JP3855450B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の動弁装置において吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の弁開閉時期制御装置の1つとして、内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転軸(カムシャフトとこれに一体的に設けた内部ロータからなる)に所定範囲で相対回転可能に外装されクランク軸からの回転動力が伝達される回転伝達部材と、前記回転軸に取り付けられたベーンと、前記回転軸と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用室と遅角用室とに二分される流体圧室と、前記進角用室に流体を給排する第1流体通路と、前記遅角用室に流体を給排する第2流体通路と、前記回転伝達部材に形成され内部に前記回転軸に向けてばね付勢されたロックピンを収容する退避孔と、前記回転軸に形成され前記回転軸と前記回転伝達部材の相対位相が所定の位相で前記退避孔と同期したとき前記ロックピンの頭部が嵌入される受容孔と、この受容孔に流体を給排する第3流体通路とを備えたものがあり、例えば特開平1−92504号公報や実開平2−50105号公報に開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した各公報に開示されている弁開閉時期制御装置においては、ロックピンの頭部が受容孔に嵌入することにより回転軸と回転伝達部材の相対位相が保持され、ロックピンの受容孔への嵌入時に、ロックピンには退避孔に収容される部分と頭部との境界部位に剪断荷重が作用し、該剪断荷重はカムシャフトに作用する変動トルクにより繰り返し作用する。このため、ロックピン及び受容孔には、この剪断荷重に耐えるだけの強度を確保するための浸炭焼入れ等の熱処理等が必要となり、当該弁開閉時期制御装置の製造コストが嵩むという問題があった。
【0004】
また、更に上記したようにロックピンに繰り返しの剪断荷重が作用することから、該剪断荷重により退避孔内周面が摩耗及び変形し、ロックピンの摺動が阻害されてロックピンの作動不良が発生する恐れがあった。
【0005】
それゆえ、本発明は当該弁開閉時期制御装置において、ロック部材によるロック時に剪断荷重がロックピンに作用しないようにして、当該弁開閉時期制御装置の製造コストの増大及びロック部材の作動不良の発生を防止することを、その課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために講じた本発明の技術的手段は、内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転軸と、該回転軸に所定範囲で相対回転可能に外装される回転伝達部材と、前記回転軸又は前記回転伝達部材の一方に設けられたベーンと、前記回転軸と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用室と遅角用室とに二分される流体圧室と、前記進角用室に流体を給排する第1流体通路と、前記遅角用室に流体を給排する第2流体通路と、前記回転軸又は前記回転伝達部材に収容されて前記回転軸と前記回転伝達部材との所定の相対位相の時に前記回転伝達部材又は前記回転軸に周方向に係合して前記回転軸と前記回転伝達部材との相対位相を保持するロック部材とを備えて、内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置において、前記回転軸の前記回転伝達部材に対する周方向一方側への回転が前記回転軸に形成されたストッパ部が前記回転伝達部材に当接することにより規制されるようにし、前記回転軸の外周に周方向他方側に向けられた第1段部を設けると共に、前記回転伝達部材の内周に前記第1段部に対向するように周方向一方側に向けられ前記ストッパ部の当接時に前記第1段部との間に所定の周方向間隙部を形成する第2段部を設け、前記第1段部の軸方向に切欠き部が形成され、前記ロック部材を前記回転軸又は前記回転伝達部材に形成される収容孔に嵌入されて該収容孔底部に形成される圧力室の圧力に応じて前記収容孔内を移動可能なピストン部と、該ピストン部に連結され前記ピストン部の移動に応じて前記周方向間隙部に嵌入して前記回転軸の前記回転伝達部材に対する周方向他方側への回転を規制可能な規制部とを備えた構成としたことである。
【0007】
上記した手段によれば、ロック部材の規制部が第1段部と第2段部との間の周方向間隙部に嵌入されることにより、回転軸と回転伝達部材の相対位相が保持される。この時、規制部は第1段部と第2段部との間で周方向に挟圧され、剪断荷重を受けることがないので、剪断強度向上の為の処理等が不要となると共に、ピストン部を収容する収容孔内周に変形及び摩耗が発生することが防止される。
【0008】
