JP2003166616A - ボールねじ装置 - Google Patents
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Abstract
動循環させるタイプのボールねじ装置において、ボール
群の転動循環動作を円滑化する。 【解決手段】非回転かつ軸心方向不動のねじ軸3に対し
てナット部材2を回転可能かつ軸心方向移動可能に配置
したボールねじ装置1において、ねじ軸3に約1巻きの
ねじ溝31a,31bを軸方向隣り合わせに2つ設け、
この2つのねじ溝31a,31bをボール循環溝33,
34によりそれぞれ独立した閉ループにしてボール4群
を転動循環させる構造とし、ボール循環溝33,34の
全体を径方向で緩やかに波打つ形状にしたうえで、ねじ
軸3のねじ溝31a,31bとボール循環溝33,34
との連接部分を極端に鋭いエッジのたたない形状にして
いる。これにより、ねじ溝31a,31bとボール循環
溝33,34との間におけるボール4の出入りが円滑に
なる。
Description
せる循環タイプのボールねじ装置に関する。
とナット部材との伸縮動作に関係なく、それらの各ねじ
溝内に介装されるボール群の抜け出しを防止するため
に、ねじ軸のねじ溝とナット部材のねじ溝とで形成する
ボール通路の両端を連通連結して閉ループとし、ボール
群を前記閉ループ内で転動循環させることが考えられて
いる。
ターンチューブや、循環こまなどが用いられるが、以下
では、リターンチューブに比べてコンパクトな循環こま
を例に挙げて説明する。
る約1巻きの上流側と下流側とを連通連結させて、前記
ねじ溝の下流のボール群をねじ山(ランド部)を乗り越
えさせて上流へ戻すものであり、例えばナット部材に径
方向に貫通形成される貫通孔に対して嵌入された状態で
接着剤にて固定される。
約1巻きの下流側から上流側へねじ山(ランド部)を乗
り越えさせて戻すように蛇行した形状のボール循環溝が
設けられている。
こまという外付け部品を用いる必要があるとともに、循
環こま取付用の貫通孔をナット部材に設ける必要がある
ために、コストが嵩む結果になっている。
をそれぞれ閉ループにする場合、2つの循環こまを用い
る必要があり、循環こまそのものの部品コスト、循環こ
ま取付用の貫通孔の加工コスト、取り付けコストなどが
さらに嵩むことが指摘される。しかも、循環こまをナッ
ト部材の貫通孔に対してそれぞれ取り付けるときに、ボ
ール循環溝とねじ溝との連接部分を高精度に位置合わせ
するために、極めて面倒で手間のかかる位置決め作業が
必要になるが、それを2度も行わなければならないな
ど、製造コストが嵩む他、万一の位置ずれが起こりうる
など品質低下をもたらす原因にもなる。
明した循環こまを用いずに、例えばねじ軸に例えば約1
巻きのねじ溝を軸心方向隣り合わせに2つ設けるととも
に、この2つのねじ溝の個々をそれぞれ独立した閉ルー
プとするボール循環溝を設けており、この2つの独立し
た閉ループ内でボール群を転動循環させる構造を提案し
ている。このような構造について、さらなる研究を進め
ている過程において、ボールの転動循環を円滑にするう
えで、改良の余地があることを見出した。
とナット部材との重合領域でボールを転動循環させるタ
イプのボールねじ装置において、ボール群の転動循環動
作を円滑化することを目的としている。
は、請求項1に示すように、ナット部材の内周面に設け
られるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との
間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸
との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに
変換させたりする構成であって、前記ねじ軸に、約1巻
きのねじ溝が少なくとも1つ設けられているとともに、
この約1巻きのねじ溝の下流と上流とを連通連結して閉
ループとするためのボール循環溝が設けられており、前
記ボール循環溝は、そのボール転動方向中間領域で径方
向内側に沈み込むように湾曲し、また、ボール転動方向
両端側領域で径方向外側に膨らむように湾曲した形状と
されており、さらに、前記ボール循環溝のボール転動方
向両端側領域を転動するボールの中心の軌跡と、前記ね
じ軸のねじ溝を転動するボールの中心の軌跡とが、所定
の角度をもって交差されている。
すように、ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とね
