JP4029250B2 - 給紙方法及び記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単票紙とロール紙を同一の搬送路にて搬送する給紙系を備えたブリンタ等の記録装置に係り、特にパネル給紙により用紙の頭出し完了後において、ユーザの指示により単票紙またはロール紙に合った取扱いを対話形式にした給紙方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録装置としてのプリンタの給紙装置は単票紙を扱うものが一般的であり、複数枚の単票紙をホッパに積層させておき、プリンタの印字動作と連動して一番上に位置する単票紙を一枚ずつ印字ヘッドが在る印字部へ自動搬送する単票紙用のオートシートフィーダが良く知られている。
一方、最近では、通称「ロール紙」と呼ばれている、巻芯に印刷紙が巻回された形態の連続紙を用紙として使用することが増えている。ロール紙を使用する場合には、支持軸にロール紙の貫通孔が貫通されて使用されるため、ロール紙を支持する構造は単票紙を支持する構造とは基本的に異なる。そこで従来のプリンタにおいては、単票紙用とロール紙用とは、殆どが別々に作られている。共通のプリンタで単票紙とロール紙の両方を使えるものも提供されているが、その基本構造は単票紙用のシートフィーダとロール紙用のそれとは、別々にプリンタ本体に取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のように、単票紙用のシートフィーダとロール紙ホルダとを、それぞれ別々にプリンタ本体に取り付ける構造では、例えば単票紙用のシートフィーダの後方にロール紙ホルダを取り付けることになる。そのため、前側に位置するシートフィーダの上端部を越えてロール紙の送給を可能となるように当該ロール紙を保持するためには、当該ロール紙ホルダをどうしても大型化せざるを得ず、その結果プリンタ全体としても大型化する。
【0004】
また、従来のパネル給排紙ボタンを使ってロール紙を前進させて装置外に排出すると、プリンタは単票紙とロール紙の判断できない為、いつまでも排紙を続けてしまう。この対策として、給紙ローラと搬送ローラの間で給送される用紙を検知し、この紙検知が有りから無しになる信号変化を所定時間経っても確認できないとき停止処理が行われているが、それまでに多くの白紙が出てしまう。また、ロール紙印字終了後に吐き出したいときはロール紙ホルダの溝を利用してロール紙をカットする。その後給排紙ボタンを押して排紙すると、記録部からロール紙ホルダまでの間の用紙が無駄紙となる。
【0005】
更に、ロール紙モードでは、ロール紙を無駄なく排出する工程、手切りの為の切り取り線の印刷する工程、引続きロール紙に印刷する為の頭出し工程、次のロール紙への印刷を可能にする為に待機させる工程、印刷されたロール紙をカットする位置へ前進させる工程など多くの処理が必要となる。これらの処理を正確かつ容易にし、使い勝手を向上させる為にソフト面での改善が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の搬送路を利用して給送し、パネル給紙によりロール紙を給送して頭出し完了後にロール紙に対し各種処理を対話形式で実行させ、使い勝手を向上させた給紙方法、およびその給紙方法により記録部に用紙を給送し記録を行う記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の給紙ローラと搬送ローラにて給送する給紙方法において、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し排出処理を行うメンテナンスモードと、印刷終了または印刷中止後のロール紙に対し次の印刷の為の処理を行うロール紙印刷中断モードとを備え、n秒以上のボタン操作により一方のモード、n秒未満のボタン操作により他方のモードへ切り替えられることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、パネル給紙モードにおける単票紙またはロール紙の排出と、ロール紙モードの印刷終了または印刷中止後の各種処理への切り替えをボタン操作のn秒で決定される為、ユーザが印刷ジョブを確認しながらボタン操作にて指示し次の処理へ移ることができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、メンテナンスモードは、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後のロール紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)であり、ロール紙印刷中断モードは印刷後の用紙に対し切断個所を明示する印刷を施した後、切り離し位置へ前進させる工程(B)と、次の印刷へ待機させる工程(C)と、頭出し工程(D)とから成り、ボタン操作がn秒以上のとき工程(A)、n秒未満のとき工程(B)(C)および(D)のそれぞれへ切り替えられることを特徴とする。
