JP4026314B2 - ホース繰り出し巻き取り装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホース繰り出し巻き取り装置に関するものであり、特に、走行式液体散布機にアタッチメントとして搭載して補助散布用ホースの繰り出し巻き取り装置として用いて好適な、ホース繰り出し巻き取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ブーム式液体散布機等の走行式液体散布機においては、ノズルブーム等を用いて行う広範囲への散布に適する通常散布用の配管の他に、手持式ノズルにつながる補助散布用の配管をも備えておくと、走行機体が入り込めないような狭小な圃場でも散布を行うことができるほか、変形圃場等においてもその隅々にまで液体散布が行えて、好適である。
【0003】
そこで、従来、例えば、手持式補助ノズルと、前記走行機体に搭載されたタンク内の散布液を前記手持式補助ノズルへと送り出すためのホースの巻き取りリールと、を前記走行機体に搭載したものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補助散布用の前記従来のホースリールは、ホースの繰り出しも巻き取りも人力で行う人力式のものであり、作業者の疲労が大きい等の問題がある。
【0005】
そこで、省力化のため、前記ホースリールを動力駆動式にせしめるとしても、前記走行機体に搭載して補助的に使用するものである関係上、コンパクトなものが望ましいほか、操作性も良いことが要求される。
【0006】
本発明は、前記の如き事情に鑑みてなされたもので、コンパクトで且つ操作性も良い、ホース繰り出し巻き取り装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係るホース繰り出し巻き取り装置は、ホース巻き取り駆動軸とホースリールとの間の駆動系に介装されたベルトテンション式クラッチと、前記ホース巻き取り駆動軸を制動するベルト式ブレーキと、前記ベルトテンション式クラッチ(20)及び前記ベルト式ブレーキを操作するための単一の操作部材であって、前記ベルトテンション式クラッチがつながり且つ前記ベルト式ブレーキがかかった状態のホースリール固定操作位置からホース巻き取り操作位置へと操作することにより前記ベルト式ブレーキを解除せしめるとともに前記ホース巻き取り駆動軸を始動せしめ、前記ホースリール固定操作位置(NP)からホース繰り出し操作位置へと操作することにより前記ベルトテンション式クラッチを切断せしめる単一の操作部材と、を備えたものである(請求項1)。
【0008】
前記ホース繰り出し巻き取り装置において、前記単一の操作部材が前記ホースリール固定操作位置にある時には、前記ベルトテンション式クラッチ(以下単に「クラッチ」という。)がつながり、且つ前記ベルト式ブレーキ(以下単に「ブレーキ」という。)によって前記ホースリール駆動軸が制動されている。
【0009】
ここで、前記単一の操作部材を、前記ホースリール固定操作位置から前記巻き取り操作位置へと操作すると、前記ブレーキが解除されるので、前記ホース巻き取り駆動軸が回転可能となると同時に該ホース巻き取り駆動軸が始動させられ、該ホース巻き取り駆動軸の作動によって、前記ホースリールがホース巻き取り方向へと回転駆動させられる。したがって、前記ホース巻き取り駆動軸を始動せしめるために別の操作をする必要がなくなるので、操作性が良好である。
【0010】
一方、前記単一の操作部材を、前記ホースリール固定操作位置から前記ホース繰り出し操作位置へと操作すると、前記クラッチが切れるので、前記ホースリールがホース繰り出し方向へと遊転可能となり、前記ホースリールに巻き付けられたホースの引き出しが可能となる。
【0011】
以上のように、本発明によれば、前記単一の操作部材で前記クラッチと前記ブレーキの操作が行われるので、操作性が良いほか、前記クラッチと前記ブレーキのそれぞれに対応して操作部材を設ける場合に比べて、その全体をコンパクトにせしめることができる。このため、例えば、走行式液体散布機に補助散布用のアタッチメントとして搭載する場合等に、特に好適である。
【0013】
また、前記ホース繰り出し巻き取り装置を、アタッチメントとして前記走行式液体散布機に搭載せしめる場合、例えば、該走行式液体散布機側に備えられた動力取り出し軸(PTO軸)を前記ホース巻き取り駆動軸に連結し、該走行式液体散布機側からの駆動力で前記ホースリールを巻き取り方向に回転駆動させるようにせしめることもできる。
【0014】
これに対し、前記ホース巻き取り駆動軸を、電動モータの出力軸とせしめれば(請求項)前記走行式液体散布機側の動力源への接続作業が容易となるので、前記走行式液体散布機への取付性が良くなるほか、他の原動機を有する構成とした場合に比べて、前記ホース繰り出し巻き取り装置全体の大きさをよりコンパクトにせしめることができ、なお一層好適である。
