JP3602342B2 - ホース繰出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば農作物に薬液等を散布する動力噴霧機に用いられるホース繰出装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、動力噴霧機としては、例えば実公平5−3252号に記載されたものが知られていると共に、この様な動力噴霧機に用いられるホース繰出装置としては、例えば実用新案登録第2514934号に記載されたものが知られている。
当該ホース繰出装置は、携帯式の送信機と、この送信機の信号を受信しかつ機枠に取付けられた受信機と、この受信機の受信信号により、巻取り方向のみ駆動するホース巻取ドラムと、ホース巻取ドラムの上方にあってホースを送り出せる伝達力をもつV形溝を有する滑車の駆動用モータを選択的に作動させるものである。
而して、この様なものは、ホースの繰出時には、駆動用モータに依り滑車を常時回転させて置き、ホースを引出す時のテンションに依りホースが滑車のV形溝に押付けられて繰出されると共に、ホースの引出しを止めると、ホースが滑車のV形溝に押付けられないのでホースの繰出しが停止される様になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この様なものは、ホースの繰出しに際して、駆動用モータに依り滑車を常時回転させて置くと共に、ホースを引いて滑車のV形溝に食い込ませねばならなかったので、ホースが摩擦に依り損傷し易く、早期にしてホースを交換せねばならないという難点があった。
本発明は、叙上の問題点に鑑み、これを解消する為に創案されたもので、その課題とする処は、ホースの損傷を軽減してその寿命を延伸する事ができるホース繰出装置を提供するにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のホース繰出装置は、本体2と、本体2に回転可能に設けられ、ホース4の巻取り時には電動クラッチを介して原動機からの駆動力により巻取方向へ回転されると共に、ホースリール用制動装置14によりホースの繰出し方向の回転のみを制動されるホースリール3と、ホースリール3に巻きつけられたホースと、本体2に対して非作動位置から作動位置まで移動可能に且つ回転可能に設けられ、回転によりホース4を繰出しするローラ5と、前記ローラ5を回転駆動するモータ6と、ホース4の引出し時に前記ローラ5が非作動位置から変位したことを検出し、モータ6を繰出し方向へ回転させる検出器7とを備えたホース繰出装置に於いて、前記ホースリール用制動装置14を、本体2に俯仰可能に設けたアーム28と、アーム28に回転可能に軸支したホースリール3へ接離可能な制動ローラ29と、制動ローラ29に設けられてホースリール3がホース巻取り方向へ回転するのを許容する一方向クラッチ30とから形成され、前記ローラ5がホース4を繰出しする作動位置にあるときには、制動解除装置15により前記ホースリール用制動装置 14 によるホースリール3の制動を解除する構成としたことを発明の基本構成とするものである。
【0005】
作業者に依りホースを引出すと、ホースが緊張してローラが非作動位置から作動位置に移動される。そうすると、検出器がこの事を検出してモータが繰出方向に回転されてローラが同方向に回転される。ローラが繰出方向に回転されると、ホースが繰出されて作業者に依るホースの繰出しがアシストされる。
作業者に依るホースの引出しを停止すると、ホースの緊張が解かれてローラが作動位置から非作動位置に戻る。そうすると、検出器に依りモータの回転が停止されてローラの同方向の回転も停止され、ローラに依るホースの繰出しが停止される。
ローラは、ホースの引出時のみにモータに依り回転される様にしているので、ホースの損傷が大幅に軽減されて寿命を延伸する事ができる。
モータは、ホースを引出した時に作動されるので、常時作動させる場合に比べて節電を図る事ができる。
【0006】
モータをギャードモータにすると共に、ローラとモータとの間にローラの繰出方向の回転のみを許容する一方向クラッチを設け、ホースの巻取時にはモータを巻取方向に回転させる様にした方が好ましい。
