.3u/ml牛膵臓由来コレステロールエステラーゼ及び1.5u/mlコレステロールオキシダーゼを含む40mM Bis−Tris緩衝液(pH6.8)[試薬1]300μlと、2mM 4−AP、0.3%牛アルブミン及び4u/mlシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼを含む40mM Bis−Tris緩衝液(pH6.8)[試薬2]100μlとの二試薬系の構成をとる試薬組成物を用い、血清試料4μlを用いる条件で、自動分析装置を使って測定した。試薬1との反応時間は5分間で、続く試薬2との反応時間も5分間とし、主波長600nm及び副波長700nmで測定を行った。
【0038】
比較対照方法としては、Friedewaldらの演算式を使ってLDLコレステロール量の推定を行った。この方法は、Friedewaldらにより提唱されたものである(W.T.Friedewald,et al.,Clinical Chemistry,18,499,1972)。すなわち、脂質関連測定項目の内、総コレステロール、中性脂肪及びHDLコレステロールの3種類の測定値からLDLコレステロール量を算出するものであり、この算出値は、直接測定法の開発においても、比較対照としての有用性が示唆されている(P.S.Bachorik and J.W.Ross,for the National Cholesterol Education Program Working Group on Lipoprotein Measurement,Clincal Chemistry,41,1414,1995)。具体的には、上記の本発明方法による測定を実施した血清検体例について、予めHDLコレステロール、総コレステロール及び中性脂肪の各項目について測定し、それらの測定値からLDLコレステロール量を推定し、比較対照とした。また、標準物質としては、予め既知濃度の精製LDLフラクションで値付けしたプール血清を用いた。
両測定方法の相関関係を図2に示した。本発明方法は、比較対照方法(Friedewald)と良好な相関性を示し、LDLコレステロールの測定が正確であることが確認された。
【0039】
【実施例4】
本実施例では、自動分析機によって、HDLコレステロールとLDLコレステロールとの同時測定を行った。
本発明の試薬組成物として、1mM ESPT、1mM 4−AP、5μg/mlペルオキシダーゼ、0.3%牛アルブミン、0.1%n−OTG、0.75mMコール酸ナトリウム、0.3u/ml牛膵臓由来コレステロールエステラーゼ及び1.5u/mlコレステロールオキシダーゼを含む40mM Bis−Tris緩衝液(pH6.8)[試薬1]300μlと、0.1%牛アルブミン、0.75mMコール酸ナトリウム及び7.5u/mlシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼを含む40mM Bis−Tris緩衝液(pH6.8)[試薬2]100μlとの二試薬系の構成をとる試薬組成物を用い、血清試料4μlを用いる条件で、自動分析装置[日立7070型自動分析装置]を使って測定した。試薬1との反応時間は5分間で、続く試薬2との反応時間も5分間とした。対照試験は、血清試料4μlの代わりに精製水4μlを用いて実施した。主波長600nm及び副波長700nmで測定を行った。また反応経時変化も併せて記録し、結果を図3に示した。図3においてAは精製水、Bは血清を各々試料とした場合の結果であり、反応時間を20秒/ポイント(すなわち、20秒毎に吸光度を測光した回数:図3の●)で示した。試薬1での変化量(0〜16ポイント)は、HDLコレステロールとの反応であり、試薬2の添加以降(17〜31ポイント)の変化量は、LDLコレステロールとの反応が認めれた。
【0040】
また相関結果については、HDLコレステロール量を、予め沈殿法(第一化学製)によって測定し、比較対照方法とした。両測定法での標準物質としては、脂質測定用標準血清(福祉・医療技術振興会製)を用いた。一方、LDLコレステロール量は実施例3と同様にFriedewaldらの演算式を使って推定し、比較対象とした。また、標準物質としては、予め既知濃度の精製LDLフラクションで値付けしたプール血清を用いた。
両測定方法の相関関係を図4(HDLコレステロール)と図5(LDLコレステロール)に示した。本発明方法は、比較対照方法(HDLコレステロール量は沈殿法;LDLコレステロール量はFriedewald)と良好な相関性を示し、各々の測定値が正確であることが確認された。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、生体試料(例えば、血清又は血漿)の遠心操作などの種々の分離分画操作を行うことなく、簡便な操作で、高精度のLDLコレステロール(及びHDLコレステロール)の測定結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の各脂質フラクションに対する反応経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明方法と比較対照方法(Friedewald)との相関関係を示すグラフである。
【図3】本発明方法により血清試料中のHDLコレステロールとLDLコレステロールとを測定した場合の反応経時変化を示すグラフである。
【図4】本発明方法と比較対照方法(沈殿法)とのHDLコレステロール測定結果の相関関係を示すグラフである。
【図5】本発明方法と比較対照方法(Friedewald)とのLDLコレステロール測定結果の相関関係を示すグラフである。
Claims (2)
- 生体試料と、哺乳動物膵臓由来コレステロールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを、アルブミンが測定系全体の0.01〜30重量%の量で存在する条件下、及びn−オクチル−β−D−チオグルコシド又はn−ヘプチル−β−D−チオグルコシドと胆汁酸又はその塩との存在下で接触させ、次いで、こうして処理した生体試料とシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼとを接触させ、低密度リポタンパク質コレステロールとシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を測定することを特徴とする、低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法。
- 生体試料と、哺乳動物膵臓由来コレステロールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを、アルブミンが測定系全体の0.01〜30重量%の量で存在する条件下、及びn−オクチル−β−D−チオグルコシド又はn−ヘプチル−β−D−チオグルコシドと胆汁酸又はその塩との存在下で接触させ、高密度リポタンパク質コレステロールと哺乳動物膵臓由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を測定し、続いて、こうして処理した生体試料とシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼとを接触させ、低密度リポタンパク質コレステロールとシュードモナス属由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生成される化合物を測定することを特徴とする、高密度リポタンパク質コレステロール及び低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法。
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