請求項2の発明によれば、ロール紙モードのとき、工程(A)がn秒以上のボタン操作で統一されていることにより誤操作を防止でき、かつロール紙の排出処理を他の処理より長いボタン操作時間としていることでそれを指示するときの心構えがしっかりでき、逆にロール紙印刷中断モードの各工程への指示が短いことと相俟って的確に印刷ジョブを進めることができるようになる。仮に、ロール紙印刷中断モードのある工程で再セットが必要になった場合でも工程(A)を実施することで容易に対応できる。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、頭出し工程(D)の後に、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)と、切り離し位置へ前進させる工程(E)とを設け、ボタン操作がn秒以上のとき前記工程(A)、n秒未満のとき前記工程(E)へ切り替えられることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、印刷されたロール紙を切断する前にうっかり3秒未満のボタン操作をしてしまった場合には、工程(D)により頭出し位置まで戻されてしまう。ここで、3秒未満のボタン操作により工程(E)を実行すると、ロール紙に印刷された切り取り線で切断可能な位置へ戻され、先の誤操作がバックアップされる。引続きロール紙へ印刷する用意がある場合においては、工程(E)に替えて工程(A)を実施すると再セットをしなければならなくなり、不便であるが、工程(E)を持たせることにより前述の不便さは解消される。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、各ボタン操作がn秒以上とn秒未満で構成される対話形式であることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、ユーザが確認しながら必要な処理を指示できるので、印刷ジョブに無駄を少なくすることができる。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの発明において、各ボタン操作のn秒が3秒に設定されていることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、3秒間のボタン操作は感覚的に長く感じるので、1回のジョブで使用頻度が少ない工程の指示に対応させることにより使い勝手が向上される。
【0012】
請求項6の発明は、単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の給紙ローラと搬送ローラにて給送する給紙方法において、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)と、印刷後のロール紙に対し切断個所を明示する印刷を施した後、切り離し位置へ前進させる工程(B)と、次の印刷へ待機させる工程(C)と、頭出し工程(D)と、を有し、ボタン操作がn秒以上のとき工程(A)、n秒未満のとき工程(A)(B)および(C)のそれぞれへ切り替えられるよう構成され、印字終了または印字中止の後に、
(1)工程(A)或いは工程(B)または工程(C)
(2)工程(A)或いは工程(C)または工程(D)
(3)工程(A)または工程(C)を(1)〜(3)の順序で前記各工程を決定することを特徴とする。
