JP4027174B2 - 自動車のシートトラックカバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート裏面が取付けられるアッパレールと、底面部の両側に側面部が形成されて、アッパレールを部分的に上方へ突出させて収納した状態でアッパレールの両側のフランジ部をスライド可能にガイドするガイド部材が両側に設けられたロアレールとを備えたシートトラックにおいて、後方へスライドしてきてロアレールから突出したアッパレール部分を逃がすために、フロアに形成されたロアレール収納用溝に後続する逃し溝をカバーするための自動車のシートトラックカバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
重量増を回避するためにロアレールを敷設することなく、ハット形のアッパレールを進入させるこのような逃し溝に対して、その両側のフロア周辺に一対のゴム製のヒレを片側で取付けて、隣合う切れ目にその変形によりアッパレールを進入させるカバー構造が周知である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなカバー構造の場合、大きな荷重が加わるとゴムが変形する問題がある。一方、特開平11−268560号公報によれば、逆T字形のアッパレールに対してロアレールの後端部を固定するコの字形レッグブラケットの上面に、アッパレールを侵入させる隙間を中央部に置いて両側一対の合成樹脂製のカバープレートを設けたカバー構造が提案されている。この場合も同様に片側支持構造となり、また隙間の間隔は、逆T字形を形成するように通常2枚のL字形プレートを背合わせした厚みに対応することになる。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みて、アッパレールを進入させる隙間を狭くし、しかも片側支持構造による変形も抑制し得るハット形のアッパレールを前提にした自動車のシートトラックカバーを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1により、シート裏面が取付けられる上面部、その両側の側面部及びその下端のフランジ部で断面ハット形に形成されたアッパレールと、底面部の両側に側面部が形成されて、アッパレールを部分的に上方へ突出させて収納した状態で両側のフランジ部をスライド可能にガイドするロアレールとを備えたシートトラックに対して、後方へスライドしてきてロアレールから突出したアッパレール部分を逃がすために、フロアに形成されたロアレール収納用溝に後続する逃し溝をカバーするための自動車のシートトラックカバーにおいて、アッパレールを進入させるように互いに離間して逃し溝の両側の側壁に係合する両側の側面部と、その上端から内側へ曲げられてアッパレール側面部の外面に接近する横幅を有することにより、アッパレールフランジ部の上方をカバーする両側の周辺上面部と、アッパレール上面部の内面に接近する高さに位置し、かつアッパレール側面部の両側の内面に接近する横幅を有する中央上面部と、この中央上面部をアッパレールの侵入位置の内側で支持するように、側面部に連結された中央上面部用支持部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
シートトラックカバーは、その側面部で逃し溝に係合すると共に、両側の周辺上面部及び中央上面部で逃し溝をカバーする。アッパレールは、そのハット形の両側の側面部を中央上面部及び周辺上面部間の隙間に進入させて、中央上面部の上方をスライドしてくる。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1乃至図5を基に本発明の実施の形態の一例による自動車のシートトラックカバーを説明する。フロントシート1のクッション部1aの両側には、図3に示すように、そのシートフレーム2がボルト37で取付けられる上面部31、その両側の側面部32及びその下端のフランジ部33を有する断面ハット形のアッパレール3と、底面部51、その両側の側面部52及びその上端のフランジ部53を有してフロア4の溝4aに収納された断面C字形のロアレール5とを備えたシートトラックが敷設されている。このシートトラックには、シートバック1bを傾倒させたり或いはスライド位置を拘束するロック機構等が付属している。
【0008】
フランジ部33、53は、ボール38を収納する溝34を形成するように、上下に曲面を伴って曲げられると共に、底面部51は階段状に上昇して曲面状のフランジ部33とでボール39を収納する溝35を形成している。また、ボール38、39は、フランジ部33側に保持されてロアレール5に沿って転動する。
【0009】
図2に示すように、溝4aの後方には、後方へスライドしてきてロアレール5から後方へ突出するアッパレール部分を逃がすための逃し溝4bが連続して形成されている。ロアレール5はブラケット6に接合されており、その後端部は溝4aの後方で下降して深くなった逃し溝4bの底面部分のフロア4にねじ59で固定され、その前方もフロア4にねじ止めされている。
【0010】
逃し溝4bに装着されるシートトラックカバー10は、図1及び図4に示すように、アッパレール3を進入させ得るように、その横幅に対応して互いに離間し、さらにロアレール5の側面部52に係合するようにその外面間と略同一の離間距離に設定された両側の側面部11と、アッパレール3の溝34の上方をカバーするように、側面部11の上端で内側へ水平に曲げられ、かつアッパレール3の側面部32の外面に接近する横幅を有する両側の周辺上面部12と、アッパレール3のボルト止めされた上面部31に干渉しないように、周辺上面部12よりも僅かに下方に位置してフランジ部53の水平部と略同一面状の高さ位置を占め、かつ側面部32のそれぞれの内面に接近する横幅を有する中央上面部13と、その両側端から下降した両側の側面部14及びその下端のフランジ部15で中央上面部13と共に断面ハット形を形成して、中央上面部13をアッパレール3の進入位置の内側で側面部11から支持する支持部と、後端の背面部16とを備えて、合成樹脂により一体に成形されている。
【0011】
