JP4030715B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、室内機内部の熱交換器やその近傍にカビや細菌が繁殖するのを抑制すると共に熱交換器に付着した臭気を脱離させる機能を備えた空気調和機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷房運転時や除湿運転時には、室内空気中に含まれる水分が室内熱交換器に結露しドレン水として室外へ排出され室内の湿度を低下させる。
【0003】
このとき、室内熱交換器には結露水が付着するが、この結露水の中には室内空気中に含まれる各種の臭気が溶け込んでいる。冷房運転や除湿運転を停止させた後、室内熱交換器に結露した水分は短時間には蒸発しないために、室内機内部の湿度はかなり高湿度に維持され、カビや細菌類が室内機内部に繁殖し易くなる。
【0004】
その後再び運転を開始すると、室内機内部に繁殖したカビや細菌類が吹き出されてくると共に、熱交換に付着した水分に溶解している臭気成分も脱離してくるために、室内機から異臭がしたりカビの胞子などのアレルゲンが放出され人体に不快感を与えるなどの問題があった。
【0005】
このような問題の対策として、冷房運転後に室内機内部を乾燥させる機能を持った空気調和機として、例えば特開平11−159832号公報に示されるもの(以下、従来例という)を挙げることができる。
【0006】
図9は、この従来例の空調機の制御装置である。図9において、50は水切り運転指示手段、51乾燥運転指示手段であり、冷房運転後または除湿運転後に水切り運転指示手段により室内熱交換器に付着した水分を流出させる水切り運転を行い、その後、乾燥運転指示手段により暖房運転させ室内熱交換器の乾燥運転を行い、熱交換器に付着した水分を効率良く除去しようとしていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、冷房運転後に、まず水切り運転により水分を流出し、その後暖房運転により乾燥させることにより熱交換器に結露した水分を除去するものであり、熱交換器に結露した水分を除去し、カビなどの繁殖を抑制するという点では効果があるが、熱交換器などに付着した臭気を除去するという点では不十分である。
【0008】
つまり、熱交換器に結露した水分には室内空気に含まれる各種の臭気成分も溶け込んでおり、この臭気成分は水分が除去された後も熱交換器表面に付着あるいは表面近傍に滞留しており、次に冷房運転を行った際に、この臭気が室内機から吹き出されることになり、異臭がするなどの不快感を発生するという課題を有していた。
【0009】
本発明は、このような従来の課題に対して、冷房運転時や除湿運転時に室内熱交換器に結露した水分を除去すると共に、熱交換器に付着した臭気成分も除去し、冷房開始時の不快な臭気などの発生を防止することのできる空気調和機の制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、圧縮機、室内熱交換器、減圧器、室外熱交換器、四方弁を有する冷凍サイクルと、前記室内熱交換器に室内空気を通流させる室内送風機と、機器の運転動作を制御する制御装置とを備え、冷房または除湿運転において冷房または除湿運転オフ信号を受けて前記圧縮機が停止した後、前記制御装置は、前記室内送風機が前記室内熱交換器に送風する送風運転、圧縮機を起動させて前記室内熱交換器に結露した水分の乾燥効果を向上させる暖房運転、さらに圧縮機を停止させて前記室内熱交換器に付着もしくは付近に滞留した臭気の脱離効果を向上させる送風運転を、順次行うように制御することを特徴とするものである。
【0011】
上記構成により、冷房運転時に室内熱交換器に結露した水分を除去すると共に、熱交換器表面に付着した臭気成分の脱離も行うことができ、冷房運転開始時の熱交換器などに繁殖したカビ類や付着した臭気などに起因する不快な臭気発生現象を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の空気調和機は、圧縮機、室内熱交換器、減圧器、室外熱交換器、四方弁を有する冷凍サイクルと、前記室内熱交換器に室内空気を通流させる室内送風機と、機器の運転動作を制御する制御装置とを備え、冷房または除湿運転において冷房または除湿運転オフ信号を受けて前記圧縮機が停止した後、前記制御装置は、前記室内送風機が前記室内熱交換器に送風する送風運転、圧縮機を起動させて前記室内熱交換器に結露した水分の乾燥効果を向上させる暖房運転、さらに圧縮機を停止させて前記室内熱交換器に付着もしくは付近に滞留した臭気の脱離効果を向上させる送風運転を、順次行うように制御することを特徴とするものである。
