JP3934382B2 - ボールねじ装置 - Google Patents
ボールねじ装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3934382B2 JP3934382B2 JP2001310234A JP2001310234A JP3934382B2 JP 3934382 B2 JP3934382 B2 JP 3934382B2 JP 2001310234 A JP2001310234 A JP 2001310234A JP 2001310234 A JP2001310234 A JP 2001310234A JP 3934382 B2 JP3934382 B2 JP 3934382B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- nut member
- bracket
- shaft
- screw shaft
- screw
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Transmissions By Endless Flexible Members (AREA)
- Transmission Devices (AREA)
- Gears, Cams (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成のボールねじ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本願出願人は、ボールねじ装置として、特開2001−116095号公報に示すようなものを提案している。
【0003】
この公報中に記載しているボールねじ装置は、円筒形状のねじ軸の中心孔に挿通される軸体に対してナット部材を転がり軸受を介して支持させる構造にしている。
【0004】
このような構造では、ねじ軸の外径側に配置されるナット部材を、ねじ軸の内径側に配置される軸体に対して支持させるために、ナット部材の軸心方向一端に大径円筒部を設け、この大径円筒部の内周面と軸体の外周面との間に転がり軸受を介装するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例では、ナット部材を軸体に対して支持させるための構造が原因となり、軸心方向での寸法が大きくなってしまい、ボールねじ装置の設置対象での占有スペースが制約されるような場合に、使用できないという不具合が生じる。ここに改良の余地がある。
【0006】
このような事情に鑑み、本発明は、円筒形状のねじ軸の中心孔に挿通される軸体に対してねじ軸の外径側に配置されるナット部材を支持させる構造のボールねじ装置において、軸心方向での寸法を短縮することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のボールねじ装置は、請求項1に示すように、ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成であって、前記ねじ軸が円筒形状とされ、前記ナット部材が、前記ねじ軸の中心孔に非接触に挿通される軸体に対してブラケットを介して支持されており、前記ブラケットが、径方向内外に同心状に設けられて軸心方向一端側で連接される内筒部および外筒部を有し、前記内筒部が前記ねじ軸の中心孔内に非接触状態で配置されて前記軸体に対して支持され、また、前記外筒部が前記ナット部材の軸心方向一端側の領域外周に一体的に嵌合されており、前記ブラケットが、金属材で形成されており、その外筒部の外周面に樹脂製のギヤが一体に成形されている。
【0008】
本発明のボールねじ装置は、請求項2に示すように、上記請求項1において、前記ナット部材と前記ブラケットの外筒部との嵌合部分に、軸心方向から嵌合して周方向で引っ掛かる状態となる凹凸が設けられている。
【0009】
本発明のボールねじ装置は、請求項3に示すように、上記請求項1または2において、前記ねじ軸が固定部分に対して非回転かつ軸心方向不動に、また、前記ナット部材が前記軸体に対して転がり軸受を介して回転自在にそれぞれ取り付けられているとともに、前記軸体が軸心方向移動可能に配置されており、前記ブラケットに対してトルクが付与されることにより、当該ブラケットと前記ナット部材と前記軸体の三者が一体になってねじ軸に沿って軸心方向に移動される形態とされている。
【0011】
本発明のボールねじ装置は、請求項4に示すように、上記請求項1から3のいずれかにおいて、前記ねじ軸とナット部材との対向環状空間に、前記各ボールを転動方向に離隔させた状態で回転可能に保持する保持器リングが相対回転可能に介装されている。
【0012】
