JPH119300A - 低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法及び測定用組成物、並びに低密度及び高密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法 - Google Patents

低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法及び測定用組成物、並びに低密度及び高密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定方法

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JPH119300A
JPH119300A JP17891497A JP17891497A JPH119300A JP H119300 A JPH119300 A JP H119300A JP 17891497 A JP17891497 A JP 17891497A JP 17891497 A JP17891497 A JP 17891497A JP H119300 A JPH119300 A JP H119300A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体試料の分離分画操作を行うことなく、簡
便な操作が可能なLDLコレステロールの特異的測定方
法及び測定用組成物、並びにLDL/HDLコレステロ
ールの特異的測定方法を提供する。 【解決手段】 LDLコレステロール測定方法は、生体
試料と膵臓由来コレステロールエステラーゼとコレステ
ロールオキシダーゼとを、アルブミンが測定系全体の
0.01重量%以上及び胆汁酸又はその塩が存在する条
件下で接触させ、次に、微生物由来コレステロールエス
テラーゼと接触させ、LDLコレステロールと微生物由
来コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキ
シダーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物
又は生成される化合物を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低密度リポタンパ
ク質(LDL)コレステロールの特異的測定方法及び測
定用組成物、並びに低密度リポタンパク質(LDL)コ
レステロールと高密度リポタンパク質(HDL)コレス
テロールとを同時に特異的に測定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】血漿又は血清中の各リピドフラクション
中に含有されるコレステロールは、近年アテローム性動
脈硬化症や心筋梗塞の危険度を示す診断材料として重要
視されている。血清のリピドフラクションはそれぞれ脂
質複合体粒子としての大きさが異なり、比重の差を利用
した分離法である超遠心法に従って、カイロミクロン、
超低密度リポプロテイン(Very low dens
ity lipoprotein;以下VLDLとも称
する)、低密度リポプロテイン(Low densit
y lipoprotein;以下LDLとも称す
る)、及び高密度リポプロテイン(High dens
ity lipoprotein;以下HDLとも称す
る)の4種類に分別されている。各リピドフラクション
は、アポリポタンパク質と脂質とに大別され、脂質は更
に遊離型コレステロール、エステル型コレステロール、
トリグリセリド、及びリン脂質から構成されている。こ
のため、コレステロールの測定は遊離型とエステル型の
両者について行われている。
【0003】日常的な臨床検査では、自動分析装置を使
用して酵素法による総コレステロールの測定が広く行わ
れている。リピドフラクションについては、最近、HD
Lコレステロールの酵素法による自動分析測定(自動
化)が、総コレステロールと同様に、可能となった。他
方、LDLコレステロールの測定については、試料の前
処理(分画、及び分離操作)を行うことが必要なため、
酵素法による自動分析測定(自動化)の普及が遅れてい
た。
【0004】このLDLコレステロール測定用試料の前
処理方法としては、種々の沈殿法が報告されている。例
えば、特開昭58−70180号公報には、血漿又は血
清試料中に抗HDL抗体を添加し、抗原抗体反応を利用
してHDLを不溶化して沈殿させる前処理方法が記載さ
れている。また、特開昭59−223130号公報に
は、抗HDL抗体に加えて、更に、ポリアニオンと2価
のカチオンとの混合物を添加した後、不溶物を分離する
前処理方法が記載されている。前記のいずれの特許公報
にも、残留物に対して、総コレステロール測定用の酵素
試薬を用いた自動分析システムによる測定が可能になる
ものと記載されている。
【0005】HDLを不溶化する前記の前処理方法とは
逆に、LDLを特異的に不溶化させる前処理方法も報告
されている。例えば、特表昭54−500069号公報
には、LDLと植物レクチンとの特異的凝集反応によっ
て集合体を形成させ、LDLを沈殿させた後、HDLを
選択的に消費する酵素を加えることによってHDLを消
費させる前処理方法が記載されている。また、特表平7
−501945号公報には、LDLと、多価陰イオン化
合物、2価金属塩及び造核粒子とで集合体を形成させて
LDLを沈殿させ、HDLを選択的に消費する酵素を加
えてHDLを消費させた後、集合体を再溶解することに
より得られる残留分中のコレステロールを、前記と同様
に、総コレステロール測定用の酵素試薬を用いた自動分
析システムによって測定する方法が記載されている。し
