JP4025564B2 - 検出素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基本構造がジルコニア固体電解質と一対の電極を検知部として具備する検出素子に関し、特に端子電極との接続のためにスルーホール導体を設けた際に生ずるノイズや素子損傷を防止した検出素子に関する。
【0002】
【従来技術】
まず、従来の検出素子の構造を図9を用いて説明する。図9は、酸素濃度を検知する板状のヒータ一体型の検出素子31を示したものである。この検出素子31によれば、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性の板状の固体電解質32a,32bが空気導入孔37を囲むように形成され、前記固体電解質32aの外表面にはPtからなる測定電極33、空気導入孔37側にはPtからなる基準電極34が形成され、これらの部分が周囲の雰囲気中の酸素濃度を検知する検知部を形成している。これらの電極33、34は、固体電解質32aの両面に形成され、電極33、34間の酸素濃度の比に従った起電力が発生するようになっている。これらの電極33、34は、生の固体電解質シートの表面に、Ptに固体電解質粉末を分散させた金属ペーストを塗布し同時焼成するか、固体電解質板状体を焼成後、Ptからなる無電解メッキを施すことにより形成することができる。
【0003】
そして、空気導入孔37を挟んで対向する固体電解質32bの内部には、酸化アルミニウムからなる絶縁層36に発熱抵抗体35を挟んだ加熱部が内蔵され、これにより検出素子31の検知部を加熱する構造となっている。
【0004】
また、外部との電気的接続に関しては、ジルコニア固体電解質を母材磁器とした検出素子31としては、特開昭58−100746号公報に記載された検出素子のように、上記検知部に設けられている電極(測定電極、基準電極、酸素ポンプ電極等)や加熱部の発熱抵抗体に導通する導体リードがそれぞれ設けられており、これらの導体リードは、検出素子の内部あるいは外部をその長手方向へ走るように配設されて、その端部は、検出素子の上記検知部とは反対側の素子表面に形成された端子電極に接続され、この端子電極に金属部材からなる接触子をバネ性により圧接するコネクタで接続する構造のものが知られている。
【0005】
同様に、前記ジルコニア固体電解質基体が、一端が封止された円筒管からなる円筒状の検出素子の場合にも、導体リードの端部は、円周表面に形成された端子電極と電気的に接続される。
【0006】
また、上記のように導体リードの端部は、酸素センサ素子の両面または、円周上の表面に形成された端子電極とは、検出素子内部から表面まで貫通するように形成されたスルーホール導体によって接続される。
【0007】
しかし、発熱抵抗体用の導体リードを通すスルーホール導体と、上記測定電極用の導体リードを通すスルーホール導体とが、同じジルコニア固体電解質基体に近接して形成されていると、ジルコニア固体電解質が導電性を示すようになる350℃以上に加熱された場合、発熱抵抗体用電流がジルコニア固体電解質を介して前記スルーホール導体間に流れてしまい、測定出力にノイズとなって現れるという問題があった。
【0008】
この問題点を解決するために、特開昭61−134655号公報においてはスルーホール導体の内壁面に高抵抗の電気絶縁層を設けることを提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開昭61−134655号公報のようなスルーホール導体の構造では、比較的高い電圧が印加される発熱抵抗体用のスルーホール導体において、前記電気絶縁層の欠陥、すなわち、スルーホール導体の端子電極との接続部の端面角部で前記絶縁層が極端に薄くなり十分な電気的絶縁性が得られないことが分かった。結果として、発熱抵抗体用電流が固体電解質内に流れてリーク電流となるのを完全に防止することができず、検知部での測定出力に対してノイズとなり、検出素子としての信頼性を低下させるという問題があった。
【0010】
さらにより大きなリーク電流が流れる端子電極と固体電解質が電気的に接触した界面では、固体電解質内の酸素が抜き取られて空孔が生じ黒変してしまい、著しくなると破損に至る場合もあった。