要するに、本発明では、円筒形状のねじ軸の中心孔に挿通される軸体に対してねじ軸の外径側に配置されるナット部材を支持させる構造とするにあたって、従来例のようにナット部材の軸心方向一端側に延出部を設けるのではなく、ナット部材の軸心方向一端側に外嵌させたうえでねじ軸の中心孔内に入り込む二重筒のようなブラケットを用いている。これにより、ナット部材の軸心方向寸法が大きくならずに済む。
また、ブラケットにギヤを設けているから、このブラケットと一体のナット部材と外部装置との間でトルク伝達できるようになり、しかも、このギヤを樹脂製としているから、インサート成形などで容易に製造できるようになる。
【0013】
特に、上記請求項2の発明では、ナット部材とブラケットとの周方向での結合を凹凸により行わせるようにしているから、トルク伝達がロスなく行えるようになる。
【0014】
また、上記請求項3の発明では、ナット部材をねじ軸に沿って回転させながら進退移動させる使用形態、つまりトルクを推力に変換する正効率での使用形態に特定している。
【0016】
また、上記請求項4の発明では、保持器リングを用いることにより、複数のボール個々を干渉させないようにしているから、ボールの挙動が安定する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細について図面に示す実施形態を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1から図8に本発明の一実施形態を示している。図1は、ボールねじ装置の縦断面図、図2は、図1の状態からナット部材を軸心方向一方へ移動させた状態を示す縦断面図、図3は、ボールねじ装置の分解斜視図、図4は、ボールねじ装置において一部を断面にした平面図、図5は、図4の(5)−(5)線断面の矢視図、図6は、ボール循環経路を模式的に示す側面図、図7は、図6のボール循環経路の正面図、図8は、ブラケットの強度調査に用いたモデルを示す説明図である。
【0019】
図例のボールねじ装置1では、ナット部材2と、ねじ軸3と、複数のボール4と、保持器リング5とを備えており、ナット部材2とねじ軸3との対向面間でボール4群を循環させるようになっている。
【0020】
ナット部材2には、その一方軸端から他方軸端まで連続する1本のねじ溝21が形成されており、また、ねじ軸3には、その軸心方向途中領域に不連続の約2巻きのねじ溝31a,31bが形成されている。これらナット部材2のねじ溝21とねじ軸3のねじ溝31a,31bとは、互いに同じリード角に設定されている。これら両ねじ溝21,31a,31bの断面形状は、ゴシックアーク形状とされているが、半円形状とすることもできる。
【0021】
ところで、この実施形態では、ナット部材2とねじ軸3とを最大に引き離した最大伸長状態で軸心方向所定長さの重合領域を確保して、この重合領域にねじ軸3の約2巻きのねじ溝31a,31bを配置させるように設定し、この2巻きのねじ溝31a,31bをそれぞれ独立した閉ループとし、この閉ループにした2巻きのねじ溝31a,31b内に配置されるボール4群をそれぞれ独立して転動循環させるようにしている。
【0022】
具体的に、ねじ軸3の軸心方向で隣り合う2巻きのねじ溝31a,31bの間に存在するねじ山(ランド部)32には、2巻きのねじ溝31a,31bを個別に閉ループとするボール循環溝33,34が設けられている。この2つのボール循環溝33,34は、それぞれ、2巻きのねじ溝31a,31bの上流側と下流側とを個別に連通連結するものであり、各巻きのねじ溝31a,31bの下流のボール4群を内径側へ沈みこませてナット部材2のねじ山(ランド部)22を乗り越えさせて上流へ戻すように蛇行した形状になっている。
【0023】
保持器リング5は、複数のボール4それぞれを円周等間隔に離隔配置して回転可能に保持するものである。この保持器リング5は、薄肉の円筒部材からなり、その円周数ヶ所には、軸心方向に沿う長孔形状のボールポケット51が設けられており、このボールポケット51に対してそれぞれ2つずつボール4が収納される。
【0024】
また、上記保持器リング5は、ねじ軸3の外径側に対して軸心方向でほぼ不動に位置決めされた状態で、かつ相対回転可能な状態で取り付けられている。そのために、ねじ溝3の自由端側に縮径部35を、また、保持器リング5の一端に径方向内向きのフランジ52をそれぞれ設け、ねじ軸3の縮径部35に対して保持器リング5のフランジ52をはめ込み、さらにねじ軸3の縮径部35に設けてある周溝に対して止め輪7を係合させている。但し、止め輪7は、ねじ軸3の縮径部35とねじ溝21の形成部分との境にできる段壁面36から離れた位置に取り付けられていて、これら止め輪7と段壁面36との間に対して保持器リング5のフランジ52が軸心方向に若干の遊びを持つ状態で配置されている。これにより、保持器リング5が、ねじ軸3に対して軸心方向ほぼ不動で、相対回転が許容される状態になる。
