JP4033326B2 - 帯電ローラ用被覆チューブの押出し成形金型及びそれを用いた帯電ローラ用被覆チューブの製造方法 - Google Patents

帯電ローラ用被覆チューブの押出し成形金型及びそれを用いた帯電ローラ用被覆チューブの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置において、被帯電体に接触配置され、電圧の印加により被帯電体を帯電するための帯電ローラに使用される、小径薄肉でシームレスな被覆チューブを製造する装置の金型に関し、該チューブの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置に用いられる帯電手段として、接触帯電方式の帯電手段の採用が進められている。接触帯電方式は、被帯電体に接触配置された帯電部材に電圧を印加することによって被帯電体を所定の極性、電位に帯電させる方式であり、電源の電圧を低くすることができるという利点を有する。またオゾンなどのコロナ生成物の発生を少なくすることができ、構造が簡単で低コスト化を図ることができるなどの利点もある。
【0003】
帯電部材に印加する電圧として、直流電圧のみを印加する方式(DC印加方式)もあるが、直流電圧を接触帯電部材に印加した時の被帯電体の帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する振動電界(時間と共に電圧値が周期的に変化する電界)を接触帯電部材と被帯電体との間に形成して、被帯電体面を帯電処理する手法(AC印加方式)の方が、より均一な帯電をすることが可能であり、より望ましい。
【0004】
このような接触帯電装置は、被帯電体に接触させる帯電部材の形状や形態から、帯電部材をローラ形状としたローラ型帯電器(特開昭56−91253号公報など)、ブレード状部材(帯電ブレード)としたブレード型帯電器(特開昭64−24264号および同56−194349号公報など)、およびブラシ状部材(帯電ブラシ)としたブラシ型帯電器(特開昭64−24264号公報など)などに大別される。
【0005】
ローラ状帯電部材は、回転自由に軸受保持されて被帯電体に所定の圧力で圧接され、被帯電体の移動に伴い従動回転するように構成され、通常、基体として中心に設けたシャフトと、このシャフトの周囲にローラ状に設けた導電性の弾性層と、さらにその外周に設けた表面層などを有する多層構造体である。
【0006】
上記各層のうち、シャフトは、ローラの形状を維持するための剛体であると共に、給電電極層としての役割を有している。
【0007】
また弾性層は、通常、104 〜109 Ω・cmの体積固有抵抗を有すること、および弾性変形することにより、被帯電体との均一な接触を確保する機能が要求されるため、通常、導電性が付与されたゴム硬度(JIS A)70度以下の柔軟性を有する加硫ゴムが使用される。
【0008】
なお、本案発明の趣旨とは異なるが、インフレーション法押出し成形機としては、縦型配置としたものも提案されている(特開平5-92466号公報参照)。
【0009】
従来のローラ状帯電部材には、弾性層としてゴム発泡体(またはスポンジ状ゴム)を使用した発泡タイプと、ゴム発泡体を使用しないソリッドタイプがある。また表面層は、被帯電体の帯電均一性を向上させ、被帯電体表面のピンホールなどに起因するリークの発生を防止すると共に、トナー粒子や紙粉などの固着を防止する機能、さらには弾性層の硬度を低下させるために用いられるオイルや可塑剤などの軟化剤のブリードを防止する機能なども有している。表面層の体積固有抵抗は、通常105 〜1013Ω・cmであり、従来は、導電性塗料を塗布するか、あるいは被覆チューブを被せることにより形成されている。
【0010】
機能性複層チューブ製造装置は押出し手段により該機能性複層チューブが押出され、空冷手段、水冷サイジング手段、チューブ引取り手段、チューブ切断手段、チューブ収納手段の順序で該機能性複層チューブを製造する。次いで、該機能性複層チューブを弾性体層の上に被覆することによって帯電ローラとする。
【0011】
従来、機能性複層チューブの押出成形用環状金型としてはスパイダー金型やスパイラル金型が使用されている。スパイダー金型ではスパイダーマークといわれる特有のスジ状厚みムラが生じたり、樹脂の部分的な滞溜によりコゲ等の異物発生や、樹脂の劣化による外観不良が生じたりするという欠点がある。これらの欠点を改良した金型として、金型の中心から供給した樹脂を枝分れ状の導管路により放射状に分配するスパイラル金型があるが、精細な精度の要求される電子写真装置用の機能部材は、材料の微細なムラを反映して画像ムラが出るため、非常に微妙とはいえスパイラルがあると、その数だけウエルドラインが発生してしまう欠点がある。