かしながら、これらの方法には、多くの工程と時間とを
要するという欠点があり、均一な溶液反応系を用いて実
施されている通常の自動化測定には本質的に不向きなこ
とは明らかである。
【0006】更に近年では、同様のリピドフラクション
前処理を目的とする乾燥試験具(Dry chemis
try)による測定方法が報告されている。例えば、特
開平7−55812号公報には、多孔質シリカ又はシリ
ケートなどからなる種々のマトリックスなどを組み合わ
せて多層構造物を形成し、その多層構造物中に試料を通
過させることにより、リピドフラクションの分離分画を
行う方法が記載されている。しかしながら、この方法
も、リピドフラクション前処理を行わずにLDLコレス
テロールを測定するものではない。
【0007】以上のように、個々のリピドフラクション
を測定する従来法では、酵素法による検出処理を実施す
る前に、測定対象の脂質複合体粒子を予め分離分画して
から、その分離分画された個々のリピドフラクションに
おける総コレステロール量を酵素法によって測定するも
のであり、その際に使用される酵素は、リピドフラクシ
ョン全体に対して作用する酵素であり、分離分画された
特定のリピドフラクションに対して特異性を有する酵素
ではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、現在の
臨床検査試験では、迅速で簡便な手段である自動分析装
置による測定が主流である点に鑑み、LDLコレステロ
ールの測定方法において、試料(例えば、血清又は血
漿)の遠心操作など種々の分離分画操作を行うことな
く、簡便な操作で、且つ高精度の測定結果が得られる方
法の開発を目的として、鋭意研究を重ねた結果、LDL
コレステロールの測定方法において利用する酵素(コレ
ステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダー
ゼ)とリピドフラクション含有コレステロールとの反応
に関して、LDLフラクションのコレステロールとの反
応には影響しないが、HDL及びVLDLフラクション
のコレステロールとの反応を抑制する化合物が存在する
ことを見出し、これらの化合物を用いることにより、試
料(例えば、血清又は血漿)の分画操作を行うことな
く、簡便な操作で、LDLコレステロールを高精度に測
定することができることを見出した。本発明は、こうし
た知見に基づくものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】従って、本発明は、生体
試料と、膵臓由来コレステロールエステラーゼと、コレ
ステロールオキシダーゼとを、アルブミンが測定系全体
の0.01重量%以上存在する条件下、及び胆汁酸又は
その塩の存在下で接触させ、次いで、こうして処理した
生体試料と微生物由来コレステロールエステラーゼとを
接触させ、低密度リポタンパク質コレステロールと微生
物由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロール
オキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化
合物又は生成される化合物を測定することを特徴とす
る、低密度リポタンパク質コレステロールの特異的測定
方法に関する。また、本発明は、(1)膵臓由来コレス
テロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、
アルブミン、及び胆汁酸又はその塩を含有する第1試薬
と、(2)微生物由来コレステロールエステラーゼを含
有する第2試薬とを含むことを特徴とする、低密度リポ
タンパク質コレステロールの特異的測定用試薬にも関す
る。更に、本発明は、生体試料と、膵臓由来コレステロ
ールエステラーゼと、コレステロールオキシダーゼと
を、アルブミンが測定系全体の0.01重量%以上存在
する条件下、及び胆汁酸又はその塩の存在下で接触さ
せ、高密度リポタンパク質コレステロールと膵臓由来コ
レステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダ
ーゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は
生成される化合物を測定し、続いて、こうして処理した
生体試料と微生物由来コレステロールエステラーゼとを
接触させ、低密度リポタンパク質コレステロールと微生
物由来コレステロールエステラーゼ及びコレステロール
オキシダーゼとが関与する酵素反応により消費される化
合物又は生成される化合物を測定することを特徴とす
る、高密度リポタンパク質コレステロール及び低密度リ
ポタンパク質コレステロールの特異的測定方法にも関す
る。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、生体試料とし
て、特に哺乳動物(特にヒト)の血液試料、例えば血清
試料又は血漿試料をそのまま用いることができる。すな
わち、血清又は血漿を分離分画処理したり、抗体で処理
する必要がない。本発明においては、前記の生体試料を
コレステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシ
ダーゼと接触させる際に、それらの酵素とLDLコレス
テロールとの反応には影響を与えないが、それらの酵素
とHDLコレステロール及びVLDLコレステロールと
の反応を抑制する化合物、すなわち、抑制剤として、ア
ルブミンを用いる。アルブミンの濃度は、測定系におい
て、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは
0.01〜30重量%、最も好ましくは0.03〜15
重量%である。アルブミンの濃度が、測定系において、
0.01重量%未満になると、酵素反応の特異性が減少
することがあり、15重量%を越えると反応量が減少す
ることがある。
【0011】本発明において用いる被検試料が血液(血
清又は血漿)由来の場合には、被検試料内に既にアルブ
ミンが含まれている。しかしながら、試薬溶液へ添加さ
れた被検試料の終濃度が低い場合には、被検試料由来の
アルブミンだけでは、目的とする抑制効果を充分に得る
ことができない。一般に、測定用試薬と被検試料との混
合比は、被検試料中の測定対象物質(本発明ではLDL
コレステロール)の濃度と検出系の感度(例えば、発色
反応の場合は、発色剤のモル分子吸光係数)とによって
決められるので、高感度の検出系を用いる場合には、被
検試料の使用量(添加量)が少量でもよいことになり、
測定系における被検試料の終濃度は低くなる。また、一
般的な血液試料(血清又は血漿試料)中のアルブミン濃
度は、一般的に1〜5%であるが、極端な場合では、無
アルブミン症患者由来の血液試料(血清又は血漿試料)
のように、アルブミンが実質的に存在しない例もある。
【0012】従って、本発明においては、被検試料中に
存在するアルブミンに依存せずに、常に安定した測定を
可能にするために、試薬から供給されるアルブミンのみ
でも、測定系でのアルブミン濃度が、好ましくは0.0
1重量%以上、より好ましくは0.03重量%以上とな
るようにする。測定系でのアルブミン濃度が、試薬から
供給されるアルブミンと被検試料中に存在するアルブミ
ンとによって、0.01重量%以上、又は0.03重量
%以上となっても全く問題はない。また、被検試料とし
て、アルブミンを含まない精製リピドフラクションや他
の生体試料(例えば、組織抽出液)を用いる場合には、
アルブミンを添加して共存させることが必要である。こ
の場合のアルブミン濃度は、前記のとおり、測定系に
て、好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは
0.03〜15重量%である。本発明において試薬から
供給するアルブミンの由来は特に限定されず、例えば、
ウシ、ヒト、ヒツジ、又はウマ等の哺乳動物由来のアル
ブミンを使用することができ、遺伝子工学的に産生され
たアルブミンも使用することができる。
【0013】本発明においては、HDLコレステロール
との反応には膵臓由来コレステロールエステラーゼを使
用し、LDLコレステロールとの反応には微生物由来コ
レステロールエステラーゼを使用する。膵臓由来コレス
テロールエステラーゼとしては、例えば、ウシ又はブタ
など哺乳動物の膵臓由来の酵素を用いることができ、微
生物由来コレステロールエステラーゼとしては、例え
ば、シュードモナス属に属する微生物又はキャンディダ
属に属する微生物由来の酵素を用いることができる。こ
れらの膵臓由来コレステロールエステラーゼ及び微生物
由来のコレステロールエステラーゼは、いずれもポリエ
チレングリコール(PEG)等を結合させる化学修飾の
有無に関わらず使用することができる。
【0014】本発明方法によれば、被検試料(例えば、
血清試料又は血漿試料)について測定前に予め遠心分離
等のリピドフラクション分画操作を行わなくても、最初
に第1工程として、アルブミン(抑制剤)の存在下で、
前記被検試料と、膵臓由来コレステロールエステラーゼ
と、コレステロールオキシダーゼとを接触(共存)させ
ることによって、被検試料中のLDLコレステロール及
びVLDLコレステロールと前記膵臓由来コレステロー
ルエステラーゼとの反応を抑制すると共に、HDLコレ
ステロールと前記膵臓由来コレステロールエステラーゼ
との反応を抑制せずに進行させ、被検試料中のコレステ
ロールと前記各酵素との酵素反応により消費される化合
物(例えば、酸素)又は生成される化合物(例えば、過
酸化水素)を、公知の手段により検出するかあるいは消
去する。すなわち、HDLコレステロールとLDLコレ
ステロールとの同時測定の場合には、前記各酵素との酵
素反応により消費される化合物又は生成される化合物を
検出し、LDLコレステロールの単独測定の場合の場合
には、前記各酵素との酵素反応により消費される化合物
又は生成される化合物を検出する必要はなく、消去する
ことができる。
【0015】前記の第1工程においては、膵臓由来コレ
ステロールエステラーゼを、測定系において、好ましく
は0.05〜90u/ml、より好ましくは0.1〜2
0u/mlの量で存在させる。また、コレステロールオ
キシダーゼを、測定系において、好ましくは0.05〜
90u/ml、より好ましくは0.1〜20u/mlの
量で存在させる。コレステロールオキシダーゼとして
は、例えば、ストレプトマイセス属に属する微生物又は
ノカルディア属に属する微生物に由来する酵素を用いる
ことができる。前記酵素の使用量が0.05u/ml未
満になると、反応量が低下することがあり、90u/m
lを越えると、特異性が減少することがある。
【0016】本発明方法において、膵臓由来のコレステ
ロールエステラーゼを用いる前記第1工程においては、
胆汁酸又はその塩を同時に用いる。この胆汁酸は、前記
酵素の活性発現への関与が知られており(J.Hynn
et al.,JBC,244,1937,196
9;及びK.B.Calame et al.,Arc
h.Biochem.Biophys.,168,5
7,1975)、活性発現に必須である。この場合、胆
汁酸又はその塩の濃度は、測定系において、好ましくは
0.05〜4mM、より好ましくは0.15〜3mMで
ある。胆汁酸又はその塩の濃度が0.05mM未満にな
