JP5216672B2 - 車両用ステアリングホイールの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用ステアリングホイールの製造方法に関するものである。
車両用ステアリングホイールは、円環状のリム部と、中央のハブ部と、両者を連結するスポーク部とを備えている。このような車両用ステアリングホイールにあっては、近年、液晶パネルや、発光ダイオード(LED)等からなる表示部をリム部に搭載したものが開発されている。この表示部には制御部からの電気信号に基づいて、例えば、車両の速度や、エンジン回転数等の運転情報が表示され、これらの情報を運転者が視認できるようになっている。
ここで、従来のステアリングホイールについて簡単に説明する。図10は、従来のステアリングホイールにおけるリム部を示す断面図である。
図10に示すように、従来のステアリングホイールのリム部101は、アルミニウム等の金属材料からなる芯金102と、芯金102の正面102aに固定された表示部103と、これら芯金102および表示部103を被覆するガーニッシュ104と、ガーニッシュ104における表示部103の表示面103aとの対向位置に設けられたレンズ105とを備えている。ガーニッシュ104の背面側(ガーニッシュ104における表示部103を挟んでレンズ105の反対側)には、ガーニッシュ104の厚さ方向に沿って貫通する貫通孔104aが形成されている。そして、ガーニッシュ104の貫通孔104aから芯金102および表示部103に対して、ネジ106を螺入することで、両者が締結固定されている。
特開2007−153048号公報
しかしながら、上述した従来のステアリングホイールにあっては、リム部101(ガーニッシュ104)の背面側に、表示部103固定用の貫通孔104aが形成されているため、貫通孔104aの形成領域ではリム部101の外面形状が断面視凹状に窪むことになる。そのため、ネジ106や芯金102が貫通孔104aから露出し、意匠性が悪いという問題がある。
また、ステアリングホイールの操作時において、運転者が貫通孔104aを覆うようにリム部101を把持すると、指がリム部101から浮いた状態になったり、貫通孔104a内に指が引っ掛かったりする等、リム部101の触感が悪く、運転者に不快感を与える虞もある。
そこで、例えば、特許文献1においては、表示部と芯金とを樹脂材料により一体的にインサート成形することで、上述した貫通孔104a等を形成することなく、断面が連続的な楕円形状を有するステアリングホイールを形成できるとされている。
しかしながら、上述した特許文献1では、表示部と芯金とを一体的にインサート成形することで製造コストが増加するとともに、製造効率が低下するという問題がある。
また、特許文献1に示されるステアリングホイールを製造する場合には、まず表示部と芯金とを樹脂材料により一体的にインサート成形した後、表示部以外の領域に革部を巻き付ける。すなわち、表示部の形成領域に開口部を有する革部をリム部に巻き付け、その後、表示部を覆うようにフィニッシャを取り付けるようになっている。
しかしながら、革部を巻き付けた後にフィニッシャを取り付ける場合、革部には表示部の形成領域に開口部が形成されているため、フィニッシャの周縁と革部における開口部の端部との間に隙間が生じる。その結果、隙間からリム部内の樹脂材料等が露出するため、意匠性が低下するとともに、運転者がリム部を把持した際の触感が悪いという問題がある。
そこで本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、製造コストの低減及び製造効率の向上を図った上で、意匠性および触感の快適性を向上させることができる車両用ステアリングホイールの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用ステアリングホイールは、環状のリム部(例えば、実施形態におけるリム部11)と、前記リム部の径方向内側に配置されたハブ部(例えば、実施形態におけるハブ部12)とを備えたステアリングホイール本体(例えば、実施形態におけるステアリングホイール10)を備え、前記ステアリングホイール本体は、前記ステアリングホイール本体の骨格をなす金属製の芯金(例えば、実施形態における芯金21)と、少なくとも前記リム部における前記芯金を被覆する樹脂層(例えば、実施形態における樹脂層22)と、前記リム部に設けられ、運転情報が表示される表示部(例えば、実施形態におけるインジケータ19とを備えた車両用ステアリングホイールの製造方法であって、前記芯金の周囲に前記樹脂層をモールドし、前記樹脂層に溝部(例えば、実施形態における溝部35)を形成するモールド工程と、前記リム部に前記表示部を配置するとともに、前記表示部と前記ハブ部に設けられた制御部(例えば、実施形態における制御部50)とを接続するハーネス(例えば、実施形態におけるハーネス51)を前記溝部内に配置する表示部設置工程と、弾性体からなる被覆体(例えば、実施形態におけるハーネスカバー60)を、前記溝部上に配置して前記ハーネスを被覆するとともに、前記表示部の外周側に形成された表示部基材(例えば、実施形態におけるケース56)上に配置して前記表示部基材を被覆する被覆工程と、前記被覆体および前記樹脂層に表皮(例えば、実施形態における表皮90)を巻き付ける巻付工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、被覆工程において溝部を被覆体で被覆することで、溝部とその他の領域との間の境界部分での段差を被覆体によって解消することができる。