JP2004145544A - 加工計画方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低速位置決め手段を動かしたまま高速位置決め手段を動かしてレーザを走査する協調制御加工を高速化する。
【解決手段】ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする工程と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める工程とを持つ加工計画方法であって、所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定する。
【選択図】 図6
【解決手段】ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする工程と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める工程とを持つ加工計画方法であって、所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定する。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工計画方法及び装置に係り、特に、レーザビームを照射してプリント配線基板等に複数の穴開け加工を行うレーザ穴開け機で、XYステージ等の低速位置決め手段を動かしたまま、ガルバノスキャナ等の高速位置決め手段を動かしてレーザを走査する、いわゆる協調制御加工に用いるのに好適な、穴開け等の加工位置の2次元平面における分布状態を数学的に捉えて、XYステージの速度、加速度、軌道やガルバノスキャナの穴開け位置訪問順序等の機器の動作を効率良く計画することにより、協調制御加工を高速化することが可能な加工計画方法、該加工計画方法により決定された加工を行う加工方法、同様な加工計画装置、該加工計画装置を含む加工装置、前記加工計画方法や加工方法を実施したり、前記加工計画装置や加工装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、該コンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板に形成される穴は、最近のプリント配線基板の小型化や高機能化に伴って小型化し、直径0.1mm以下になってきている。このような小径の穴を精度良く形成するために、パルス発振型のレーザビームが用いられている。
【0003】
従来のパルス発振型レーザを用いたレーザ穴開け機の一般的な構成を図1に示す。本構成例は、図示しないレーザ発振器から照射される、例えばパルス状のレーザ光線20を、所定の方向(図1では紙面に垂直な方向)に走査するための回転ミラー23を含む第1ガルバノスキャナ22と、該第1ガルバノスキャナ22によって紙面に垂直な方向に走査されたレーザ光線を、該第1ガルバノスキャナ22による走査方向と垂直な方向(図1では紙面と平行な方向)に走査するための回転ミラー25を含む第2ガルバノスキャナ24と、前記第1及び第2ガルバノスキャナ22、24により2方向に走査されたレーザ光線を、XYステージ12上に固定された、基板等の加工対象物(ワークと称する)10の表面に対して垂直な方向に偏向して照射するためのf−θレンズ26とを備えている。
【0004】
このように、第1、第2ガルバノスキャナ22、24を用いることにより、レーザ光線20を、スキャナ先端の回転ミラー23、25に反射させ、進行方向を任意に変えることができる。ここで、回転ミラー23、25は軽量であるため、高速位置決めが可能である。
【0005】
前記ガルバノスキャナ22、24によって偏向したレーザ光線は、f−θレンズ26を通過して、ワーク10に集光する。このf−θレンズ26は、一般に高価なものであるために、サイズが限定されてしまい、そのため、あるタイミングにおけるビーム照射範囲(一般に所定寸矩形と称する)の大きさが数十mm角程度の正方形又は長方形に制限されており、一般的なワーク10の大きさより狭い。
【0006】
そこで、XYステージ12を用いてワーク10を搬送することにより、広範囲な位置決めを可能としている。但し、XYステージ12は重量が大きいため、位置決めに費やす時間が大きい。
【0007】
このようにして、レーザ穴開け機は、高速狭範囲の位置決め手段であるガルバノスキャナ(以下、単にガルバノ又はスキャナとも称する)、及び、低速広範囲の位置決め手段であるXYステージ(以下、単にステージとも称する)の2つの位置決め手段を用いることにより、高速広範囲な穴開け位置決めを行い、位置決め完了後に照射を行う加工方法を取っている。
【0008】
そして、加工に際しては、所定寸矩形毎にステージを止め、スキャナのみを動かしてレーザを走査する、いわゆるステップアンドリピート加工の他、ステージを動かしたままスキャナを動かしてレーザを走査する協調制御加工が行なわれている。
【0009】
出願人は、既に特願2002−26189において、協調制御を実際に実行するための加工方法と、それを効率良く実現するための加工計画方法を提案している。
【0010】
この特願2002−26189の第2実施形態では、ステージの目標位置をいくつか設定し、次の目標位置への移動中に際しても、照射対象となる加工点を、スキャナを振って位置決めし照射加工することを提案している。更に、このような加工を効率良く確実に実現するために、図2(特願2002−26189の図64に対応)に模式図を、図3(同じく図63の一部に対応)に流れ図を示す次のような処理によって、計画を行なっている。
【0011】
(1)基板全体の穴開け点の訪問順序を、巡回セールスマン問題(TSP)の公知の解法を適用して最適化する(図3には図示されておらず)。