ると反応量が低下することがあり、4mMを越えると特
異性が減少することがある。前記胆汁酸又はその塩の種
類は、特に限定されることはないが、胆汁酸としては、
例えば、コール酸、タウロコール酸、グリココール酸、
ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、又はリトコ
ール酸などを挙げることができ、その塩としては、例え
ば、ナトリウム塩などを挙げることができる。水溶性が
高い点で、胆汁酸塩、例えば、コール酸ナトリウム、グ
リココール酸ナトリウム、又はデオキシコール酸ナトリ
ウムを使用することが好ましい。
【0017】本発明方法において、膵臓由来のコレステ
ロールエステラーゼを用いる前記第1工程においては、
前記抑制剤としてのアルブミンに加えて、補助抑制剤と
して、一般式(I): A−(CH2 )n−CH3 (I) (式中、Aはグルコシド基、チオグルコシド基、シュー
クロースオキシカルボニル基、又はN−メチルグルカミ
ドカルボニル基であり、nは4〜10の整数である)で
表わされる化合物、又は一般式(II): B−CH2 −CH(R1 )−CH2 −SO3 - (II) (式中、Bは3−(3−コラミドプロピル)ジメチルア
ンモニオ基であり、R1は水素原子又はヒドロキシ基で
ある)で表わされる化合物の少なくとも1種を共存させ
ることが好ましい。
【0018】前記一般式(I)で表わされる化合物にお
いて、Aがグルコシド基又はチオグルコシド基である場
合には、nは好ましくは4〜9、より好ましくは5〜8
である。グルコシド基は、好ましくはグルコピラノシド
基、より好ましくはβ−D−グルコピラノシド基であ
る。チオグルコシド基も、好ましくはチオグルコピラノ
シド基、より好ましくはβ−D−チオグルコピラノシド
基である。Aがグルコシド基である場合の化合物として
は、具体的には、n−オクチル−β−D−グルコシド
(以下、n−ODGとも称する)及びn−ヘプチル−β
−D−グルコシド(以下、n−HDGとも称する)を挙
げることができる。また、Aがチオグルコシド基である
場合の化合物としては、具体的には、n−オクチル−β
−D−チオグルコシド(以下、n−OTGとも称する)
及びn−ヘプチル−β−D−チオグルコシド(以下、n
−HTGとも称する)を挙げることができる。
【0019】前記一般式(I)で表わされる化合物にお
いて、Aがシュークロースオキシカルボニル基である場
合には、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜9で
あり、この場合の化合物としては、具体的には、シュー
クロースモノカプレート(以下、SM−1000とも称
する)を挙げることができる。前記一般式(I)で表わ
される化合物において、AがN−メチルグルカミドカル
ボニル基である場合には、nは好ましくは5〜9であ
る。AがN−メチルグルカミドカルボニル基である場合
の化合物としては、具体的には、オクタノイル−N−メ
チルグルカミド(以下、MEGA−8とも称する)、ノ
ナノイル−N−メチルグルカミド(以下、MEGA−9
とも称する)、及びデカノイル−N−メチルグルカミド
(以下、MEGA−10とも称する)を挙げることがで
きる。
【0020】前記一般式(II)で表わされる化合物とし
ては、具体的には、3−[(3−コラミドプロピル)ジ
メチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(以
下、CHAPSとも称する)及び3−[(3−コラミド
プロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1
−プロパンスルホネート(以下、CHAPSOとも称す
る)を挙げることができる。
【0021】本発明においては、補助抑制剤は、水溶液
として用いるのが好ましい。補助抑制剤の濃度は、測定
系において、好ましくは、0.01〜2.0重量%、よ
り好ましくは0.02〜1.0重量%、最も好ましくは
0.03〜0.5%重量%である。補助抑制剤の濃度が
0.01重量%より少ないと、LDL及びVLDLフラ
クションのコレステロールとの酵素反応に対する抑制効
果が見られないことがあり、正確な測定を行うことがで
きないことがある。逆に、2.0重量%を越える濃度で
は、フラクションのコレステロールとの酵素反応に対す
る特異性が全く見られなくなることがあり、また補助抑
制剤の溶解性の点においても不都合が生じることがあ
る。
【0022】本発明方法によってHDLコレステロール
とLDLコレステロールとの同時測定を行う場合には、
前記の第1工程での吸光度変化量によりHDLコレステ
ロールの検出を行う。例えば、過酸化水素を検出する場
合には、HDLコレステロールとの反応に由来するH2
2 を、公知の方法で、例えば、適当な被酸化性発色剤
の存在下にペルオキシダーゼの反応により発色させて、
分光学的に比色測定することができる。被酸化性発色剤
としては、3−ハイドロキシ−2,4,6−トリヨード
安息香酸(HTIBA)やN−エチル−N−スルホプロ
ピル−m−トルイジン(ESPT)と4−アミノアンチ
ピリン(4−AP)が好適であり、例えば、HTIBA
やESPTは0.1mM〜5mMの濃度範囲で、そして
4−APは0.05mM〜2mMの濃度範囲で適宜含有
させることができる。自動分析装置による測定では、波
長510nm(HTIBAを使用する場合)、又は54
6nm(ESPTを使用する場合)における吸光度を測
定することができる。なお、本発明方法によってLDL
コレステロールの単独測定を行う場合には、例えば、前
記の過酸化水素を適当な被酸化性発色剤少なくとも1種