この様にすれば、市販のギャードモータを利用できるので、コストの低減を図る事ができる。ところで、ギャードモータは、減速機を備えているので、所定回転している時や停止している時には、これらより大きい外部回転力が加えられても自由に回転する事ができない。然しながら、ローラとモータとの間には、一方向クラッチが設けられているので、モータに依るホースの繰出速度よりも作業者に依るホースの繰出速度が大きくなっても、一方向クラッチに依りモータに対してローラが繰出方向に自由に回転できてこれが行なえる。ホースの巻取時には、モータを巻取方向に回転させるので、ローラに対してホースが摺接されて損傷する事を防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のホース繰出装置の概要を示す側面図。第2図は、図1の要部を示す正面図。図3は、電気回路図である。
【0008】
ホース繰出装置1は、本体2、ホースリール3、ホース4、ローラ5、モータ6、検出器7とからその主要部が構成されている。
【0009】
本体2は、ホース繰出装置1の基本部分を為すもので、この例では、動力噴霧機の機体にしてあり、図略しているが、前側(図1に於て右側)には原動機(エンジン)とこれに依り駆動されるポンプ(往復動ポンプ)等が搭載されていると共に、下側の前後には車輪が設けられて移動可能に構成されている。
【0010】
ホースリール3は、本体2に回転可能に設けられたものであり、この例では、本体2に横軸廻りに回転可能に設けられて居り、リール胴8と、これに取付けられた左右のリール鍔9と、リール胴8の中心に設けられた中空のリール軸10と、これを回転可能に支持して本体2に取付けられた左右のリール軸受11と、リール軸10に設けられた回転継手(図示せず)とから成っている。
而して、ホースリール3は、図略しているが、電動式クラッチを介して原動機に連繋されて居り、原動機に依り巻取方向(図1に於て時計方向)に回転される様になっている。
【0011】
ホース4は、ホースリール3に巻かれたもので、この例では、ホースリール3のリール胴8に巻かれて居り、基端がホースリール3の回転継手の出口に接続されている。
回転継手の入口とポンプの吐出口とは、別のホース(図示せず)で接続されている。
【0012】
ローラ5は、本体2に対して非作動位置から作動位置まで移動可能に且つ回転可能に設けられたもので、この例では、丸溝を備えた滑車にしてあり、本体2に対して往復動可能、旋回可能、俯仰可能な様にホース横送装置12を介して本体2に設けられていると共に、ホース横送装置12に関連してホース横送用動力伝達装置13、ホースリール用制動装置14、ホースリール用制動解除装置15が設けられている。
【0013】
ホース横送装置12は、ホース4をホースリール3に整列巻させるもので、本体2に設けられた固定体16と、これに横動可能に設けられた往復体17と、固定体16に回転可能に設けられた往復螺旋棒18と、往復体17に設けられて往復螺旋棒18に常時噛合する爪体(図示せず)と、往復体17に設けられて横軸廻りに回転可能な案内ローラ19と、往復体17に旋回可能に設けられた旋回体20と、これに俯仰可能に設けられてローラ5を横軸廻りに回転可能に支持する俯仰体21と、旋回体20と俯仰体21との間に設けられて俯仰体21を常時仰起すべく付勢するスプリング22と、俯仰体21に設けられてホース4を本体2外まで案内する案内筒23とから成っている。
【0014】
ホース横送用動力伝達装置13は、ホースリール3の動力をホース横送装置12に伝達するもので、ホースリール3のリール軸11に楔着された小ベルト車24と、ホース横送装置12の往復螺旋棒18に楔着された大ベルト車25と、これらに掛渡されたベルト26とから成っている。
【0015】
ホースリール用制動装置14は、ホースリール3の繰出方向(図1に於て反時計方向)の回転のみを制動するもので、本体2に固定された支板27と、これに俯仰可能に設けたアーム28と、これに横軸廻りに回転可能に設けられてホースリール3のリール鍔10に外接可能な制動ローラ29と、これの中心に設けられて制動ローラ29の図1に於ける反時計方向のみの回転を許容する一方向クラッチ30と、支板27とアーム28との間に設けられてアーム28が常時俯伏すべく付勢するスプリング31とから成っている。