上記した手段において、前記ロック部材は前記回転伝達部材に収容され、円筒状を呈する前記ピストン部が前記回転伝達部材に軸方向に形成される収容孔に軸方向に移動可能に且つ前記圧力室に向けてばね付勢されて嵌挿されていると共に、前記規制部は径方向に延在する連結部を介して前記ピストン部に連結されて前記ピストン部の移動に応じて軸方向に移動可能とされていることが望ましい。更に、前記回転軸は、前記シリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフトと、このカムシャフトの先端部に一体的に設けた内部ロータからなり、前記回転伝達部材は、前記内部ロータを収容する外部ロータ、フロントプレート及びリアプレートとからなり、前記第1段部及び前記第2段部が夫々前記内部ロータの外周及び前記外部ロータの内周に形成されていると共に、前記収容孔が形成される前記外部ロータに前記ロック部材が収容されていることが望ましい。
【0009】
また、上記した手段において、前記ベーンは前記回転軸の外周から径方向に延在するように一体に設けられており、前記ベーンの径方向内端に前記ストッパ部が周方向一方側に突設されていることが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に従った弁開閉時期制御装置の一実施形態を図面に基づき、説明する。
【0011】
図1及び図2に示した弁開閉時期制御装置は、内燃機関のシリンダヘッド70に回転自在に支持されたカムシャフト10とこれの先端部(図1の左端)に一体的に組付けた内部ロータ20とからなる弁開閉用の回転軸と、カムシャフト10及び内部ロータ20に所定範囲で相対回転可能に外装された外部ロータ30、フロントプレート40、リアプレート50及びリアプレート50の外周に一体的に設けたタイミングスプロケット51から成る回転伝達部材と、内部ロータ20の外周に一体的に設けた4枚のベーン20aと、外部ロータ30に組付けたロック機構(位相保持機構)80によって構成されている。尚、タイミングスプロケット51には、周知のように、図示省略したクランク軸からクランクスプロケットとタイミングチェーンを介して図2の時計方向に回転動力が伝達されるように構成されている。
【0012】
カムシャフト10は、吸気弁を開閉する図示しない周知のカムを有していて、内部にはカムシャフト10の軸方向に延びる遅角通路11及び進角通路12が設けられている。進角通路12は、カムシャフト10に設けた取付ボルト16用の取付孔内に形成されていて、カムシャフト10に設けた径方向の通路13及び環状溝14とシリンダヘッド70に設けた接続通路72を通して制御弁90の接続ポート91bに接続されている。遅角通路11は、カムシャフト10に設けた環状溝15とシリンダヘッド70に設けた接続通路71を介して制御弁90の接続ポート91aに接続されている。
【0013】
制御弁90は、ソレノイド92へ通電することによりハウジング内に軸方向に移動可能に嵌挿されたスプール91をスプリング93に抗して図1の左方向へ移動できるものであり、非通電時には当該内燃機関によって駆動されるオイルポンプPに接続された供給ポート91cが接続ポート91aに連通すると共に、接続ポート91bが排出ポート91dに連通するように、また通電時には供給ポート91cが接続ポート91bに連通すると共に、接続ポート91aが排出ポート91dに連通するように構成されている。このため、制御弁90のソレノイド92の非通電時には遅角通路11に作動油が供給され、ソレノイド92の通電時には進角通路12に作動油が供給され、ソレノイド92への通電が図示しない制御装置によりデューティ制御される。
【0014】
内部ロータ20は、本実施形態においては樹脂材により成形されており、単一の取付ボルト16によってカムシャフト10に一体的に固着されていて、4枚の各ベーン20aをその外周に一体に有している。更に、内部ロータ20は、カムシャフト10及び内部ロータ20と外部ロータ30の相対位相が後述する所定の位相(最大遅角位置)で同期したとき後述する外部ロータ30の突部31の内周に形成される第2段部33とその対向面25aとの間に周方向間隙部61を形成するように径方向に拡径された第1段部25(図4参照)と、各ベーン20aによって区画された進角用室R1に進角通路12から作動油を給排するように進角通路12と各進角用室R2を連通する通路23と、カムシャフト10の先端面に対向する側の一端面に形成され遅角通路11に連通する環状溝21と、該環状溝21から軸方向に他端面側に延びる4つの通路22と、各ベーン20aによって区画された遅角用室R2に遅角通路11から作動油を環状溝21及び通路22を通して給排するように各通路22と各遅角用室R2を連通する通路24を有している。尚、第1段部25は対向面25aが進角側(図2において、時計方向側)を向くように形成され、また図4に示すように、第1段部25の軸方向リアプレート50側には遅角側(図2において、反時計方向)に切欠き部26が形成されている。
