JP2004164083A - 加工計画方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同一加工位置において加工の最小時間間隔の所定の最小値を確保しつつ、所定の回数の複数回加工を行うような繰り返し加工の加工時間を短縮してスループットを向上させる。
【解決手段】多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際に、加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させ、該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割し、分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める。
【選択図】 図4
【解決手段】多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際に、加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させ、該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割し、分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画方法及び装置に係り、特に、レーザビームを照射してプリント配線基板等に複数の穴開け加工を行うレーザ穴開け機に用いるのに好適な、穴開け等の加工位置の2次元平面における分布状態を数学的に捉えて、XYステージの速度、加速度、軌道やガルバノスキャナの穴開け位置訪問順序等の機器の動作を効率良く計画することにより、加工時間を短縮することが可能な加工計画方法、該加工計画方法により決定された加工を行う加工方法、同様な加工計画装置、該加工計画装置を含む加工装置、前記加工計画方法を実施したり前記加工計画装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、該コンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化や高密度実装化の要求に伴い、複数のプリント配線基板を重ね合わせた多層プリント配線基板が提供されるようになってきている。このような多層プリント配線基板では、上下に積層されたプリント配線基板のそれぞれに形成された導電層間を電気的に接続するため、これらの基板に、スルーホールあるいはビアホールと呼ばれる穴が形成される。そして、これらの穴の内部に導電膜を形成することにより、各プリント配線基板の導電層間の接続が行われる。
【0003】
プリント配線基板に形成される穴は、最近のプリント配線基板の小型化や高機能化に伴って小型化し、直径0.1mm以下になってきている。このような小径の穴を精度良く形成するために、パルス発振型のレーザビームが用いられている。
【0004】
従来のパルス発振型レーザを用いたレーザ穴開け機の一般的な構成を図1に示す。本構成例は、図示しないレーザ発振器から照射される、例えばパルス状のレーザ光線20を、所定の方向(図1では紙面に垂直な方向)に走査するための回転ミラー23を含む第1ガルバノスキャナ22と、該第1ガルバノスキャナ22によって紙面に垂直な方向に走査されたレーザ光線を、該第1ガルバノスキャナ22による走査方向と垂直な方向(図1では紙面と平行な方向)に走査するための回転ミラー25を含む第2ガルバノスキャナ24と、前記第1及び第2ガルバノスキャナ22、24により2方向に走査されたレーザ光線を、XYステージ12上に固定された、基板等の加工対象物(ワークと称する)10の表面に対して垂直な方向に偏向して照射するためのf−θレンズ26とを備えている。
【0005】
このように、第1、第2ガルバノスキャナ22、24を用いることにより、レーザ光線20を、スキャナ先端の回転ミラー23、25に反射させ、進行方向を任意に変えることができる。ここで、回転ミラー23、25は軽量であるため、高速位置決めが可能である。
【0006】
前記ガルバノスキャナ22、24によって偏向したレーザ光線は、f−θレンズ26を通過して、ワーク10に集光する。このf−θレンズ26は、一般に高価なものであるために、サイズが限定されてしまい、そのため、あるタイミングにおけるビーム照射範囲(一般に走査エリアと称する)の大きさが数十mm角程度の正方形に制限されており、一般的なワーク10の大きさより狭い。
【0007】
そこで、XYステージ12によりワーク10を搬送することにより、広範囲な位置決めを可能としている。但し、XYステージ12は重量が大きいため、位置決めに費やす時間が大きい。
【0008】
このようにして、レーザ穴開け機は、高速狭範囲の位置決め手段であるガルバノスキャナ(以下、単にスキャナとも称する)、及び、低速広範囲の位置決め手段であるXYステージ(以下、単にステージとも称する)の2つの位置決め手段を用いることにより、高速広範囲な穴開け位置決めを行い、位置決め完了後に照射を行う加工方法を取っている。
【0009】
そして、照射時に1回の照射で所要の穴を貫通することができない場合は、複数回数の照射を行なうことにより、穴開けを行なう。
【0010】
複数回の照射の方法は、同一穴に留まって1乃至複数回照射を行ない、次の穴へと移動する方法(一般にバースト加工と称する)と、ある走査エリア内の1周分の穴開けを順次複数回行なう方法(一般にサイクル加工と称する)、及び、その組合せ(一般にコンビネーション加工と称する)に分けられる。これらの加工方法は、基板の材質、用いるレーザ光、パルス形状等により、適切に使い分けられるものであり、サイクル加工による方法は、例えば特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−192571号公報
【特許文献2】
特開平11−284311号公報
【0012】
サイクル加工を行なう理由は、各加工穴の照射時間間隔(最小間隔)を確保するためである。即ち、走査エリア内の全ての穴の加工を順次行なう間に、所定の照射時間間隔が経過することを利用している。従って、サイクル加工においては、バースト加工と比較してスキャナ走査(加工穴間の移動)回数が増大し、ユーザが求める重要な性能の1つである加工スループットに関しては期待できない面がある。
【0013】
なお、特許文献2には、走査エリア内の穴数に応じて1サイクルに要する速度を制御し、1サイクル加工時間が常に一定時間(0.05秒)以上になるようにすることが記載されているが、これでは、スループットを向上することはできない。一般的には、1周して所定の時間間隔が経過しない場合には、始点において、所定の時間経過まで待つ方法を採ることになるが、これもスループット向上の為には無意味である。
【0014】
一方、スループット向上のための有効な手段の1つとして、基板に散布する加工穴の散布状態を数学的に捉えて機器の加工経路を最適化する数学的最適化による手法があり、出願人も既に特願2001−331550や特願2002−26189を提案している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれにしても、各走査エリア内の穴あけ位置訪問順序は、図2に示す如く、始点aから終点jまで1回ずつ走査するものであったため、例え出願人が特願2001−331550で提案したように、加工の始点aと終点jを、巡回路のうちの始点と終点を結ぶ枝(図2の破線K)が最長(以下での、移動長や巡回経路長などの「長」さは、具体的には走査にともなう「時間」のことであるが、単に「長」さと記す)の移動であるように始点aを定めることによって最長の移動Kを取り除くようにしても、サイクル加工においては、n周の加工に際して、始点aと終点jとを結ぶn−1回の最長の移動Kは回避できないという問題点を有していた。
【0016】
即ち、図2に示した如く、始点をa、終点をjとする好適なスキャナ走査経路(a→b→…→j)が定まった状態で、従来のサイクル加工の場合、1周分の穴開けが完了した後、終点jから始点aへと戻り、次の1周の加工を行なっていた(即ちa→b→…→j→a→b…→j→a→…という順序)。しかしながら、この場合、巡回路における最大の移動である、jからaへの移動Kが、n周の場合、n−1回発生することとなる。
【0017】
なお、スキャナとステージを用いて穴開け加工を行なう方法には、前記のように、走査エリア毎にステージを止め、スキャナのみを動かして、レーザビームを走査しつつ加工を行なう、いわゆるステップアンドリピート(S&R)による加工(低速位置決め手段停止加工又はステージ停止加工とも称する)の他に、ステージを止めることなく移動させたまま、スキャナも動かして、レーザビームを走査しつつ加工を行なう、いわゆる協調制御(同期制御とも称する)による加工(低速位置決め手段非停止加工又はステージ非停止加工とも称する)があり、後者の協調制御に関しては、例えば特許文献3や特許文献4に記載されている。
【0018】
【特許文献3】
特許第3155012号公報
【特許文献4】
特開2000−100608号公報
【0019】
しかしながら、このような協調制御における前記サイクル加工の効率化に関しては、全く記載されていない。例えば、特許文献3は、大略ガルバノスキャナ及びステージの協調的な位置決めを行なうためのシステムに関するものであるが、穴開け順序に関しては、市販のデータベース生成ツールに頼っている。このような場合に同一点を照射する時間の最小間隔を定めたい場合には、同一個所に最小間隔以上留まっているか、全点の加工を終えた後、再び同様の加工を施すかのいずれかであり、いずれにしても高いスループットを期待することはできなかった。又、特許文献4には、ステージが直線動作を行なうことと、具体的な穴開け位置訪問順序設定法が記載されているが、やはり、各加工点において最小間隔の時間を空けたい場合の穴開け位置訪問順序設定法に関しては記載されていなかった。
【0020】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、同一加工位置において最小時間間隔を確保しつつ、複数回加工を行う繰り返し訪問加工時におけるスループットを向上させることを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画方法であって、加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させる、単一回訪問加工経路発生工程と、該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する、単一回訪問加工経路分割工程と、分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める、繰り返し加工経路決定工程とを有するようにして、前記課題を解決したものである。
【0022】
又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法であって、更に、低速位置決め手段暫定動作速度設定工程と、低速位置決め手段動作速度最大化工程とを有するようにしたものである。
【0023】
又、前記単一回訪問加工経路発生工程において、巡回セールスマン問題の解法を適用するようにしたものである。
【0024】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する評価式として、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−(加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)
を用いて、評価値の合計を最大化するよう、分割箇所を決定するようにしたものである。
【0025】
更に、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定める際に、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔より短い場合は、前記評価式の代わりに、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−((加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)+(加工開始位置での最小加工間隔待ち時間))
を用いるようにしたものである。
【0026】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、部分巡回路長が同一加工位置の最小加工間隔以上であり、かつ、繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように分割を決定するようにしたものである。
