JP4032365B2 - 鉄道車両用振動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両用振動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車両では揺れを抑え、快適な乗り心地を確保することが望まれており、この要望に応えるために振動制御装置が用いられている。このような振動制御装置を用いた鉄道車両の一例を図10に示す。
【0003】
この鉄道車両1は、モノレール2を用いて走行されるようになっている。図において、鉄道車両1は、タイヤ3を介してモノレール2に案内される、前(図10紙面裏面側)、後(図10紙面表面側)、2台の台車4F ,4R と、前、後台車4F ,4R に金属スプリングまたはエアスプリング等のばね部材5を介して上下方向及び水平方向に揺動可能に支持される車体6と、前、後台車4F ,4R と車体6との間に、車体6の前、後台車4F ,4R に対する左右方向の移動に対して減衰力を発生するようにそれぞれ介装された減衰力可変型の前、後側のダンパ7F ,7R と、前、後台車4F ,4R に対応して車体6の底部にそれぞれ設けられて車体6の絶対横加速度を検出する前側、後側底部絶対横加速度センサ8FU,8RUと、前側、後側底部絶対横加速度センサ8FU,8RUの検出データに基づいて前、後側のダンパ7F ,7R の減衰力を調整するコントローラ9とから大略構成されている。
【0004】
この鉄道車両1では、前側、後側底部絶対横加速度センサ8FU,8RUが検出した絶対横加速度データから前側、後側横速度を求め、コントローラ9がここで求めた前側、後側それぞれの速度データに応じて前、後側のダンパ7F ,7R の減衰力を調整し、横方向の揺れを抑え、快適な乗り心地を確保するようにしている。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、この従来技術では、後述するようにレールの軌道狂い等により車体に作用する複雑なロール速度成分等を考慮せずに、このロール速度成分等をも含めて絶対横加速度として検出し減衰力調整を行うため、台車の鉛直線上にある台車上部車体重心(後述する水平軸(X)と台車の鉛直線との交点。請求項1,2の台車上部車体重心に相当する。)における車体の純粋な絶対横速度(車体6の左右方向推移に伴う絶対横速度)に基づいた減衰力調整を行えず、乗員が略位置する台車上部車体重心高さ位置における振動抑制制御が良好なものになっていないというのが実情であった。すなわち、鉄道車両1において、実際には、車体6領域内の進行方向の水平軸(X)を中心とする回動(以下、自転運動という。)、車体6上方の水平軸(U)を中心とする回動(以下、上中心ロール運動という。)、車体6下方の水平軸(L)を中心とする回動(以下、下中心ロール運動)が発生する。そして、前側、後側底部絶対横加速度センサ8FL,8RLは、前記純粋な絶対横速度のみならず、自転運動、上中心ロール運動および下中心ロール運動による横方向速度成分を含めて検出してしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、上中心ロール運動および下中心ロール運動による横方向速度成分を検出し、各速度成分に対応した振動制御を行うために、例えば図11に示すように、前、後台車4F ,4R に対応して車体6の左右にそれぞれ、上下方向の加速度を検出する4つ(前左、前右、後左、後右側)の上下方向加速度センサ10FS,10FR,10RS,10RRを付加することや、ロール角を検出するセンサ(ジャイロセンサ)を設けることが考えられる。
【0007】
しかしながら、上述したように4つ(前左、前右、後左、後右側)の上下方向加速度センサ10FS,10FR,10RS,10RRを付加することは、部品数の増加となり、信頼性低下、保守性低下を招きやすく望ましくなかった。また、ジャイロセンサを設けることについては、ジャイロセンサが精密な機構を要求されて高価なものとなっており、コストアップを抑制する上で望ましくなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、自転運動及び上、下中心ロール運動からそれぞれの運動により発生する横方向絶対速度成分を検出して、前記台車上部車体重心における純粋な絶対横速度を求めることにより、良好な振動抑制制御を行える鉄道車両用振動制御装置を提供することにある。