じ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボール
が介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを
推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする
構成であって、前記ナット部材とねじ軸とを最大に引き
離した最大伸張状態で軸心方向所定長さの重合領域が確
保されていて、前記ねじ軸の前記重合領域の外周面に約
1巻きのねじ溝が2つまたはそれ以上設けられていると
ともに、当該ねじ溝個々の下流と上流とを個別に連通連
結して閉ループとするためのボール循環溝が前記ねじ溝
と同数設けられており、前記ボール循環溝は、そのボー
ル転動方向中間領域で径方向内側に沈み込むように湾曲
し、また、ボール転動方向両端側領域で径方向外側に膨
らむように湾曲した形状とされており、さらに、前記ボ
ール循環溝のボール転動方向両端側領域を転動するボー
ルの中心の軌跡と、前記ねじ軸のねじ溝を転動するボー
ルの中心の軌跡とが、所定の角度をもって交差されてい
る。
すように、上記請求項1または2において、前記。
すように、上記請求項2または3において、前記複数の
ボール循環溝が、ほぼ同一位相にかつ軸心方向で隣り合
わせに配設されている。
すように、上記請求項1から4のいずれかにおいて、前
記転動方向に隣り合う各ボールを離隔させた状態で回転
可能に保持する保持器リングを有し、この保持器リング
が、前記ねじ軸に対して軸心方向に位置決めされた状態
で相対回転可能に取り付けられている。
「約」とは、後の実施形態の説明に引用する図面に示す
ように、1巻きに満たないということを表している。
設けた約1巻きのねじ溝を閉ループとするにあたって、
従来例で説明した循環こまの替わりに、ねじ軸のねじ山
にボール循環溝を設けることにより、従来例に比べて製
造コストを低減できるようにした構造を前提にして、ボ
ール循環溝の全体を径方向で緩やかに波打つ形状にする
とともに、ねじ軸のねじ溝とボール循環溝との連接部分
を極端に鋭いエッジのたたない形状にしている。これに
より、ねじ軸のねじ溝とボール循環溝との間をボールが
出入りする過程においてボールの径方向での変位量が小
さく抑えられるとともに、ボール循環溝からねじ溝、ね
じ溝からボール循環溝へのボールの運動ベクトル方向に
特異点がないため、それぞれの遷移点にてボールの衝突
現象が発生せずに済み、ねじ軸のねじ溝とボール循環溝
との間でボールが円滑に出入りするようになる。
異なり、ねじ軸に対して約1巻きのねじ溝を2つまたは
それ以上設けて、当該ねじ溝をそれと同数のボール循環
溝でもって個別の独立した閉ループとする構成を特定し
ているから、上記請求項1と同様の作用に加えて、ボー
ルが必ずナット部材とねじ軸との重合領域に存在するこ
とになり、ボール抜け出しを確実に阻止できるようにな
る。
たは2の構成を前提にして、ねじ軸のねじ溝とボール循
環溝との交差角度を特定したものであり、上記請求項1
または2の作用が確実に得られるようになる。
たは3の構成を前提にして、ボール循環溝をほぼ同一位
相にかつ軸心方向で隣り合わせに配置しているから、例
えば複数巻きのねじ溝を軸心方向に詰めて配置できるよ
うになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえで有
利となる。
ら4のいずれかの構成を前提にして、保持器リングでも
ってボール個々の干渉を防ぐようにしているから、ボー
ルの挙動を安定化する。
実施形態を参照して詳細に説明する。
ている。図1は、ボールねじ装置の縦断面図、図2は、
ボールねじ装置の分解斜視図、図3は、図1のボール循
環経路を模式的に示す側面図、図4は、図3のボール循
環経路の正面図、図5は、ねじ軸のボール循環溝を展開
して示す平面図、図6は、図5のボール循環溝の断面図
である。
2と、ねじ軸3と、複数のボール4とを備えており、ナ
ット部材2とねじ軸3との対向面間でボール4群を循環
させるようになっている。
軸端まで連続する1本のねじ溝21が形成されている。
また、ねじ軸3には、軸心方向途中領域に互いに独立し
た2つのねじ溝31a,31bが軸方向隣り合わせに形
成されている。このねじ溝31a,31bは、それぞれ
1巻きに満たない長さになっている。これらナット部材
2のねじ溝21とねじ軸3のねじ溝31a,31bと
は、互いに同じリード角に設定されている。これら両ね
じ溝21,31a,31bの断面形状は、ゴシックアー
ク形状とされているが、半円形状とすることもできる。
