JP3731407B2 - 給紙方法及び記録装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単票紙とロール紙を同一の搬送路にて搬送する給紙系を備えたブリンタ等の記録装置に係り、特にパネル給紙により用紙の頭出し完了後において、ユーザの指示により単票紙またはロール紙に合った取扱いを行わせることができる給紙方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、記録装置としてのプリンタの給紙装置は単票紙を扱うものが一般的であり、複数枚の単票紙をホッパに積層させておき、プリンタの印字動作と連動して一番上に位置する単票紙を一枚ずつ印字ヘッドが在る印字部へ自動搬送する単票紙用のオートシートフィーダが良く知られている。 一方、最近では、通称「ロール紙」と呼ばれている、巻芯に印刷紙が巻回された形態の連続紙を用紙として使用することが増えている。ロール紙を使用する場合には、支持軸にロール紙の貫通孔が貫通されて使用されるため、ロール紙を支持する構造は単票紙を支持する構造とは基本的に異なる。そこで従来のプリンタにおいては、単票紙用とロール紙用とは、殆どが別々に作られている。共通のプリンタで単票紙とロール紙の両方を使えるものも提供されているが、その基本構造は単票紙用のシートフィーダとロール紙用のそれとは、別々にプリンタ本体に取り付けられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来のように、単票紙用のシートフィーダとロール紙ホルダとを、それぞれ別々にプリンタ本体に取り付ける構造では、例えば単票紙用のシートフィーダの後方にロール紙ホルダを取り付けることになる。そのため、前側に位置するシートフィーダの上端部を越えてロール紙の送給を可能となるように当該ロール紙を保持するためには、当該ロール紙ホルダをどうしても大型化せざるを得ず、その結果プリンタ全体としても大型化する。
【0004】
また、ロール紙は、印刷を終了した時点でカッタやハサミなどにより切断しなければならない。このとき、ユーザが手切りすると、ロール紙の切り端部分が側縁に対し直角かつ真っ直ぐにならず、斜めになったりすることがある。このようにロール紙の切断には、ある程度の熟練を必要とする。斜めにカットされたロール紙に対し、次回の印刷時にスキュー取りすると、カットされた斜めの切り端に合わせたスキュー取りが行われる。従って、ロール紙が斜めになったまま印刷部へ給送されてしまう為、正しく印刷できなくなったり、ロール紙に送りしわが起こり該部分に印刷不良が発生する。
【0005】
更に、従来のパネル給排紙ボタンを使ってロール紙を前進させて装置外に排出すると、プリンタは単票紙とロール紙の判断できない為、いつまでも排紙を続けてしまう。この対策として、給紙ローラと搬送ローラの間で給送される用紙を検知し、この紙検知が有りから無しになる信号変化を所定時間経っても確認できないとき停止処理が行われているが、それまでに多くの白紙が出てしまう。また、ロール紙印字終了後に吐き出したいときはロール紙ホルダの溝を利用してロール紙をカットする。その後給排紙ボタンを押して排紙すると、記録部からロール紙ホルダまでの間の用紙が無駄紙となる。
【0006】
本発明の目的は、単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の搬送路に搬送し、ロール紙のときスキュー取りをしないで給送すると共に、頭出し完了後に用紙除去を行うとき単票紙とロール紙に合った処理、特にロール紙の無駄紙を少なくするようにした給紙方法、およびその給紙方法により記録部に用紙を給送し記録を行う記録装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の給紙ローラと搬送ローラにて給送する給紙方法であって、給紙指示によって給紙された後の用紙に対し前進させて記録装置外へ排出させる排出動作を実行する第一の用紙除去ルーチン及び給紙指示によって給紙された後の用紙を前記搬送ローラの逆転駆動によって該搬送ローラより上流側へ移動させる第二の用紙除去ルーチンとを有し、頭出し完了後に用紙除去を行う場合、ユーザの指示により前記ルーチンのいずれか一方または両方を実行させることを特徴とする。