【0015】
さらに、前記ホース巻き取り駆動軸と前記単一の操作部材とが、前記ホースリールを回転自在に支持するホースリール支持フレームに支持されたものとせしめれば(請求項3)、前記ホース繰り出し巻き取り装置の全体としてのまとまりが良くなり、よりコンパクトにもなるので、その取り扱い性が良好となる。よって、例えば、前記走行式液体散布機への取付作業等も容易となり、好適である。
【0016】
本発明の他の実施の形態に係るホース繰り出し巻き取り装置として、前記単一の操作部材が、揺動操作レバーであり、該揺動操作レバーを常時互いに逆方向へ付勢することによって該揺動操作レバーを前記ホースリール固定操作位置に保持する一対の揺動操作レバー付勢手段を備え、前記クラッチと前記ブレーキのそれぞれを、前記揺動操作レバーが前記ホースリール固定操作位置にある時に前記クラッチがつながり且つ前記ブレーキがかかった状態となるように前記一対の揺動操作レバー付勢手段のそれぞれに作動上連結したものとせしめることもできる(請求項)。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な一実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施の形態に係るホース繰り出し巻き取り装置を搭載した走行式液体散布機の一例としてのブーム式散布機の平面図、図2は、図1におけるホース繰り出し巻き取り装置のA矢視要部拡大図、図3は、図2のホース繰り出し巻き取り装置の一操作状態(ホース巻き取り操作状態)を示す図、図4は、図2のホース繰り出し巻き取り装置の他の操作状態(ホース繰り出し操作状態)を示す図、図5は、図2のホース繰り出し巻き取り装置の操作部の斜視要部拡大図である。
【0019】
図1に示すように、本実施の形態に係るホース繰り出し巻き取り装置1は、例えば、走行式液体散布機の一例としての農用ブーム式散布機2に、補助散布用ホース3の繰り出し巻き取り装置として搭載して使用される。
【0020】
前記ブーム式散布機2は、それ自体周知のもので、運転席4を有する乗用式走行機体5の前部に折り畳み式ブーム装置6を備えている。該ブーム装置6は、その下面の長さ方向に沿ってノズル管7を備えていて、該ノズル管7には、その長さ方向に沿って、通常散布用の多数の噴霧ノズル8が配設されている。前記走行機体5に搭載された散布液タンク9内の散布液は、同じく前記走行機体5に搭載された高圧プランジャ式等のポンプ10で、前記噴霧ノズル8へと圧送される。したがって、前記ブーム装置6を、前記走行機体5の進行方向に向かって左右方向外方へ展張して走行しながら噴霧を行うことにより、栽培植物に対し、防除液や液体肥料等の散布液を、一度に幅広に散布することができる。
【0021】
図1の例では、前記ホース繰り出し巻き取り装置1を、前記走行機体5の最後部に取り付けている。前記ホース繰り出し巻き取り装置1によって繰り出し及び巻き取りされる前記補助散布用ホース3の一端部3aには、開閉コック11を有する補助散布用の手持式ノズルランス12が接続されている。また、図示してはいないが、前記ホース3の他端部は、前記ブーム装置6を用いて行う通常散布と、前記手持式ノズルランス12を用いて行う補助散布と、を切り換える切換コックを介して、前記ポンプ10の吐出口に連通している。作業者は、前記切換コックを操作して前記ポンプ10から吐出される散布液の液圧回路を切り換え、前記ホース繰り出し巻き取り装置1から前記ホース3を引き出すことにより、例えば、前記ブーム式散布機2が入り込めないような狭小な圃場や変形圃場等でも、前記手持式ノズルランス12を用いて散布を行うことができる。
【0022】
前記ホース繰り出し巻き取り装置1は、ホースリール13と、該ホースリール13を回動自在に支持するホースリール支持フレーム14と、該ホースリール支持フレーム14に支持されるとともに前記ホースリール13をホース巻き取り方向に回転駆動するホース巻き取り駆動源としての電動モータ15と、を備えている。そして、前記ホース繰り出し巻き取り装置1は、前記ホースリール支持フレーム14をボルト16等の適宜の固着手段で前記走行機体5に着脱自在に固着することにより、前記ブーム式散布機2に取り付けられている。前記電動モータ15は、電源への図示しない接続部を、前記走行機体5に設けられた電気回路に接続され、前記走行機体5に搭載されたバッテリ17等の電源から直流電力を供給されて、回転する。
【0023】