【0025】
なお、上記ナット部材2は、ブラケット8に対して一体的に結合されている。このブラケット8は、図示しないモータなどの回転動力源が減速歯車10を介して噛合されるとともに、円筒形状のねじ軸3の中心孔に軸心方向移動可能に挿通される筒軸11に対して転がり軸受12を介して支持される。また、上記ねじ軸3は、筒軸11の内径側に対してスプライン嵌合されている回転軸13に対して転がり軸受14を介して支持されている。この回転軸13は、図示しないが、ケースなどの固定部分に対して軸心方向不動にかつ回転自在に支持されている。なお、筒軸11と回転軸13の軸心方向一端側には、対向面がテーパ状とされた一対のフランジ15,16が振り分けられて設けられており、これらフランジ15,16の対向面の間隔が、ナット部材2の軸心方向往復移動に伴い大小調節されることになって、このフランジ15,16の対向面間に巻き掛けられるベルト17の巻き掛け径が変更されるようになる。
【0026】
上記ブラケット8は、上半分の断面がほぼ逆向きコ字形の金属材で形成されている。つまり、このブラケット8は、径方向内外に同心状に設けられる内筒部81および外筒部82の軸心方向一端側を連接した形状である。内筒部81は、ねじ軸3の中心孔内に非接触状態で配置されて上記筒軸11に対して転がり軸受12を介して支持されている。また、外筒部82は、ナット部材2の軸心方向一端側の領域外周に一体的に嵌合されており、図3に示すように、外筒部82の付け根側の内周面に設けられるセレーション83とナット部材2の嵌入方向奥側の外周面に設けられるセレーション23とを嵌合することにより、ブラケット8とナット部材2とを周方向で一体的に結合するようになっている。この外筒部82の外周面には、樹脂製のギヤ9が一体に成形されている。
【0027】
ちなみに、上記ブラケット8にギヤ9を成形するときには、ブラケット8の外筒部82の内径面においてセレーション部分を除く領域、つまりナット部材2が嵌合される面を金型に対する基準面として行う。このようにすれば、前記嵌合面の真円度や面粗さが高精度に仕上げられているので、ギヤの歯形状を高精度に形成できるようになり、好ましい。
【0028】
また、ブラケット8とナット部材2との結合工程において両者の位相合わせを容易とするために、両セレーション83,23の1つの歯をなくすことにより、ブラケット8とナット部材2とを所定の位相でしか結合できないようにすることができる。
【0029】
ところで、上述したボールねじ装置1の組み立て手順を説明する。まず、ねじ軸3に対して保持器リング5を取り付けてから、保持器リング5のボールポケット51に対して、それを埋め尽くす状態にグリースを塗布しておいて、このボールポケット51に対して必要数のボール4を入れる。ここでのグリースは、ボール4が自重落下しない粘性を有するウレア系のグリースとされ、このグリースでもってボール4がボールポケット51内に保持される。このようにしてから、保持器リング5をねじ軸3に対して回さないようにした状態で、ナット部材2に組み込む。
【0030】
次に、上述したボールねじ装置1の動作を説明する。まず、図示しないモータを駆動することによりブラケット8およびナット部材2を回転させると、このナット部材2自身が回転しながらねじ軸3に沿って軸心方向一方へ向けて直線的に移動させられることによって、例えば図1に示す状態から図2に示す状態になる。一方、上記モータを前記と逆回転方向に駆動すると、ナット部材2が前述と逆向きに回転しながら軸心方向他方へ向けて移動させられることによって、例えば図2に示す状態から図1に示す状態になる。
【0031】
このように、ナット部材2を軸心方向に往復移動させることにより、ナット部材2とねじ軸3とが軸心方向で重合する範囲が大小変化するが、ねじ軸3においてボール循環溝33,34により個別に閉ループとしたねじ軸3の2巻きのねじ溝31a,31b内でそれぞれボール群4が保持器リング5にガイドされながら転動循環することにより、ナット部材2の螺旋運動が円滑にガイドされるとともに、ナット部材2が所定の移動ストローク範囲を往復移動する過程において、ボール4が抜け出す現象を確実に防止できるようになる。
【0032】
なお、上記ナット部材2を縮み方向に移動させる場合、所定のリミット位置で強制停止させるようにするために、図1および図2に示すように、ねじ軸3に対してストッパピン18を、また、ナット部材2と一体のブラケット8に対して切欠き19を設けている。この場合、ナット部材2を縮み方向に移動させたとき、ナット部材2が所定の停止位置に近づくことに伴い、ブラケット8の切欠き19が、その幅狭側の端縁からねじ軸3のストッパピン18に対して径方向で重合し始めて、最後に切欠き19の幅広側の奥壁19aがストッパピン18の周面に対して周方向から当接することになり、これで、ナット部材2およびブラケット8が物理的に強制停止されることになる。