つのねじ溝31a,31bの間に存在するねじ山(ラン
ド部)32には、2つのねじ溝31a,31bを個別に
閉ループとするボール循環溝33,34が設けられてい
る。この2つのボール循環溝33,34は、それぞれ、
2つのねじ溝31a,31bの上流側と下流側とを個別
に連通連結するものであり、2つのねじ溝31a,31
bの下流のボール4群を内径側へ沈みこませてナット部
材2のねじ山(ランド部)22を乗り越えさせて上流へ
戻すように蛇行した形状になっている。つまり、前記閉
ループにした2つのねじ溝31a,31b内に配置され
るボール4群がそれぞれ独立して転動循環されるように
なっている。この2つのボール循環溝33,34の断面
形状は、半円形状とされているが、ゴシックアーク形状
とすることもできる。
は、それぞれ周溝が設けられており、この2つの周溝に
対して止め輪7がそれぞれ係合されている。この止め輪
7の外径寸法は、ナット部材2の内径寸法よりも大きく
設定されており、この止め輪7でもってナット部材2の
軸方向移動ストロークを制限するようになっている。
在に支持され、上記ねじ軸3は、非回転かつ軸心方向不
動に取り付けられている。そして、上記ナット部材2を
回転させると、このナット部材2が、図1の二点鎖線で
示すように2つの止め輪7の間でねじ軸3上を軸方向に
スライドすることになる。
1bとボール循環溝33,34との間におけるボール4
の出入りを円滑にするために、ボール循環溝33,34
の形状や、ねじ軸3のねじ溝31a,31bとボール循
環溝33,34との連接部分の形状を工夫している。
ル循環溝33,34との間におけるボール4の出入りを
円滑にすることだけに着目すると、ボール循環溝33,
34の円周方向での長さ、つまり図4に示す占有角度θ
を大きくすればよい。しかし、ボール循環溝33,34
に位置するボール4は、スラスト荷重やラジアル荷重を
受けることができないので、ボール循環溝33,34の
円周方向での長さ、つまり図4に示す占有角度θを小さ
くするのが好ましい。このような点を考慮して、ボール
循環溝33,34を設計する必要がある。
形状について、そこを転動するボール4の中心の軌跡C
で説明する。
0度に設定する。この角度αとは、ねじ軸3の回転軸線
Oに対して、ボール循環溝33,34のボール転動方向
中間領域を転動するボール4の中心の軌跡Cの傾き角の
ことである。
値)すればする程、ボール循環溝33,34の周方向で
の長さが長くなり、これに対応して図4に示す占有角度
θが大きくなるので、ボール4に作用する転がり抵抗が
小さくなってボール4の動作円滑性が向上する反面、ス
ラスト荷重やラジアル荷重などを負担する容量、つまり
負荷容量が低下してしまう。これとは逆に、傾き角αを
小さく(45度未満の値)すればする程、ボール循環溝
33,34の占有角度θが小さくなるので、負荷容量が
向上する反面、ボール4に作用する転がり抵抗が大きく
なってボール4の動作円滑性が低下してしまう。
ル4の動作円滑性が向上するが、ボール循環溝33,3
4の占有角度θが大きくなって負荷容量が低減すること
を考慮して、上述したように傾き角αを可及的に小さく
する方向で上記範囲内に規定することによって、ボール
循環溝33,34の占有角度θを可及的に小さくして、
負荷容量を高めるようにしている。
1bとボール循環溝33,34とを可及的に緩やかに連
接する。つまり、図5に示すように、ねじ軸3のねじ溝
31a,31bとボール循環溝33,34との連接部分
を転動するボール4の中心の軌跡Cを、ボール4の直径
rに対して1.8倍以上の曲率半径Rに設定された曲線
にする。
溝33,34に入るときや、ボール循環溝33,34か
ら出るときの方向転換過程において、ボール4に作用す
る転がり抵抗を可及的に小さくすることができる。その
ため、ボール4が軸心方向で蛇行して転がる動作を滑ら
かにできるようになって、耐摩耗性の向上にも貢献でき
る。
3,34は、そのボール4の転動方向の中間領域を径方
向で沈み込むように湾曲した形状(凹曲形状)に、ま
た、ボール転動方向の両端側領域で径方向外側に膨らむ
ように湾曲した形状(凸曲形状)になっているが、この
ボール循環溝33,34のボール転動方向両端側領域を
転動するボール4の中心の軌跡Cと、ねじ軸3のねじ溝
31a,31bを転動するボール4の中心の軌跡Cと
が、所定の角度βをもって交差されている。
に、0度よりも大きく、30度以下、好ましくは20度
以下に設定する。この角度βは、第1接線Yと第2接線
Zとの交差角度のことである。第1接線Yは、ねじ溝3
1a,31bを転動するボール4の中心の軌跡Cで作る