【0027】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路発生工程で得た経路の始点を変えて繰り返し単一回訪問加工経路分割工程を実行し、前記評価式が最大となるときを以て単一回訪問加工経路分割工程の解とするようにしたものである。
【0028】
更に、前記単一回訪問加工経路発生工程と単一回訪問加工経路分割工程は、低速位置決め手段の移動速度も考慮するようにしたものである。
【0029】
又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法であって、低速位置決め手段の1回の移動中に、繰り返し加工を完了させるよう計画するようにしたものである。
【0030】
又、各加工位置の加工タイミングを、同一加工位置の最小加工間隔を確保するように設定したものである。
【0031】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する分割を、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔以上のものに限定するようにしたものである。
【0032】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記評価式を最大化するために、有向閉路の無い最長路問題の動的計画法に基づく解法を用いるようにしたものである。
【0033】
又、前記各加工位置の加工タイミングを、更に、低速位置決め手段の移動により遷移する所定寸短形範囲から外れないように設定するようにしたものである。
【0034】
本発明は、又、前記の加工計画方法により決定された加工を行なう加工方法を提供するものである。
【0035】
又、前記の加工計画方法又は加工方法を実施するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0036】
本発明は、又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画装置であって、加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させる、単一回訪問加工経路発生手段と、該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する、単一回訪問加工経路分割手段と、分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める、繰り返し加工経路決定手段とを有することにより、前記課題を解決したものである。
【0037】
本発明は、又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置であって、更に、低速位置決め手段暫定動作速度設定手段と、低速位置決め手段動作速度最大化手段とを有するようにしたものである。
【0038】
又、前記単一回訪問加工経路発生手段において、巡回セールスマン問題の解法を適用するようにしたものである。
【0039】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する評価式として、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−(加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)
を用いて、評価値の合計を最大化するよう、分割箇所を決定するようにしたものである。
【0040】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定める際に、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔より短い場合は、前記評価式の代わりに、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−((加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)+(加工開始位置での最小加工間隔待ち時間))
を用いるようにしたものである。
【0041】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、部分巡回路長が同一加工位置の最小加工間隔以上であり、かつ、繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように分割を決定するようにしたものである。
【0042】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路発生手段で得た経路の始点を変えて繰り返し単一回訪問加工経路分割を実行し、前記評価式が最大となるときを以て単一回訪問加工経路分割の解とするようにしたものである。
【0043】
又、前記単一回訪問加工経路発生手段と単一回訪問加工経路分割手段は、低速位置決め手段の移動速度も考慮するようにしたものである。
【0044】
又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置であって、低速位置決め手段の1回の移動中に、繰り返し加工を完了させるよう計画するようにしたものである。
【0045】
又、各加工位置の加工タイミングを、同一加工位置の最小加工間隔を確保するように設定するようにしたものである。
【0046】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する分割を、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔以上のものに限定するようにしたものである。
【0047】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記評価式を最大化するために、有向閉路の無い最長路問題の動的計画法に基づく解法を用いるようにしたものである。
【0048】
又、前記各加工位置の加工タイミングを、更に、低速位置決め手段の移動により遷移する所定寸短形範囲から外れないように設定するようにしたものである。
【0049】
本発明は、又、前記の加工計画装置を含むことを特徴とする加工装置を提供するものである。
【0050】
又、前記の加工計画装置又は加工装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0051】
又、前記のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体を提供するものである。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、XYステージとガルバノスキャナを備えたレーザ穴開け機により穴を開ける場合に適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0053】
本実施形態は、図3に示す如く、レーザ穴開け機30と、例えばハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリに記憶された、前記レーザ穴開け機30が加工を行なうための加工データファイル群42、該加工データファイル群42を変換する加工データ変換プログラム(Prg)44、例えば内部メモリに記憶された加工データ46、例えば外部メモリに記録された動作モデルファイル48、該動作モデルファイル48を読み込むための動作モデルファイル読込みプログラム(Prg)50、例えば内部メモリに記憶された動作モデルデータ52、本発明に係る加工計画プログラム(Prg)54、前記レーザ穴開け機30を制御する加工制御プログラム(Prg)56を含む、前記レーザ穴開け機30と通信可能なパソコン(PC)40とを備えている。
【0054】
なお、図3では、加工を制御する加工制御プログラム56と、加工を計画する加工計画プログラム54が、同じPC40内に収まっており、加工計画がオンラインで処理されるが、これらは別個でもよい。即ち、加工計画プログラム54は、オフラインで実行可能である。
【0055】
本実施形態において、PC40と通信可能なレーザ穴開け機30は、加工データ46に従って、加工制御プログラム56により制御され、加工を行なう。加工データ46は、通常、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリにある加工データファイル群42を、加工データ変換プログラム44で変換することにより得られる。加工データ46は、レーザ穴開け機30を効率良く動かすために、加工計画プログラム54により更新される。この加工計画プログラム54は、内部機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作をモデル化した動作モデル52を用いる。この動作モデル52は、通常、内部メモリに常駐していないので、外部メモリにある動作モデルファイル48を、動作モデルファイル読込みプログラム50を用いて読み込むことにより得る。
【0056】
前記レーザ穴開け機30は、前記加工データファイル群42の内容に従って動作する。加工開始命令の後、レーザ穴開け機30の動作を制御するのは。前記加工制御プログラム56である。即ち、当事者は、加工に際して加工データファイル群42を用意し、加工制御プログラム56に加工開始命令を与えて、レーザ穴開け機30を動作させる。
【0057】
前記加工データファイル群42の内容は、構成機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作順序が最適でないようなことも有り得る。従って、前記加工計画プログラム54は、加工データを最適化する。本発明は、この加工計画プログラム54における穴開け位置訪問順序最適化機能に関するものである。
【0058】
なお、走査エリア毎にステージを止め、スキャナのみを動かしてレーザを走査するステージ停止加工でも、ステージを動かしたままスキャナを動かしてレーザを走査するステージ非停止加工でも、最適化プログラム及び加工データは異なるものの、構成は同じである。
【0059】
本発明は、ステージ停止加工及びステージ非停止加工の両方に対して適用可能であるが、以下、ステージ停止加工に適用した本発明の第1実施形態について、詳細に説明する。
【0060】
図4(A)(C)に示す如く、従来のn周のサイクル加工においては、終点j→始点aの移動以外の移動はn回ずつ、終点j→始点aの移動はn−1回の移動であった。図4において、d→e間の移動長|de|、g→h間の移動長|gh|、j→a間の移動長|ja|は、それぞれ移動長|da|、|ge|、|jh|よりも長い。従って、図4(B)(D)に示す如く、(a,b,c,d)と進んだ後、点aに戻り、n回巡回し、その後、点eに進み、(e,f,g)の巡回をn回繰り返し、(h,i,j)の巡回をn回繰り返すという加工方法を行なえば、従来の経路より短縮される。但し、例えば点dから点aに戻る場合、点aに関して、前回の照射から所要の最小時間が経過している必要がある。
【0061】
実際に、従来は、図4(A)に示すように、d→eの移動n回、d→aの移動0回、g→hの移動n回、g→eの移動0回、j→aの移動n−1回、j→hの移動0回であったのに対し、本発明の第1実施形態によれば、図4(B)に示すように、d→eの移動1回、d→aの移動n−1回、g→hの移動1回、g→eの移動n−1回、j→aの移動0回、j→hの移動n−1回と変わるが、走査経路長を、差し引き、
だけ削減できる。
【0062】
次に、上記の加工経路の導出方法を詳細に説明する。
【0063】
本実施形態の加工経路の導出は、図5に示す如く、単一回訪問加工経路発生工程(ステップ100)、単一回訪問加工経路分割工程(ステップ102)、及び、繰り返し訪問加工経路決定工程(ステップ104)により行う。
【0064】
即ち、ステップ100の単一回訪問加工経路発生工程では、巡回セールスマン問題(全ての点を1回ずつ訪問し元の位置に戻る経路の巡回路長最小化問題の名称。以下略してTSPと書く)の解法を適用する。具体的には、ニアレストネイバー法、2−Opt法、3−Opt法、Or−Opt法、リンカーニハンの算法などを適用する。
【0065】
ステップ102の単一回訪問加工経路分割工程では、単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する。その際に、分割によって得られる部分巡回路長が同一穴あけ位置の最小加工間隔より長く、かつ、部分巡回路から自動的に作成される繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように、分割を決定する。
【0066】