の存在下にペルオキシダーゼ反応を進行させることによ
って消失させる。
【0023】本発明方法においては、前記の第1工程に
続いて、微生物由来コレステロールエステラーゼを使用
する第2工程を実施する。この第2工程は、前記第1工
程に使用した被検試料をそのまま使用して実施すること
ができる。この場合には、前記の第1工程において被検
試料に添加したアルブミン及び胆汁酸又はその塩、更に
は、場合により添加した補助抑制剤がそのまま残留して
いる。また、酵素、すなわち、膵臓由来コレステロール
エステラーゼも残留するが、続く第2工程への影響はほ
とんどなく、他方、残留するコレステロールオキシダー
ゼは、第2工程でのLDLコレステロールとの反応でイ
ンディケーター酵素として働くことができる。
【0024】前記第1工程に使用した被検試料をそのま
ま使用して第2工程を実施する場合には、被検試料に、
微生物由来コレステロールエステラーゼを添加する。こ
の第2工程においては、微生物由来コレステロールエス
テラーゼを、測定系において、好ましくは0.05〜9
0u/ml、より好ましくは0.1〜20u/mlの量
で存在させる。前記酵素の使用量が0.05u/ml未
満になると、反応量が低下することがあり、90u/m
lを越えると、特異性が減少することがある。
【0025】この第2工程においては、VLDLコレス
テロールと前記各酵素との反応が抑制された状態で、L
DLコレステロールとの反応が特異的に進行するので、
LDLコレステロールを定量することができる。第2工
程での吸光度変化量により、LDLコレステロール量の
測定を行う。例えば、過酸化水素を検出する場合には、
前記と同様に、公知の方法で、例えば、適当な被酸化性
発色剤の存在下にペルオキシダーゼの反応により発色さ
せることができる。被酸化性発色剤としては、3−ハイ
ドロキシ−2,4,6−トリヨード安息香酸(HTIB
A)やN−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジ
ン(ESPT)と4−アミノアンチピリン(4−AP)
が好適であり、例えば、HTIBAやESPTは0.1
mM〜5mMの濃度範囲で、そして4−APは0.05
mM〜2mMの濃度範囲で適宜含有させることができ
る。自動分析装置による測定では、波長510nm(H
TIBAを使用する場合)、又は546nm(ESPT
を使用する場合)における吸光度を測定することができ
る。
【0026】本発明によるLDLコレステロール測定用
試薬は、現在汎用されている自動分析装置に合わせて、
2試薬系として構成するのが好ましい。本発明試薬を用
いる場合には、最初に、被検試料と第1試薬とを接触さ
せて、被検試料中のLDLコレステロール及びVLDL
コレステロールと酵素との反応を抑制しながら、HDL
コレステロールと酵素との反応を進行させ、HDLコレ
ステロールの定量を行うか、あるいは被検試料中のHD
Lコレステロールを消去する。
【0027】従って、第1試薬は、膵臓由来コレステロ
ールエステラーゼ(好ましくは0.05〜90u/m
l、より好ましくは0.1〜20u/ml)、コレステ
ロールオキシダーゼ(好ましくは0.05〜90u/m
l、より好ましくは0.1〜20u/ml)、アルブミ
ン(好ましくは0.01〜30重量%、より好ましくは
0.03〜15重量%)、胆汁酸又はその塩(好ましく
は0.05〜4mM、より好ましくは0.15〜3m
M)、更には、場合により前記一般式(I)又は前記一
般式(II)で表わされる補助抑制剤(好ましくは0.0
1〜2.0重量%、より好ましくは0.02〜1.0重
量%)を含有する。更に、HDLコレステロールの定量
を行うために、各酵素反応により消費される化合物の量
又は生成される化合物の量を測定する目的で、例えば、
被酸化性発色剤(例えば、HTIBA又はESPT、及
び4−アミノアンチピリン)を添加することができる。
HDLコレステロールの定量を行わない場合には、HD
Lコレステロールを消去する目的で、例えば、被酸化性
発色剤、例えば、HTIBA又はESPTを添加するこ
ともできる。
【0028】本発明によるLDLコレステロール測定用
試薬の第2試薬を、前記の第1試薬によって処理した被
検試料と接触させて、VLDLコレステロールと酵素と
の反応を抑制した状態で、LDLコレステロールとの反
応を特異的に進行させることができる。従って、第2試
薬は、微生物由来コレステロールエステラーゼ(好まし
くは0.1〜350u/ml、より好ましくは0.1〜
80u/ml)を含有する。更に、各酵素反応により消
費される化合物の量又は生成される化合物の量を測定す
ることのできる測定系試薬、例えば、被酸化性発色剤
(例えば、HTIBA又はESPT、及び4−アミノア
ンチピリン)(好ましくは0.1〜10mM、より好ま
しくは0.1〜5mM)を含有することができる。ま
た、第2試薬に、場合により、コレステロールオキシダ
ーゼ、アルブミン、胆汁酸又はその塩、及び/又は補助
抑制剤を含有させることができる。この場合、第1試薬
及び第2試薬における各構成成分の合計量は、コレステ
ロールオキシダーゼについては0.05〜90u/m
l、アルブミンについては0.01〜30重量%、胆汁
酸又はその塩については0.05〜4mM、補助抑制剤
については0.01〜2.0重量%であることができ
る。
【0029】本発明においては、緩衝剤として、例え
ば、グッド緩衝液(例えば、HEPES、PIPES、
MOPS、又はBis−Trisなど)、リン酸緩衝
液、酢酸緩衝液、トリス緩衝液、又はイミダゾール緩衝
液等を使用することができる。緩衝液の濃度は、好まし
くは5〜1000mM、より好ましくは5〜500m