大円弧R1に関して、ボール循環溝33,34の両端部
分を転動するボール4の中心の軌跡Cで作る小円弧R2
との交点Kで得ている。また、第2接線Zは、上記小円
弧R2に関して上記交点Kで得ている。
交点Kを通る直線G上に、上記小円弧R2の曲率中心P
2を配置すれば、上記交差角度βが0度になる。
囲に設定していれば、ねじ軸3のねじ溝31a,31b
とボール循環溝33,34との間をボール4が出入りす
る過程においてボール4の径方向での変位量を小さくす
ることができるので、ボール4の出入りが円滑になる。
大きく設定すると、ボール循環溝33,34とねじ溝3
1a,31bとの連接部分の勾配が急峻になり、ボール
4がボール循環溝33,34を転動する過程においてボ
ール4の径方向での変位量が大きくなるので、好ましく
ない。しかも、前記ねじ軸3は、ボール循環溝33,3
4とねじ軸3のねじ溝31a,31bを形成してから焼
入れして、研磨仕上げまたは研削仕上げするのである
が、特に、研磨工程では下記するような点で好ましくな
い。そもそも、上記研磨工程では、研磨工具をねじ軸3
のねじ溝31a,31bに接触させた状態でねじ軸3を
回転させるようにするので、研磨工具が、ねじ軸3のね
じ溝31a,31bに接するものの、ボール循環溝3
3,34に接触しない状態になるから、ボール循環溝3
3,34を研磨できなくなる。このような事情により、
上記交差角度βを30度よりも大きく設定した場合に
は、ねじ溝31a,31bとボール循環溝33,34と
の連接部分の頂部が先鋭に尖ってしまう。しかし、交差
角度βを30度以下に設定すれば、ボール循環溝33,
34とねじ軸3のねじ溝31a,31bとの連接部分の
頂部が極力先鋭に尖らないようにできる。要するに、交
差角度βは、上記研磨工程で、ボール循環溝33,34
とねじ軸3のねじ溝31a,31bとの連接部分に極端
に鋭いエッジを作らないための条件にもなる。
ボール循環溝33,34の占有角度θ、つまり荷重を負
担できない領域を可及的に小さくすることにより、負荷
容量を可及的に高めるようにしたうえで、ボール循環溝
33,34を転動するボール4に作用する転がり抵抗を
可及的に小さくすることにより、ボール4の転がりを可
及的に滑らかにさせるようにしている。これにより、ボ
ールねじ装置において、負荷容量と動作円滑性をバラン
スよく両立させることができる。
している。図7は、ボールねじ装置の縦断面図、図8
は、図7の状態からナット部材を軸心方向一方へ移動さ
せた状態を示す縦断面図、図9は、図7のボールねじ装
置の分解斜視図、図10は、図7のボールねじ装置にお
いて一部を断面にした平面図、図11は、図10の(1
1)−(11)線断面の矢視図、図12は、図7のボー
ル循環経路を模式的に示す側面図、図13は、図7のボ
ール循環経路の正面図である。
2と、ねじ軸3と、複数のボール4と、保持器リング5
とを備えており、ナット部材2とねじ軸3との対向面間
でボール4群を循環させるようになっている。
軸端まで連続する1本のねじ溝21が形成されている。
また、ねじ軸3には、軸心方向途中領域に互いに独立し
た2つのねじ溝31a,31bが軸方向隣り合わせに形
成されている。このねじ溝31a,31bは、それぞれ
1巻きよりも短い長さ、つまり約1巻きの長さになって
いる。これらナット部材2のねじ溝21とねじ軸3のね
じ溝31a,31bとは、互いに同じリード角に設定さ
れており、これら両ねじ溝21,31a,31bの断面
形状は、ゴシックアーク形状とされているが、半円形状
とすることもできる。
2とねじ軸3とを最大に引き離した最大伸張状態で軸心
方向所定長さの重合領域を確保して、ねじ軸3における
前記重合領域の外周面にそれぞれ約1巻きのねじ溝31
a,31bを軸方向隣り合わせに2つ設けており、この
ねじ溝31a,31b個々の下流と上流とをボール循環
溝33,34で個別に連通連結して閉ループとし、この
閉ループにした2つのねじ溝31a,31b内に配置さ
れるボール4群をそれぞれ独立して転動循環させるよう
にしている。
2つのねじ溝31a,31bの間に存在するねじ山(ラ
ンド部)32には、2つのねじ溝31a,31bを個別
に閉ループとするボール循環溝33,34が設けられて
いる。この2つのボール循環溝33,34は、それぞ
れ、2つのねじ溝31a,31bの上流側と下流側とを
個別に連通連結するものであり、2つのねじ溝31a,
31bの下流のボール4群を内径側へ沈みこませてナッ
ト部材2のねじ山(ランド部)22を乗り越えさせて上
流へ戻すように蛇行した形状になっている。この2つの
ボール循環溝33,34の断面形状は、ゴシックアーク
