JP4028183B2 - 回転電機の固定子およびそれを用いた回転電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電動機、発電機、同期機等の回転電機において、特に振動および騒音の低減を十分効果的に図れるようにした回転電機の固定子およびそれを用いた回転電機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、回転電機の一つとして、例えば誘導電動機が知られている。
【0003】
図20は、この種の従来の誘導電動機の構成例を示す縦断面図である。
【0004】
図20において、固定子1は、固定子枠2と、当該固定子枠2に嵌合固定された固定子鉄心3とから構成されている。
【0005】
また、回転子4は、軸受5を介して支承された回転軸6に、回転子鉄心7を取り付けて構成されている。
【0006】
ところで、最近では、このような誘導電動機を、インバータにより速度制御することが多くなってきている。
【0007】
しかしながら、インバータによる速度制御運転においては、速度が変化することから、電磁力の周波数と誘導電動機の構造系である固定子鉄心3の固有振動数とが一致して共振現象となり、大きな振動と騒音が発生する可能性が非常に高くなるという問題点がある。そして、速度が変化することから、共振点を避けることができない。
【0008】
そこで、このような共振現象による騒音を低減するための手段の一つとして、例えば固定子枠2の内周部に周方向に沿って、固定子鉄心3を支持する支持用のリブを複数設ける構成とすることにより、振動と騒音を低減できるようにした誘導電動機が提案されてきている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような手段を講じた誘導電動機においては、固定子枠2にリブを設けていることから、固定子鉄心3の外周部を加工しないと、固定子鉄心3の内周と外周の同心精度が悪く、特性悪化や軸電圧発生の要因になり、短寿命となる。
【0010】
一方、固定子鉄心3の内周と外周の同心精度を向上させる場合に、固定子鉄心3の外周部を機械加工することにより、精度を向上することができるが、この場合、固定子鉄心3を固着する部分は外周部であることから、当該外周部に機械加工量よりも深い凹部を設けて、当該凹部で固着したり、または固定子鉄心3にキリ穴を設けて、ボルトで固定したりする必要がある。
【0011】
しかしながら、凹部やキリ穴を設けると、固定子鉄心3の剛性が低下して、結果的に振動や騒音が悪化することになる。
【0012】
また、固定子鉄心3は、電磁鋼板積層品であることから、面加工精度が悪く、加工のかえり等で特性が悪化することもある。
【0013】
さらに、固定子鉄心3の外周部の加工後に、巻線納めおよびワニス処理を行なうと、機械加工面にワニスが付着してしまい、除去作業や人体・環境にとって好ましいものではない。
以上のような種々の問題点があることから、従来の誘導電動機においては、固定子1から外部への振動伝達の低減を十分には図れないため、騒音の低減を十分に図ることができない。
【0014】
本発明の目的は、前述のような種々の問題点が生じることなく、振動および騒音の低減を十分効果的に図ることが可能な回転電機の固定子およびそれを用いた回転電機を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、請求項1に対応する発明では、板状の固定子枠と、当該固定子枠の内周部に固定された円筒状の固定子鉄心とを備えて構成される回転電機の固定子において、固定子枠をその軸方向に複数に分割して単位固定子枠とし、各単位固定子枠の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにしている。
【0016】
従って、請求項1に対応する発明の回転電機の固定子においては、固定子枠をその軸方向に複数に分割して単位固定子枠とし、各単位固定子枠の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにしていることにより、円環振動モードM=2、4、6、8……、偶数角形の四角形、六角形、八角形……の構造物の場合であっても、固有モードの角度を電磁モードを打ち消すようにして、固定子で発生する振動および騒音を極めて効果的に低減することができる。
また、固定子枠にリブを設ける場合と異なって、前述したような種々の問題点が生じることもなくなる。
さらに、固定子鉄心の端部に単位固定子枠を各々逆向きに取り付けることにより、単位固定子枠の周方向に剛性を変化させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
さらにまた、各単位固定子枠の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにすることにより、電磁力の楕円モードに対して、構造系で振動を打ち消し、固定子鉄心の変形が発生し難くなり、固定子鉄心外周に生じる振動が打ち消し合い、これにより回転電機に搭載した場合に、回転電機全体の振動および騒音を低減することができる。
【0017】
また、請求項2に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブを少なくとも1個設けている。
【0018】
従って、請求項2に対応する発明の回転電機の固定子においては、各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブを少なくとも1個設けていることにより、両端の単位固定子枠への伝達をよくして、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
また、固定子全体の剛性を高めることができ、固有振動数を高く設計できるため、据付系との共振点から離調することができ、その結果、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0019】
さらに、請求項3に対応する発明では、上記請求項2に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブを、軸芯に対して軸方向に対してスキューさせて設けている。
【0020】
従って、請求項3に対応する発明の回転電機の固定子においては、各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブを、軸芯に対して軸方向に対してスキューさせて設けることにより、スキュー効果を増加させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0021】