また、簡易な構成で、自転運動及び上、下中心ロール運動からそれぞれの運動により発生する横方向絶対速度成分を分離、検出できる鉄道車両用振動制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載に係る鉄道車両用振動制御装置の発明は、車体の前後それぞれに設けられた前後一対の台車と、前記車体と前記一対の台車との間に設けられ、車体の台車に対する左右方向の移動に対して減衰力を発生し、縮み側の減衰力が小さい値のとき、伸び側の減衰力を大きい値とし、伸び側の減衰力が小さい値のとき、縮み側の減衰力を大きい値とする減衰力可変型ダンパと、前記各台車の鉛直線と前記車体の上方の水平軸との各交点を中心とする上中心ロール速度成分および前記各台車の鉛直線と前記車体の下方の水平軸との各交点を中心とする下中心ロール速度成分を除いた値として、前記各台車の鉛直線と車体重心を含む水平軸との各交点に相当する台車上部車体重心における車体の絶対横速度を検出する絶対横速度検出手段と、該絶対横速度検出手段の検出結果に基づいて、前記車体が左右方向一側へ移動しているときに前記車体が前記台車に対する一側への相対移動に対して減衰力を大きい値とするように調整するコントローラと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載に係る鉄道車両用振動制御装置の発明は、請求項1に記載の鉄道車両用振動制御装置において、絶対横速度検出手段は、前後一対の台車にそれぞれ対応して車体の底部に設けられ、該車体の底部における左右方向の絶対横速度を検出する底部絶対横速度検出手段と、前後一対の台車にそれぞれ対応して車体の上部に設けられ、該車体の上部における左右方向の絶対横速度を検出する上部絶対横速度検出手段とを有し、さらに、前記底部絶対横速度検出手段および前記上部絶対横速度検出手段の検出結果から、前記台車上部車体重心を中心とする車体の自転速度成分、前記上中心ロール速度成分および前記下中心ロール速度成分を求め、この各速度成分を前記底部絶対横速度検出手段または前記上部絶対横速度検出手段のいずれか一方の検出結果から除いた値を前記絶対横速度とするようにしたことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態の鉄道車両用振動制御装置を図1ないし図8に基づいて説明する。なお、図10、図11に示す部分、部材と同等の部分、部材についての図示、記載は適宜省略する。
【0012】
図1、図2において、鉄道車両1は、車輪11を介して2本のレール12に案内される、前(図1紙面裏面側)、後(図1紙面表面側)一対の台車4F ,4R と、この前、後台車4F ,4R にばね部材5を介して上下方向及び水平方向に揺動可能に支持される車体6と、前、後台車4F ,4R と車体6との間に、車体6の前、後台車4F ,4R に対する左右方向の移動に対して減衰力を発生するようにそれぞれ介装された減衰力可変型の前、後側のセミアクティブダンパ(以下、減衰力可変型ダンパという。)7F ,7R と、前、後台車4F ,4R に対応して車体6の底部にそれぞれ設けられて車体6の底部における絶対横加速度を検出する前側、後側の底部絶対横加速度センサ(底部絶対横速度検出手段)8FL,8RLと、前、後台車4F ,4R に対応して車体6の上部にそれぞれ設けられて車体6の上部における絶対横加速度を検出する前側、後側の上部絶対横加速度センサ(上部絶対横速度検出手段)8FU,8RUと、底部絶対横加速度センサ8FL,8RLの検出データ及び上部絶対横加速度センサ8FU,8RUの検出データに基づいて減衰力可変型ダンパ7F ,7R の減衰力を調整するコントローラ9とから大略構成されている。
【0013】