請求項6の発明によれば、ロール紙モードのとき、工程(A)がn秒以上のボタン操作で統一されていることにより誤操作を防止でき、かつロール紙の排出処理を他の処理より長いボタン操作時間としていることでそれを指示するときの心構えがしっかりでき、逆にロール紙印刷中断モードの各工程への指示が短いことと相俟って的確に印刷ジョブを進めることができるようになる。仮に、ロール紙印刷中断モードのある工程で再セットが必要になった場合でも工程(A)を実施することで容易に対応できる。また、上記(1)(2)(3)の順序で印刷ジョブが進行するので、この操作に精通するとロール紙モードの作業性が良くなり、更に無駄紙を少なくすることができるようになる。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、頭出し工程(D)の後に、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)と、切り離し位置へ前進させる工程(E)とを設け、前記(2)で工程(D)が決定された場合、更にボタン操作がn秒以上のとき前記工程(A)、n秒未満のとき前記工程(E)へ切り替えられることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、印刷されたロール紙を切断する前にうっかり3秒未満のボタン操作をしてしまった場合には、工程(D)により頭出し位置まで戻されてしまう。ここで、3秒未満のボタン操作により工程(E)を実行すると、ロール紙に印刷された切り取り線で切断可能な位置へ戻され、先の誤操作がバックアップされる。
【0014】
請求項8の発明に係る記録装置は、請求項1〜7のいずれかに記載の給紙方法により給送された、単票紙または該単票紙の積載されるホッパを利用してセットされ、該ホッパに設けられたエッジガイドにより給紙方向に直角な方向の移動が規制されたロール紙に対して頭出しをした後に記録部へ給送して記録を行うことを特徴する。
請求項8の発明によれば、単票紙のホッパを利用してロール紙をセットすることにより、コンパクトで使い勝手が良くなると共に、ホッパのエッジガイドがロール紙のガイドになるので、ロール紙の先端が給紙方向に対して斜めに切れられていてもロール紙を給紙方向に正しく頭出しができる。また、パネル給紙モードにおける単票紙またはロール紙の排出と、ロール紙モードの印刷終了または印刷中止後の各種処理への切り替えをボタン操作のn秒で決定される為、ユーザが印刷ジョブを確認しながらボタン操作にて指示し次の処理へ移ることができる。
【0015】
請求項9の発明は、請求項8の発明において、給紙方法を決定するボタンは、ユーザが操作するパネル上に設けられたパネル給紙ボタンであることを特徴とする。
請求項9の発明によれば、既存のパネル給紙ボタンを利用することで、追加部品が無く、しかもソフトの変更で新たな機能が追加され、使い勝手が良くなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本願発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る記録装置における単票紙の給紙系の模式図、図2は本発明に係る記録装置におけるロール紙の給紙系の模式図である。本実施例において、単票紙、ロール紙の共通する給紙制御の説明においては、単に「用紙P」を使用する。
先ず、図1に基づいて、単票紙の給紙系の概略を説明する。給紙装置ASFは、複数枚積層された単票紙PSを1枚づつ給送する機能を有し、主な構成として複数枚の単票紙PSを積層してセットするホッパ1と、ホッパ1の最上位の単票紙PSを1枚づつピックアップして給送する給紙ローラ2と、最上位の単票紙PSと共に重送される単票紙PSを分離する分離パッド3とを備えている。
【0017】
給紙ローラ2は、単票紙PSと接触する円弧部2aと単票紙PSから離間する直線部2bとを有する側視D型の形状になっており、少なくともその表面は、例えばゴム等の高摩擦材で構成されている。給紙ローラ2の円弧部2aと分離パッド3との当接状態で1回転する間に1枚の単票紙PSが用紙ガイド8を通して搬送ローラ4へ給送される。
搬送ローラ4と従動ローラ5の協働により、単票紙PSのスキュー取りが行われた後、一定長の頭出し動作を行ってから記録タイミングに合わせて単票紙PSを記録部を構成する記録ヘッド6の領域に送り、記録を行う。記録された単票紙PSは、排出ローラ7によって排出される。
【0018】
次に、ロール紙の給紙系を図2により説明する。ホッパ1から単票紙PSを外し、ロール紙PRをセットする。ロール紙PRを巻き解いてホッパ1の単票紙積載部に載せ、その先端を単票紙PSの先端と同じになるよう位置させる。給紙が開始されるとホッパ1がホッパアップし、ロール紙PRの先端部分を給紙ローラ2がピックアップし、給送する。そしてスキュー取りしないで頭出しを行ってから記録タイミングに合わせてロール紙PRを記録ヘッド6の領域に送り、記録を行う。記録されたロール紙PRは、排出ローラ7によって排出され、装置に組み込まれていないカッタなどの切断手段により切断する。
