JP4686944B2 - ボールねじ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボール群を循環させる循環タイプのボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ボールねじ装置では、ねじ軸とナット部材との伸縮動作に関係なく、それらの各ねじ溝内に介装されるボール群の抜け出しを防止するために、ねじ軸のねじ溝とナット部材のねじ溝とで形成するボール通路の両端を連通連結して閉ループとし、ボール群を前記閉ループ内で転動循環させることが考えられている。
【0003】
このようなボール循環には、一般的に、リターンチューブや、循環こまなどが用いられるが、以下では、リターンチューブに比べてコンパクトな循環こまを例に挙げて説明する。
【0004】
循環こまは、一般的に、ねじ溝における約1巻きの上流側と下流側とを連通連結させて、前記ねじ溝の下流のボール群をねじ山(ランド部)を乗り越えさせて上流へ戻すものであり、一般的に、ナット部材に径方向に貫通形成される貫通孔に対して嵌入された状態で接着剤にて固定される。
【0005】
この循環こまの内径側の面には、ねじ溝の約1巻きの下流側から上流側へねじ山(ランド部)を乗り越えさせて戻すように蛇行した形状のボール循環溝が設けられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、循環こまという外付け部品を用いる必要があるとともに、循環こま取付用の貫通孔をナット部材に設ける必要があるために、コストが嵩む結果になっている。
【0007】
なお、上記従来例では、ねじ溝の約2巻きをそれぞれ閉ループにする場合、2つの循環こまを用いる必要があり、循環こまそのものの部品コスト、循環こま取付用の貫通孔の加工コスト、取り付けコストなどがさらに嵩むことが指摘される。しかも、循環こまをナット部材の貫通孔に対してそれぞれ取り付けるときに、ボール循環溝とねじ溝との連接部分を高精度に位置合わせするために、極めて面倒で手間のかかる位置決め作業が必要になるが、それを2度も行わなければならないなど、製造コストが嵩む他、万一の位置ずれが起こりうるなど品質低下をもたらす原因にもなる。
【0008】
これに対して、本願出願人は、従来例で説明した循環こまを用いずに、例えばねじ軸において軸心方向で隣り合う2巻きのねじ溝の個々を、当該ねじ軸に2つのボール循環溝を設けることによってそれぞれ独立した閉ループとし、この2つの独立した閉ループ内でボール群を転動循環させる構造を提案している。このような構造について、さらなる研究を進めている過程において、ボールの転動循環を円滑にするうえで、改良の余地があることを見出した。
【0009】
このような事情に鑑み、本発明は、ねじ軸とナット部材との重合領域でボールを転動循環させるタイプのボールねじ装置において、ボール群の転動循環動作を円滑化することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のボールねじ装置は、請求項1に示すように、ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成であって、前記ねじ軸に、その少なくとも約1巻きのねじ溝の下流と上流とを連通連結して閉ループとするためのボール循環溝が設けられており、前記ねじ溝に対して、転動方向に隣り合う各ボールを離隔させた状態で回転可能に保持する保持器リングが軸心方向に位置決めされるとともに、前記保持リングと前記ねじ軸との間の隙間である内径隙間を、前記保持リングと前記ナット部材との間の隙間である外径隙間よりも小さく設定していることにより、前記ねじ軸の外周面によって回転案内される状態で配設されている。
【0011】
本発明のボールねじ装置は、請求項2に示すように、ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成であって、前記ナット部材とねじ軸とを最大に引き離した最大伸張状態で軸心方向所定長さの重合領域が確保されていて、前記ねじ軸の前記重合領域の外周面に不連続の約2巻きまたはそれ以上のねじ溝が設けられているとともに、当該ねじ溝個々の下流と上流とを個別に連通連結して閉ループとするためのボール循環溝が前記ねじ溝と同数設けられており、前記ねじ軸に対して、転動方向に隣り合う各ボールを離隔させた状態で回転可能に保持する保持器リングが軸心方向に位置決めされるとともに、前記保持リングと前記ねじ軸との間の隙間である内径隙間を、前記保持リングと前記ナット部材との間の隙間である外径隙間よりも小さく設定していることにより、前記ねじ軸の外周面によって回転案内される状態で配設されている。
【0012】