ここで、本発明では、底部絶対横加速度センサ8FL,8RLの検出データに対応する前側、後側の底部絶対横速度(後述するブロックB12で得られる。)と、上部絶対横加速度センサ8FU,8RUの検出データに対応する前側、後側の上部絶対横速度(後述するブロックB10で得られる。)とに基づいて、車体6の前側、後側における前記自転運動、上中心ロール運動、下中心ロール運動が検出され、この各運動により検出された各速度成分を、前記前側、後側の底部絶対横速度または前記前側、後側の上部絶対横速度のいずれか一方から除いた値を前述の台車上部車体重心(後述する水平軸(X)と台車の鉛直線との交点)における車体の純粋な絶対横速度(車体6の左右方向推移に伴う絶対横速度)としている。つぎに上記各速度成分の検出方法について、車体6の前側を対象にし(すなわち、前側の底部絶対横加速度センサ8FLの検出データに対応する前側底部横速度Vl と、前側の上部絶対横加速度センサ8FUの検出データに対応する前側上部横速度Vu とを用い)、図1を参照して以下に説明する。
【0014】
前側底部横速度(前側の底部絶対横加速度センサ8FLの検出データαl に対応する。)Vl 、前側上部横速度(前側の上部絶対横加速度センサ8FUの検出データαu に対応する。)Vu は式1、式2で求められる。以下、前側底部横速度Vl 、前側上部横速度Vu を簡略して、適宜、底部横速度Vl 、上部横速度Vu という。
【0015】
Vu =Vg +ωl (rl +2h)+ωu ru −ω0 h (式1)
Vl =Vg +ωl rl +ωu (ru +2h)+ω0 h (式2)
ここで、 Vg :車体6の台車上部車体重心における絶対横速度(純粋絶対横速度)
ωu :車体6上方の水平軸U回りのモーメント
ωl :車体6下方の水平軸L回りのモーメント
ω0 :車体6領域内の進行方向の水平軸X回りのモーメント
ru :水平軸Uから前側上部絶対横加速度センサ8FUまでの距離
rl :水平軸Lから前側底部絶対横加速度センサ8FLまでの距離
h :水平軸Xから前側上部絶対横加速度センサ8FUまでの距離(=軸Iから前側底部絶対横加速度センサ8FLまでの距離)を表しており、ru ,rl およびhは各種車体に応じて設定される定数である。
【0016】
前記台車上部車体重心(図1上水平軸Xと一致)を中心とする車体6の自転運動による速度成分(以下、自転速度成分という。)を除いた上部横速度Vu ′および底部横速度Vl ′は式3、式4で求められる。
【0017】
Vu ′=Vu +ω0 h=Vg +ωl (rl +2h)+ωu ru (式3)
Vl ′=Vl −ω0 h=Vg +ωl rl +ωu (ru +2h) (式4)
【0018】
ここで、水平軸Uを中心とする上中心ロール運動による速度成分(以下、上中心ロール速度成分という。)と下中心ロール運動による速度成分(以下、下中心ロール速度成分という。)は同時に得られないとすると、上中心ロール運動が発生する時(|Vu ′|<|Vl ′|)の自転速度成分を除いた上部横速度Vu ′、底部横速度Vl ′は、式5、式6で求められる。
【0019】
Vu ′=Vg +ωu ru (式5)
Vl ′=Vg +ωu (ru +2h) (式6)
【0020】
そして、水平軸U回りのモーメントωu と車体6の純粋絶対横速度Vg は、式7、式8のようになる。
【0021】
ωu =(Vl ′−Vu ′)/(2h) (式7)
Vg =Vl ′−(Vl ′−Vu ′)(ru +2h)/(2h) (式8)
【0022】
ここで、自転運動のみ(ロール運動は同時に発生しないとしたとき)の水平軸X回りのモーメント(角速度)ω0 は、次式で示される。
【0023】
ω0 =Vl −Vu (式8A)
【0024】
この式8Aを式3、式4に代入してVl ′、Vu ′をVl 、Vu で表現し、このVl ′、Vu ′の式を、式7、式8に代入することで、ωu 、Vg は式7a,式8aのようにVl ,Vu で示されることになる。すなわち、Vl ,Vu からωu 、Vg が得られることになる。
【0025】
ωu =(1−2h)(Vl −Vu )/(2h) (式7a)
Vg ={(1−h)Vl +Vu h}−(1−2h)(Vl −Vu )(ru +2h)/(2h) (式8a)
【0026】
同様に、下中心ロール運動が発生する時(|Vu ′|>|Vl ′|)の水平軸L回りのモーメントωl と車体6の純粋絶対横速度Vg は、前記式3、式4にωu =0を代入して得られる式に基づいて求められ、式9、式10のようになる。
【0027】
ωl =−(Vl ′−Vu ′)/(2h) (式9)
Vg =Vl ′+(Vl ′−Vu ′)rl /(2h) (式10)
【0028】
上記ωl ,Vg の式は、式9a、式10aのようにVl 、Vu で示される。すなわち、Vl ,Vu からωu 、Vg が得られることになる。