M、最も好ましくは10〜200mMである。また、そ
れらの緩衝液のpHは、好ましくは4.5〜8.0、よ
り好ましくはVLDLのコレステロールと酵素との抑制
が良好なpH5.5〜7.5の範囲で適宜選択すること
ができる。
【0030】本発明試薬を用いて、LDLコレステロー
ルの単独測定を実施する場合の反応系を模式的に示せば
以下のとおりである。 反応特異性 第一反応(第1試薬:膵臓由来コレステロールエステラーゼ使用) 生体試料+アルブミン+胆汁酸又はその塩+場合により補助抑制剤 ↓HDLコレステロール反応,LDL及びVLDLの非基質化 第二反応(第2試薬:微生物由来コレステロールエステラーゼ使用) ↓LDLコレステロール反応
【0031】本発明試薬を、HDLコレステロール及び
LDLコレステロールの同時定量用試薬として構成する
か、あるいはLDLコレステロールの単独定量用試薬と
して構成することができる。LDLコレステロールの単
独定量用試薬の場合には、第1試薬の構成成分から、被
酸化性発色剤〔前記反応式(3)〕の内、例えば、4−
アミノアンチピリンを除いておき、HTIBA又はES
PTのみを添加しておく。これにより、前記反応式
(2)によって生じたH2 2 は、全く発色することな
く、第1試薬による反応を完結させることができる。次
いで、第2試薬の構成成分に4−アミノアンチピリンを
共存させておけば、酵素反応に伴う発色反応が進行し、
LDLコレステロールのみの測定を行うことができる。
【0032】前記の説明では、吸光度測定を例として取
り上げたが、酵素反応による発色物を反射光強度の差と
して測定したり、発色以外にも電気化学的な酸化還元反
応量として測定することができる。例えば、前記反応式
(2)で生成するH2 2 は、直接に白金電極を用いる
か、フェロセンなどの適当なメディエーターとペルオキ
シダーゼの存在下に反応させることにより、あるいは直
接コレステロールオキシダーゼ反応時にフェロシアン化
カリウムなどのメディエーターを介して、生成する酸化
還元電流の変化量を電気化学的に測定することもでき
る。他方、酵素反応により消費される化合物、例えば、
前記反応式(2)で消費される酸素(溶存酸素)を、従
来公知の方法、例えば、酸素電極で測定することもでき
る。また、酵素反応により生成される化合物としては、
前記の過酸化水素以外にも、例えば、前記反応式(2)
の生成物であるΔ4−コレステン−3−オンを適当な方
法で測定することもできる。
【0033】
【作用】以下の説明に限定されるものでないが、本発明
は、LDLコレステロールの測定方法において、利用す
る酵素(コレステロールエステラーゼ及びコレステロー
ルオキシダーゼ)とリピドフラクション含有コレステロ
ールとの反応に際して、アルブミンを存在させ、しかも
由来の異なるコレステロールエステラーゼを用いると、
全く異なった反応特異性を示すという知見から導かれた
ものである。すなわち、微生物由来コレステロールエス
テラーゼ及びコレステロールオキシダーゼは、アルブミ
ンの共存下で、LDLコレステロールと反応するのに対
し、膵臓由来コレステロールエステラーゼ及びコレステ
ロールオキシダーゼは、アルブミン及び胆汁酸又はその
塩、並びに場合により共存することのある前記補助抑制
剤の存在下で、HDLコレステロールと反応する。これ
らの現象は、簡単には、酵素とアルブミンという高分子
タンパク質及び各脂質粒子間で、直接リピドフラクショ
ンのアポリポタンパク質に酵素が親和性を示すか、ある
いは間接的にリピドフラクションのコレステロールと酵
素との反応時に、アルブミンが酵素と相互作用するもの
と考えられる。その相互作用の結果は、リピドフラクシ
ョン特異的な酵素活性の活性化も考えられるが、むしろ
リピドフラクション特異的な抑制効果の方が、主に生じ
ているものと考えられる。
【0034】一般に、各リピドフラクションは、脂質と
アポタンパク質との脂質複合体からなり、その脂質構成
比の違いとアポタンパク質のタイプ(A−I、A−II、
B−100、B−48、C、又はEなど)の差による物
理化学的性質(粒子サイズや等電点など)及び量的(各
フラクション中に含まれる量)な違いによって識別され
る。これら脂質粒子に対する酵素の反応は、界面活性剤
の共存により最大限に進行するが、このような界面活性
剤による脂質粒子の可溶化が有効に利用されている例と
して、例えば、総コレステロールの測定を挙げることが
できる。しかし、この場合、高濃度の界面活性剤の使用
は、酵素反応の代謝回転を大きくさせる効果がある反
面、脂質粒子の崩壊を招くことから、本発明のような高
分子間相互作用に関わるユニークな現象を観察すること
は不可能なことであった。リピドフラクション間で最も
大きく異なるアポタンパク質のタイプは、HDLフラク
ションでは、A−I、及びA−IIであり、LDLフラク
ションでは、B−100、VLDLフラクションでは、
B−100、C、及びEである。従来、この違いに着目
して、アポタンパク質に対する抗体を用いる方法も開発
されてきた。この方法は、HDL及びVLDLに対する
抗体を固定化した不溶性担体(例えば、ラテックス粒
子)と試料とを混和し、免疫複合体を形成させた後、遠
心分離し、上清に残った総コレステロールを測定するも
のである。しかし、この方法では自動化はもちろん、免
疫複合体を形成することができる抗体の反応性を一定に
維持することは難しく、また、LDL及びVLDLの両
者に含まれるアポタンパク質B−100に対する抗体の
反応特異性を制御することは、基本的に困難を伴うもの
であった。これに対して、本発明では、抗体や金属イオ
ンによる錯体形成などの反応を利用する必要はなく、単
純で簡潔な試薬構成を用いることによって自動化が可能