本発明のボールねじ装置は、請求項3に示すように、上記請求項1または2において、前記保持器リングが、ボール個々を収納するボールポケットを有し、この各ボールポケットの径方向内外での開口寸法が、前記ボールの直径よりも大に設定されている。
【0013】
本発明のボールねじ装置は、請求項4に示すように、上記請求項2または3において、前記複数のボール循環溝が、軸心方向で隣り合わせにかつほぼ同一位相に配設されている。
【0014】
要するに、請求項1の発明では、ねじ軸の少なくとも約1巻きのねじ溝を閉ループとするにあたって、従来例で説明した循環こまの替わりに、ねじ軸のねじ山にボール循環溝を設けることにより、従来例に比べて製造コストを低減できるようにした構造を前提にし、ボール個々の干渉を防ぐ保持器リングを高精度に加工されるねじ軸の外周面で回転案内させる形態にしているから、ナット部材とねじ軸とが軸心方向で相対的に変位する過程で、保持器リングが径方向に振れ動きにくくなるとともにボール個々に対して干渉しにくくなる。また、ボール循環溝に入ったボールは、保持器リングにより押されて転動するが、そのとき、ボールの中心近くに保持器リングが当接することになるために、ボールの回転を阻害することが抑制される。
【0015】
また、請求項2の発明は、上記請求項1と異なり、ねじ軸に対して不連続にした2巻きまたはそれ以上のねじ溝を設けて、当該ねじ溝をそれと同数のボール循環溝でもって個別の独立した閉ループとしている構成を特定している。これにより、ボールが必ずナット部材とねじ軸との重合領域に存在することになり、ボール抜け出しが避けられる。
【0016】
また、請求項3の発明は、上記請求項1または2の構成を前提にしたもので、保持器リングのボールポケットをボールよりも小さく設定しているから、ナット部材とねじ軸とが軸心方向で相対的に変位する過程で、保持器リングのボールポケットがボールに対して干渉しにくくなる。
【0017】
また、請求項4の発明は、上記請求項2または3の構成を前提にしたもので、ボール循環溝を軸心方向隣り合わせでほぼ同一位相に配置しているから、例えば複数巻きのねじ溝を軸心方向に詰めて配置できるようになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえで有利となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細について図面に示す実施形態を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1から図7に本発明の一実施形態を示している。図1は、ボールねじ装置の縦断面図、図2は、図1の状態からナット部材を軸心方向一方へ移動させた状態を示す縦断面図、図3は、ボールねじ装置の分解斜視図、図4は、ボールねじ装置において一部を断面にした平面図、図5は、図4の(5)−(5)線断面の矢視図、図6は、ボール循環経路を模式的に示す側面図、図7は、図6のボール循環経路の正面図である。
【0020】
図例のボールねじ装置1では、ナット部材2と、ねじ軸3と、複数のボール4と、保持器リング5とを備えており、ナット部材2とねじ軸3との対向面間でボール4群を循環させるようになっている。
【0021】
ナット部材2には、その一方軸端から他方軸端まで連続する1本のねじ溝21が形成されており、また、ねじ軸3には、軸心方向途中領域に連続していない約2巻きのねじ溝31a,31bが形成されている。これらナット部材2のねじ溝21とねじ軸3のねじ溝31a,31bとは、互いに同じリード角に設定されており、これら両ねじ溝21,31a,31bの断面形状は、ゴシックアーク形状とされているが、半円形状とすることもできる。
【0022】
ところで、この実施形態では、ナット部材2とねじ軸3とを最大に引き離した最大伸張状態で軸心方向所定長さの重合領域を確保して、ねじ軸3の前記重合領域の外周面に不連続の約2巻きのねじ溝31a,31bを設けているとともに、当該ねじ溝31a,31b個々の下流と上流とをボール循環溝33,34で個別に連通連結して閉ループとし、この閉ループにした2巻きのねじ溝31a,31b内に配置されるボール4群をそれぞれ独立して転動循環させるようにしている。
【0023】
具体的に、ねじ軸3の軸心方向で隣り合う2巻きのねじ溝31a,31bの間に存在するねじ山(ランド部)32には、2巻きのねじ溝31a,31bを個別に閉ループとするボール循環溝33,34が設けられている。この2つのボール循環溝33,34は、それぞれ、2巻きのねじ溝31a,31bの上流側と下流側とを個別に連通連結するものであり、各巻きのねじ溝31a,31bの下流のボール4群を内径側へ沈みこませてナット部材2のねじ山(ランド部)22を乗り越えさせて上流へ戻すように蛇行した形状になっている。
【0024】