一方、請求項4に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の回転電機の固定子において、固定子鉄心の外周部と各単位固定子枠の内周部との間に円筒状の内部固定子枠を設け、かつ当該内部固定子枠にその軸方向とほぼ平行な溝を少なくとも1個設けている。
【0022】
従って、請求項4に対応する発明の回転電機の固定子においては、固定子鉄心の外周部と各単位固定子枠の内周部との間に円筒状の内部固定子枠を設け、かつ当該内部固定子枠にその軸方向とほぼ平行な溝を少なくとも1個設けることにより、リブを設けなくても、前述した請求項2に対応する発明と同様の作用を奏することができる。
また、両端の単位固定子枠の結合が強化されて、剛性の向上および固有振動数の増加を図ることができるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
さらに、単位固定子枠の剛性が高いため、製造時の歪等も発生し難く、高精度の単位固定子枠を容易に得ることができる。これにより、製造面の効果のみならず、特性の向上も図ることができる。
【0023】
また、請求項5に対応する発明では、上記請求項4に対応する発明の回転電機の固定子において、内部固定子枠に設ける溝を、軸方向に対してスキューさせている。
【0024】
従って、請求項5に対応する発明の回転電機の固定子においては、内部固定子枠に設ける溝を、軸方向に対してスキューさせることにより、前述した請求項4に対応する発明と同様の作用を奏することができ、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0025】
さらに、請求項6に対応する発明では、上記請求項4または請求項5に対応する発明の回転電機の固定子において、内部固定子枠に設ける溝を、軸方向のほぼ中央にて結合させている。
【0026】
従って、請求項6に対応する発明の回転電機の固定子においては、内部固定子枠に設ける溝を、軸方向のほぼ中央にて結合させていることにより、内部固定子枠の中央が分離されていないため、剛性が高く固有振動数を高くすることができる。
また、単位固定子枠の剛性が高いため、製造時の歪等も発生し難く、高精度の単位固定子枠を容易に得ることができる。これにより、製造面の効果のみならず、特性の向上も図ることができる。
【0027】
さらにまた、請求項7に対応する発明では、上記請求項4乃至請求項6のいずれか1項に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠間を、内部固定子枠の外周側において軸方向とほぼ平行な少なくとも1個のリブにより互いに結合させている。
【0028】
従って、請求項7に対応する発明の回転電機の固定子においては、各単位固定子枠間を、内部固定子枠の外周側において軸方向とほぼ平行な少なくとも1個のリブにより互いに結合させることにより、前述した請求項1乃至請求項6に対応する発明の作用を組み合わせた作用を奏することができ、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0029】
一方、請求項8に対応する発明では、上記請求項7に対応する発明の回転電機の固定子において、内部固定子枠に設ける溝を軸方向に対してスキューさせ、かつ当該スキューの角度とほぼ同一方向に各単位固定子枠間を結合するリブをスキューさせている。
【0030】
従って、請求項8に対応する発明の回転電機の固定子においては、内部固定子枠に設ける溝を軸方向に対してスキューさせ、かつ当該スキューの角度とほぼ同一方向に各単位固定子枠間を結合するリブをスキューさせることにより、前述した請求項1乃至請求項6に対応する発明の作用を組み合わせた作用を奏することができ、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0031】
また、請求項9に対応する発明では、上記請求項1に対応する発明の回転電機の固定子において、単位固定子枠を、固定子鉄心の軸方向でかつほぼ中心部にも配置している。
【0032】
従って、請求項9に対応する発明の回転電機の固定子においては、単位固定子枠を、固定子鉄心の軸方向でかつほぼ中心部にも配置することにより、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
また、据付部の増加により、より安定性を増すことができる。
【0033】
さらに、請求項10に対応する発明では、上記請求項9に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠の形状を、固定子枠全体として軸方向に沿って徐々に変化させるようにし、かつ当該変化状態としては、各々の角部を結んだ場合に当該結んだ線が軸方向に対してスキューするようにしている。
【0034】
従って、請求項10に対応する発明の回転電機の固定子においては、各単位固定子枠の形状を、固定子枠全体として軸方向に沿って徐々に変化させるようにし、かつ当該変化状態としては、各々の角部を結んだ場合に当該結んだ線が軸方向に対してスキューすることにより、前述した請求項9に対応する発明と同様の作用を奏するのに加えて、スキュー効果をより一層高くできるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0035】
一方、請求項11に対応する発明では、上記請求項1乃至請求項10のいずれか1項に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠に、固定子本体を据え付け場所に据え付けする据付用座を設けている。
【0036】
従って、請求項11に対応する発明の回転電機の固定子においては、各単位固定子枠に、固定子本体を据え付け場所に据え付けする据付用座を設けることにより、据付系の固有振動数を離調させることができ、その結果、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0037】
また、請求項12に対応する発明では、上記請求項11に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠に設ける据付用座の位置としては、固定子鉄心の起磁力による楕円モード変形の中正軸半径を、固定子鉄心のスロット底半径と外径半径の平均半径となるようにした場合に、中正軸半径のほぼ4/3倍の位置となるようにしている。
【0038】
従って、請求項12に対応する発明の回転電機の固定子においては、固定子鉄心の起磁力による楕円モード変形の中正軸半径を、固定子鉄心のスロット底半径と外径半径の平均半径となるようにした場合に、各単位固定子枠に設ける据付用座の位置が、中正軸半径のほぼ4/3倍の位置となるようにすることにより、固定子鉄心の楕円モード変形時の接線方向の変位成分が生じないため、据付系への電磁力の伝達を低減することができる。
【0039】