ステップ104では、分割された各部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動たちに対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し訪問加工経路を定める。
【0067】
以下、繰り返し訪問加工経路の導出方法を具体的に説明する(ステップ100については、公知の解法ゆえ説明を省略する)。又、そのための数学的定式化を説明する。
【0068】
本発明に係る従来のサイクル加工経路に当たる新規繰り返し訪問加工経路は、図4(B)(D)に示す如く、部分巡回路(即ち(a,b,c,d)、(e,f,g)、(h,i,j)等の巡回)上の枝(都市間対)と、ある部分巡回路の終点から次の部分巡回路への始点の枝(即ちd→e、g→h、j→a)からなる。(1)式に示すように、新規経路と従来の経路との差は、「ある部分巡回路の終点から次の部分巡回路の始点への枝」の長さ(以下、戻り移動長と記す)の総和から「ある部分巡回路の終点から始点への枝」の長さ(以下、接続移動長と記す)の総和を引いたものをn−1倍したものに等しい。又、各点の照射時間間隔が一定以上必要であるため、部分巡回路の巡回路長は、それぞれ、一定値以上である必要がある。
【0069】
以上より、ステップ102(分割工程)の部分を最適化問題として、数式で表現する。用いる記号は次のとおりである(以下では、穴あけ位置のことを単に点と記す)。
【0070】
N:点の数(図4ではa〜jの10)
σ(i):従来のサイクル加工経路の一巡分の経路における、i番目の訪問点(図4ではσ(5)=e)
m:新規繰り返し訪問加工経路での部分巡回路の数(図4では3)
ni:i番目の部分巡回路の点の数(図4ではn1=4、n2=3、n3=3)。当然
【数1】
を満たす。
【0071】
σi(k):i番目の部分巡回路における、k番目の訪問点(図4ではσ2(1)=e)
Ti:i番目の部分巡回路の巡回路長。即ち
【数2】
ここでd(i,j)は、点iから点jへの移動長(移動時間、今回の場合は点iから点jへの走査開始から、点jでの照射完了までの時間に相当)を表わす。
【0072】
Cmin:各点における加工の最小照射時間間隔(定数)
目的は、従来の一巡訪問順序σ(i)が定まった状態での、(1)式に相当する次式(即ち「進み移動長−戻り移動長」の総和)の最大化である。
【0073】
【数3】
ここでの制約は、部分巡回路の巡回路長が最小照射間隔より大きいというもので、次式で表わされる。
【0074】
Ti≧Cmin(1≦i≦m) …(5)
【0075】
等価な問題へ帰着するため、次のようなネットワークを考える。
【0076】
・N+1個の節点で構成され、うち2つは共にσ(1)に対応する始点(sink)及び終点(source)であり、その他のN−1個の節点はσ(2),…σ(N)に対応する。
【0077】
・次のようなiからjへの有向枝(i<j)で構成される。
【0078】
【数4】
ここでc(i,j)は枝(i,j)の長さを表わす。
【0079】
(6)式は、(5)式を満足するような始点をi、終点をj−1とする部分巡回路候補に関し、その部分巡回路の始点と次の部分巡回路の始点とを隣接させること(節点同士を結ぶこと)を示す。(7)式は、枝長が「進み移動長−戻り移動長」であることを指す。
【0080】
あるいは、(6)式の制約を取り除いて、始点をi、終点をj−1とする部分巡回路長がCmin以下、即ち、始点iにおける待ち時間w(i,j)が
【数5】
の場合は、板長行列C(i,j)をw(i,j)>0の場合にのみ待ち時間を差し引くよう、以下のように定義してもよい。
【0081】
【数6】
【0082】
このようなネットワークにおける始点から終点への路の長さは、(4)式に等しい。又、上記ネットワークに閉路は存在しない。
【0083】
従って、(4)(5)式により定義される問題は、有向閉路の無いネットワークの最長路問題(longest path problem、以下単にLPPと記す)に帰着できる。
【0084】
最後に、ステップ104において、求まった最長路について、最長路上の各節点は、繰り返し訪問加工経路上の部分順回路の始点であるから、それら始点の場所に従って単一回訪問加工経路から繰り返し訪問加工経路を決定すればよい。
【0085】
以下、第1実施形態の実施例について説明する。
【0086】
図4(A)に示したような巡回路において、全ての点対間の距離d(i,j)(距離行列)が図6(A)に示すように与えられているとする。この距離の値の一部を経路上に図示すると図6(B)に示す如くとなる。
【0087】
この距離行列d(i,j)に従って、(4)式を満たすような2点の組合せi、jを抽出し、(7)式により各枝長c(i,j)を計算する。
【0088】
即ち、部分巡回路(i,i+1,・・・,j−1→i)の巡回路長が下限値(本例では10)以上のものをネットワークにおける枝(i,j)と定義し、枝長c(i,j)を(7)式により計算する。
【0089】
例えば枝(a,e)について、部分巡回路(a,・・・,d→a)の巡回路長は10で、下限値10以上であり、その枝長
c(a,e)=d(d,e)−d(d,a)=7−4=3
となる。図7は、このような計算により求められた枝長行列c(i,j)の例である。
【0090】
抽出された枝(i,j)により、ネットワークが図8に示すように定義される。このネットワークの始点から終点への路は、それぞれ、部分巡回路の作り方に対応しており、その中の最長路は、(4)式を最大化するような部分巡回路に対応する。例えば、路a→f→aは、(a,b,c,d,e→a)、(f,g,h,i,j→d)の部分巡回路作成に対応し、最大化の評価値
d(e,f)−d(e,a)+d(j,a)−d(j,f)
は、路長−2−4=−6に相当する。
【0091】
この例の場合、(a,b,c,d)、(e,f,g)、(h,i,j)に分けると、(a,b,c,d→a)、(e,f,g→e)、(h,i,j→h)と周回するような経路における(4)式の値は3+3+7=13で最大(最長路)となる。従って、例えば10周の加工では、(1)式のように(10−1)×13=117経路長を節減できる。
【0092】
有向閉路の無いネットワークの最長路問題は、最適解を実用的な時間で導出できる問題として知られている。解法として、例えば「計算とアルゴリズム」(浅野孝夫・今井浩共著、オーム社、2000)に記載の動的計画法を用いた方法等が適用できる。
【0093】
前記解法では、経路の始点が従来の経路の始点に固定されている。しかしながら、本発明による経路の始点は、従来の経路の始点でなくとも構わない。従って、厳密に前記ネットワーク化において始点がσ(k)(1≦k≦N)の全ての場合を試してみて、(4)式が最大となるものを解とすることも考えられる。
【0094】
次に、ステージ非停止加工に適用した本発明の第2実施形態について、詳細に説明する。なお、ステージ非停止加工においては、基板上の加工可能な範囲(走査エリア)の位置が連続的に変化するため、第1実施形態の部分経路への分割方法を、単純に用いることはできず、更に工夫を加える必要がある。
【0095】
従来のステージ非停止加工でのnサイクル加工に際しては、図9(A)に示す如く、ある一連の加工を行う矩形(走査短形と記す)の1サイクル加工を、ステージをn回繰り返し移動して、同一方向にn回繰り返すのに対して、本発明による経路では、図9(B)に示す如く、1回のステージ移動中に、穴開け位置を必要回数訪問するような経路に従う。
【0096】
本加工経路の導出は、特願2002−26189において説明した、(単一回訪問の)ステージ等速動作速度最大化及び穴あけ位置訪問順序最適化工程(ステップ112)の代わりに実行する。
【0097】
以下に、第2実施形態における加工経路の導出方法の詳細を説明する。
【0098】
本実施形態の加工経路の導出は、図10に示す如く、ステージ停止加工に適用した第1実施形態における単一回訪問加工経路発生工程(ステップ200)、単一回訪問加工経路分割工程(ステップ204)、繰り返し訪問加工経路決定工程(ステップ206)に、ステージ動作速度算出工程(ステップ208)、及びステージ暫定動作速度設定工程(ステップ202)が追加される。
【0099】
即ち、ステップ200の単一回訪問加工経路発生工程では、例えば特願2002−26189にて説明した、ステージ等速動作速度を最大化しつつ穴あけ位置訪問順序を最適化する工程により、単一回訪問時の最大ステージ等速動作速度及び最適穴あけ位置訪問順序を求める。
【0100】
ついでステップ202のステージ暫定動作速度設定工程では、繰り返し訪問加工時の暫定的な加工速度を、ステップ200にて算出された最大ステージ等速動作速度及び繰り返し訪問回数(従来の「サイクル数」)をもとに設定する。
【0101】
ステップ204の単一回訪問加工経路分割工程では、単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する。その際に、分割によって得られる部分巡回路長が同一穴あけ位置の最小加工間隔より長く、かつ、部分巡回路から自動的に作成される繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように、分割を決定する。
【0102】
ステップ206では、分割された各部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動たちに対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し訪問加工経路を定める。
【0103】
最後にステップ208において、求まった繰り返し訪問加工経路に対して、最大ステージ等速動作速度を算出する。
【0104】
以下、繰り返し訪問加工経路の導出方法を具体的に説明する(ステップ200については、既に特願2002−26189に詳しく説明済みゆえ説明を省略する)。又、そのための数学的定式化を説明する。
【0105】
まず、単一回訪問加工経路を複数に分割する工程であるステップ204を、次の記号を用いて、数学的に定式化する。
【0106】
n:各点に必要な照射回数(サイクル数)。
new(i):新規経路における、i番目の訪問点。ここで1≦i≦nN
wi:点iにおける、到着から照射迄の待ち時間。
tmi:点iにおける、照射開始時間。
V:ステージ等速動作速度。
ei,li:点iにおける、照射開始可能最早時刻(最早開始時刻)、最遅時刻(最遅完了時刻)(ステージ直線移動の為、走査エリアが直線状に遷移してしまい、照射可能な範囲が時間により制限される為)。即ち、照射時間をPとし、点iが走査矩形入口からx離れた点であるとすると、時刻0に走査エリアが走査矩形入口に到達したとすると、走査エリアのステージ移動軸の一辺の長さをDとおくと、ei=x/V,li=(x+D)/V−Pの関係がある。
Ti:i番目の部分巡回路の巡回路長。即ち、第1実施形態で(3)式であったのに対し、本実施形態では、
【数7】
【0107】
なお、他の記号は、第1実施形態のステップ102と同じである。
【0108】
ここで、ステージ動作を含む場合の2点間の移動時間の例を図11に、ステージ動作速度が異なる場合の2点間の移動時間の違いの例を図12に示す。図11、図12は、共に、横軸に時間、縦軸に2点間を動作可能な距離の限界を表わす。図11における曲線ABCは、ステージが停止している場合の2点間移動可能限界曲線であり、例えば2点間の実距離lの場合、時間t1で移動可能であることを示す。又、曲線PQRは、走査エリアが正の方向に等速遷移している場合の2点間移動可能限界曲線であり、例えば2点間の実距離lの場合、時間t2で移動可能であることを指す。図から明らかなように、同一実距離lの移動でも、走査エリア遷移方向と移動方向が等しい場合は時間t2で、逆の場合は時間t3で移動可能である。これは、移動距離の非対称性、即ちd(i,j)≠d(j,i)であることを示している。
【0109】
なお、曲線ABCと曲線PQRとの交点Xに関し、Xの縦軸値より大きな縦軸値を持つ移動の場合、非停止制御(ステージ一定速移動)の方が高速に移動可能であり、小さな縦軸値の移動の場合は、ステージ停止制御の方が高速に移動可能である。
【0110】
又、図12に示す如く、ステージ動作が速い場合(曲線PQR)と遅い場合(曲線STU)とで、移動可能曲線は違ってくる。
【0111】
以上まとめると、2点間の移動時間は、非対称的であり、ステージ速度に依存する。
【0112】
従って、次のように定式化する。最適化の目的は、総加工時間、即ち加工開始時刻を0としたときの最後の点の加工終了時刻tmnew(nN)の最早化である。
【0113】
なお、最後の点の加工終了時刻の最早化とステージ動作速度の最大化とは、ステージを直線的に等方向に動作させる場合は、ほぼ等価と見て良い。
【0114】
ここでの、制約条件は、次の(11)式及び(12)式である。
【0115】
【数8】
ここで、(11)式の制約条件は、部分巡回路の巡回路長が最小照射間隔より大きいことに対応し、(12)式の制約条件は、照射可能であることに対応している。
