JP2004230441A - 加工機の制御方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工計画プログラムにより算出されたデータに基づいて加工を実行する際に、高速且つ高精度な加工を可能とする。
【解決手段】ステージドライバ112を駆動するステージ制御信号を、一連する加工位置加工時のXYステージ110の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前に生成し、ガルバノドライバ122を駆動するガルバノ制御信号を、各加工位置毎のガルバノ目標位置から、各加工位置毎のステージ目標位置からその現在値を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続ける。
【選択図】 図5
【解決手段】ステージドライバ112を駆動するステージ制御信号を、一連する加工位置加工時のXYステージ110の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前に生成し、ガルバノドライバ122を駆動するガルバノ制御信号を、各加工位置毎のガルバノ目標位置から、各加工位置毎のステージ目標位置からその現在値を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続ける。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、XYステージ等の低速位置決め手段とガルバノスキャナ等の高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御方法及び装置に係り、特に、レーザ穴あけ機に用いるのに好適な、高速且つ高精度な低速位置決め手段非停止加工を行なうことが可能な、加工機の制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、レーザ穴あけ機による加工は、低速であるが広範囲に位置決め可能であるXYステージ(以下、単に「ステージ」と称する)と、狭範囲であるが高速に位置決め可能なガルバノスキャナ(以下単に「ガルバノ」と称する)を併用することにより位置決めを行ない、位置決め完了後にレーザ照射を行なう加工方法を採っている。
【0003】
ガルバノとステージの用い方により、加工方式は、2つに分かれる。即ち、加工中はステージを静止させガルバノのみを振って位置決めを行なうステージ停止加工(一般に「ステップアンドリピート」と称される)と、加工中も常にステージとガルバノを並行的に用いて加工を行なうステージ非停止加工(あるいは、制御の観点からは「協調制御」と称される)である。
【0004】
一般的には、ステージを止めない分、ステージ非停止加工はステージ停止加工と比較して、極めて高速に加工可能である。一方で、同じくステージを止めない分、高精度な加工は困難である。
【0005】
加えて、ステージ非停止加工システムにおいては、システム構成及びデータ処理方法等、設計に際して極めて自由度が大きい。即ち、加工システムの入力及び出力は、必ず共通しているが(入力=穴あけ位置座標配置及びその他加工条件、出力=(ガルバノ等の)高速狭範囲位置決めドライバ及び(ステージ等の)低速広範囲位置決めドライバへの(時間に対して連続な)制御信号)、システムに加工計画プログラムを用いるか、そうならばプログラムは如何なるデータを出力するか、加工シーケンス制御部は如何なるデータを出力するか、如何にして両制御信号を生成するか、・・・等、多くの選択肢があり、選択により加工速度や加工精度も異なってくる。
【0006】
このようなステージ非停止加工の先行技術として、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等が挙げられる。又、ステージ非停止加工を効率よく実行するための加工計画プログラムとして、出願人は、特願2002−26189号を提案している。
【0007】
以下に、上記関連技術について、データ処理方法の特徴を中心に説明する。以下の説明においては、関連技術との対比を容易とするため、本発明においてステージ「ドライバ」に送出する信号や他の信号を「ステージ制御信号」と、ガルバノ「ドライバ」に送出する信号に当たる信号を「ガルバノ制御信号」と記す。
【0008】
又、各関連技術の説明において、「ドライバ」に関する定義がまちまちであるが、以下の説明では、ドライバの定義を、「制御信号(連続的な位置データ)を入力として、装置(ガルバノスキャナやXYステージ等)を動かすもの」とする(図1、図2、図3、図5の最も該当するブロックをハッチングで示す)。更に、説明に用いる名称は、請求項記載箇所に(有れば)従う。なお、以下では1つ(又は同一出願により2つ)の関連技術に対し、(複数の実施形態がある場合でも)1つの説明しか与えていないが、該関連事例を見る限り、基本的なシステム構成及びデータ処理に関しては、本質的には違いはない。
【0009】
特許文献1によれば、図1に該特許の図2を抜粋して説明を加えるように、システム制御コンピュータ63にて記憶されたツール経路データベース内のデータは、該コンピュータ63及び信号プロセッサ52にて処理され、最終的に高速検流位置決め段の検流ドライバ88及び低速X及びY軸移動段の検流ドライバ96へと、ガルバノ及びステージ制御信号として送出される。信号プロセッサ52による、移動制御信号から高周波制御信号及び低周波制御信号への分離処理は、基本的にはローパスフィルタ78及び減算器80によってなされる。即ち、低周波及び高周波駆動信号の和である移動制御信号をローパスフィルタに通して低周波成分のみを取り出し、該成分を低周波駆動信号(即ちステージ制御信号)としている。一方で、移動制御信号から該低周波成分を減算器80で減算した結果である高周波成分を、高周波駆動信号(即ちガルバノ制御信号)としている。ここで、システム制御コンピュータ63内のツール経路発生プログラムは、詳細が開示されておらず、又、用語の意味が明確でないため、全貌は不明瞭であるが、少なくともツール経路、即ち「ワークピース上の(レーザビーム)ターゲット位置」の経路を定めているが、この経路は、範囲に限界のあるガルバノ、及び、速度に限界のあるステージの位置決め量の分担が分離されていない。更に、ツール経路発生プログラムとローパスフィルタなど信号分離手段との連動性については説明されておらず、従って、発生された経路によっては、たとえ信号を分岐できても効果的な加工が出来ない可能性があった。
