JP4033419B2 - 自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状壁装材に重ね切り用の養生部分を形成する養生テープを糊付済の壁装材裏面に積層するために自動壁紙糊付機内の所定位置に導入する養生テープ導入治具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物の内装仕上げとして、紙、布、樹脂、金属、タイル等、種々の材料を利用してなるシート状壁装材、所謂壁紙が壁面に貼り付けられる。この壁紙の施工は、通常、ロール状に巻かれた壁紙を現場の自動壁紙糊付機にて連続的に裏面に糊付を行いながら所定寸法に裁断し、順次、人手により壁面への張り込みを行うものである。
【0003】
一般的な自動壁紙糊付機は、図2の側面透視図に示すように、糊付機本体111を構成する上部構体12及び下部構体13内に、それぞれ複数のロール(15〜22)が互いにギアを介して配列されており、上下部構体間に壁紙を挟み込むことによって各ロールでの搬送可能状態が得られるものである。又、下部構体13内には、糊を収容している糊桶14が備えられている。
【0004】
上部構体12内には、ロール状の原反から引出された壁紙1を糊付機本体11内に後部側から取り込むためのピンチロールを構成する上側ピンチロール15と壁紙1に糊付機本体11の前部方向への送り出し張力を付与するためのドライブロール17と、これら2つのロール間で壁紙1を上から押さえて追従回転する押さえロール16とが、互いに所定間隔で平行に配列されるように、それぞれ上部構体12の側板に軸支されている。
【0005】
また、下部構体13内には、前記上側ピンチロール15と対になってピンチロールを構成する下側ピンチロール18と、糊上げロール20から転写された糊を壁紙1裏面に塗布する糊付ロール21と、糊付ロール21に接して糊量を調節するドクターロール19と、前記ドライブロール17と共に壁紙1に適度な張力を与えて前部方向へ送り出す均しロール22とが、互いに所定間隔を持って平行に配列されるように、下部構体13の側板に軸支されている。また糊上げロール20は、糊桶104の内部両側面に軸支されている。
【0006】
以上の如き構成を持つ自動壁紙糊付機において、後部側から取り込まれ、ピンチロール(15,18)によって前方の糊付ロール21上に搬送され、ここで裏面に糊が塗布された壁紙1は、さらにドライブロール17および均しロール22によって前面に送り出される。
【0007】
一方、壁面への壁紙貼り付け作業においては、一般的に「重ね切り」施工法が採用されている。「重ね切り」とは、壁面上で2枚の壁紙を継ぎ合わせる際に、縁を重ね合わせた状態で2枚の壁紙を壁面に隣接貼付し、糊が乾く前に重ね合わせ部分のほぼ中央に刃物を通して両方の壁紙の縁を一緒に切断し、下方の壁紙の重ね合わせ部分の切断された縁を剥がし、剥がされた縁部分があった壁面上に上方の壁紙を貼付して(このとき上方壁紙の切り離された縁部分も剥がす)隣り合った壁紙を連続的に継ぎ合わせる施工方法である。
【0008】
このような「重ね切り」を行う壁紙においては、下方の壁紙の縁部分の表面によけいな糊を付けず、切断後の上下の壁紙の縁部分の分離を容易にすると共に、壁面に貼付されるまで上方の壁紙の縁部の糊の接着能力を維持するために、壁紙の糊付面(裏面)の縁に沿って養生テープを積層した養生部分を形成しておくことが行われている。
【0009】
この養生テープの壁紙糊付面への積層も自動壁紙糊付機において行われている。例えば、図2にも示すように、糊桶14の下方に配置されたテープロールから引出された養生テープ2を、糊桶14の前面側から均しロール22の下方へ導入し、ドライブロール17と均しロール22との間に通すことにより、糊付ロール21から糊を塗布されて搬送されてきた壁紙1がドライブロール17と均しロール22との間を通過する際に、壁紙1裏面に積層された状態で一緒に送り出されてくる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
なお、多くの場合、内装用の壁紙には繰り返しパターンを持つ模様があるので、壁面上に隣り合って貼付される壁紙どうしの境界部で模様が連続するように「重ね切り」を行う所謂、突き付け貼り施工が採用される。この場合、重ね切りの際に互いに重ねられる上下の壁紙の縁部分で同じ模様が重なるようにすれば、重ね切り後に上下の各切断片を取り除くと、隣り合う壁紙同士の突き合うエッジ間で模様が連続する。
【0011】