【0012】
(2)前記訪問順序に従って、穴開け点を、順序の先頭から順にカテゴライズする(カテゴライズ工程)。ここで、各カテゴリは、所定寸矩形と同寸の同一矩形に収まるようにする。
【0013】
(3)各カテゴリの穴開け点が全て収まるような、所定寸矩形と同寸の同一矩形の中心位置を、ステージの目標位置とする(目標位置設定工程)。
【0014】
このような計画と加工方法により、協調制御を効率的に行なっていた。
【0015】
ここで、前記目標位置設定工程において、図4に示す如く、点の広がり方に応じて、点が全て収まるような所定寸矩形配置をするときの所定寸矩形kの中心位置は、図4のCkで示す矩形領域内の何処でもよい。従って、中心位置の場所によっては、加工高速化にとって不利益な経路を通ることになる。
【0016】
そこで、出願人は特願2002−26189において、次の2つの方法による目標位置の定め方を提案している。
【0017】
(1)前のカテゴリから次のカテゴリにかけての3カテゴリ(前、現在、次)の繋がりのみを考慮して決める。
【0018】
(2)前のカテゴリから次の次のカテゴリにかけての4カテゴリ(前、現在、次、次の次)の繋がりのみを考慮して決める。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法では、ステージの目標位置である、各カテゴリに対応する所定寸矩形中心位置の設定については、経路の途中の部分的な最適化はできても、経路全体を通した最適化はできない。又、ステージ目標位置を渡る順序に関しては、最初に決めた時点から変える手段がなかった。
【0020】
なお、協調制御を実行する方法として、低速広範囲位置決め手段であるステージの離散的な目標位置を順次決めて動かしつつ、高速狭範囲の位置決め手段であるスキャナをそれに合わせて位置決めする方法が、特許文献1に記載されている。
【0021】
【特許文献1】
特開2000−100608号公報
【0022】
又、協調制御自体は、レチクルとウェハステージとが連動して移動させられるような半導体露光装置、電子銃による描画装置等に見られる。しかしながら、本願で提案するような、加工位置をカテゴライズし、目標位置を決めるような状況で、目標位置の設定及び訪問順序を同時に最適化するような加工計画に関しては、提案されていない。
【0023】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、目標位置の設定及び訪問順序を同時に最適化して、協調制御による加工を高速化することを課題とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする工程と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める工程とを持つ加工計画方法であって、所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定するようにして、前記課題を解決したものである。
【0025】
又、前記所定寸矩形の特定位置訪問順序を巡回セールスマン問題又はハミルトン路長最小化問題の解法で、前記所定寸矩形の特定位置を動的計画法で決めるようにしたものである。
【0026】
又、前記所定寸矩形の特定位置の候補数を、20以下としたものである。ここで、上限を20としたのは、多すぎても複雑化するだけであるからである。
【0027】
特に、前記所定寸矩形の特定位置の候補数を、所定寸矩形に割り当てられた加工点が外れないような所定寸矩形特定位置が作る矩形の四隅に基づき4としたものである。
【0028】
本発明は、又、前記の加工計画方法により決定された加工を行なうことを特徴とする加工方法を提供するものである。
【0029】
又、前記の加工計画方法又は加工方法を実施するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0030】
本発明は、又、ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする手段と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める手段とを有する加工計画装置であって、所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定する手段を備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0031】
又、前記の加工計画装置を含むことを特徴とする加工装置を提供するものである。
【0032】
又、前記の加工計画装置又は加工装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0033】
又、前記のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体を提供するものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、XYステージとガルバノスキャナを備えたレーザ穴開け機により穴を開ける場合に適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0035】
本実施形態は、図5に示す如く、レーザ穴開け機30と、例えばハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリに記憶された、前記レーザ穴開け機30が加工を行なうための加工データファイル群42、該加工データファイル群42を変換する加工データ変換プログラム(Prg)44、例えば内部メモリに記憶された加工データ46、例えば外部メモリに記録された動作モデルファイル48、該動作モデルファイル48を読み込むための動作モデルファイル読込みプログラム(Prg)50、例えば内部メモリに記憶された動作モデルデータ52、本発明に係る加工計画プログラム(Prg)54、前記レーザ穴開け機30を制御する加工制御プログラム(Prg)56を含む、前記レーザ穴開け機30と通信可能なパソコン(PC)40とを備えている。