【0012】
スパイラル構造の金型において螺旋樹脂路は、樹脂供給路の出口または筒状樹脂路に形成されたマニホールドに接続させられている構成を採用することにより、多条の螺旋樹脂路により筒状樹脂路内において溶融樹脂を極めて均一に混合させたり、より多くの多条の螺旋樹脂路を設けて偏肉を確実に減少させたりすることができ、ダイ背圧を減少させて過剰発熱を防止させ、生産量を増加させることができ、溶融樹脂の温度を均一化させ、添加物を含めた樹脂の成分を均一に分散させることができる(特開平10-175247号公報)。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、長時間にわたってチューブ押出し成形を行うとウエルドラインが悪化してしまい、その都度、金型清掃を行わなければならなかったため稼動ロスが生じた。また、チューブの電気抵抗値を調整するために、チューブ押出し成形温度を調整する必要があるが、成形温度が高温になると樹脂圧が低下し、金型内の樹脂の合流が不十分になり、ウエルドラインが悪化してしまうため、成形温度が限られてしまう。
【0014】
本発明ではこれらの課題を解決するために、特にウエルドラインの生じない帯電ローラ用被覆チューブに用いる金型と其帯電ローラ用被覆チューブの製造方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の帯電ローラ用被覆チューブの押出し成形金型は、複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブを重力方向に押出し成形する金型において、該金型内の樹脂合流点が一つであり、該合流点以前で、該金型の外筒とマンドレルとで形成される、複数層の外層の最小流路となる隙間を該複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブの膜厚以上、1.0mm以下にした金型で、かつ、該複数層の外層用チューブの外層マンドレルマニホールドを有さず、内層用チューブの内層マンドレルマニホールドを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の帯電ローラ用被覆チューブの押出し成形金型は、該合流点以前で、該金型の外筒とマンドレルとで形成される、複数層の外層の最小流路となる隙間を該複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブの膜厚以上、1.0mm以下にした金型であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の帯電ローラ用被覆チューブの製造方法は、弾性体に複数層のシームレスな小径薄肉の被覆チューブを被覆して帯電ローラを構成するための被覆チューブを製造する方法において、更に重力方向にチューブを押出しする工程、空冷工程、水冷サイジング工程、チューブ引取り工程及び、チューブ切断工程から成り、該押出し工程で樹脂合流点が一つであり、該合流点以前で、該金型の外筒とマンドレルとで形成される、複数層の外層の最小流路となる隙間を該複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブの膜厚以上、1.0mm以下にした金型で、かつ、該複数層の外層用チューブの外層マンドレルマニホールドを有さず、内層用チューブの内層マンドレルマニホールドを有する金型を用いることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0019】
本発明において用いられる機能性複数層の膜について説明する。本発明における機能性複数層の膜は予め機能性複層チューブの形態に成膜された重合体であって、芯金(金属層)外周上の発泡弾性体層に外嵌し、密着させて被覆する。
【0020】
(芯金)
本発明における芯金(金属層)としては、例えばアルミニウム、銅、鉄、またはこれらを含む合金などの良導体が好適に用いられる。本発明に用いられる芯金は、0.1〜1.5mm程度の厚さを有する金属管であっても、また棒状であってもよい。芯金は、使用上の強度、寸法、導電性等の条件を満たすものであればよい。
【0021】
(発泡弾性体層)
上記発泡弾性体層を構成する導電性を有する弾性材料としては、導電材を配合した発泡導電性ゴム組成物あるいは導電性ポリウレタンフォームを用いることができる。
【0022】