【0016】
ホースリール用制動解除装置15は、俯仰体21の俯伏時にホースリール用制動装置14に依る制動を解除するもので、ホース横送装置12の旋回体20に昇降可能に設けられて俯仰体21の俯仰に依り昇降する昇降体32と、ホース横送装置12の固定体16に俯仰可能に設けられて昇降体32の横動並びに旋回に関係なく昇降体32の昇降に依り俯仰する揺動体33と、これとホースリール用制動装置14のアーム28との間に設けられて揺動体33の俯仰に依りアーム28を俯仰する調整杆34とから成っている。
【0017】
モータ6は、ローラ5を回転し得るもので、この例では、ギャードモータ(減速機付電動機)にしてあり、モータ本体35が俯仰体21の一側に取付けられていると共に、モータ軸36が俯仰体21を貫通してローラ5の内部に挿通され、ローラ5とモータ軸36との間には、ローラ5の繰出方向(図1に於て時計方向)の回転のみを許容する一方向クラッチ37が介設されている。
而して、モータ6は、巻取スイッチ38の操作に依り正逆回転され、巻取スイッチ38のオフ時には、リレー39のコイルが消磁されてその接点が図3の如く、繰出方向への回転が可能な状態になっていると共に、巻取スイッチ38のオン時には、リレー39のコイルが励磁されてその接点が切換られて巻取方向に回転される様になっている。
巻取スイッチ38がオンの時には、前記した電動式クラッチが接続されて原動機に依りホースリール3が巻取方向に回転される様になっている。
【0018】
検出器7は、ローラ5の作動位置を検出してモータ6を繰出方向に回転させるもので、この例では、ホース横送装置12の一方の固定体17に取付けられたリミットスイッチ40と、ホースリール用制動解除装置16の揺動体34に設けられてホース4の繰出時にリミットスイッチ40を作動させるドッグ41から成っている。
【0019】
次に、この様な構成に基づいてその作用を述解する。
作業者がホース4の先端を持って引き出すと、ホース4が緊張してホース横送装置12の俯仰体21と案内筒23が俯伏する事に依りローラ5が非作動位置から作動位置に移動される。そうすると、ホースリール用制動解除装置15の昇降体32と揺動体33と調整杆34とホースリール用制動装置14のアーム28を介して制動ローラ29がホースリール3のリール鍔9から離間される事に依りホースリール3の制動が解除されると共に、ホースリール用制動解除装置15の揺動体33の揺動に依り検出器7のドッグ41がリミットスイッチ40に接近してこれがオンになり、ローラ5が作動位置になった事が検出される。リミットスイッチ40がオンになると、モータ6が繰出方向に回転されてローラ5が同方向に回転される。ローラ5が繰出方向に回転されると、ホース4が繰出されて作業者に依るホース4の繰出しがアシストされる。
この時、作業者に依るホース4の繰出速度がモータ6に依る繰出速度よりも大きい場合には、一方向クラッチ37に依りモータ6に対してローラ5が繰出方向に自由に回転するので、これが許容される。
【0020】
作業者に依るホース4の引出しを停止すると、ホース4の緊張が解かれてホース横送装置12の俯仰体21と案内筒23が仰起する事に依りローラ5が作動位置から非作動位置に戻る。そうすると、検出器7のリミットスイッチ40がオフになる事に依りモータ6の回転が停止されてローラ5の同方向の回転も停止され、ローラ5に依るホース4の繰出しが停止される。
【0021】
ホース4を巻取る場合は、巻取スイッチ38をオンにする。そうすると、図略している電動式クラッチが接続されて原動機に依りホースリール3が巻取方向に回転され、ホース4がホースリール3のリール胴8に巻取られると共に、リレー39のコイルが励磁されてその接点が切り換えられ、モータ6が巻取方向に回転されてローラ5が同方向に回転される。ローラ5が巻取方向に回転されると、ローラ5に対してホース4が摺接する事がないので、これの損傷を防止する事ができる。