【0010】
又、特許文献2及び特許文献3によれば、図2に特許文献2の図2を抜粋して説明を加えたように、加工計画部8は、レーザ光照射位置指令を搬送系位置指令生成部13及びレーザ光照射位置指令パターン生成部11に出力する(特許文献2、特許文献3においても、用語の意味が明確ではないが、解釈して説明を付加すると、ここで言う「レーザ光照射位置指令」は、穴あけ位置の点座標のことである)。
【0011】
ここで、ステージ制御信号及びガルバノ制御信号は、次のようにして処理されて各ドライバに送出される。即ち、ステージ制御信号は、搬送系位置指令生成部13によりレーザ光照射位置指令を基にして生成される。又、ガルバノ制御信号は、レーザ光照射位置指令パターン生成部11がレーザ光照射位置指令を基に生成するレーザ光照射位置指令パターンから、XYテーブル現在位置を減算することにより生成される。
【0012】
ここで、特許文献2及び特許文献3の加工計画部8は、共に、ステージ速度パターンを算出する機能がなく、従って、搬送系位置指令生成部13は、各レーザ光照射位置指令に対応付けられている搬送系制御指令値のみを基にステージ制御信号を作成せざるを得ない。
【0013】
なお、特許文献3において、搬送系位置指令は加工計画部から出力するようにされ、又、搬送系位置指令とステージ現在位置の偏差に基づいてステージ速度を調整するように設計されているが、このような変更を加えても、加工計画部が速度パターンを計画しない限りは、高速且つ高精度に加工可能なステージ制御信号の生成には限界がある。
【0014】
一方、ステージ非停止加工に関する先行技術ではないが、特許文献4及び特許文献5は、図3に抜粋して説明を加える如く、スキャナ位置信号からステージの微小変化量あるいは微動量を減算することにより、補正したスキャナの駆動信号(即ちガルバノ制御信号)を生成している。一方、ステージ制御信号に関しては記載が無い([0004]段に「停止しているステージ上の・・・」とあるように、固定値のようである)。ここで、補正方向にステージが止まっているため、特許文献4及び特許文献5におけるCPUからの出力信号に、当然ながら補正方向のステージ移動速度は含まれない。
【0015】
【特許文献1】
特許第3009740号公報
【特許文献2】
特開2000−100608号公報
【特許文献3】
特開2002−1567号公報
【特許文献4】
特開2000−283717号公報
【特許文献5】
特開2001−42246号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に関しては、ツール経路の段階ではガルバノとステージの位置決め量の分担が分離されていなかったり、あるいは、特許文献2、34、5に関しては、速度パターンが計画されておらず、良好な加工は困難であった。
【0017】
一方、出願人は特願2002−26189(出願時未公開)で、図4に示す如く、基板上の穴あけ位置の配置や走査範囲を基として、次のように加工を計画することを提案している。
【0018】
ステップ1…基板全体の穴あけ位置を、加工矩形分割する(ここで加工矩形とは、ステージがX又はY方向に直線状に移動しながら穴あけ位置を順次照射加工する場合の、スキャンエリアが基板上でつくる軌道が成す矩形のことである。また同一の加工矩形内にある穴は、一連する穴あけ位置加工時に加工される)。
【0019】
ステップ2…各加工矩形内の総加工時間が最小となるように、穴あけ位置訪問順序を最適化しつつ、ステージ速度を最大化する。
【0020】
ステップ3…加工矩形訪問順序を定める(加工矩形の配置方向が、X又はYに揃っている場合は、ステージの移動経路は蛇行状である場合が最適であるので、このステップは簡単である(省略できる))。
【0021】
ところが、加工計画プログラムを用いて作成した加工データを、如何に加工システムの一部として用いるかについては、何ら記載されていなかった。なお、加工計画プログラムは、ガルバノ及びステージ位置決め制御に関する次のデータを生成可能である。
【0022】
・加工矩形配置及び訪問順序。
・加工矩形加工時のステージ速度パターン、ステージ移動開始位置、ステージ移動終了位置。
・加工矩形内の一連の穴あけ位置加工時における、各穴あけ位置毎の加工タイミング、ガルバノ目標位置、ステージ目標位置。
【0023】
即ち、このような加工計画プログラムを用いたい場合、これらの生成データの幾つかを用いることにより、加工計画で想定した高速加工を損なわず、且つ、精度良く加工を実行させるための、優れたデータ処理方法が必要であった。
【0024】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、ステージ非停止方式の加工機において、加工時間が最小となるように計画する加工計画プログラムにより算出したデータに基づいて加工を実行する際に、加工機の構成と、加工シーケンスを制御するホストコントローラの発行するデータを適切に設定することにより、高速且つ高精度な加工を可能とすることを課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御方法において、少なくとも、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置及び高速位置決め手段目標位置を決定して加工機を制御する際に、低速位置決め手段ドライバを駆動する低速位置決め手段制御信号を、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前に生成し、高速位置決め手段ドライバを駆動する高速位置決め手段制御信号を、各加工位置毎の高速位置決め手段目標位置から、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置から同手段現在位置を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続けるようにして、前記課題を解決したものである。