本発明では、図2に示すように、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22は、一対の操作レバー付勢手段(29−33,30−35)で常時互いに逆方向L−Rへ付勢されることによって、前記クラッチ20がつながり且つ前記ブレーキがかかった状態の、中立なホースリール固定操作位置NPに保持されている。そして、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPからホース巻き取り操作位置LPへ操作すると、前記ブレーキ21が解除され(図3参照)、一方、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPから前記ホースリール巻き取り操作位置LPとは反対方向のホース繰り出し操作位置RPへと操作すると、前記クラッチ20が断たれるようになっている(図4参照)。
【0024】
図2及び図5を参照して説明すると、前記ホース繰り出し巻き取り装置1は、ホース巻き取り駆動軸となる前記モータの出力軸18と、前記ホースリール13の回転軸19と、の間の駆動系に介装されたクラッチ20と、前記モータ出力軸18を制動するブレーキ21と、前記クラッチ20及び前記ブレーキ21を操作するための単一の操作部材としてのクラッチ・ブレーキ操作レバー22と、を備えている。
【0025】
本実施の形態では、前記クラッチ20として、ベルトテンション式クラッチを採用し、前記ブレーキ21として、ベルト式ブレーキを採用している。図2に示すように、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22は、一対の操作レバー付勢手段(29−33,30−35)で常時互いに逆方向L−Rへ付勢されることによって、前記クラッチ20がつながり且つ前記ブレーキ21がかかった状態の、中立なホースリール固定操作位置NPに保持されている。そして、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPからホース巻き取り操作位置LPへと操作すると、前記ブレーキ21が解除され(図3参照)、一方、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPから前記ホースリール巻き取り操作位置LPとは反対方向のホース繰り出し操作位置RPへと操作すると、前記クラッチ20が断たれるようになっている(図4参照)。
【0026】
本実施の形態では、図5に示すように、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22は、前記モータ15を支持するモータ取付板23に固着された操作レバー枢支軸24に、相対回動自在に取着されている。前記モータ取付板23は、前記ホースリール支持フレーム14に固着されたモータ支持台25上に立設されている。前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22は、前記ホースリール支持フレーム14と一体の適宜の固定部(図示せず)に支持された操作レバー案内板26の案内溝27に沿って、前記操作レバー枢支軸24を中心として、図2乃至図5で見て左右方向L−Rに揺動操作される。
【0027】
前記モータ取付板23には、前記操作レバー枢支軸24と同様に、アーム枢支軸28も固着されている。該アーム枢支軸28は、図2に明瞭に示すように、前記操作レバー枢支軸24の真下に位置していて、前記操作レバー枢支軸24と互いに平行に延びている。前記アーム枢支軸28には、いずれも前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22とは互いに異なる平面内で回動するクラッチアーム29とブレーキアーム30とが、相対回動自在に取着されている。
【0028】
前記クラッチアーム29の揺動先端部には、クラッチベルト20aとともに前記クラッチ20を形成するテンションプーリ20bが回動自在に軸止されている。前記クラッチベルト20aは、前記ホース3を適度の速度で巻き取れるように減速機15a(図5参照)で所定回転数に減速される前記モータ15の前記モータ出力軸18に固着されたホースリール駆動プーリ31と、前記ホースリール回転軸19に固着された従動プーリ32と、の間に緩く巻き掛けられていて、その外側から係合するとともにクラッチアーム付勢手段としての引張ばね33で前記クラッチベルト20aの内方へと常時付勢された前記テンションプーリ20bによって、所定の張力を付勢されている。前記クラッチアーム引張ばね(コイルスプリング)33とともに前記一対の操作レバー付勢手段の内の一方を形成する前記クラッチアーム29は、前記アーム枢支軸28を中心として、前記クラッチベルト20aに張力を付与する方向、ずなわち、図2で見て時計回り方向に常時付勢されている。
【0029】