形状とされているが、半円形状とすることもできる。
れを円周等間隔に離隔配置して回転可能に保持するもの
である。この保持器リング5は、薄肉の円筒部材からな
り、その円周数ヶ所には、軸心方向に沿う長孔形状のボ
ールポケット51が設けられており、このボールポケッ
ト51に対してそれぞれ2つずつボール4が収納され
る。しかも、ボールポケット51の径方向内外での開口
寸法は、ボール4の直径よりも大に設定されており、ボ
ール4が径方向内外に余裕をもって通るようになってい
る。
外径側に対して軸心方向でほぼ不動に位置決めされた状
態で、かつ相対回転可能な状態で取り付けられている。
そのために、ねじ軸3の自由端側に縮径部35を、ま
た、保持器リング5の一端に径方向内向きのフランジ5
2をそれぞれ設け、ねじ軸3の縮径部35に対して保持
器リング5のフランジ52をはめ込み、さらにねじ軸3
の縮径部35に設けてある周溝に対して止め輪7を係合
させている。但し、止め輪7は、ねじ軸3の縮径部35
とねじ溝21の形成部分との境にできる段壁面36から
離れた位置に取り付けられていて、これら止め輪7と段
壁面36との間に対して保持器リング5のフランジ52
が軸心方向に若干の遊びを持つ状態で配置されている。
これにより、保持器リング5が、ねじ軸3に対して軸心
方向ほぼ不動で、相対回転が許容される状態になる。
回転案内されるようになっている。そのために、図7に
示すように、保持器リング5とねじ軸3との間の内径隙
間X1を、保持器リング5とナット部材2との間の外径
隙間X2よりも小さく設定している。ちなみに、内径隙
間X1は、例えば0.1〜0.4mmに設定するのが好
ましい。なお、保持器リング5のガイドとするねじ軸3
の外周面は、通常、真円度0.1、面粗さ1.6Raに
加工されている。
に対して一体的に結合されている。このブラケット8
は、図示しないモータなどの回転動力源が減速歯車を介
して噛合されるとともに、図示しない転がり軸受を介し
て前記ねじ軸3の中心孔に挿通される図示しない支軸に
対して回転自在に支持される。また、上記ねじ軸3は、
図示しないケースなどの固定部分に対して非回転かつ軸
心方向不動に取り付けられ、このねじ軸3に対して上記
ナット部材2が回転可能かつ軸心方向移動可能に配置さ
れる。
逆向きコ字形の金属材で形成されている。つまり、この
ブラケット8は、径方向内外に同心状に設けられる内筒
部81および外筒部82の軸心方向一端側を連接した形
状である。内筒部81は、ねじ軸3の中心孔内に非接触
状態で配置されて上記支軸に対して転がり軸受を介して
支持される。また、外筒部82は、ナット部材2の軸心
方向一端側の領域外周に一体的に嵌合されており、図9
に示すように、外筒部82の付け根側の内周面に設けら
れるセレーション83とナット部材2の嵌入方向奥側の
外周面に設けられるセレーション23とを嵌合すること
により、ブラケット8とナット部材2とを周方向で一体
的に結合するようになっている。この外筒部82の外周
面には、樹脂製のギヤ9が一体に成形されている。
34の形状や、ねじ軸3のねじ溝31a,31bとボー
ル循環溝33,34との連接部分の形状を、上記実施形
態1と同様に、ボール循環溝33,34の占有角度θ、
つまり荷重を負担できない領域を可及的に小さくするこ
とにより、負荷容量を可及的に高めるようにしたうえ
で、ボール循環溝33,34を転動するボール4に作用
する転がり抵抗を可及的に小さくすることにより、ボー
ル4の転がりを可及的に滑らかにさせるようにしてい
る。これにより、ボールねじ装置1において、負荷容量
と動作円滑性をバランスよく両立させることができる。
み立て手順について、説明する。まず、ねじ軸3に対し
て保持器リング5を取り付けてから、保持器リング5の
ボールポケット51に対して、それを埋め尽くす状態に
グリースを塗布しておいて、このボールポケット51に
対して必要数のボール4を入れる。ここでのグリース
は、ボール4が自重落下しない粘性を有するものとさ
れ、このグリースでもってボール4がボールポケット5
1内に保持される。このようにしてから、保持器リング
5をねじ軸3に対して回さないようにした状態で、ナッ
ト部材2に組み込む。
説明する。まず、図示しないモータを駆動することによ
りブラケット8およびナット部材2を回転させると、こ
のナット部材2自身が回転しながらねじ軸3に沿って軸
心方向一方へ向けて直線的に移動させられることによっ
て、例えば図7に示す状態から図8に示す状態になる。
一方、上記モータを前記と逆回転方向に駆動すると、ナ