さらに、請求項13に対応する発明では、上記請求項1乃至請求項12のいずれか1項に対応する発明の回転電機の固定子において、固定子鉄心のスロットを、軸方向に対してスキューさせている。
【0040】
従って、請求項13に対応する発明の回転電機の固定子においては、固定子鉄心のスロットを、軸方向に対してスキューさせることにより、スキュー効果を増加させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0041】
さらにまた、請求項14に対応する発明では、上記請求項3、請求項5乃至請求項8、請求項10、請求項13のいずれか1項に対応する発明の回転電機の固定子において、各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブ、または内部固定子枠に設ける溝のスキュー方向と、固定子鉄心のスロットのスキュー方向とが同一方向となるようにしている。
【0042】
従って、請求項14に対応する発明の回転電機の固定子においては、各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブ、または内部固定子枠に設ける溝のスキュー方向と、固定子鉄心のスロットのスキュー方向とが同一方向となるようにすることにより、スキュー効果を増加させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0043】
一方、請求項15に対応する発明では、固定子と回転子とを備えて構成される回転電機において、固定子として、上記請求項1乃至請求項14のいずれか1項に対応する発明の固定子を備えている。
【0044】
従って、請求項15に対応する発明の回転電機においては、固定子として、上記請求項1乃至請求項14のいずれか1項に対応する発明の固定子を備えることにより、回転電機全体で発生する振動および騒音を極めて効果的に低減することができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
初めに、本発明の一つの考え方の前提となる騒音の発生メカニズムについて説明する。
【0046】
図15は、振動と騒音発生のメカニズムを説明するための図である。
【0047】
この振動と騒音の発生メカニズムは、図15に示すように、回転子鉄心と固定子鉄心とのエアギャップに働く電磁力の周波数と、固定子鉄心の固有振動数とが共振した場合、固定子枠(フレーム)が著しく振動し、その振動が空気中に放射されて騒音として発生するものである。
【0048】
この電磁力による固定子枠の変形モードは、一般的に、円環振動モードの楕円形状(n=2)である。固定子鉄心の起磁力分布によって、図中太線で示したような振動モードが生ずる。この固定子鉄心の振動モードは、回転電機の運転中に回転しており、固定子枠に伝達されると、固定子枠が引張り・圧縮を繰り返す。このことにより、固定子枠に歪が生じたり、回転電機全体の振動発生の要因となる。
【0049】
この円環振動モードとは、図16に示すような半径方向に外形が変形するモードであり、膨張収縮(モードn=0)、並進(モードn=1)、楕円(モードn=2)、三角形(モードn=3)、四角形(モードn=4)、五角形(モードn=5)等で表わされる。
【0050】
従来において、電動機における固定子鉄心、およびこれを収容する固定子枠の横断面(回転軸に直交する方向の断面)の外周は、固定子枠は、例えば円筒状あるいは四角形等のように、左右対称状である場合が多い。
【0051】
このため、固定子鉄心に発生する楕円(モードn=2)の変形振動が、固定子枠にも伝達され易く、電磁力が固定子鉄心と共振した場合には、大きな振動および騒音が発生することがある。
【0052】
そこで、このような電動機での振動および騒音を低減するためには、固定子鉄心に発生する円環振動の楕円(モードn=2)の変形が、固定子枠に伝達され難くする必要がある。
【0053】
例えば、固定子枠が、楕円に変形し難い構造とすることにより、外形振動が生じ難くなり、振動や騒音を低減できるようにすることである。
【0054】
次に、騒音発生の原理について、具体的に説明する。
【0055】
電磁力は、回転磁界であることから、固定子鉄心のある位置から見ると、図17に示すように、固定子鉄心の内径に強制振動として、n=2(楕円)、n=4(四角形)……で時間的に回転して変化していくモードが発生する。
【0056】
上記の電磁力のモードを式で表わしたものを、式(1)に示す。
【0057】
【数1】
【0058】
ここで、fM:電磁力、A:電磁力の振幅、ω:電磁力の角振動数、M:電磁力のモード次数、θ:機械角、t:時間。
【0059】
一方、固定子鉄心の固有振動モードφNは、円環の面内振動のみを考えると、式(2)に示すようになる。
【0060】
【数2】
【0061】
ここで、φN:円環の固有振動モード、ΦN :固有振動モードの振幅、N:固有振動モード次数、α:位相。
【0062】
そこで、上記式(1)と式(2)とから、電動機に働く電磁力による円環の振動振幅をzとすると、式(3)で表わすことができる。
【0063】
【数3】
【0064】
これは、ある角度θにおける振動であるから、円環全体の振動振幅Zは、θについて円環を全円周で積分することによって、式(4)により求めることができる。
【0065】
この式(4)から、振動は、電磁力モードと固有モードとの積によって求めることができる。
【0066】
【数4】
【0067】
次に、具体的な数値を代入して計算する。
【0068】
電磁力モードM=2と固有振動モードN=2の発生する振動Zは、図18(a)に示すように、ベクトル積から求めることができる。
【0069】
ここで、半径方向の外向きのベクトルがプラス、内向きのベクトルがマイナスとする。
【0070】
計算する点数は、概略計算として、代表点として円周上に8点とする。
【0071】
図18(a)において、電磁力モードM=2、固有ベクトルN=2の場合、以下のベクトル積の行列式で示すように計算することができる。
【0072】
行列式の数値は、図18(a)に示す各8点のモード形のベクトル量として示している。
【0073】
【数5】
【0074】
電磁力モードM=2と固有振動モードN=2との組み合わせは、ベクトル積の値がZ=4となる大きさの振動が発生する。
【0075】
次に、電磁力モードM=2と固有振動モードN=3との組み合わせで発生する振動Zは、図18(b)に示すように、ベクトル積の計算で求めることができる。
【0076】
【数6】
【0077】
電磁力モードM=2と固有モードN=3との組み合わせでは、Z=0となり、振動が発生しないことになる。
【0078】
すなわち、以上のような関係は、固有振動モードと電磁力モードを一致させないことが、振動および騒音を発生させない条件であることを示している。
【0079】