【0019】
図3は本発明に係る給紙装置の実施例の分解斜視図、図4は図3に示す給紙装置の正面図である。
図3に示した如く、給紙装置ASFの主構成要素の一つとなる単票紙用のシートフィーダ10が、プリンタ本体(二点鎖線の仮想線で示す)の後部上面に斜め上方に傾いて取り付けられている。シートフィーダ10は、公知の構造のものであり、以下その構造の概略を説明する。
【0020】
シートフィーダ10は、下端基部がネジ9によってプリンタ本体に固定されている。シートフィーダ10は、フレーム11の左右に位置する側壁12,13と、該側壁12,13の間に設けられるホッパ1とを備え、このホッパ1部分に複数枚の単票紙を積載するようになっている。ホッパ1は、図示しないホッパバネおよびカム機構を介して下端が揺動し、給紙ローラ2に向かって接離するように構成されている。
【0021】
ホッパ1には、単票紙の幅方向一端側の位置を規制するエッジガイド14が該ホッパ1の面に平行で左右方向に移動可能に取り付けられている。前記側壁12,13のうち一方の側壁13(図3の手前側の側壁)は、エッジガイド14と対をなして単票紙の幅方向の他端側の位置を規制するエッジガイドの機能を兼備している。すなわち、位置固定されている側壁13の内面(エッジガイド14と対向する面)と、エッジガイド14とが対をなして単票紙の幅方向を両サイドから規制することにより、単票紙が真っ直ぐにプリンタの印刷(記録)部(図3及び図4に示す記録ヘッド10)に搬送されることを補助する機能を有している。
【0022】
図中の符号2は、給紙ローラを示し(給紙ローラ軸は図示を省略されている)、この給紙ローラ2と分離パッド3によりホッパ1上に積層された単票紙が一枚ずつ印刷部へ送られるようになっている。またシートフィーダ10の上端には、図示を省略したぺ一パサポートを着脱自在に装着するための着脱受け部15が設けられている。
【0023】
次に、シートフィーダ10に対して着脱自在なロール紙ホルダ20について説明する。図3に示す如く、ロール紙ホルダ20は、中央に位置するホルダ本体21と、該ホルダ本体21の左右両側に形成された一対のアーム22,23とを備えて成り、ホルダ本体21の中央には上記シートフィーダ10の着脱受け部15に対して装着可能なホルダ側の着脱係合部24が突設形成されている。なお、本実施例では、シートフィーダ10側に雌型の着脱受け部15が形成され、ロール紙ホルダ20側に雄型の着脱係合部24が形成されているが、これらの関係は逆でも良く、また2つの部材を動かないように着脱可能に接続できる構造であれば、従来公知の種有の着脱構造を採用することもできる。
【0024】
2つのアーム22,23の間には、ロール紙セット領域30が形成されており、また各アーム22,23の自由端側の内側には受け部25が形成されている。両受け部25には、ロール支持軸26の両端に形成された回転軸27が収まるようになっている。このようにしてロール支持軸26は、各受け部25に対して回転可能に且つ横方向には動きを規制された状態で保持される。
【0025】
ロール紙ホルダ20には、ロール紙PRを切断するためのカッタの走査受け溝28が形成されている。この走査受け溝28は、カッタ(図示せず)でロール紙PRを幅方向に切断するときのガイド溝となるもので、このガイド溝に沿って、操作者がカッタを移動(走査)させれば、その位置でロール紙PRをきれいに切断できるようになっている。
【0026】
本実施例の作用について説明する。単票紙PSを使用する場合には、ロール紙ホルダ20をシートフィーダ10に取り付ける必要はなく、シートフィーダ10のホッパ1上に複数枚の単票紙PSを積載して一枚ずつプリンタの印刷部へ供給する。
ロール紙PRを使用する場合には、ロール支持軸26をロール紙PRに非拘束状態(ロール支持軸26に対してロール紙PRが自由回転可能な状態)で差込み、ロール支持軸26の両回転軸27をロール紙ホルダ20の受け部25に入れ込むようにして、ロール紙PRをロール紙ホルダ20にセットする。そして、ロール紙ホルダ20の着脱係合部24をシートフィーダ10の着脱受け部15に嵌め込み、ロール紙ホルダ20をシートフィーダ10にセットする。
【0027】