【0033】
以上説明したように、この実施形態では、円筒形状のねじ軸3の中心孔に挿通される筒軸11に対してねじ軸3の外径側に配置されるナット部材2を支持させる構造とするにあたって、従来例のようにナット部材2の軸心方向一端側に延出部を設けるのではなく、ナット部材2の軸心方向一端側に外嵌させたうえでねじ軸3の中心孔内に入り込む二重筒のようなブラケット8を用いている。これにより、ナット部材2の軸心方向寸法が大きくならずに済むので、ボールねじ装置全体の特に軸心方向寸法を短縮化することができる。そのため、ボールねじ装置1の使用対象部位における設置スペースが制約されるような場合において、好適に使用できるようになる。
【0034】
なお、上記ブラケット8では、受けるアキシャル荷重の大小に応じて最大主応力の発生箇所が変化し、強度上、問題ないことを確認している。具体的に、図8に示すように、ブラケット8に転がり軸受12の外輪12aのみを装着したものをモデルとして、FEM解析を行ったので、説明する。
【0035】
まず、外輪12aの素材は、JIS規格SUJ2、ヤング率207.9Gpa、ブラケット8の素材は、JIS規格S30C、ヤング率205.9Gpaとし、いずれもポアソン比を0.3としている。
【0036】
また、外輪12aの外径寸法をφ100mm(−0.015〜+0)、ブラケット8の内筒部82の内径寸法をφ100mm(−0.051〜−0.016)とし、ブラケット8の内筒部82に対する外輪12aの締め代を51μmに設定した。
【0037】
負荷条件としては、中負荷条件2〜7kN、高負荷条件8〜14kNとする。
【0038】
解析モデルの節点数を3274、要素数を3025とし、メッシュサイズを約0.5mmに設定した。
【0039】
結果は、図8に示す解析モデルにおいて、アキシャル荷重を負荷すると、A部とB部とに応力が集中する。しかも、アキシャル荷重を2kN(中負荷条件最小値)、7kN(中負荷条件最大値)、8kN(高負荷条件最小値)、14kN(高負荷条件最大値)にすると、それぞれ、A部に発生する最大主応力最大値は「69.1Mpa」、「65.7Mpa」,「65.0Mpa」、「61.5Mpa」となり、負荷が大きくなると、A部に発生する最大主応力最大値が減少する傾向となることが判る。一方、上記と同一条件で、B部に発生する最大主応力最大値は、「48.6Mpa」「56.0Mpa」「57.7Mpa」、「82.2Mpa」となり、負荷が大きくなると、B部に発生する最大主応力最大値が増加する傾向となることが判る。したがって、低負荷条件に応じて最大主応力の最大値発生箇所はA部となる。つまり、アキシャル荷重が小さく場合の応力状態では、アキシャル荷重による変形より締め代による変形のほうが起きためであり、嵌め合い部周辺の低剛性部位に下りが集中することに起因すると考えられる。しかし、高負荷条件になるに従い、アキシャル荷重によるブラケット8の軸心方向変形量が増加し、A部の最大主応力(主として軸心方向)が緩和される方向に働くため、A部の応力は小さくなり、B部に応力が集中する傾向となる。但し、B部に発生する最大主応力は最大値でも82.2Mpaであるから、その素材であるJIS規格S30Cの疲労限度を大きく下回る。要するに、上記形状のブラケット8は、使用状態において、十分な強度を確保できることを確認できたと言える。
【0040】
ところで、上記実施形態のように、ねじ軸3のねじ山32に2つのボール循環溝33,34を設けることにより軸心方向で隣り合う2巻きのねじ溝31a,31bの個々を独立した閉ループとし、この閉ループ内でボール群4を転動循環させるた構造にしていれば、従来周知の循環こまという高精度な部品を排除できて、ナット部材2に循環こま取付用の貫通孔を形成する手間や循環こまの組み付けの手間を省くことができるなど、製造コストの低減に貢献できるうえ、循環こまのボール循環溝とねじ溝との位置合わせが不要になるなど、その万一の位置ずれによる品質低下を回避できるようになる。しかも、上記2つのボール循環溝33,34を、図6に示すように、ほぼ同一位相にかつ軸心方向に隣り合わせに設けていれば、ねじ軸3のねじ溝31a,31bを軸心方向に詰めて配置できるようになって、軸心方向での占有面積を縮小するうえで有利となる。但し、この場合、ボール循環溝33,34に位置するボール4は、ラジアル荷重やアキシャル荷重を受けることができないので、2つのボール循環溝33,34を周方向および軸心方向で接近して設けると、円周上の所定角度範囲に荷重無負担領域ができることになる。しかしながら、上記実施形態のように、ナット部材2およびねじ軸3の軸心方向寸法を短くしたうえで外径寸法を大きく設定していれば、図7に示すように、円周上においてボール循環溝33,34が存在する領域の角度θ範囲が小さくて済むとともにボール循環溝33,34内に位置するボール4の数が少なくて済むから、荷重負担能力の低下を抑制できて、実用上支障ないものとなる。
