JP4031239B2 - 加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に使用するプリント基板等に穴等を加工する加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント基板には、搭載する電子部品の端子を挿入するためのスルーホールや、基板内に多層に構成された配線の層間を接続する回路を形成するためのビアホール等、多数の穴を加工する必要がある。これらの穴は、一般にドリルやレーザ光を用いた加工装置によって加工される。これらの穴を加工する順序が適切でないと、ドリルやレーザスポットの移動距離(巡回路)が長くなり、加工時間が長くなる。このため、ドリルやレーザスポットの巡回路ができるだけ短くなるように加工順序を最適化する必要がある。
【0003】
加工順序の最適化問題は、与えられた訪問箇所を一度ずつ巡回する最短の経路を求める巡回セールスマン問題の一種と考えることができるが、この種の問題はNP困難な問題と呼ばれ、訪問箇所が多い場合に真に最短な経路を実用的な計算時間で求める方法は発見されていない。そこで、真に最短ではないが、それに近い解を求める近似解法として、局所探索法、シミュレーテッドアニーリング法、遺伝的アルゴリズムなど種々の方法が提案されている。
【0004】
そして、局所探索法では、初期値として任意の巡回路を用意し、その巡回路の一部を変更した時に元の巡回路より経路長が短くなる場合は巡回路を修正するという操作を繰り返して近似解を求める。
【0005】
また、シミュレーテッドアニーリング法では、局所探索法における修正操作を元の巡回路より経路長が短くなる場合だけでなく、短くならない場合にも不規則に実施する。さらに、このような特殊な修正が行われる確率を時間とともに変化させることにより、探索操作が局所解に留まることを改善して近似解を求める。
【0006】
また、遺伝的アルゴリズムでは、複数の巡回路の候補を生成し、これらを生物の遺伝子に見たてて、交配、突然変異、淘汰などの操作を繰り返すことにより、優れた近似解を求める。
【0007】
従来の穴加工機は、上記の近似解法によって加工順序を最適化しており、例えば、特開平8−6625号公報では、初期値として与えられる巡回路の中の一つあるいは複数の穴の順序を入れ替える局所探索法によって近似解を求め、加工順序を決定している。
【0008】
ところで、レーザ光を用いた穴加工では、穴の品質を高めるため、一つの穴に対してレーザ光を複数回に分けて照射する。バースト加工は、レーザ光を一つの穴に複数回連続して照射してその穴の加工を終了させた後、次の穴を加工する加工方法であり、サイクル加工は、一つの穴にレーザ光を一回照射して次の穴に移動し、全ての穴を巡回してから再び一回ずつ照射することを繰り返す加工方法である。いずれの加工方法においても、上記近似解法を用いて得られた巡回路を用いて加工をする。
【0009】
図11は、巡回路の一例を示す図である。同図において、黒丸はスキャンエリア20内における加工すべき穴の位置を表している。図示の場合、巡回路は、穴21から加工を開始し、図中実線で示す経路で巡回して穴22で加工を終了するものであり、バースト加工の加工順序として最適なものになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、サイクル加工では、バースト加工に比べてレーザ光の照射間隔を長くできるので、バースト加工よりも品質に優れる穴を加工することができる。
【0011】
しかし、図11に示す巡回路を用いてサイクル加工を実施する場合、照射回数をNとすると、バースト加工の概略N倍の時間がかかることになる。
【0012】
本発明の目的は、上記従来技術における課題を解決し、サイクル加工においても加工時間を短くすることができ、加工速度および加工品質に優れる加工装置を提供するにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
特に電子回路の基板の場合、集積回路のような電子部品を装着する部分には端子を挿入するための穴が多数集中する等、穴位置の分布にはばらつきがある。
【0014】
そこで、図11に点線で囲んで示す穴が密集している領域をサブエリア24としてまとめ、一つのサブエリア24内で照射回数がN回のサイクル加工を実施した後に次のサブエリア24に移動し、そこで再びサイクル加工を実施するようにすると、同図に実線で示す移動経路23a、23b、23cを通る回数をN回から1回に、また二点鎖線で示す移動経路23dを通る回数をN−1回から0回に減らすことができる。
【0015】