ロール紙ホルダ20からロール紙PRを巻き解し、シートフィーダ10のホッパ1に沿わせてロール紙PRの端部を該シートフィーダ10の用紙搬送路にセットする。このときロール紙PRの幅に合わせてエッジガイド14を移動し、ロール紙PRがホッパ1内で横方向にぶれないように規制する。即ち、エッジガイド14は、単票紙PSとロール紙PRの両方のエッジをガイドすることができるようになっている。よって、繰り出されたロール紙PRの幅方向位置は規制されており、印刷中、ロール紙PRから巻き解された紙は、真っ直ぐ印刷部に供給されるようになる。
【0028】
ロール紙PRからの紙の巻き解しは、搬送ローラ4の送り力によって行われるが、ロール紙PRはロール紙ホルダ20に非拘束状態で保持されているため、一旦搬送ローラ4によって引っ張られたロール紙PRは、慣性力により余分に回転する。そのため紙が余分に巻き解されて弛みを形成する。これにより、ロール紙PRが印刷部へ送られるときにバックテンションが掛からず、紙送り精度の向上に貢献することができる。
【0029】
本実施例は、給紙ローラ2と搬送ローラ4とを独立したモータで駆動するよう構成されており、各モータは選択された給紙シーケンスに従って制御される。図5は給紙制御ブロックを示す。
制御部40は、記録装置の主制御部等(図示せず)のプリントドライバから送られて来るプリント情報を受信し、このプリント情報の判断結果から予め用意された複数の給紙シーケンスの中から選択し、給紙指令により選択された給紙シーケンスを実行し、用紙検知器PEからの紙検知(用紙先端検知信号,用紙後端検知信号)に基づいて給紙ローラ駆動部41および搬送ローラ駆動部42を制御する。
【0030】
プリント情報は、普通紙、コート紙、OHP用シート、光沢紙、光沢フィルム、葉書等のカットシート、封筒などの用紙の種類に関する情報(紙種情報)、解像度に関する情報(解像度情報)、給紙速度、単票紙、ロール紙、パネル給紙などのモード選択情報などである。パネル給紙とは、ユーザがパネル上に設けられたパネル給紙ボタンを操作することにより単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給紙するモードである。このパネル給紙モードでは1つの印刷ジョブが終了すると次の印刷ジョブを行う際に再度パネル給紙ボタンを操作する。
【0031】
給紙シーケンスは、給紙ローラ2および搬送ローラ4を通常の給紙速度で回転させる動作、給紙ローラ2を通常の給紙速度より速い給紙速度(高速モード)で回転させる動作、給紙ローラ2および搬送ローラ4を通常の給紙速度で正転又は逆転させる動作などの組み合わせた動作により構成される。
【0032】
また、制御部40は、パネル給紙後の用紙に対し前進させて装置外に排出させる動作を実行する第一の用紙除去ルーチン及びパネル給紙後の用紙に対し後進による排出動作を実行する第二の用紙除去ルーチンを内蔵し、頭出し完了後においてユーザの指示により前記用紙除去ルーチンを実行する。ユーザの指示をパネル上に設けられたボタン45の操作で行う場合は、これをボタン操作認識部40Aで認識し、実行する用紙除去ルーチンを決定し実行する。ボタン操作認識部40Aは、既存のボタン(パネル給紙ボタン,パネル給排紙ボタン)の操作時間を認識したり、或いは単票紙とロール紙兼用用紙除去ボタンの操作時間を認識したりする。
【0033】
次に、本発明に係る給紙方法の具体例を説明する。図6はパネル給紙ボタンの操作時間を判断して各種処理を決定し実行させる給紙制御フローを示し、パネル給紙で頭出し完了後の処理である。図7は図6のステップ100の「あり▲2▼」に続くフロー図である。
先ず、図6および図7における各種のルーチンについて説明する。
工程(F)は、搬送ローラ4を正転させ、パネル給紙後の用紙に対し前進による排出動作を実行し、そのとき用紙後端を紙検知器で検知して、単票紙であるかロール紙であるかを判断し、単票紙の場合には搬送ローラ4の正転を継続し装置外に排出する、一方ロール紙の場合には当該ルーチンを抜けて搬送ローラ4を停止させる。単票紙/ロール紙の判断は、搬送ローラ4の所定ステップ数の正転においても紙有り検知のときはロール紙と判断し、紙無し検知のときは単票紙と判断する。
【0034】
