JP4032901B2 - ボールねじ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業機械や自動車部品などに用いられるボールねじに関し、特に、内部循環式のボールねじに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車部品などに使用されるボールねじは、一般に、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の外径より大きい内径を有するナットとを備えており、例えばナットを回転不能とした状態でねじ軸を回転させると、ねじ軸とナットとの間に転動自在に組み込まれた多数のボールがねじ軸の外周面及びナットの内周面に相対向して形成されたボールねじ溝間を転動し、これに伴ってナットがねじ軸の軸方向に直線運動するようになっている。
【0003】
このようなボールねじのナットをねじ軸の全長にわたって直線運動させるためには、前述したボールを無限循環させる必要があり、そこで従来のボールねじでは、ボールを無限循環させる部品として、例えば特許文献1に開示されているようなボール循環コマを用い、このボール循環コマをナットに組み付けてボールを無限循環させている。
【0004】
【特許文献1】
特公昭55−21225号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したボールねじにあっては、ナットとは別部品としてのボール循環コマを必要とするだけでなく、ボール循環コマを装着するための循環コマ装着孔をナットに加工する必要があるため、部品コストや加工コストの上昇を招くという問題があった。そこで、このような問題を解決すべく、本願出願人は、ナットの内周面に該ナットの内径方向に突出する円弧状の案内突起を設け、この案内突起にねじ軸の外径部を乗り越えてボールを循環させるボール循環溝を設けた内部循環式ボールねじを先に出願した(特願2002−111891号明細書参照)。
【0006】
このような内部循環式ボールねじによると、ボール循環コマを組み込むための循環コマ装着孔をナットに設ける必要がないので、部品コストや加工コストの上昇を抑えることができる。しかしながら、ナットの内周面に案内突起を設けると、ナットの旋削加工とは別に案内突起をナットの内周面に加工しなければならないため、案内突起の加工に多くの手間と費用を要し、コスト高になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、コストの大幅な上昇を招くことなくボールをナットの内部で循環させることのできるボールねじを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の外径より大きい内径を有し前記ボールねじ溝に対応するボールねじ溝を内周面に形成してなるナットと、前記ねじ軸またはナットの相対的な回転運動により前記ねじ軸及びナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじにおいて、前記ボールねじ溝間を転動するボールを前記ねじ軸の外径部を乗り越えて循環させるボール循環溝を前記ナットの内周面に設けるとともに、前記ナットのボールねじ溝と前記ボール循環溝との接続部に、前記ナットのボールねじ溝より深い逃げ溝を前記ボールねじ溝のリード角に沿って設けたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によると、ねじ軸及びナットのボールねじ溝間を転動するボールはボール循環部に設けられたボール循環溝を通って無限循環する。したがって、ボールを無限循環させるために、ナットに別部品としてのボール循環コマを組み付けたり、ボール循環コマを装着するための循環コマ装着孔をナットに形成したりする必要がないので、ボールねじのコストを低減することができる。また、ボール循環部をナットと同軸に円環状に形成したことにより、ナットとボール循環部の成形加工を同時に行うことが可能となるので、より一層のコストの低減を図ることができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載のボールねじにおいて、前記ボールねじ溝および前記ボール循環溝の形成されている部分のナット内周面を前記ねじ軸の外径より大きく且つ前記ボールのピッチ円径より小さい内径のナット内周面としたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るボールねじの軸方向断面図、図2は図1のII−II線に沿う矢視断面図であり、これらの図に示されるように、本発明の一実施形態に係るボールねじ10は、ねじ軸11と、このねじ軸11の外径より大きい内径を有するナット12と、このナット12とねじ軸11との間に組み込まれた多数のボール13とを備えている。
【0013】
ねじ軸11は軸方向に貫通する中空孔20を中心部に有しており、この中空孔20には図示しないシャフト等が挿入されるようになっている。また、ねじ軸11は軸方向と直交する断面が円形に形成されており、このねじ軸11の外周面には、ボールねじ溝14がねじ軸11の一端から他端にかけて形成されている。