この場合、発泡導電性ゴム組成物を構成するゴム成分としては、特に制限されるものではないが、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム(EPDM)、クロロプレン、クロロスルホン化ポリエチレンに導電材を配合したものの発泡体、エピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴムの発泡体またはエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合ゴムに導電材を配合したものの発泡体を好適に使用することができる。
【0023】
(発泡弾性体層用導電材)
これらゴム組成物に配合する導電材としては、公知の素材が使用でき、例えば、カーボンブラック及びグラファイトなどの炭素微粒子;ニッケル、銀、アルミニウム及び銅などの金属微粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカなどを主成分とし、これに原子価の異なる不純物イオンをドーピングした導電性金属酸化物微粒子;炭素繊維などの導電性繊維;ステンレス繊維などの金属繊維;炭素ウイスカやチタン酸カリウムウイスカの表面を金属酸化物や炭素などにより導電化処理した導電性チタン酸カリウムウイスカなどの導電性ウイスカ;及びポリアニリン及びポリピロールなどの導電性重合体微粒子などが挙げられる。その配合量は、全ゴム成分100質量部に対して好ましくは3〜100質量部、特に好ましくは5〜50質量部であり、これにより発泡弾性体層の体積抵抗を101〜109Ω・cm程度に調整することが好ましい。なお、この発泡弾性体層の形成は、公知の加硫成形法により行うことができ、その厚さは帯電ローラの用途などに応じて適宜設定されるが、通常1〜20mmが好ましい。
【0024】
(機能性複数層)
本発明における機能性複数層の膜に使用される樹脂、エラストマー及び共重合体などは、押出し成形可能な熱可塑性樹脂であればいずれのものでもよく、具体的には、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニル、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸メチル、スチレンブタジエンゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12及びその他の共重合ナイロンなどのポリアミド、スチレンエチレンブチル、エチレンブチル、ニトリルブタジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、塩素化ポリエチレン、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエン、イソプレンゴム及びポリノルボルネンゴムなどの通常のゴム、及びスチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)及びスチレン−ブタジエン−スチレンの水添加物(SEBS)などの熱可塑性ゴムを使用することができ、特に制限されるものではない。
【0025】
あるいは、上記の各樹脂や共重合体よりなるエラストマー及び変性体などのエラストマーと、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリブチレンテレフタレート(PBT)などの飽和ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、ポリウレタン、ポリフェニレンオキサイド、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリロニトリル−エチレン/プロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)及びアクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂(AAS)などのスチレン系樹脂及びアクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、などの各樹脂及び共重合体からなる材料の組み合わせが好ましい。後述する導電材などを適宜配合することにより、所望の特性を有するチューブ構成が得られる。
【0026】
(機能性複数層用導電材)