工程(A)は、パネル給紙後の用紙に対し後進による排出動作を実行する。図8は工程(A)の具体例を示すフロー図である。工程(A)が実行されると、搬送ローラ4を逆転させる(ステップ201)。この動作では用紙が紙検知器を切った紙有り状態までしか後進させることができないので、ユーザに用紙を取り除いて貰う為に紙ジャムのエラー表示を行う(ステップ202)。用紙が取り除かれると、紙検知で紙無しが判断され(ステップ203)、ロール紙モードおよびパネル給紙モードを解除し(ステップ204)、更に紙ジャムのエラー表示を解除する(ステップ205)。ステップ203において、紙有りが判断されるとパネル給紙ボタンを押す(この操作は時間に関係ない)(ステップ206)。このボタン操作により再び搬送ローラ4が逆転し(ステップ201)、一定長の用紙を後進させる。用紙が取り除けるようになるまで前記操作を繰り返す。
【0035】
この工程(A)は、ロール紙の補給、ロール紙サイズの変更に伴うロール紙交換、ロール紙から単票紙への変更、インクの補給などの保守を行う為に実施されるので、本発明では“メンテナンスモード”と呼ぶ。
【0036】
工程(B)は、ロール紙に切り取り線を印刷し、切断可能な位置まで給送し停止動作を実行する。図9は工程(B)の具体例を示すフロー図である。工程(B)が実行されると、搬送ローラ4を正転させ(ステップ301)、No.1(ブラック)ノズルで切り取り線を印刷する(ステップ302)。続いて、ロール紙を切断できる位置まで前進させる為、搬送ローラ4の正転駆動ステップ数mを設定すると共に、カウンタにNte=0をセットし、搬送ローラ4を正転させる(ステップ304)。その後紙検知を判断し(ステップ305)、紙有りの場合はカウンタをインクリメント(Nte=Nte+1)し(ステップ308)、カウンタ値が駆動ステップ数mに達しているかを判断し(ステップ309)、切断できる位置に達していれば停止させる。一方達していければ搬送ローラ4の正転を継続させる。ステップ数mに到達する前にロール紙を使い切ってしまい紙切れが起こると紙無しが検知され(ステップ305)、ロール紙モードおよびパネル給紙モードを解除し(ステップ306)、更に搬送ローラ4を正転させて装置外に用紙を排出する(ステップ307)。
【0037】
工程(D)は、次の印刷の為の頭出し動作を実行する。図10は工程(D)の具体例を示すフロー図である。工程(D)が実行されると、搬送ローラ4を逆転させる(ステップ401)。搬送ローラ4を正転により頭出しを完了させ、続く印刷動作に入る際に搬送ローラ4の正転時のギャ系のバックラッシュを無くす為、所定ステップ数を逆転させ(ステップ402)、その後正転させて頭出しを完了させる(ステップ403)。
【0038】
工程(E)は、印刷されたロール紙を切断可能な位置へ前進させる動作を実行する。図11は工程(E)を示すフロー図である。工程(E)が実行されると、搬送ローラ4を所定ステップ数正転させ、停止させる(ステップ500)。
【0039】
上記の工程(B),工程(D),工程(E)および後述の工程(C)はロール紙を引続き印刷させる状態にする為に必要な処理なので、本発明では“ロール紙中印刷中断モード”と呼ぶ。
【0040】
図6および図7に戻って、対話による給紙制御を説明する。パネル給紙ボタンの操作時間はON操作が3秒以上であるか否かで判断する。更に、パネル給紙モードを選択したときは、対話方式を採用しているので、各種ルーチンを実行する前にはパネル給紙ボタンが操作されないと当該ルーチンによる処理が待機状態となる。その為、ユーザには次に実行するルーチンの内容とボタン操作時間の関係を知らせると共に、パネル給紙ボタンの操作を促す為の警告を出す事が望ましい。
【0041】
パネル給紙ボタンが操作されると、選択したモード情報(単票紙モード,ロール紙モード)に基づいて印字信号の有無が判断される(ステップ100)。印字信号有り▲1▼の単票紙の場合は、現在の紙位置(頭出し位置)を原点として通常印刷を開始させる(ステップ101)。ロール紙モード/単票紙モードが不明な為に印字信号無しの場合は、パネル給紙ボタンをON操作の時間を判断する(ステップ102)。3秒未満の場合は、工程(F)を実行し、ロール紙以外の用紙は装置外に排出するが、ロール紙のときは搬送ローラ4を停止させ、当該ルーチンを抜け(ステップ103)、工程(A)を実行し、ロール紙を後進させて排出する(ステップ104)。3秒以上の場合は、工程(A)を実行し、用紙を後進させて排出する(ステップ104)。
【0042】
次にロール紙モードにおける各種処理について説明する。