【0041】
なお、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではなく、いろいろな応用や変形が考えられる。
【0042】
まず、上記実施形態では、ナット部材2に対するブラケット8の結合をセレーション83,23でもって行わせるようにしているが、図9に示すように、ブラケット8における外筒部82の付け根側円周数ヶ所に凸部84を、ナット部材2の嵌入方向奥側の円周数ヶ所に凹部24をそれぞれ設け、これらを軸心方向から嵌合して周方向で引っ掛けることにより、ブラケット8とナット部材2とを相対回転不可能に結合するようにしてもよい。この場合、ブラケット8とナット部材2との結合工程において両者の位相合わせを容易とするために、ブラケット8に設ける複数の凸部84のうちの1つと、ナット部材2に設ける複数の凹部24のうちの1つの周方向幅を他の凸部84や凹部24よりも大きく設定することにより、ブラケット8とナット部材2とを所定の位相でしか結合できないようにするのが好ましい。
【0043】
この他、上記ボールねじ装置1については、ナット部材2またはねじ軸3の一方を回転させることで他方を軸心方向に移動させる使用形態、あるいはナット部材2またはねじ軸3の一方を軸心方向に移動させることで他方を回転させる使用形態にすることができる。前者の使用形態については、トルクを推力に変換する正効率と言い、後者の使用形態については、推力をトルクに変換する逆効率と言う。以下で、正効率での使用形態に係る4パターン(A−1〜A−4)と、逆効率での使用形態に係る4パターン(B−1〜B−4)を説明する。
【0044】
(A−1)上記実施形態で説明したように、ナット部材2を回転させながら軸心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を非回転かつ軸心方向不動にしておいて、ナット部材2を回転駆動させればよい。
【0045】
(A−2)ナット部材2を回転させずに軸心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動にする一方で、ナット部材2を非回転にしておいて、ねじ軸3を回転駆動させればよい。
【0046】
(A−3)ねじ軸3を回転させながら軸心方向に移動させることができる。この場合、ナット部材2を非回転かつ軸心方向不動にしておいて、ねじ軸3を回転駆動させればよい。
【0047】
(A−4)ねじ軸3を回転させずに軸心方向に移動させる。この場合、ねじ軸3を非回転にする一方で、ナット部材2を軸心方向不動にしておいて、ナット部材2を回転駆動させればよい。
【0048】
(B−1)ナット部材2を軸心方向不動で回転させる。この場合、ナット部材2を軸心方向不動にする一方で、ねじ軸3を非回転にしておいて、ねじ軸3を軸心方向に移動させればよい。
【0049】
(B−2)ナット部材2を軸心方向に移動させながら回転させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動かつ非回転にしておいて、ナット部材2を軸心方向に移動させればよい。
【0050】
(B−3)ねじ軸3を軸心方向不動で回転させる。この場合、ねじ軸3を軸心方向不動にする一方で、ナット部材2を非回転にしておいて、ナット部材2を軸心方向に移動させればよい。
【0051】
(B−4)ねじ軸3を軸心方向に移動させながら回転させる。この場合、ナット部材2を軸心方向不動かつ非回転にしておいて、ねじ軸3を軸心方向に移動させればよい。
【0052】
【発明の効果】
請求項1から4の発明に係るボールねじ装置は、従来例のようにナット部材の軸心方向一端側に延出部を設けるのではなく、ナット部材の軸心方向一端側に外嵌させたうえで円筒形状のねじ軸の中心孔内に入り込む二重筒のようなブラケットを用いているから、ナット部材の軸心方向寸法を大きくせずに済み、設置対象空間での占有スペースが制約される場合において有利となる。
【0053】
特に、請求項1の発明では、ブラケットにギヤを設けているから、このブラケットと一体のナット部材と外部装置との間でトルク伝達できるようになり、しかも、このギヤを樹脂製としているから、インサート成形などで容易に製造できて、低コスト化が可能となる。
また、請求項2の発明では、ナット部材とブラケットとの周方向での結合を凹凸により行わせるようにしているから、トルク伝達がロスなく行えるようになり、動作応答性の向上に貢献できる。
【0055】