【0116】
本問題は、距離d(i,j)等、ステージ動作速度に依存するものが多いため、制約条件が扱い難い(Ti,ei,li等も速度依存する)。しかしながら、n回ずつの繰り返し訪問加工の場合、ステージ速度が概ね1/n程度になることが予想されるとの発想で、ステップ202において、ステップ200で算出されたステージ速度vに対し、繰り返し訪問加工時のステージ暫定速度をv/nに設定しておいて、ステップ204にて単一回訪問加工経路の複数の部分経路への分割を行う。
【0117】
なお、図5と異なり、(6)式のCminは、これより若干大きな値Cmin´としてもよい。これは、ステージ速度V/nは暫定的であり、後工程で正確な速度が決定するが、図13に示されているように、ステージ速度が異なれば、2点間の距離が異なってくるためである。
【0118】
更に部分巡回路長に関し、巡回中にステージが進む距離と(12)式に示した加工実行可能性とから、i番目の部分回路(1≦i≦m)に対し、有向枝の候補を、次式を満たすものに限定する。
【0119】
【数9】
【0120】
この(14)式は、n−1巡している間に、最初の加工点が照射可能範囲から外れないという条件を表わしたものである。
【0121】
ここで、D´は、走査エリアのステージ進行方向の大きさDより若干小さい値を表わす。単にDとしなかったのは、1つの部分巡回路に関してはDでよいが、次の部分巡回路の照射タイミングにしわ寄せが残ってしまい、ぎりぎりだと間に合わない恐れがあるためである。
【0122】
又、終点から始点に戻る移動の距離に関して、戻る距離が長すぎないように、次式で制限を与える(図13参照)。
【0123】
【数10】
ここで、x(i)は、点iの走査エリア遷移方向の座標を表わす。又、D”も走査エリアの大きさDより小さい値であり、適切に設定する。
【0124】
なお、図14に示す如く、(14)式の左辺はσi(1)を始点、σi(ni)を終点とする部分巡回路における走査エリア遷移方向の座標値の戻りの最大値としてもよい。その場合は、右辺が次式で示される値となる。
【0125】
【数11】
【0126】
この(15)式は、k1番で進み方向の最大値に達し、k2番で最小値に戻る場合の戻り距離Δx、戻り時間Δtに関し、
Δx+VΔt<D”
が必要であることを意味している。
【0127】
最後にステップ206、208において、ステップ204で求まった単一回訪問経路の分割の始点に対し、複数回訪問加工経路を作成し、その経路に対し加工実行可能な最大速度を求める。特願2002−26189に詳細に述べたように、2分探索法を利用して挟み撃ちを行なえば、求めることが可能である。しかし、本問題の場合、実行可能速度は、暫定速度vに近い(少し小さい)値であることが予想されるので、vでの実行可能性を調べ、不可能であるなら速度を少し下げる(可能であれば速度を少し上げる)という操作を、限界が求まるまで繰り返すという線形探索でも十分である。
【0128】
なお、ステップ204では、Cmin´を若干Cminより大きめの値に設定しているが、そうではなく、ステップ206(ステージの正確な速度を求める時点)で、各巡回路の始点において、巡回路長がCminに満たない場合は、待ちを設けてもよい。
【0129】
又、待ちが無いという制約を除き、枝長c(i,j)を以下のように定義して解いてもよい。
【0130】
【数12】
ここで、max{*,**}は、*と**の大きい方を指す。
【0131】
即ち、i番の訪問において待つ必要があれば、(つまり、
【数13】
である場合)、その時間を(7)式から引いておけばよい。
【0132】
又、経路が定まった場合の各点の照射開始時刻に関して、i−1番目の訪問点new(i−1)の照射開始時間tmnew ( i−1 )に対し、i番目の訪問点new(i)への到着時刻aiは、
anew(i)=tmnew ( i−1 )+d(σ(i−1),σ(i))
と書けるが、
anew(i)<enew(i)ならばtmnew ( i )=enew(i)とし、
さもなければtmnew ( i )=anew ( i )とする。(到達時間の制限)。
【0133】
更に、点iが2回目以降に訪問する点である場合、同一加工点ibefの前回訪問時の照射開始時間tibefに対し、
tibef(+P)+Cmin<ti
ならば、
ti=tibef(+P)+Cmin …(18)
とする(経過時間の制限)。
【0134】
このように順次設定すればよい。
【0135】
なお、前記実施形態においては、いずれも、高速位置決め手段がスキャナとされ、低速位置決め手段がステージとされていたが、位置決め手段の種類や組合せはこれに限定されず、例えば出願人が特開2000−71089や特開2000−334637で提案したような、リニアモータXYステージと高速加工ヘッドを組み合わせたスクリーンカットシステムあるいはフラッシュカットシステムであってもよい。
【0136】
又、適用対象も、点状の加工を行なうレーザ穴開け機に限定されず、線状の加工を行なうレーザ切断機、特開平11−149317に記載された2ヘッドレーザ加工機やレーザビーム以外の加工手段を用いた一般な加工機(例えば機械式ドリルによる穴開け装置)、更にはマーキング装置や露光装置であって、全ての点を複数回、同一回数ずつ訪問する必要があり、且つ、各点において空けるべき訪問タイミングの最小間隔が定まっているようなシステム全般に同様に適用できることは明らかである。
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、同一加工位置において加工の最小時間間隔の所定の最小値を確保しつつ所定の回数の複数回加工を行うような繰り返し加工の加工時間を短縮することができ、スループットを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例であるレーザ穴開け機の要部構成を示す正面図
【図2】各走査エリアにおけるスキャナ走査経路の例を示す平面図
【図3】本発明が適用されるレーザ穴開け機の全体構成を示すブロック図
【図4】従来のサイクル加工経路と本発明による経路を比較して示す図
【図5】本発明の第1実施形態における加工経路の導出手順を示す流れ図
【図6】第1実施形態におけるネットワーク化を説明するための距離行列及び平面図
【図7】同じく枝長行列の例を示す図表
【図8】同じく枝の接続による実際のネットワーク化の方法を説明するための線図
【図9】協調制御における従来の経路と本発明の第2実施形態による経路を比較して示す平面図
【図10】第2実施形態の処理手順を示す流れ図
【図11】第2実施形態を説明するための、ステージ動作を含む場合の2点間の移動時間の例を示すタイムチャート
【図12】同じくステージ動作速度が異なる場合の2点間の移動時間の違いの例を示すタイムチャート
【図13】第2実施形態における終点から始点に戻る移動の距離に対する制限の例を示す線図
【図14】同じく他の例を示す線図
【符号の説明】
10…加工対象物(ワーク)
12…XYステージ
20…レーザ光線
22、24…ガルバノスキャナ
23、25…回転ミラー
26…f−θレンズ
30…レーザ穴開け機
40…PC(パソコン)
42…加工データファイル群
44…加工データ変換プログラム
46…加工データ
48…動作モデルファイル
50…動作モデル読込みプログラム
52…動作モデルデータ
54…加工計画プログラム
56…加工制御プログラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画方法及び装置に係り、特に、レーザビームを照射してプリント配線基板等に複数の穴開け加工を行うレーザ穴開け機に用いるのに好適な、穴開け等の加工位置の2次元平面における分布状態を数学的に捉えて、XYステージの速度、加速度、軌道やガルバノスキャナの穴開け位置訪問順序等の機器の動作を効率良く計画することにより、加工時間を短縮することが可能な加工計画方法、該加工計画方法により決定された加工を行う加工方法、同様な加工計画装置、該加工計画装置を含む加工装置、前記加工計画方法を実施したり前記加工計画装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、該コンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の小型化や高密度実装化の要求に伴い、複数のプリント配線基板を重ね合わせた多層プリント配線基板が提供されるようになってきている。このような多層プリント配線基板では、上下に積層されたプリント配線基板のそれぞれに形成された導電層間を電気的に接続するため、これらの基板に、スルーホールあるいはビアホールと呼ばれる穴が形成される。そして、これらの穴の内部に導電膜を形成することにより、各プリント配線基板の導電層間の接続が行われる。
【0003】
プリント配線基板に形成される穴は、最近のプリント配線基板の小型化や高機能化に伴って小型化し、直径0.1mm以下になってきている。このような小径の穴を精度良く形成するために、パルス発振型のレーザビームが用いられている。
【0004】
従来のパルス発振型レーザを用いたレーザ穴開け機の一般的な構成を図1に示す。本構成例は、図示しないレーザ発振器から照射される、例えばパルス状のレーザ光線20を、所定の方向(図1では紙面に垂直な方向)に走査するための回転ミラー23を含む第1ガルバノスキャナ22と、該第1ガルバノスキャナ22によって紙面に垂直な方向に走査されたレーザ光線を、該第1ガルバノスキャナ22による走査方向と垂直な方向(図1では紙面と平行な方向)に走査するための回転ミラー25を含む第2ガルバノスキャナ24と、前記第1及び第2ガルバノスキャナ22、24により2方向に走査されたレーザ光線を、XYステージ12上に固定された、基板等の加工対象物(ワークと称する)10の表面に対して垂直な方向に偏向して照射するためのf−θレンズ26とを備えている。
【0005】
このように、第1、第2ガルバノスキャナ22、24を用いることにより、レーザ光線20を、スキャナ先端の回転ミラー23、25に反射させ、進行方向を任意に変えることができる。ここで、回転ミラー23、25は軽量であるため、高速位置決めが可能である。
【0006】
前記ガルバノスキャナ22、24によって偏向したレーザ光線は、f−θレンズ26を通過して、ワーク10に集光する。このf−θレンズ26は、一般に高価なものであるために、サイズが限定されてしまい、そのため、あるタイミングにおけるビーム照射範囲(一般に走査エリアと称する)の大きさが数十mm角程度の正方形に制限されており、一般的なワーク10の大きさより狭い。
【0007】
そこで、XYステージ12によりワーク10を搬送することにより、広範囲な位置決めを可能としている。但し、XYステージ12は重量が大きいため、位置決めに費やす時間が大きい。
【0008】
このようにして、レーザ穴開け機は、高速狭範囲の位置決め手段であるガルバノスキャナ(以下、単にスキャナとも称する)、及び、低速広範囲の位置決め手段であるXYステージ(以下、単にステージとも称する)の2つの位置決め手段を用いることにより、高速広範囲な穴開け位置決めを行い、位置決め完了後に照射を行う加工方法を取っている。
【0009】
そして、照射時に1回の照射で所要の穴を貫通することができない場合は、複数回数の照射を行なうことにより、穴開けを行なう。
【0010】
複数回の照射の方法は、同一穴に留まって1乃至複数回照射を行ない、次の穴へと移動する方法(一般にバースト加工と称する)と、ある走査エリア内の1周分の穴開けを順次複数回行なう方法(一般にサイクル加工と称する)、及び、その組合せ(一般にコンビネーション加工と称する)に分けられる。これらの加工方法は、基板の材質、用いるレーザ光、パルス形状等により、適切に使い分けられるものであり、サイクル加工による方法は、例えば特許文献1や特許文献2に記載されている。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−192571号公報
【特許文献2】
特開平11−284311号公報
【0012】
サイクル加工を行なう理由は、各加工穴の照射時間間隔(最小間隔)を確保するためである。即ち、走査エリア内の全ての穴の加工を順次行なう間に、所定の照射時間間隔が経過することを利用している。従って、サイクル加工においては、バースト加工と比較してスキャナ走査(加工穴間の移動)回数が増大し、ユーザが求める重要な性能の1つである加工スループットに関しては期待できない面がある。
【0013】
なお、特許文献2には、走査エリア内の穴数に応じて1サイクルに要する速度を制御し、1サイクル加工時間が常に一定時間(0.05秒)以上になるようにすることが記載されているが、これでは、スループットを向上することはできない。一般的には、1周して所定の時間間隔が経過しない場合には、始点において、所定の時間経過まで待つ方法を採ることになるが、これもスループット向上の為には無意味である。