保持器リング5は、複数のボール4それぞれを円周等間隔に配置して干渉させないようにするものである。この保持器リング5は、薄肉の円筒部材からなり、その円周数ヶ所には、軸心方向に沿う長孔形状のボールポケット51が設けられており、このボールポケット51に対してそれぞれ2つずつボール4が収納される。しかも、ボールポケット51の径方向内外での開口寸法は、ボール4の直径よりも大に設定されており、ボール4が径方向内外に余裕をもって通るようになっている。
【0025】
なお、上記ナット部材2は、歯車7に対して一体的に結合されている。この歯車7は、図示しないモータなどの回転動力源が減速歯車を介して噛合されるとともに、図示しない転がり軸受を介して前記ねじ軸3の中心孔に挿通される図示しない支軸に対して回転自在に支持される。また、上記ねじ軸3は、図示しないケースなどの固定部分に対して非回転かつ軸心方向不動に取り付けられ、このねじ軸3に対して上記ナット部材2が回転可能かつ軸心方向移動可能に配置される。
【0026】
上記歯車7は、上半分の断面がほぼ逆向きコ字形の金属製の環体8と、この環体8における外筒部81の外周面に一体成形される樹脂製のギヤ9とで構成されている。この歯車7の環体8における外筒部81の内周面に対して上記ナット部材2が嵌入されており、図5に示すように、外筒部81の付け根側の内周面に設けられるセレーション82とナット部材2の嵌入方向奥側の外周面に設けられるセレーション23とを嵌合することにより、歯車7とナット部材2とを相対回転不可能に結合するようになっている。そして、この歯車7の環体8における内筒部83の内周面に対して、上述した図示しない転がり軸受が装着される。
【0027】
また、上記保持器リング5は、ねじ軸3に対して軸心方向でほぼ不動に位置決めされた状態で、かつ相対回転可能な状態で取り付けられている。そのために、ねじ溝3の自由端側に縮径部35を、また、保持器リング5の一端に径方向内向きのフランジ52を、それぞれ設け、ねじ軸3の縮径部35に対して保持器リング5のフランジ52をはめ込み、さらにねじ軸3の縮径部35に設けてある周溝に対して止め輪10を係合させている。但し、止め輪10は、ねじ軸3の縮径部35とねじ溝21の形成部分との境にできる段壁面36から離れた位置に取り付けられていて、これら止め輪10と段壁面36との間に対して保持器リング5のフランジ52が軸心方向に若干の遊びを持つ状態で配置されている。これにより、保持器リング5が、ねじ軸3に対して軸心方向ほぼ不動で、相対回転が許容される状態になる。
【0028】
この実施形態では、上述したようなボールねじ装置1において、保持器リング5をねじ軸3で回転案内させる形態にしている。そのために、保持器リング5とねじ軸3との間の内径隙間X1を、保持器リング5とナット部材2との間の外径隙間X2よりも小さく設定している。ちなみに、内径隙間X1は、例えば0.1〜0.4mmに設定するのが好ましい。なお、保持器リング5のガイドとするねじ軸3の外周面は、通常、真円度0.1、面粗さ1.6Raに加工されている。
【0029】
ところで、上述したボールねじ装置1の組み立て手順について、説明する。まず、ねじ軸3に対して保持器リング5を取り付けてから、保持器リング5のボールポケット51に対して、それを埋め尽くす状態にグリースを塗布しておいて、このボールポケット51に対して必要数のボール4を入れる。ここでのグリースは、ボール4が自重落下しない粘性を有するもの、例えばウレア系グリースとされ、このグリースでもってボール4がボールポケット51内に保持される。このようにしてから、保持器リング5をねじ軸3に対して回さないようにした状態で、ナット部材2に組み込む。
【0030】
次に、上述したボールねじ装置1の動作を説明する。まず、図示しないモータを駆動することにより歯車7およびナット部材2を回転させると、このナット部材2自身が回転しながらねじ軸3によってガイドされてその軸心方向一方へ向けて直線的に移動させられることによって、例えば図1に示す状態から図2に示す状態になる。一方、上記モータを前記と逆回転方向に駆動すると、ナット部材2が前述と逆向きに回転しながら軸心方向他方へ向けて移動させられることによって、例えば図2に示す状態から図1に示す状態になる。
【0031】
このように、ナット部材2を軸心方向に往復移動させることにより、ナット部材2とねじ軸3とが軸心方向で重合する範囲が大小変化するが、ねじ軸3においてボール循環溝33,34により個別に閉ループとしたねじ軸3の2巻きのねじ溝31a,31b内でそれぞれボール群4が保持器リング5にガイドされながら転動循環することにより、ナット部材2の螺旋運動が円滑にガイドされるとともに、ナット部材2が所定の移動ストローク範囲を往復移動する過程において、ボール4が抜け出す現象を確実に防止できるようになる。また、ボール循環溝33,34に入ったボール4は、保持器リング5により押されて転動するが、そのとき、ボール4の中心近くに保持器リング5が当接することになるために、ボール4の回転を阻害することが抑制される。