【0026】
本発明は、又、低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御装置において、少なくとも、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置及び高速位置決め手段目標位置を決定する加工計画プログラムと、該加工計画プログラムに従って加工機を制御するコントローラとを有し、該コントローラは、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、及び、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置および高速位置決め手段目標位置を発行する際に、低速位置決め手段ドライバを駆動する低速位置決め手段制御信号を、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前(好ましくは直前)に生成し、高速位置決め手段ドライバを駆動する高速位置決め手段制御信号を、各加工位置毎の高速位置決め手段目標位置から各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置から、同手段現在位置を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続けるようにして、同じく前記課題を解決したものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
本実施形態は、本発明をレーザ加工機に適用したもので、図5に示す如く、低速位置決め手段であるXYステージ(ステージ)110と、高速位置決め手段であるガルバノスキャナ(ガルバノ)120を用いて、前記ステージ110を非停止で動作させつつ、ガルバノ120を動作させて、各加工位置へレーザ発振器100から照射されるレーザビーム102の位置決め及び加工を行なうレーザ加工機において、少なくとも、一連する加工位置加工時のステージの速度パターン、各加工位置(例えば穴位置)毎のステージ目標位置及びガルバノ目標位置を決定する加工計画プログラム200と、ガルバノ位置決め完了フラグ、加工開始フラグ及び加工完了フラグを処理してレーザ加工機を制御するホストコントローラ210と、該ホストコントローラ210から出力される照射開始フラグに応じて前記レーザ発振器100に照射開始を指示すると共に、照射完了フラグをホストコントローラ210に返す(レーザ)トリガコントローラ220と、前記ホストコントローラ210から出力されるステージ速度パターンに従ってステージ制御信号を生成するステージ制御信号生成部230と、同じくホストコントローラ210から出力されるガルバノ目標位置に従ってガルバノ制御信号(補正前)を生成するガルバノ制御信号生成部240と、前記ホストコントローラ210から出力されるステージ目標位置とステージ110からフィードバックされるステージ現在位置の差(ステージ位置エラー)を求める減算器250と、該減算器250から出力されるステージ位置エラーと前記ガルバノ制御信号生成部240から出力される補正前のガルバノ制御信号の差を求め、補正後のガルバノ制御信号として前記ガルバノドライバ122に入力する減算器260とを備えている。
【0029】
以下、本発明に係るデータ処理方法を説明する。
【0030】
基板を加工するための穴あけ位置や加工径等の加工情報である加工データは、加工計画プログラム200により、例えば総加工時間が最小となるよう最適化された後、ファイルとして蓄えられる。この加工データを基にして、ホストコントローラ210は、加工機の動作を制御する。ここで、加工データのうち、ガルバノ、ステージの制御信号に関するものとしては、最低限次のものがあるとする。
【0031】
※1 各穴毎のガルバノ移動目標位置…各穴座標に対する、ガルバノ位置決め分の座標
※2 各穴毎のステージ移動目標位置…各穴座標に対するステージ位置決め分の座標
(※1+※2=※4(穴座標)であるので、※1と※4、※2と※4の組合せの場合も同一と捉える。)
※3 各加工矩形内にて一連穴加工する際のステージ速度パターン、移動開始位置、終了位置
【0032】
各加工矩形内にて一連して穴あけ位置を加工する際、ホストコントローラ210は、まず該加工矩形におけるステージ速度パターンをステージ制御信号生成部230に発行する(例えばステージ等速移動加工の場合、速度パターンは、速度値及びステージ移動開始及び終了位置の3つである)。
【0033】
ステージ制御信号生成部230は、ステージ速度パターンに基づいて、ステージ制御信号を生成する。ステージドライバ112は、該ステージ制御信号に基づいて駆動され、その結果、XYステージ110が動作する。
【0034】
一方、ホストコントローラ210は、各穴あけ位置に対して、ガルバノ目標位置及びステージ目標位置を同時に発行する。ガルバノ制御信号生成部240は、ガルバノ目標位置に従って、補正前のガルバノ制御信号を生成する。ここで、ステージ非停止加工のため、実際のステージ現在位置とステージ目標位置とは異なっている。そこで、高速に位置決め可能なガルバノスキャナ120が、ステージ現在位置とステージ目標位置の差を補うべく、ステージ目標位置からステージ現在位置を減算してステージ位置エラーを取り出し、更に補正前のガルバノ制御信号からステージ位置エラーを減算する。そして、その結果である信号(=補正後のガルバノ制御信号)を、ガルバノドライバ122へと送出する。この補正後のガルバノ制御信号に基づいて、ガルバノスキャナ120が駆動される。