となる。
【0035】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】本実施例では、超遠心法によるリピドフラ
クションの分画を行った。超遠心法による脂質フラクシ
ョンの分画は、Freeman,N.K.ら(The
Progress in the Chemistry
of Fats andOther Lipids,
vol.6,Pergamon Press,196
3,p.216〜250)の方法に準じて行った。具体
的には、プール血清20mlへ、EDTAナトリウム塩
1mgを加え溶解した。これとは別に二種類の比重液を
作成した。すなわち、比重1.182の比重液は、塩化
ナトリウム0.57gと臭化ナトリウム13.65gと
を精製水50mlに溶解して調製した。比重1.483
の比重液は、塩化ナトリウム0.57gと臭化ナトリウ
ム39.14gとを精製水50mlに溶解して調製し
た。30ml容量の遠心管に上記の処理血清20mlを
入れ、10℃で40000rpmにて24時間遠心し
た。遠心終了後、遠心管の最上層部の6.7mlを回収
し、VLDL画分とした。次いで、この遠心管へ比重
1.182の比重液6.7mlを加えてよく攪拌し、再
度、同じ条件で遠心した。遠心終了後、遠心管の最上層
部6.7mlを回収し、これをLDL画分とした。更
に、この遠心管へ比重1.483の比重液6.7mlを
添加し、よく攪拌した。これを再度、10℃で4000
0rpmにて24時間遠心した。遠心終了後、同様に最
上層部より6.7mlを回収し、これをHDL画分とし
た。各画分を生理的食塩水に一夜透析した後(冷蔵
下)、冷蔵保存し、測定に用いた。各画分中の総コレス
テロール濃度を酵素法(ヤトロン製)により測定したと
ころ、LDLはコレステロール140mg/dlのコレ
ステロールを含み、VLDLはコレステロール80mg
/dlを含み、そしてHDLはコレステロール100m
g/dlを含んでいた。
【0036】
【実施例2】本実施例では、実施例1で精製した各脂質
フラクションを試料として用いて、各フラクションに対
する反応特異性及び反応経時変化を調べた。1mM E
SPT、5μg/mlペルオキシダーゼ、0.3%牛ア
ルブミン、0.37%n−HTG、0.75mMコール
酸ナトリウム、0.3u/ml牛膵臓由来コレステロー
ルエステラーゼ及び1.5u/mlコレステロールオキ
シダーゼを含む40mM Bis−Tris緩衝液(p
H6.8)1mlを37℃で3分間予加温した。これ
に、各脂質フラクション試料10μlを添加し、37℃
で5分間反応させた。更に、この反応液に0.2M 4
−APの3μlと938u/mlシュードモナス属由来
コレステロールエステラーゼ2μlとを加え、波長54
6nmでの発色反応を記録した。各脂質フラクションに
対する反応経時変化の結果を図1に示す。本発明方法
は、良好な反応特異性を示すことが明らかである。
【0037】
【実施例3】本実施例では、自動分析機での測定を行っ
た。本発明の試薬組成物として、1mM ESPT、5
μg/mlペルオキシダーゼ、0.3%牛アルブミン、
0.1%n−OTG、0.75mMコール酸ナトリウ
ム、0.3u/ml牛膵臓由来コレステロールエステラ
ーゼ及び1.5u/mlコレステロールオキシダーゼを
含む40mM Bis−Tris緩衝液(pH6.8)
[試薬1]300μlと、2mM 4−AP、0.3%
牛アルブミン及び4u/mlシュードモナス属由来コレ
ステロールエステラーゼを含む40mM Bis−Tr
is緩衝液(pH6.8)[試薬2]100μlとの二
試薬系の構成をとる試薬組成物を用い、血清試料4μl
を用いる条件で、自動分析装置を使って測定した。試薬
1との反応時間は5分間で、続く試薬2との反応時間も
5分間とし、主波長600nm及び副波長700nmで
測定を行った。
【0038】比較対照方法としては、Friedewa
ldらの演算式を使ってLDLコレステロール量の推定
を行った。この方法は、Friedewaldらにより
提唱されたものである(W.T.Friedewal
d,et al.,Clinical Chemist
ry,18,499,1972)。すなわち、脂質関連
測定項目の内、総コレステロール、中性脂肪及びHDL
コレステロールの3種類の測定値からLDLコレステロ
ール量を算出するものであり、この算出値は、直接測定
法の開発においても、比較対照としての有用性が示唆さ
れている(P.S.Bachorik and J.
W.Ross,for the National C
holesterol Education Prog
ram Working Group on Lipo
protein Measurement,Clinc
al Chemistry,41,1414,199
5)。具体的には、上記の本発明方法による測定を実施
した血清検体例について、予めHDLコレステロール、
総コレステロール及び中性脂肪(ヤトロン製)の各項目
について測定し、それらの測定値からLDLコレステロ
ール量を推定し、比較対照とした。また、標準物質とし
ては、予め既知濃度の精製LDLフラクションで値付け
したプール血清を用いた。両測定方法の相関関係を図2
に示した。本発明方法は、比較対照方法(Friede
wald)と良好な相関性を示し、LDLコレステロー
ルの測定が正確であることが確認された。
【0039】
【実施例4】本実施例では、自動分析機によって、HD
LコレステロールとLDLコレステロールとの同時測定
を行った。本発明の試薬組成物として、1mM ESP
T、1mM 4−AP、5μg/mlペルオキシダー
ゼ、0.3%牛アルブミン、0.1%n−OTG、0.
