JP4034447B2 - 突き板を貼り付けたステアリングホイール - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、突き板を貼り付けたステアリングホイールに関するものである。さらに詳しく言えば、木質の表面材と合板又は樹脂製の芯材を一体的に成形したものを、ステアリングホイールの金属製芯材上に覆い、原木を削り出したような高級感、ぜいたく感が得られるようにしたステアリングホイールに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
原木を削り出したような感じが得られる従来のステアリングホイールは、木目を有する突き板表面材を予備成形して貝殻状の表皮を作り、これを木材や樹脂等の芯材に手作業で張り付けるか、又は前記表皮を金型にインサートして成形していた。
しかし、この従来の加工方法はその欠点として、手作業の場合には工数が掛かり、生産性と価格の点で折り合いがつかず、ＯＥＭ供給等は不可能な状態で有った。
又、インサート成形に置いても理論的には可能であるが、現実には商品化は容易でない。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明に係るステアリングホイールは、工数を減らし、生産性が高く、低価格な突き板を貼り付けたステアリングホイールを提供することを課題とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
そのため、本発明の突き板を貼り付けたステアリングホイールは、突き板固定部材１を接着性の良い樹脂成形品で構成し、該突き板固定部材１を複数個のねじ５で金属製芯材４に固定し、隣接するねじ５とねじ５との間の突き板固定部材１に、少なくとも１ケ所薄肉部１０を設けた。
突き板固定部材１と金属製芯材４とを固定するねじ５の頭部及び軸部近傍にステアリングホイールの円周方向に向く長穴１２，１２′を設け、突き板固定部材１をねじ５の頭部座面１３に対し横移動可能にした。
【０００５】
【発明の実施の形態】
（実施の形態１）
本発明の実施の形態の一例を図１と図２に基づいて説明する。図１(ａ)は本発明に係るステアリングホイールの縦断面図である。１は突き板固定部材で、この表面に突き板２を接着材３で貼り付ける。４は金属製芯材で、たとえばマグネシウム芯材が用いられる。突き板固定部材１は樹脂成形品で、複数本のねじ５で金属製芯材４に固定される。６はポリウレタン樹脂層で、突き板２が接着される部分を除いて、金属製芯材４の周囲をこれで覆っている。ポリウレタン樹脂層６の周囲はレザー７で覆われている。
【０００６】
突き板固定部材１には図１(ａ)に示すごとく、金属製芯材４上に樹脂接着面８を形成し、この上に突き板２を接着材３で接着したのち、複数本のねじ５で金属製芯材４に対し強固に固定する。ねじ５をねじ込むため、突き板固定部材１及び金属製芯材４にはねじ穴５ａ及び５ｂが設けられる。
【０００７】
このように芯材４に対し突き板固定部材１をねじ結合することにより、ステアリングホイールに衝撃が加わっても、突き板２が突き板固定部材１を介しステアリングホイールに強固に固定されるので、従来のごとき接着のみによる構成に比し、その取付けはきわめて確実かつ強固である。
【０００８】
（実施の形態２）
次に本発明の他の実施の形態を図３に基いて説明する。これは突き板固定部材１の内側で、隣接するねじ５，５間に金属製芯材４との間に空所９を設けている。換言すれば、突き板固定部材１をこの部分で薄肉部１０としている。
【０００９】
このように薄肉部１０を形成したことにより、ステアリングホイールに衝撃が加わった時、薄肉部１０の部分で曲がり易くなり、リング状をした芯材４の曲りに対し、突き板２及び突き板固定部材１がこの曲がりに追従し易くなり、突き板固定部材１の端部１１即ち隣接するポリウレタン樹脂層との端部１１での突き板２の跳ね上がりを防ぐ事ができる。
【００１０】
（実施の形態３）
さらに本発明の他の実施の形態を図４に基いて説明する。突き板固定部材１のねじ５の頭部及びねじの軸部の挿入部近傍を図４に示すごとく長穴１２又は１２′にしている。この構成により、芯材４の変形時、ねじ５の頭部の座面１３に対して、突き板固定部材１が横方向にスライドする事ができ、突き板２及び突き板固定部材１に働く衝撃力を吸収し、突き板２及び突き板固定部材１の割れを防ぐ事ができる。
【００１１】
【発明の効果】
請求項１により、木質の表面材としての突き板２を、突き板固定部材１を介しねじ５を介し芯材４に取付け、この上に接着材で貼りつけるようにしたので、突き板２を確実に取付けることができる。かくして、ステアリングホイールに大きな衝撃が作用しても、破断することなく長期にわたって変形等がなく、美しい木目が得られる。
【００１２】
請求項２により、突き板固定部材１の内側に空所を設けるべく薄肉部１０を形成したので、ステアリングホイールに曲げ力等が作用しても、突き板２及びこれを接着する固定部材１が、ステアリングホイールの変形に追従し、端部のはね上がり等を防止し、美観を保つことができる。
【００１３】
請求項３により、突き板固定部材１のねじ取付部を長穴１２，１２′としたので、突き板固定部材１に引張り力又は曲げ力が作用しても、突き板固定部材１がねじ５に対し相対的に横移動（スライド）できるので、突き板２及びその固定部材１の割れ等を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施形態１を示し、(ａ)はステアリングホイールの縦断面図、(ｂ)は(ａ)のＡ−Ａ断面図、(ｃ)は同じくＢ−Ｂ断面図である。
【図２】本発明の突き板と突き板固定部材との固定構造を示し、(ａ)は分解斜視図、(ｂ)は突き板固定部材の斜視図。
【図３】本発明の実施形態２に係るステアリングホイールの縦断面図。
【図４】本発明の実施形態３を示し、(ａ)は縦断面図、(ｂ)と(ｃ)は長穴の形状例を示す。
【符号の説明】
１ 突き板固定部材 ２ 突き板
３ 接着材 ４ 金属製芯材
５ ねじ 5a，5b ねじ穴
６ ポリウレタン樹脂層 ７ レザー
８ 樹脂接着面 ９ 空所
10 薄肉部 11 端部
12，12′ 長穴 13 ねじ頭部の座面

Claims (2)

1. 突き板固定部材(１)を接着性の良い樹脂成形品で構成し、該突き板固定部材(１)を複数個のねじ(５)で金属製芯材(４)に固定し、隣接するねじ ( ５ ) とねじ ( ５ ) との間の突き板固定部材 ( １ ) に、少なくとも１ケ所薄肉部 (10) を設けたことを特徴とする突き板を貼り付けたステアリングホイール。
2. 突き板固定部材(１)と金属製芯材(４)とを固定するねじ(５)の頭部及び軸部近傍にステアリングホイールの円周方向に向く長穴(12，12′)を設け、突き板固定部材(１)をねじ(５)の頭部座面(13)に対し横移動可能にしたことを特徴とする請求項１記載の突き板を貼り付けたステアリングホイール。

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