【0036】
なお、図5では、加工を制御する加工制御プログラム56と、加工を計画する加工計画プログラム54が、同じPC40内に収まっており、加工計画がオンラインで処理されるが、これらは別個でもよい。即ち、加工計画プログラム54は、オフラインで実行可能である。
【0037】
本実施形態において、PC40と通信可能なレーザ穴開け機30は、加工データ46に従って、加工制御プログラム56により制御され、加工を行なう。加工データ46は、通常、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリにある加工データファイル群42を、加工データ変換プログラム44で変換することにより得られる。加工データ46は、レーザ穴開け機30を効率良く動かすために、加工計画プログラム54により更新される。この加工計画プログラム54は、内部機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作をモデル化した動作モデル52を用いる。この動作モデル52は、通常、内部メモリに常駐していないので、外部メモリにある動作モデルファイル48を、動作モデルファイル読込みプログラム50を用いて読み込むことにより得る。
【0038】
前記レーザ穴開け機30は、前記加工データファイル群42の内容に従って動作する。加工開始命令の後、レーザ穴開け機30の動作を制御するのは。前記加工制御プログラム56である。即ち、当事者は、加工に際して加工データファイル群42を用意し、加工制御プログラム56に加工開始命令を与えて、レーザ穴開け機30を動作させる。
【0039】
前記加工データファイル群42の内容は、構成機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作順序が最適でないようなことも有り得る。従って、前記加工計画プログラム54は、加工データを最適化する。本発明は、この加工計画プログラム54に関するものである。より詳細には、特願2002−26189の第2実施形態における、一層の効率化に関するものである。
【0040】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0041】
図3に示した特願2002−26189の加工計画に対し、本実施形態では、ステップ1322を変更する。ここで、ステップ1322に進む段階では、図2に示したように、穴開け位置はk個のカテゴリDi(1≦i≦k)にカテゴライズされており、各カテゴリの穴開け位置の広がりに従って、各カテゴリDiを加工する際のステージ目標位置の候補に当たる矩形領域Ci(1≦i≦k)及び四隅の点Pij(1≦i≦k、1≦j≦4)を図4に示したように求めることができるが、それらが求められていることに注意する。
【0042】
本発明の課題とする問題は、「各カテゴリDiに対応する目標位置Vi及びその訪問順序を、移動コストの総和が最小となるように定めること」である。ここで、ステージの移動に伴う移動コストは、移動距離等のパラメータに基づいて逐次計算可能であり、既に実験等により求められているものとする。実際には、加工において、各穴あけ位置でステージ静止しているか、速度を伴っているかは計画段階では分からないが、例えば計画段階では速度0とする。又、場合によっては、シミュレーションによって、正確に移動速度を算出して、それに基づいて移動コストを定義してもよい。
【0043】
上記問題を解決するため、次のようにする。
【0044】
(1)ラベル化
カテゴリの数k、各目標位置の候補数をlとする(lの数の決め方に関しては後述する)。合計kl個の点を、2つのラベルを用いて識別する。第1ラベルはカテゴリの識別、第2ラベルは目標位置の候補を識別するためのラベルである。
【0045】
(2)処理
最適化すべき対象は、第1ラベルの並び(カテゴリに対応するステージ目標位置訪問順序)と、第2ラベルの選択(実際の目標位置は何処か)である。本解法の構成では、第1ラベルの並び替えを最適化する手段と、第2ラベルの選択を最適化する手段とを別々に用意する。
【0046】
即ち、第1ラベルの並び替え最適化手段は、TSPの解法であり、例えば、リンカーニハン法(LK法)を用いることができる。
【0047】
なお、ここでは、単にTSP(全ての点を1度ずつ訪問し元の点に戻る経路の経路長最小化問題)としたが、実際には、各ステージ位置訪問は1度きりであり、一巡する必要がない、即ちハミルトンパスである。従って正確には、ハミルトンパス最小化問題(以下略してHPPと書く)の解法を適用してもよい。HPPの解法としても、やはりLK法などの局所探索法を適用する。ただし、経路の始点と終点を結ぶ枝を予めタブーリストと称される移動禁止枝のリストに追加しておき、取り除かれることがないようにしておく。
【0048】
一方、第2ラベルの選択手段には、動的計画法(DP)を用いることができる。
【0049】
具体的には、図6に手順を示す如く、まずステップ100で、解を1つ発生させ、初期解とする。この工程では、例えば、図2に示したステップ1322までに決まっている(暫定的な)カテゴリ順序を経路の初期解とし、各領域Ciの左下隅位置を全て目標位置の初期解とする。
【0050】
次いでステップ110で、該初期解に対し、例えばリンカーニハン法により経路を最適化する。具体的には、第2ラベルを変更することなく、第1ラベルの順序決定のみを行なう。ここで、経路長が改善されず、ステップ120の判定結果が否の場合には、良い解が見つかったと判断でき、処理を終了する。