【0011】
したがって、本発明は、リード端子と端子電極間を接続するスルーホール導体間の良好な電気的絶縁性を持つ絶縁構造を提案するもので、発熱抵抗体の電流が測定電極側にリークして測定出力に対してノイズを生じることを防止し、信頼性の高い検出素子を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の検出素子は、ジルコニア固体電解質基体の両主面に少なくとも一対の検知電極を形成して成る検知部と、該検知部を加熱するための発熱抵抗体を埋設したセラミック絶縁層からなる加熱部とを備え、少なくとも前記セラミック絶縁層をジルコニア固体電解質からなるセラミック保護層で覆うとともに、該セラミック保護層上に記検知電極に接続された一対の第1端子電極と、前記発熱抵抗体に接続された一対の第2端子電極を備えてなる検出素子であって、前記発熱抵抗体用の第2端子電極が、前記セラミック絶縁層とセラミック保護層を貫通するように形成されたスルーホールに導体を充填して構成されるスルーホール導体および検知素子内部に設けられた発熱抵抗体用リード端子を経由して前記発熱抵抗体と電気的に接続されており、前記スルーホールの少なくとも内壁面および前記第2端子電極と接続される側の端面周囲の第2端子電極とセラミック保護層との間に、電気絶縁層が形成されており、前記第2端子電極と前記セラミック保護層間に形成された電気絶縁層が、第2端子電極毎に独立して形成されていることを特徴とするものである。これにより、電気絶縁層と固体電解質との熱膨張差を緩和し、電気絶縁層の固体電解質への接着力を向上させることができる。
【0014】
また、前記発明において、電気絶縁層は、前記セラミック保護層の表裏両面に形成されていることが望ましい。
【0015】
さらには、スルーホールの第2端子電極と接続される側の端面角部は、C面になるように面取り加工がされており、前記C面の大きさが3mm以上であることが望ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の検出素子の一例を示す図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。図1は、検出素子の一例を示す概略斜視図である。図2(a)は、図1の検出素子のA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)は同じくC−C断面図である。但し、図1では、説明の便宜上、セラミック保護層14を省略した。図3(a)(b)は、端子電極の構造を説明するための概略断面図である。
【0018】
図1、図2(a)〜(c)に示した検出素子1は、酸素イオン伝導性を有するジルコニアセラミック固体電解質からなり、先端が封止された円筒管2の内面に、第1の検知電極として、空気などの基準ガスと接触する基準電極3が被着形成され、また、円筒管2を挟んで基準電極3と対向する位置に第2の検知電極として、排気ガスなどの被測定ガスと接触する測定電極10が被着形成されている。そして、基準電極3、ジルコニア固体電解質からなる円筒管2および測定電極10によって検知部を形成している。
【0019】
そして、先端が封止された円筒管2の外面には、Al23などのセラミック絶縁層6が被着形成されており、そのセラミック絶縁層6には、測定電極10の一部または全部が露出するように開口部11が形成されている。
【0020】
また、上記開口部11の周囲のセラミック絶縁層6中には検知部を加熱するたのPt等からなる発熱抵抗体7が埋設されている。また、セラミック絶縁層6の表面には、発熱抵抗体7による加熱効率を高めるため、またセラミック絶縁層6および発熱抵抗体7を保護するためにジルコニア等からなるセラミック保護層9が形成されている。
【0021】
前記検知部のうち円筒管2の内面に形成された基準電極3は、円筒管2の開口端面2aを経由して円筒管2の外表面に設けた端子電極4aに接続されている。一方、円筒管2の外面に形成された測定電極10は、セラミック絶縁層6に形成された開口部11の端面を経由してセラミック保護層9の表面に形成されたリード端子12に接続され、セラミック保護層9の表面に形成された端子電極4bと接続されている。なお、円筒管2において上記開口端面2aに存在するエッジ部は、C面取りされ、エッジ部で生じる電気的接続の不良を回避している。