そこで、上記の目的を達成するため、本発明の第1の手段は、対象物に対して所定の加工を行う加工手段と、この加工手段を加工位置に位置決めする移動手段と、予め定められた加工領域内の加工経路の長さまたは前記加工手段の移動時間が短くなるように加工順序を最適化する加工順序最適化手段とを有する加工装置において、前記加工領域内における前記加工位置が密集した領域を1個のサブエリアにまとめるサブエリア生成手段を備え、前記サブエリア生成手段は、前記加工領域を格子状の区画に区分する第1の手段と、前記第1の手段によって区分された区画を前記加工位置を含む区画とその他の区画とに分類する第2の手段と、前記第2の手段によって分類された前記区画を拡張する第3の手段と、前記第3の手段によって拡張され、連結された領域をサブエリアとする第4の手段とを含んでいることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第2の手段は、対象物に対して所定の加工を行う加工手段と、移動範囲が広い第1の移動手段と、この第1の移動手段により位置決めされ移動範囲が狭い第2の移動手段とを備え、前記第1と第2の移動手段により前記加工手段を加工位置に位置決めする加工装置において、前記第2の移動手段で加工可能な領域の内部に当該境界に接する調整領域を設け、前記調整領域内における前記加工位置の分布密度が最も低い場所に前記第2の移動手段で加工する領域の境界を設定する領域設定手段を備えていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施形態に係る加工装置の構成図である。
【0020】
同図において、座標データ記憶手段1は、基板上のXY座標で表記した穴の中心の座標データ(すなわち加工位置)を記憶する。
【0021】
加工データ生成手段2は、座標データ記憶手段1に記憶されている座標データに基づいて後述するスキャンエリアを設定した後、サブエリア生成手段2aによりスキャンエリア内にサブエリアを生成し、加工順序最適化手段2bによりサブエリア内の加工順序を最適化する。
【0022】
加工データ記憶手段3は、加工データ生成手段2が生成した加工データを記憶する。加工制御信号生成手段4は、加工データに従って加工装置を制御する制御信号を生成する。加工制御信号生成手段4で生成された制御信号は、ミラー制御手段5、レーザ光源制御手段6およびXYテーブル制御手段7に出力され、ガルバノミラー装置8、9、レーザ光源11およびXYテーブル14を制御する。
【0023】
ガルバノミラー装置8、9はミラー8a、9aを任意の回転角度に位置決めする。また、直動型駆動装置12、13は、XYテーブル14を任意の位置に位置決めする。
【0024】
次に、この加工装置の基本的な動作について説明する。
【0025】
レーザ光源11から出力されたレーザ光は、ミラー8a、9aで反射され、f−θレンズ10を介してXYテーブル14上に設置された基板15上に照射される。照射スポットの位置は、ミラー8a、9aの回転角度とXYテーブル14の位置によって決定される。
【0026】
一般に、ガルバノミラー装置8、9がレーザ光をスキャンできる領域はf−θレンズ10の大きさで決まる。そこで、基板上の加工領域をガルバノミラー装置8、9がスキャンできる領域(以下、「スキャンエリア」と呼ぶ)に分割し、スキャンエリア内の照射スポットの移動はガルバノミラー装置8、9で行い、スキャンエリア間の移動は、XYテーブル14で行う。
【0027】
次に、本実施の形態の加工手順を説明する。
【0028】
初めに、加工データ生成手段2の動作について説明する。
【0029】
図2は、加工データ生成手段の動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、座標データ記憶手段1から穴の座標データを読込み、スキャンエリアを生成する(s1)。次に、サブエリア生成手段2aを用いて各スキャンエリアについてサブエリアを生成する(s2)。そして、加工順序最適化手段2bを用いて各サブエリア内の加工順序を決定する(s3)。
【0031】
次に、スキャンエリア生成手順についてさらに説明する。
【0032】
図3は基板の平面図である。
【0033】
一般に、XYテーブル14の移動速度はガルバノミラー装置8、9によるレーザスポットの移動速度に比べて遅いので、1枚の基板におけるスキャンエリアの数は、できるだけ少ない方がよい。すなわち、スキャンエリアのサイズを、できるだけ大きくすることにより基板全体の加工時間を短くすることができる。
【0034】
しかし、スキャンエリアの最大サイズで加工領域を分割すると、同図に示すように、穴の密集した領域が分断されることがある。このような場合、密集領域内の穴とそこから外れた穴とを接続する距離の長い移動経路が多数発生する。したがって、できるだけ穴の密集した領域を分断しないようにスキャンエリアの境界を設定すると、基板全体の加工時間を短くすることができる。
