JP4032288B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸排気弁の開閉時期を制御する弁開閉時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の弁開閉時期制御装置としては、特開2001―355468号公報に開示される技術がある。これは内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転軸に一体的に固定される回転部材と、該回転部材と相対回転可能に係合する回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方に設けられるベーンと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用室と遅角用室に二分される流体圧室と、前記回転部材とクランク軸との相対回転位相を検出する検出部材とを備えたものである。
【0003】
上記従来技術においては、検出部材は回転部材に形成された円筒状凹部に嵌入されて、締結部材と回転軸との累合により締結部材と回転軸との間に挟着されている。また、検出部材は、プレス一体成形と切削加工又は焼結一体成形品と切削加工、或いは2部品の結合等によって形成されている。
【0004】
しかし、検出部材は、嵌入部および締結座面等を高精度にする必要があり、例えば切削加工で、コストが高くなる。また、締結部材の締結力を締結座面にて受けもつため、限界面圧の高い材料又は熱処理を選択する必要があり、コストが更に高くなる。また、締結部材を締結時、検出部材がつれ回らないようにするため、組付冶具又は回転防止機構により回転部材の回転を防止する必要があり組付が複雑になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、弁開閉時期制御装置において、回転部材とクランク軸との相対回転位相を検出する検出部材を低コストおよび簡単な構造で回転部材に固定することを技術的課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための第1の技術的手段は、内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転軸に締結部材により一体的に固定される回転部材と、該回転部材と相対回転可能に係合する回転伝達部材と、前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方に設けられるベーンと、前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用室と遅角用室に二分される流体圧室と、前記回転部材と前記クランク軸との相対回転位相を検出する検出部材とを備える弁開閉時期制御装置において、前記検出部材を、前記回転部材と前記締結部材との接触面と前記回転部材と前記回転軸との接触面との間に前記回転部材の軸方向に形成された円筒部に圧入固定し、前記締結部材を前記円筒部の前記回転軸とは反対側の端部に当接させて前記回転部材を前記回転軸に前記締結部材により固定することである。
【0007】
この手段によれば、締結部材の座面からの締結力を回転部材で受け持つため、検出部材の限界面圧は低くてもよく、安価な材料を採用できる。また、そのような材料は成形性が良いため、プレス一体成形(切削加工が不要)が可能。また、締結部材の座面からの締結力による回転を回転部材で受け持つため、検出部材のつれ回りを無くすことができると共に、つれ回り防止の組付治具あるいは回り止めの機構を必要としない。
【0008】
上記課題を解決するための第2の技術的手段は、前記検出部材は前記円筒部の外周に圧入固定されることである。
【0009】
この手段によれば、締結部材の軸力により、回転部材の軸方向に軸力が加わり径方向に回転部材が微小に膨らみ、円筒部の外周と検出部材の緊迫力を向上できる。また、単純に回転部材と検出部材の寸法を調整し圧入代を上げた場合は、かじり等が発生し検出部材が垂直に圧入されない等の問題が発生するが、本手段によれば、適正に圧入可能な圧入代で圧入した後に締結部材の軸力による回転部材の微小膨らみで更に圧入代が増し緊迫力を向上できる。これにより、エンジン運転時、回転軸(カムシャフト)から受ける衝撃トルク等による検出部材の回転部材に対するずれを無くすことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従った弁開閉時期制御装置の一実施形態を図面に基づき、説明する。