一方、前記ブレーキアーム30の揺動一端部30aには、前記ブレーキ21を形成するブレーキベルト21aの一端部21asが止着されている。前記ブレーキベルト21aは、前記ホースリール駆動プーリ31と共に前記モータ出力軸18に固着されたブレーキプーリ34に巻き掛けられて、その他端部21aeを、前記ホースリール支持フレーム14と一体の適宜の固定部14aに対して止着されている。前記ブレーキアーム30は、ブレーキアーム付勢手段としての引張ばね(コイルスプリング)35で、前記アーム枢支軸28を中心として、前記ブレーキベルト21aに張力を付与する方向、すなわち、図2で見て時計回り方向に常時付勢されている。前記ブレーキアーム引張ばね35は、前記ブレーキアーム30とともに、前記一対の操作レバー付勢手段の内の他方を形成している。
【0030】
前記クラッチアーム29と前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22との間、及び、前記ブレーキアーム30と前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22との間には、互いに当接して前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を前記ホースリール固定操作位置(中立位置)NPに保持せしめる当接部(39−38,40−41)が、それぞれ対にして介装されている。
【0031】
本実施の形態では、図5に示すように、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の基端平板部36に、前記アーム枢支軸28と互いに平行に延びる突出部37を形成し、該突出部37の先端部に、操作レバー保持位置調節部材を兼ねるボルト38を、前記操作レバー側当接部として、突出量調節自在にねじ結合せしめている。前記ボルト38は、図2でみて前記操作レバー枢支軸24及び前記アーム枢支軸28の右側で、前記クラッチアーム側当接部としての前記クラッチアーム29の上縁部39に当接している。既に述べたように、前記クラッチアーム29は、前記クラッチアーム引張ばね33で、図2で見て時計回り方向に常時回動付勢されているので、前記クラッチアーム29が、前記ボルト38を介して、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、図2で見て時計回り方向Lに常時回動付勢していることになる。
【0032】
一方、前記ブレーキアーム30には、ブレーキアーム側当接部として、前記操作レバー枢支軸24と互いに平行に延びるピン40を固着している。該ピン40は、図2で見て前記操作レバー枢支軸24及び前記アーム枢支軸28の左側で、前記操作レバー側当接部としての、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の前記基端平板部36の下縁部41に当接している。既に述べたように、前記ブレーキアーム30は、前記ブレーキアーム引張ばね35で、図2で見て時計回り方向に常時回動付勢されているので、前記ブレーキアーム30が、前記ピン40を介して、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、図2で見て時計回り方向Rに回動付勢していることになる。
【0033】
そして、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22は、前記クラッチレバー29と前記ブレーキレバー30とによる前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の互いに逆方向L−Rへの回動付勢力が互いに釣り合うことにより、中立の前記ホースリール固定操作位置NPに保持されている。
【0034】
発明では、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22が、前記モータ15の作動を制御するための操作部材をも兼ねている。すなわち、図2で見て、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の揺動基端部22aの左側には、前記モータ15の制御部材としての押しボタン式ON−OFFスイッチ42が配設されている。該モータ制御スイッチ42は、OFFの状態が維持されるように常時付勢されていて、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPから、図2で見て左側の前記ホースリール巻き取り操作位置LPへと揺動操作することにより、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22に押されてONになる。前記クラッチ・ブレーキ操作レバーに加えていた揺動操作力を弱めると、該クラッチ・ブレーキ操作レバー22は前記ホースリール固定操作位置NPへと戻され、前記モータ制御スイッチ42は、自動的にOFFとなる。