請求項1の発明によれば、パネル給紙モードでの頭出し完了後の印刷前、ユーザが現在の用紙の用紙除去を指示すると無駄紙が少なくなり経済的である。
請求項2の発明は、請求項1において、前記第二の用紙除去ルーチンは、紙ジャムのエラー表示を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、ロール紙モードが選択され、かつユーザの指示が第一の用紙除去ルーチンの場合には、該ルーチンの実行後の所定時間内に紙検知が行われないとき第二の用紙除去ルーチンに強制的に切り替えられることを特徴とする。
請求項3の発明によれば、ロール紙モードのとき、用紙除去を誤って単票紙で指示したとしても途中からロール紙モードの用紙除去に強制的に切り替えられる為、単票紙やロール紙の確認作業を神経質にしなくて済むから使い勝手良くなる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2の発明において、前記ユーザの指示により、先ず第一の用紙除去ルーチンを実行し、当該用紙の後端検知が予め定めた時間を超えているとき前記第二の用紙除去ルーチンに切り替えて実行させることを特徴とする。
請求項4の発明によれば、ユーザは用紙除去を指示するだけで、単票紙またはロール紙を装置が判断してくれるので、用紙除去の指示が容易であり、かつ確実に無駄紙の少なくなる処理が行われる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1または2の発明において、単票紙に印刷する単票紙モード及びロール紙に印刷するロール紙モードを有し、前記各モードが予め前記第一の用紙除去ルーチンまたは第二の用紙除去ルーチンに対応づけされており、前記いずれかのモードで給紙されているとき、前記ユーザの指示により当該モードに対応した用紙除去ルーチンを実行させることを特徴とする。
請求項5の発明によれば、用紙と用紙除去が予め対応づけられている為、ユーザは単に用紙除去を指示するだけで、無駄紙の少なくなる用紙除去が行われるから、使い勝手が良くなる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、ユーザの指示は、給紙指示を行うパネル給紙ボタンの給紙指示の為の通常操作とは異なる操作によることを特徴とする。
請求項6の発明によれば、既存のパネル給紙ボタンを利用することで、追加部品が無く、しかもソフトの変更で新たな機能が追加され、使い勝手が良くなる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6の発明において、ボタンの異なる操作は、パネル給紙ボタンの通常操作時間とは異なる操作時間であることを特徴とする。
請求項7の発明によれば、時間で判断させるソフトの変更は比較的容易であり、かつ構成を簡略化できる。
【0013】
請求項8の発明は、請求項6または7の発明において、前記ボタンの異なる操作は、用紙の給紙開始から頭出し完了の間は前記給紙指示のボタン操作が無効であり、用紙の頭出し完了後に前記給紙指示のボタン操作が有効となることを特徴とする。
請求項8の発明によれば、パネル給紙の開始から頭出し完了の間で用紙除去の指示をしても実行されない為、誤った操作による用紙除去が防止される。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、ロール紙モードがスキュー取り無しで頭出しを行うことを特徴とする。
請求項9の発明によれば、スキュー取りをしないので、ロール紙の先端が給紙方向に対して斜めに切れられていてもロール紙を給紙方向に正しく頭出しができる。
【0015】
請求項10の発明に係る記録装置は、請求項1〜9のいずれかに記載の給紙方法により給送された、単票紙または該単票紙の積載されるホッパを利用してセットされ、該ホッパに設けられたエッジガイドにより給紙方向に直角な方向の移動が規制されたロール紙に対して頭出しをした後に記録部へ給送して記録を行うことを特徴する。