【0011】
図1及び図2に示した弁開閉時期制御装置は、内燃機関のシリンダヘッド110に回転自在に支持されたカムシャフト(回転軸)10の先端部に一体的に組付けたロータ(回転部材)20と、ロータ20に所定範囲で相対回転可能に外装され、外周に一体的にタイミングスプロケット31が設けられたハウジング(回転伝達部材)30と、ロータ20に組付けた4枚のベーン70等によって構成されている。尚、タイミングスプロケット31には、クランク軸130から図示しないクランクスプロケットとタイミングチェーン120を介して、回転動力が伝達される。尚、本実施形態においては、一例として内燃機関のクランク軸130の回転を、タイミングチェーン120を介してハウジング30のタイミングスプロケット31に回転動力が伝達される構成について説明するが、これに限定されるものではない。例えば、別の構成として、タイミングチェーンに代わってベルト部材を用い、タイミングスプロケット31をプーリに置き換えても良い。
【0012】
ロータ20は段付円筒形状を呈し、中心には軸方向に円筒部20aが形成されると共に、貫通孔20bが形成されている。また、ロータ20は、カムシャフト10が取り付けられる端面に凹部20dが形成され、その凹部20dに、カムシャフト10が位置決めされる。単一の取り付けボルト90が貫通孔20bを通して、円筒部20aの端部に形成された座面20cと当接し、カムシャフト10に締結され、ロータ20を固定している。円筒部20aの外周20eには、略円板状のセンサホィール45が圧入され固定されている。尚、取り付けボルト90により、ロータ20をカムシャフト10に固定するとき、取り付けボルト90の軸力により、円筒部20aの外周20eが径方向に微小変形し、円筒部20aとセンサホィール45の緊迫力を向上させ、カムシャフト10から受ける衝撃トルク等によるセンサホィール45のロータ20に対するずれを無くすことができる。尚、ボルト座面20cは、図1ではセンサホィール45と同一高さだがこの限りではない。ロータ20の外方には、4つのベーン溝21、受容溝22および径方向に延びるそれぞれ4つの通路23、24を備えている。ベーン溝21には4枚のベーン70がそれぞれ径方向に移動可能に取り付けられ、ベーン溝21の底部とベーン70の底面との間には板バネ25が配設されている。これにより、ベーン70は、外方に向けて付勢されて、ハウジング30の摺動面を摺動する。受容溝22には図1に示した状態、カムシャフト10及びロータ20とハウジング30の相対位置が所定の位相(最遅角位置)で同期したとき、その頭部が所定量没入するロックキー80が配設されている。また、受容溝22は進角通路23に連通されている。
【0013】
ハウジング30は、ロータ20の外周に所定角度範囲で相対回転可能に組付けられている。ハウジング30の外周にはタイミングスプロケット31が一体に形成されている。
【0014】
ハウジング30の内周には周方向に4個の凸部33が形成されている。これら凸部33の内周面はロータ20の外周面上で接しており、ハウジング30がロータ20に回転自在に支承されている。ある一つの凸部にはロックキー80を収容する退避溝34と、退避溝34と連通し、ロックキー80を径方向内方へと付勢するスプリング60の収容溝35が形成されている。
【0015】
各ベーンは70、ハウジング30とロータ20との間に、周方向に隣り合う凸部33の間に形成される流体圧室R0を進角用油室(進角用室)R1と遅角用油室(遅角用室)R2とに区画している。最進角側ではベーン70aが凸部33の周方向の一側面33aに当接する位置で相対回転が規制され、最遅角側ではベーン70bが凸部33の周方向の他側面33bに当接する位置で規制される。遅角側ではロックキー80の頭部が受容溝22に入り込むことでロータ20とハウジング30の相対回転を規制する。
【0016】
以上のように構成した本実施形態の弁開閉時期制御装置の作用を説明する。
【0017】
弁開閉時期制御装置は、各進角用油室R1および各遅角用油室R2の油圧を調整し、ハウジング30に対するロータ20の相対回転を制御することにより所望の弁開閉時期を得る。この時、ロータ20と一体回転するセンサホィール45から図示しないセンサにより検出する回転位相とクランク軸部に設けられるセンサにより検出する回転位相とを比較し所望の弁開閉時期が得られたか判定する。
【0018】
内燃機関が停止している時は、ロックキー80の頭部がロータ20の受容溝22に所定量嵌まり込んでおり、最遅角位置でロータ20とハウジング30の相対回転がロックされている。
【0019】