これにより、シートトラックカバー10の上面は、周辺上面部12の自由端及び中央上面部13間の側面部32の板厚よりも僅かに広く設定された2個の隙間18を介して、周辺上面部12及び中央上面部13とにより略同程度の横幅で3分割されている。
【0012】
側面部11は、前方部分10aでロアレール5の側面部52に係合するように、逃し溝4bよりも長い前後長に設定され、逃し溝4bの前端部の下降形状に対応して傾斜部が形成され、また側面部11の高さ幅は逃し溝4bの深さに対応している。溝4aの横幅は、側面部11が、側面部52に係合した状態で溝4a及び逃し溝4bの側壁41にも係合するように、ロアレール5の側面部52の離間距離よりも僅かに広く設定されている。また、中央上面部13と共に断面ハット形を形成するシートトラックカバー10の中央部の前方部分10bも側面部11と同一前後長に設定されている。フランジ部15は、アッパレール3のフランジ部33のボール39によるガイド部材に干渉しない高さ位置に設定され、またフランジ部15の前方部分は、ロアレール5に干渉しないように、横幅を狭く設定されて側面部11から分離されている。
【0013】
このように構成された自動車のシートトラックカバーの動作は次の通りである。シートトラックカバー10は、逃し溝4bに装着され、その側壁41及びロアレール5に係合した状態でフロア4或いはロアレール5と略同一面状になり、逃し溝4bをカバーすると共に、前方部分でC字形のロアレール5をカバーすることにより、見栄えが確保される。溝4a及びロアレール5間の細隙は、マットでカバーできる。上面周辺部12は片側支持構造であるが、前述の3分割構造により、例えばハイヒールの細いヒール部分で踏まれて荷重が集中しても変形が抑制される。中央上面部13は両側の側端で支持することにより、大きな荷重に耐えることができる。その両側の隙間18はレール材1枚の板厚程度であり、物の落込みを充分に防止できる。
【0014】
フロントシート1が後方へ大きくスライドしてくると、アッパレール3の側面部32は隙間18に進入し、中央上面部13はアッパレール3の内側に位置して、その上方で上面部31を通過させ、フランジ部33は側面部11、側面部14及びフランジ部15で形成される空間部に進入してくる。
【0015】
尚、アッパレールの横幅に対応するシートトラックカバーの側面部は、ロアレールに係合せずに単に後方に配置される場合には、ロアレールの側面部と略同一離間距離に設定する。ロアレール収納用溝に後続する逃し溝が相対的に深くならない場合は、対応した形状に構成することができ、また中央上面部の支持部として断面ハット形に限らず、その両側を支持するのを前提に変形も可能である。
【0016】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、シートトラックカバーの上面部が、2個の狭い隙間を介して3分割され、それぞれの支持強度が向上すると共に、荷重が分散され易くなり、また荷重が集中しても変形しにくくなる。請求項2の発明によれば、支持部により、中央上面部の両側が支持されると共に、そのフランジ部で両側の側面部も互いに連結される。請求項3の発明によれば、前方部分でロアレールにも係合することにより装着状態が一層安定し、中央上面部の前方部分とでロアレールもカバーされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による自動車のシートトラックカバーの要部斜視図である。
【図2】同シートトラックカバーが装着されるシートトラックの側面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図1のB−B線断面図である。
【図5】同シートトラックカバーの斜視図である。
【符号の説明】
1 フロントシート
1a クッション部
3 アッパレール
4a フロアの溝
4b 逃し溝
5 ロアレール
10 シートトラックカバー
11、14 シートトラックカバーの側面部
12 シートトラックカバーの周辺上面部
13 シートトラックカバーの中央上面部
15 フランジ部
18 隙間
31 アッパレールの上面部
32 アッパレールの側面部
33 アッパレールのフランジ部
51 ロアレールの底面部
52 ロアレールの側面部
53 ロアレールのフランジ部

Claims (3)

  1. シート裏面が取付けられる上面部、その両側の側面部及びその下端のフランジ部で断面ハット形に形成されたアッパレールと、底面部の両側に側面部が形成されて、アッパレールを部分的に上方へ突出させて収納した状態で両側のフランジ部をスライド可能にガイドするロアレールとを備えたシートトラックに対して、後方へスライドしてきてロアレールから突出したアッパレール部分を逃がすために、フロアに形成されたロアレール収納用溝に後続する逃し溝をカバーするための自動車のシートトラックカバーにおいて、
    アッパレールを進入させるように互いに離間して逃し溝の両側の側壁に係合する両側の側面部と、その上端から内側へ曲げられてアッパレール側面部の外面に接近する横幅を有することにより、アッパレールフランジ部の上方をカバーする両側の周辺上面部と、アッパレール上面部の内面に接近する高さに位置し、かつ前記アッパレール側面部の両側の内面に接近する横幅を有する中央上面部と、この中央上面部を前記アッパレールの侵入位置の内側で支持するように、前記側面部に連結された中央上面部用支持部とを備えたことを特徴とする自動車のシートトラックカバー。
  2. 中央上面部用支持部が、中央上面部とで断面ハット形を形成するように、前記中央上面部の両側の側面部及びその下端のフランジ部により構成されたことを特徴とする請求項1記載の自動車のシートトラックカバー。
  3. 逃し溝の両側の側壁に係合する両側の側面部が、その前方部分でロアレールの外周に係合するように、両側のロアレール側面部の外面間と略同一離間距離に設定されると共に、中央上面部は、その前方部分がロアレール内に進入するように、前記側面部と略同一前後長に設定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動車のシートトラックカバー。
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