【0029】
ωl =−(1−2h)(Vl −Vu )/(2h) (式9a)
Vg ={(1−h)Vl +Vu h}+(1−2h)(Vl −Vu )(rl )/(2h) (式10a)
よって、前側の上部絶対横加速度センサ8FU及び底部絶対横加速度センサ8FLの検出データに基づいて自転速度成分、上中心ロール速度成分、下中心ロール速度成分を検出することができ、ひいては車体6の台車上部車体重心における純粋な絶対横速度を求めることができる。
【0030】
前記前、後台車4F ,4R の進行方向に対して右側(図1右側)には、前、後側の台車側ブラケット13F ,13R がそれぞれ取り付けられている。前、後側の台車側ブラケット13F ,13R に対向するように車体6の進行方向左側部分には、前、後側の車体側ブラケット14F ,14R が取り付けられている。
【0031】
前側の台車側ブラケット13F と前側の車体側ブラケット14F との間、後側の台車側ブラケット13R と後側の車体側ブラケット14R との間に、車体6の前、後台車4F ,4R に対する左右方向の移動に対して減衰力を発生する前記前、後側の減衰力可変型ダンパ7F ,7R がそれぞれ介装されている。ここで、前、後側の減衰力可変型ダンパ7F ,7R は、図3に示すように、油液が封入された筒状のダンパ本体15と、ダンパ本体15内に変位可能に収納されたピストン(図示省略)と、ピストンに固定され一端部がダンパ本体15から突出するシャフト17と、ピストンを含むダンパ本体15内に設けられ、油液流路(図示省略)の調整により減衰力を発生する減衰力発生機構(図示省略)と、この減衰力発生機構を作動して減衰力を調整するバルブ機構18と、後述する目標減衰係数Cに応じてバルブ機構18を駆動する比例ソレノイド19とからなっている。
【0032】
そして、この場合、前、後側の車体側ブラケット14F ,14R にダンパ本体15が保持され、前、後側の台車側ブラケット13F ,13R にシャフト17の一端側(ダンパ本体15の外側部分)が保持されており、車体6の進行方向に対して左右方向の運動を規制するようになっている。
【0033】
前、後側の減衰力可変型ダンパ7F ,7R は、図4、図5に示す減衰力特性を有している。ここで、図4は、比例ソレノイド19に供給される電流Iに対するピストンスピードが10cm/s のときの減衰力を示したものである。前、後側の減衰力可変型ダンパ7F ,7R は、通常電流I2 では減衰力は、伸び側、縮み側共に小さい値(ソフト)になっている。ここで、減衰力可変型ダンパ7F ,7R は、車体6が前、後台車4F ,4R に対して相対的に左方へ移動したときに伸び、右方へ移動したときに縮むようになっている。そして、電流IをI2 からI1 へと小さくすると、減衰力特性は、縮み側減衰力を小さい(ソフト)状態で伸び側の減衰力が大きく(ハードに)なる。これに対して、電流IをI2 からI3 へと大きくしていくと、伸び側減衰力を小さい(ソフト)状態で縮み側の減衰力が大きく(ハードに)なる。
【0034】
また、図5は、ピストンのスピードに対する減衰力を示している。電流IがI1 からI2 の間では、縮み側は、実線21に示すように略一定値の状態で伸び側が実線22から実線23の間の減衰力を得ることになる。また、電流がI2 からI3 の間では、伸び側減衰力は実線23に示すように略一定の状態で、縮み側減衰力が実線21から実線24の間で可変になる。
【0035】
前側、後側の底部絶対横加速度センサ8FL,8RL、前側、後側の上部絶対横加速度センサ8FU,8RU及び前、後側の減衰力可変型ダンパ7F ,7R の各比例ソレノイド19に接続してコントローラ9が車体6に設けられている。
【0036】
コントローラ9は、図6に示すように電力供給を受ける(ステップS1)と、まず初期設定を行なって(ステップS2)制御周期に達したか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3では、制御周期に達したと判定するまで繰り返して制御周期に達したか否かを判定する。
【0037】