さらに、一般に、固定子鉄心の変形時の変形量は、1/(モード数)3に比例して小さくなることから、モード数が多いほど振動が低減する。
【0080】
これは、固定子鉄心に誘起する電磁加振力に対して固定子鉄心が共振しても、確実に振動が低減できることを意味する。
【0081】
すなわち、例えば図19にその代表的な斜視図を示すように、上記固定子鉄心に誘起する電磁力による強制モードMが、円環振動モードM=2であることから、固定子枠の断面の外周形状を、円環振動モードn=3、5、7……、あるいは、三角形、五角形、七角形……にすることにより、振動が打ち消し合い、モードが一致しないようにできる、つまり振動と騒音を低減することができる。
【0082】
これにより、固定子鉄心に誘起する電磁加振力に対して、固定子鉄心が共振しても、確実に振動を低減することができる。
【0083】
固定子鉄心に誘起する電磁加振力の加振力モードMは、偶数の円環振動モードM=2、4、6、8……であることから、固定子鉄心および固定子枠の外形形状を、円環振動モードn=3、5、7……の奇数次数形もしくは奇数角形とすることにより、モードが一致しないようにできる、つまり振動と騒音を低減することができる。
【0084】
しかしながら、固定子鉄心および固定子枠の外形形状を奇数角形とした場合には、上下左右のいずれかに頂点が配置されることになるため、固定子の外形が大きくなることが考えられ、最良の方法であるとは言い難い。
【0085】
以上のような点から、本発明では、その基本的な考え方として、板状の固定子枠と、当該固定子枠の内周部に固定された円筒状の固定子鉄心とを備えて構成される回転電機の固定子において、板状の固定子枠をその軸方向に複数に分割して単位固定子枠とし、各単位固定子枠の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにするものである。
【0086】
以下、上記のような考え方に基づく本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0087】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図である。
【0088】
なお、回転電機の全体構成は、図20の従来と同様の構成であるので、同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0089】
すなわち、図1に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、板状の固定子枠2と、当該固定子枠2の内周部に固定された円筒状の固定子鉄心3とを備えて構成されるものにおいて、固定子枠2をその軸方向に複数(本例では2つ)に分割して単位固定子枠8とし、さらに各単位固定子枠8の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにした構成としている。
【0090】
ここで、各単位固定子枠8は、固定子鉄心3の端部に各々逆向きに取り付けている。
【0091】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、固定子枠2をその軸方向に複数に分割して単位固定子枠8とし、各単位固定子枠8の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さをL1,L2のように非対称となるようにすることにより、円環振動モードM=2、4、6、8……、偶数角形の四角形、六角形、八角形……の構造物の場合であっても、固有モードの角度を電磁モードを打ち消すことができる。
【0092】
これにより、単位固定子枠8へ伝達される振動が低減され、固定子1で発生する振動および騒音を極めて効果的に低減することができる。
【0093】
また、前述した従来のような固定子枠2にリブを設ける場合と異なって、前述したような種々の問題点が生じることもなくなる。
【0094】
すなわち、
(a)固定子鉄心3の内周と外周の同心精度が悪く、特性悪化や軸電圧発生の要因になり、短寿命となるという問題点
(b)固定子鉄心3にキリ穴を設けてボルトで固定したりすることにより、固定子鉄心3の剛性が低下して、振動や騒音が悪化するという問題点
(c)固定子鉄心3はの面加工精度が悪く、加工のかえり等で特性が悪化するという問題点
(d)固定子鉄心3加工後の巻線納め、ワニス処理が、除去作業や人体・環境にとって好ましくないという問題点
を解消することができる。
さらに、固定子鉄心3の端部に単位固定子枠8を各々逆向きに取り付けていることにより、単位固定子枠8の周方向に剛性を変化させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0095】
さらにまた、各単位固定子枠8の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにしていることにより、電磁力の楕円モードに対して、構造系で振動を打ち消し、固定子鉄心3の変形が発生し難くなり、固定子鉄心3外周に生じる振動が打ち消し合い、これにより回転電機に搭載した場合に、回転電機全体の振動および騒音を低減することができる。
【0096】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、円環振動モードM=2、4、6、8……、偶数角形の四角形、六角形、八角形……の構造物の場合であっても、固定子鉄心3の剛性が向上して、電磁力に打ち勝つ構造系の剛性を確保し、前述のような種々の問題点が生じることなく、しかも固定子の外形が大きくなることなく、実際に発生する円環振動モードn=2の変形が発生し難くなり、固定子1で発生する振動および騒音を極めて効果的に低減することが可能となる。
【0097】
(第2の実施の形態)
図2は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0098】
すなわち、図2に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図1に示す第1の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8間を互いに軸方向に結合するリブ9を少なくとも1個設けた構成としている。
【0099】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、各単位固定子枠8間を互いに軸方向に結合するリブ9を少なくとも1個設けていることにより、両端の単位固定子枠8への伝達をよくして、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0100】