一方、ナット12の内周面には、1リードのボールねじ溝15がねじ軸11のボールねじ溝14に対応して形成されている。これらのボールねじ溝14,15は互いに対向しており、ねじ軸11またはナット12の一方が軸芯回りに回転するとボール13がボールねじ溝14,15間を転動するようになっている。なお、ナット12の図中左側端面部にはベアリング取付孔21が形成されており、このベアリング取付孔21には、ねじ軸11の中空孔20内を挿通するシャフトを支持するベアリングが装着されるようになっている。
【0014】
図3はナット12の軸方向断面図であり、同図に示されるように、ナット12には、ボールねじ溝14,15間を転動するボール13を無限循環させるための円環状のボール循環部16が一体に形成されている。このボール循環部16はねじ軸11の外径より大きく且つボール13のピッチ円直径dm(図2参照)より小さい内径を有しており、ナット12の中心軸線CLと同軸に設けられている。
【0015】
また、ボール循環部16はナット12の内周面に形成されたボールねじ溝15の少なくとも1リード分の軸方向長さLを有しており、このボール循環部16の内周面には、ボールねじ溝14,15間を転動するボール13をねじ軸11の外径部11a(図1参照)を乗り越えて循環させるS字状のボール循環溝17が形成されている。
【0016】
図4は、図3のIV−IV線に沿う矢視断面図である。同図に示すように、ナット12の内周面に形成されたボールねじ溝15は研削砥石18により研削仕上げ加工されており、ボールねじ溝15とボール循環溝17との接続部には、研削砥石18との干渉を防ぐ逃げ溝19が形成されている。
このような構成において、ナット12を回転不能に固定した状態でねじ軸11を軸芯回りに回転させると、ボール13がねじ軸11とナット12のボールねじ溝14,15間を転動し、これに伴ってナット12が軸方向に移動する。このとき、ボールねじ溝14,15間を転動したボール13はボール循環部16の内周面に形成されたボール循環溝17を通って無限循環する。したがって、前述した従来例のように、ナットに別部品としてのボール循環コマを組み付けたり、ボール循環コマを装着するための循環コマ装着孔をナットに形成したりする必要がないので、ボールねじのコストを低減することができる。
【0017】
また、上述した実施形態のように、ボール循環部16をナット12と同軸に円環状に形成したことにより、図5に示すようなボール循環部16をナット12に設けた場合のように、ナット12の成形加工とボール循環部16の成形加工とを別々に行わなくも良く、ナットとボール循環部の成形加工を同時に行うことが可能となるので、より一層のコストの低減を図ることができる。
【0018】
さらに、上述した実施形態のように、研削砥石18との干渉を防ぐ逃げ溝19をボールねじ溝15とボール循環溝17との接続部に設けると、ボールねじ溝15を研削仕上げ加工するときに研削砥石がボール循環溝17と干渉しなくなるので、ボールねじ溝15の研削仕上げ加工を精度良く行うことができる。
なお、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が実施可能であることは勿論である。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、ナットに別部品としてのボール循環コマを組み付けたり、ボール循環コマを装着するための循環コマ装着孔をナットに形成したりする必要がないので、ボールねじの部品コストや加工コストの低減を図ることができる。また、ナットとボール循環部の成形加工を同時に行うことが可能となるので、より一層のコストの低減を図ることができる。
【0020】
また、請求項1の発明によれば、ナットの内周面に形成されたボールねじ溝を研削仕上げするときに研削砥石がボール循環溝と干渉しなくなるので、ボールねじ溝の研削仕上げ加工を精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るボールねじの軸方向に沿う断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う矢視断面図である。
【図3】図1に示すナットの軸方向に沿う断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う矢視断面図である。
【図5】本発明に係るボールねじの作用効果を説明するための図である。
【符号の説明】
11 ねじ軸
12 ナット
13 ボール
14,15 ボールねじ溝
16 ボール循環部
17 ボール循環溝
18 研削砥石
19 逃げ溝
20 中空孔
21 ベアリング取付孔

Claims (2)

  1. 外周面にボールねじ溝を有するねじ軸と、このねじ軸の外径より大きい内径を有し前記ボールねじ溝に対応するボールねじ溝を内周面に形成してなるナットと、前記ねじ軸またはナットの相対的な回転運動により前記ねじ軸及びナットのボールねじ溝間を転動する多数のボールとを備えたボールねじにおいて、
    前記ボールねじ溝間を転動するボールを前記ねじ軸の外径部を乗り越えて循環させるボール循環溝を前記ナットの内周面に設けるとともに、前記ナットのボールねじ溝と前記ボール循環溝との接続部に、前記ナットのボールねじ溝より深い逃げ溝を前記ボールねじ溝のリード角に沿って設けたことを特徴とするボールねじ。
  2. 請求項1記載のボールねじにおいて、前記ボールねじ溝および前記ボール循環溝の形成されている部分のナット内周面を前記ねじ軸の外径より大きく且つ前記ボールのピッチ円径より小さい内径のナット内周面としたことを特徴とするボールねじ。
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