【0035】
そこで、同図に示すように、スキャンエリアのサイズにX、Y方向の調整幅32、33を設けておき、調整幅32、33におけるX方向およびY方向の穴の密集度34を計算し、密集度34が最も低くなる位置を最適分割位置35としてスキャンエリアの境界に設定する。穴の密集度を評価する指標としては、例えばX座標がxからx+Δxまでの領域(区間)に含まれる穴(加工位置)の数を用いることができる。
【0036】
図4は、上記の考え方に基づくスキャンエリアの生成手順を示すフローチャートである。
【0037】
先ず、Xminを基板全体の穴のX座標の最小値、Xmaxを基板全体の穴のX座標の最大値、Lを最大スキャンエリアサイズ、Dをスキャンエリアの調整幅とする(s10)。そして、Xが分割するエリアの左端(X座標の小さい方の境界位置)、すなわちXminであるとして処理を開始する(s11)。そして、X+LがXmaxを超えていない場合は(s12)、X+L−DからX+Lの範囲の穴の密集度を計算し(s13)、穴の密集度が最小で最もX座標の大きい位置Xdをエリアの右端(X座標の大きい方の境界位置)とする(s14)。これにより、X座標に関する分割エリアが一つ設定される。
【0038】
次に、Xi>Xdである穴のX座標Xiの中でXdに最も近いXiを次のXとして(s15)、次の分割エリアの設定に進む。
【0039】
以上の処理を繰り返すことにより、基板全体がX座標に関していくつかの矩形領域に分割される。そして、これらの矩形領域のそれぞれにおいて、Y座標に関して上記と同様の処理を行うことにより、スキャンエリアを生成することができる。
【0040】
なお、上記の例では、加工領域をX座標について分割してから、Y座標について分割するようにしたが、Y座標について分割してから、X座標について分割するようにしてもよい。また、これら二通りの方法でスキャンエリアを生成した後、スキャンエリアの数が少なくなる方を加工に採用するようにしてもよい。
【0041】
次に、サブエリア生成手段で実行されるサブエリア生成手順を説明する。
【0042】
図5は、サブエリア生成手段を摸式的に示す図であり、同図(a)に示す黒丸40は基板上の穴の加工位置を表している。
【0043】
先ず、基板上の加工領域を同図(a)に示すように、適当な大きさの格子状の区画41に区分する。そして、穴が含まれない区画41の値を0、穴が含まれる区画41の値を1とする。同図(b)は、このようにして得られた結果を0の区画を白、1の区画を黒として表したものである。
【0044】
次に、値が1の領域に対して膨張処理を施す。これは、値が1の区画41に対して、その上下、左右、および斜め方向に隣接する区画の値を1に置き換える。すなわち、区画41が1区画の場合、合計8個の区画を加える。このようにして得られたパターンを同図(c)に示す。
【0045】
次に、1の区画の連結領域を求める。同図(c)の場合、連結領域42と連結領域43の二つの連結領域が求められる。そこで、連結領域42、43をそれぞれサブエリアに設定する。
【0046】
図6は、上記の考え方に基づくサブエリアの生成手順を示すフローチャートである。
【0047】
先ず、スキャンエリア内を格子状の区画に分割し(s20)、各区画に含まれる穴の一覧を作成する(s21)。そして、穴が含まれない区画を0とし、穴が含まれる区画を1とする(s22)。次に、1の区画について膨張処理を行い(s23)、その結果生成された連結領域にそれぞれ異なるラベル名を付ける(s24)。そして、同一ラベル名の領域に含まれる穴を一つのサブエリアとしてまとめる(s25)。
【0048】
以上の処理において、一つのサブエリアにまとめられる穴間の最長距離は、最初に設定する区画の大きさと膨張処理の実施回数とによって調節することができる。そして、区画のサイズを大きくするほど、あるいは膨張処理の実施回数を増すほど、離れた穴同士を一つのサブエリアにまとめることができる。
【0049】
また、上記のサブエリア分割処理の結果、穴が一つあるいはごく少数しか含まれないサブエリアができた場合は、最寄りの他のサブエリアと統合するなど必要に応じて調整処理を行うのが実用的である。
【0050】
なお、区画のサイズや膨張処理の回数は、基板上の穴の平均ピッチ(隣接穴間の距離)などを勘案して設定するとよい。
【0051】
また、膨張処理は1回だけではなく、複数回行ってもよい。
【0052】
サブエリアを生成する方法としては、上記の他に種々のクラスタリング手法を用いてもよいが、例えば穴間の距離を計算して、最も距離の近い穴同士を逐次まとめてゆくシングルリンケージ法などを用いると、穴の数の二乗に比例した計算時間がかかるため、穴の数が多くなるほど計算時間が長くなる。