ット部材2が前述と逆向きに回転しながら軸心方向他方
へ向けて移動させられることによって、例えば図8に示
す状態から図7に示す状態になる。
復移動させることにより、ナット部材2とねじ軸3とが
軸心方向で重合する範囲が大小変化するが、ねじ軸3に
おいてボール循環溝33,34により個別に閉ループと
したねじ軸3の2巻きのねじ溝31a,31b内でそれ
ぞれボール群4が保持器リング5にガイドされながら転
動循環することにより、ナット部材2の螺旋運動が円滑
にガイドされるとともに、ナット部材2が所定の移動ス
トローク範囲を往復移動する過程において、ボール4が
抜け出す現象を確実に防止できるようになる。
ング5を、高精度に加工されたねじ軸3の外周面でもっ
て回転案内させる形態にしているから、ナット部材2を
軸心方向に往復移動させる過程において、保持器リング
5そのものの回転振れを抑制することができるととも
に、保持器リング5がボール4に対して干渉することを
回避させることができて、ボール4が滑って進み遅れす
る現象が発生しにくくなるなど、ボール4の挙動やナッ
ト部材2の動作円滑化に大きく貢献できるようになる。
循環溝33,34そのものの形状や、ボール循環溝3
3,34とねじ溝31a,31bとの連接部分の形状を
工夫しているから、ねじ軸3のねじ溝31a,31bと
ボール循環溝33,34との間におけるボール4の出入
りが円滑となり、ナット部材2の動作円滑化に大きく貢
献できるようになる。
うに、2つのボール循環溝33,34をほぼ同一位相に
かつ軸心方向隣り合わせに設けていれば、ねじ軸3の2
つのねじ溝31a,31bを軸心方向に詰めて配置でき
るようになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえ
で有利となる。但し、この場合、ボール循環溝33,3
4に位置するボール4は、ラジアル荷重やアキシャル荷
重を受けることができないので、2つのボール循環溝3
3,34を周方向および軸心方向で接近して設けると、
円周上の所定角度範囲に荷重無負担領域ができることに
なる。しかしながら、上記実施形態のように、ナット部
材2およびねじ軸3の軸心方向寸法を短くしたうえで外
径寸法を大きく設定していれば、図4や図13に示すよ
うに、円周上においてボール循環溝33,34が存在す
る領域の角度θ範囲が小さくて済むとともにボール循環
溝33,34内に位置するボール4の数が少なくて済む
から、荷重負担能力の低下を抑制できて、実用上支障な
いものとなる。
ようなリターンチューブや循環こまを付設する必要がな
いとともに、ナット部材2に対して、従来周知のエンド
キャップを用いてボール循環を行う構造のように軸方向
に貫通するボール循環通路を形成する必要がないから、
ナット部材2の肉厚を薄くすることができるとともに、
ボールねじ装置1全体の外径寸法を小さくできる点で有
利である。
中の所定長さ範囲にのみ、2つのねじ溝31a,31b
を設けているだけであって、軸方向両端側にねじ溝を設
けていないから、ねじ軸3の軸方向両端側における内径
部分および外径部分の形状を任意に設計できるなど、設
計自由度を高めることができる。例えば図示しないが、
ねじ軸3の軸方向両端側にねじ溝を設けていないから、
ねじ軸3の少なくとも軸方向一端側を十分な強度を確保
したうえで、薄肉にして、軽量化できる。また、例えば
図示しないが、ねじ軸3の少なくとも軸方向一端側の外
径を小径にして、この小径部分をケースなどに支持させ
ることができる。さらに、図示しないが、図1や図7に
示したような止め輪7の替わりに、ねじ軸3の少なくと
も軸方向一端側の外径を大径にしたり、あるいは、ねじ
軸3の軸方向一端側の外径を大径にして、ねじ軸3の軸
方向他端側に上記止め輪7を取り付けるようにしたりす
ることができる。
定されるものではなく、いろいろな応用や変形が考えら
れる。
において、上記実施形態2で示したような保持器リング
5を用いてもよい。
置1において、ねじ軸3に約1巻きのねじ溝31aを1
つ形成し、このねじ溝31aを1つのボール循環溝33
で閉ループとすることができる。この場合、例えば図1
4に示すように、ねじ軸3のねじ溝31aおよびボール
循環溝33の断面形状と、ナット部材2のねじ溝21の
断面形状をゴシックアーク形状とすれば、ボール4がナ
ット部材2のねじ溝21とねじ軸3のねじ溝31aとに
対して4点接触させることができるので、ナット部材2
に対してモーメント荷重が作用したときでもナット部材
2の傾きを抑制できるようになる。また、例えば図15
に示すように、約1巻きのねじ溝31aおよびボール循