この場合、例えば溝部と樹脂層との境界部分での段差を縮小することができる。さらに、表示部基材も被覆体で被覆することにより、表示部基材の形成領域とその他の領域との境界部分における段差を解消することができる。この場合、例えば表示部基材と表示部、また表示部基材と樹脂層との境界部分での段差を縮小することができる。
これにより、樹脂層に被覆体を被覆した状態において、溝部周縁や表示部周縁での凹凸を抑制し、リム部の外面形状を周方向に沿って連続的に形成することができる。そして、この状態で樹脂層および被覆体の外面形状に倣って表皮を巻き付けることで、リム部の径方向や軸方向へ凹凸を抑制し、リム部の意匠性を向上させることができる。また、リム部の広範囲に亘って触感を略一様とすることができるので、運転時の快適性を向上させることができる。
しかも、本発明によれば、溝部を被覆する被覆体によって表示部基材も被覆することができるので、従来のように表示部と芯材とをインサート成形等により一体形成する場合に比べて、工程数の増加を防いだ上で、製造コストの低減および製造効率の向上も図ることができる。
また、前記表皮には前記表示部に対応した開口部(例えば、実施形態における開口部91)が形成され、前記巻付工程は、前記表示部と前記表示部基材との間に形成される凹部(例えば、実施形態における凹部72)内に、前記表皮の前記開口部周縁を引き込む工程を含むことを特徴とする。
本発明によれば、表示部と表示部基材との間に形成される凹部内に表皮の開口部周縁を引き込むことで、表皮によって凹部内を埋めることができる。そのため、表示部と表示部基材との間の隙間を縮小することができ、意匠性を向上させることができる。また、リム部の外周面に表皮の端部が露出しないため、意匠性や運転者の触感等を向上させることができるとともに、表皮の端部への接触による剥離等を防止することもできる。
また、前記表皮を前記凹部内に引き込む工程の後、前記表示部を覆うフィニッシャ(例えば、実施形態におけるレンズカバー95)を前記表示部基材に嵌合する工程を含み、前記フィニッシャを前記表示部基材に嵌合する工程では、前記凹部の深さ方向に伸びる壁面と前記フィニッシャとの間に、前記表皮を挟みこむように配置することを特徴とする。
本発明によれば、凹部の壁面とフィニッシャとの間に表皮を挟みこむことで、フィニッシャと表皮の開口部周縁とによって凹部を埋めることができるので、表示部と表示部基材との間の隙間を縮小することができる。
また、フィニッシャを嵌合するだけで表皮の開口部周縁を固定することができるので、製造効率を維持した上で、ステアリングホイールの意匠性および触感の快適性を向上させることができる。
本発明によれば、被覆工程において溝部を被覆体で被覆することで、溝部とその他の領域との間の境界部分での段差を被覆体によって解消することができる。この場合、例えば溝部と樹脂層との境界部分での段差を縮小することができる。さらに、表示部基材も被覆体で被覆することにより、表示部基材の形成領域とその他の領域との境界部分における段差を解消することができる。この場合、例えば表示部基材と表示部、また表示部基材と樹脂層との境界部分での段差を縮小することができる。
これにより、樹脂層に被覆体を被覆した状態において、溝部周縁や表示部周縁での凹凸を抑制し、リム部の外面形状を周方向に沿って連続的に形成することができる。そして、この状態で樹脂層および被覆体の外面形状に倣って表皮を巻き付けることで、リム部の径方向や軸方向へ凹凸を抑制し、リム部の意匠性を向上させることができる。また、リム部の広範囲に亘って触感を略一様とすることができるので、運転時の快適性を向上させることができる。
しかも、本発明によれば、溝部を被覆する被覆体に固定部被覆部を形成するだけの簡素な構成であるため、従来のように表示部と芯材とをインサート成形等により一体形成する場合に比べて、製造コストの低減および製造効率の向上も図ることができる。
ステアリングホイールの正面図である。 ステアリングホイールの分解平面図である。 図1のA−A線に沿う断面図である。 図1のB−B線に沿う断面図である。 図1のC−C線に沿う断面図である。 芯材とハーネスカバーとの分解斜視図である。 芯材にインジケータユニットを取り付けた状態を示すステアリングホイールの斜視図である。 芯材にハーネスカバーを取り付けた状態を示すステアリングホイールの斜視図である。 インジケータユニットとハーネスカバーとを組み付けた状態を示す斜視図である。 従来のステアリングホイールを示すリム部の断面図である。