【0053】
これに対して、本実施形態の場合、計算時間は区画の数と膨張処理の実施回数で決まり、穴数の影響を受けない。したがって、穴の数が多くなっても実用的な時間で計算することができる。
【0054】
次に、加工順序最適化手段で実行されるサブエリア内の穴の加工順序の最適化手順について説明する。
【0055】
図7は、巡回路の一例を示す図である。
【0056】
サブエリア内の穴の加工順序の最適化については、従来用いられている種々の近似解法を用いることができるが、ここでは、局所探索法の一つである2−opt法を用いた場合の最適化手順について説明する。
【0057】
2−opt法では、同図に示すように、巡回路中の任意の穴iとjの接続先をつなぎかえた場合に、元の巡回路より経路長が短くなるなら、つなぎかえを実施するという操作を繰り返すことにより、できるだけ短い巡回路を求めようとするものである。
【0058】
図8は、2−opt法の具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
なお、ここでは、巡回路の巡回方向が予め定められている。また、例えばiの二つ先の巡回点(iの次の次に巡回する点)を「i inc 2」等の形で表記し、穴iと穴jの間の経路長(穴iと穴jの間の幾何学的な直線距離、または穴iから穴jにレーザースポットやドリルを移動させるのに必要な時間)を、dist(i,j)等の形で表記する。
【0060】
まず、初期巡回路を生成する(s30)。これは、例えば単純に穴データの入力順に巡回する巡回路でよい。次に、巡回路のスタート点を穴i0として定め(s31)、iをi0として(s32)、以下の探索処理を実施する。
【0061】
まず、jをiの二つ先の巡回点(加工位置)とする(s33)。次に、iとjの接続先をつなぎかえた場合の経路長の変化を計算し、Δとする(s34)。そして、得られたΔが負の場合はつなぎかえを実施し(s36、s37)、スタート点をiの次の点にして(s38)、再び探索処理を実施する。
【0062】
また、得られたΔが負でない場合は、jを一つ先に進めて再びつなぎかえのテストを実施する(s39)。そして、jがスタート点i0に達した場合は、iを一つ先に進めてjをi inc 2としてつなぎかえのテストを実施し(s41、s33)、iもスタート点に達した場合は、探索処理を終了する。
【0063】
以上の手順により最短巡回路の近似解が得られるので、これをサブエリア内の穴加工順序とする。
【0064】
なお、スキャンエリア内におけるサブエリア間の巡回順序は、例えばサブエリアの中心位置を穴位置と仮定し、この仮想的な穴の巡回経路を上記と同様の手順により求め、それをサブエリアの巡回順序とすればよい。
【0065】
次に、サブエリア単位でサイクル加工を実施する加工制御信号生成手段4の動作について説明する。
【0066】
なお、ここでは、加工データ生成手段2で生成された加工データは、以下のような形で加工データ記憶手段3に記憶されている。すなわち、穴の座標データはスキャンエリア毎、およびサブエリア毎にまとめられ、サブエリア内では加工する順番に並べられている。また、スキャンエリアの先頭にはスキャンエリアの区切りを表す記号とスキャンエリアの中心位置座標が記され、サブエリアの先頭にはサブエリアの区切りを表す記号が記されている。
【0067】
図9は、加工制御信号生成手段4の動作を示すフローチャートである。
【0068】
加工制御信号生成手段4は、加工データ記憶手段3に上記の形で記憶された加工データを読込み(s50)、そのデータがスキャンエリア開始の記号であれば(s52)、スキャンエリアの中心位置座標にf−θレンズ10の中心が一致するようにXYテーブル14を移動させる(s53)。また、読込んだデータがサブエリア開始の記号であれば(s54)、その次に続く一連の穴の座標データを読込み(s55)、それらの穴について照射回数Cで指定されるサイクル加工を実施する(s56〜s63)。すなわち、ガルバノミラー装置8、9により照射スポットを加工位置に位置決めし(s58)、レーザ光を出力する(s59)動作を、サブエリア内の各穴について照射回数だけ繰り返す。そして、全ての加工データを読込んだ後、処理を終了する(s51)。
【0069】
この実施形態では、スキャンエリア内の穴をその密集度に応じてサブエリアにグループ分けした後に、サブエリア内の穴の加工順序を決定するようにしたが、以下に示す方法を用いても、サイクル加工時の巡回経路中の長い移動経路を減らすことができる。