原動機に依りホースリール3が巻取方向に回転される際、ホースリール用制動装置14の制動ローラ29がホースリール3のリール鍔9から離間しなかっても、制動ローラ29が一方向クラッチ30に依り巻取方向に回転可能であるので、ホースリール3の巻取方向の回転が支障なく行なわれる。
ローラ5は、ホース4の引出時のみにモータ6に依り回転される様にしているので、ホース4の損傷が大幅に軽減されて寿命を延伸する事ができる。
【0022】
尚、ローラ5は、先の例では、往復動、旋回、俯仰するものであったが、これに限らず、例えばこれらの運動のうち一つ以上を行なわないものでも良い。
モータ6は、先の例では、ギャードモータを用いたが、これに限らず、例えば減速機を持たない高トルク低速モータ等を用いても良い。
モータ6は、先の例では、ローラ5の外部に設けたが、これに限らず、例えばローラ5の内部に組み込んでも良い。
検出器7は、先の例では、リミットスイッチ40を用いたが、これに限らず、光センサ等を用いても良い。
【0023】
【発明の効果】
以上、既述した如く、本発明に依れば、次の様な優れた効果を奏する事ができる。
(1) 本体、ホースリール、ホース、ローラ、モータ、検出器とで構成し、とりわけ本体に対して非作動位置から作動位置まで移動可能に且つ回転可能に設けられてホースを繰出し得るローラと、これを回転し得るモータと、ローラの作動位置を検出してモータを繰出方向に回転させる検出器とを設けたので、ホースの損傷を軽減してその寿命を延伸する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホース繰出装置の概要を示す側面図。
【図2】図1の要部を示す正面図。
【図3】電気回路図。
【符号の説明】
1…ホース繰出装置、2…本体、3…ホースリール、4…ホース、5…ローラ、6…モータ、7…検出器、8…リール胴、9…リール鍔、10…リール軸、11…リール軸受、12…ホース横送装置、13…ホース横送用動力伝達装置、14…ホースリール用制動装置、15…ホースリール用制動解除装置、16…固定体、17…往復体、18…往復螺旋棒、19…案内ローラ、20…旋回体、21…俯仰体、22,31…スプリング、23…案内筒、24…小ベルト車、25…大ベルト車、26…ベルト、27…支板、28…アーム、29…制動ローラ、30,37…一方向クラッチ、32…昇降体、33…揺動体、34…調整杆、35…モータ本体、36…モータ軸、38…巻取スイッチ、39…リレー、40…リミットスイッチ、41…ドッグ。
Claims (2)
- 本体と、本体に回転可能に設けられ、ホースの巻取り時には電動クラッチを介して原動機からの駆動力により巻取方向へ回転されると共に、ホースリール用制動装置によりホースの繰出し方向の回転のみを制動されるホースリールと、ホースリールに巻きつけられたホースと、本体に対して非作動位置から作動位置まで移動可能に且つ回転可能に設けられ、回転によりホースを繰出しするローラと、前記ローラを回転駆動するモータと、ホースの引出し時に前記ローラが非作動位置から変位したことを検出し、モータを繰出し方向へ回転させる検出器とを備えたホース繰出装置に於いて、前記ホースリール用制動装置を、本体に俯仰可能に設けたアームと、アームに回転可能に軸支したホースリールへ接離可能な制動ローラと、制動ローラに設けられてホースリールがホース巻取り方向へ回転するのを許容する一方向クラッチとから形成され、前記ローラがホースを繰出しする作動位置にあるときには、制動解除装置により前記ホースリール用制動装置によるホースリールの制動を解除する構成としたことを特徴とするホース繰出装置。
- モータをギャードモータにすると共に、ローラとモータとの間にローラのホースの繰出し方向への回転のみを許容する一方向クラッチを設け、ホースの巻取り時には、モータをホースの巻取り方向に回転させる様にした請求項1に記載のホース繰出装置。
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JP23684198A Expired - Lifetime JP3602342B2 (ja) | 1998-08-24 | 1998-08-24 | ホース繰出装置 |
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