請求項10の発明によれば、単票紙のホッパを利用してロール紙をセットすることにより、コンパクトで使い勝手が良くなると共に、ホッパのエッジガイドがロール紙のガイドになるので、ロール紙の先端が給紙方向に対して斜めに切れられていてもロール紙を給紙方向に正しく頭出しができる。また、パネル給紙モードでの頭出し完了後の印刷前、ユーザが現在の用紙の用紙除去を指示すると無駄紙が少なくなり経済的である。
【0016】
請求項11の発明は、請求項10の発明において、単票紙またはロール紙の用紙除去動作を行わせる為のボタンがパネル上に設けられていることを特徴とする。
請求項11の発明によれば、ボタンがパネル上にあると用紙除去したときにアクセスが容易である。
【0017】
請求項12の発明は、請求項11の発明において、ボタンは、第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの実行を指示する一つのボタンで構成し、該ボタンの異なる操作に基づいて当該ルーチンが実行されることを特徴とする。
請求項12の発明によれば、部品数を減らし簡素化が図れると共に、異なる機能はソフト的に対応ができる為、仕様変更などへの対応がし易い。
【0018】
請求項13の発明は、請求項11の発明において、ボタンは、第一の用紙除去ルーチン及び第二の用紙除去ルーチンの実行を指示する夫々の専用ボタンで構成し、該専用ボタンの操作に基づいて当該ルーチンが実行されることを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明によれば、単票紙用とロール紙用とそれぞれ別個にボタンが設けられているので、用紙と用紙除去の対応関係が明確となり、誤操作の確率を下げることができる。
【0020】
請求項14の発明は、請求項11の発明において、単票紙モードとロール紙モードを選択するモード選択手段を備えていることを特徴とする。
請求項14の発明によれば、モード選択により単票紙モードまたはロール紙モードを設定するので、セットする単票紙またはロール紙と選択するモードとの対応がユーザに分かり易くなる。
【0021】
請求項15の発明は、請求項12の発明において、ロール紙を切断する手段を備えていないことを特徴とする。
請求項15の発明によれば、ロール紙を切断する手段を備えていなくてもスキュー取り動作を行わないことで、正規の頭出しができる為、前記切断手段を持たない構成により簡素化が図れる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本願発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る記録装置における単票紙の給紙系の模式図、図2は本発明に係る記録装置におけるロール紙の給紙系の模式図である。本実施例において、単票紙、ロール紙の共通する給紙制御の説明においては、単に「用紙P」を使用する。
【0023】
先ず、図1に基づいて、単票紙の給紙系の概略を説明する。給紙装置ASFは、複数枚積層された単票紙PSを1枚づつ給送する機能を有し、主な構成として複数枚の単票紙PSを積層してセットするホッパ1と、ホッパ1の最上位の単票紙PSを1枚づつピックアップして給送する給紙ローラ2と、最上位の単票紙PSと共に重送される単票紙PSを分離する分離パッド3とを備えている。
【0024】
給紙ローラ2は、単票紙PSと接触する円弧部2aと単票紙PSから離間する直線部2bとを有する側視D型の形状になっており、少なくともその表面は、例えばゴム等の高摩擦材で構成されている。給紙ローラ2の円弧部2aと分離パッド3との当接状態で1回転する間に1枚の単票紙PSが用紙ガイド8を通して搬送ローラ4へ給送される。
搬送ローラ4と従動ローラ5の協働により、単票紙PSのスキュー取りが行われた後、一定長の頭出し動作を行ってから記録タイミングに合わせて単票紙PSを記録部を構成する記録ヘッド6の領域に送り、記録を行う。記録された単票紙PSは、排出ローラ7によって排出される。
【0025】