【0014】
一方、スループット向上のための有効な手段の1つとして、基板に散布する加工穴の散布状態を数学的に捉えて機器の加工経路を最適化する数学的最適化による手法があり、出願人も既に特願2001−331550や特願2002−26189を提案している。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、いずれにしても、各走査エリア内の穴あけ位置訪問順序は、図2に示す如く、始点aから終点jまで1回ずつ走査するものであったため、例え出願人が特願2001−331550で提案したように、加工の始点aと終点jを、巡回路のうちの始点と終点を結ぶ枝(図2の破線K)が最長(以下での、移動長や巡回経路長などの「長」さは、具体的には走査にともなう「時間」のことであるが、単に「長」さと記す)の移動であるように始点aを定めることによって最長の移動Kを取り除くようにしても、サイクル加工においては、n周の加工に際して、始点aと終点jとを結ぶn−1回の最長の移動Kは回避できないという問題点を有していた。
【0016】
即ち、図2に示した如く、始点をa、終点をjとする好適なスキャナ走査経路(a→b→…→j)が定まった状態で、従来のサイクル加工の場合、1周分の穴開けが完了した後、終点jから始点aへと戻り、次の1周の加工を行なっていた(即ちa→b→…→j→a→b…→j→a→…という順序)。しかしながら、この場合、巡回路における最大の移動である、jからaへの移動Kが、n周の場合、n−1回発生することとなる。
【0017】
なお、スキャナとステージを用いて穴開け加工を行なう方法には、前記のように、走査エリア毎にステージを止め、スキャナのみを動かして、レーザビームを走査しつつ加工を行なう、いわゆるステップアンドリピート(S&R)による加工(低速位置決め手段停止加工又はステージ停止加工とも称する)の他に、ステージを止めることなく移動させたまま、スキャナも動かして、レーザビームを走査しつつ加工を行なう、いわゆる協調制御(同期制御とも称する)による加工(低速位置決め手段非停止加工又はステージ非停止加工とも称する)があり、後者の協調制御に関しては、例えば特許文献3や特許文献4に記載されている。
【0018】
【特許文献3】
特許第3155012号公報
【特許文献4】
特開2000−100608号公報
【0019】
しかしながら、このような協調制御における前記サイクル加工の効率化に関しては、全く記載されていない。例えば、特許文献3は、大略ガルバノスキャナ及びステージの協調的な位置決めを行なうためのシステムに関するものであるが、穴開け順序に関しては、市販のデータベース生成ツールに頼っている。このような場合に同一点を照射する時間の最小間隔を定めたい場合には、同一個所に最小間隔以上留まっているか、全点の加工を終えた後、再び同様の加工を施すかのいずれかであり、いずれにしても高いスループットを期待することはできなかった。又、特許文献4には、ステージが直線動作を行なうことと、具体的な穴開け位置訪問順序設定法が記載されているが、やはり、各加工点において最小間隔の時間を空けたい場合の穴開け位置訪問順序設定法に関しては記載されていなかった。
【0020】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、同一加工位置において最小時間間隔を確保しつつ、複数回加工を行う繰り返し訪問加工時におけるスループットを向上させることを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画方法であって、加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させる、単一回訪問加工経路発生工程と、該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する、単一回訪問加工経路分割工程と、分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める、繰り返し加工経路決定工程とを有するようにして、前記課題を解決したものである。
【0022】
又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法であって、更に、低速位置決め手段暫定動作速度設定工程と、低速位置決め手段動作速度最大化工程とを有するようにしたものである。
【0023】
又、前記単一回訪問加工経路発生工程において、巡回セールスマン問題の解法を適用するようにしたものである。
【0024】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する評価式として、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−(加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)
を用いて、評価値の合計を最大化するよう、分割箇所を決定するようにしたものである。
【0025】
更に、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定める際に、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔より短い場合は、前記評価式の代わりに、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−((加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)+(加工開始位置での最小加工間隔待ち時間))
を用いるようにしたものである。
【0026】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、部分巡回路長が同一加工位置の最小加工間隔以上であり、かつ、繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように分割を決定するようにしたものである。
【0027】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路発生工程で得た経路の始点を変えて繰り返し単一回訪問加工経路分割工程を実行し、前記評価式が最大となるときを以て単一回訪問加工経路分割工程の解とするようにしたものである。
【0028】
更に、前記単一回訪問加工経路発生工程と単一回訪問加工経路分割工程は、低速位置決め手段の移動速度も考慮するようにしたものである。
【0029】
又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法であって、低速位置決め手段の1回の移動中に、繰り返し加工を完了させるよう計画するようにしたものである。
【0030】
又、各加工位置の加工タイミングを、同一加工位置の最小加工間隔を確保するように設定したものである。
【0031】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する分割を、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔以上のものに限定するようにしたものである。
【0032】
又、前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記評価式を最大化するために、有向閉路の無い最長路問題の動的計画法に基づく解法を用いるようにしたものである。
【0033】
又、前記各加工位置の加工タイミングを、更に、低速位置決め手段の移動により遷移する所定寸短形範囲から外れないように設定するようにしたものである。
【0034】
本発明は、又、前記の加工計画方法により決定された加工を行なう加工方法を提供するものである。
【0035】
又、前記の加工計画方法又は加工方法を実施するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0036】
本発明は、又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画装置であって、加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させる、単一回訪問加工経路発生手段と、該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する、単一回訪問加工経路分割手段と、分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める、繰り返し加工経路決定手段とを有することにより、前記課題を解決したものである。
【0037】
本発明は、又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置であって、更に、低速位置決め手段暫定動作速度設定手段と、低速位置決め手段動作速度最大化手段とを有するようにしたものである。
【0038】
又、前記単一回訪問加工経路発生手段において、巡回セールスマン問題の解法を適用するようにしたものである。
【0039】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する評価式として、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−(加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)
を用いて、評価値の合計を最大化するよう、分割箇所を決定するようにしたものである。
【0040】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定める際に、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔より短い場合は、前記評価式の代わりに、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−((加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)+(加工開始位置での最小加工間隔待ち時間))
を用いるようにしたものである。
【0041】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、部分巡回路長が同一加工位置の最小加工間隔以上であり、かつ、繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように分割を決定するようにしたものである。
【0042】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路発生手段で得た経路の始点を変えて繰り返し単一回訪問加工経路分割を実行し、前記評価式が最大となるときを以て単一回訪問加工経路分割の解とするようにしたものである。
【0043】
又、前記単一回訪問加工経路発生手段と単一回訪問加工経路分割手段は、低速位置決め手段の移動速度も考慮するようにしたものである。
【0044】
又、多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置であって、低速位置決め手段の1回の移動中に、繰り返し加工を完了させるよう計画するようにしたものである。
【0045】
又、各加工位置の加工タイミングを、同一加工位置の最小加工間隔を確保するように設定するようにしたものである。
【0046】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する分割を、加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔以上のものに限定するようにしたものである。
【0047】
又、前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記評価式を最大化するために、有向閉路の無い最長路問題の動的計画法に基づく解法を用いるようにしたものである。
【0048】
又、前記各加工位置の加工タイミングを、更に、低速位置決め手段の移動により遷移する所定寸短形範囲から外れないように設定するようにしたものである。
【0049】
本発明は、又、前記の加工計画装置を含むことを特徴とする加工装置を提供するものである。
【0050】
又、前記の加工計画装置又は加工装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0051】