以下、本発明の実施形態につき図面を参照して説明する。本願では、ステアリングホイールの中心軸方向(ステアリングシャフトの軸方向)をX方向(車両後方を+X方向)とし、車両左右方向をY方向とし、XY方向に直交する方向をZ方向(車両上方を+Z方向)として説明する。また、ステアリングホイールの運転者側を正面側(手前側)とし、その反対側を背面側(奥側)として説明する。また、以下の説明において、径方向とはステアリングホイールの径方向(YZ平面)、周方向とはステアリングホイールの周方向とする。
(ステアリングホイール)
図1は、ステアリングホイール10の正面図である。
ステアリングホイール10(車両用ステアリングホイール)は、周囲のリム部11と、中央のハブ部12と、両者を連結するスポーク部16,17とを備えている。スポーク部16,17は、ハブ部12から±Y方向に伸びる一対の第1スポーク部16,16と、ハブ部12から−Z方向に伸びる第2スポーク部17とを備えている。
リム部11は、円環状に形成されている。リム部11の上部には、エンジンの回転数等に応じて点灯状態が変化するインジケータ(表示部)19が設けられている。
ハブ部12は、逆三角形状に形成されている。ハブ部12の表面には、警笛を鳴らすためのスイッチとして機能するホーンパッド13が配置されている。ハブ部12はリム部11より−X方向に配置され、ホーンパッド13の内側にエアバッグ等が収納されている。
ステアリングホイール10には、各種の車両用スイッチが設けられている。車両用スイッチとして、エアコンの操作スイッチや車載電話の操作スイッチ等のスイッチ群14が、第1スポーク部16間であって、ハブ部12の下半部における周縁部に沿って設けられている。
また車両用スイッチとして、車両の変速操作を行うパドルスイッチ40が設けられている。パドルスイッチ40として、シフトダウン操作を行うシフトダウンスイッチ40aと、シフトアップ操作を行うシフトアップスイッチ40bとが設けられている。一対のパドルスイッチ40は、一対の第1スポーク部16の背面側に固定されている。なお、図示しないが、これら各種車両用スイッチや上述したインジケータ19の駆動を制御するための電装ユニットは、ホーンパッド13またはスイッチ群14の背面側に設けられている。
(ステアリングホイールの内部構造)
(芯材)
図2は、ステアリングホイール10の分解平面図である。また、図3は図1のA−A線に沿う断面図、図4は図1のB−B線に沿う断面図、図5は図1のC−C線に沿う断面図である。
図2〜5に示すように、ステアリングホイール10は、芯金21と、芯金21の周囲にモールドされた樹脂層22とからなり、リム部11の外面形状を構成する芯材20を備えている。
図2〜5に示すように、芯金21は、アルミニウム等の金属材料からなる断面コ字状の部材であり、リム部11(図1参照)の骨格を構成するリム部芯金25と、ハブ部12(図1参照)の底面骨格を構成する底面芯金26と、両者間を連結する連結芯金27とを備えている。
各連結芯金23は、リム部芯金25から底面芯金26に向けて延在するそれぞれ一対のサイドフレーム28を備えている。なお、底面芯金26の形成面はリム部芯金25の形成面より−X方向に配置されており、連結芯金27はX方向と交差するように斜めに伸びている。そして、連結芯金27における底面芯金26側の内半部(径方向中央部)が、ハブ部12の側面骨格や上述したスイッチ群14の取付フレームを構成し、連結芯金27におけるリム部芯金25側の外半部(径方向外側)がスポーク部16,17(図1参照)の骨格を構成している。
樹脂層22は、ポリウレタン等の弾性材料からなり、芯金21の周囲を被覆するように断面視で略楕円形状に形成されている。具体的に、樹脂層22は、リム部芯金25を被覆する樹脂層本体30と、連結芯金27の一部(連結芯金27の外半部)を被覆する連結樹脂層31とを備えている。
樹脂層本体30の軸方向正面(+X方向)には、周方向の略全周に亘って後述するインジケータユニット41を保持するためのガイド部33が形成されている。ガイド部33は、樹脂層本体30の上部(+Z方向)に形成され、樹脂層本体30の約前半部(+X方向)が削り取られてなるインジケータ保持部34(図3参照)と、インジケータ保持部34の両側から樹脂層本体30の下部に向かって、樹脂層本体30上を樹脂層本体30の周方向に沿って互いに逆方向に延在する一対の溝部35(図2(b),5参照)とを備えている。
図2(b),3に示すように、インジケータ保持部34は、その幅方向(径方向)中央部に形成された中央平面部37と、両側に形成された側方平面部38と、各平面部37,38間を連結する曲面部39とを備えている。