ステップ100において、印字信号あり▲2▼でロール紙モードの場合は、搬送ローラ4を正転させ(ステップ105)、現在の紙位置(頭出し位置)を原点に設定し、プリントを開始する(ステップ106)。このプリント前の給紙ローラ4の正転は、通常ロール紙はカールしている為、単票紙と同じ頭出し位置から印刷を開始するとヘッド擦れを発生し用紙に汚れが付着する。これを防止する為、ステップ105において、ロール紙と判断した場合には搬送ローラ4を所定ステップ数正転させ、ロール紙の先端が排出ローラにニップさせる。これによりヘッドが用紙に触れ、擦れるのを防ぐ事ができる。
プリントは、ロール紙モードかつパネル給紙以外で給紙されたときの開始位置(”Start ON”)からも開始可能である。その後、印字終了または印字中止が判断されると(ステップ108)、次の処理へステップさせる為、パネル給紙ボタンの操作が判断される(ステップ109)。
【0043】
ボタン操作が無い場合は、印字信号の有無を判断し(ステップ110)、印字信号が有ればステップ107に移り、搬送ローラ4を正転させ(ステップ111)、印刷を継続させる。印字信号が無い場合には、次の印刷を待機させる。この印刷待機状態にする処理は、以下「工程(C)」という。
3秒以上のボタン操作の場合には、工程(A)を実行し、用紙を後進させて排出する(ステップ112)。3秒未満のボタン操作の場合には、工程(B)を実行し、ロール紙に切り取り線の印刷と切断可能な位置への給送を行う(ステップ113)。
【0044】
続いて、次の処理へステップさせる為、パネル給紙ボタンの操作時間を判断する(ステップ114)。3秒以上のボタン操作の場合、即ち、印刷されたロール紙の切断後の処理として、工程(A)を実行する(ステップ112)。3秒未満のボタン操作の場合には、工程(D)により頭出しをおこなって引続き印刷が可能な状態にする(ステップ115)。
その後、次の処理へステップさせる為、パネル給紙ボタンの操作時間を判断する(ステップ116)。先ず印字信号の有無を判断し(ステップ117)、印字信号が有ればステップ107に移り、搬送ローラ4を正転させ(ステップ118)、印刷を継続させる。印字信号が無い場合には工程(C)を実行する。
【0045】
ステップ113の終了後、印刷されたロール紙を切断する前にうっかり3秒未満のボタン操作をしてしまった場合には、工程(D)が実行され、頭出し位置まで戻されてしまう。このような誤操作の対策として、工程(E)が設けられている。ここで、3秒未満のボタン操作により工程(E)を実行すると、ロール紙に印刷された切り取り線で切断可能な位置へ戻される(ステップ119)。3秒以上のボタン操作の場合には、工程(A)によりロール紙を排出する(ステップ112)。
工程(E)により所定位置へ吐き出したロール紙を切断した後、ボタン操作を3秒以上すると工程(A)によりロール紙を排出する。またボタン操作が3秒未満の場合には工程(D)により頭出しを行う(ステップ120)。
【0046】
【発明の効果】
本発明の給紙方法によれば、パネル給紙モードにおける単票紙またはロール紙の排出と、ロール紙モードの印刷終了または印刷中止後の各種処理への切り替えをボタン操作のn秒で決定される為、ユーザが印刷ジョブを確認しながらボタン操作にて指示し次の処理へ移ることができる。
【0047】
本発明の記録装置によれば、単票紙のホッパを利用してロール紙をセットすることにより、コンパクトで使い勝手が良くなると共に、ホッパのエッジガイドがロール紙のガイドになるので、ロール紙の先端が給紙方向に対して斜めに切れられていてもロール紙を給紙方向に正しく頭出しができる。また、上記給紙方法による効果も生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置における単票紙の使用態様を示す模式図である。
【図2】本発明に係る記録装置におけるロール紙の使用態様を示す模式図である。
【図3】本発明の給紙方法を適用した給紙装置の斜視図である。
【図4】図3に示す給紙装置の正面図である。
【図5】本発明に係る給紙制御ブロック図である。
【図6】本発明の給紙方法における給紙制御フロー図である。
【図7】図6のステップ100の「あり▲2▼」に続くフロー図である。
【図8】本発明の給紙方法における工程(A)の具体例を示すフロー図である。
【図9】本発明の給紙方法における工程(B)の具体例を示すフロー図である。
【図10】本発明の給紙方法における工程(D)の具体例を示すフロー図である。
【図11】本発明の給紙方法における工程(E)を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 ホッパ