又、前記のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体を提供するものである。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、XYステージとガルバノスキャナを備えたレーザ穴開け機により穴を開ける場合に適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0053】
本実施形態は、図3に示す如く、レーザ穴開け機30と、例えばハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリに記憶された、前記レーザ穴開け機30が加工を行なうための加工データファイル群42、該加工データファイル群42を変換する加工データ変換プログラム(Prg)44、例えば内部メモリに記憶された加工データ46、例えば外部メモリに記録された動作モデルファイル48、該動作モデルファイル48を読み込むための動作モデルファイル読込みプログラム(Prg)50、例えば内部メモリに記憶された動作モデルデータ52、本発明に係る加工計画プログラム(Prg)54、前記レーザ穴開け機30を制御する加工制御プログラム(Prg)56を含む、前記レーザ穴開け機30と通信可能なパソコン(PC)40とを備えている。
【0054】
なお、図3では、加工を制御する加工制御プログラム56と、加工を計画する加工計画プログラム54が、同じPC40内に収まっており、加工計画がオンラインで処理されるが、これらは別個でもよい。即ち、加工計画プログラム54は、オフラインで実行可能である。
【0055】
本実施形態において、PC40と通信可能なレーザ穴開け機30は、加工データ46に従って、加工制御プログラム56により制御され、加工を行なう。加工データ46は、通常、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリにある加工データファイル群42を、加工データ変換プログラム44で変換することにより得られる。加工データ46は、レーザ穴開け機30を効率良く動かすために、加工計画プログラム54により更新される。この加工計画プログラム54は、内部機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作をモデル化した動作モデル52を用いる。この動作モデル52は、通常、内部メモリに常駐していないので、外部メモリにある動作モデルファイル48を、動作モデルファイル読込みプログラム50を用いて読み込むことにより得る。
【0056】
前記レーザ穴開け機30は、前記加工データファイル群42の内容に従って動作する。加工開始命令の後、レーザ穴開け機30の動作を制御するのは。前記加工制御プログラム56である。即ち、当事者は、加工に際して加工データファイル群42を用意し、加工制御プログラム56に加工開始命令を与えて、レーザ穴開け機30を動作させる。
【0057】
前記加工データファイル群42の内容は、構成機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作順序が最適でないようなことも有り得る。従って、前記加工計画プログラム54は、加工データを最適化する。本発明は、この加工計画プログラム54における穴開け位置訪問順序最適化機能に関するものである。
【0058】
なお、走査エリア毎にステージを止め、スキャナのみを動かしてレーザを走査するステージ停止加工でも、ステージを動かしたままスキャナを動かしてレーザを走査するステージ非停止加工でも、最適化プログラム及び加工データは異なるものの、構成は同じである。
【0059】
本発明は、ステージ停止加工及びステージ非停止加工の両方に対して適用可能であるが、以下、ステージ停止加工に適用した本発明の第1実施形態について、詳細に説明する。
【0060】
図4(A)(C)に示す如く、従来のn周のサイクル加工においては、終点j→始点aの移動以外の移動はn回ずつ、終点j→始点aの移動はn−1回の移動であった。図4において、d→e間の移動長|de|、g→h間の移動長|gh|、j→a間の移動長|ja|は、それぞれ移動長|da|、|ge|、|jh|よりも長い。従って、図4(B)(D)に示す如く、(a,b,c,d)と進んだ後、点aに戻り、n回巡回し、その後、点eに進み、(e,f,g)の巡回をn回繰り返し、(h,i,j)の巡回をn回繰り返すという加工方法を行なえば、従来の経路より短縮される。但し、例えば点dから点aに戻る場合、点aに関して、前回の照射から所要の最小時間が経過している必要がある。
【0061】
実際に、従来は、図4(A)に示すように、d→eの移動n回、d→aの移動0回、g→hの移動n回、g→eの移動0回、j→aの移動n−1回、j→hの移動0回であったのに対し、本発明の第1実施形態によれば、図4(B)に示すように、d→eの移動1回、d→aの移動n−1回、g→hの移動1回、g→eの移動n−1回、j→aの移動0回、j→hの移動n−1回と変わるが、走査経路長を、差し引き、
だけ削減できる。
【0062】
次に、上記の加工経路の導出方法を詳細に説明する。
【0063】
本実施形態の加工経路の導出は、図5に示す如く、単一回訪問加工経路発生工程(ステップ100)、単一回訪問加工経路分割工程(ステップ102)、及び、繰り返し訪問加工経路決定工程(ステップ104)により行う。
【0064】
即ち、ステップ100の単一回訪問加工経路発生工程では、巡回セールスマン問題(全ての点を1回ずつ訪問し元の位置に戻る経路の巡回路長最小化問題の名称。以下略してTSPと書く)の解法を適用する。具体的には、ニアレストネイバー法、2−Opt法、3−Opt法、Or−Opt法、リンカーニハンの算法などを適用する。
【0065】
ステップ102の単一回訪問加工経路分割工程では、単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する。その際に、分割によって得られる部分巡回路長が同一穴あけ位置の最小加工間隔より長く、かつ、部分巡回路から自動的に作成される繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように、分割を決定する。
【0066】
ステップ104では、分割された各部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動たちに対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し訪問加工経路を定める。
【0067】
以下、繰り返し訪問加工経路の導出方法を具体的に説明する(ステップ100については、公知の解法ゆえ説明を省略する)。又、そのための数学的定式化を説明する。
【0068】
本発明に係る従来のサイクル加工経路に当たる新規繰り返し訪問加工経路は、図4(B)(D)に示す如く、部分巡回路(即ち(a,b,c,d)、(e,f,g)、(h,i,j)等の巡回)上の枝(都市間対)と、ある部分巡回路の終点から次の部分巡回路への始点の枝(即ちd→e、g→h、j→a)からなる。(1)式に示すように、新規経路と従来の経路との差は、「ある部分巡回路の終点から次の部分巡回路の始点への枝」の長さ(以下、戻り移動長と記す)の総和から「ある部分巡回路の終点から始点への枝」の長さ(以下、接続移動長と記す)の総和を引いたものをn−1倍したものに等しい。又、各点の照射時間間隔が一定以上必要であるため、部分巡回路の巡回路長は、それぞれ、一定値以上である必要がある。
【0069】
以上より、ステップ102(分割工程)の部分を最適化問題として、数式で表現する。用いる記号は次のとおりである(以下では、穴あけ位置のことを単に点と記す)。
【0070】
N:点の数(図4ではa〜jの10)
σ(i):従来のサイクル加工経路の一巡分の経路における、i番目の訪問点(図4ではσ(5)=e)
m:新規繰り返し訪問加工経路での部分巡回路の数(図4では3)
ni:i番目の部分巡回路の点の数(図4ではn1=4、n2=3、n3=3)。当然
【数1】
を満たす。
【0071】
σi(k):i番目の部分巡回路における、k番目の訪問点(図4ではσ2(1)=e)
Ti:i番目の部分巡回路の巡回路長。即ち
【数2】
ここでd(i,j)は、点iから点jへの移動長(移動時間、今回の場合は点iから点jへの走査開始から、点jでの照射完了までの時間に相当)を表わす。
【0072】
Cmin:各点における加工の最小照射時間間隔(定数)
目的は、従来の一巡訪問順序σ(i)が定まった状態での、(1)式に相当する次式(即ち「進み移動長−戻り移動長」の総和)の最大化である。
【0073】
【数3】
ここでの制約は、部分巡回路の巡回路長が最小照射間隔より大きいというもので、次式で表わされる。
【0074】
Ti≧Cmin(1≦i≦m) …(5)
【0075】
等価な問題へ帰着するため、次のようなネットワークを考える。
【0076】
・N+1個の節点で構成され、うち2つは共にσ(1)に対応する始点(sink)及び終点(source)であり、その他のN−1個の節点はσ(2),…σ(N)に対応する。
【0077】
・次のようなiからjへの有向枝(i<j)で構成される。
【0078】
【数4】
ここでc(i,j)は枝(i,j)の長さを表わす。
【0079】
(6)式は、(5)式を満足するような始点をi、終点をj−1とする部分巡回路候補に関し、その部分巡回路の始点と次の部分巡回路の始点とを隣接させること(節点同士を結ぶこと)を示す。(7)式は、枝長が「進み移動長−戻り移動長」であることを指す。
【0080】
あるいは、(6)式の制約を取り除いて、始点をi、終点をj−1とする部分巡回路長がCmin以下、即ち、始点iにおける待ち時間w(i,j)が
【数5】
の場合は、板長行列C(i,j)をw(i,j)>0の場合にのみ待ち時間を差し引くよう、以下のように定義してもよい。
【0081】
【数6】
【0082】
このようなネットワークにおける始点から終点への路の長さは、(4)式に等しい。又、上記ネットワークに閉路は存在しない。
【0083】
従って、(4)(5)式により定義される問題は、有向閉路の無いネットワークの最長路問題(longest path problem、以下単にLPPと記す)に帰着できる。
【0084】
最後に、ステップ104において、求まった最長路について、最長路上の各節点は、繰り返し訪問加工経路上の部分順回路の始点であるから、それら始点の場所に従って単一回訪問加工経路から繰り返し訪問加工経路を決定すればよい。
【0085】
以下、第1実施形態の実施例について説明する。
【0086】
図4(A)に示したような巡回路において、全ての点対間の距離d(i,j)(距離行列)が図6(A)に示すように与えられているとする。この距離の値の一部を経路上に図示すると図6(B)に示す如くとなる。
【0087】
この距離行列d(i,j)に従って、(4)式を満たすような2点の組合せi、jを抽出し、(7)式により各枝長c(i,j)を計算する。
【0088】
即ち、部分巡回路(i,i+1,・・・,j−1→i)の巡回路長が下限値(本例では10)以上のものをネットワークにおける枝(i,j)と定義し、枝長c(i,j)を(7)式により計算する。
【0089】
例えば枝(a,e)について、部分巡回路(a,・・・,d→a)の巡回路長は10で、下限値10以上であり、その枝長
c(a,e)=d(d,e)−d(d,a)=7−4=3
となる。図7は、このような計算により求められた枝長行列c(i,j)の例である。
【0090】
抽出された枝(i,j)により、ネットワークが図8に示すように定義される。このネットワークの始点から終点への路は、それぞれ、部分巡回路の作り方に対応しており、その中の最長路は、(4)式を最大化するような部分巡回路に対応する。例えば、路a→f→aは、(a,b,c,d,e→a)、(f,g,h,i,j→d)の部分巡回路作成に対応し、最大化の評価値
d(e,f)−d(e,a)+d(j,a)−d(j,f)
は、路長−2−4=−6に相当する。
【0091】
この例の場合、(a,b,c,d)、(e,f,g)、(h,i,j)に分けると、(a,b,c,d→a)、(e,f,g→e)、(h,i,j→h)と周回するような経路における(4)式の値は3+3+7=13で最大(最長路)となる。従って、例えば10周の加工では、(1)式のように(10−1)×13=117経路長を節減できる。
【0092】
有向閉路の無いネットワークの最長路問題は、最適解を実用的な時間で導出できる問題として知られている。解法として、例えば「計算とアルゴリズム」(浅野孝夫・今井浩共著、オーム社、2000)に記載の動的計画法を用いた方法等が適用できる。
【0093】
前記解法では、経路の始点が従来の経路の始点に固定されている。しかしながら、本発明による経路の始点は、従来の経路の始点でなくとも構わない。従って、厳密に前記ネットワーク化において始点がσ(k)(1≦k≦N)の全ての場合を試してみて、(4)式が最大となるものを解とすることも考えられる。
【0094】