【0015】
外部ロータ30は、本実施形態においては樹脂材により成形されており、内部ロータ20の外周に所定範囲で相対回転可能に組付けられていて、その両側にはフロントプレート40とリアプレート50が接合され、貫通孔32を貫通する4本の図示しない連結ボルトによって一体的に連結されている。また、外部ロータ30の内周には所定の周方向間隔で4個の突部31が径方向内方に向けて夫々突出形成されていて、これら突部31の内周面がシール部材102を介して内部ロータ20の外周面に液密的に摺接する構成で外部ロータ30が内部ロータ20に回転自在に支承されており、一つの突部31にはロック部材81を収容する収容孔34が外部ロータ30の軸方向に形成されている。ロック部材81を収容する突部31の内周面には、内部ロータ20の第1段部25が摺接する第2段部33が径方向に拡径されて形成されている。収容孔34は、軸方向にリアプレート50側に開口すると共に、径方向に第2段部33側に開口するように形成されており、収容孔34のフロントプレート40側の底部には第2段部33から径方向外方に離間した位置に軸方向にフロントプレート40側に貫通する油圧孔34aが形成されている。該油圧孔34aのフロントプレート40側開口は、フロントプレート40により閉塞されていると共に、油圧孔34aのフロントプレート40側開口端は外部ロータ30の突部31のフロントプレート40側対向面に形成される連通溝35を介して隣設される流体圧室R0の進角用室R1に連通されている。
【0016】
各ベーン20aは、上記したように内部ロータ20の外周に一体に設けられていて、外部ロータ30と、外部ロータ30の各突部31と、内部ロータ20と、フロントプレート40と、リアプレート50との間に形成される流体圧室R0を進角用室R1と遅角用室R2とに二分しており、外部ロータ30に形成した一対の突部31の互いに対向する周方向端面に1つのベーン(図2の上のベーン)20aのストッパ部20b、20cが当接することにより、当該弁開閉時期制御装置により調整される位相(相対回転量)が制限されるようになっている。本実施形態においては、ストッパ部20b、20cは、図2の上に位置する1つのベーン20aの基部(径方向内端)に周方向に突出して形成されており、ストッパ部20b、20cの外径Rsは、図2の上に位置する1つのベーン20aの基部から周方向に延在する内部ロータ20の摺動外径R1<Rs<ベーン20aの最大径となるように設定されている。また、これらストッパ部20b、20cが当接する一対の突部31の互いに対向する周方向端面には、夫々凹部31a、31bが形成されており、凹部31a、31bの外径>内部ロータ20の摺動外径R1となるように設定されている。これにより、本実施形態においては、ベーン20aは上記した位相制限時に衝撃的な荷重を受けることなく、最小限(流体圧室R0内の油圧に対する剛性)のみの薄肉化が可能とされ、この薄肉化によりベーン枚数を多くすることができ、大きな変換トルク及び変換角度が確保できるようにされている。
【0017】
ロック部材81は、図3に示すように、収容孔34内に軸方向へ移動可能に組み付けられていて、油圧孔34a内に軸方向に摺動可能に嵌挿されて油圧孔34aの開口端に圧力室60を形成するピストン部81aと、該ピストン部81aに連結部81cを介して連結されてピストン部81aに平行に軸方向に突出形成される規制部81bとを有している。ロック部材81は、一端をリアプレート50に係止されるスプリング82によって圧力室60側に向けて常時付勢されており、圧力室60に作動油が供給されることにより圧力室60内の油圧によってスプリング82に抗してリアプレート50側に移動可能となっている。規制部81bは、ストッパ部20bが凹部31aに当接する図2に示す最大遅角状態において第1段部25と第2段部33との間に形成される周方向間隙部61に嵌入可能であるように該間隙部に沿った形状を呈しており、上記したように圧力室60の油圧によりロック部材81(ピストン部81a)がリアプレート50側に移動することで周方向間隙部61から退避するようになっている。尚、規制部81bが退避した状態では、切欠き部26により規制部81bにより内部ロータ20は外部ロータ30に対する進角側への回転を妨げられることなく、ストッパ部20cが凹部31bに当接する最大進角状態まで内部ロータ20は外部ロータ30に対して回転可能となっている。
【0018】