次に、ロール紙の給紙系を図2により説明する。ホッパ1から単票紙PSを外し、ロール紙PRをセットする。ロール紙PRを巻き解いてホッパ1の単票紙積載部に載せ、その先端を単票紙PSの先端と同じになるよう位置させる。給紙が開始されるとホッパ1がホッパアップし、ロール紙PRの先端部分を給紙ローラ2がピックアップし、給送する。そしてスキュー取りしないで頭出しを行ってから記録タイミングに合わせてロール紙PRを記録ヘッド6の領域に送り、記録を行う。記録されたロール紙PRは、排出ローラ7によって排出され、装置に組み込まれていないカッタなどの切断手段により切断する。
【0026】
図3は本発明に係る給紙装置の実施例の分解斜視図、図4は図3に示す給紙装置の正面図である。
図3に示した如く、給紙装置ASFの主構成要素の一つとなる単票紙用のシートフィーダ10が、プリンタ本体(二点鎖線の仮想線で示す)の後部上面に斜め上方に傾いて取り付けられている。シートフィーダ10は、公知の構造のものであり、以下その構造の概略を説明する。
【0027】
シートフィーダ10は、下端基部がネジ9によってプリンタ本体に固定されている。シートフィーダ10は、フレーム11の左右に位置する側壁12,13と、該側壁12,13の間に設けられるホッパ1とを備え、このホッパ1部分に複数枚の単票紙を積載するようになっている。ホッパ1は、図示しないホッパバネおよびカム機構を介して下端が揺動し、給紙ローラ2に向かって接離するように構成されている。
【0028】
ホッパ1には、単票紙の幅方向一端側の位置を規制するエッジガイド14が該ホッパ1の面に平行で左右方向に移動可能に取り付けられている。前記側壁12,13のうち一方の側壁13(図3の手前側の側壁)は、エッジガイド14と対をなして単票紙の幅方向の他端側の位置を規制するエッジガイドの機能を兼備している。すなわち、位置固定されている側壁13の内面(エッジガイド14と対向する面)と、エッジガイド14とが対をなして単票紙の幅方向を両サイドから規制することにより、単票紙が真っ直ぐにプリンタの印刷(記録)部(図3及び図4に示す記録ヘッド10)に搬送されることを補助する機能を有している。
【0029】
図中の符号2は、給紙ローラを示し(給紙ローラ軸は図示を省略されている)、この給紙ローラ2と分離パッド3によりホッパ1上に積層された単票紙が一枚ずつ印刷部へ送られるようになっている。またシートフィーダ10の上端には、図示を省略したぺ一パサポートを着脱自在に装着するための着脱受け部15が設けられている。
【0030】
次に、シートフィーダ10に対して着脱自在なロール紙ホルダ20について説明する。図3に示す如く、ロール紙ホルダ20は、中央に位置するホルダ本体21と、該ホルダ本体21の左右両側に形成された一対のアーム22,23とを備えて成り、ホルダ本体21の中央には上記シートフィーダ10の着脱受け部15に対して装着可能なホルダ側の着脱係合部24が突設形成されている。なお、本実施例では、シートフィーダ10側に雌型の着脱受け部15が形成され、ロール紙ホルダ20側に雄型の着脱係合部24が形成されているが、これらの関係は逆でも良く、また2つの部材を動かないように着脱可能に接続できる構造であれば、従来公知の種有の着脱構造を採用することもできる。
【0031】
2つのアーム22,23の間には、ロール紙セット領域30が形成されており、また各アーム22,23の自由端側の内側には受け部25が形成されている。両受け部25には、ロール支持軸26の両端に形成された回転軸27が収まるようになっている。このようにしてロール支持軸26は、各受け部25に対して回転可能に且つ横方向には動きを規制された状態で保持される。
【0032】
ロール紙ホルダ20には、ロール紙PRを切断するためのカッタの走査受け溝28が形成されている。この走査受け溝28は、カッタ(図示せず)でロール紙PRを幅方向に切断するときのガイド溝となるもので、このガイド溝に沿って、操作者がカッタを移動(走査)させれば、その位置でロール紙PRをきれいに切断できるようになっている。
【0033】
本実施例の作用について説明する。単票紙PSを使用する場合には、ロール紙ホルダ20をシートフィーダ10に取り付ける必要はなく、シートフィーダ10のホッパ1上に複数枚の単票紙PSを積載して一枚ずつプリンタの印刷部へ供給する。