また、固定子全体の剛性を高めることができ、固有振動数を高く設計できるため、据付系との共振点から離調することができ、その結果、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0101】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0102】
(第3の実施の形態)
図3は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図2と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0103】
すなわち、図3に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図2に示す第2の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8間を互いに軸方向に結合するリブ10を、軸芯に対して軸方向に対してスキューさせて設けた構成としている。
【0104】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、各単位固定子枠8間を互いに軸方向に結合するリブ10を、軸芯に対して軸方向に対してスキューさせて設けていることにより、スキュー効果を増加させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0105】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0106】
(第4の実施の形態)
図4は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0107】
すなわち、図4に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図1に示す第1の実施の形態による回転電機の固定子1において、固定子鉄心3の外周部と各単位固定子枠8の内周部との間に円筒状の内部固定子枠11を設け、かつ当該内部固定子枠11にその軸方向とほぼ平行な溝12を少なくとも1個設け設けた構成としている。
【0108】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、固定子鉄心3の外周部と各単位固定子枠8の内周部との間に円筒状の内部固定子枠11を設け、かつ当該内部固定子枠11にその軸方向とほぼ平行な溝12を少なくとも1個設けていることにより、リブを設けなくても、前述した第2の実施の形態と同様の作用を奏することができる。
【0109】
また、両端の単位固定子枠8の結合が強化されて、剛性の向上および固有振動数の増加を図ることができるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0110】
さらに、単位固定子枠8の剛性が高いため、製造時の歪等も発生し難く、高精度の単位固定子枠8を容易に得ることができる。これにより、製造面の効果のみならず、特性の向上も図ることができる。
【0111】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となるばかりでなく、高精度の単位固定子枠8を容易に得ることが可能となる。
【0112】
(第5の実施の形態)
図5は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図4と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0113】
すなわち、図5に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図1に示す第4の実施の形態による回転電機の固定子1において、内部固定子枠11に設ける溝13を、軸方向に対してスキューさせた構成としている。
【0114】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、内部固定子枠11に設ける溝13を、軸方向に対してスキューさせていることにより、前述した第4の実施の形態と同様の作用を奏することができ、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0115】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0116】
(第6の実施の形態)
図6は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図4または図5と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0117】
すなわち、図6に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図4または図5に示す第4または第5の実施の形態による回転電機の固定子1において、内部固定子枠11に設ける溝14を、軸方向のほぼ中央にて結合させた構成としている。
【0118】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、内部固定子枠11に設ける溝14を、軸方向のほぼ中央にて結合させていることにより、内部固定子枠11の中央が分離されていないため、剛性が高く固有振動数を高くすることができる。
【0119】
また、単位固定子枠8の剛性が高いため、製造時の歪等も発生し難く、高精度の単位固定子枠8を容易に得ることができる。これにより、製造面の効果のみならず、特性の向上も図ることができる。
【0120】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となるばかりでなく、高精度の単位固定子枠8を容易に得ることが可能となる。
【0121】
(第7の実施の形態)
図7は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図4または図5または図6と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0122】
すなわち、図7に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図4または図5または図6に示す第4または第5または第6の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8間を、内部固定子枠11の外周側において軸方向とほぼ平行な少なくとも1個のリブ9により互いに結合させさせた構成としている。