上記のように構成した本実施形態の弁開閉時期制御装置においては、内燃機関が始動され各進角用室R1及び各遅角用室R2に所定油圧が供給される中間位相でのバランス状態(各進角用室R1内の進角油圧による押圧力が、各遅角用室R2内の遅角油圧による押圧力と、外部ロータ30から内部ロータ20への回転伝達経路に流体圧室R0及びベーン20aが介在していることから内部ロータ20及びカムシャフト10に常に作用している遅角方向への力との和とバランスしている状態)において、内燃機関の運転状態に応じて、制御弁90のソレノイド92へ供給される電流のデューティ比を高くすることにより、進角通路12と通路23を通して各進角用室R1に作動油が供給されると共に、各遅角用室R2から各通路24、22と遅角通路11と制御弁90等を通して作動油が排出されると、内部ロータ20と各ベーン20aが外部ロータ30、両プレート40、50等に対して進角側(図2の時計方向)に相対回転し、この相対回転量(最大進角量)は、ストッパ部20cが凹部31bに当接することにより制限される。また、制御弁90のソレノイド92へ供給される電流のデューティ比を低くすることにより、遅角通路11と各通路22、24を通して各遅角用室R2に作動油が供給されると共に、各進角用室R1から各通路23と進角通路12と制御弁90等を通して作動油が排出されると、内部ロータ20と各ベーン20aが外部ロータ30、両プレート40、50等に対して遅角側(図2の反時計方向)に相対回転し、この相対回転量(最大遅角量)は、図2に示すように、ストッパ部20bが凹部31aに当接することにより制限される。尚、この位相変換制御中(最大遅角状態時を除く)は、圧力室60に連通溝35を通して設定圧以上の油圧(上記した所定油圧よりも低い油圧)が供給されており、ピストン部81a(ロック部材81)がスプリング82に抗して移動し、規制部81bが周方向間隙部60から収容孔34に退避して、ロック部材81によるロックが解除されている。
【0019】
内燃機関の停止時には、オイルポンプPの駆動が停止されて流体圧室R0への作動油の供給が停止されると共に、制御弁90が非通電状態とされる。これにより、進角用室R1内の進角油圧による押圧力と遅角用室R2内の遅角油圧による押圧力がベーン60に作用しなくなり、内部ロータ20及びカムシャフト10には、上記した遅角方向への力により最大遅角状態まで回転させられる。この最大遅角状態にて、周方向間隙部60に規制部81bが嵌入され、内部ロータ20と外部ロータ30の相対位相が保持(ロック)される。
【0020】
このロック状態にて、当該内燃機関が始動してオイルポンプPが駆動されても、当該内燃機関の始動後所定時間、即ち、流体圧室R0の油圧が上昇し該油圧によりベーン20aを保持することができるようになるまでは不安定な状態となり、カムシャフト10に作用する変動トルクによってカムシャフト10及び内部ロータ20が外部ロータ30に対して遅角方向及び進角方向に回転しようとするが、この時には規制部81bが周方向間隙部61に嵌入されていてストッパ部20bとでカムシャフト10及び内部ロータ20の外部ロータ30に対する遅角方向及び進角方向への回転が阻止される。これにより、内燃機関の始動時にベーン20aが流体圧室R0の端壁に当接して発生する打音を防止することができる。
【0021】
本実施形態においては、上記したロック時には、規制部81bが第1段部25と第2段部33との間で挟圧され、従来装置のようにロック部材81には剪断荷重が作用しない。一般に剪断強度に対して圧縮荷重は高いため、本実施形態においては強度向上のために浸炭焼入れ等の熱処理をロック部材81に施す必要はない。そのため、本実施形態によれば当該弁開閉時期制御装置の製造コストを低減することが可能である。また、本実施形態においては、規制部81bと周方向間隙部61に周方向のガタが生じたとしても、このガタ分だけロック部材81が周方向に移動することなく、ピストン部81aの軸心を中心にロック部材81が回動することによりガタが吸収される。このため、ガタにより油圧孔34aの摺動面に荷重が付与されることがなく、ピストン部81aの油圧孔34a内の摺動が円滑に維持される。したがって、第1段部25、第2段部33及び規制部81bを高精度とする必要がなく、型成形による加工レス化が可能となり、当該弁開閉時期制御装置の製造コストの低減が可能となる。また、ロック部材81は軸方向に収容孔34内に組込まれるので、同一方向の組付けが可能となり、生産性を向上することができる。
【0022】
上記実施形態においては、一つのベーン20aのストッパ部20cが凹部31bに当接することにより最大進角量が制限される弁開閉時期制御装置に本発明を実施したが、本発明は最大進角量が進角用室R1と遅角用室R2の油圧を制御することによりストッパ部が凹部31bに当接する前に制限されるようにされた弁開閉時期制御装置にも同様に実施し得るものである。この場合には、ストッパ部20c及び凹部31bは不要となる。また、更に上記実施形態においては、吸気用のカムシャフト10に組付けられる弁開閉時期制御装置に本発明を実施したが、本発明は排気用のカムシャフトに組付けられる弁開閉時期制御装置にも同様に実施し得るものである。