次に、ステージ非停止加工に適用した本発明の第2実施形態について、詳細に説明する。なお、ステージ非停止加工においては、基板上の加工可能な範囲(走査エリア)の位置が連続的に変化するため、第1実施形態の部分経路への分割方法を、単純に用いることはできず、更に工夫を加える必要がある。
【0095】
従来のステージ非停止加工でのnサイクル加工に際しては、図9(A)に示す如く、ある一連の加工を行う矩形(走査短形と記す)の1サイクル加工を、ステージをn回繰り返し移動して、同一方向にn回繰り返すのに対して、本発明による経路では、図9(B)に示す如く、1回のステージ移動中に、穴開け位置を必要回数訪問するような経路に従う。
【0096】
本加工経路の導出は、特願2002−26189において説明した、(単一回訪問の)ステージ等速動作速度最大化及び穴あけ位置訪問順序最適化工程(ステップ112)の代わりに実行する。
【0097】
以下に、第2実施形態における加工経路の導出方法の詳細を説明する。
【0098】
本実施形態の加工経路の導出は、図10に示す如く、ステージ停止加工に適用した第1実施形態における単一回訪問加工経路発生工程(ステップ200)、単一回訪問加工経路分割工程(ステップ204)、繰り返し訪問加工経路決定工程(ステップ206)に、ステージ動作速度算出工程(ステップ208)、及びステージ暫定動作速度設定工程(ステップ202)が追加される。
【0099】
即ち、ステップ200の単一回訪問加工経路発生工程では、例えば特願2002−26189にて説明した、ステージ等速動作速度を最大化しつつ穴あけ位置訪問順序を最適化する工程により、単一回訪問時の最大ステージ等速動作速度及び最適穴あけ位置訪問順序を求める。
【0100】
ついでステップ202のステージ暫定動作速度設定工程では、繰り返し訪問加工時の暫定的な加工速度を、ステップ200にて算出された最大ステージ等速動作速度及び繰り返し訪問回数(従来の「サイクル数」)をもとに設定する。
【0101】
ステップ204の単一回訪問加工経路分割工程では、単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する。その際に、分割によって得られる部分巡回路長が同一穴あけ位置の最小加工間隔より長く、かつ、部分巡回路から自動的に作成される繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように、分割を決定する。
【0102】
ステップ206では、分割された各部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動たちに対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し訪問加工経路を定める。
【0103】
最後にステップ208において、求まった繰り返し訪問加工経路に対して、最大ステージ等速動作速度を算出する。
【0104】
以下、繰り返し訪問加工経路の導出方法を具体的に説明する(ステップ200については、既に特願2002−26189に詳しく説明済みゆえ説明を省略する)。又、そのための数学的定式化を説明する。
【0105】
まず、単一回訪問加工経路を複数に分割する工程であるステップ204を、次の記号を用いて、数学的に定式化する。
【0106】
n:各点に必要な照射回数(サイクル数)。
new(i):新規経路における、i番目の訪問点。ここで1≦i≦nN
wi:点iにおける、到着から照射迄の待ち時間。
tmi:点iにおける、照射開始時間。
V:ステージ等速動作速度。
ei,li:点iにおける、照射開始可能最早時刻(最早開始時刻)、最遅時刻(最遅完了時刻)(ステージ直線移動の為、走査エリアが直線状に遷移してしまい、照射可能な範囲が時間により制限される為)。即ち、照射時間をPとし、点iが走査矩形入口からx離れた点であるとすると、時刻0に走査エリアが走査矩形入口に到達したとすると、走査エリアのステージ移動軸の一辺の長さをDとおくと、ei=x/V,li=(x+D)/V−Pの関係がある。
Ti:i番目の部分巡回路の巡回路長。即ち、第1実施形態で(3)式であったのに対し、本実施形態では、
【数7】
【0107】
なお、他の記号は、第1実施形態のステップ102と同じである。
【0108】
ここで、ステージ動作を含む場合の2点間の移動時間の例を図11に、ステージ動作速度が異なる場合の2点間の移動時間の違いの例を図12に示す。図11、図12は、共に、横軸に時間、縦軸に2点間を動作可能な距離の限界を表わす。図11における曲線ABCは、ステージが停止している場合の2点間移動可能限界曲線であり、例えば2点間の実距離lの場合、時間t1で移動可能であることを示す。又、曲線PQRは、走査エリアが正の方向に等速遷移している場合の2点間移動可能限界曲線であり、例えば2点間の実距離lの場合、時間t2で移動可能であることを指す。図から明らかなように、同一実距離lの移動でも、走査エリア遷移方向と移動方向が等しい場合は時間t2で、逆の場合は時間t3で移動可能である。これは、移動距離の非対称性、即ちd(i,j)≠d(j,i)であることを示している。
【0109】
なお、曲線ABCと曲線PQRとの交点Xに関し、Xの縦軸値より大きな縦軸値を持つ移動の場合、非停止制御(ステージ一定速移動)の方が高速に移動可能であり、小さな縦軸値の移動の場合は、ステージ停止制御の方が高速に移動可能である。
【0110】
又、図12に示す如く、ステージ動作が速い場合(曲線PQR)と遅い場合(曲線STU)とで、移動可能曲線は違ってくる。
【0111】
以上まとめると、2点間の移動時間は、非対称的であり、ステージ速度に依存する。
【0112】
従って、次のように定式化する。最適化の目的は、総加工時間、即ち加工開始時刻を0としたときの最後の点の加工終了時刻tmnew(nN)の最早化である。
【0113】
なお、最後の点の加工終了時刻の最早化とステージ動作速度の最大化とは、ステージを直線的に等方向に動作させる場合は、ほぼ等価と見て良い。
【0114】
ここでの、制約条件は、次の(11)式及び(12)式である。
【0115】
【数8】
ここで、(11)式の制約条件は、部分巡回路の巡回路長が最小照射間隔より大きいことに対応し、(12)式の制約条件は、照射可能であることに対応している。
【0116】
本問題は、距離d(i,j)等、ステージ動作速度に依存するものが多いため、制約条件が扱い難い(Ti,ei,li等も速度依存する)。しかしながら、n回ずつの繰り返し訪問加工の場合、ステージ速度が概ね1/n程度になることが予想されるとの発想で、ステップ202において、ステップ200で算出されたステージ速度vに対し、繰り返し訪問加工時のステージ暫定速度をv/nに設定しておいて、ステップ204にて単一回訪問加工経路の複数の部分経路への分割を行う。
【0117】
なお、図5と異なり、(6)式のCminは、これより若干大きな値Cmin´としてもよい。これは、ステージ速度V/nは暫定的であり、後工程で正確な速度が決定するが、図13に示されているように、ステージ速度が異なれば、2点間の距離が異なってくるためである。
【0118】
更に部分巡回路長に関し、巡回中にステージが進む距離と(12)式に示した加工実行可能性とから、i番目の部分回路(1≦i≦m)に対し、有向枝の候補を、次式を満たすものに限定する。
【0119】
【数9】
【0120】
この(14)式は、n−1巡している間に、最初の加工点が照射可能範囲から外れないという条件を表わしたものである。
【0121】
ここで、D´は、走査エリアのステージ進行方向の大きさDより若干小さい値を表わす。単にDとしなかったのは、1つの部分巡回路に関してはDでよいが、次の部分巡回路の照射タイミングにしわ寄せが残ってしまい、ぎりぎりだと間に合わない恐れがあるためである。
【0122】
又、終点から始点に戻る移動の距離に関して、戻る距離が長すぎないように、次式で制限を与える(図13参照)。
【0123】
【数10】
ここで、x(i)は、点iの走査エリア遷移方向の座標を表わす。又、D”も走査エリアの大きさDより小さい値であり、適切に設定する。
【0124】
なお、図14に示す如く、(14)式の左辺はσi(1)を始点、σi(ni)を終点とする部分巡回路における走査エリア遷移方向の座標値の戻りの最大値としてもよい。その場合は、右辺が次式で示される値となる。
【0125】
【数11】
【0126】
この(15)式は、k1番で進み方向の最大値に達し、k2番で最小値に戻る場合の戻り距離Δx、戻り時間Δtに関し、
Δx+VΔt<D”
が必要であることを意味している。
【0127】
最後にステップ206、208において、ステップ204で求まった単一回訪問経路の分割の始点に対し、複数回訪問加工経路を作成し、その経路に対し加工実行可能な最大速度を求める。特願2002−26189に詳細に述べたように、2分探索法を利用して挟み撃ちを行なえば、求めることが可能である。しかし、本問題の場合、実行可能速度は、暫定速度vに近い(少し小さい)値であることが予想されるので、vでの実行可能性を調べ、不可能であるなら速度を少し下げる(可能であれば速度を少し上げる)という操作を、限界が求まるまで繰り返すという線形探索でも十分である。
【0128】
なお、ステップ204では、Cmin´を若干Cminより大きめの値に設定しているが、そうではなく、ステップ206(ステージの正確な速度を求める時点)で、各巡回路の始点において、巡回路長がCminに満たない場合は、待ちを設けてもよい。
【0129】
又、待ちが無いという制約を除き、枝長c(i,j)を以下のように定義して解いてもよい。
【0130】
【数12】
ここで、max{*,**}は、*と**の大きい方を指す。
【0131】
即ち、i番の訪問において待つ必要があれば、(つまり、
【数13】
である場合)、その時間を(7)式から引いておけばよい。
【0132】
又、経路が定まった場合の各点の照射開始時刻に関して、i−1番目の訪問点new(i−1)の照射開始時間tmnew ( i−1 )に対し、i番目の訪問点new(i)への到着時刻aiは、
anew(i)=tmnew ( i−1 )+d(σ(i−1),σ(i))
と書けるが、
anew(i)<enew(i)ならばtmnew ( i )=enew(i)とし、
さもなければtmnew ( i )=anew ( i )とする。(到達時間の制限)。
【0133】
更に、点iが2回目以降に訪問する点である場合、同一加工点ibefの前回訪問時の照射開始時間tibefに対し、
tibef(+P)+Cmin<ti
ならば、
ti=tibef(+P)+Cmin …(18)
とする(経過時間の制限)。
【0134】
このように順次設定すればよい。
【0135】
なお、前記実施形態においては、いずれも、高速位置決め手段がスキャナとされ、低速位置決め手段がステージとされていたが、位置決め手段の種類や組合せはこれに限定されず、例えば出願人が特開2000−71089や特開2000−334637で提案したような、リニアモータXYステージと高速加工ヘッドを組み合わせたスクリーンカットシステムあるいはフラッシュカットシステムであってもよい。
【0136】
又、適用対象も、点状の加工を行なうレーザ穴開け機に限定されず、線状の加工を行なうレーザ切断機、特開平11−149317に記載された2ヘッドレーザ加工機やレーザビーム以外の加工手段を用いた一般な加工機(例えば機械式ドリルによる穴開け装置)、更にはマーキング装置や露光装置であって、全ての点を複数回、同一回数ずつ訪問する必要があり、且つ、各点において空けるべき訪問タイミングの最小間隔が定まっているようなシステム全般に同様に適用できることは明らかである。
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、同一加工位置において加工の最小時間間隔の所定の最小値を確保しつつ所定の回数の複数回加工を行うような繰り返し加工の加工時間を短縮することができ、スループットを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例であるレーザ穴開け機の要部構成を示す正面図
【図2】各走査エリアにおけるスキャナ走査経路の例を示す平面図
【図3】本発明が適用されるレーザ穴開け機の全体構成を示すブロック図
【図4】従来のサイクル加工経路と本発明による経路を比較して示す図
【図5】本発明の第1実施形態における加工経路の導出手順を示す流れ図
【図6】第1実施形態におけるネットワーク化を説明するための距離行列及び平面図
【図7】同じく枝長行列の例を示す図表
【図8】同じく枝の接続による実際のネットワーク化の方法を説明するための線図
【図9】協調制御における従来の経路と本発明の第2実施形態による経路を比較して示す平面図
【図10】第2実施形態の処理手順を示す流れ図
【図11】第2実施形態を説明するための、ステージ動作を含む場合の2点間の移動時間の例を示すタイムチャート