75mMコール酸ナトリウム、0.3u/ml牛膵臓由
来コレステロールエステラーゼ及び1.5u/mlコレ
ステロールオキシダーゼを含む40mM Bis−Tr
is緩衝液(pH6.8)[試薬1]300μlと、
0.1%牛アルブミン、0.75mMコール酸ナトリウ
ム及び7.5u/mlシュードモナス属由来コレステロ
ールエステラーゼを含む40mM Bis−Tris緩
衝液(pH6.8)[試薬2]100μlとの二試薬系
の構成をとる試薬組成物を用い、血清試料4μlを用い
る条件で、自動分析装置[日立7070型自動分析装
置]を使って測定した。試薬1との反応時間は5分間
で、続く試薬2との反応時間も5分間とした。対照試験
は、血清試料4μlの代わりに精製水4μlを用いて実
施した。主波長600nm及び副波長700nmで測定
を行った。また反応経時変化も併せて記録し、結果を図
3に示した。図3においてAは精製水、Bは血清を各々
試料とした場合の結果であり、反応時間を20秒/ポイ
ント(すなわち、20秒毎に吸光度を測光した回数:図
3の●)で示した。試薬1での変化量(0〜16ポイン
ト)は、HDLコレステロールとの反応であり、試薬2
の添加以降(17〜31ポイント)の変化量は、LDL
コレステロールとの反応が認めれた。
【0040】また相関結果については、HDLコレステ
ロール量を、予め沈殿法(第一化学製)によって測定
し、比較対照方法とした。両測定法での標準物質として
は、脂質測定用標準血清(福祉・医療技術振興会製)を
用いた。一方、LDLコレステロール量は実施例3と同
様にFriedewaldらの演算式を使って推定し、
比較対象とした。また、標準物質としては、予め既知濃
度の精製LDLフラクションで値付けしたプール血清を
用いた。両測定方法の相関関係を図4(HDLコレステ
ロール)と図5(LDLコレステロール)に示した。本
発明方法は、比較対照方法(HDLコレステロール量は
沈殿法;LDLコレステロール量はFriedewal
d)と良好な相関性を示し、各々の測定値が正確である
ことが確認された。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、生体試料(例えば、血
清又は血漿)の遠心操作などの種々の分離分画操作を行
うことなく、簡便な操作で、高精度のLDLコレステロ
ール(及びHDLコレステロール)の測定結果を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の各脂質フラクションに対する反応
経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明方法と比較対照方法(Friedewa
ld)との相関関係を示すグラフである。
【図3】本発明方法により血清試料中のHDLコレステ
ロールとLDLコレステロールとを測定した場合の反応
経時変化を示すグラフである。
【図4】本発明方法と比較対照方法(沈殿法)とのHD
Lコレステロール測定結果の相関関係を示すグラフであ
る。
【図5】本発明方法と比較対照方法(Friedewa
ld)とのLDLコレステロール測定結果の相関関係を
示すグラフである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体試料と、膵臓由来コレステロールエ
    ステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを、アル
    ブミンが測定系全体の0.01重量%以上存在する条件
    下、及び胆汁酸又はその塩の存在下で接触させ、次い
    で、こうして処理した生体試料と微生物由来コレステロ
    ールエステラーゼとを接触させ、低密度リポタンパク質
    コレステロールと微生物由来コレステロールエステラー
    ゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関与する酵素反
    応により消費される化合物又は生成される化合物を測定
    することを特徴とする、低密度リポタンパク質コレステ
    ロールの特異的測定方法。
  2. 【請求項2】 (1)一般式(I): A−(CH2 )n−CH3 (I) (式中、Aはグルコシド基、チオグルコシド基、シュー
    クロースオキシカルボニル基、又はN−メチルグルカミ
    ドカルボニル基であり、nは4〜10の整数である)で
    表される化合物、及び(2)一般式(II): B−CH2 −CH(R1 )−CH2 −SO3 - (II) 〔式中、Bは3−(3−コラミドプロピル)ジメチルア
    ンモニオ基であり、R1は水素原子又はヒドロキシ基で
    ある〕で表される化合物からなる群から選んだ補助抑制
    剤少なくとも1種の存在下で実施する、請求項1に記載
    の方法。
  3. 【請求項3】 (1)膵臓由来コレステロールエステラ
    ーゼ、コレステロールオキシダーゼ、アルブミン、及び
    胆汁酸又はその塩を含有する第1試薬と、(2)微生物
    由来コレステロールエステラーゼを含有する第2試薬と
    を含むことを特徴とする、低密度リポタンパク質コレス
    テロールの特異的測定用試薬。
  4. 【請求項4】 前記第1試薬が、(1)一般式(I): A−(CH2 )n−CH3 (I) (式中、Aはグルコシド基、チオグルコシド基、シュー
    クロースオキシカルボニル基、又はN−メチルグルカミ
    ドカルボニル基であり、nは4〜10の整数である)で
    表される化合物、及び(2)一般式(II): B−CH2 −CH(R1 )−CH2 −SO3 - (II) 〔式中、Bは3−(3−コラミドプロピル)ジメチルア
    ンモニオ基であり、R1は水素原子又はヒドロキシ基で
    ある〕で表される化合物からなる群から選んだ補助抑制
    剤少なくとも1種を更に含有する、請求項3に記載の試
    薬。
  5. 【請求項5】 生体試料と、膵臓由来コレステロールエ
    ステラーゼと、コレステロールオキシダーゼとを、アル
    ブミンが測定系全体の0.01重量%以上存在する条件
    下、及び胆汁酸又はその塩の存在下で接触させ、高密度
    リポタンパク質コレステロールと膵臓由来コレステロー
    ルエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼとが関
    与する酵素反応により消費される化合物又は生成される
    化合物を測定し、続いて、こうして処理した生体試料と
    微生物由来コレステロールエステラーゼとを接触させ、
    低密度リポタンパク質コレステロールと微生物由来コレ
    ステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダー
    ゼとが関与する酵素反応により消費される化合物又は生
    成される化合物を測定することを特徴とする、高密度リ
    ポタンパク質コレステロール及び低密度リポタンパク質
    コレステロールの特異的測定方法。
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