【0070】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0071】
図10は、本発明に係る他のサブエリア生成手順のフローチャートである。
【0072】
先ず、スキャンエリア内の穴全体の巡回経路を、例えば上記した2−opt法あるいは従来から知られている他の近似解法によって求める。次に、巡回経路中の移動経路の長い部分を探し出し、その部分で巡回経路を分割し、サブエリアとしてまとめる。そして、上記の実施形態と同様にサブエリア単位でサイクル加工を行う。
【0073】
すなわち、まず、iを巡回路のスタート点(穴)、Nを1として(s70)、以下の繰り返し処理を実施する。穴iについて、もし次の穴までの移動距離が予め設定した閾値Hdよりも大きく、Nが閾値Hn(Hnは例えば5以上)より大きいなら(s71)、穴iと次の穴i inc 1との間をサブエリアの区切りとして(s72)、Nをリセットする(s73)。ここで、Nを閾値Hnと比較するのは、穴を一つしか含まないサブエリアではバースト加工になってしまうため、一つのサブエリアに複数の穴が含まれるようにするためである。そして、その他の場合は、iを次の穴iinc1、NをN+1として(s74)、iが巡回経路のエンド点(穴)に到達するまで(s75)、同様の処理を繰り返す。
【0074】
なお、閾値Hdは、例えば最初に設定した巡回経路の穴間の移動距離の平均値などを参考にして、サブエリアの数が適切となるように設定すればよい。
【0075】
以上説明したように、これらの実施形態によれば、レーザ光の照射回数をNとするとき、スキャンエリアを複数のサブエリアに分割するようにしたので、従来バースト加工の概略N倍程度の時間がかかっていたサイクル加工の時間を、短縮することができる。したがって、品質と加工速度に優れる加工を行うことができる。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、加工領域内における加工位置が密集した領域を1個のサブエリアにまとめるサブエリア生成手段を備えているので、サイクル加工においても加工時間を短くすることができ、加工速度および加工品質に優れた加工装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加工装置の構成図である。
【図2】本発明に係る加工データ生成手段の動作を示すフローチャートである。
【図3】基板の平面図である。
【図4】本発明に係るスキャンエリアの生成手順を示すフローチャートである。
【図5】サブエリア生成手段を摸式的に示す図である。
【図6】本発明に係るサブエリアの生成手順を示すフローチャートである。
【図7】巡回路の一例を示す図である。
【図8】2−opt法の具体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図9】加工制御信号生成手段の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る他のサブエリア生成手順のフローチャートである。
【図11】巡回路の一例を示す図である。
【符号の説明】
2a サブエリア生成手段
2b 加工順序最適化手段

Claims (2)

  1. 対象物に対して所定の加工を行う加工手段と、この加工手段を加工位置に位置決めする移動手段と、予め定められた加工領域内の加工経路の長さまたは前記加工手段の移動時間が短くなるように加工順序を最適化する加工順序最適化手段とを有する加工装置において、
    前記加工領域内における前記加工位置が密集した領域を1個のサブエリアにまとめるサブエリア生成手段を備え、
    前記サブエリア生成手段は、前記加工領域を格子状の区画に区分する第1の手段と、前記第1の手段によって区分された区画を前記加工位置を含む区画とその他の区画とに分類する第2の手段と、前記第2の手段によって分類された前記区画を拡張する第3の手段と、前記第3の手段によって拡張され、連結された領域をサブエリアとする第4の手段とを含んでいることを特徴とする加工装置。
  2. 対象物に対して所定の加工を行う加工手段と、移動範囲が広い第1の移動手段と、この第1の移動手段により位置決めされ移動範囲が狭い第2の移動手段とを備え、前記第1と第2の移動手段により前記加工手段を加工位置に位置決めする加工装置において、
    前記第2の移動手段で加工可能な領域の内部に当該境界に接する調整領域を設け、前記調整領域内における前記加工位置の分布密度が最も低い場所に前記第2の移動手段で加工する領域の境界を設定する領域設定手段を備えていることを特徴とする加工装置。
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