【0035】
以上の構成において、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22は、常時は、前記クラッチレバー29と前記ブレーキレバー30とによる前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の互いに逆方向L−Rへの回動付勢力が互いに釣り合うことにより、図2に示す前記ホースリール固定操作位置NPに保持されている。前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22が、前記ホースリール固定操作位置NPにある時には、前記クラッチアーム引張ばね33によって、前記テンションプーリ20bを介して前記クラッチベルト20aに所定の張力が付与されて、前記クラッチ20がつながるとともに、前記ブレーキアーム引張ばね35によって前記ブレーキベルト21aに制動用張力が付与されて、前記ブレーキ21が作動している。このため、前記ホースリール13は回動不能であり、前記ホース3の前記一端部3a側を引っ張っても、前記ホース3が繰り出されることはないので、移動時や散布作業時に、前記ホース3が緩んでからまったりする不都合は生じない。
【0036】
次に、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPから、図3に示す前記ホース巻き取り操作位置LPへと左方Lへ揺動操作すると、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の前記基端平板部36が、前記ピン40を介して、前記ブレーキアーム30を、前記ブレーキアーム引張ばね35の引張付勢力に抗して、前記アーム枢支軸28を中心として、図3で見て、時計回り方向に回動せしめる。このため、前記ブレーキアーム30に接続された前記ブレーキベルト21aが前記ブレーキプーリ34から緩んで、前記ブレーキ21が解除される。そして、該ブレーキ21の解除と同時か、あるいはブレーキ解除の直後に、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22の前記揺動基端部22aが前記モータ制御スイッチ42に当接して、該モータ制御スイッチ42がONになり、前記モータが作動する。これにより、前記ホースリール13が、ホース巻き取り方向Bへと回動駆動される。
【0037】
発明では、前記ホースリール13による前記ホース3の自動巻き取りは、作業者が、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を前記ホース巻き取り操作位置LPに保持している間だけ継続する。そして、前記作業者が、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を解放すると、前記ブレーキアーム引張ばね35の付勢力によって、前記ブレーキアーム30を介して、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22が自動的に中立の前記ホースリール固定操作位置NPへと戻されることによって、前記ホースリール13による前記ホース3の巻き取りが停止する。
【0038】
逆に、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、前記ホースリール固定操作位置NPから、図4に示す前記ホース繰り出し操作位置RPへと右方Rへ揺動操作すると、前記モータ制御スイッチ42はOFF状態のまま、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22が、前記ボルト38を介して、前記クラッチアーム22を、前記クラッチアーム引張ばね33の付勢力に抗して、前記アーム枢支軸28を中心として、図4で見て時計回り方向に回動せしめる。このため、前記テンションプーリ20bで張力を付与されていた前記クラッチベルト20aが緩んで、前記クラッチ20が断たれ、前記ホースリール13が遊転可能となり、作業者が前記ホース3の前記一端部3a側を引っ張ることにより、前記ホース3を容易に繰り出すことができる。
【0039】
なお、本実施の形態では、図4及び図5に示す如く、前記作業者が前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22から手を離しても該操作レバー22が前記ホース繰り出し操作位置RPに留まるように、前記操作レバー案内板26に、前記案内溝27と連続するレバー保持用凹部27aを形成している。このため、前記ホース3の繰り出し作業を一人の作業者で行うことも可能となり、好適である。
【0040】