ロール紙PRを使用する場合には、ロール支持軸26をロール紙PRに非拘束状態(ロール支持軸26に対してロール紙PRが自由回転可能な状態)で差込み、ロール支持軸26の両回転軸27をロール紙ホルダ20の受け部25に入れ込むようにして、ロール紙PRをロール紙ホルダ20にセットする。そして、ロール紙ホルダ20の着脱係合部24をシートフィーダ10の着脱受け部15に嵌め込み、ロール紙ホルダ20をシートフィーダ10にセットする。
【0034】
ロール紙ホルダ20からロール紙PRを巻き解し、シートフィーダ10のホッパ1に沿わせてロール紙PRの端部を該シートフィーダ10の用紙搬送路にセットする。このときロール紙PRの幅に合わせてエッジガイド14を移動し、ロール紙PRがホッパ1内で横方向にぶれないように規制する。即ち、エッジガイド14は、単票紙PSとロール紙PRの両方のエッジをガイドすることができるようになっている。よって、繰り出されたロール紙PRの幅方向位置は規制されており、印刷中、ロール紙PRから巻き解された紙は、真っ直ぐ印刷部に供給されるようになる。
【0035】
ロール紙PRからの紙の巻き解しは、搬送ローラ4の送り力によって行われるが、ロール紙PRはロール紙ホルダ20に非拘束状態で保持されているため、一旦搬送ローラ4によって引っ張られたロール紙PRは、慣性力により余分に回転する。そのため紙が余分に巻き解されて弛みを形成する。これにより、ロール紙PRが印刷部へ送られるときにバックテンションが掛からず、紙送り精度の向上に貢献することができる。
本実施例は、給紙ローラ2と搬送ローラ4とを独立したモータで駆動するよう構成されており、各モータは選択された給紙シーケンスに従って制御される。図5は給紙制御ブロックを示す。
制御部40は、記録装置の主制御部等(図示せず)のプリントドライバから送られて来るプリント情報を受信し、このプリント情報の判断結果から予め用意された複数の給紙シーケンスの中から選択し、給紙指令により選択された給紙シーケンスを実行し、用紙検知器PEからの紙検知(用紙先端検知信号,用紙後端検知信号)に基づいて給紙ローラ駆動部41および搬送ローラ駆動部42を制御する。
【0036】
プリント情報は、普通紙、コート紙、OHP用シート、光沢紙、光沢フィルム、葉書等のカットシート、封筒などの用紙の種類に関する情報(紙種情報)、解像度に関する情報(解像度情報)、給紙速度、単票紙、ロール紙、パネル給紙などのモード選択情報などである。給紙シーケンスは、給紙ローラ2および搬送ローラ4を通常の給紙速度で回転させる動作、給紙ローラ2を通常の給紙速度より速い給紙速度(高速モード)で回転させる動作、給紙ローラ2および搬送ローラ4を通常の給紙速度で正転又は逆転させる動作などの組み合わせた動作により構成される。
【0037】
また、制御部40は、パネル給紙後の用紙に対し前進させて装置外に排出させる動作を実行する第一の用紙除去ルーチン及びパネル給紙後の用紙を給紙ローラ2の逆転駆動によって給紙ローラ2より上流側へ移動させる第二の用紙除去ルーチンを内蔵し、頭出し完了後においてユーザの指示により前記用紙除去ルーチンを実行する。ユーザの指示をパネル上に設けられたボタン45の操作で行う場合は、これをボタン操作認識部40Aで認識し、実行する用紙除去ルーチンを決定し実行する。ボタン操作認識部40Aは、既存のボタン(パネル給紙ボタン,パネル給排紙ボタン)の操作の仕方や時間を認識したり、或いは単票紙とロール紙兼用用紙除去ボタンの操作の仕方や時間を認識したり,または単票紙用排出ボタン,ロール紙用排出ボタンの操作を認識する。
【0038】
ボタン45の実施の形態を説明する。図6は公知のパネル給紙ボタンを利用する例を示し、パネル給紙ボタンは給紙指示を行うもので、給紙指示の為の通常操作とは異なる操作、例えば操作時間によるものである。図7は第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの実行を指示する一つのボタンで構成する例を示し、用紙除去ボタンの異なる操作によるものである。更に、図8は第一の用紙除去ルーチン及び第二の用紙除去ルーチンの実行を指示する夫々の専用ボタンで構成する例を示し、各ルーチンの専用ボタン(単票紙除去ボタン,ロール紙除去ボタン)の操作によるものである。