2 給紙ローラ
3 分離パッド
4 搬送ローラ
5 従動ローラ
6 記録ヘッド
7 排出ローラ
8 用紙ガイド
10 シートフィーダ
12,13 側壁
14 エッジガイド
20 ロール紙ホルダ
22,23 アーム
26 ロール支持軸
PS 単票紙
PR 連続紙(ロール紙)
PE 紙検知器
ASF 給紙装置
Claims (9)
- 単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の給紙ローラと搬送ローラにて給送する給紙方法において、
ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し排出処理を行うメンテナンスモードと、印刷終了または印刷中止後のロール紙に対し次の印刷の為の処理を行うロール紙印刷中断モードとを備え、n秒以上のボタン操作により一方のモード、n秒未満のボタン操作により他方のモードへ切り替えられることを特徴とする給紙方法。 - 前記メンテナンスモードは、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後のロール紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)であり、
ロール紙印刷中断モードは印刷後の用紙に対し切断個所を明示する印刷を施した後、切り離し位置へ前進させる工程(B)と、次の印刷へ待機させる工程(C)と、頭出し工程(D)とから成り、
ボタン操作がn秒以上のとき工程(A)、n秒未満のとき工程(B)(C)および(D)のそれぞれへ切り替えられることを特徴とする請求項1記載の給紙方法。 - 前記頭出し工程(D)の後に、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)と、切り離し位置へ前進させる工程(E)とを設け、ボタン操作がn秒以上のとき前記工程(A)、n秒未満のとき前記工程(E)へ切り替えられることを特徴とする請求項2記載の給紙方法。
- 前記各ボタン操作がn秒以上とn秒未満で構成される対話形式であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の給紙方法。
- 前記各ボタン操作のn秒が3秒に設定されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の給紙方法。
- 単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の給紙ローラと搬送ローラにて給送する給紙方法において、
ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)と、印刷後のロール紙に対し切断個所を明示する印刷を施した後、切り離し位置へ前進させる工程(B)と、次の印刷へ待機させる工程(C)と、頭出し工程(D)と、を有し、
ボタン操作がn秒以上のとき工程(A)、n秒未満のとき工程(A)(B)および(C)のそれぞれへ切り替えられるよう構成され、
印字終了または印字中止の後に、
(1)工程(A)或いは工程(B)または工程(C)
(2)工程(A)或いは工程(C)または工程(D)
(3)工程(A)または工程(C)を(1)〜(3)の順序で前記各工程を決定することを特徴とする給紙方法。 - 頭出し工程(D)の後に、ボタン操作により、単票紙またはロール紙を頭出し位置まで給送した後の用紙に対し後進による排出処理を行う工程(A)と、切り離し位置へ前進させる工程(E)とを設け、前記(2)で工程(D)が決定された場合、更にボタン操作がn秒以上のとき前記工程(A)、n秒未満のとき前記工程(E)へ切り替えられることを特徴とする請求項6記載の給紙方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の給紙方法により給送された、単票紙または該単票紙の積載されるホッパを利用してセットされ、該ホッパに設けられたエッジガイドにより給紙方向に直角な方向の移動が規制されたロール紙に対して頭出しをした後に記録部へ給送して記録を行うことを特徴する記録装置。
- 給紙方法を決定するボタンは、ユーザが操作するパネル上に設けられたパネル給紙ボタンであることを特徴とする請求項8記載の記録装置。
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