なお、上記導電材としては、公知の素材が使用でき、例えば、カーボンブラック及びグラファイトなどの炭素微粒子;ニッケル、銀、アルミニウム及び銅などの金属微粒子;酸化スズ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム及びシリカなどを主成分とし、これに原子価の異なる不純物イオンをドーピングした導電性金属酸化物微粒子;炭素繊維などの導電性繊維;ステンレス繊維などの金属繊維;炭素ウイスカやチタン酸カリウムウイスカの表面を金属酸化物や炭素などにより導電化処理した導電性チタン酸カリウムウイスカなどの導電性ウイスカ;及びポリアニリン及びポリピロールなどの導電性重合体微粒子などが挙げられる。
【0027】
(機能性複数層の機能性複層チューブの製造)
本発明に用いられる機能性複数層の機能性複層チューブは単に上記各種成形法により形成しただけでも使用できるが、例えばより優れた耐久性や耐環境性などを得ることを目的として、上記各種成形法により得られた機能性複層チューブを更に架橋させて導電性架橋重合体とすることもできる。チューブ状に成膜された導電性重合体を架橋させる方法としては、重合体の種類に応じて硫黄、有機過酸化物及びアミン類などの架橋剤を予め添加しておき、高温下に架橋結合を生成させる化学的架橋法や、電子線やγ線などの放射線を照射することにより架橋させる放射線架橋法などが有効である。上記各種架橋法のうちでは電子線架橋法が架橋剤またはその分解生成物の移行による被帯電体の汚染の恐れがなく、更に、高温処理の必要がない点及び安全性の点で好ましい。
【0028】
複数層からなる機能性複層チューブ3は、種々の方法で成膜することができるが、前記のように押出し成形法が好適である。即ち、図2に示すように、予め重合体と導電材、また必要に応じて、架橋剤、安定剤及びその他の添加剤を混合したコンパウンドを調製し、該コンパウンドを押出し機8,9によりリング状スリットを有するダイス4から押出し、水冷リング10で冷却することによって、連続的に機能性複層チューブを製造することができる。
【0029】
機能性複層チューブの外側表面を傷つけずに収納するには該機能性複層チューブの外側表面を非接触にて収納することが好ましい。
【0030】
(機能性複数層チューブの製造用金型)
次に、本案発明の金型部の構造、作用について説明する。
【0031】
本発明で使用した金型構造の概略を図1に示す。1−5から1−10へ通ずる点線で示したマニホールド部位の無い構造のものが、本発明の図1である。図1において、斜線のマニホールド部位を有する構造が、従来構造である。該金型は2層チューブ同時押出し成形用の金型であるため、外套1−3の中に、外層用チューブの外層マンドレル1−1と内層用チューブの内層マンドレル1−2を擁し、スクリューで溶融された外層用樹脂は外層マンドレルマニホールド(入り)1−5の位置から金型に入って、180°対向にある外層マンドレルマニホールド(合流)1−10の位置で合流し、外層材流路1−9、外層流路幅の最小部分1−7を通る。ただし、本発明では外層マンドレルマニホールド(入り)1−5と外層マンドレルマニホールド(合流)1−10は無い。図の太点線:斜線部:で示してあるように、マニホールドの窪みが無くなっている。外層材は外層流路幅の最小部分1−7のクリアランスによって樹脂圧力が制御される。
【0032】
同様に、内層用樹脂もスクリューで溶融された後、内層マンドレルマニホールド(入り)1−6の位置から金型に入り、点線で示した内層マニホールドを通って180°対向にある内層マンドレルマニホールド(合流)1−11の位置で合流し、内層材流路1−8を通る。その後、外層材と内層材が合流して、ダイ1−12、ポイント1−4の出口に至る。なお、内層マニホールドに関して、内層マニホールドのある構造を説明する。なお、本願明細書において、「外層マンドレルマニホールド」とは、外套と外層マンドレルとで形成された外層材流路のうち、外層マンドレルの表面に形成された溝状部分を意味し、図1において、符号1−5から符号1−10へと延在する点線間の領域に対応するものである。また、「内層マンドレルマニホールド」とは、外層マンドレルと内層マンドレルとで形成された内層材流路のうち、内層マンドレルの表面に形成された溝状部分を意味し、図1において、符号1−6から符号1−11へと延在する点線間の領域に対応するものである。
【0033】
スパイラル構造を持たない本発明の樹脂合流点が一つである金型を使用することでウエルドラインの発生数を1本にし、さらに、マニホールドを無くすことで樹脂の劣化物などがマニホールドにおける樹脂供給口の180°反対側(金型内での樹脂の合流部)に滞留するのを防ぐとともに、該合流点以前で、該金型の外筒とマンドレルとで形成する複数層の外層の最小流路となる隙間を調整して1.0mm以下にすることで外層と内層の成形圧力の差を小さくすることができ、ウエルドラインを無くすことを可能とした。この場合の該最小流路の隙間の大きさ限度は、形成する該機能性複数層チューブの膜厚による。所望する該機能性複数層チューブの膜厚よりも、隙間が小さい場合には、押出し直後の膨張により所望の厚みが得られるかもしれないが、安定した精度は期待できない。