【0039】
第一の用紙除去ルーチン及び第二の用紙除去ルーチンを模式図により説明する。ここで、ボタンは、図6〜8に示す各種ボタンの代表である。
図9は第一の用紙除去ルーチンの模式図、図10は第一の用紙除去ルーチンのタイミングチャートである。第一の用紙除去ルーチンは、単票紙に適用される排出処理であって、パネル給紙モードにより頭出し完了後(図9(a))、パネル上のボタンを操作すると単票紙を前進させて装置外に排出する(図9(b))。
【0040】
図11は第二の用紙除去ルーチンの模式図、図12は第二の用紙除去ルーチンのタイミングチャートである。第二の用紙除去ルーチンは、ロール紙に適用される排出処理であって、パネル給紙モードにより頭出し完了後(図11(a))、パネル上のボタンを操作するとロール紙を給紙ローラ2の逆転駆動によって給紙ローラ2より上流側へ移動させる(図11(b))。
【0041】
図13は第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの組み合わせにより実行される場合の模式図、図14は第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンとの組み合わせた場合のタイミングチャートである。本実施例では単票紙、ロール紙のいずれの用紙であっても所定時間内に用紙後端が検知されたか否かにより単票紙かロール紙かを判断し、それ以降、判断された単票紙またはロール紙に適した用紙除去処理が実行される。図13(a)の状態でボタンが操作されると、先ず第一の用紙除去ルーチンが実行され、搬送ローラ4が正転し、用紙を前進させる(図13(b),(b’))。所定時間内に用紙後端を検知すると、単票紙に適用される第一の用紙除去ルーチンが引続き実行され、搬送ローラ4の正転が継続される(図13(c))。一方所定時間内に用紙後端が検知されないと、ロール紙に適用される第二の用紙除去ルーチンに切り替えられ、給紙ローラ2と搬送ローラ4が逆転される(図13(c’))。
【0042】
次に、用紙除去の具体例を説明する。図15はパネル給紙ボタンの操作時間を判断して用紙除去が選択的に実行される用紙除去ルーチンを示す。図15に示す用紙除去ルーチンは、パネル給紙で頭出し完了後の処理である。
図15において、パネル給紙ボタンの操作時間はON操作が3秒以上であるか否かで判断する。更に、パネル給紙モードを選択したときは、対話方式を採用しているので、各種ルーチンを実行する前にはパネル給紙ボタンが操作されないと当該ルーチンによる処理が待機状態となる。その為、ユーザには次に実行するルーチンの内容とボタン操作時間の関係を知らせると共に、パネル給紙ボタンの操作を促す為の警告を出す事が望ましい。
用紙の頭出し完了後、パネル給紙ボタンを操作するとその操作時間が判断され(ステップ100)、ボタン操作が3秒以上のときは後述の第二の用紙除去ルーチンが実行され(ステップ101)、また3秒未満のときは後述の第一の用紙除去ルーチンが実行される(ステップ102)。
【0043】
本例の第一の用紙除去ルーチンは、用紙後端を紙検知器で検知し、単票紙であるかロール紙であるかを判断し、その後の処理を分岐する。単票紙/ロール紙の判断は、搬送ローラ4の所定ステップ数の正転においても紙有り検知のときはロール紙と判断し、紙無し検知のときは単票紙と判断する。図16は本例の第一の用紙除去ルーチンのフロー図である。第一の用紙除去ルーチンが実行されると、搬送ローラ4の駆動ステップ数をカウントする為、カウンタにNfo=0をセットし(ステップ200)、搬送ローラ4を正転させ(ステップ201)、カウンタをインクリメント(Nfo=Nfo+1)し(ステップ202)、紙検知を判断する(ステップ203)。紙有りの場合はカウンタ値Nfoがmステップになっているかを判断し(ステップ204)、Nfo=mの場合は、ロール紙と判断し、このルーチンを抜ける。即ち、搬送ローラ4は正転中止となる。一方Nfo≠mの場合は正転を続け、Nfo=mになる前に紙無しが検知されると単票紙と判断し、ロール紙モードおよびパネル給紙モードを解除する(ステップ205)。更に搬送ローラ4は所定ステップ数を正転させる(ステップ206)。