【0051】
一方、ステップ120で経路長が改善されていると判定された場合には、ステップ130で、動的計画法(DP)を用いて経路を最適化する。具体的には、第1ラベルの並びを変更することなく、第2ラベルの最適選択を行なう。ここで、経路長が改善されず、ステップ140の判定結果が否の場合には、良い解が見つかったと判断でき、処理を終了する。
【0052】
一方、ステップ140で経路長が改善されていると判定された場合には、ステップ110に戻り、処理を繰り返す。
【0053】
なおステップ110、120と、ステップ130及び140は、順序を逆にしてもよい。即ち、動的計画法による第2ラベルの最適化を行なった後に、巡回セールスマン問題の解法による第1ラベルの最適化を組んでもよい。
【0054】
(3)第2ラベルの数
図4に示した如く、目標位置は領域Ci内に存在することが必要である。そこで、その四隅を、まず目標位置の候補とすることができる。更に、図7に示すように、図6に示したループ処理による暫定解で、例えば暫定順序があり、図の番号に従って所定寸矩形が28→29→30と移動する場合には、29番の目標位置は、28番から30番に向かう途中に直線的に配置されることが望ましい。そこで、図7に示すように、28番の四隅4点P281〜P284と、30番の四隅4点P301〜P304とを結ぶ直線が、29番の候補領域と交差していれば、交差している線分のうちの1点を候補に加えることとする。このような直線の組合せは4×4=16通りであるから、第2ラベルは最多で16+4=20個である。
【0055】
(4)動的計画法
動的計画法について詳細に説明する。図8は、第1ラベルの並びが確定した状態で、第1ラベルの並びの順に従って第2ラベルを選択していく様子を示す。説明のため、以下の2つの記号を用いる。
【0056】
d(p_i,q_j):第1ラベルの並びp番、第2ラベルiの点から、第1ラベルの並びq番、第2ラベルjの点への移動コスト
len(x,y):第1ラベルの並びx番、第2ラベルyの点までの最短路。
ここで、1≦j≦lに対し、len(1,j)=0である。
【0057】
すると、第1ラベルの並びi番、第2ラベルjの点までの最短路len(i,j)(2≦i≦k,1≦j≦l)は、第1ラベルの並びi−1番のものを用いて、次式で逐次計算できる。
【0058】
【数1】
ここで、
【外1】
は、yを満たすもののうちxが最小のものを表わす。
【0059】
最終点までの最短路は、上記(1)式を逐次呼出して、
【外2】
で求めることができる。
【0060】
なお、前記実施形態においては、いずれも、高速位置決め手段がスキャナとされ、低速位置決め手段がステージとされていたが、位置決め手段の種類や組合せはこれに限定されず、例えば出願人が特開2000−71089や特開2000−334637で提案したような、リニアモータXYステージと高速加工ヘッドを組み合わせたスクリーンカットシステムあるいはフラッシュカットシステムであってもよい。又、所定寸矩形の特定位置も、中心位置に限定されない。
【0061】
更に、適用対象も、点状の加工を行なうレーザ穴開け機に限定されず、線状の加工を行なうレーザ切断機、特開平11−149317に記載された2ヘッドレーザ加工機やレーザビーム以外の加工手段を用いた一般な加工機(例えば機械式ドリルによる穴開け装置)、更にはマーキング装置や露光装置であって、全ての点を複数回、同一回数ずつ訪問する必要があり、且つ、各点において空けるべき訪問タイミングの最小間隔が定まっているようなシステム全般に同様に適用できることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、目標位置の設定及び訪問順序を同時に最適化して、協調制御加工を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例であるレーザ穴開け機の要部構成を示す正面図
【図2】穴開け位置のカテゴライズと目標位置設定を説明する平面図
【図3】特願2002−26189で提案した加工計画方法の手順を示す流れ図
【図4】目標位置の候補となる領域の平面図
【図5】本発明が適用されるレーザ穴開け機の全体構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施形態における処理手順を示す流れ図
【図7】前記実施形態を説明するための目標位置の候補点を示す平面図
【図8】前記実施形態における動的計画法を説明するための線図
【符号の説明】
10…加工対象物(ワーク)
12…XYステージ
20…レーザ光線
22、24…ガルバノスキャナ
23、25…回転ミラー
26…f−θレンズ
30…レーザ穴開け機
40…PC(パソコン)
42…加工データファイル群
44…加工データ変換プログラム
46…加工データ
48…動作モデルファイル
50…動作モデル読込みプログラム
52…動作モデルデータ
54…加工計画プログラム
56…加工制御プログラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、加工計画方法及び装置に係り、特に、レーザビームを照射してプリント配線基板等に複数の穴開け加工を行うレーザ穴開け機で、XYステージ等の低速位置決め手段を動かしたまま、ガルバノスキャナ等の高速位置決め手段を動かしてレーザを走査する、いわゆる協調制御加工に用いるのに好適な、穴開け等の加工位置の2次元平面における分布状態を数学的に捉えて、XYステージの速度、加速度、軌道やガルバノスキャナの穴開け位置訪問順序等の機器の動作を効率良く計画することにより、協調制御加工を高速化することが可能な加工計画方法、該加工計画方法により決定された加工を行う加工方法、同様な加工計画装置、該加工計画装置を含む加工装置、前記加工計画方法や加工方法を実施したり、前記加工計画装置や加工装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、該コンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板に形成される穴は、最近のプリント配線基板の小型化や高機能化に伴って小型化し、直径0.1mm以下になってきている。このような小径の穴を精度良く形成するために、パルス発振型のレーザビームが用いられている。