【0034】
【実施例】
以下、更に具体的には、実施例、比較例により説明する。
【0035】
以下に、本発明の共押出し2層被覆チューブの製造方法を説明する。なお、便宜的に該機能性複数層の表面側を外層、内側を内層と表現している。
【0036】
《外層用材料》
外層の材料として、スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂(スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合樹脂)100質量部を主体に、最終的に、ポリエチレン72〜20質量部、カーボンブラック1(商品名「ケッチェンブラックEC」、ライオンアクゾ株式会社)11〜14質量部、カーボンブラック2(商品名「スペシャルブラック250」、デグサジャパン)20〜28質量部、酸化マグネシウム10〜15質量部、ステアリン酸カルシウム1〜1.5質量部となるように、前記スチレン系のエラストマー樹脂、カーボンブラック1、カーボンブラック2、酸化マグネシウム、ステアリン酸カルシウムを加圧式ニーダーで200〜220℃溶融混練した後冷却、粉砕機で粉砕し、マスターバッチを作製し、このマスターバッチにさらにスチレン系の樹脂(スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合樹脂)、ポリエチレンを加え、再び200℃〜220℃で同様に混練、冷却、粉砕を行い、単軸押出し機で180℃〜200℃で造粒したペレットを使用する。
【0037】
《内層用材料》
内層の材料として、エーテル系のウレタンエラストマー樹脂100質量部、カーボンブラック1を15〜18質量部、導電性酸化チタン20部、酸化マグネシウム10質量部、ステアリン酸カルシウム1質量部を加圧式ニーダーで160〜200℃で混練、冷却、粉砕を行い、単軸押出し機で160℃〜210℃で造粒したペレットを使用する。
【0038】
《共押出し装置》
次に、本発明に用いる共押出し装置を図2により説明する。成形に用いるダイス4には、空気導入用の中央通孔5の周囲に内外二重の環状の押出し流路6、7が設けられており、内側流路6に第1押出機8から機能性複層膜を構成する内層用エラストマーを、また外側流路7に第2押出機9から機能性複層膜を構成する外層用エラストマーをそれぞれ加圧注入し、内層3(i)と外層3(o)を重ね合わせ一体化した機能性複層膜のチューブ3を押し出しながら、その外周に設けた水冷リング10にて冷却し、これをチューブ送り装置により引っ張り、所定長さに順次切断し、帯電ローラ用の機能性複層膜として、次工程にて芯金1を有する発泡弾性体層に被覆する。図2中、21はチューブの引取り装置である。
【0039】
本発明の金型は内層、外層ともに樹脂合流点が一つであり、かつ、外層用のマンドレルのマニホールドが無い構造になっている。外層材の最小流路幅は1.0mmであり、ダイはφ18.0mm、ポイントはφ16.5mmを使用し、それぞれハードクロムでメッキ処理されている。
【0040】
成形温度はダイの温度を155℃とし、外層が100±10μm、内層が400±20μmの肉厚になるようにスクリュー回転数を設定し、チューブ内径がピンゲージでφ11.10mmになるように引取り速度を2.90〜3.20m/minの範囲で調整してチューブを成形した。
【0041】
《ウエルド評価》
押出し成形したチューブの外層のウエルドの状態を目視状態で5段階評価し、ウエルドが見えないものを5点、うっすら見える程度のものを4点、通常レベルに見えるものを3点、線が深みを増してきたものを2点、線がギザギザにキズ状になったものを1点と評点した。2点以下ではウエルド部の電気抵抗が顕著に高抵抗になるとともに、手で触れた状態でもウエルドの存在を検知できるレベルである。
【0042】
前述した成形条件で連続15時間成形し、1.5時間毎にチューブの外層のウエルドの状態を評価した結果を図3に示す。従来の金型では成形時間とともにウエルドが悪化したが、本発明の金型を使用する限り、ウエルドの悪化は無かった。また、実験後、金型を分解清掃した際の状態をみると、従来の金型では外層樹脂が合流する部分でウエルドが発生しているのに対して(図4)、本発明の金型では外層樹脂の合流部にウエルドが発生している様子は見られなかった(図5)。
【0043】
《周ムラ》