ステップS3で制御周期に達したと判定すると、前制御周期の目標電流(目標減衰係数)に基づいて比例ソレノイド19(アクチュエータ)を駆動し、目標減衰力に対応した減衰力を得る(ステップS4)。続いてステップS5で比例ソレノイド19以外の機器(例えばLED)に信号を出力して制御する。次に前上部、前底部、後上部、後底部絶対横加速度センサ8FU,8FL,8RU,8RLから絶対横加速度信号(前上部、前底部、後上部、後底部絶対横加速度信号)αを読み込む(ステップS6)。続いて各絶対横加速度信号αに基づいて後述する演算処理を行って、目標減衰係数Cを求め、これに対応する目標電流Iの決定を行い(ステップS7)、次の制御周期のステップS4で目標電流Iに基づいて比例ソレノイド19を駆動して所望の減衰力を得る。
【0038】
ここで、上記ステップS7の演算処理内容を説明する。コントローラ9はステップS7において、図7に示すように前側の底部絶対横加速度センサ8FLからの前側底部絶対横加速度αl 、前側の上部絶対横加速度センサ8FUからの前側上部絶対横加速度αu に基づいて、ブロックB10〜B25の演算処理を行うと共に、後側の底部絶対横加速度センサ8RL、後側の上部絶対横加速度センサ8RUの後側底部、後側上部絶対横加速度データに基づいて、ブロックB10〜B25と同等の演算処理(図示省略)を行う。ここでは、前側を対象として説明する。
【0039】
図7において、ブロックB10〜B25で前側台車の台車上部車体重心における純粋絶対横速度Vg を求めている。
ブロックB10〜B25aにおいて、まず前側の上部絶対横加速度センサ8FUで検出された上部絶対横加速度αu はブロックB10で積分処理され、これにより前側上部横速度Vu が得られ、この前側上部横速度Vu がブロックB11でハイパスフィルタ処理されてブロックB10の積分誤差を除去して前側上部横速度Vu を求める。同様にして、底部絶対横加速度センサ8FLで検出された底部絶対横加速度αl に対してブロックB12、B13の処理が行われ、底部横速度Vl が求められる。
【0040】
次に、差分回路D1で底部横速度Vl と上部横速度Vu との差分演算(Vl −Vu )を行って自転速度成分ω0 を求め、ブロックB14で自転速度成分用ゲインKi を乗算し、ブロックB15でローパスフィルタをかけ、さらに、ブロックB15aで高さhを乗算してデータω0 hを得、加え合わせ回路D2、差分回路D3でそれぞれ、Vu +ω0 h、Vu −ω0 hの演算を行って、自転速度成分を除いた底部横速度Vl ′(=Vu +ω0 h)、上部横速度Vu ′(=Vu −ω0 h)を求める。続く差分回路D4で「Vl ′−Vu ′」の演算が行われる。
【0041】
ブロックB16〜B18では、前記自転速度成分を除いた底部横速度Vl ′、自転速度成分を除いた上部横速度Vu ′から、前記式7に準じて水平軸U回りのモーメントωu を求め、ブロックB19で上中心ロール速度成分用ゲインKu を乗算し、ブロックB20でローパスフィルタをかけ、上中心ロール運動成分により算出された横速度を求め、さらにブロック20aで前記式8に準じて「ru +2h」を乗算し、得られたデータを差分回路D6に出力する。また、ブロックB21〜B23では、前記自転速度成分を除いた底部横速度Vl ′および上部横速度Vu ′から、前記式9に準じて水平軸L回りのモーメントωl を求め、ブロックB24で下中心ロール速度成分用ゲインKl を乗算し、ブロックB25でローパスフィルタをかけ、下中心ロール運動成分により算出された横速度を求め、さらにブロック25aで「rl 」を乗算し、得られたデータを差分回路D5に出力する。
【0042】
次に、差分回路D5,D6で自転速度成分を除いた底部横速度Vl ′から、ブロック25aの出力データ、ブロック20aの出力データを減算して純粋前側絶対横速度Vg を求める。(よって、この図7は本発明の絶対横速度検出手段を構成している。)なお、ここでは、底部横速度Vl ′からブロックB25aの出力データ、ブロックB20aの出力データを減算しているが、上部横速度Vu ′から上記各データを減算して純粋絶対横速度Vg (前側)を求めてもよいものである。
【0043】