内燃機関の始動後、運転条件によって、弁開閉時期に進角が必要になると、図示しない切換弁の作動により、図示しないオイルポンプから供給される作動油(油圧)は、通路23を通って、進角用油室R1へと供給される。また、通路23から受容溝22にも供給される。一方で遅角用油室R2にあった作動油(油圧)は、通路24を介して切換弁から図示しないオイルパンへ排出される。この時、ロックキー80はスプリング60に抗して移動し、その頭部が受容溝22から抜けて、ロータ20とハウジング30のロックが解除される。従って、カムシャフト10と一体的に回転するロータ20と各ベーン70がハウジング30等に対して進角側Rに相対回転させることができる。
【0020】
また、運転条件によって、弁開閉時期に遅角が必要になると、切換弁の作動により、オイルポンプから供給される作動油(油圧)は、通路24を通って、遅角用油室R2へと供給される。一方で進角用油室R1にあった作動油(油圧)は、通路23を介して切換弁から図示しないオイルパンへ排出される。従って、ロータ20と各ベーン70をハウジング30に対して遅角側に相対回転させることができる。
【0021】
【発明の効果】
上記したように、請求項1の発明によれば、取り付けボルト90の座面からの締結力をロータ20で受け持つため、センサホィール45の限界面圧は低くてもよく、安価な材料を採用できる。また、そのような材料は成形性が良いため、プレス一体成形(切削加工が不要)が可能。また、取り付けボルト90の座面からの締結力による回転をロータ20で受け持つため、センサホィール45のつれ回りを無くすことができると共に、つれ回り防止の組付治具あるいは回り止めの機構を必要としない。
【0022】
また、請求項2の発明によれば、取り付けボルト90の軸力により、ロータ20の軸方向に軸力が加わり径方向にロータ20が微小に膨らみ、円筒部の外周とセンサホィール45の緊迫力を向上できる。また、単純にロータ20とセンサホィール45の寸法を調整し圧入代を上げた場合は、かじり等が発生しセンサホィール45が垂直に圧入されない等の問題が発生するが、本手段によれば、適正に圧入可能な圧入代で圧入した後に取り付けボルト90の軸力によるロータ20の微小膨らみで更に圧入代が増し緊迫力を向上できる。これにより、エンジン運転時、カムシャフト10から受ける衝撃トルク等によるセンサホィール45のロータ20に対するずれを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に従った弁開閉時期制御装置の一実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】 図1の▲2▼−▲2▼線に沿った断面図である。
【符号の説明】
10・・・カムシャフト(回転軸)
20・・・ロータ(回転部材)
20a・・・円筒部
20e・・・外周
30・・・ハウジング(回転伝達部材)
45・・・センサホィール(検出部材)
70・・・ベーン
90・・・取り付けボルト(締結部材)
110・・・シリンダヘッド
130・・・クランク軸
R0・・・流体圧室
R1・・・進角用油室(進角用室)
R2・・・遅角用油室(遅角用室)

Claims (2)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転軸に締結部材により一体的に固定される回転部材と、
    該回転部材と相対回転可能に係合する回転伝達部材と、
    前記回転部材又は前記回転伝達部材の一方に設けられるベーンと、
    前記回転部材と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用室と遅角用室に二分される流体圧室と、
    前記回転部材とクランク軸との相対回転位相を検出する検出部材とを備える弁開閉時期制御装置において、
    前記検出部材を、前記回転部材と前記締結部材との接触面と前記回転部材と前記回転軸との接触面との間に前記回転部材の軸方向に形成された円筒部に圧入固定し、前記締結部材を前記円筒部の前記回転軸とは反対側の端部に当接させて前記回転部材を前記回転軸に前記締結部材により固定することを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 前記検出部材は前記円筒部の外周に圧入固定されることを特徴とする請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
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