【0003】
従来のパルス発振型レーザを用いたレーザ穴開け機の一般的な構成を図1に示す。本構成例は、図示しないレーザ発振器から照射される、例えばパルス状のレーザ光線20を、所定の方向(図1では紙面に垂直な方向)に走査するための回転ミラー23を含む第1ガルバノスキャナ22と、該第1ガルバノスキャナ22によって紙面に垂直な方向に走査されたレーザ光線を、該第1ガルバノスキャナ22による走査方向と垂直な方向(図1では紙面と平行な方向)に走査するための回転ミラー25を含む第2ガルバノスキャナ24と、前記第1及び第2ガルバノスキャナ22、24により2方向に走査されたレーザ光線を、XYステージ12上に固定された、基板等の加工対象物(ワークと称する)10の表面に対して垂直な方向に偏向して照射するためのf−θレンズ26とを備えている。
【0004】
このように、第1、第2ガルバノスキャナ22、24を用いることにより、レーザ光線20を、スキャナ先端の回転ミラー23、25に反射させ、進行方向を任意に変えることができる。ここで、回転ミラー23、25は軽量であるため、高速位置決めが可能である。
【0005】
前記ガルバノスキャナ22、24によって偏向したレーザ光線は、f−θレンズ26を通過して、ワーク10に集光する。このf−θレンズ26は、一般に高価なものであるために、サイズが限定されてしまい、そのため、あるタイミングにおけるビーム照射範囲(一般に所定寸矩形と称する)の大きさが数十mm角程度の正方形又は長方形に制限されており、一般的なワーク10の大きさより狭い。
【0006】
そこで、XYステージ12を用いてワーク10を搬送することにより、広範囲な位置決めを可能としている。但し、XYステージ12は重量が大きいため、位置決めに費やす時間が大きい。
【0007】
このようにして、レーザ穴開け機は、高速狭範囲の位置決め手段であるガルバノスキャナ(以下、単にガルバノ又はスキャナとも称する)、及び、低速広範囲の位置決め手段であるXYステージ(以下、単にステージとも称する)の2つの位置決め手段を用いることにより、高速広範囲な穴開け位置決めを行い、位置決め完了後に照射を行う加工方法を取っている。
【0008】
そして、加工に際しては、所定寸矩形毎にステージを止め、スキャナのみを動かしてレーザを走査する、いわゆるステップアンドリピート加工の他、ステージを動かしたままスキャナを動かしてレーザを走査する協調制御加工が行なわれている。
【0009】
出願人は、既に特願2002−26189において、協調制御を実際に実行するための加工方法と、それを効率良く実現するための加工計画方法を提案している。
【0010】
この特願2002−26189の第2実施形態では、ステージの目標位置をいくつか設定し、次の目標位置への移動中に際しても、照射対象となる加工点を、スキャナを振って位置決めし照射加工することを提案している。更に、このような加工を効率良く確実に実現するために、図2(特願2002−26189の図64に対応)に模式図を、図3(同じく図63の一部に対応)に流れ図を示す次のような処理によって、計画を行なっている。
【0011】
(1)基板全体の穴開け点の訪問順序を、巡回セールスマン問題(TSP)の公知の解法を適用して最適化する(図3には図示されておらず)。
【0012】
(2)前記訪問順序に従って、穴開け点を、順序の先頭から順にカテゴライズする(カテゴライズ工程)。ここで、各カテゴリは、所定寸矩形と同寸の同一矩形に収まるようにする。
【0013】
(3)各カテゴリの穴開け点が全て収まるような、所定寸矩形と同寸の同一矩形の中心位置を、ステージの目標位置とする(目標位置設定工程)。
【0014】
このような計画と加工方法により、協調制御を効率的に行なっていた。
【0015】
ここで、前記目標位置設定工程において、図4に示す如く、点の広がり方に応じて、点が全て収まるような所定寸矩形配置をするときの所定寸矩形kの中心位置は、図4のCkで示す矩形領域内の何処でもよい。従って、中心位置の場所によっては、加工高速化にとって不利益な経路を通ることになる。
【0016】
そこで、出願人は特願2002−26189において、次の2つの方法による目標位置の定め方を提案している。
【0017】
(1)前のカテゴリから次のカテゴリにかけての3カテゴリ(前、現在、次)の繋がりのみを考慮して決める。
【0018】
(2)前のカテゴリから次の次のカテゴリにかけての4カテゴリ(前、現在、次、次の次)の繋がりのみを考慮して決める。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような方法では、ステージの目標位置である、各カテゴリに対応する所定寸矩形中心位置の設定については、経路の途中の部分的な最適化はできても、経路全体を通した最適化はできない。又、ステージ目標位置を渡る順序に関しては、最初に決めた時点から変える手段がなかった。
【0020】
なお、協調制御を実行する方法として、低速広範囲位置決め手段であるステージの離散的な目標位置を順次決めて動かしつつ、高速狭範囲の位置決め手段であるスキャナをそれに合わせて位置決めする方法が、特許文献1に記載されている。