上述した前側の信号処理と同様に後側の信号処理が行われ、純粋絶対横速度Vg (後側)が求められ、その後、純粋絶対横速度Vg (前側)および純粋絶対横速度Vg (後側)は、図8に示す処理が行われる。すなわち、純粋絶対横速度Vg (前側)は、ブロックB38において、前、後側独立である前側ゲインが乗算され、ブロックB39でローパスフィルタがかけられ、加え合わせ回路D7に出力される。一方、純粋絶対横速度Vg (後側)も同様に、ブロックB40において、前、後側独立である後側ゲインが乗算され、ブロックB41でローパスフィルタがかけられ、加え合わせ回路D9に出力される。
【0044】
また、純粋絶対横速度Vg (前側)および純粋絶対横速度Vg (後側)は、それぞれ差分回路D11および加え合わせ回路D12に出力される。そして、差分回路D11の差分演算処理によって車体6のヨー速度成分と、加え合わせ回路D12の加え合わせ演算処理によって車体6のスエー速度成分とがそれぞれ求められる。求められたヨー速度成分に対しては、ブロックB33でヨー速度成分用ゲインを乗算し、ブロックB34でローパスフィルタをかけ、ここで得たデータは加え合わせ回路D8および差分回路D10に出力される。一方、スエー速度成分に対しては、ブロックB31でスエー速度成分用ゲインを乗算し、ブロックB32でローパスフィルタをかけ、ここで得たデータは加え合わせ回路D7,D9に出力される。
【0045】
そして、加え合わせ回路D7で得た純粋絶対横速度Vg (前側)とスエー速度成分とを加えた速度成分データは、加え合わせ回路D8でさらにヨー速度成分が加えられ、ブロックB36で目標減衰係数C(前側)と、この目標減衰係数Cに対応した比例ソレノイド19に供給される目標電流I(前側)が求められる。
一方、加え合わせ回路D9で得た純粋絶対横速度Vg (後側)とスエー速度成分とを加えた速度成分データは、差分回路D11でヨー速度成分が減算され、ブロックB37で目標減衰係数C(後側)と、この目標減衰係数Cに対応した比例ソレノイド19に供給される目標電流I(後側)が求められる。
ここで求められた前、後側それぞれの目標電流Iを前、後側それぞれの減衰力可変型ダンパ7F ,7R の比例ソレノイド19に出力することにより、減衰力を調整する。
【0046】
以上のようにして、図6のステップS7の処理を終了する。ステップS7の処理を終了すると、ステップS3に戻って上述したように処理が行われる。
【0047】
上記実施の形態では、上中心ロール運動と下中心ロール運動が同時に発生しないとしており、上中心ロール運動と下中心ロール運動が切り替わる時に急激に制御力が変化しないようにブロックB16、B21において、Vの値が徐々に変化するようにしている。なお、急激に変化させるようにしてもよい。この場合、応答性は良くなるが、切換え時の衝撃が発生しやすくなる。
【0048】
上述したように構成した鉄道車両用振動制御装置では、上部、底部絶対横加速度センサ8FU,8FL及びコントローラ9の積分処理ブロックB10,B12が得る上部、底部絶対横速度Vu ,Vl に基づいて、自転速度成分、上中心ロール速度成分、下中心ロール速度成分を求め、その各速度成分を考慮して、台車上部車体重心における純粋絶対横速度(車体6の左右方向推移に伴う絶対横速度)を検出し、この純粋絶対横速度に基づいて比例ソレノイド19を制御して前側、後側のダンパ7F ,7R の減衰力を調整するので、車体6の横運動の低減を確実に果たすことができる。
また、図11に示す従来技術では、ロール運動の抑制を行うために前、後側計6個のセンサが必要とされるが、これに比して本実施の形態では、良好なロール制御を前、後側計4個のセンサで行えるので、接続線が少なくて済む上、信号処理量も少なくなって装置の構成を簡略化できる。
【0049】
なお、上記実施の形態では、図8のブロック図に示すようにスエー運動による成分、ヨー運動による成分を分離して制御するようにしているので、このスエー成分、ヨー成分算出結果に応じて前、後側の減衰力可変型ダンパ7F ,7R の減衰力が調整され、ヨー運動の低減を図ることができると共に、横方向の車体の推移(スエー運動)の低減を図ることができ、さらに精度よく車体の振動抑制制御を行うことができる。
【0050】
また、上記実施の形態では、2本のレール12上を走行するタイプの鉄道車両1を例にしたが、これに代えて図9に示すようにモノレールタイプの鉄道車両1に本発明の鉄道車両用振動制御装置を適用してもよい。なお、図9に示す鉄道車両1は、図1に示すものに比して、2本のレール12に代えてコンクリートの軌道からなるモノレール2を設け、車輪11に代えてタイヤ3を介して前、後台車4F ,4R をモノレール2に支持させることが異なっている。