【0032】
また、上記実施形態では、保持器リング5を、高精度に加工されたねじ軸3の外周面でもって回転案内させる形態にしているから、ナット部材2を軸心方向に往復移動させる過程において、保持器リング5そのものの回転振れを抑制することができるとともに、保持器リング5がボール4に対して干渉することを回避させることができて、ボール4が滑って進み遅れする現象が発生しにくくなるなど、ボール4の挙動やナット部材2の動作円滑化に大きく貢献できるようになる。
【0033】
また、上述したが、図6に示すように、2つのボール循環溝33,34をほぼ同一位相にかつ軸心方向隣り合わせに設けていれば、ねじ軸3のねじ溝31a,31bを軸心方向に詰めて配置できるようになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえで有利となる。但し、この場合、ボール循環溝33,34に位置するボール4は、ラジアル荷重やアキシャル荷重を受けることができないので、2つのボール循環溝33,34を周方向および軸心方向で接近して設けると、円周上の所定角度範囲に荷重無負担領域ができることになる。しかしながら、上記実施形態のように、ナット部材2およびねじ軸3の軸心方向寸法を短くしたうえで外径寸法を大きく設定していれば、図7に示すように、円周上においてボール循環溝33,34が存在する領域の角度θ範囲が小さくて済むとともにボール循環溝33,34内に位置するボール4の数が少なくて済むから、荷重負担能力の低下を抑制できて、実用上支障ないものとなる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、いろいろな応用や変形が考えられる。
【0035】
例えば、上記ボールねじ装置1については、ナット部材2またはねじ軸3の一方を回転させることで他方を軸心方向に移動させる使用形態、あるいはナット部材2またはねじ軸3の一方を軸心方向に移動させることで他方を回転させる使用形態にすることができる。前者の使用形態については、トルクを推力に変換する正効率と言い、後者の使用形態については、推力をトルクに変換する逆効率と言う。以下で、正効率での使用形態に係る4パターン(A−1〜A−4)と、逆効率での使用形態に係る4パターン(B−1〜B−4)を説明する。
【0036】
(A−1)上記実施形態で説明したように、ナット部材2を回転させながら軸心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を非回転かつ軸心方向不動にしておいて、ナット部材2を回転駆動させればよい。
【0037】
(A−2)ナット部材2を回転させずに軸心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動にする一方で、ナット部材2を非回転にしておいて、ねじ軸3を回転駆動させればよい。
【0038】
(A−3)ねじ軸3を回転させながら軸心方向に移動させることができる。この場合、ナット部材2を非回転かつ軸心方向不動にしておいて、ねじ軸3を回転駆動させればよい。
【0039】
(A−4)ねじ軸3を回転させずに軸心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を非回転にする一方で、ナット部材2を軸心方向不動にしておいて、ナット部材2を回転駆動させればよい。
【0040】
(B−1)ナット部材2を軸心方向不動で回転させる。この場合、ナット部材2を軸心方向不動にする一方で、ねじ軸3を非回転にしておいて、ねじ軸3を軸心方向に移動させればよい。
【0041】
(B−2)ナット部材2を軸心方向に移動させながら回転させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動かつ非回転にしておいて、ナット部材2を軸心方向に移動させればよい。
【0042】
(B−3)ねじ軸3を軸心方向不動で回転させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動にする一方で、ナット部材2を非回転にしておいて、ナット部材2を軸心方向に移動させればよい。
【0043】
(B−4)ねじ軸3を軸心方向に移動させながら回転させる。この場合、ナット部材2を軸心方向不動かつ非回転にしておいて、ねじ軸3を軸心方向に移動させればよい。