【0035】
ガルバノ位置決め完了後、ガルバノ位置決め完了フラグをホストコントローラ210へ戻す。該ガルバノ位置決め完了フラグを受け取ったホストコントローラ210は、レーザトリガコントローラ220に対して照射開始フラグを発行することにより、レーザ発振器100を制御して、レーザ照射による穴加工が開始される。
【0036】
穴加工完了後は、照射完了フラグがホストコントローラ210に戻され、再びガルバノ目標位置及びステージ目標位置を発行する処理を行なう。
【0037】
このルーチンを繰り返すことにより、各加工矩形内の一連穴加工が実行される。
【0038】
加工矩形内の全穴加工完了後、次の加工矩形内の一連穴加工を行なうべく、ステージ制御信号生成部230に、次の加工矩形加工時のステージ移動開始位置を発行する。
【0039】
なお、前記実施形態においては、本発明が、XYステージとガルバノスキャナを用いたレーザ穴あけ機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、他の低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いたレーザ加工機や、機械式ドリル装置、電子描画装置等にも同様に適用できることは明らかである。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、加工計画プログラムがステージ動作速度パターンを算出し、それを基にステージ制御信号を生成するので、図6に示すような効果を有する。
【0041】
図6(A)は、(直線状に並んだ)ステージ目標位置に基づいて作成されるステージ制御指令と、該指令に対する実際のステージ位置変化の例である。又、図6(B)(C)は、ステージ速度パターンに応じて作成されるステージ制御指令と、該指令に対応する実際のステージ位置変化の例である。なお、図6(B)では、ステージ速度パターンは、固定の一定速度としている。
【0042】
特許文献4や特許文献5のように、目標位置に応じて制御指令を作成する場合、ステージ制御信号生成部は、各目標位置の指令に対し、例えば加減速時間や加減速度等のパラメータに従って、制御指令を生成する。この制御指令は、指定するパラメータにより異なってくる。例えば速度を無視して穏やかに動かしたい場合は、穏やかなパターンの指令が、精度を無視して速やかに動かしたい場合には急峻なパターンの指令が生成される。従って、高速と高精度の両方を実現することは難しい。又、この制御指令では、図示する如く、実際のステージ位置遷移も滑らかではなく、無駄な減速及び加速が繰り返されることになり、結局は精度を無視しても高速加工を行なうことは難しくなる。また加減速時にはステージ停止後も残留振動が残っており、極端に長い待ち時間(つまり長い加工時間)を設けない限り、高精度な加工は不可能となる。
【0043】
一方、本発明により移動速度に応じて制御指令を作成する場合、ステージ制御指令生成部は、図6(B)に示す如く、制御指令を時間に比例するように生成する。ステージはこの制御指令に追従して動く。従って、加工時のステージの動きは、図6(B)に示す如く、計画プログラムで想定したとおりの滑らかな等速移動となる。この場合には無駄な加減速は存在せず、前述のステージの残留振動の影響もない。
【0044】
なお、特許文献2や特許文献3には、ステップ状に変化する目標位置に対してフィルタ処理を行い、制御指令の変化を滑らかにすることが記載されているが、フィルタを用いても、もともと滑らかなステージ制御指令を生成するのと比較して、限界があることは容易に想像できる。
【0045】
又、図6(B)では、ステージ速度パターンは等速として比較したが、そうでない場合においても、図6(C)に例示するように、加工計画において速度パターンを計画しておき、速度パターンに基づいて制御指令を生成する方が、ステップ状に変化する目標位置に応じて制御指令を生成する方法と比較して、やはり無駄な加減速が生じないため、高速且つ高精度なステージ移動が可能となることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】特許第3009740号の第2図に記載された従来例を示す、一部斜視図を含むブロック図
【図2】特開2000−100608の図2に記載された従来例の構成を示すブロック図
【図3】特開2000−283717号公報の図1に記載された従来例を示すブロック図
【図4】特願2002−26189号で出願人が提案した比較例を示す図
【図5】本発明の実施形態の構成を示すブロック図
【図6】従来例と本発明の実施形態におけるステージ位置変化の例を比較して示すタイムチャート
【符号の説明】
100…レーザ発振器
102…レーザビーム
110…XYステージ(低速位置決め手段)
120…ガルバノスキャナ(高速位置決め手段)
112…ステージドライバ
122…ガルバノドライバ
200…加工計画プログラム
210…ホストコントローラ
220…トリガコントローラ
230…ステージ制御信号生成部
240…ガルバノ制御信号生成部
250、260…減算器
【発明の属する技術分野】
本発明は、XYステージ等の低速位置決め手段とガルバノスキャナ等の高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御方法及び装置に係り、特に、レーザ穴あけ機に用いるのに好適な、高速且つ高精度な低速位置決め手段非停止加工を行なうことが可能な、加工機の制御方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、レーザ穴あけ機による加工は、低速であるが広範囲に位置決め可能であるXYステージ(以下、単に「ステージ」と称する)と、狭範囲であるが高速に位置決め可能なガルバノスキャナ(以下単に「ガルバノ」と称する)を併用することにより位置決めを行ない、位置決め完了後にレーザ照射を行なう加工方法を採っている。