【0051】
【発明の効果】
本発明は、各台車の鉛直線と車体重心を含む水平軸との各交点に相当する台車上部車体重心における車体の絶対横速度を検出し、車体と各台車との間に設けられた減衰力可変型ダンパを制御するようにしたので、乗員が略位置する台車上部車体重心高さ位置における振動を効果的に抑制することができるので、乗り心地の向上を図ることができる。さらに、車体の振動要素(速度成分)として、自転速度成分、上中心ロール速度成分および下中心ロール速度成分の台車上部車体重心における絶対横速度を、車体の底部及び上部の各台車に対応する部分に設けた底部、上部絶対横速度検出手段により求め、この各速度成分を底部または上部絶対横速度検出手段の検出結果から除くことで、車体の純粋な絶対横速度を求めるようにしているので、底部絶対横速度検出手段と上部絶対横速度検出手段のみで、純粋な絶対横速度を得ることができ、簡易な装置構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態の鉄道車両用振動制御装置を模式的に示す図である。
【図2】同鉄道車両用振動制御装置を用いる鉄道車両を模式的に示す側面図である。
【図3】図1の鉄道車両用振動制御装置のダンパを模式的に示す図である。
【図4】同ダンパの比例ソレノイド供給電流−減衰力特性を示す図である。
【図5】同ダンパのピストンのスピード−減衰力特性を示す図である。
【図6】同鉄道車両用振動制御装置のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図7】同コントローラのステップS7の処理内容を模式的に示すブロック線図である。
【図8】同コントローラのステップS7の処理内容を模式的に示すブロック線図である。
【図9】図1の鉄道車両に代えるモノレールタイプの鉄道車両の一例を示す図である。
【図10】従来技術の一例を模式的に示す図である。
【図11】従来技術の他の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
4F ,4R 前、後台車
6 車体
7F ,7R 前、後側の減衰力可変型ダンパ
8FU,8FL,8RU,8RL 前上部、前底部、後上部、後底部絶対横加速度センサ
9 コントローラ
Claims (2)
- 車体の前後それぞれに設けられた前後一対の台車と、前記車体と前記一対の台車との間に設けられ、車体の台車に対する左右方向の移動に対して減衰力を発生し、縮み側の減衰力が小さい値のとき、伸び側の減衰力を大きい値とし、伸び側の減衰力が小さい値のとき、縮み側の減衰力を大きい値とする減衰力可変型ダンパと、 前記各台車の鉛直線と前記車体の上方の水平軸との各交点を中心とする上中心ロール速度成分および前記各台車の鉛直線と前記車体の下方の水平軸との各交点を中心とする下中心ロール速度成分を除いた値として、前記各台車の鉛直線と車体重心を含む水平軸との各交点に相当する台車上部車体重心における車体の絶対横速度を検出する絶対横速度検出手段と、該絶対横速度検出手段の検出結果に基づいて、前記車体が左右方向一側へ移動しているときに前記車体が前記台車に対する一側への相対移動に対して減衰力を大きい値とするように調整するコントローラと、を備えたことを特徴とする鉄道車両用振動制御装置。
- 絶対横速度検出手段は、前後一対の台車にそれぞれ対応して車体の底部に設けられ、該車体の底部における左右方向の絶対横速度を検出する底部絶対横速度検出手段と、前後一対の台車にそれぞれ対応して車体の上部に設けられ、該車体の上部における左右方向の絶対横速度を検出する上部絶対横速度検出手段とを有し、
さらに、前記底部絶対横速度検出手段および前記上部絶対横速度検出手段の検出結果から、前記台車上部車体重心を中心とする車体の自転速度成分、前記上中心ロール速度成分および前記下中心ロール速度成分を求め、この各速度成分を前記底部絶対横速度検出手段または前記上部絶対横速度検出手段のいずれか一方の検出結果から除いた値を前記絶対横速度とするようにしたことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両用振動制御装置。
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