【0013】
上記構成により、暖房運転による乾燥運転の前に、送風による水分の蒸発促進運転を行うことで、暖房運転を行ったときの急激な湿度の上昇や水分の蒸発に伴う急激な臭気の発生を緩和させることができ、冷房運転時に室内熱交換器に結露した水分を除去すると共に、熱交換器表面に付着した臭気成分の脱離も行うことができ、冷房運転開始時の熱交換器などに繁殖したカビ類や付着した臭気などに起因する不快な臭気発生現象を防止することができる。
【0014】
また本発明の請求項2記載の空気調和機は、制御装置は、室内送風機が室内熱交換器に送風する風量を、請求項1に記載した圧縮機停止後の各運転状態に応じて制御することを特徴とするものである。
【0015】
上記構成により、蒸発促進運転、乾燥運転および臭気脱離運転において、最適に風量制御することにより、効率の良い制御を行うことができる。
【0016】
また本発明の請求項3記載の空気調和機は、室内送風機の吹出し方向を上下に偏向する上下偏向羽根を設け、請求項1に記載した圧縮機停止後の各運転状態において、吹出し方向が上向きになるように上下偏向羽根を制御することを特徴とするものである。
【0017】
上記構成により、蒸発促進運転、乾燥運転および臭気脱離運転において、上下偏向羽根を最適に制御することにより、蒸発乾燥に伴う湿度の上昇や臭気の発生による人体への不快感を緩和させることができる。
【0018】
以下、図1〜図8を用いて、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
図1は本発明の一実施例を示す空気調和機の冷凍サイクル構成図である。図1において、1は圧縮機、2は四方弁、3は室外熱交換器、4は減圧器、5は室内熱交換器であり、順次冷媒配管で接続してヒートポンプ式の冷凍サイクルを形成している。また、6は室内熱交換器5に通風する室内送風機、7は室外熱交換器3に通風する室外送風機である。
【0020】
図2は、本発明の実施の形態を示す空気調和機の室内機構成図である。図2において、5は室内熱交換器、6は室内送風機、9はケーシング、10は上下偏向羽根であり、これらで室内機8を構成している。また、11はリモコンであり、リモコン11には加熱乾燥運転設定手段としての加熱乾燥スイッチ12が設けられており、赤外線にて室内機へ加熱乾燥設定の情報が送られる。
【0021】
つぎに、上記構成による空気調和機の空調作用について説明する。
【0022】
冷房運転時においては、圧縮機1で吸入し圧縮された冷媒は、四方弁2を経て室外熱交換器3に送られ、ここで凝縮液化する。室外熱交換器3を出た冷媒は減圧器4で減圧され室内熱交換器5に導かれ、ここで冷媒が蒸発して室内空気から蒸発潜熱を奪い気化する。そして室内熱交換器5を経た冷媒は、再び四方弁2を経て圧縮機1に吸入される。
【0023】
暖房運転時においては、圧縮機1で吸入し圧縮された冷媒は、四方弁2を経て室内熱交換器5に送られ、ここで凝縮液化する。室内熱交換器5を出た冷媒は減圧器4で減圧され室外熱交換器3に導かれ、ここで冷媒が蒸発して室外空気から蒸発潜熱を奪い気化する。そして室外熱交換器3を経た冷媒は、再び四方弁2を経て圧縮機1に吸入される。
【0024】
つぎに、上記構成による空気調和機において、その制御装置の実施の形態について詳述する。
(実施の形態1)
図3と図4を用いて本発明の実施の形態1について説明する。
【0025】
図3は本発明の実施の形態1におけるブロック図を示す。図3において、20は制御装置、21は乾燥運転の前に室内送風機6により室内熱交換器5に結露した水分の蒸発を促進する蒸発促進運転指示手段、22は冷房(除湿)運転後に圧縮機1により暖房運転させて室内熱交換器5に結露した水分の蒸発乾燥を行わせる乾燥運転指示手段、23は乾燥運転後に室内送風機6により室内空気の循環を行い室内熱交換器5に付着した臭気の脱離を促進させる臭気脱離運転指示手段であり、蒸発促進運転指示手段21と乾燥運転指示手段22と臭気脱離運転指示手段23はともに制御装置20の中に組み込まれている。
【0026】
24は室内熱交換器5の加熱乾燥運転の設定を行う加熱乾燥運転設定手段であり、図2における加熱乾燥スイッチ12と同一である。制御装置20からは、圧縮機1や四方弁2や室内送風機6へ制御信号が送られる。
【0027】
図4は本発明の実施の形態1における動作を示したものである。冷房運転中、時間T1においてリモコン11上に設けられている加熱乾燥スイッチ12により加熱乾燥運転の設定がオン状態にされ、時間T2においてリモコン11により冷房運転オフが設定された。冷房運転中、室内熱交換器5には室内空気に含まれる水分が結露し、徐々に増加していき、ある時間経過すると結露水量は一定になる。
【0028】
今、リモコン11による冷房オフ信号を受けて、時間T2から加熱乾燥運転に入る。加熱乾燥運転では、まず蒸発促進運転指示手段21により圧縮機1がオフになり、時間T3までの所定時間だけ室内送風機6による蒸発促進運転が行われる。
【0029】
この蒸発促進運転では、室内熱交換器5に結露している水分が送風により蒸発していき、結露水量が徐々に低下していく。また、このときは室内熱交換器5の結露水が蒸発すると共に、結露水に含まれる各種の臭気成分も脱離してくるので臭気の発生量が徐々に増加していく。
【0030】
所定時間経過した時間T3において、蒸発促進運転から乾燥運転に入る。乾燥運転では、まず乾燥運転指示手段22により、圧縮機1をオンにすると共に、四方弁2を暖房運転に切り替え冷媒の流れを逆にして、時間T4までの所定時間だけ乾燥運転を行う。
【0031】
時間T4において乾燥運転を終了すると共に四方弁2を冷房運転に切り替え、さらに圧縮機1をオフ状態にする。乾燥運転中は暖房運転を行っているために、室内熱交換器5に結露した水分の蒸発が急激に行われ、結露水量は減少していき、乾燥運転が終了する時間T4においては結露水量がほとんどゼロになる。
【0032】
また、乾燥運転中は、高温高湿度の風が吹き出されてくると共に、結露水に溶け込んだ室内空気中に含まれる各種の臭気成分も脱離してくるために、臭気の発生量は一時的にかなり大きくなるが、このときの臭気レベル(ΔS’)は、乾燥運転のまえに蒸発促進運転を行っているために、実施形態1のときの乾燥運転時に発生する臭気レベル(ΔS:ΔS’<ΔS)に比べると緩和されている。
【0033】
時間T4において、室内熱交換器5に結露した水分はほとんどなくなっているが、室内熱交換器5の表面上には臭気成分がまだ付着している。そこで、乾燥運転終了後、臭気脱離運転指示手段23によって、時間T5までの所定時間だけ、室内送風機6による送風運転を行う。
【0034】
この送風による臭気脱離運転によって、室内の清浄な空気との循環を繰り返すことにより、室内熱交換器5の表面上に付着している臭気成分が循環空気との臭気濃度差により脱離されてくる。
【0035】
こうして時間T5まで送風運転を行うことにより、室内熱交換器5に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができる。
【0036】
このように、上記実施の形態1において、蒸発促進運転により室内熱交換器5に結露している水分の多くを蒸発させ、その後の乾燥運転により結露している水分を短時間に乾燥除去させることができると共に、蒸発促進運転を行うことにより乾燥運転時に発生する臭気発生量を緩和させることができ、また乾燥運転後の臭気脱離運転により室内熱交換器5に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができるので、室内機の内部を乾燥させカビや細菌類などの繁殖を防止することができると共に、臭気成分の付着もなくすことができる。
【0037】
なお、上記実施形態2においては、冷房オフ信号を受けて加熱乾燥運転を行ったが、加熱乾燥スイッチがオン状態に設定された直後に、加熱乾燥運転を行ってもよい。また、冷房運転でも除湿運転でも同様である。
(実施の形態2)
図5と図6を用いて本発明の実施の形態2について説明する。
【0038】
図5は本発明の実施の形態2におけるブロック図を示す。図5において、20は制御装置、21は乾燥運転の前に室内送風機6により室内熱交換器5に結露した水分の蒸発を促進する蒸発促進運転指示手段、冷房(除湿)運転後に圧縮機1により暖房運転させて室内熱交換器5に結露した水分の蒸発乾燥を行わせる乾燥運転指示手段、23は乾燥運転後に室内送風機6により室内空気の循環を行い室内熱交換器5に付着した臭気の脱離を促進させる臭気脱離運転指示手段であり、蒸発促進運転指示手段21と乾燥運転指示手段22と臭気脱離運転指示手段23はともに制御装置20の中に組み込まれている。
【0039】
24は室内熱交換器5の加熱乾燥運転の設定を行う加熱乾燥運転設定手段であり、図2における加熱乾燥スイッチ12と同一である。25は室内送風機6の風量を制御する風量制御手段であり、制御装置20からは、圧縮機1や四方弁2や風量制御手段25を介して室内送風機6へ制御信号が送られる。
【0040】
図6は本発明の実施の形態2における動作を示したものである。冷房運転中、時間T1においてリモコン11上に設けられている加熱乾燥スイッチ12により加熱乾燥運転の設定がオン状態にされ、時間T2においてリモコン11により冷房運転オフが設定された。冷房運転中、室内熱交換器5には室内空気に含まれる水分が結露し、徐々に増加していき、ある時間経過すると結露水量は一定になる。
【0041】
今、リモコン11による冷房オフ信号を受けて、時間T2から加熱乾燥運転に入る。加熱乾燥運転では、まず蒸発促進運転指示手段21により圧縮機1がオフになると共に、風量制御手段25により室内送風機6の風量が「強」設定となり、時間T3までの所定時間だけ室内送風機6による蒸発促進運転が行われる。この蒸発促進運転では、室内熱交換器5に結露している水分が送風により蒸発していき、結露水量が徐々に低下していく。
【0042】
このとき、室内熱交換器5からの水分の蒸発を促進するために、室内送風機6の風量は「強」に設定している。また、蒸発促進運転時は室内熱交換器5の結露水が蒸発すると共に、結露水に含まれる各種の臭気成分も脱離してくるので臭気の発生量が徐々に増加していく。
【0043】
所定時間経過した時間T3において、蒸発促進運転から乾燥運転に入る。乾燥運転では、まず乾燥運転指示手段22により、圧縮機1をオンにすると共に、四方弁2を暖房運転に切り替え冷媒の流れを逆にして、時間T4までの所定時間だけ乾燥運転を行う。
【0044】
乾燥運転時において、風量制御手段25は室内送風機6の風量を「弱」に設定する。風量を「弱」に設定することにより、室内熱交換器5の温度上昇速度を速くすることができ、しかも乾燥運転時における室内熱交換器5の温度を高く維持することができ、短時間に効率の良い乾燥運転を行うことができる。
【0045】
時間T4において乾燥運転を終了すると共に四方弁2を冷房運転に切り替え、さらに圧縮機1をオフ状態にする。乾燥運転中は暖房運転を行っているために、室内熱交換器5に結露した水分の蒸発が急激に行われ、結露水量は減少していき、乾燥運転が終了する時間T4においては結露水量がほとんどゼロになる。
【0046】
また、乾燥運転中は、高温高湿度の風が吹き出されてくると共に、結露水に溶け込んだ室内空気中に含まれる各種の臭気成分も脱離してくるために、臭気の発生量は一時的にかなり大きくなる。
【0047】
時間T4において、室内熱交換器5に結露した水分はほとんどなくなっているが、室内熱交換器5の表面上には臭気成分がまだ付着している。そこで、乾燥運転終了後、臭気脱離運転指示手段23によって、時間T5までの所定時間だけ、室内送風機6による送風運転を行う。この送風による臭気脱離運転によって、室内の清浄な空気との循環を繰り返すことにより、室内熱交換器5の表面上に付着している臭気成分が循環空気との臭気濃度差により脱離されてくる。
【0048】
この臭気脱離運転において、風量制御手段25は室内送風機6の風量を「強」に設定する。風量を「強」に設定することにより、循環風量の増大を図り臭気の脱離を促進するものである。こうして時間T5まで「強」風量による送風運転を行うことにより、室内熱交換器5に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができる。
【0049】
このように、上記実施の形態2において、風量を「強」設定とした蒸発促進運転により室内熱交換器5に結露している水分の多くを蒸発させ、その後、風量を「弱」設定とした乾燥運転により結露している水分を短時間に乾燥除去させることができ、また乾燥運転後に風量を「強」設定とした臭気脱離運転により室内熱交換器5に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができるので、室内機の内部を乾燥させカビや細菌類などの繁殖を防止することができると共に、臭気成分の付着もなくすことができる。
【0050】
なお、上記実施形態3においては、冷房オフ信号を受けて加熱乾燥運転を行ったが、加熱乾燥スイッチがオン状態に設定された直後に、加熱乾燥運転を行ってもよい。
【0051】
上記実施の形態2においては、実施の形態1に基づいて説明したが、実施形態1においても同様である。
(実施の形態3)
図7と図8を用いて本発明の実施の形態3について説明する。
【0052】
図7は本発明の実施の形態3におけるブロック図を示す。図7において、20は制御装置、21は乾燥運転の前に室内送風機6により室内熱交換器5に結露した水分の蒸発を促進する蒸発促進運転指示手段、冷房(除湿)運転後に圧縮機1により暖房運転させて室内熱交換器5に結露した水分の蒸発乾燥を行わせる乾燥運転指示手段、23は乾燥運転後に室内送風機6により室内空気の循環を行い室内熱交換器5に付着した臭気の脱離を促進させる臭気脱離運転指示手段であり、蒸発促進運転指示手段21と乾燥運転指示手段22と臭気脱離運転指示手段23はともに制御装置20の中に組み込まれている。
【0053】
24は室内熱交換器5の加熱乾燥運転の設定を行う加熱乾燥運転設定手段であり、図2における加熱乾燥スイッチ12と同一である。26は上下偏向羽根10の上下方向の風向を制御する上下風向制御手段であり、制御装置20からは、圧縮機1や四方弁2や室内送風機6や上下風向制御手段26を介して上下偏向羽根10へ制御信号が送られる。
【0054】
図8は本発明の実施の形態3における動作を示したものである。冷房運転中、時間T1においてリモコン11上に設けられている加熱乾燥スイッチ12により加熱乾燥運転の設定がオン状態にされ、時間T2においてリモコン11により冷房運転オフが設定された。
【0055】
冷房運転中、室内熱交換器5には室内空気に含まれる水分が結露し、徐々に増加していき、ある時間経過すると結露水量は一定になる。今、リモコン11による冷房オフ信号を受けて、時間T2から加熱乾燥運転に入る。加熱乾燥運転では、まず蒸発促進運転指示手段21により圧縮機1がオフになると共に、上下風向制御手段26により上下偏向羽根の向きが「上向き」設定となり、時間T3までの所定時間だけ室内送風機6による蒸発促進運転が行われる。
【0056】
この蒸発促進運転では、室内熱交換器5に結露している水分が送風により蒸発していき、結露水量が徐々に低下していく。また、蒸発促進運転時は室内熱交換器5の結露水が蒸発すると共に、結露水に含まれる各種の臭気成分も脱離してくるので臭気の発生量が徐々に増加していく。
【0057】
このとき、室内居住域へ高湿度で臭気も混じった気流が直接送風されないように、上下偏向羽根の設定を「上向き」に設定している。所定時間経過した時間T3において、蒸発促進運転から乾燥運転に入る。乾燥運転では、まず乾燥運転指示手段22により、圧縮機1をオンにすると共に、四方弁2を暖房運転に切り替え冷媒の流れを逆にして、時間T4までの所定時間だけ乾燥運転を行う。
【0058】
乾燥運転時において、上下風向制御手段26は上下偏向羽根を「上向き」に設定する。上下偏向羽根を「上向き」に設定することにより、高温高湿度で臭気も混じった気流が直接室内居住域へ吹き出されることを防止する。時間T4において乾燥運転を終了すると共に四方弁2を冷房運転に切り替え、さらに圧縮機1をオフ状態にする。
【0059】
乾燥運転中は暖房運転を行っているために、室内熱交換器5に結露した水分の蒸発が急激に行われ、結露水量は減少していき、乾燥運転が終了する時間T4においては結露水量がほとんどゼロになる。
【0060】
また、乾燥運転中は、高温高湿度の風が吹き出されてくると共に、結露水に溶け込んだ室内空気中に含まれる各種の臭気成分も脱離してくるために、臭気の発生量は一時的にかなり大きくなる。
【0061】
時間T4において、室内熱交換器5に結露した水分はほとんどなくなっているが、室内熱交換器5の表面上には臭気成分がまだ付着している。そこで、乾燥運転終了後、臭気脱離運転指示手段23によって、時間T5までの所定時間だけ、室内送風機6による送風運転を行う。
【0062】
この送風による臭気脱離運転によって、室内の清浄な空気との循環を繰り返すことにより、室内熱交換器5の表面上に付着している臭気成分が循環空気との臭気濃度差により脱離されてくる。
【0063】
この臭気脱離運転において、上下風向制御手段26は上下偏向羽根10の風向を「上向き」に設定する。上下偏向羽根10を「上向き」に設定することにより、若干とも臭気成分を含む気流が直接室内の居住域に吹き出されることを防止する。こうして時間T5まで送風運転を行うことにより、室内熱交換器5に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができる。
【0064】
このように、上記実施の形態3において、加熱乾燥運転時に上下偏向羽根10を上向きにすることにより、高湿度で臭気成分を含む気流が直接室内居住域に吹き出されることなく、蒸発促進運転と乾燥運転と臭気脱離運転を行い、室内熱交換器5に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができるので、室内機の内部を乾燥させカビや細菌類などの繁殖を防止することができると共に、臭気成分の付着もなくすことができる。
【0065】
なお、上記実施の形態3においては、冷房オフ信号を受けて加熱乾燥運転を行ったが、加熱乾燥スイッチがオン状態に設定された直後に、加熱乾燥運転を行ってもよい。
【0066】
【発明の効果】
上記実施の形態の説明から明らかなように、乾燥運転により室内熱交換器に結露している水分を短時間に乾燥除去させることができ、また乾燥運転後の臭気脱離運転により室内熱交換器に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができるので、室内機の内部を乾燥させカビや細菌類などの繁殖を防止することができると共に、臭気成分の付着もなくすことができ、さらに冷房運転開始時の熱交換器などに繁殖したカビ類や付着した臭気などに起因する不快な臭気発生現象も防止することができるという効果を奏する。
【0067】
また、乾燥運転の前に、室内送風機により室内熱交換器に結露した水分の蒸発を促進する蒸発促進運転指示手段を設けたもので、この構成によれば、暖房運転による乾燥運転の前に、送風による水分の蒸発促進運転を行うことにより、暖房運転を行ったときの急激な湿度の上昇や水分の蒸発に伴う急激な臭気の発生を緩和させることができるという効果を奏する。
【0068】
また、室内送風機は回転数可変とし、蒸発促進運転、乾燥運転および臭気脱離運転において風量を制御する風量制御手段を設けたもので、この構成によれば、風量を「強」設定とした蒸発促進運転では室内熱交換器に結露している水分を多く蒸発させ、その後、風量を「弱」設定とした乾燥運転により結露している水分を短時間に乾燥除去させることができ、また乾燥運転後に風量を「強」設定とした臭気脱離運転により室内熱交換器に付着した臭気成分をほぼ完全に脱離させることができるといった効率の良い加熱乾燥運転ができるという効果を奏する。
【0069】
また、室内送風機の吹き出し方向を上下に偏向する上下偏向羽根を設け、蒸発促進運転、乾燥運転および臭気脱離運転において上下方向の吹き出しを制御する上下風向制御手段を設けたもので、この構成によれば、蒸発促進運転、乾燥運転および臭気脱離運転において、上下偏向羽根を上向きにすることにより、高湿度で臭気成分を含む気流が直接室内居住域に吹き出されることなく、人体への不快感を緩和させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における空気調和機の冷凍サイクル構成図
【図2】 同空気調和機の室内機構成図
【図3】 本発明の実施の形態1におけるブロック図
【図4】 本発明の実施の形態1における動作波形図
【図5】 本発明の実施の形態2におけるブロック図
【図6】 本発明の実施の形態2における動作波形図
【図7】 本発明の実施の形態3におけるブロック図
【図8】 本発明の実施の形態3における動作波形図
【図9】 従来例の制御装置のシステム構成図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 四方弁
3 室外熱交換器
4 減圧器
5 室内熱交換器
6 室内送風機
10 上下偏向羽根
21 蒸発促進運転指示手段
22 乾燥運転指示手段
23 臭気脱離運転指示手段
24 加熱乾燥運転設定手段
25 風量制御手段
26 上下風向制御手段
Claims (3)
- 圧縮機、室内熱交換器、減圧器、室外熱交換器、四方弁を有する冷凍サイクルと、前記室内熱交換器に室内空気を通流させる室内送風機と、機器の運転動作を制御する制御装置とを備え、冷房または除湿運転において冷房または除湿運転オフ信号を受けて前記圧縮機が停止した後、前記制御装置は、前記室内送風機が前記室内熱交換器に送風する送風運転、圧縮機を起動させて前記室内熱交換器に結露した水分の乾燥効果を向上させる暖房運転、さらに圧縮機を停止させて前記室内熱交換器に付着もしくは付近に滞留した臭気の脱離効果を向上させる送風運転を、順次行うように制御することを特徴とする空気調和機。
- 制御装置は、室内送風機が室内熱交換器に送風する風量を、請求項1に記載した圧縮機停止後の各運転状態に応じて制御することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 室内送風機の吹出し方向を上下に偏向する上下偏向羽根を設け、請求項1に記載した圧縮機停止後の各運転状態において、吹出し方向が上向きになるように上下偏向羽根を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
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Publications (2)
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