また、図2,4に示すように、中央平面部37の長さ方向(周方向)両側には、樹脂層22からリム部芯金25の正面側に向けて軸方向に貫通し、リム部芯金25の雌ネジ部45に連通する一対の貫通孔42が形成されている。
図6は、芯材20とハーネスカバー60との分解斜視図である。なお、図6においては、説明を分かり易くするためインジケータユニット41を省略する。
図2(b),5,6に示すように、各溝部35は、樹脂層本体30の正面における径方向中央部が周方向に沿って切り欠き形成されたものであり、溝部35の両側には溝部35を取り囲む隔壁43が立設されている。したがって、インジケータ保持部34と各溝部35との境界部分には、周方向に向けて隔壁43の端面が露出している。なお、両隔壁43の正面側の角部は、X方向に交差する方向に沿って斜めに切り欠かれた切除部44が形成されている。これにより、隔壁43の正面側は、溝部35の底部(背面側)に向かうにつれ溝部35の幅(径方向の幅)が狭まるテーパ形状に形成されることになる。
各溝部35は、その周方向一端(上部側)がインジケータ保持部34の両側にそれぞれ連通している。一方、各溝部35の周方向他端側は、樹脂層本体30の下部(底面芯金26を間に挟んでインジケータ保持部34の反対側)まで回り込んでいる。そして、各溝部35は、樹脂層本体30の下部において、底面芯金26に向けて(径方向中心)折り返されている。つまり、各溝部35は、樹脂層本体30の下部から、第2スポーク部17に相当する連結樹脂層31(図2中下部の連結樹脂層31)の上端部まで延在している。
また、図6に示すように、隔壁43の内壁面には、複数の切込み部46および係止凹部47が周方向に沿って交互に形成されている。切り込み部46は、隔壁43の内壁面が溝部35の正面側(開口縁)から溝部35の底部(背面側)に向けて切り込み形成されたものであり、その正面側には背面側に向けて先細るテーパ部46aが形成されている。
一方、係止凹部47は、後述するハーネスカバー60の係止凸部86と係止可能に構成されており、溝部35の背面側において隔壁43の内壁面を径方向両側に刳り貫いて形成されている。
(インジケータユニット)
図7は、芯材20にインジケータユニット41を取り付けた状態を示すステアリングホイール10の斜視図である。
図2(c),7に示すように、このようなガイド部33には、インジケータユニット41が装着されている。インジケータユニット41は、樹脂層本体30の上部に配置された上述したインジケータ19と、芯材20の下部において、ハブ部12を構成する連結芯金27の内半部側に取り付けられた制御部50(電装ユニット)と、制御部50とインジケータ19とを電気的に接続する2本のハーネス51とで概略構成されている。
インジケータ19は、平面視で樹脂層本体30の曲率半径と同等の曲率半径で弧状に形成されたものであり、樹脂層本体30におけるインジケータ保持部34に保持されている。具体的に、インジケータ19は、図3に示すように、樹脂層本体30の中央平面部37に配置されるベース部53と、ベース部53上に設けられた駆動基板54と、駆動基板54上に実装されたLED等からなる複数の発光部55と、これら各構成品(発光部55、駆動基板54及びベース部53)を一括して覆うケース56と、ケース56における発光部55の光路上に設けられたレンズ57とを備えている。
ベース部53は、正面側(+X方向)に向けて突出する突部53aを有する平板状のものであり、この突部53a上に駆動基板54が設けられている。発光部55は、駆動基板54上に周方向に沿って等間隔に実装されている。この場合、インジケータ19の制御部50は、例えばエンジンの回転数等を検出し、この検出結果に基づいて発光部55の駆動信号を駆動基板54に出力する。駆動基板54は、受信した駆動信号に基づいて発光部55を発光させるようになっており、発光部55で発光された光を運転者はレンズ57を介して視認することができる。
図2〜4,7に示すように、インジケータ19のケース56は、その周方向長さがインジケータ保持部34の周方向における長さと略同等に形成されており、断面視が略半楕円形状をなしている。そして、このケース56と樹脂層本体30とが組み合わさることで、ステアリングホイール10は断面視で楕円形状をなしている。具体的に、ケース56は、例えばPP(ポリプロピレン)等の弾性材料からなり、ケース本体62と、ケース本体62の周方向両側に延出し、インジケータ保持部34に固定される固定部63とを備えている。
ケース本体62は、樹脂層本体30の外面と連続面を形成する断面が略半楕円形状の湾曲部65を備えている。湾曲部65は、背面側(−X方向)の両端面がインジケータ保持部34の両側方平面部38に当接している。この当接部分において、ケース本体62の径方向外側の周縁と、インジケータ保持部34の径方向外側の周縁とは一致している。したがって、ケース本体62と樹脂層本体30との境界部分は、段差等がなく滑らかな曲線形状をなしている。また、ケース本体62は、レンズ57(インジケータ19)の両端部から周方向両側に沿って湾曲しながら延在しており、その周方向両側の端面は平坦面に形成されている。