従って、予め、壁面貼付前の壁紙の縁位置が所定の模様位置としておく必要がある。そこで、従来から、自動壁紙糊付機に連動可能なスリッタを装着し、壁紙幅方向の所定模様位置に相当する位置に切断刃を位置決めしたスリッタを通過させることによって、所望の模様位置に縁が形成されるように長尺方向に切断されながら壁紙が糊付機本体へ搬送される。この所望の模様位置に縁が一致した壁紙に糊付が行われ、養生テープが積層される。
【0012】
通常、スリッタの切断刃の位置決めは、壁紙がスリッタを介して上部構体と下部構体との間に挟み込まれた糊付機本体内セッティング後の緊張状態において行われるが、途中、この壁紙の緊張が弛んだり、糊付機本体から外されたりすると、その後の切断刃に対する壁紙の相対位置が変位し、切断位置が所望の模様位置からずれてしまうことがある。
【0013】
このような壁紙を糊付機本体から外すような中断として、糊付機に配置されたテープロールの養生テープが終了し、テープロールを入れ替え作業がある。この場合、上部構体を開けて糊付機本体内の壁紙との合流地点、即ち均しロール上から壁紙を外し、その均しロール上に新しいテープロールから引出された養生テープの先端を導入し直さなければならない。
【0014】
養生テープ導入後、均しロールを含む上部構体の各ロール上に再び壁紙を載置し、上部構体を閉じて糊付運転を再開すると、スリッタにおける切断位置がずれて進行してしまう可能性がある。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、壁紙を外すことなく養生テープを糊付本体内の壁紙との合流点まで導入できる治具を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具では、シート状壁装材を本体後部から前方へ送り出しながら糊付ローラに接触させて前記シート状壁装材の裏面に連続的に糊付を行う自動壁紙糊付機内において、糊付したシート状壁装材の縁にそって沿って積層されて重ね切り用の養生部分を形成するための養生テープを、前記糊付ロールから搬送された糊付済のシート状壁装材を本体前面へ送り出すドライブロールと均しロールとの間に導入する自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具であって、一端に養生テープ先端を掛止する貫通孔を備え、他端側が前記均しロールの下部から上部に亘る曲面に沿った湾曲形状を成す形状復元性を有する短冊状部材からなるものである。
【0017】
本発明においては、治具の一端側の貫通孔に養生テープ先端を掛止した状態で他端を均しロールの下方から治具を回動させながら奥へ挿入してけば、他端側の湾曲形状によって治具を均しロールの表面に上部に向けて沿わせることができる。子の結果、治具の他端は均しロールの上部でドライブロールとの間から糊付機本体前面側に突き出る。
【0018】
この突き出た他端をさらに引っぱり出せば、治具一端側に追従して養生テープの先端が均しロールの下部から上部に亘る表面に沿った後、壁紙との合流点である均しロール上部のドライブロールとの間から糊付機本体前面側に突出し、糊付機本体への導入が成される。
【0019】
治具の厚みが充分に薄ければ、壁紙が糊付機本体内にセッティングされたままの状態であって均しロールとドライブロールとの間に挟み込まれた状態であっても、治具自身の撓みによってスムーズに均しロールとドライブロールとの間の壁紙の下を通過することができる。
【0020】
従って、本発明の治具によれば、糊付機本体内における壁紙の挟み込み状態を解除して均しロール上からはずすことなく、容易に養生テープを壁紙との合流点である均しロールとドライブロールとの間に導入することができるため、養生テープ導入後に運転を再開しても、糊付機本体内だけでなくスリッタ内においても壁紙の位置ずれは生じていないので、運転停止前と同じ模様位置での切断が再開される。
【0021】
また、本発明の養生テープ導入治具は、糊付作業途中の養生テープロールの交換時のみでなく、運転開始前の初期設定における養生テープの導入にももちろん用いても良い。
【0022】
なお、本発明の養生テープ導入治具は、上記の如く均しロールとドライブロールとの間を通過できる厚みであって、形状復元性を有するものであれば材質に何ら制限はない。ただし一端に養生テープ掛止用の貫通孔を形成し易いものがより好ましい。例えば、切断可能で安価な薄同板などの金属薄板や合成樹脂板、あるいは金属と合成樹脂とのラミネート複合ストリップを用いるのが簡便である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態による自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具を図1に示す。(a)は本実施形態による治具の構成を示す斜視図であり、(b)は本治具による養生テープの導入過程を説明する自動壁紙糊付機の均しロール付近の部分拡大図である。