【0123】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、各単位固定子枠8間を、内部固定子枠11の外周側において軸方向とほぼ平行な少なくとも1個のリブ9により互いに結合させていることにより、前述した第1乃至第6の実施の形態の作用を組み合わせた作用を奏することができ、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0124】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0125】
(第8の実施の形態)
図8は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す両側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図7と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0126】
すなわち、図8に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図7に示す第7の実施の形態による回転電機の固定子1において、内部固定子枠11に設ける溝14を軸方向に対してスキューさせ、かつ当該スキューの角度とほぼ同一方向に各単位固定子枠8間を結合するリブ10をスキューさせた構成としている。
【0127】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、内部固定子枠11に設ける溝14を軸方向に対してスキューさせ、かつ当該スキューの角度とほぼ同一方向に各単位固定子枠8間を結合するリブ10をスキューさせていることにより、前述した第1乃至第6の実施の形態の作用を組み合わせた作用を奏することができ、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0128】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0129】
(第9の実施の形態)
図9は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す斜視図であり、図1と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0130】
すなわち、図9に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図1に示す第1の実施の形態による回転電機の固定子1において、固定子鉄心3の両端部の単位固定子枠8に加えて、固定子鉄心3の軸方向でかつほぼ中心部にも、単位固定子枠8を配置した構成としている。
【0131】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、単位固定子枠8を、固定子鉄心3の軸方向でかつほぼ中心部にも配置していることにより、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0132】
また、据付部の増加により、より安定性を増すことができる。
【0133】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となるばかりでなく、より安定性を増すことが可能となる。
【0134】
(第10の実施の形態)
図10は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す斜視図であり、図9と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0135】
すなわち、図10に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図9に示す第9の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8の形状を、固定子枠全体として軸方向に沿って徐々に変化させるようにし、かつ当該変化状態としては、各々の角部を結んだ場合に当該結んだ線が軸方向に対してスキューするようにした構成としている。
【0136】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、各単位固定子枠8の形状を、固定子枠全体として軸方向に沿って徐々に変化させるようにし、かつ当該変化状態としては、各々の角部を結んだ場合に当該結んだ線が軸方向に対してスキューするようにしていることにより、前述した第9の実施の形態と同様の作用を奏するのに加えて、スキュー効果をより一層高くできるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0137】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0138】
(第11の実施の形態)
図11は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および正面図であり、図1乃至図10と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0139】
すなわち、図11に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図1乃至図10に示す第1乃至第10の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8に、固定子1本体を据え付け場所に据え付けする据付用座15を2面(本例では2面であるが、固定子1本体の底部に1面のみ設けたり、あるいは各単位固定子枠8毎に合計4面設けるようにしてもよい)設けた構成としている。
【0140】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、各単位固定子枠8に、固定子1本体を据え付け場所に据え付けする据付用座15を設けていることにより、据付系の固有振動数を離調させることができ、その結果、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0141】
この場合、図11に示す振動モデルにより、固有振動式は、下記のような式にて表わされる。
【0142】
【数7】
【0143】
このLeを変更することにより、固有振動数を可変することができる。
【0144】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0145】
(第12の実施の形態)
図12は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図であり、図11と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0146】