湾曲部65の正面側には、レンズ保持部66が形成されている。レンズ保持部66は、ケース本体62の正面側が、径方向中央側において背面側に向けて屈曲された後、再び正面側に向けて折り返されたものであり、その内側にはケース本体62を軸方向に貫通する貫通孔64が、その外側には凹部72が形成されている。そして、貫通孔64内には、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル樹脂)等からなるレンズ57が保持されている。
固定部63は、上述したケース本体62と一体形成されたものであり、ケース本体62に比べて径方向両側の幅、および軸方向における長さがともに一回り(少なくとも後述するハーネスカバー60の肉厚分)小さく形成されたものである。すなわち、固定部63とケース本体62との境界部分には、段差部が形成されている。固定部63は、径方向両側において両側方平面部38の内半部に当接する断面が略半楕円形状の湾曲部67と、湾曲部67の正面側が背面側に向けて折り返されてなるネジ収容孔68とを備えている。ネジ収容孔68は、正面側に形成された拡径部69と、背面側に形成された縮径部70とで構成され、正面側から背面側に向けて段々と内径が縮径するように形成されている。このネジ収容孔68は、上述した貫通孔42および雌ネジ部45に軸方向で重なるように形成されている。
そして、図2,4に示すように、ネジ収容孔68内には、インジケータユニット41を芯材20に固定するためのネジ71が挿通されている。ネジ71は、ネジ収容孔68および樹脂層本体30の貫通孔42を介して、芯金21の雌ネジ部45に螺入されている。これにより、インジケータユニット41が芯材20に固定される。なお、ネジ71の螺入時において、ネジ71の頭部71aはネジ収容孔68の拡径部69内に収容されるようになっている。すなわち、ネジ71の頭部71aが、固定部63よりも正面側に突出しないように構成されている。
また、駆動基板54の周方向両側には、制御部50と駆動基板54とを接続するための一対のハーネス51が接続されている。各ハーネス51は、インジケータ19の周方向両側から各溝部35内に収容され、樹脂層本体30の下部まで引き回された後、樹脂層本体30の下部から径方向中央部の制御部50に向けて折り返されている。すなわち、ハーネス51は、ハブ部12の下半部周縁に配置される各スイッチ群14を迂回して、樹脂層本体30の下部から連結樹脂層31を通って制御部50に引き回されている。そして、溝部35の端部と制御部50との間で各ハーネス51は集合された後、制御部50に接続されている。
(ハーネスカバー)
図8は、芯材20にハーネスカバー60を取り付けた状態を示すステアリングホイール10の斜視図である。
ここで、図2(d),5,8に示すように、ハーネス51が収容された溝部35には、上述したレンズ57等と同様にPMMA等の弾性材料からなり、各溝部35を覆う一対のハーネスカバー(被覆体)60が設けられている。これらハーネスカバー60は、ハーネス51を保持するハーネスガイド75と、ハーネスガイド75と一体的に形成され、溝部35を閉塞するカバー部76と、各ハーネスガイド75の一端側に形成され、上述したインジケータ19の固定部63を被覆する固定部カバー77とを備えている。
カバー部76は、溝部35の正面側の開口を全域に亘って閉塞しており、その外面形状が樹脂層本体30の外面と連続面を形成するように曲面形状をなしている。なお、カバー部76の背面側における径方向両側には、径方向両側から径方向中央部にかけて、カバー部76の厚さが漸次厚くなるように切り欠かれた切除部78が形成されている。そして、この切除部78と溝部35の切除部44とが、当接するようになっている。これにより、カバー部76と樹脂層本体30との境界部分は、段差等がなく滑らかな曲線形状をなしている。
図9は、インジケータユニット41とハーネスカバー60とを組み付けた状態を示す斜視図である。
図5,6,9に示すように、ハーネスガイド75は、ハーネス51の径方向両側を挟持するように延出する一対のガイド壁80を備え、上述したカバー部76とともにハーネス51の周囲を取り囲むコ字状に形成されている。ガイド壁80は、隔壁43の高さと同等の高さ(ともに軸方向における長さ)を有している。ガイド壁80は、溝部35内に収容されたハーネス51と溝部35の隔壁43との間に入り込んで、樹脂層本体30の径方向におけるハーネス51とハーネスカバー60とを位置決め固定するものである。また、ガイド壁80の内壁面81の先端側には、互いのガイド壁80に向けて突出する複数の係止爪82が形成されている。係止爪82は、ハーネスカバー60の装着時において、ハーネス51の外周面に係止され、ハーネスガイド75内におけるハーネス51のガタツキを防止するものである。