【0021】
【特許文献1】
特開2000−100608号公報
【0022】
又、協調制御自体は、レチクルとウェハステージとが連動して移動させられるような半導体露光装置、電子銃による描画装置等に見られる。しかしながら、本願で提案するような、加工位置をカテゴライズし、目標位置を決めるような状況で、目標位置の設定及び訪問順序を同時に最適化するような加工計画に関しては、提案されていない。
【0023】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、目標位置の設定及び訪問順序を同時に最適化して、協調制御による加工を高速化することを課題とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする工程と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める工程とを持つ加工計画方法であって、所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定するようにして、前記課題を解決したものである。
【0025】
又、前記所定寸矩形の特定位置訪問順序を巡回セールスマン問題又はハミルトン路長最小化問題の解法で、前記所定寸矩形の特定位置を動的計画法で決めるようにしたものである。
【0026】
又、前記所定寸矩形の特定位置の候補数を、20以下としたものである。ここで、上限を20としたのは、多すぎても複雑化するだけであるからである。
【0027】
特に、前記所定寸矩形の特定位置の候補数を、所定寸矩形に割り当てられた加工点が外れないような所定寸矩形特定位置が作る矩形の四隅に基づき4としたものである。
【0028】
本発明は、又、前記の加工計画方法により決定された加工を行なうことを特徴とする加工方法を提供するものである。
【0029】
又、前記の加工計画方法又は加工方法を実施するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0030】
本発明は、又、ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする手段と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める手段とを有する加工計画装置であって、所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定する手段を備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0031】
又、前記の加工計画装置を含むことを特徴とする加工装置を提供するものである。
【0032】
又、前記の加工計画装置又は加工装置を実現するためのコンピュータプログラムを提供するものである。
【0033】
又、前記のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体を提供するものである。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、XYステージとガルバノスキャナを備えたレーザ穴開け機により穴を開ける場合に適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0035】
本実施形態は、図5に示す如く、レーザ穴開け機30と、例えばハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリに記憶された、前記レーザ穴開け機30が加工を行なうための加工データファイル群42、該加工データファイル群42を変換する加工データ変換プログラム(Prg)44、例えば内部メモリに記憶された加工データ46、例えば外部メモリに記録された動作モデルファイル48、該動作モデルファイル48を読み込むための動作モデルファイル読込みプログラム(Prg)50、例えば内部メモリに記憶された動作モデルデータ52、本発明に係る加工計画プログラム(Prg)54、前記レーザ穴開け機30を制御する加工制御プログラム(Prg)56を含む、前記レーザ穴開け機30と通信可能なパソコン(PC)40とを備えている。
【0036】
なお、図5では、加工を制御する加工制御プログラム56と、加工を計画する加工計画プログラム54が、同じPC40内に収まっており、加工計画がオンラインで処理されるが、これらは別個でもよい。即ち、加工計画プログラム54は、オフラインで実行可能である。
【0037】
本実施形態において、PC40と通信可能なレーザ穴開け機30は、加工データ46に従って、加工制御プログラム56により制御され、加工を行なう。加工データ46は、通常、ハードディスクやフレキシブルディスク等の外部メモリにある加工データファイル群42を、加工データ変換プログラム44で変換することにより得られる。加工データ46は、レーザ穴開け機30を効率良く動かすために、加工計画プログラム54により更新される。この加工計画プログラム54は、内部機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作をモデル化した動作モデル52を用いる。この動作モデル52は、通常、内部メモリに常駐していないので、外部メモリにある動作モデルファイル48を、動作モデルファイル読込みプログラム50を用いて読み込むことにより得る。
【0038】
前記レーザ穴開け機30は、前記加工データファイル群42の内容に従って動作する。加工開始命令の後、レーザ穴開け機30の動作を制御するのは。前記加工制御プログラム56である。即ち、当事者は、加工に際して加工データファイル群42を用意し、加工制御プログラム56に加工開始命令を与えて、レーザ穴開け機30を動作させる。