環溝33の断面形状を半円形状にする場合には、このね
じ溝31aに対して軸方向で離れた領域で、ナット部材
2とねじ軸3との対向環状空間の少なくとも軸方向一端
側に、メタルや樹脂ブッシュなどの円筒形のすべり軸受
15を介装するのが好ましい。このようにすれば、ナッ
ト部材2に対してモーメント荷重が作用したときでもナ
ット部材2の傾きを抑制できるようになる。
の外周面に対して直接ボール循環溝33,34を形成し
ているが、例えば図16に示すように、ねじ軸3におい
てボール循環溝33,34を形成する領域に凹部38を
設ける一方で、ボール循環溝33,34を形成したブロ
ック11を用意し、このブロック11を前記凹部38に
嵌合装着する形態とすることができる。この場合、ねじ
軸3よりもはるかに小さなブロック11に対してボール
循環溝33,34を形成すればいいから、ねじ軸3の外
周面にボール循環溝33,34を形成する場合に比べ
て、ボール循環溝33,34を得るための加工作業を簡
単に行うことができるようになる。しかも、ボール循環
溝33,34が摩耗あるいは破損したときにはブロック
11のみを交換すればよくなる。なお、上記凹部38は
貫通孔にしてもよい。
は、ナット部材2またはねじ軸3の一方を回転させるこ
とで他方を軸心方向に移動させる使用形態、あるいはナ
ット部材2またはねじ軸3の一方を軸心方向に移動させ
ることで他方を回転させる使用形態にすることができ
る。前者の使用形態については、トルクを推力に変換す
る正効率と言い、後者の使用形態については、推力をト
ルクに変換する逆効率と言う。以下で、正効率での使用
形態に係る4パターン(A−1〜A−4)と、逆効率で
の使用形態に係る4パターン(B−1〜B−4)を説明
する。
に、ナット部材2を回転させながら軸心方向に移動させ
る。この場合、ねじ軸3を非回転かつ軸心方向不動にし
ておいて、ナット部材2を回転駆動させればよい。
心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不
動にする一方で、ナット部材2を非回転にしておいて、
ねじ軸3を回転駆動させればよい。
方向に移動させることができる。この場合、ナット部材
2を非回転かつ軸心方向不動にしておいて、ねじ軸3を
回転駆動させればよい。
向に移動させる。この場合、ねじ軸3を非回転にする一
方で、ナット部材2を軸心方向不動にしておいて、ナッ
ト部材2を回転駆動させればよい。
回転させる。この場合、ナット部材2を軸心方向不動に
する一方で、ねじ軸3を非回転にしておいて、ねじ軸3
を軸心方向に移動させればよい。
させながら回転させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向
不動かつ非回転にしておいて、ナット部材2を軸心方向
に移動させればよい。
させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動にする一方
で、ナット部材2を非回転にしておいて、ナット部材2
を軸心方向に移動させればよい。
ながら回転させる。この場合、ナット部材2を軸心方向
不動かつ非回転にしておいて、ねじ軸3を軸心方向に移
動させればよい。
は、ねじ軸に設けてある少なくとも約1巻きのねじ溝を
閉ループとするにあたって、従来例で説明した循環こま
を用いずに、ねじ軸のねじ山にボール循環溝を設けるこ
とにより、従来例に比べて製造コストを低減できるよう
にした構造を前提にして、ボール循環溝の全体を径方向
で緩やかに波打つ形状にするとともに、ねじ軸のねじ溝
とボール循環溝との連接部分を極端に鋭いエッジのたた
ない形状にしているから、ねじ軸のねじ溝とボール循環
溝との間でボールが円滑に出入りするようになり、ボー
ルの挙動を安定化できて、ナット部材の動作円滑化に大
きく貢献できるようになる。
と異なり、ねじ軸に対して約1巻きのねじ溝を2つまた
はそれ以上設けて、このねじ溝をそれと同数のボール循
環溝でもって個別の独立した閉ループとしている構成を
特定しているから、上記請求項1の効果に加えて、ボー
ルが必ずナット部材とねじ軸との重合領域に存在するこ
とになり、ボール抜け出しを確実に阻止できるようにな
る。
たは2の構成を前提にして、ねじ軸のねじ溝とボール循
環溝との交差角度を特定したものであり、上記請求項1
または2の作用、効果が確実に得られるようになり、好
ましい。
たは3の構成を前提にして、ボール循環溝を軸心方向隣
り合わせでほぼ同一位相に配置しているから、例えば互
いに独立した複数のねじ溝を軸心方向に詰めて配置でき
るようになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえ
で有利となり、コンパクト化に貢献できる。
ら4のいずれかの構成を前提にして、保持器リングでも
ってボール個々の干渉を防ぐようにしているから、ボー
ルが滑って進み遅れする現象が発生しにくくなるなど、
ボールの挙動を安定化する上で有利となる。
断面図
断面図
動させた状態を示す縦断面図
した平面図
Claims (5)
- 【請求項1】ナット部材の内周面に設けられるねじ溝と
ねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボー
ルが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルク
を推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりす
る構成のボールねじ装置であって、 前記ねじ軸に、約1巻きのねじ溝が少なくとも1つ設け
られているとともに、この約1巻きのねじ溝の下流と上
流とを連通連結して閉ループとするためのボール循環溝
が設けられており、 前記ボール循環溝は、そのボール転動方向中間領域で径
方向内側に沈み込むように湾曲し、また、ボール転動方
向両端側領域で径方向外側に膨らむように湾曲した形状
とされており、 さらに、前記ボール循環溝のボール転動方向両端側領域
を転動するボールの中心の軌跡と、前記ねじ軸のねじ溝
を転動するボールの中心の軌跡とが、所定の角度をもっ
て交差されていることを特徴とするボールねじ装置。 - 【請求項2】ナット部材の内周面に設けられるねじ溝と
ねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボー
ルが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルク
を推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりす
る構成のボールねじ装置であって、 前記ナット部材とねじ軸とを最大に引き離した最大伸張
状態で軸心方向所定長さの重合領域が確保されていて、 前記ねじ軸の前記重合領域の外周面に約1巻きのねじ溝
が2つまたはそれ以上設けられているとともに、当該ね
じ溝個々の下流と上流とを個別に連通連結して閉ループ
とするためのボール循環溝が前記ねじ溝と同数設けられ
ており、 前記ボール循環溝は、そのボール転動方向中間領域で径
方向内側に沈み込むように湾曲し、また、ボール転動方
向両端側領域で径方向外側に膨らむように湾曲した形状
とされており、 さらに、前記ボール循環溝のボール転動方向両端側領域
を転動するボールの中心の軌跡と、前記ねじ軸のねじ溝
を転動するボールの中心の軌跡とが、所定の角度をもっ
て交差されていることを特徴とするボールねじ装置。 - 【請求項3】請求項1または2のボールねじ装置におい
て、 前記ねじ溝を転動するボールの中心の軌跡で作る大円弧
に関して前記ボール循環溝の両端側領域を転動するボー
ルの中心の軌跡で作る小円弧との交点で得た第1接線
と、上記小円弧に関して上記交点で得た第2接線との交
差角度が、0度よりも大きく、30度以下に設定されて
いることを特徴とするボールねじ装置。 - 【請求項4】請求項2または3のボールねじ装置におい
て、 前記複数のボール循環溝が、ほぼ同一位相にかつ軸心方
向で隣り合わせに配設されていることを特徴とするボー
ルねじ装置。 - 【請求項5】請求項1から4のいずれかのボールねじ装
置において、 前記転動方向に隣り合う各ボールを離隔させた状態で回
転可能に保持する保持器リングを有し、この保持器リン
グが、前記ねじ軸に対して軸心方向に位置決めされた状
態で相対回転可能に取り付けられていることを特徴とす
るボールねじ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002257060A JP2003166616A (ja) | 2001-09-21 | 2002-09-02 | ボールねじ装置 |
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-
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- 2002-09-02 JP JP2002257060A patent/JP2003166616A/ja active Pending
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