すなわち、図12に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図11に示す第11の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8に設ける据付用座15の位置としては、固定子鉄心3の起磁力による楕円モード変形の中正軸半径を、固定子鉄心3のスロット底半径と外径半径の平均半径となるようにした場合に、中正軸半径のほぼ4/3倍の位置となるようにした構成としている。
【0147】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、固定子鉄心3の起磁力による楕円モード変形の中正軸半径を、固定子鉄心3のスロット底半径と外径半径の平均半径となるようにした場合に、各単位固定子枠8に設ける据付用座15の位置が、中正軸半径のほぼ4/3倍の位置となるようにしていることにより、固定子鉄心3の楕円モード変形時の接線方向の変位成分が生じないため、据付系への電磁力の伝達を低減することができる。
【0148】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0149】
(第13の実施の形態)
図13は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および断面を含む正面図であり、図1乃至図12と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0150】
すなわち、図13に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図1乃至図12に示す第1乃至第12の実施の形態による回転電機の固定子1において、固定子鉄心3のスロット16を、軸方向に対してスキューさせた構成としている。
【0151】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、固定子鉄心3のスロット16を、軸方向に対してスキューさせていることにより、スキュー効果を増加させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0152】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0153】
(第14の実施の形態)
図14は、本実施の形態による回転電機の固定子の構成例を示す側面(固定子鉄心の軸方向に直交する方向面)図および断面を含む正面図であり、図3、図5乃至図8、図10、図13と同一要素には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0154】
すなわち、図14に示すように、本実施の形態による回転電機の固定子1は、前記図3、図5乃至図8、図10、図13に示す第3、第5乃至第8、第10、第13の実施の形態による回転電機の固定子1において、各単位固定子枠8間を互いに軸方向に結合するリブ9、または内部固定子枠11に設ける溝14のスキュー方向と、固定子鉄心3のスロット16のスキュー方向とが同一方向となるように構成としている。
【0155】
次に、以上のように構成した本実施の形態による回転電機の固定子1においては、各単位固定子枠8間を互いに軸方向に結合するリブ9、または内部固定子枠11に設ける溝14のスキュー方向と、固定子鉄心3のスロット16のスキュー方向とが同一方向となるようにしていることにより、スキュー効果を増加させて、より一層電磁力が分散することとなるため、固定子1で発生する振動および騒音をより一層効果的に低減することができる。
【0156】
上述したように、本実施の形態による回転電機の固定子1では、固定子1で発生する振動および騒音をより一層極めて効果的に低減することが可能となる。
【0157】
(第15の実施の形態)
本実施の形態では、固定子1と回転子4とを備えて構成される回転電機において、固定子1として、前記第1乃至第14のいずれか一つの実施の形態の固定子を備えて回転電機を構成している。
【0158】
これにより、回転電機全体で発生する振動および騒音を極めて効果的に低減することが可能となる。
(その他の実施の形態)
尚、本発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で、種々に変形して実施することが可能である。
例えば、本発明は、一般産業用・巻上機等の電動機への用途に限らず、発電機、同期機等のその他の回転電機についても、前述の場合と同様に適用して同様の作用効果を得ることができる。
【0159】
また、各実施の形態は可能な限り適宜組合わせて実施してもよく、その場合には組合わせた作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合わせにより、種々の発明を抽出することができる。
例えば、実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題(の少なくとも一つ)が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果(の少なくとも一つ)が得られる場合には、この構成要件が削除された構成を発明として抽出することができる。
【0160】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の回転電機の固定子によれば、板状の固定子枠をその軸方向に複数に分割して単位固定子枠とし、各単位固定子枠の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにようにしているので、円環振動モードM=2、4、6、8……、偶数角形の四角形、六角形、八角形……の構造物の場合であっても、前述した従来のような種々の問題点が生じることなく、しかも固定子の外形が大きくなることなく、実際に発生する円環振動モードn=2の変形が発生し難くなり、振動および騒音の低減を十分効果的に図ることが可能となる。
【0161】
また、本発明の回転電機によれば、高精度の固定子枠を容易に製造することが可能となる。
【0162】
さらに、本発明の回転電機によれば、上記構成の固定子を備えるようにしているので、固定子鉄心自体が変形し難く、固定子枠に楕円モードの変形が発生し難くなり、これにより回転電機全体での振動および騒音を十分効果的に低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による回転電機の固定子の第1の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図2】本発明による回転電機の固定子の第2の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図3】本発明による回転電機の固定子の第3の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図4】本発明による回転電機の固定子の第4の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図5】本発明による回転電機の固定子の第5の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図6】本発明による回転電機の固定子の第6の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図7】本発明による回転電機の固定子の第7の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図8】本発明による回転電機の固定子の第8の実施の形態を示す両側面図および正面図。