一方、ガイド壁80の外壁面83には、ハーネスガイド75の延在方向(周方向)に沿って複数のリブ85および係止凸部86が交互に並んで配列されている。リブ85は、ハーネスカバー60の装着時において、上述した溝部35の切り込み部46内にテーパ部46a側から挿入され、周方向におけるハーネスカバー60の移動を規制するものである。そして、これら切り込み部46およびリブ85によって、ハーネスカバー60の周方向への移動を規制する規制手段88を構成している。
また、係止凸部86は、上述した溝部35の係止凹部47内に係止され、軸方向におけるハーネスカバー60の移動を規制するものである。
ここで、図4,8に示すように、各ハーネスカバー60の一端側には、インジケータ19の固定部63を被覆する固定部カバー77が形成されている。固定部カバー77は、上述したケース本体62の湾曲部65と同等の曲率半径を有する断面が半楕円形状をなし、その内周面が固定部63の外周面に密着するようにして固定部63を被覆している。固定部カバー77は、その径方向両側の端面が樹脂層本体30の両側方平面部38に当接している。また、固定部カバー77は、その周方向一端側の端面がインジケータ19のケース本体62の周方向における端面に当接する一方、周方向他端側の端面が隔壁43の端面に当接している。すなわち、固定部カバー77と樹脂層本体30の溝部35との間には、隙間が生じておらず、周方向に亘って連続面が形成されるようになっている。
また、図4に示すように、固定部カバー77の肉厚は、上述したように固定部63とケース本体62との段差部の高さ分(例えば、1.5mm程度)に形成されている。したがって、固定部カバー77とケース本体62の径方向における幅(固定部カバー77およびケース本体62の短軸方向の外径)、および軸方向における幅(固定部カバー77およびケース本体62の長軸方向の外径)は、それぞれ同等に設定されている。
また、固定部カバー77およびケース本体62の径方向における幅は、樹脂層本体30の径方向における幅と同等に設定されている。これにより、固定部カバー77の径方向周縁部と樹脂層本体30の径方向周縁部とが一致した状態で、両者が突き合わされるとともに、ケース本体62の径方向周縁部と樹脂層本体30の径方向周縁部とが一致した状態で、両者が突き合わされている。
したがって、樹脂層本体30、ハーネスカバー60、およびケース本体62はそれぞれ径方向や軸方向への凹凸がなく、その外面形状は周方向に沿って連続的に形成されるとともに、その外面が面一に構成されている。その結果、リム部11の断面形状は、周方向の全周に沿って滑らかな略楕円形状に形成される。
そして、図2(e),4,5に示すように、芯材20には、リム部11に相当する領域の略全面に亘って表皮90が巻き付け形成されている。表皮90は、天然皮革や合成皮革等からなるシート状の部材が、芯材20の外面に倣って巻き付けられたものである。
そして、図2(e),3に示すように、表皮90には、インジケータ19(レンズ57)の形成領域を避けるように切り込まれた開口部91が形成されている。そして、開口部91の端部は、レンズ保持部66の凹部72内に折り込まれている。したがって、湾曲部65と凹部72との屈曲部分は表皮90に被覆されるとともに、表皮90の端部はリム部11の外面に露出していない。
図2(f),4,5に示すように、凹部72内には、表皮90の端部が凹部72内に折り込まれた状態でレンズ57を覆うように、レンズカバー95が嵌合されている。このレンズカバー95は例えばPMMAからなる有底筒状のものであり、その底面が曲面形状をなしている。そして、発光部55で発光した光は、レンズ57およびレンズカバー95の底部を透過した後、外部に出射されることで、運転者により視認されるようになっている。
また、レンズカバー95の側壁は、レンズカバー95の底部から背面側に沿って延出しており、凹部72内に介在している。レンズカバー95の側壁は、湾曲部65との間で表皮90の端部を挟み込んでいる。したがって、レンズ保持部66と湾曲部65とによって、レンズカバー95および表皮90の端部が挟み込まれている。そして、レンズカバー95は、その側壁がケース本体62の湾曲部65とレンズ保持部66との間で表皮90とともに接着固定されている。なお、レンズカバー95に係止爪等を形成し、凹部72内にレンズカバー95を係止する等の構成も採用することができる。
(ステアリングホイールの製造方法)
次に、上述したステアリングホイール10の製造方法について説明する。
図2(a)に示すように、まず、鋳造等により形成された芯金21を用意し、この芯金21の周囲を樹脂層22によりモールドする(モールド工程)。これにより、図2(b)に示すように、上述した構成の芯材20を製造することができる。
次に、図2(c)に示すように、上述した芯材20にインジケータユニット41を取り付ける(表示部設置工程)。具体的には、樹脂層本体30のインジケータ保持部34にインジケータ19を装着するとともに、ハーネス51を樹脂層本体30の溝部35内に収容して、樹脂層本体30の下部まで引き回す。この状態でインジケータ19の固定部63のネジ収容孔68内にネジ71を挿入し、芯金21の雌ネジ部45にネジ71を螺入する。これにより、インジケータ19が樹脂層本体30に固定される。