【0044】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るボールねじ装置は、ねじ軸の少なくとも約1巻きのねじ溝を閉ループとするにあたって、従来例で説明した循環こまの替わりに、ねじ軸のねじ山にボール循環溝を設けることにより、従来例に比べて製造コストを低減できるようにした構造を前提にし、ボール個々の干渉を防ぐ保持器リングを高精度に加工されるねじ軸の外周面で回転案内させる形態にしているから、ナット部材とねじ軸とが軸心方向で相対的に変位する過程で、保持器リングが径方向に振れ動きにくくなるとともにボール個々に対して干渉しにくくなるなど、ボールの挙動を安定化できて、ナット部材の動作円滑化に大きく貢献できるようになる。
【0045】
また、請求項2の発明では、上記請求項1と異なり、ねじ軸に対して不連続にした約2巻きまたはそれ以上のねじ溝を設けて、当該ねじ溝をそれと同数のボール循環溝でもって個別の独立した閉ループとしている構成を特定しているから、ボールが必ずナット部材とねじ軸との重合領域に存在することになり、ボール抜け出しを阻止できるようになる。
【0046】
また、請求項3の発明では、上記請求項1または2の構成を前提にしたもので、保持器リングのボールポケットをボールよりも小さく設定しているから、ナット部材とねじ軸とが軸心方向で相対的に変位する過程で、保持器リングのボールポケットがボールに対して干渉しにくくなって、ボールが滑って進み遅れする現象が発生しにくくなる。
【0047】
また、請求項4の発明は、上記請求項2または3の構成を前提にしたもので、ボール循環溝を軸心方向隣り合わせでほぼ同一位相に配置しているから、例えば複数巻きのねじ溝を軸心方向に詰めて配置できるようになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえで有利となり、コンパクト化に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボールねじ装置の縦断面図
【図2】図1の状態からナット部材を軸心方向一方へ移動させた状態を示す縦断面図
【図3】ボールねじ装置の分解斜視図
【図4】ボールねじ装置において一部を断面にした平面図
【図5】図4の(5)−(5)線断面の矢視図
【図6】ボール循環経路を模式的に示す側面図
【図7】図6のボール循環経路の正面図
【符号の説明】
1 ボールねじ装置
2 ナット部材
21 ナット部材のねじ溝
3 ねじ軸
31a,31b ねじ軸のねじ溝
33,34 ねじ軸のボール循環溝
4 ボール
5 保持器リング
51 ボールポケット
Claims (4)
- ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成のボールねじ装置であって、
前記ねじ軸に、その少なくとも約1巻きのねじ溝の下流と上流とを連通連結して閉ループとするためのボール循環溝が設けられており、
前記ねじ溝に対して、転動方向に隣り合う各ボールを離隔させた状態で回転可能に保持する保持器リングが軸心方向に位置決めされるとともに、前記保持リングと前記ねじ軸との間の隙間である内径隙間を、前記保持リングと前記ナット部材との間の隙間である外径隙間よりも小さく設定していることにより、前記ねじ軸の外周面によって回転案内される状態で配設されていることを特徴とするボールねじ装置。 - ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成のボールねじ装置であって、
前記ナット部材とねじ軸とを最大に引き離した最大伸張状態で軸心方向所定長さの重合領域が確保されていて、
前記ねじ軸の前記重合領域の外周面に不連続の約2巻きまたはそれ以上のねじ溝が設けられているとともに、当該ねじ溝個々の下流と上流とを個別に連通連結して閉ループとするためのボール循環溝が前記ねじ溝と同数設けられており、
前記ねじ軸に対して、転動方向に隣り合う各ボールを離隔させた状態で回転可能に保持する保持器リングが軸心方向に位置決めされるとともに、前記保持リングと前記ねじ軸との間の隙間である内径隙間を、前記保持リングと前記ナット部材との間の隙間である外径隙間よりも小さく設定していることにより、前記ねじ軸の外周面によって回転案内される状態で配設されていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項1または2のボールねじ装置において、
前記保持リングが、ボール個々を収納するボールポケットを有し、この各ボールポケットの径方向内外での開口寸法が、前記ボールの直径よりも大に設定されていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項2または3のボールねじ装置において、
前記複数のボール循環溝が、軸心方向で隣り合わせにかつほぼ同一位相に配設されていることを特徴とするボールねじ装置。
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