【0039】
前記加工データファイル群42の内容は、構成機器(ガルバノスキャナ及びXYステージ)の動作順序が最適でないようなことも有り得る。従って、前記加工計画プログラム54は、加工データを最適化する。本発明は、この加工計画プログラム54に関するものである。より詳細には、特願2002−26189の第2実施形態における、一層の効率化に関するものである。
【0040】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0041】
図3に示した特願2002−26189の加工計画に対し、本実施形態では、ステップ1322を変更する。ここで、ステップ1322に進む段階では、図2に示したように、穴開け位置はk個のカテゴリDi(1≦i≦k)にカテゴライズされており、各カテゴリの穴開け位置の広がりに従って、各カテゴリDiを加工する際のステージ目標位置の候補に当たる矩形領域Ci(1≦i≦k)及び四隅の点Pij(1≦i≦k、1≦j≦4)を図4に示したように求めることができるが、それらが求められていることに注意する。
【0042】
本発明の課題とする問題は、「各カテゴリDiに対応する目標位置Vi及びその訪問順序を、移動コストの総和が最小となるように定めること」である。ここで、ステージの移動に伴う移動コストは、移動距離等のパラメータに基づいて逐次計算可能であり、既に実験等により求められているものとする。実際には、加工において、各穴あけ位置でステージ静止しているか、速度を伴っているかは計画段階では分からないが、例えば計画段階では速度0とする。又、場合によっては、シミュレーションによって、正確に移動速度を算出して、それに基づいて移動コストを定義してもよい。
【0043】
上記問題を解決するため、次のようにする。
【0044】
(1)ラベル化
カテゴリの数k、各目標位置の候補数をlとする(lの数の決め方に関しては後述する)。合計kl個の点を、2つのラベルを用いて識別する。第1ラベルはカテゴリの識別、第2ラベルは目標位置の候補を識別するためのラベルである。
【0045】
(2)処理
最適化すべき対象は、第1ラベルの並び(カテゴリに対応するステージ目標位置訪問順序)と、第2ラベルの選択(実際の目標位置は何処か)である。本解法の構成では、第1ラベルの並び替えを最適化する手段と、第2ラベルの選択を最適化する手段とを別々に用意する。
【0046】
即ち、第1ラベルの並び替え最適化手段は、TSPの解法であり、例えば、リンカーニハン法(LK法)を用いることができる。
【0047】
なお、ここでは、単にTSP(全ての点を1度ずつ訪問し元の点に戻る経路の経路長最小化問題)としたが、実際には、各ステージ位置訪問は1度きりであり、一巡する必要がない、即ちハミルトンパスである。従って正確には、ハミルトンパス最小化問題(以下略してHPPと書く)の解法を適用してもよい。HPPの解法としても、やはりLK法などの局所探索法を適用する。ただし、経路の始点と終点を結ぶ枝を予めタブーリストと称される移動禁止枝のリストに追加しておき、取り除かれることがないようにしておく。
【0048】
一方、第2ラベルの選択手段には、動的計画法(DP)を用いることができる。
【0049】
具体的には、図6に手順を示す如く、まずステップ100で、解を1つ発生させ、初期解とする。この工程では、例えば、図2に示したステップ1322までに決まっている(暫定的な)カテゴリ順序を経路の初期解とし、各領域Ciの左下隅位置を全て目標位置の初期解とする。
【0050】
次いでステップ110で、該初期解に対し、例えばリンカーニハン法により経路を最適化する。具体的には、第2ラベルを変更することなく、第1ラベルの順序決定のみを行なう。ここで、経路長が改善されず、ステップ120の判定結果が否の場合には、良い解が見つかったと判断でき、処理を終了する。
【0051】
一方、ステップ120で経路長が改善されていると判定された場合には、ステップ130で、動的計画法(DP)を用いて経路を最適化する。具体的には、第1ラベルの並びを変更することなく、第2ラベルの最適選択を行なう。ここで、経路長が改善されず、ステップ140の判定結果が否の場合には、良い解が見つかったと判断でき、処理を終了する。
【0052】
一方、ステップ140で経路長が改善されていると判定された場合には、ステップ110に戻り、処理を繰り返す。
【0053】
なおステップ110、120と、ステップ130及び140は、順序を逆にしてもよい。即ち、動的計画法による第2ラベルの最適化を行なった後に、巡回セールスマン問題の解法による第1ラベルの最適化を組んでもよい。
【0054】
(3)第2ラベルの数
図4に示した如く、目標位置は領域Ci内に存在することが必要である。そこで、その四隅を、まず目標位置の候補とすることができる。更に、図7に示すように、図6に示したループ処理による暫定解で、例えば暫定順序があり、図の番号に従って所定寸矩形が28→29→30と移動する場合には、29番の目標位置は、28番から30番に向かう途中に直線的に配置されることが望ましい。そこで、図7に示すように、28番の四隅4点P281〜P284と、30番の四隅4点P301〜P304とを結ぶ直線が、29番の候補領域と交差していれば、交差している線分のうちの1点を候補に加えることとする。このような直線の組合せは4×4=16通りであるから、第2ラベルは最多で16+4=20個である。
【0055】
(4)動的計画法
動的計画法について詳細に説明する。図8は、第1ラベルの並びが確定した状態で、第1ラベルの並びの順に従って第2ラベルを選択していく様子を示す。説明のため、以下の2つの記号を用いる。
【0056】
d(p_i,q_j):第1ラベルの並びp番、第2ラベルiの点から、第1ラベルの並びq番、第2ラベルjの点への移動コスト
len(x,y):第1ラベルの並びx番、第2ラベルyの点までの最短路。
ここで、1≦j≦lに対し、len(1,j)=0である。
【0057】
すると、第1ラベルの並びi番、第2ラベルjの点までの最短路len(i,j)(2≦i≦k,1≦j≦l)は、第1ラベルの並びi−1番のものを用いて、次式で逐次計算できる。
【0058】
【数1】
ここで、
【外1】
は、yを満たすもののうちxが最小のものを表わす。
【0059】
最終点までの最短路は、上記(1)式を逐次呼出して、
【外2】
で求めることができる。
【0060】
なお、前記実施形態においては、いずれも、高速位置決め手段がスキャナとされ、低速位置決め手段がステージとされていたが、位置決め手段の種類や組合せはこれに限定されず、例えば出願人が特開2000−71089や特開2000−334637で提案したような、リニアモータXYステージと高速加工ヘッドを組み合わせたスクリーンカットシステムあるいはフラッシュカットシステムであってもよい。又、所定寸矩形の特定位置も、中心位置に限定されない。
【0061】
更に、適用対象も、点状の加工を行なうレーザ穴開け機に限定されず、線状の加工を行なうレーザ切断機、特開平11−149317に記載された2ヘッドレーザ加工機やレーザビーム以外の加工手段を用いた一般な加工機(例えば機械式ドリルによる穴開け装置)、更にはマーキング装置や露光装置であって、全ての点を複数回、同一回数ずつ訪問する必要があり、且つ、各点において空けるべき訪問タイミングの最小間隔が定まっているようなシステム全般に同様に適用できることは明らかである。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、目標位置の設定及び訪問順序を同時に最適化して、協調制御加工を高速化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の適用対象の一例であるレーザ穴開け機の要部構成を示す正面図
【図2】穴開け位置のカテゴライズと目標位置設定を説明する平面図
【図3】特願2002−26189で提案した加工計画方法の手順を示す流れ図
【図4】目標位置の候補となる領域の平面図
【図5】本発明が適用されるレーザ穴開け機の全体構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施形態における処理手順を示す流れ図
【図7】前記実施形態を説明するための目標位置の候補点を示す平面図
【図8】前記実施形態における動的計画法を説明するための線図
【符号の説明】
10…加工対象物(ワーク)
12…XYステージ
20…レーザ光線
22、24…ガルバノスキャナ
23、25…回転ミラー
26…f−θレンズ
30…レーザ穴開け機
40…PC(パソコン)
42…加工データファイル群
44…加工データ変換プログラム
46…加工データ
48…動作モデルファイル
50…動作モデル読込みプログラム
52…動作モデルデータ
54…加工計画プログラム
56…加工制御プログラム
Claims (10)
- ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする工程と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める工程とを持つ加工計画方法であって、
所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定することを特徴とする加工計画方法。 - 前記所定寸矩形の特定位置訪問順序を巡回セールスマン問題又はハミルトン路長最小化問題の解法で、前記所定寸矩形の特定位置を動的計画法で決めることを特徴とする請求項1に記載の加工計画方法。
- 前記所定寸矩形の特定位置の候補数を、20以下とすることを特徴とする請求項1に記載の加工計画方法。
- 前記所定寸矩形の特定位置の候補数を、所定寸矩形に割り当てられた加工点が外れないような所定寸矩形特定位置が作る矩形の四隅に基づき4とすることを特徴とする請求項3に記載の加工計画方法。
- 請求項1乃至4のいずれに記載の加工計画方法により決定された加工を行なうことを特徴とする加工方法。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の加工計画方法又は請求項5に記載の加工方法を実施するためのコンピュータプログラム。
- ワーク上の加工実行箇所を、所定寸矩形内の狭範囲しか移動させることができない高速位置決め手段の同一所定寸矩形内に収まるような加工位置をカテゴライズする手段と、広範囲に移動させることが可能な低速位置決め手段の目標位置である該所定寸矩形の特定位置を決める手段とを有する加工計画装置であって、
所定寸矩形の特定位置とそれらの低速位置決め手段による訪問順序を、低速位置決め手段の移動時間が最小となるように並進して最適化し、決定する手段を備えたことを特徴とする加工計画装置。 - 請求項7に記載の加工計画装置を含むことを特徴とする加工装置。
- 請求項7に記載の加工計画装置又は請求項8に記載の加工装置を実現するためのコンピュータプログラム。
- 請求項6又は9に記載のコンピュータプログラムが記録された、コンピュータ読取り可能な記録媒体。
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-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308538A patent/JP2004145544A/ja active Pending
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