芯金に発泡導電性ゴムを配した基層ローラに、前述のとおり成形したチューブを被覆して半導電性ローラを作製し、そのローラの電気抵抗値の周ムラ(DC−200V、AC500Vp-p、300Hz印加時の最大値と最小値の比)を比較した結果を図6に示す。本発明のチューブは周ムラが初期から成形15時間後まで変わらず良好な値となった。
【0044】
《フィッシュアイ》
表1に示すように、30cmに切断したチューブ50本について外層に発生したフィッシュアイをφ0.7mm以上の大きさで判定したところ、フィッシュアイが減る効果が得られた。
【0045】
《比較例》
本発明で行った実験で使用した従来の金型構造と本発明の金型構造の違いを表1に示す。比較例においては、従来の金型構造の方がウエルドも悪く、周むら、フィッシュアイも良くない結果であった。
【0046】
《補足》
なお、本発明における外層材最小流路幅が、設計の機能性複層膜の厚みに近く設定するほど、圧力条件が厳しくなり、又、形成される膜の膜厚精度、表面状態が悪くなり、その利用限度は機能性複層膜の厚みであった。本発明の説明では、該最小流路幅が広げられる有効範囲を示した。
【0047】
【表1】
Figure 0004033326
【0048】
【発明の効果】
本発明の帯電部材用被覆チューブの押出し成形金型及びそれを用いた帯電部材用被覆チューブの製造方法により、ウエルドラインの生じないチューブを得ることができた。また、ウェルドラインを無くす加工に伴い周むらもよくなり、さらには、フィッシュアイも減少させることが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金型構造(マンドレル構造概略図)概略図である。1−5から1−10へ通ずる点線で示したマニホールド部位の無い構造が本発明の構造である。
【図2】本発明に用いられる押出し成形機の概略図である。
【図3】金型違いによるウエルドの評価結果を示す図である。
【図4】従来金型の使用後の金型内部の様子を示す図である。
【図5】本発明金型の使用後の金型内部の様子を示す図である。
【図6】金型違いによる周ムラ評価を示す図である。
【符号の説明】
1−1 外層マンドレル
1−2 内層マンドレル
1−3 外套
1−4 ポイント
1−5 外層マンドレルマニホールド(入り)
1−6 内層マンドレルマニホールド(入り)
1−7 外層流路幅の最小部分
1−8 内層材流路
1−9 外層材流路
1−10 外層マンドレルマニホールド(合流)
1−11 内層マンドレルマニホールド(合流)
1−12 ダイ
3 機能性複層チューブ
3(i) 内層チューブ
3(o) 外層チューブ
4 ダイス
5 中央通孔
6 押し出し流路
7 押し出し流路
8 第1押し出機
9 第2押し出機
10 水冷リング
21 チューブ引取り装置部

Claims (2)

  1. 複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブを重力方向に押出し成形する金型において、該金型内の樹脂合流点が金型の材料の樹脂の入り部位から180°対向にある1つのみであり、該金型の外筒と外層マンドレルとで形成される外層材流路の幅は、該入り部位から該外層材流路の幅の最小部分にかけて狭くなっており、複数層の外層の該外層材流路の幅の最小部分を該複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブの膜厚以上、且つ従来の金型の外層材最小流路幅1.5mmの2/3以下にした金型で、かつ、該複数層の外層用チューブの外層マンドレルマニホールドを有さず、内層用チューブの内層マンドレルマニホールドを有することを特徴とする帯電ローラ用被覆チューブの押出し成形金型。
  2. 弾性体に複数層のシームレスな小径薄肉の被覆チューブを被覆して帯電ローラを構成するための被覆チューブを製造する方法において、更に重力方向にチューブを押出しする工程、空冷工程、水冷サイジング工程、チューブ引取り工程及び、チューブ切断工程から成り、該押出し工程で押出し金型内の樹脂合流点が金型の材料の樹脂の入り部位から180°対向にある1つのみであり、該金型の外筒と外層マンドレルとで形成される外層材流路の幅は、該入り部位から該外層材流路の幅の最小部分にかけて狭くなっており、複数層の外層の該外層材流路の幅の最小部分を該複数層のシームレスな小径薄肉の帯電ローラ用被覆チューブの膜厚以上、且つ従来の金型の外層材最小流路幅1.5mmの2/3以下にした金型で、かつ、該複数層の外層用チューブの外層マンドレルマニホールドを有さず、内層用チューブの内層マンドレルマニホールドを有する金型を用いることを特徴とする帯電ローラ用被覆チューブの製造方法。
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