【0023】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、ロック部材の規制部が第1段部と第2段部との間の周方向間隙部に嵌入されることにより、回転軸と回転伝達部材の相対位相が保持されるので、この保持時には規制部は第1段部と第2段部との間で周方向に挟圧され、剪断荷重を受けることがない。このため、剪断強度向上の為の処理等が不要とし、当該弁開閉時期制御装置の製造コストを低減することが可能となると共に、ピストン部を収容する収容孔内周に変形及び摩耗が発生することが防止され、当該弁開閉時期制御装置の作動信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従った弁開閉時期制御装置の一実施形態を示す縦断側面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1に示す第1実施形態のロック部材の斜視図である。
【図4】図1に示す第1実施形態の内部ロータの第1段部を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 カムシャフト(回転軸)
11 遅角通路(第2流体通路)
12 進角通路(第2流体通路)
20 内部ロータ(回転軸)
20a ベーン
20b ストッパ部
23 通路(第1流体通路)
24 通路(第2流体通路)
25 第1段部
30 外部ロータ(回転伝達部材)
31 突部
33 第2段部
34 収容孔
34a 油圧孔
40 フロントプレート(回転伝達部材)
50 リアプレート(回転伝達部材)
81 ロック部材
81a ピストン部
81b 規制部
81c 連結部
82 スプリング
R0 流体圧室
R1 進角用室
R2 遅角用室

Claims (4)

  1. 内燃機関のシリンダヘッドに回転自在に組付けられる弁開閉用の回転軸と、
    該回転軸に所定範囲で相対回転可能に外装される回転伝達部材と、
    前記回転軸又は前記回転伝達部材の一方に設けられたベーンと、
    前記回転軸と前記回転伝達部材との間に形成され前記ベーンによって進角用室と遅角用室とに二分される流体圧室と、
    前記進角用室に流体を給排する第1流体通路と、
    前記遅角用室に流体を給排する第2流体通路と、
    前記回転軸又は前記回転伝達部材に収容されて前記回転軸と前記回転伝達部材との所定の相対位相の時に前記回転伝達部材又は前記回転軸に周方向に係合して前記回転軸と前記回転伝達部材との相対位相を保持するロック部材とを備えて、
    内燃機関の吸気弁又は排気弁の開閉時期を制御するために使用される弁開閉時期制御装置において、
    前記回転軸の前記回転伝達部材に対する周方向一方側への回転が前記回転軸に形成されたストッパ部が前記回転伝達部材に当接することにより規制されるようにし、
    前記回転軸の外周に周方向他方側に向けられた第1段部を設けると共に、
    前記回転伝達部材の内周に前記第1段部に対向するように周方向一方側に向けられ前記ストッパ部の当接時に前記第1段部との間に所定の周方向間隙部を形成する第2段部を設け、
    前記第1段部の軸方向に切欠き部が形成され、
    前記ロック部材を前記回転軸又は前記回転伝達部材に形成される収容孔に嵌入されて該収容孔底部に形成される圧力室の圧力に応じて前記収容孔内を移動可能なピストン部と、該ピストン部に連結され前記ピストン部の移動に応じて前記周方向間隙部に嵌入して前記回転軸の前記回転伝達部材に対する周方向他方側への回転を規制可能な規制部とを備えた構成としたことを特徴とする弁開閉時期制御装置。
  2. 前記ロック部材は前記回転伝達部材に収容され、円筒状を呈する前記ピストン部が前記回転伝達部材に軸方向に形成される収容孔に軸方向に移動可能に且つ前記圧力室に向けてばね付勢されて嵌挿されていると共に、前記規制部は径方向に延在する連結部を介して前記ピストン部に連結されて前記ピストン部の移動に応じて軸方向に移動可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
  3. 前記回転軸は、前記シリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフトと、このカムシャフトの先端部に一体的に設けた内部ロータからなり、前記回転伝達部材は、前記内部ロータを収容する外部ロータ、フロントプレート及びリアプレートとからなり、前記第1段部及び前記第2段部が夫々前記内部ロータの外周及び前記外部ロータの内周に形成されていると共に、前記収容孔が形成される前記外部ロータに前記ロック部材が収容されていることを特徴とする請求項2に記載の弁開閉時期制御装置。
  4. 前記ベーンは前記回転軸の外周から径方向に延在するように一体に設けられており、前記ベーンの径方向内端に前記ストッパ部が周方向一方側に突設されていることを特徴とする請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
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