また、請求項4の発明では、保持器リングを用いることにより、複数のボール個々を干渉させないようにしているから、ボールの挙動が安定し、ナット部材とねじ軸との相対回転が円滑に保たれるなど、動作安定性の向上に有利となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るボールねじ装置の縦断面図
【図2】図1の状態からナット部材を軸心方向一方へ移動させた状態を示す縦断面図
【図3】ボールねじ装置の分解斜視図
【図4】ボールねじ装置において一部を断面にした平面図
【図5】図4の(5)−(5)線断面の矢視図
【図6】ボール循環経路を模式的に示す側面図
【図7】図6のボール循環経路の正面図
【図8】ブラケットの強度調査に用いたモデルを示す説明図
【図9】ナット部材とブラケットとの結合部分の他の例を示す正面図
【符号の説明】
1 ボールねじ装置
2 ナット部材
21 ナット部材のねじ溝
3 ねじ軸
31a,31b ねじ軸のねじ溝
33,34 ねじ軸のボール循環溝
4 ボール
5 保持器リング
51 ボールポケット
8 ブラケット
81 ブラケットの内筒部
82 ブラケットの外筒部
9 ブラケットのギヤ
11 筒軸
12 転がり軸受
Claims (4)
- ナット部材の内周面に設けられるねじ溝とねじ軸の外周面に設けられるねじ溝との間に複数のボールが介装され、前記ナット部材とねじ軸との間でトルクを推力に変換させたり、推力をトルクに変換させたりする構成のボールねじ装置であって、
前記ねじ軸が円筒形状とされ、前記ナット部材が、前記ねじ軸の中心孔に非接触に挿通される軸体に対してブラケットを介して支持されており、
前記ブラケットが、径方向内外に同心状に設けられて軸心方向一端側で連接される内筒部および外筒部を有し、前記内筒部が前記ねじ軸の中心孔内に非接触状態で配置されて前記軸体に対して支持され、また、前記外筒部が前記ナット部材の軸心方向一端側の領域外周に一体的に嵌合されており、
前記ブラケットが、金属材で形成されており、その外筒部の外周面に樹脂製のギヤが一体に成形されていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項1のボールねじ装置において、
前記ナット部材と前記ブラケットの外筒部との嵌合部分に、軸心方向から嵌合して周方向で引っ掛かる状態となる凹凸が設けられていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項1または2のボールねじ装置において、
前記ねじ軸が固定部分に対して非回転かつ軸心方向不動に、また、前記ナット部材が前記軸体に対して転がり軸受を介して回転自在にそれぞれ取り付けられているとともに、前記軸体が軸心方向移動可能に配置されており、
前記ブラケットに対してトルクが付与されることにより、当該ブラケットと前記ナット部材と前記軸体の三者が一体になってねじ軸に沿って軸心方向に移動される形態とされていることを特徴とするボールねじ装置。 - 請求項1から3のいずれかのボールねじ装置において、
前記ねじ軸とナット部材との対向環状空間に、前記各ボールを転動方向に離隔させた状態で回転可能に保持する保持器リングが相対回転可能に介装されていることを特徴とするボールねじ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001310234A JP3934382B2 (ja) | 2001-10-05 | 2001-10-05 | ボールねじ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001310234A JP3934382B2 (ja) | 2001-10-05 | 2001-10-05 | ボールねじ装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003113920A JP2003113920A (ja) | 2003-04-18 |
JP3934382B2 true JP3934382B2 (ja) | 2007-06-20 |
Family
ID=19129245
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001310234A Expired - Fee Related JP3934382B2 (ja) | 2001-10-05 | 2001-10-05 | ボールねじ装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3934382B2 (ja) |
-
2001