また、図示してはいないが、前記ホースリール支持フレーム14に、前記ホース3の巻き取り位置を前記ホースリール13のホース巻き取り幅の範囲で自動的に往復動せしめる、農用ホースリール装置等の分野でそれ自体周知の、ホース自動整列巻き取り機構を設けると、前記ホース3が、前記ホースリール13のホース巻き取り全幅にわたって偏りなく巻き取られるので、一層好適である。
【0041】
さらに、前記クラッチ・ブレーキ操作レバー22を、電動式等のアクチュエータで揺動駆動自在とせしめ、該アクチュエータの作動をラジコン等で遠隔操作可能とせしめることもできる。このようにすれば、前記ホース繰り出し巻き取り装置1を遠隔操作できるので、作業者が一人でも、円滑に補助散布作業を行うことができて、なお一層好適である。
【0042】
さらにまた、本実施の形態では、構成の簡素化のため、前記モータ出力軸18上に、前記ホースリール駆動プーリ31を直接固着しているが、前記モータ出力軸18を、前記ホースリール駆動プーリ31の回転軸とは別体に形成し、これらを互いに分離可能に連結した構成とせしめれば、前記ホースリール繰り出し巻き取り装置1から前記モータ15を取り外すことにより、例えば、前記ブーム式散布機2の動力取り出し軸(PTO軸)や前記ブーム式散布機2に搭載したモータ等から前記ホースリール13の回転駆動力を取り入れる、外部動力取り込み式の装置に容易に変更できる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るホース繰り出し巻き取り装置を搭載した走行式液体散布機の一例としてのブーム式散布機の平面図である。
【図2】 図1におけるホース繰り出し巻き取り装置A矢視要部拡大図である。
【図3】 図2のホース繰り出し巻き取り装置の一操作状態(ホース巻き取り操作状態)を示す図である。
【図4】 図2のホース繰り出し巻き取り装置の他の操作状態(ホース繰り出し操作状態)を示す図である。
【図5】 図2のホース繰り出し巻き取り装置の操作部の斜視要部拡大図である。
【符号の説明】
13 ホースリール
14 ホースリール支持フレーム
15 電動モータ
18 ホース巻き取り駆動軸(出力軸)
20 ベルトテンション式クラッチ
21 ベルト式ブレーキ
22 単一の操作部材(揺動操作レバー、クラッチ・ブレーキ操作レバー)
29−33 揺動操作レバー付勢手段
(29 クラッチアーム 33 クラッチアーム引張ばね)
30−35 揺動操作レバー付勢手段
(30 ブレーキアーム 35 ブレーキアーム引張ばね)
L−R 逆方向
LP ホース巻き取り操作位置
NP ホースリール固定操作位置
RP ホース繰り出し操作位置

Claims (4)

  1. ホース巻き取り駆動軸(18)とホースリール(13)との間の駆動系に介装されたベルトテンション式クラッチ(20)と、前記ホース巻き取り駆動軸(18)を制動するベルト式ブレーキ(21)と、前記ベルトテンション式クラッチ(20)及び前記ベルト式ブレーキ(21)を操作するための単一の操作部材であって、前記ベルトテンション式クラッチ(20)がつながり且つ前記ベルト式ブレーキ(21)がかかった状態のホースリール固定操作位置(NP)からホース巻き取り操作位置(LP)へと操作することにより前記ベルト式ブレーキ(21)を解除せしめるとともに前記ホース巻き取り駆動軸(18)を始動せしめ、前記ホースリール固定操作位置(NP)からホース繰り出し操作位置(RP)へと操作することにより前記ベルトテンション式クラッチ(20)を切断せしめる単一の操作部材(22)と、を備えてなる、ホース繰り出し巻き取り装置。
  2. 前記ホース巻き取り駆動軸が、電動モータ(15)の出力軸(18)である、請求項1に記載のホース繰り出し巻き取り装置。
  3. 前記ホース巻き取り駆動軸(18)と前記単一の操作部材(22)とが、前記ホースリール(13)を回転自在に支持するホースリール支持フレーム(14)に支持されてなる、請求項1または2に記載のホース繰り出し巻き取り装置。
  4. 前記単一の操作部材が、揺動操作レバー(22)であり、該揺動操作レバー(22)を常時互いに逆方向(L−R)へ付勢することによって該揺動操作レバー(22)を前記ホースリール固定操作位置(NP)に保持する一対の揺動操作レバー付勢手段(29−33,30−35)を備え、前記ベルトテンション式クラッチ(20)と前記ベルト式ブレーキ(21)のそれぞれを、前記揺動操作レバー(22)が前記ホースリール固定操作位置(NP)にある時に前記ベルトテンション式クラッチ(20)がつながり且つ前記ベルト式ブレーキがかかった状態となるように前記一対の揺動操作レバー付勢手段(29−33,30−35)のそれぞれに作動上連結してなる、請求項1,2または3に記載のホース繰り出し巻き取り装置。
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