【図12】同じくステージ動作速度が異なる場合の2点間の移動時間の違いの例を示すタイムチャート
【図13】第2実施形態における終点から始点に戻る移動の距離に対する制限の例を示す線図
【図14】同じく他の例を示す線図
【符号の説明】
10…加工対象物(ワーク)
12…XYステージ
20…レーザ光線
22、24…ガルバノスキャナ
23、25…回転ミラー
26…f−θレンズ
30…レーザ穴開け機
40…PC(パソコン)
42…加工データファイル群
44…加工データ変換プログラム
46…加工データ
48…動作モデルファイル
50…動作モデル読込みプログラム
52…動作モデルデータ
54…加工計画プログラム
56…加工制御プログラム
Claims (31)
- 多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画方法であって、
加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させる、単一回訪問加工経路発生工程と、
該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する、単一回訪問加工経路分割工程と、
分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める、繰り返し加工経路決定工程と、
を有することを特徴とする加工計画方法。 - 多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法であって、更に、
低速位置決め手段暫定動作速度設定工程と、
低速位置決め手段動作速度最大化工程と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路発生工程において、
巡回セールスマン問題の解法を適用することを特徴とする請求項1に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路分割工程において、
単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する評価式として、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−(加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)
を用いて、評価値の合計を最大化するよう、分割箇所を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路分割工程において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定める際に、
加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔より短い場合は、前記評価式の代わりに、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−((加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)+(加工開始位置での最小加工間隔待ち時間))
を用いることを特徴とする請求項4に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路分割工程において、
部分巡回路長が同一加工位置の最小加工間隔以上であり、かつ、繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように分割を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路分割工程において、
前記単一回訪問加工経路発生工程で得た経路の始点を変えて繰り返し単一回訪問加工経路分割工程を実行し、前記評価式が最大となるときを以て単一回訪問加工経路分割工程の解とすることを特徴とする請求項4又は5に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路発生工程と単一回訪問加工経路分割工程は、
低速位置決め手段の移動速度も考慮することを特徴とする請求項2に記載の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法。 - 多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法であって、
低速位置決め手段の1回の移動中に、繰り返し加工を完了させるよう計画することを特徴とする低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法。 - 各加工位置の加工タイミングを、
同一加工位置の最小加工間隔を確保するように設定することを特徴とする請求項1に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路分割工程において、
前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する分割を、
加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔以上のものに限定することを特徴とする請求項1又は2に記載の加工計画方法。 - 前記単一回訪問加工経路分割工程において、
前記評価式を最大化するために、有向閉路の無い最長路問題の動的計画法に基づく解法を用いることを特徴とする請求項4又は5に記載の加工計画方法。 - 前記各加工位置の加工タイミングを、更に、
低速位置決め手段の移動により遷移する所定寸短形範囲から外れないように設定することを特徴とする請求項10に記載の低速位置決め手段非停止加工の加工計画方法。 - 請求項1乃至13のいずれかに記載の加工計画方法により決定された加工を行なうことを特徴とする加工方法。
- 請求項1乃至13のいずれかに記載の加工計画方法又は請求項14に記載の加工方法を実施するためのコンピュータプログラム。
- 多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の加工計画装置であって、
加工位置を単一回ずつ訪問しながら加工する経路を発生させる、単一回訪問加工経路発生手段と、
該単一回訪問加工経路を複数の部分経路に分割する、単一回訪問加工経路分割手段と、
分割された各部分経路に該部分経路の終点から始点への戻り移動を加えた部分巡回路、及び、該連続する2つの部分巡回路を繋ぐ接続移動に対して、部分巡回路上の複数回巡回移動と接続移動により、加工位置を複数回ずつ訪問しながら加工する繰り返し加工経路を定める、繰り返し加工経路決定手段と、
を有することを特徴とする加工計画装置。 - 多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置であって、更に、
低速位置決め手段暫定動作速度設定手段と、
低速位置決め手段動作速度最大化手段と、
を有することを特徴とする請求項16に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路発生手段において、
巡回セールスマン問題の解法を適用することを特徴とする請求項16に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路分割手段において、
単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する評価式として、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−(加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)
を用いて、評価値の合計を最大化するよう、分割箇所を決定することを特徴とする請求項16又は17に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路分割手段において、前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定める際に、
加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔より短い場合は、前記評価式の代わりに、
(加工終了位置から経路上加工終了位置の次の位置へ進むときの移動コスト)−((加工終了位置から加工開始位置へ戻るときの移動コスト)+(加工開始位置での最小加工間隔待ち時間))
を用いることを特徴とする請求項19に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路分割手段において、
部分巡回路長が同一加工位置の最小加工間隔以上であり、かつ、繰り返し訪問加工経路の経路長が最小となるように分割を決定することを特徴とする請求項16又は17に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路分割手段において、
前記単一回訪問加工経路発生手段で得た経路の始点を変えて繰り返し単一回訪問加工経路分割を実行し、前記評価式が最大となるときを以て単一回訪問加工経路分割の解とすることを特徴とする請求項19又は20に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路発生手段と単一回訪問加工経路分割手段は、
低速位置決め手段の移動速度も考慮することを特徴とする請求項17に記載の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置。 - 多数の加工位置を複数回巡回しながら繰り返し加工する際の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置であって、
低速位置決め手段の1回の移動中に、繰り返し加工を完了させるよう計画することを特徴とする低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置。 - 各加工位置の加工タイミングを、
同一加工位置の最小加工間隔を確保するように設定することを特徴とする請求項16に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路分割手段において、
前記単一回訪問加工経路に沿って、ある加工開始位置からある加工終了位置まで分割経路を定めるときの効果を評価する分割を、
加工開始位置から加工終了位置までの経路に加工終了位置から加工開始位置への戻り移動を加えた巡回路の巡回路長が、同一加工位置の最小加工間隔以上のものに限定することを特徴とする請求項16又は17に記載の加工計画装置。 - 前記単一回訪問加工経路分割手段において、
前記評価式を最大化するために、有向閉路の無い最長路問題の動的計画法に基づく解法を用いることを特徴とする請求項19又は20に記載の加工計画装置。 - 前記各加工位置の加工タイミングを、更に、
低速位置決め手段の移動により遷移する所定寸短形範囲から外れないように設定することを特徴とする請求項25に記載の低速位置決め手段非停止加工の加工計画装置。 - 請求項16乃至28のいずれかに記載の加工計画装置を含むことを特徴とする加工装置。
- 請求項16乃至28のいずれかに記載の加工計画装置又は請求項29に記載の加工装置を実現するためのコンピュータプログラム。
- 請求項15又は30に記載のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体。
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102021103206A1 (de) | 2021-02-11 | 2022-08-11 | Precitec Gmbh & Co. Kg | Verfahren zum Optimieren einer Bearbeitungszeit eines Laserbearbeitungsprozesses, Verfahren zum Durchführen eines Laserbearbeitungsprozesses an einem Werkstück und Laserbearbeitungssystem, welches eingerichtet ist, um diese durchzuführen |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326728A patent/JP2004164083A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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