一方、ハブ部12を構成する連結芯金27の内半部に制御部50を取り付け、ハーネス51の他端を制御部50に接続する。
この場合、本実施形態のようにガイド部33(インジケータ保持部34および溝部35)をステアリングホイール10の正面側に形成し、このガイド部33にインジケータユニット41を配置することで、インジケータユニット41の取り付け作業時に正面側から取り付け作業を行うことが可能となる。そのため、インジケータ19の取り付け作業が容易になるとともに、インジケータ19と芯材20とをより強固に固定することができるため、インジケータ19とインジケータ保持部34との間に隙間が発生し難く、インジケータ19のガタツキを防止することができる。
また、インジケータ19と制御部50とを接続するハーネス51を分割して各溝部35内に収容することで、一本あたりのハーネス51の径を小さくすることができる。したがって、従来に比べて溝部35を細く形成することができるので、ステアリングホイール10の剛性の低下を抑制することができる。
しかも、ハブ部12の周縁部には、スイッチ群14やその電装ユニットを配置するスペースが必要となるが、本実施形態のようにリム部11の下部から制御部50にハーネス51を引き込むことで、それらスイッチ群14を避けて迂回することができる。そのため、スイッチ群14のレイアウトに影響を与えることなく、ハーネス51の通線スペースを確保することができる。
次に、図2(d)に示すように、ハーネス51およびインジケータ19の固定部63を被覆するように、芯材20にハーネスカバー60を装着する(被覆工程)。具体的には、ハーネスカバー60のハーネスガイド75に形成されたリブ85を、溝部35の隔壁に形成された切込み部46に挿入するようにして、溝部35の隔壁とハーネス51との間にハーネスガイド75を差し込む。そして、ハーネスガイド75をさらに溝部35内に押し込むことで、ハーネスガイド75の係止凸部86と隔壁43の係止凹部47とが係止されるとともに、ハーネスガイド75の係止爪82とハーネス51の外周面とが係止される。
これと同時にハーネスカバー60の固定部カバー77が、インジケータ19の固定部63を被覆する。これにより、ハーネス51およびハーネスカバー60の周方向、径方向および軸方向への移動が規制された状態で、リム部11の断面形状を滑らかな曲面形状(楕円形状)に形成することができる。
続いて、図2(e)に示すように、芯材20、インジケータユニット41およびハーネスカバー60を、ともに表皮90で被覆する。具体的には、インジケータ19(レンズ57)の形成領域に開口部91を有する表皮90を、樹脂層本体30の外面形状に倣って巻き付ける(巻付工程)。
ここで、図2(e),3に示すように、巻付工程において、樹脂層本体30の全面に表皮90を巻き付けた後、表皮90の開口部91の端部をレンズ保持部66の凹部72内に引き込む。具体的には、湾曲部65と凹部72との屈曲部分で表皮90を凹部72内に折り込み、表皮90の裏面を凹部72の内面に密着させた状態で凹部72の底部まで押し込む。これにより、湾曲部65と凹部72との屈曲部分が表皮90に被覆されるとともに、表皮90の端部がリム部11の外面に露出しなくなる。
その後、図2(f),3に示すように、レンズ保持部66を覆うように、レンズカバー95を装着する。具体的には、レンズカバー95の側壁をレンズ保持部66の凹部72内に嵌合させる。これにより、レンズカバー95の側壁および表皮90の開口部91の端部がレンズ保持部66と湾曲部65との間に挟み込まれる。そして、これらレンズカバー95および表皮90の開口部91の端部を凹部72内で接着固定することにより、レンズカバー95および表皮90がリム部11に固定される。
最後にリム部11とハブ部12とを組み付けることで、ステアリングホイール10が完成する。
このように、本実施形態では、被覆工程において、ハーネスカバー60によって溝部35およびケース56の固定部63を被覆した後、芯材20およびハーネスカバー60に表皮90を巻き付け形成する構成とした。
この構成によれば、ハーネスカバー60によって溝部35を被覆することで、溝部35とその他の領域(例えば、隔壁43の形成領域)との間の境界部分での段差をハーネスカバー60(カバー部76)によって解消することができる。この場合、例えば溝部35と樹脂層本体30との境界部分での段差を縮小することができる。さらに、インジケータ19の固定部63をハーネスカバー60の固定部カバー77によって被覆することにより、リム部11の周方向において、固定部63の形成領域とその他の領域(ケース本体62や溝部35の形成領域)との境界部分における段差を解消することができる。この場合、例えばケース本体62と固定部カバー77、また固定部カバー77とカバー部76との境界部分での段差を縮小することができる。