【図9】本発明による回転電機の固定子の第9の実施の形態を示す斜視図。
【図10】本発明による回転電機の固定子の第10の実施の形態を示す斜視図。
【図11】本発明による回転電機の固定子の第11の実施の形態を示す側面図および正面図。
【図12】本発明による回転電機の固定子の第12の実施の形態を示す側面図。
【図13】本発明による回転電機の固定子の第13の実施の形態を示す側面図および断面を含む正面図。
【図14】本発明による回転電機の固定子の第14の実施の形態を示す側面図および断面を含む正面図。
【図15】騒音発生のメカニズムを説明するための図。
【図16】円環振動モードを説明するための図。
【図17】電磁力モードを説明するための図。
【図18】電磁力と固有モードの関係から振動を発生するしくみを説明するための図。
【図19】振動特性を説明するための図。
【図20】従来の誘導電動機の一構成例を示す縦断面図。
【符号の説明】
1…固定子、
2…固定子枠、
3…固定子鉄心、
4…回転子、
5…軸受、
6…回転軸、
7…回転子鉄心、
8…単位固定子枠、
9…リブ、
10…リブ、
11…内部固定子枠、
12…溝、
13…溝、
14…溝、
15…据付用座、
16…固定子鉄心3のスロット。
Claims (15)
- 板状の固定子枠と、当該固定子枠の内周部に固定された円筒状の固定子鉄心とを備えて構成される回転電機の固定子において、
前記固定子枠をその軸方向に複数に分割して単位固定子枠とし、
前記各単位固定子枠の軸方向に直交する方向の断面の外周を、偶数角形に形成し、当該偶数角形の次数を、2を除く偶数次数とし、かつ各対角となる辺の長さを非対称となるようにしたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項1に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブを少なくとも1個設けたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項2に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブを、軸芯に対して軸方向に対してスキューさせて設けたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項1に記載の回転電機の固定子において、
前記固定子鉄心の外周部と前記各単位固定子枠の内周部との間に円筒状の内部固定子枠を設け、かつ当該内部固定子枠にその軸方向とほぼ平行な溝を少なくとも1個設けたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項4に記載の回転電機の固定子において、
前記内部固定子枠に設ける溝を、軸方向に対してスキューさせたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項4または請求項5に記載の回転電機の固定子において、
前記内部固定子枠に設ける溝を、軸方向のほぼ中央にて結合させたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠間を、前記内部固定子枠の外周側において軸方向とほぼ平行な少なくとも1個のリブにより互いに結合させたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項7に記載の回転電機の固定子において、
前記内部固定子枠に設ける溝を軸方向に対してスキューさせ、かつ当該スキューの角度とほぼ同一方向に前記各単位固定子枠間を結合するリブをスキューさせたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項1に記載の回転電機の固定子において、
前記単位固定子枠を、前記固定子鉄心の軸方向でかつほぼ中心部にも配置したことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項9に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠の形状を、固定子枠全体として軸方向に沿って徐々に変化させるようにし、かつ当該変化状態としては、各々の角部を結んだ場合に当該結んだ線が軸方向に対してスキューするようにしたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠に、固定子本体を据え付け場所に据え付けする据付用座を設けたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項11に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠に設ける据付用座の位置としては、前記固定子鉄心の起磁力による楕円モード変形の中正軸半径を、前記固定子鉄心のスロット底半径と外径半径の平均半径となるようにした場合に、前記中正軸半径のほぼ4/3倍の位置となるようにしたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の回転電機の固定子において、
前記固定子鉄心のスロットを、軸方向に対してスキューさせたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 前記請求項3、請求項5乃至請求項8、請求項10、請求項13のいずれか1項に記載の回転電機の固定子において、
前記各単位固定子枠間を互いに軸方向に結合するリブ、または前記内部固定子枠に設ける溝のスキュー方向と、前記固定子鉄心のスロットのスキュー方向とが同一方向となるようにしたことを特徴とする回転電機の固定子。 - 固定子と回転子とを備えて構成される回転電機において、前記固定子として、前記請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の固定子を備えて成ることを特徴とする回転電機。
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