【0024】
本実施形態における治具4は、形状復元性を有する短冊状の金属薄板の一端側に養生テープ2を皺なく挿通可能なスリット状の貫通孔5が打ち抜き形成され、他端側が、均しロール22の曲面に合致する半円弧状の湾曲部6に形成されたものである。この治具4は、その形状復元性により、湾曲部6を平らに伸ばした状態から手を離せば元の湾曲形状に復元し、全体として弾性を有して曲げ変形及びその復元が可能である。
【0025】
以下に、この治具4を用いて運転途中で養生テープロールを交換する際の養生テープ2を導入する場合を説明する。ここで用いられる自動壁紙糊付機は、従来の一般的の自動壁紙糊付機として図2に示したものと同じものとする。
【0026】
まず、糊付機の運転開始に当たって、初期設定として、下部構体13に対して上部構体12を開いた状態とし、糊桶14下方に配置されたテープロールより養生テープ2の先端を引き出し、糊桶14前面側から、スリッタ10での切断後の壁紙1の縁位置に相当する上端部位置に装備されたテープガイド3に通した後、均しロール22の下側から本体内側へ挿入し、均しロール22の表面に沿わせて上面側へ引き上げて、本体前前面に垂れるように均しロール22上に載せる。
【0027】
次に、糊付機本体1の後部に取付けられたスリッタ10を通過させた壁紙1の先端をロール原反から引き出して、その先端が本体前面側に垂れるように壁紙1を下側ピンチロール18,糊付ロール21,均しロール22の上に載せ、均しロール22上では養生テープ2上に壁紙1の縁が重なった状態で上部構体12を閉じ、壁紙1および養生テープ2の挟み込み状態を得る。
【0028】
この壁紙1の挟み込み状態において、スリッタ10の切断刃(不図示)を壁紙1の幅方向における所定模様位置が切断位置となるように位置決めした後、糊付機の初期運転を行う。初期運転が開始されると各ロールの回転駆動により、糊上げロール20は糊桶14内の糊を載せ上げつつ、糊付ロール21へ糊を転写し、糊付ロール21の表面へ転写された糊は、ドクターロール19によって所定量に調整され、糊付ロール21表面には、安定した量の糊がまんべんなく付着されていく。
【0029】
一方、各ロールの回転駆動により壁紙1も前方へ搬送されるが、糊付機本体途中、糊付ロール21との接触において、当初のうちは糊付ロール21表面へ糊が付着されておらず、糊上げロール20からの転写によって徐々に糊付着量が増加するが、糊付ロール21表面に充分な量の糊が安定して転写されるまでは、壁紙1裏面への糊付も不十分である。
【0030】
また、壁紙1の先端部はスリッタ10を通過しておらず、所定の模様位置が縁となるように切断されていない。従って、ドライブロール17と均しロール22を通過して送り出されてくる壁紙1の先端から所定長さまでは養生テープ2との接着状態が不安定であると同時に、予めテープガイド3によって所定模様位置で切断された後の縁に相当する位置に位置決めている養生テープ2と、切断されていない壁紙先端部の縁とはもちろん合致していない。
【0031】
壁紙1への糊付着が安定し、裏面に充分に糊付されると同時に、スリッタ10で所定模様位置で切断された縁に沿って養生テープ2が安定に接着されるようになった壁紙部が本体前面から送り出され始めたら、初期運転を停止し、壁紙1先端部の糊付量が不充分で所定模様位置で切断されていない不要部分を養生テープ2と共にカッタで切り落として初期設定を終了する。
【0032】
上記初期設定終了後、本運転を開始する。順次、糊が塗布され、ドライブロール17と均しロール22間を通過して本体11前面から送り出されてくる壁紙1は、所定模様位置で切断されていると共にその縁に沿って養生テープ2が重ねられている。連続的に糊付されて送り出されてくる養生テープ2付き壁紙1は、所望の長さ寸法でカッタで切断し、所望枚数の壁紙片が得られた時点で運転を停止する。
【0033】
途中、糊桶14下方に配置されているテープロールの養生テープ2がなくなり、新しいテープロールに交換する必要が生じたら、糊付機の運転を一時停止する。新しいテープロールを糊桶14下方に配置したら、養生テープ2の先端を引き出し、糊桶14前面側から上端部のテープガイド3を通した後、治具4の貫通孔5に通し、折り返して掛止状態とする。
【0034】
上部構体12を開けることなく、ほとんど運転中と同じ壁紙1は糊付機本体11内に設置されたまま、ドライブロール17と均しロール22との間に挟み込まれた状態のままで、糊付機本体11の前面に垂れている壁紙1のみを上方に持ち上げておく。この状態において、貫通孔5に養生テープ2が掛止された治具の他端側の湾曲部6を先端から均しロール22の下方から後方へ挿入する。