【0003】
ガルバノとステージの用い方により、加工方式は、2つに分かれる。即ち、加工中はステージを静止させガルバノのみを振って位置決めを行なうステージ停止加工(一般に「ステップアンドリピート」と称される)と、加工中も常にステージとガルバノを並行的に用いて加工を行なうステージ非停止加工(あるいは、制御の観点からは「協調制御」と称される)である。
【0004】
一般的には、ステージを止めない分、ステージ非停止加工はステージ停止加工と比較して、極めて高速に加工可能である。一方で、同じくステージを止めない分、高精度な加工は困難である。
【0005】
加えて、ステージ非停止加工システムにおいては、システム構成及びデータ処理方法等、設計に際して極めて自由度が大きい。即ち、加工システムの入力及び出力は、必ず共通しているが(入力=穴あけ位置座標配置及びその他加工条件、出力=(ガルバノ等の)高速狭範囲位置決めドライバ及び(ステージ等の)低速広範囲位置決めドライバへの(時間に対して連続な)制御信号)、システムに加工計画プログラムを用いるか、そうならばプログラムは如何なるデータを出力するか、加工シーケンス制御部は如何なるデータを出力するか、如何にして両制御信号を生成するか、・・・等、多くの選択肢があり、選択により加工速度や加工精度も異なってくる。
【0006】
このようなステージ非停止加工の先行技術として、例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3等が挙げられる。又、ステージ非停止加工を効率よく実行するための加工計画プログラムとして、出願人は、特願2002−26189号を提案している。
【0007】
以下に、上記関連技術について、データ処理方法の特徴を中心に説明する。以下の説明においては、関連技術との対比を容易とするため、本発明においてステージ「ドライバ」に送出する信号や他の信号を「ステージ制御信号」と、ガルバノ「ドライバ」に送出する信号に当たる信号を「ガルバノ制御信号」と記す。
【0008】
又、各関連技術の説明において、「ドライバ」に関する定義がまちまちであるが、以下の説明では、ドライバの定義を、「制御信号(連続的な位置データ)を入力として、装置(ガルバノスキャナやXYステージ等)を動かすもの」とする(図1、図2、図3、図5の最も該当するブロックをハッチングで示す)。更に、説明に用いる名称は、請求項記載箇所に(有れば)従う。なお、以下では1つ(又は同一出願により2つ)の関連技術に対し、(複数の実施形態がある場合でも)1つの説明しか与えていないが、該関連事例を見る限り、基本的なシステム構成及びデータ処理に関しては、本質的には違いはない。
【0009】
特許文献1によれば、図1に該特許の図2を抜粋して説明を加えるように、システム制御コンピュータ63にて記憶されたツール経路データベース内のデータは、該コンピュータ63及び信号プロセッサ52にて処理され、最終的に高速検流位置決め段の検流ドライバ88及び低速X及びY軸移動段の検流ドライバ96へと、ガルバノ及びステージ制御信号として送出される。信号プロセッサ52による、移動制御信号から高周波制御信号及び低周波制御信号への分離処理は、基本的にはローパスフィルタ78及び減算器80によってなされる。即ち、低周波及び高周波駆動信号の和である移動制御信号をローパスフィルタに通して低周波成分のみを取り出し、該成分を低周波駆動信号(即ちステージ制御信号)としている。一方で、移動制御信号から該低周波成分を減算器80で減算した結果である高周波成分を、高周波駆動信号(即ちガルバノ制御信号)としている。ここで、システム制御コンピュータ63内のツール経路発生プログラムは、詳細が開示されておらず、又、用語の意味が明確でないため、全貌は不明瞭であるが、少なくともツール経路、即ち「ワークピース上の(レーザビーム)ターゲット位置」の経路を定めているが、この経路は、範囲に限界のあるガルバノ、及び、速度に限界のあるステージの位置決め量の分担が分離されていない。更に、ツール経路発生プログラムとローパスフィルタなど信号分離手段との連動性については説明されておらず、従って、発生された経路によっては、たとえ信号を分岐できても効果的な加工が出来ない可能性があった。
【0010】
又、特許文献2及び特許文献3によれば、図2に特許文献2の図2を抜粋して説明を加えたように、加工計画部8は、レーザ光照射位置指令を搬送系位置指令生成部13及びレーザ光照射位置指令パターン生成部11に出力する(特許文献2、特許文献3においても、用語の意味が明確ではないが、解釈して説明を付加すると、ここで言う「レーザ光照射位置指令」は、穴あけ位置の点座標のことである)。
【0011】
ここで、ステージ制御信号及びガルバノ制御信号は、次のようにして処理されて各ドライバに送出される。即ち、ステージ制御信号は、搬送系位置指令生成部13によりレーザ光照射位置指令を基にして生成される。又、ガルバノ制御信号は、レーザ光照射位置指令パターン生成部11がレーザ光照射位置指令を基に生成するレーザ光照射位置指令パターンから、XYテーブル現在位置を減算することにより生成される。
【0012】
ここで、特許文献2及び特許文献3の加工計画部8は、共に、ステージ速度パターンを算出する機能がなく、従って、搬送系位置指令生成部13は、各レーザ光照射位置指令に対応付けられている搬送系制御指令値のみを基にステージ制御信号を作成せざるを得ない。
【0013】
なお、特許文献3において、搬送系位置指令は加工計画部から出力するようにされ、又、搬送系位置指令とステージ現在位置の偏差に基づいてステージ速度を調整するように設計されているが、このような変更を加えても、加工計画部が速度パターンを計画しない限りは、高速且つ高精度に加工可能なステージ制御信号の生成には限界がある。