【0044】
図17は本例の第二の用紙除去ルーチンのフロー図である。第二の用紙除去ルーチンが実行されると、搬送ローラ4を所定テップ数を逆転させる(ステップ301)。この動作では用紙が紙検知器を切った紙有り状態までしか後進させることができないので、ユーザに用紙を取り除いて貰う為に紙ジャムのエラー表示を行う(ステップ302)。用紙が取り除かれると、紙検知で紙無しが判断され(ステップ303)、ロール紙モードおよびパネル給紙モードを解除し(ステップ304)、更に紙ジャムのエラー表示を解除する(ステップ305)。ステップ303において、紙有りが判断されるとパネル給紙ボタンを押す(この操作は時間に関係ない)(ステップ306)。このボタン操作により再び搬送ローラ4が逆転し(ステップ301)、一定長の用紙を後進させる。用紙が取り除けるようになるまで前記操作を繰り返す。
【0045】
【発明の効果】
本発明の給紙方法によれば、パネル給紙モードでの頭出し完了後の印刷前、ユーザが現在の用紙の用紙除去を指示すると無駄紙が少なくなり経済的である。 本発明の記録装置によれば、単票紙のホッパを利用してロール紙をセットすることにより、コンパクトで使い勝手が良くなると共に、ホッパのエッジガイドがロール紙のガイドになるので、ロール紙の先端が給紙方向に対して斜めに切れられていてもロール紙を給紙方向に正しく頭出しができる。また、上記給紙方法による効果も生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る記録装置における単票紙の使用態様を示す模式図である。
【図2】本発明に係る記録装置におけるロール紙の使用態様を示す模式図である。
【図3】本発明の給紙方法を適用した給紙装置の斜視図である。
【図4】図3に示す給紙装置の正面図である。
【図5】本発明に係る給紙制御ブロック図である。
【図6】本発明の給紙方法における用紙除去ルーチンの実行を指示するボタンとして、公知のパネル給紙ボタンを利用するブロック図である。
【図7】本発明の給紙方法における第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの実行を指示するボタンとして、一つのボタンで構成する場合のブロック図である。
【図8】本発明の給紙方法における第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの実行を指示するボタンとして、それぞれを専用ボタンで構成する場合のブロック図である。
【図9】第一の用紙除去ルーチンの模式図で、(a)は単票紙の頭出し完了、(b)は単票紙の前進吐き出しを示す。
【図10】第一の用紙除去ルーチンのタイミングチャートを示す図である。
【図11】第二の用紙除去ルーチンの模式図で、(a)はロール紙の頭出し完了、(b)はロール紙の後進吐き出しを示す。
【図12】第二の用紙除去ルーチンのタイミングチャートを示す図である。
【図13】第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの組み合わせにより実行される場合の模式図で、(a)は単票紙とロール紙の頭出し完了、(b)は単票紙の前進、(b’)はロール紙の前進、(c)は単票紙の前進吐き出し、(c’)ロール紙の後進吐き出しを示す。
【図14】第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンとの組み合わせた場合のタイミングチャートを示す図である。
【図15】パネル給紙ボタンの操作時間を判断して用紙除去が選択的に実行される用紙除去ルーチンの具体例を示すフロー図である。
【図16】第一の用紙除去ルーチンの具体例を示すフロー図である。
【図17】第二の用紙除去ルーチンの具体例を示すフロー図である。
【符号の説明】
1 ホッパ
2 給紙ローラ
3 分離パッド
4 搬送ローラ
5 従動ローラ
6 記録ヘッド
7 排出ローラ
8 用紙ガイド