【0035】
湾曲部6を均しロール22の後ろ側表面に沿わせて押し込むと、治具4の撓みにより、湾曲部6先端が均しロール22の下部から回り込んで上部のドライブロール17との間、壁紙1の下から前方へ突出する。この突出した湾曲部6の先端を掴んで前方へ引っぱり出せば、治具に追従して養生テープ2の先端も均しロール22の後方の下部から上部に亘る表面に沿った状態で均しロール22とドライブロール17との間、壁紙1の下から前方へでてくる。
【0036】
以上のように養生テープ2の新たな導入が終了したら、再び壁紙1の先端を垂らし、養生テープ2と重ね合わせ、運転を再開する。このとき、養生テープ2の導入の間中、壁紙1は糊付機本体11内およびスリッタ10内で同じ状態が維持されているため、再開後にスリッタ10における切断位置のずれは生じない。
【0037】
本実施形態に治具を用いれば、糊付機本体11に対する壁紙1の位置を変えることなく容易に新たな養生テープ2を本体11内に導入できるため、切断位置のずれによる壁紙1縁の模様のずれが回避でき、ずれ補正のための作業者の手間もなくなる。
【0038】
なお、上記実施の形態においては、養生テープ導入治具4を、運転途中の養生テープロール交換時における新たな養生テープ導入時に用いる場合を説明したが、もちろん、初期設定における養生テープの糊付機本体内への設置においても用いても良い。
【0039】
この場合、初期運転を或る程度進めて、壁紙1裏面への糊付着が安定した時点で、あるいは所定模様位置で切断された部分が送り出されてきた時点で養生テープを導入すれば、壁紙1先端の不要部分の切断時に一緒に切断される養生テープ部分がほとんどなくなり、養生テープの無駄が省かれる。
【0040】
【発明の効果】
以上に説明したとおり、本発明の養生テープ導入治具によれば、糊付機本体内の壁紙との合流位置への養生テープの導入が、糊付機本体およびスリッタに対する壁紙の位置に変位を生じさせることなく容易に行えるため、切断位置のずれによる壁紙縁の模様のずれが回避でき、ずれ補正のための作業者の手間も壁紙の無駄もなくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具を示す説明図であり、(a)は治具の構成を示す斜視図、(b)は本治具による養生テープの導入過程を説明する自動壁紙糊付機の均しロール付近の部分拡大図である。
【図2】一般的な自動壁紙糊付機の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1:壁紙
2:養生テープ
3:テープガイド
4:養生テープ導入治具
5:貫通孔
6:湾曲部
10:スリッタ
11:糊付機本体
12:上部構体
13:下部構体
14:糊桶
15:上側ピンチロール
16:押さえロール
17:ドライブロール
18:下側ピンチロール
19:ドクターロール
20:糊上げロール
21:糊付ロール
22:均しロール
23:糊桶ステー
Claims (1)
- シート状壁装材を本体後部から前方へ送り出しながら糊付ローラに接触させて前記シート状壁装材の裏面に連続的に糊付を行う自動壁紙糊付機内において、糊付したシート状壁装材の縁にそって沿って積層されて重ね切り用の養生部分を形成するための養生テープを、前記糊付ロールから搬送された糊付済のシート状壁装材を本体前面へ送り出すドライブロールと均しロールとの間に導入する自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具であって、
一端に養生テープ先端を掛止する貫通孔を備え、他端側が前記均しロールの下部から上部に亘る曲面に沿った湾曲形状を成す形状復元性を有する短冊状部材からなることを特徴とする自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具。
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JP11472898A JP4033419B2 (ja) | 1998-04-24 | 1998-04-24 | 自動壁紙糊付機用養生テープ導入治具 |
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JPH11301198A JPH11301198A (ja) | 1999-11-02 |
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1998
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