【0014】
一方、ステージ非停止加工に関する先行技術ではないが、特許文献4及び特許文献5は、図3に抜粋して説明を加える如く、スキャナ位置信号からステージの微小変化量あるいは微動量を減算することにより、補正したスキャナの駆動信号(即ちガルバノ制御信号)を生成している。一方、ステージ制御信号に関しては記載が無い([0004]段に「停止しているステージ上の・・・」とあるように、固定値のようである)。ここで、補正方向にステージが止まっているため、特許文献4及び特許文献5におけるCPUからの出力信号に、当然ながら補正方向のステージ移動速度は含まれない。
【0015】
【特許文献1】
特許第3009740号公報
【特許文献2】
特開2000−100608号公報
【特許文献3】
特開2002−1567号公報
【特許文献4】
特開2000−283717号公報
【特許文献5】
特開2001−42246号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に関しては、ツール経路の段階ではガルバノとステージの位置決め量の分担が分離されていなかったり、あるいは、特許文献2、34、5に関しては、速度パターンが計画されておらず、良好な加工は困難であった。
【0017】
一方、出願人は特願2002−26189(出願時未公開)で、図4に示す如く、基板上の穴あけ位置の配置や走査範囲を基として、次のように加工を計画することを提案している。
【0018】
ステップ1…基板全体の穴あけ位置を、加工矩形分割する(ここで加工矩形とは、ステージがX又はY方向に直線状に移動しながら穴あけ位置を順次照射加工する場合の、スキャンエリアが基板上でつくる軌道が成す矩形のことである。また同一の加工矩形内にある穴は、一連する穴あけ位置加工時に加工される)。
【0019】
ステップ2…各加工矩形内の総加工時間が最小となるように、穴あけ位置訪問順序を最適化しつつ、ステージ速度を最大化する。
【0020】
ステップ3…加工矩形訪問順序を定める(加工矩形の配置方向が、X又はYに揃っている場合は、ステージの移動経路は蛇行状である場合が最適であるので、このステップは簡単である(省略できる))。
【0021】
ところが、加工計画プログラムを用いて作成した加工データを、如何に加工システムの一部として用いるかについては、何ら記載されていなかった。なお、加工計画プログラムは、ガルバノ及びステージ位置決め制御に関する次のデータを生成可能である。
【0022】
・加工矩形配置及び訪問順序。
・加工矩形加工時のステージ速度パターン、ステージ移動開始位置、ステージ移動終了位置。
・加工矩形内の一連の穴あけ位置加工時における、各穴あけ位置毎の加工タイミング、ガルバノ目標位置、ステージ目標位置。
【0023】
即ち、このような加工計画プログラムを用いたい場合、これらの生成データの幾つかを用いることにより、加工計画で想定した高速加工を損なわず、且つ、精度良く加工を実行させるための、優れたデータ処理方法が必要であった。
【0024】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、ステージ非停止方式の加工機において、加工時間が最小となるように計画する加工計画プログラムにより算出したデータに基づいて加工を実行する際に、加工機の構成と、加工シーケンスを制御するホストコントローラの発行するデータを適切に設定することにより、高速且つ高精度な加工を可能とすることを課題とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御方法において、少なくとも、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置及び高速位置決め手段目標位置を決定して加工機を制御する際に、低速位置決め手段ドライバを駆動する低速位置決め手段制御信号を、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前に生成し、高速位置決め手段ドライバを駆動する高速位置決め手段制御信号を、各加工位置毎の高速位置決め手段目標位置から、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置から同手段現在位置を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続けるようにして、前記課題を解決したものである。
【0026】
本発明は、又、低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御装置において、少なくとも、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置及び高速位置決め手段目標位置を決定する加工計画プログラムと、該加工計画プログラムに従って加工機を制御するコントローラとを有し、該コントローラは、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、及び、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置および高速位置決め手段目標位置を発行する際に、低速位置決め手段ドライバを駆動する低速位置決め手段制御信号を、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前(好ましくは直前)に生成し、高速位置決め手段ドライバを駆動する高速位置決め手段制御信号を、各加工位置毎の高速位置決め手段目標位置から各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置から、同手段現在位置を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続けるようにして、同じく前記課題を解決したものである。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0028】