10 シートフィーダ
12,13 側壁
14 エッジガイド
20 ロール紙ホルダ
22,23 アーム
26 ロール支持軸
PS 単票紙
PR 連続紙(ロール紙)
PE 紙検知器
ASF 給紙装置
Claims (15)
- 単票紙とロール紙の両方の用紙を同一の給紙ローラと搬送ローラにて給送する給紙方法であって、
給紙指示によって給紙された後の用紙に対し前進させて記録装置外へ排出させる排出動作を実行する第一の用紙除去ルーチン及び給紙指示によって給紙された後の用紙を前記搬送ローラの逆転駆動によって該搬送ローラより上流側へ移動させる第二の用紙除去ルーチンとを有し、頭出し完了後に用紙除去を行う場合、ユーザの指示により前記ルーチンのいずれか一方または両方を実行させることを特徴とする給紙方法。 - 前記第二の用紙除去ルーチンは、紙ジャムのエラー表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の給紙方法。
- ロール紙モードが選択され、かつユーザの指示が第一の用紙除去ルーチンの場合には、該ルーチンの実行後の所定時間内に紙検知が行われないとき第二の用紙除去ルーチンに強制的に切り替えられることを特徴とする請求項1または2に記載の給紙方法。
- 前記ユーザの指示により、先ず第一の用紙除去ルーチンを実行し、当該用紙の後端検知が予め定めた時間を超えているとき前記第二の用紙除去ルーチンに切り替えて実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の給紙方法。
- 単票紙に印刷する単票紙モード及びロール紙に印刷するロール紙モードを有し、前記各モードが予め前記第一の用紙除去ルーチンまたは第二の用紙除去ルーチンに対応づけされており、前記いずれかのモードで給紙されているとき、前記ユーザの指示により当該モードに対応した用紙除去ルーチンを実行させることを特徴とする請求項1または2に記載の給紙方法。
- 前記ユーザの指示は、給紙指示を行うパネル給紙ボタンの前記給紙指示の為の通常操作とは異なる操作によることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の給紙方法。
- 前記ボタンの異なる操作は、前記パネル給紙ボタンの通常操作時間とは異なる操作時間であることを特徴とする請求項6記載の給紙方法。
- 前記ボタンの異なる操作は、用紙の給紙開始から頭出し完了の間は前記給紙指示のボタン操作が無効であり、用紙の頭出し完了後に前記給紙指示のボタン操作が有効となることを特徴とする請求項6または7記載の給紙方法。
- 前記ロール紙モードがスキュー取り無しで頭出しを行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の給紙方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の給紙方法により給送された、単票紙または該単票紙の積載されるホッパを利用してセットされ、該ホッパに設けられたエッジガイドにより給紙方向に直角な方向の移動が規制されたロール紙に対して頭出しをした後に記録部へ給送して記録を行うことを特徴する記録装置。
- 単票紙またはロール紙の用紙除去動作を行わせる為のボタンがパネル上に設けられていることを特徴とする請求項10記載の記録装置。
- 前記ボタンは、第一の用紙除去ルーチンと第二の用紙除去ルーチンの実行を指示する一つのボタンで構成し、該ボタンの異なる操作に基づいて当該ルーチンが実行されることを特徴とする請求項11記載の記録装置。
- 前記ボタンは、第一の用紙除去ルーチン及び第二の用紙除去ルーチンの実行を指示する夫々の専用ボタンで構成し、該専用ボタンの操作に基づいて当該ルーチンが実行されることを特徴とする請求項11記載の記録装置。
- 単票紙モードとロール紙モードを選択するモード選択手段を備えていることを特徴とする請求項11記載の記録装置。
- ロール紙を切断する手段を備えていないことを特徴とする請求項12記載の記録装置。
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