これにより、樹脂層本体30にハーネスカバー60を被覆した状態において、溝部35周縁やケース本体62周縁での凹凸を抑制し、リム部11の外面形状を周方向に沿って連続的に形成することができる。そして、この状態で樹脂層本体30およびハーネスカバー60の外面形状に倣って表皮90を巻き付けることで、リム部11の径方向や軸方向へ凹凸を抑制し、リム部11の意匠性を向上させることができる。また、リム部11の広範囲に亘って触感を略一様とすることができるので、運転時の快適性を向上させることができる。
しかも、本実施形態によれば、溝部35を被覆するハーネスカバー60によって固定部63も被覆することができるので、従来のようにインジケータ19と芯材20とをインサート成形等により一体形成する場合に比べて、工程数の増加を防いだ上で、製造コストの低減および製造効率の向上も図ることができる。
また、巻付工程において、レンズ保持部66と湾曲部65との間に形成される凹部72内に表皮90の開口部91を引き込むことで、凹部72の幅を表皮90の厚さ分だけ埋めることができる。そのため、レンズ保持部66と湾曲部65との間に形成される隙間を縮小することができ、意匠性を向上させることができる。また、リム部11の外周面に表皮90の端部が露出しないため、意匠性や運転者の触感等を向上させることができるとともに、表皮90の端部への接触による剥離等を防止することもできる。
さらに、凹部72の内面とレンズカバー95との間に表皮90を挟みこむことで、レンズカバー95と表皮90の開口部91周縁とによって凹部72内を埋めることができるので、レンズ保持部66と湾曲部65との間に形成される隙間を縮小することができる。
また、レンズカバー95を凹部72内に嵌合するだけで表皮90の開口部91周縁を固定することができる。
したがって、製造効率を維持した上で、ステアリングホイール10の意匠性および触感の快適性を向上させることができる。
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な構造や形状などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
例えば、ステアリングホイール自体の構成や、各スイッチ群の配置位置等は、実施形態で説明したものに限られない。
また、上述した実施形態では、インジケータ19の表示部にLEDを採用した場合について説明したが、液晶パネルや有機EL等を採用することも可能である。さらに、インジケータ19で表示される情報は適宜設計変更が可能である。
10…ステアリングホイール(車両用ステアリングホイール) 11…リム部 12…ハブ部 19…インジケータ(表示部) 35…溝部 50…制御部 51…ハーネス 56…ケース(表示部基材) 60…ハーネスカバー(被覆体)72…凹部 90…表皮 95…レンズカバー(フィニッシャ)

Claims (3)

  1. 環状のリム部と、前記リム部の径方向内側に配置されたハブ部とを備えたステアリングホイール本体を備え、
    前記ステアリングホイール本体は、前記ステアリングホイール本体の骨格をなす金属製の芯金と、少なくとも前記リム部における前記芯金を被覆する樹脂層と、前記リム部に設けられ、運転情報が表示される表示部とを備えた車両用ステアリングホイールの製造方法であって、
    前記芯金の周囲に前記樹脂層をモールドし、前記樹脂層に溝部を形成するモールド工程と、
    前記リム部に前記表示部を配置するとともに、前記表示部と前記ハブ部に設けられた制御部とを接続するハーネスを前記溝部内に配置する表示部設置工程と、
    弾性体からなる被覆体を、前記溝部上に配置して前記ハーネスを被覆するとともに、前記表示部の外周側に形成された表示部基材上に配置して前記表示部基材を被覆する被覆工程と、
    前記被覆体および前記樹脂層に表皮を巻き付ける巻付工程とを含むことを特徴とする車両用ステアリングホイールの製造方法。
  2. 前記表皮には前記表示部に対応した開口部が形成され、
    前記巻付工程は、前記表示部と前記表示部基材との間に形成される凹部内に、前記表皮の前記開口部周縁を引き込む工程を含むことを特徴とする請求項1記載の車両用ステアリングホイールの製造方法。
  3. 前記表皮を前記凹部内に引き込む工程の後、前記表示部を覆うフィニッシャを前記表示部基材に嵌合する工程を含み、
    前記フィニッシャを前記表示部基材に嵌合する工程では、前記凹部の深さ方向に伸びる壁面と前記フィニッシャとの間に、前記表皮を挟みこむように配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ステアリングホイールの製造方法。
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