本実施形態は、本発明をレーザ加工機に適用したもので、図5に示す如く、低速位置決め手段であるXYステージ(ステージ)110と、高速位置決め手段であるガルバノスキャナ(ガルバノ)120を用いて、前記ステージ110を非停止で動作させつつ、ガルバノ120を動作させて、各加工位置へレーザ発振器100から照射されるレーザビーム102の位置決め及び加工を行なうレーザ加工機において、少なくとも、一連する加工位置加工時のステージの速度パターン、各加工位置(例えば穴位置)毎のステージ目標位置及びガルバノ目標位置を決定する加工計画プログラム200と、ガルバノ位置決め完了フラグ、加工開始フラグ及び加工完了フラグを処理してレーザ加工機を制御するホストコントローラ210と、該ホストコントローラ210から出力される照射開始フラグに応じて前記レーザ発振器100に照射開始を指示すると共に、照射完了フラグをホストコントローラ210に返す(レーザ)トリガコントローラ220と、前記ホストコントローラ210から出力されるステージ速度パターンに従ってステージ制御信号を生成するステージ制御信号生成部230と、同じくホストコントローラ210から出力されるガルバノ目標位置に従ってガルバノ制御信号(補正前)を生成するガルバノ制御信号生成部240と、前記ホストコントローラ210から出力されるステージ目標位置とステージ110からフィードバックされるステージ現在位置の差(ステージ位置エラー)を求める減算器250と、該減算器250から出力されるステージ位置エラーと前記ガルバノ制御信号生成部240から出力される補正前のガルバノ制御信号の差を求め、補正後のガルバノ制御信号として前記ガルバノドライバ122に入力する減算器260とを備えている。
【0029】
以下、本発明に係るデータ処理方法を説明する。
【0030】
基板を加工するための穴あけ位置や加工径等の加工情報である加工データは、加工計画プログラム200により、例えば総加工時間が最小となるよう最適化された後、ファイルとして蓄えられる。この加工データを基にして、ホストコントローラ210は、加工機の動作を制御する。ここで、加工データのうち、ガルバノ、ステージの制御信号に関するものとしては、最低限次のものがあるとする。
【0031】
※1 各穴毎のガルバノ移動目標位置…各穴座標に対する、ガルバノ位置決め分の座標
※2 各穴毎のステージ移動目標位置…各穴座標に対するステージ位置決め分の座標
(※1+※2=※4(穴座標)であるので、※1と※4、※2と※4の組合せの場合も同一と捉える。)
※3 各加工矩形内にて一連穴加工する際のステージ速度パターン、移動開始位置、終了位置
【0032】
各加工矩形内にて一連して穴あけ位置を加工する際、ホストコントローラ210は、まず該加工矩形におけるステージ速度パターンをステージ制御信号生成部230に発行する(例えばステージ等速移動加工の場合、速度パターンは、速度値及びステージ移動開始及び終了位置の3つである)。
【0033】
ステージ制御信号生成部230は、ステージ速度パターンに基づいて、ステージ制御信号を生成する。ステージドライバ112は、該ステージ制御信号に基づいて駆動され、その結果、XYステージ110が動作する。
【0034】
一方、ホストコントローラ210は、各穴あけ位置に対して、ガルバノ目標位置及びステージ目標位置を同時に発行する。ガルバノ制御信号生成部240は、ガルバノ目標位置に従って、補正前のガルバノ制御信号を生成する。ここで、ステージ非停止加工のため、実際のステージ現在位置とステージ目標位置とは異なっている。そこで、高速に位置決め可能なガルバノスキャナ120が、ステージ現在位置とステージ目標位置の差を補うべく、ステージ目標位置からステージ現在位置を減算してステージ位置エラーを取り出し、更に補正前のガルバノ制御信号からステージ位置エラーを減算する。そして、その結果である信号(=補正後のガルバノ制御信号)を、ガルバノドライバ122へと送出する。この補正後のガルバノ制御信号に基づいて、ガルバノスキャナ120が駆動される。
【0035】
ガルバノ位置決め完了後、ガルバノ位置決め完了フラグをホストコントローラ210へ戻す。該ガルバノ位置決め完了フラグを受け取ったホストコントローラ210は、レーザトリガコントローラ220に対して照射開始フラグを発行することにより、レーザ発振器100を制御して、レーザ照射による穴加工が開始される。
【0036】
穴加工完了後は、照射完了フラグがホストコントローラ210に戻され、再びガルバノ目標位置及びステージ目標位置を発行する処理を行なう。
【0037】
このルーチンを繰り返すことにより、各加工矩形内の一連穴加工が実行される。
【0038】
加工矩形内の全穴加工完了後、次の加工矩形内の一連穴加工を行なうべく、ステージ制御信号生成部230に、次の加工矩形加工時のステージ移動開始位置を発行する。
【0039】
なお、前記実施形態においては、本発明が、XYステージとガルバノスキャナを用いたレーザ穴あけ機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、他の低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いたレーザ加工機や、機械式ドリル装置、電子描画装置等にも同様に適用できることは明らかである。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、加工計画プログラムがステージ動作速度パターンを算出し、それを基にステージ制御信号を生成するので、図6に示すような効果を有する。
【0041】