- 2001-10-05 JP JP2001310234A patent/JP3934382B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003113920A (ja) | 2003-04-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4786835B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
US4939946A (en) | Composite motion guide device | |
US20070209465A1 (en) | Screw Device And Method Of Manufacturing The Same | |
JPH0684776B2 (ja) | 複合運動案内ユニットおよびこれを用いた複合運動案内装置 | |
WO2012144371A1 (ja) | 直動案内機構 | |
WO2007114036A1 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP3991644B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP3934382B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP2003166616A (ja) | ボールねじ装置 | |
JP4203939B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP3919070B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP3881206B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
WO2021210307A1 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP4686944B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP4032901B2 (ja) | ボールねじ | |
JPS5928776B2 (ja) | サポ−トベアリング付ボ−ルスプライン | |
JP4665365B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP4023325B2 (ja) | ボールねじ装置およびボールねじ装置の製造方法 | |
JP5017761B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP3905347B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP2003074662A (ja) | ボールねじ装置 | |
JP3934392B2 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP5332626B2 (ja) | ボールスプライン | |
WO2023188058A1 (ja) | ボールねじ装置 | |
JP2024013042A (ja) | スプライン付きボールねじ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040513 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061020 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061031 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061221 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070306 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070315 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110330 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120330 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120330 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130330 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |