〔実施形態1〕
〔システム概要〕
本実施形態に係る空調システム100について図2を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る空調システム100の構成を示す図である。図2に示すように、空調システム100は、空気調和機1、端末装置2、送風装置3、およびサーバ4を含む。空調システム100は、空気調和機1と送風装置3によって被空調空間(図示の例では屋内空間)の空調を行うシステムである。
空気調和機1は、被空調空間の空調を行う装置である。空気調和機1は、端末装置2と通信可能であり、また、通信ネットワークを介してサーバ4と通信可能である。本実施形態では、空気調和機1が被空調空間を暖房または冷房するいわゆるエアコンの室内機である例を説明する。なお、空気調和機1は、被空調空間の空調を行う装置であればよく、エアコンに限られない。例えば、空気清浄機等であってもよい。
端末装置2は、空調システム100のUI(User Interface)として機能する装置である。端末装置2は、空気調和機1と通信可能であり、また、通信ネットワークを介してサーバ4と通信可能である。本実施形態では、端末装置2がスマートフォンである例を説明する。端末装置2は、図1に基づいて後述する各機能を備えた装置であればよく、スマートフォンに限られない。
送風装置3は、送風する機能を備えた装置である。本実施形態では送風装置3が扇風機である例を説明する。送風装置3は、送風する機能を備えた装置であればよく、扇風機に限られない。例えば、サーキュレータ、加湿器、あるいは空気清浄機等であってもよい。
サーバ4は、空調システム100で使用するデータの保存・管理等を行う。具体的には、サーバ4は、空気調和機1の運転設定と、運転開始直前の温度環境を示す温度環境データと、その運転設定で空調を行ったときの時系列の温度データとを当該空気調和機1から取得する。そして、取得したデータをその空気調和機1の識別情報と対応付けて、これを空調データとして保存する。また、サーバ4は、端末装置2からの要求に応じて、保存している空調データを当該端末装置2に送信する。なお、空調データには、使用した送風装置3の種類、送風方向、風量、および配置等を示す送風装置3の運転設定が含まれていてもよい。さらに、空調データには、空調に要した電力量あるいは電気料金を示す情報が含まれていてもよい。
なお、上述の通信ネットワークは各機器間で通信が可能なネットワークであればよく、特に限定されない。また、各機器間の通信に利用する通信ネットワークは全て同じものであってもよいし、異なる通信ネットワークを利用してもよい。また、端末装置2と空気調和機1との間の通信についても、例えば家庭内のローカルエリアネットワークなどの通信ネットワークを介して行ってもよい。
空調システム100では、ユーザが端末装置2に対し、室内の何れの位置に送風装置3が配置されているかを入力する。そして、端末装置2は、送風装置3の位置を示す位置情報を空気調和機1に送信する。この位置情報を受信した空気調和機1は、室内に送風する空気の一部を、上記位置情報の示す位置、すなわち送風装置3の配置されている位置に向けて送風する。
つまり、図2に示すように、空気調和機1は、通常の空調のための送風方向D1と、送風装置3に向かう送風方向D2とに送風する。また、送風装置3は、図2に示すように、部屋の端に向かう方向D3に送風する。これにより、送風方向D2に送られた空気は方向D3に進み、室内を循環することになる。
以上のように、空調システム100では、通常の空調のための送風方向D1に送風しながら、送風装置3を利用して空調空気を室内で循環させるための送風方向D2にも送風する。これにより、送風装置3を有効に利用して室内環境を向上させることができる。また、送風装置3の位置に応じた送風には、被空調空間内に送風する空気の一部が用いられるため、空調空気の送風方向が送風装置3の周辺に偏ることがない。
〔空気調和機1の要部構成〕
空気調和機1の詳細について図1を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る空気調和機1および端末装置2の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、空気調和機1は、空気調和機1の各部を統括して制御する制御部10、空気調和機1が使用する各種データを記憶する記憶部11、および空気調和機1が他の装置と通信するための通信部12を備えている。また、空気調和機1は、被空調空間の温度を測定する温度センサ13を備えている。温度センサ13は、被空調空間内の各位置(例えば床面を区分した複数の単位領域の位置)の温度を検出できるものであることが好ましい。
制御部10は、位置特定部101、空調制御部102、送風装置制御部103、およびデータ管理部104を含む。なお、空気調和機1は、空調のための各種構成も備えているが、それらの構成については一般的な空気調和機が備えている構成と同様であるため記載を省略している。
位置特定部101は、被空調空間における送風装置3の位置を特定する。空調システム100では、ユーザが端末装置2に送風装置3の位置を入力するので、位置特定部101は、端末装置2と通信することにより送風装置3の位置を特定する。なお、送風装置3の位置の特定方法はこの例に限られない。例えば、非空調空間を撮影した画像を解析することによって送風装置3の位置を特定する構成としてもよい。
空調制御部102は、空気調和機1の空調運転を制御する。空調制御部102は、被空調空間内に送風する空気の一部を、位置特定部101が特定した位置に応じた所定の方向に送風することにより、当該送風した空気を送風装置3の送風で流動させる制御を行う点に主な特徴がある。
送風装置制御部103は、通信部12を介して送風装置3に制御信号を送信して、該制御信号が示す動作を送風装置3に実行させる。なお、送風装置3の制御は、通信部12以外の通信手段、他の装置、あるいは他の通信ネットワークを介して行ってもよい。例えば、送風装置3がホームネットワークに接続されている場合には、ホームネットワークを介して送風装置3の動作制御を行ってもよい。
データ管理部104は、空気調和機1が取得したデータを管理する。具体的には、データ管理部104は、空気調和機1の運転設定と、運転開始直前の温度環境を示す温度環境データと、その運転設定で空調を行ったときの時系列の温度データとをサーバ4に送信し、これらを空調データとして保存させる。このため、データ管理部104は、空調時に、温度センサ13により被空調空間の温度を示す温度データを測定させる。運転開始直前の温度環境を示す温度環境データは、温度センサ13が測定した温度データであってもよいし、外気温を示すデータであってもよい。外気温を示す温度環境データであれば、例えば地域別の外気温情報を提供するサーバ等にアクセスして取得してもよい。
〔端末装置2の要部構成〕
端末装置2の詳細について図1を参照して説明する。図1に示すように、端末装置2は、端末装置2の各部を統括して制御する制御部20、端末装置2が使用する各種データを記憶する記憶部21、および端末装置2が他の装置と通信するための通信部22を備えている。また、端末装置2は、端末装置2に対するユーザの入力操作を受け付ける入力部23、および制御部20の制御に従って画像を表示する表示部24を備えている。なお、本実施形態では入力部23と表示部24がタッチパネルで構成されている例、すなわちタッチパネルが表示部24の表示面と、入力部23の入力面を兼ねている例を説明する。無論、入力部23はユーザの入力操作を受け付けることができるものであればよく、また表示部24は画像を表示できるものであればよく、本例の構成に限られない。
制御部20は、位置通知部201、空調データ取得部202、温度分布特定部(有効領域特定部)203、配置推奨部204、学習部(評価取得部、時間算出部)205、シミュレーション実行部206、UI表示処理部(情報提示部)207、および空気調和機制御部208を含む。
位置通知部201は、送風装置3の位置を空気調和機1に通知する。送風装置3の位置は空調データ取得部202が特定する。また、位置通知部201は、被空調空間に関する各種情報の空気調和機1への通知も行う。例えば、位置通知部201は、被空調空間の形状、広さ(面積で表したものであってもよいし、畳数で表したものであってもよい)、被空調空間における空気調和機1の配置等を空気調和機1に通知する。なお、これらの情報を空気調和機1が取得する構成としてもよく、この場合通知は不要となる。
空調データ取得部202は、空気調和機1の空調に関するデータを取得する。空調データ取得部202が取得するデータには、送風装置3の設置位置を示す情報が含まれる。送風装置3の設置位置は、例えば、UI表示処理部207に指示して被空調空間を示す画像を表示させ、その画像上で送風装置3の設置位置をユーザに指定させることにより特定してもよい。なお、送風装置3の設置位置を特定する方法は特に限定されず、例えば被空調空間を撮影した画像を解析して送風装置3の設置位置を特定することも可能である。
また、上記データには、被空調空間の外形形状、広さ、および空気調和機1の配置を示す情報が含まれていてもよい。これらの情報は、ユーザの入力を受け付けたり、上記のような画像解析を行ったりすることにより取得することができる。さらに、上記データには、空気調和機1の運転設定を示す情報が含まれていてもよい。運転設定は空気調和機1と通信することにより特定することができる。
また、空調データ取得部202は、温度環境データを取得する。温度環境データは現在の外気温を示すデータであってもよいし、被空調空間の現在の室温を示すデータであってもよい。室温を示す温度環境データであれば例えば空気調和機1と通信することによって取得してもよい。また、外気温を示す温度環境データであれば、例えば地域別の外気温情報を提供するサーバ等にアクセスして取得してもよい。
さらに、空調データ取得部202は、サーバ4に保存されている、空気調和機1の空調データを取得する。なお、空調データ取得部202は、上記のような複数種類のデータを取得するが、取得するデータの種類に応じた機能ブロックをそれぞれ設けてもよい。
温度分布特定部203は、被空調空間において、空調の設定温度に応じた所定の温度範囲となる領域である空調有効領域を特定する。この特定には、過去に所定の条件下で空気調和機1に空調を行わせたときの被空調空間内の温度分布を示す温度データを用いる。空調有効領域は、冷房運転時には設定温度以下となる領域であり、暖房運転時には設定温度以上となる領域である。なお、空調有効領域の特定方法の詳細は後述する。
また、温度分布特定部203は、所定の条件下で上記所定時間空気調和機1に空調を行わせる場合の被空調空間内の温度分布を特定する。この特定には、過去に上記所定の条件下で上記所定時間空気調和機1に空調を行わせたときの被空調空間の温度分布を示す温度データを用いる。温度分布の特定方法の詳細も後述する。
配置推奨部204は、送風装置3の推奨配置を決定する。推奨配置は、その推奨配置に送風装置3を配置することにより空調有効領域が広がる配置である。推奨配置の決定方法の詳細は後述する。
学習部205は、被空調空間における空調の効き方を学習する。空気調和機1が設置される被空調空間は、断熱性や光の当たり具合等の空調効果に影響を与える各条件が異なるが、学習部205の学習結果を利用することで、そのような差異をカバーして快適な空調空間を提供することが可能になる。学習部205による学習については後述する。
シミュレーション実行部206は、推奨配置に送風装置3を配置して送風させながら空気調和機1に空調を行わせた場合の空調空気の流れを特定する。詳細は後述するが、この特定には、過去に推奨配置に送風装置3を配置して送風させながら空気調和機1に空調を行わせたときの被空調空間内の温度分布を示す温度データを用いる。
UI表示処理部207は、空気調和機1に関する情報を表示部24に表示させる。例えば、UI表示処理部207は、推奨配置を示す配置情報を表示させて、該配置情報をユーザに提示する。この他にも、UI表示処理部207は、例えば、シミュレーション実行部206が特定した空調空気の流れを示す気流情報、および温度分布特定部203が特定した空調有効領域を示す情報や、温度分布特定部203が特定した温度分布を示す温度分布情報等を表示させる。また、UI表示処理部207は、このような情報を表示させるための操作画面なども表示させる。
空気調和機制御部208は、通信部22を介して空気調和機1に制御信号を送信して、該制御信号が示す動作を空気調和機1に実行させる。空気調和機制御部208を備えていることにより、端末装置2を空気調和機1の遠隔操作装置(いわゆるリモコン)として利用することもできる。なお、空気調和機1の制御は、通信部22以外の通信手段、他の装置、あるいは他の通信ネットワークを介して行ってもよい。
〔処理の流れ〕
空気調和機1が実行する処理の流れを図3に基づいて説明する。図3は、空気調和機1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。まず、位置特定部101は、送風装置3の位置を特定する(S1、位置特定ステップ)。上述のように、送風装置3の位置は、端末装置2との通信により特定することができる。
次に、空調制御部102は、S1で特定された位置に応じた送風方向を決定する(S2)。そして、空調制御部102は、S2で決定した送風方向への送風を開始する(S3、空調制御ステップ)。これにより、送風した空気を送風装置3の送風で流動させることができる。
〔送風方向について〕
上記S2では、S1で特定された位置に向かう方向を送風方向としてもよい。これについて図4に基づいて説明する。図4は、空気調和機1の送風方向の例を示す図である。図4では、被空調空間SP1を真上から見た様子を示しており、空気調和機1の送風方向を矢印D1、D2で示している。このうち、矢印D1は、通常の空調のための送風方向である。一方、矢印D2は、S2で決定された方向であり、空気調和機1から送風装置3に向かう方向である。また、送風装置3の送風方向を矢印D3で示している。
矢印D1の送風方向は、空気調和機1の動作設定に従って決定する。例えば、ユーザが指定した方向であってもよいし、空気調和機1がユーザを検出する機能を備えている場合には、検出したユーザに向かう方向であってもよい。また、矢印D1の送風方向は、変化させてもよい。変化させる方向は垂直方向および水平方向の何れであってもよく、垂直方向および水平方向の双方について変化させてもよい。さらに、温度センサ13の計測した温度が、空調の設定温度からより乖離している場所、つまり暖房時には温度の低い場所、冷房時には温度の高い場所に向かう方向をD1としてもよい。この他、被空調空間の中心に向かう方向をD1とすること等も考えられる。このD1の送風方向への送風により、基本的にユーザの意図に沿った空調が行われる。
一方、矢印D2の送風方向は、送風装置3を利用して空調空気を室内で循環させるための送風方向である。図4の例では、D2は送風装置に向かう方向であり、送風装置3は部屋の端に向かう方向D3に送風するため、送風方向D2に送られた空気は方向D3に進み、空気調和機1の送風が届きにくい被空調空間SP1の隅まで到達する。
空気調和機1の送風口が1つであっても、空調制御部102は、複数のルーバの向きを制御することにより、このように異なる2方向に送風することが可能である。また、空調制御部102は、送風方向D1、D2の風量を、ユーザの所望の空調効果が得られるようなバランスで設定することが好ましい。例えば、空調制御部102は、全体の風量のうち、送風方向D1への風量を多めに、送風方向D2への風量は少なめに配分してもよい。これにより、送風方向D1への送風による空調効果への影響を少なく抑えつつ、送風方向D2への送風によりサーキュレーション効果を生じさせたり、空気調和機1の送風が届きにくい場所に空調空気を送り込んだりすることができる。
また、空調制御部102は、送風を開始した後は、ユーザが快適な空調状態となるように、被空調空間SP1の温度状態に応じて風向および風量を変更してもよい。例えば、空調制御部102は、温度センサ13の出力に基づき、被空調空間SP1内の温度が均一になるように風向および風量を変更してもよい。例えば、空調制御部102は、空気調和機1からの送風が直接には届き難い範囲(空気調和機1から離れた場所や空気調和機1の真下、家具などの障害物の奥など)において、設定温度からの乖離が大きければ、送風方向D2への風量を増加させてもよい。
送風装置3を利用して空調空気を室内で循環させるための送風方向は、空気調和機1の運転モードに応じて決定してもよい。また、この送風方向は、送風装置3の送風方向に応じて決定してもよい。
また、詳細は後述するが、端末装置2は、送風装置3のお勧めの配置と共に、お勧めの送風方向も決定してもよい。この場合、端末装置2は、お勧めの配置とお勧めの送風方向をユーザに通知し、ユーザはこの通知に従って送風装置3を配置する。また、空気調和機1は、送風方向D2を、空気調和機1から上記お勧めの配置に向かう方向とする。なお、空気調和機1が送風装置3のお勧めの配置とお勧めの送風方向を決定してもよい。この場合、空気調和機1は、決定したお勧めの配置とお勧めの送風方向を、端末装置2を介してユーザに通知してもよい。また、この場合、空気調和機1は、送風方向D2を、決定したお勧めの配置とお勧めの送風方向に応じた方向とする。
送風方向D1は、上述のように、自動運転の設定に従った方向、検知した人の居る方向、床の温度差がある方向(空調が効いている領域と効いていない領域との境界に向かう方向)、あるいは被空調空間の中央に向かう方向等とすればよい。また、運転開始後に送風方向D1を変更してもよい。例えば、運転開始時は自動風向とし、ある一定時間経過後に被空調空間の温度分布を確認して、温度ムラが出ている箇所があれば、D1をその方向に変更してもよい。これにより、被空調空間の温度を均一にすることができる。
〔空気調和機1に対する送風装置3の相対位置に応じた送風方向について〕
送風装置3を利用して空調空気を室内で循環させるための送風方向は、空気調和機1に対する送風装置3の相対位置に応じて決定してもよい。これについて図5に基づいて説明する。図5は、空気調和機1に対する送風装置3の相対位置に応じた送風方向の例を示す図である。
図5の(a)の例は、被空調空間SP2を真上から見た様子を示している。この例では、送風装置3は空気調和機1の正面に位置している。この場合、空調制御部102は、図示の方向D4からD5の間で送風方向を周期的に変化させてもよい。言い換えれば、空調制御部102は、送風装置3の位置を含む所定範囲でスイング送風を行ってもよい。
本例では、方向D4からD5の中心が送風装置3の位置であるから、上記所定範囲は送風装置3の位置を中心とした範囲である。スイング方向は水平方向および垂直方向の何れであってもよく、水平方向および垂直方向の両方にスイング送風してもよい。
このようなスイング送風により、送風装置3を利用して被空調空間SP2に均一に送風することが可能になる。なお、送風装置3が空気調和機1の正面に位置していないときにも送風装置3の位置を含む範囲でスイング送風を行ってもよい。また、図示していないが、これらの方向への送風とは別に、図4の送風方向D1に相当する方向への送風を行ってもよい。
図5の(b)の例は、被空調空間SP3を真横から見た様子を示している。この例では、送風装置3は空気調和機1の近くに位置している。この場合、空調制御部102は、送風装置3を利用して空調空気を室内で循環させるための送風方向と、通常の空調のための風向とが、垂直方向において異なる方向となるようにしてもよい。例えば、図5の(b)の例では、通常の空調のための送風方向がD6であり、送風装置3を利用するための送風方向がD7である。送風方向D6は、水平よりやや斜め上方に向かう方向(上向きの風向)である。一方、送風方向D7は送風装置3に向かう方向であり、水平よりも斜め下方に向かう方向(下向きの風向)である。なお、通常の空調のための送風方向と、送風装置3を利用するための送風方向は、垂直方向および水平方向の何れもが異なっていてもよい。
〔送風装置3の配置の推奨〕
端末装置2は、配置推奨部204を備えていることにより、被空調空間における送風装置3の推奨配置をユーザに提示することができる。これについて、図6に基づいて説明する。図6は、送風装置3の推奨配置をユーザに提示する表示画面の一例を示す図である。
図6の表示画面には、メッセージM1と画像P1が含まれている。メッセージM1は、画像P1を説明するメッセージである。より具体的には、メッセージM1は、画像P1の丸印の位置が、被空調空間において空調空気を行き届かせる範囲を広げるための、送風装置のお勧めの設置位置である旨のメッセージである。
画像P1は、被空調空間を模式的に示した画像であり、画像P1の外縁が被空調空間の外縁を示している。画像P1の外縁の形状は、被空調空間の形状に応じて変わる。図6の例では、被空調空間が上面視でやや縦長の矩形状の空間であることを想定しているため、画像P1もやや縦長の矩形状の外縁を有している。
この画像P1には、空気調和機1の位置を示すアイコンA1と、送風装置3の推奨配置を示すアイコン(配置情報)A5が含まれている。また、画像P1には、送風のスイング範囲を示す矢印A2、送風方向を示す矢印A3、空調有効領域を示す領域情報A4、および送風装置3の送風方向を示す矢印A6も含まれている。
これらの情報を含む画像P1を表示させることにより、空気調和機1のみでは送風が難しい位置まで空調空気を行き届かせることの可能な、送風装置3の設置位置をユーザに認識させることができる。また、ユーザに現在の運転設定(風向、風量、スイング)で空調を行ったときに、被空調空間のどの程度の範囲まで十分な空調がなされるのかを認識させることができる。
〔画面表示のための処理〕
このような表示画面を表示させるための処理(端末装置の制御方法)について以下説明する。UI表示処理部207は、画像P1の外形形状を、空調データ取得部202が取得する、被空調空間の外形形状を示す情報を用いて決定する。また、UI表示処理部207は、アイコンA1の位置を、空調データ取得部202が取得する、空気調和機1の設置位置を示す情報を用いて決定する。
さらに、UI表示処理部207は、矢印A3の位置を、空調データ取得部202が取得する、空気調和機1の運転設定を示す情報を用いて決定する。また、この運転設定を示す情報に、スイング送風することを示す情報が含まれていた場合、UI表示処理部207は、そのスイングの範囲を示す矢印A2を表示させる。
領域情報A4については、温度分布特定部203が後述の方法で空調有効領域を特定するので、UI表示処理部207は、温度分布特定部203が特定した空調有効領域の外縁の位置に領域情報A4を表示させる。
また、配置推奨部204が後述の方法で推奨配置を特定する(推奨配置決定ステップ)ので、UI表示処理部207は、配置推奨部204が特定した推奨配置にアイコンA5を表示させる(情報提示ステップ)。また、配置推奨部204が送風方向についても特定した場合、UI表示処理部207は、送風方向を示す情報(例えば、図6のA6のような情報)も表示させる。
《空調有効領域の特定》
温度分布特定部203による空調有効領域の特定について説明する。温度分布特定部203が空調有効領域を特定するにあたり、空調データ取得部202が、過去に所定の条件下で空気調和機1に空調を行わせたときの温度データを含む空調データを取得する。ここで、所定の条件とは、現在の温度環境と同等の温度環境下で、現在の空気調和機1の運転設定と同等の運転設定で空調を行わせたという条件である。
このため、空調データ取得部202は、まず、空気調和機1の運転設定を特定する。また、空調データ取得部202は、現在の温度環境を示す温度環境データを取得する。そして、空調データ取得部202は、サーバ4に保存されている空調データのうち、取得した温度環境データと同等の温度環境データが対応付けられ、かつ、現在の空気調和機1の運転設定と同等の運転設定が対応付けられた空調データを取得する。なお、どの程度の範囲を同等として扱うかは予め決めておけばよい。例えば、温度環境データの示す温度の差が±3°以内である場合や、運転設定における設定温度の差が±3°以内である場合には同等として扱ってもよい。
温度分布特定部203は、上記のようにして取得された空調データを用いて空調有効領域を特定する。具体的には、温度分布特定部203は、まず、取得された空調データに含まれる時系列の温度データの中から、空調有効領域の特定に用いる温度データを選択する。なお、温度データは、被空調空間内の温度分布を示すデータであり、例えば、非空調空間内に規定された所定の単位領域ごとの温度を温度センサ13で測定したデータであってもよい。温度データの選択においては、例えば、被空調空間の温度が定常状態となっている温度データ(設定温度に応じた温度となっている単位領域が変化しなくなった後の時間に取得された温度データ)を選択してもよい。また、例えば、空調開始から所定時間後の温度データを選択してもよい。
次に、温度分布特定部203は、選択した上記温度データから空調有効領域の外縁を特定し、その内側の領域を空調有効領域と特定する。例えば、温度データが被空調空間の床面を格子状の単位領域に区切った各領域の温度を示すデータであれば、温度分布特定部203は、それらの領域のうち設定温度以上の領域で構成される範囲の外縁を空調有効領域の外縁として特定してもよい。この外縁は、設定温度以上の領域と設定温度未満の領域との境界であるとも言える。
空調有効領域が特定されると、UI表示処理部207は、その空調有効領域を示す情報(例えば、図6のA4のような情報)を表示させることができる。なお、被空調空間の温度データが、被空調空間における3次元の温度分布を示すデータであれば、3次元の空調有効領域を特定し、その領域を示す画像を表示させることもできる。
《推奨配置の特定》
配置推奨部204による推奨配置の特定(推奨配置決定ステップ)について説明する。配置推奨部204は、温度分布特定部203が上述のようにして特定した空調有効領域を利用して推奨配置を特定することができる。具体的には、配置推奨部204は、空調有効領域の外縁部の位置を推奨配置としてもよい。なお、外縁部とは、空調有効領域の外縁から所定距離(例えば1m)内側の領域であり、空調有効領域の中央部よりも外縁寄りの領域である。また、配置推奨部204は、送風装置3のお勧めの送風方向についても併せて特定してもよい。
そして、UI表示処理部207は、このようにして特定された位置に、その位置が推奨配置であることを示す配置情報として、例えば送風装置3のアイコンを示す情報(例えば、図6のA5のような情報)を表示させる。また、送風方向を示す情報(例えば、図6のA6のような情報)についてもUI表示処理部207に表示させることができる。これにより、空調有効領域内の空調空気を空調有効領域外に送り出し、空調有効領域を広げることのできる配置をユーザにお勧めすることができる。
なお、推奨配置は、空調有効領域を広げることのできる配置であればよく、このような配置の決定方法は上記の例に限られない。また、推奨配置は、所定の位置(例えばユーザが指定した、特に空調すべき位置)を速やかに空調有効領域とすることのできる配置、あるいは被空調空間における空調空気を循環させることのできる配置(サーキュレーション効果が高い配置)であってもよい。
また、推奨配置は、学習部205の学習結果から特定してもよい。この場合、学習部205は、送風装置3の好ましい配置を学習しておく。例えば、空調有効領域を広げるために好ましい配置を学習する場合、学習部205は、同等の運転設定で空気調和機1を動作させたときの複数の空調データであって、送風装置3の配置を示す情報を含む空調データを空調データ取得部202に取得させる。そして、それらの空調データのうち、空調有効領域が最も広い空調データにおける送風装置3の配置が、空調有効領域を広げるために好ましい配置であると特定する。配置推奨部204は、このようにして学習部205が特定した配置を、推奨配置であると特定してもよい。
また、空調データに消費電力量を示す情報が含まれている場合には、消費電力量がより少ない送風装置3の配置を特定し、それを推奨配置とすることもできる。これにより、省エネ性を向上させることができる。この他、暖房、冷房、除湿等の運転モードに応じた推奨配置を特定することも可能である。
〔空調シミュレーション〕
シミュレーション実行部206は、空調データを用いて空調空気の流れのシミュレーションを行い、UI表示処理部207はその流れを示す気流情報を表示させる。具体的には、シミュレーション実行部206は、推奨配置に送風装置3を配置して送風させながら空気調和機1に空調を行わせた場合の空調空気の流れを特定する。
この特定には、過去に推奨配置に送風装置3を配置して送風させながら空気調和機1に空調を行わせたときの温度データを用いる。このため、シミュレーション実行部206は、空調データ取得部202に上記温度データを含む空調データを取得させる。なお、この空調データは、現在の空気調和機1の運転設定と同等の運転設定が対応付けられているものであることが望ましい。
そして、シミュレーション実行部206は、取得された空調データに含まれる温度データにおける、推奨配置付近の温度分布の経時変化から空調空気の流れを特定する。例えば、暖房運転時であれば、推奨配置の周囲で温度が経時的に高まっていく方向を特定し、推奨配置から当該方向に空調空気が流れたと特定する。つまり、本例では、現在推奨配置に送風装置3を配置して送風させる場合の空調空気の流れは、過去に推奨配置に送風装置3を配置して送風させたときの空調空気の流れと同様であるとみなしている。
UI表示処理部207は、上記のようにして特定された空調空気の流れを示す温度分布情報をユーザに提示する。例えば、空調空気の流れを示す矢印を表示させてもよい。また、例えば、推奨配置付近の空調有効領域の外縁位置の変化を示す情報(動画像等であってもよい)を表示してもよい。
〔温度分布の予測〕
温度分布特定部203は、空調有効領域の特定と同様の処理により、所定の条件下で所定時間空気調和機1に空調を行わせる場合の被空調空間内の温度分布を特定(正確には予測)することができる。温度分布特定部203がこのような温度分布を特定するにあたり、空調データ取得部202は、過去に所定の条件下で所定時間空気調和機1に空調を行わせたときの温度データを含む空調データを取得する。ここで、所定の条件とは、現在の温度環境と同等の温度環境下で、現在の空気調和機1の運転設定と同等の運転設定で空調を行わせたという条件である。
このため、空調データ取得部202は、空気調和機1の運転設定と、現在の温度環境を特定し、サーバ4に保存されている空調データのうち、現在の温度環境と同等の温度環境データが対応付けられ、かつ、現在の空気調和機1の運転設定と同等の運転設定が対応付けられた空調データを取得する。
そして、温度分布特定部203は、上記のようにして取得された空調データに含まれる時系列の温度データの中から、空調開始から上記所定時間後の温度データを選択する。温度分布特定部203は、この温度データが示す温度分布を、上記所定の条件下で上記所定時間空気調和機1に空調を行わせる場合の被空調空間内の温度分布であると特定する(みなす)。
UI表示処理部207は、上記のようにして特定された温度分布を示す温度分布情報をユーザに提示する。例えば、被空調空間の温度データが、被空調空間の床面に置ける温度分布を示す情報であれば、床面の各領域を温度別に色分けした情報を温度分布情報として表示させてもよい。また、例えば、被空調空間の温度データが、被空調空間における3次元の温度分布を示すデータであれば、3次元の温度分布情報を表示させることもできる。
以上の処理により、空調開始から一定時間後における被空調空間内の温度分布をユーザに認識させることができる。例えば、10分後、20分後、30分後といった10分おきの温度分布をユーザに提示することも可能であり、これによりユーザは自身の所望する温度分布とするためにどの程度の時間がかかるかを認識することができる。
また、上記所定の条件には、ユーザの指定した位置が空調有効領域となっているという条件が含まれていてもよい。この場合、UI表示処理部207は、被空調空間を示す図6のような画像を表示させる等して、被空調空間においてユーザが空調有効領域としたい位置を入力させる。なお、この位置は1つであってもよいし、複数であってもよい。
そして、温度分布特定部203は、上述の所定の条件に加えて、ユーザの指定した位置が空調有効領域となっているという条件を満たす空調データを空調データ取得部202に取得させる。この後は、上述の例と同様にして温度分布特定部203が温度分布を特定し、UI表示処理部207がその温度分布を示す温度分布情報をユーザに提示する。これにより、ユーザの所望の位置を空調有効領域とした場合に、被空調空間の他の位置がどのような空調状態となるかをユーザに認識させることができる。
〔学習〕
学習部205による学習について説明する。学習部205は、被空調空間における空調の効き方を学習する。学習結果は、上述した送風装置3の推奨配置の特定に利用できる他、空気調和機1の運転設定等に関するユーザへのアドバイスの提示や、空気調和機1の動作予約運転の最適化等にも利用できる。
学習部205は、空調時または空調終了時にユーザによる空調状態の評価を示す評価情報を取得する。評価情報は、例えば被空調空間内を区分した複数の領域のそれぞれについて、空調が効き過ぎ、快適、空調が効いていない等のユーザの評価を示した情報であってもよい。このような評価情報は、例えば、UI表示処理部207に指示して被空調空間と上記複数の領域とを示す画像を表示させ、この画像に対するユーザ操作を受け付けることによって取得してもよい。また、この評価は点数で入力させてもよい。
そして、空気調和機制御部208は、評価情報の示す評価が向上するように、空気調和機1の風量、風向、および設定温度の少なくとも何れかを制御する。これにより、ユーザの体感を空気調和機1の動作制御に反映させて、そのユーザにとってより快適な空調空間を提供することが可能になる。
また、上記のような空気調和機1の動作制御が行われた後、学習部205は再度評価情報を取得してもよい。そして、この評価情報の示す評価が向上するように、空気調和機1の風量、風向、および設定温度の少なくとも何れかを制御することにより、ユーザにとってさらに快適な空調空間を提供することが可能になる。
なお、被空調空間内に複数のユーザが存在する場合、各ユーザは、自身の所持する端末装置2で評価情報を入力してもよい。この場合、空気調和機1が、それらの評価情報を取得して、各ユーザの評価が向上するように風量、風向、および設定温度の少なくとも何れかを制御してもよい。これにより、複数のユーザの快適性を向上させることができる。
また、学習部205は、所定の条件下において、空気調和機1の運転を開始させた後、被空調空間が所定の温度状態となるまでの推定時間を算出する。この算出には、過去に上記所定の条件下で空気調和機1に空調を行わせたときの温度データを用いる。つまり、本例では、現在または将来、所定の条件下で空調した場合に被空調空間が所定の温度状態となるまでの時間は、過去に上記所定の条件下で空調した場合に被空調空間が所定の温度状態となるまでの時間と同様であるとみなしている。
ここで、所定の条件とは、これから空調を行う温度環境と同等の温度環境下で、その空調における空気調和機1の運転設定と同等の運転設定で空調を行わせたという条件である。例えば、外気温が10℃の温度環境下で、設定温度を25℃として暖房運転を行わせる場合、温度環境および運転設定がこれらと同等である空調データに含まれる時系列の温度データを用いる。なお、このような空調データは空調データ取得部202に取得させることができる。
そして、学習部205は、取得させた空調データに含まれる時系列の温度データから、被空調空間が所定の温度状態となった時点を特定し、空調開始からその時点までの時間を、被空調空間が所定の温度状態となるまでの時間として算出する。なお、所定の温度状態は、ユーザの所望の温度状態であり、例えば被空調空間の主要部が空調有効領域となった状態である。
このようにして算出した時間は、例えばUI表示処理部207に表示させることによってユーザに提示してもよい。これにより、ユーザは、被空調空間を所定の温度状態としたい時刻よりも上記時間前に空気調和機1を運転開始させることができる。これにより、空気調和機1の運転時間を必要最小限に抑えつつ、上記時刻に被空調空間を所定の温度状態とすることができる。
また、このようにして算出した時間は、空気調和機1の動作予約運転の最適化に利用することもできる。例えば、空気調和機制御部208は、被空調空間を所定の温度状態としたい時刻を指定するユーザ入力を受け付け、ユーザが指定した当該時刻より、学習部205が算出した上記時間前に、空気調和機1に空調を開始させてもよい。
なお、ユーザが指定した時刻における温度環境は、現在の温度環境と異なっている可能性が高いため、学習部205はユーザが指定した時刻における温度環境に対応する空調データを取得させて上記時間を算出することが好ましい。ユーザが指定した時刻における温度環境は、例えば地域別の外気温や天気の予報情報を提供するサーバ等にアクセスして特定してもよい。これにより、例えば起床時に、その日の天気や外気温に応じた必要最小限の運転時間で被空調空間を快適な温度とすることも可能になる。
〔熱源の検出〕
被空調空間内に熱源がある状態における空気調和機1の処理について説明する。空気調和機1のデータ管理部104は、温度センサ13から被空調空間内の時系列の温度データを取得するので、これらの温度データから熱源の存在と、その位置を検出することができる。つまり、データ管理部104は、熱源検出部として機能し得る。なお、データ管理部104とは別の機能ブロックとして熱源検出部を設けてもよい。また、熱源の存在および位置の検出方法はこの例に限られず、例えばユーザが端末装置2に対して熱源の存在および位置を入力し、その入力内容の通知を受けることにより検出するようにしてもよい。
このようにして熱源の存在および位置が検出された場合、空調制御部102は、検出された熱源から放出される熱が、被空調空間内で拡散されるように、空気調和機1の風量および風向の少なくとも何れかを制御する。また、送風装置制御部103は、検出された熱源から放出される熱が、被空調空間内で拡散されるように、送風装置3の風量および風向の少なくとも何れかを制御する。
これにより、熱源付近に熱がこもることを防ぎ、被空調空間を均一に空調することが可能になる。なお、熱源から放出される熱を拡散させるためには、熱源またはその周囲に向けて送風すればよい。また、空気調和機1の制御と送風装置3の制御の何れか一方を行うようにしてもよい。例えば、空気調和機1からみて、熱源の位置が送風装置3よりも遠い場合には送風装置3の制御のみを行うようにしてもよい。
〔内部清浄化のための送風運転中の制御〕
空気調和機1の空調制御部102は、冷房、暖房、除湿等の運転終了時に当該空気調和機1の内部を乾燥させ、清浄化するための送風運転を行ってもよい。そして、送風装置3を利用した空調を行っていた場合には、空調制御部102は、この送風運転中においても、送風装置3の位置に応じた方向への送風を継続してもよい。これにより、空気調和機の内部を清浄化するために送風される空気を、送風装置3を介して被空調空間の空調に利用することができる。
〔実施形態2〕
上記実施形態で説明した端末装置2の機能の一部を空気調和機1やサーバ4に持たせてもよい。例えば、図1のブロック図に示した温度分布特定部203、配置推奨部204、学習部205、およびシミュレーション実行部206の少なくとも一部を空気調和機1の制御部10、あるいはサーバ4の備える制御部に含めてもよい。また、サーバ4の他にもサーバを設け、そのサーバに上記各部の少なくとも一部を設けてもよい。
〔実施形態3:ソフトウェアによる実現例〕
空気調和機1の制御ブロックおよび端末装置2の制御ブロック(制御部10、20)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、空気調和機1および端末装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機は、被空調空間の空調を行う空気調和機であって、上記被空調空間に設置された、被空調空間内の空気を流動させる送風装置の位置を特定する位置特定部と、被空調空間内に送風する空気の一部を、上記位置特定部が特定した位置に応じた所定の方向に送風することにより、当該送風した空気を上記送風装置の送風で流動させる空調制御部と、を備えている構成である。
上記の構成によれば、送風装置の位置を特定して、被空調空間内に送風する空気の一部を、特定した上記位置に応じた所定の方向に送風するので、送風装置を空調に有効活用することができる。また、送風装置の位置に応じた送風には、被空調空間内に送風する空気の一部が用いられるため、空調空気の送風方向が送風装置周辺に偏ることがない。
本発明の態様2に係る空気調和機は、上記態様1において、上記位置特定部が特定した位置を含む所定範囲で周期的に風向を変えながら送風を行う構成としてもよい。
上記の構成によれば、特定した位置を含む所定範囲で周期的に風向を変えながら送風を行い、この位置には送風装置が配置されている。よって、空気調和機の位置を中心として、被空調空間を均一に空調することが可能になる。
本発明の態様3に係る空気調和機は、上記態様1または2において、上記被空調空間に送風する空気の主送風方向と上記所定の方向とは、少なくとも垂直方向において異なる方向である構成としてもよい。
上記の構成によれば、被空調空間に送風する空気の主送風方向と上記所定の方向とは、少なくとも垂直方向において異なる方向であるから、被空調空間を垂直方向に均一に空調することが可能になる。
本発明の態様4に係る空気調和機は、上記態様1から3の何れか1項において、上記被空調空間内の熱源を検出する熱源検出部と、上記空調制御部は、上記熱源検出部が検出した熱源から放出される熱が、上記被空調空間内で拡散されるように、上記送風装置の風量および風向の少なくとも何れかを制御する送風装置制御部と、を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、被空調空間内の熱源を検出し、熱源から放出される熱が被空調空間内で拡散されるように、送風装置の風量および風向の少なくとも何れかを制御する。よって、熱源付近に熱がこもることを防ぎ、被空調空間を均一に空調することが可能になる。
本発明の態様5に係る空気調和機は、上記態様1から4の何れか1項において、上記空調制御部は、上記空気調和機の運転終了時に当該空気調和機の内部を清浄化するための送風運転を行い、該送風運転中にも上記所定の方向への送風を継続する構成としてもよい。
上記の構成によれば、空気調和機の内部を清浄化するための送風運転中にも所定の方向への送風を継続するので、空気調和機の内部を清浄化するために送風される空気を被空調空間の空調に利用することができる。
本発明の態様6に係る端末装置は、被空調空間を空調する空気調和機に関する情報をユーザに提示する端末装置であって、上記被空調空間における送風装置の推奨配置を決定する配置推奨部と、上記推奨配置を示す配置情報を上記ユーザに提示する情報提示部と、を備え、上記推奨配置は、当該推奨配置に上記送風装置を配置した場合に、該送風装置の送風によって、上記被空調空間のうち空調の設定温度に応じた所定の温度範囲となる空調有効領域が広がる配置である構成である。
上記の構成によれば、空調有効領域を広げることのできる、送風装置の推奨配置を示す配置情報をユーザに提示するので、ユーザに送風装置を有効活用させることができる。
本発明の態様7に係る端末装置は、上記態様6において、過去に、所定の条件下で上記空気調和機に空調を行わせたときの被空調空間内の温度分布を示す温度データを用いて、現在、上記所定の条件下で上記空気調和機に空調を行わせた場合の上記空調有効領域を特定する有効領域特定部と、を備え、上記配置推奨部は、上記有効領域特定部が特定した空調有効領域の外縁部を、上記所定の条件下で上記空気調和機に空調を行わせるときの推奨配置と決定する構成としてもよい。
上記の構成によれば、空調有効領域を特定し、その外縁部を推奨配置と決定する。この推奨配置に送風装置を配置し、空調有効領域の外側に向けて送風すれば、空調有効領域内の空調空気がその範囲外に広がるので、効率よく空調有効領域を広げることができる。
本発明の態様8に係る端末装置は、上記態様6または7において、過去に、上記推奨配置に上記送風装置を配置して送風させながら、上記空気調和機に空調を行わせたときの被空調空間内の温度分布を示す温度データを用いて、現在、上記推奨配置に上記送風装置を配置して送風させながら上記空気調和機に空調を行わせた場合の空調空気の流れを特定するシミュレーション実行部を備え、上記情報提示部は、上記シミュレーション実行部が特定した空調空気の流れを示す気流情報を上記ユーザに提示する、構成としてもよい。
上記の構成によれば、推奨配置に送風装置を配置して送風させながら空気調和機に空調を行わせた場合の空調空気の流れを示す気流情報をユーザに提示する。よって、推奨配置に送風装置を配置するか否かを決定する判断材料をユーザに与えることができる。
本発明の態様9に係る端末装置は、上記態様6から8の何れか1項において、過去に、所定の条件下で所定時間上記空気調和機に空調を行わせたときの上記被空調空間の温度分布を示す温度データを用いて、現在、上記所定の条件下で上記所定時間上記空気調和機に空調を行わせる場合の被空調空間内の温度分布を特定する温度分布特定部を備え、上記情報提示部は、上記温度分布特定部が特定した温度分布を示す温度分布情報を上記ユーザに提示する、構成としてもよい。
上記の構成によれば、所定の条件下で所定時間空気調和機に空調を行わせる場合の被空調空間内の温度分布を示す温度分布情報をユーザに提示する。よって、空気調和機をどのような運転設定で運転させるかを決定する判断材料をユーザに与えることができる。
本発明の態様10に係る端末装置は、上記態様9において、上記温度分布特定部は、上記ユーザが上記空調有効領域とすべき位置として指定した位置が空調有効領域となっている温度データを用いて上記温度分布を特定する、構成としてもよい。
上記の構成によれば、ユーザが空調有効領域とすべき位置として指定した位置が空調有効領域となっている温度データを用いて温度分布を特定する。また、この温度分布を示す温度分布情報はユーザに提示される。よって、ユーザが指定した位置を空調有効領域とした場合に、被空調空間の他の位置がどのような温度分布となるかをユーザに認識させることができる。
本発明の態様11に係る端末装置は、上記態様6から10の何れか1項において、上記被空調空間内の各位置について、ユーザによる空調状態の評価を示す評価情報を取得する評価取得部と、上記評価情報の示す評価が向上するように、上記空気調和機の風量、風向、および設定温度の少なくとも何れかを制御する空気調和機制御部と、を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、被空調空間内の各位置について、ユーザによる空調状態の評価を示す評価情報を取得し、その評価情報の示す評価が向上するように、空気調和機の風量、風向、および設定温度の少なくとも何れかを制御する。これにより、ユーザの体感を空気調和機の動作制御に反映させて、そのユーザにとってより快適な空調空間を提供することが可能になる。
本発明の態様12に係る端末装置は、上記態様6から11の何れか1項において、過去に、所定の条件下で上記空気調和機に空調を行わせたときの上記被空調空間の温度分布を示す温度データを用いて、上記所定の条件下において、上記空気調和機の運転を開始させた後、上記被空調空間が所定の温度状態となるまでの推定時間を算出する時間算出部を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、所定の条件下において、空気調和機の運転を開始させた後、被空調空間が所定の温度状態となるまでの推定時間を算出する。これにより、空気調和機の運転時間を必要最小限に抑えつつ、被空調空間を所定の温度状態とすることが可能になる。例えば、算出した推定時間をユーザに提示することにより、ユーザは被空調空間を所定の温度状態としたい時刻よりも上記推定時間前に空気調和機を運転開始させることができる。これにより、空気調和機の運転時間を必要最小限に抑えつつ、上記時刻に被空調空間を所定の温度状態とすることができる。
本発明の態様13に係る端末装置は、上記態様12において、ユーザが指定した時間より、上記時間算出部が算出した上記推定時間前に、上記空気調和機に空調を開始させる空気調和機制御部を備えている構成としてもよい。
上記の構成によれば、空気調和機の運転時間を必要最小限に抑えつつ、ユーザが指定した時間に、被空調空間を所定の温度状態とすることが可能になる。
本発明の態様14に係る空気調和機の制御方法は、被空調空間の空調を行う空気調和機の制御方法であって、上記被空調空間に設置された、被空調空間内の空気を流動させる送風装置の位置を特定する位置特定ステップと、被空調空間内に送風する空気の一部を、上記位置特定ステップで特定した位置に応じた所定の方向に送風することにより、当該送風した空気を上記送風装置の送風で流動させる空調制御ステップと、を含む。該制御方法によれば、上記態様1と同様の作用効果を奏する。
本発明の態様15に係る端末装置の制御方法は、被空調空間を空調する空気調和機に関する情報をユーザに提示する端末装置の制御方法であって、上記被空調空間における送風装置の推奨配置を決定する配置決定ステップと、上記推奨配置を示す配置情報を上記ユーザに提示する情報提示ステップと、を含み、上記推奨配置は、当該推奨配置に上記送風装置を配置した場合に、該送風装置の送風によって、上記被空調空間のうち空調の設定温度に応じた所定の温度範囲となる空調有効領域が広がる配置である。該制御方法によれば、上記態様6と同様の作用効果を奏する。
本発明の各態様に係る空気調和機および端末装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記空気調和機または上記端末装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記空気調和機または上記端末装置をコンピュータにて実現させる空気調和機の制御プログラム、端末装置の制御プログラム、およびそれらの何れかを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。