図6(A)は、(直線状に並んだ)ステージ目標位置に基づいて作成されるステージ制御指令と、該指令に対する実際のステージ位置変化の例である。又、図6(B)(C)は、ステージ速度パターンに応じて作成されるステージ制御指令と、該指令に対応する実際のステージ位置変化の例である。なお、図6(B)では、ステージ速度パターンは、固定の一定速度としている。
【0042】
特許文献4や特許文献5のように、目標位置に応じて制御指令を作成する場合、ステージ制御信号生成部は、各目標位置の指令に対し、例えば加減速時間や加減速度等のパラメータに従って、制御指令を生成する。この制御指令は、指定するパラメータにより異なってくる。例えば速度を無視して穏やかに動かしたい場合は、穏やかなパターンの指令が、精度を無視して速やかに動かしたい場合には急峻なパターンの指令が生成される。従って、高速と高精度の両方を実現することは難しい。又、この制御指令では、図示する如く、実際のステージ位置遷移も滑らかではなく、無駄な減速及び加速が繰り返されることになり、結局は精度を無視しても高速加工を行なうことは難しくなる。また加減速時にはステージ停止後も残留振動が残っており、極端に長い待ち時間(つまり長い加工時間)を設けない限り、高精度な加工は不可能となる。
【0043】
一方、本発明により移動速度に応じて制御指令を作成する場合、ステージ制御指令生成部は、図6(B)に示す如く、制御指令を時間に比例するように生成する。ステージはこの制御指令に追従して動く。従って、加工時のステージの動きは、図6(B)に示す如く、計画プログラムで想定したとおりの滑らかな等速移動となる。この場合には無駄な加減速は存在せず、前述のステージの残留振動の影響もない。
【0044】
なお、特許文献2や特許文献3には、ステップ状に変化する目標位置に対してフィルタ処理を行い、制御指令の変化を滑らかにすることが記載されているが、フィルタを用いても、もともと滑らかなステージ制御指令を生成するのと比較して、限界があることは容易に想像できる。
【0045】
又、図6(B)では、ステージ速度パターンは等速として比較したが、そうでない場合においても、図6(C)に例示するように、加工計画において速度パターンを計画しておき、速度パターンに基づいて制御指令を生成する方が、ステップ状に変化する目標位置に応じて制御指令を生成する方法と比較して、やはり無駄な加減速が生じないため、高速且つ高精度なステージ移動が可能となることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】特許第3009740号の第2図に記載された従来例を示す、一部斜視図を含むブロック図
【図2】特開2000−100608の図2に記載された従来例の構成を示すブロック図
【図3】特開2000−283717号公報の図1に記載された従来例を示すブロック図
【図4】特願2002−26189号で出願人が提案した比較例を示す図
【図5】本発明の実施形態の構成を示すブロック図
【図6】従来例と本発明の実施形態におけるステージ位置変化の例を比較して示すタイムチャート
【符号の説明】
100…レーザ発振器
102…レーザビーム
110…XYステージ(低速位置決め手段)
120…ガルバノスキャナ(高速位置決め手段)
112…ステージドライバ
122…ガルバノドライバ
200…加工計画プログラム
210…ホストコントローラ
220…トリガコントローラ
230…ステージ制御信号生成部
240…ガルバノ制御信号生成部
250、260…減算器
Claims (2)
- 低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御方法において、
少なくとも、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置及び高速位置決め手段目標位置を決定して加工機を制御する際に、
低速位置決め手段ドライバを駆動する低速位置決め手段制御信号を、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前に生成し、
高速位置決め手段ドライバを駆動する高速位置決め手段制御信号を、各加工位置毎の高速位置決め手段目標位置から、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置から同手段現在位置を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続けることを特徴とする加工機の制御方法。 - 低速位置決め手段と高速位置決め手段を用いて、低速位置決め手段を非停止で動作させつつ、高速位置決め手段を動作させて、各加工位置への位置決め及び加工を行なう加工機の制御装置において、
少なくとも、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置及び高速位置決め手段目標位置を決定する加工計画プログラムと、
該加工計画プログラムに従って加工機を制御するコントローラとを有し、
該コントローラは、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターン、及び、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置および高速位置決め手段目標位置を発行する際に、
低速位置決め手段ドライバを駆動する低速位置決め手段制御信号を、一連する加工位置加工時の低速位置決め手段の速度パターンを用いて、一連する加工位置加工を実行する前に生成し、
高速位置決め手段ドライバを駆動する高速位置決め手段制御信号を、各加工位置毎の高速位置決め手段目標位置から、各加工位置毎の低速位置決め手段目標位置から同手段現在位置を減算した結果を減算することにより、加工中に生成し続けることを特徴とする加工機の制御装置。
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-
2003
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