【0022】
なお、セラミック保護層9の表面に形成されたリード端子12の表面にはさらにジルコニア等からなる保護層122が形成されている。この保護層122によって、リード端子12を、例えば検出素子1のアッセンブル時の引っかき、あるいは素子の落下時の異物との衝突等の物理的な破壊から保護することができる。
【0023】
上記セラミック保護層9、122は固体電解質と同じジルコニアで構成することによって固体電解質との熱膨張差による応力の発生を防止することができる。さらに、測定電極10の表面は、多孔質のセラミック保護層14によって被覆されている。
【0024】
一方、セラミック絶縁層6内に形成された発熱抵抗体7は、同じくセラミック絶縁層6内に形成された発熱抵抗体用リード端子8から、セラミック絶縁層6およびセラミック保護層9を貫通して形成されたスルーホール19内に導体18を充填したスルーホール導体T1を経由してセラミック保護層9の外表面に形成された発熱抵抗体用端子電極24と電気的に接続されている。
【0025】
そして、発熱抵抗体用端子電極24から、スルーホール導体T1、リード端子8を通じて発熱抵抗体7に電流を通ずることにより、発熱抵抗体7が加熱され、測定電極10、円筒管2および基準電極3からなる検知部を所定の温度に急速昇温される。
【0026】
ここで、上述したようにセラミック保護層9はジルコニア固体電解質で形成してあるため加熱時には導電性を示すようになる。その結果、セラミック保護層9上に備えた発熱抵抗体用端子電極24と、同様にセラミック保護層9上に備えた検知電極用の端子電極4b間にリーク電流が生じやすくなる。
【0027】
そこで、本発明によれば、上記スルーホール導体T1におけるスルーホール19の少なくとも内壁面、および端子電極24と接続される側の端面周囲における端子電極24とセラミック保護層9との間に、電気絶縁層5を形成することによって、固体電解質への漏れ電流を防止している。
【0028】
本発明によれば、検知電極である測定電極10の端子電極4bと発熱抵抗体用端子電極24との間に流れるリーク電流値を200μA以下とすることが重要であり、該リーク電流を200μA以下とすることにより、測定出力の安定した信頼性の高い検出素子が得られる。
【0029】
これは、測定電極10の端子電極4bと発熱抵抗体用端子電極24との間に流れるリーク電流値が200μA以下の場合、発熱抵抗体用端子電極24に比較的高い電圧が印加されても、ジルコニア固体電解質からなるリード端子に流れ込む電流値は僅かな量であって、測定出力に影響を及ぼすようなノイズや、ジルコニア固体電解質の劣化等の発生が防止できるためである。
【0030】
一方、リーク電流値が200μAを超える場合、検出素子の実際の使用環境を模した通電耐久試験において、スルーホール導体T1周辺のジルコニア固体電解質が黒変して、場合によっては破壊に至るため、検出素子として信頼性に欠けることがわかった。この黒変は、ジルコニアの還元により電子をトラップした酸素空孔が生成していることを意味する。この反応が進むと、酸素空孔の増加に伴いジルコニアの強度が低下する結果、破壊しやすくなるのである。
【0031】
なお、本発明におけるリーク電流値とは、端子電極24周辺を400℃になるよう外部ヒータで加熱して、検知部の測定出力用の端子電極4bと発熱抵抗体用端子電極24との間に10Vの電圧を印加した時に流れる電流値を測定した値である。
【0032】
本発明において、スルーホール導体T1の内壁面および端子電極24とセラミック保護層9との間に形成する電気絶縁層5としては、300℃における電気抵抗が106Ωcm以上、特に108Ωcm以上の電気絶縁性セラミックスからなることが適当である。このような電気絶縁性セラミックスとしては、1)アルミナ100質量%からなるセラミックス、2)アルミナにMgOおよびまたはSiO2を0.01〜10質量%添加含有するアルミナセラミックス、3)Al23とMgOとを含有する複合酸化物系セラミックス、4)Al23と、Y23および希土類元素酸化物のうちの1種以上とを含有する複合酸化物系セラミックス、5)ZrO2と、Y23および希土類元素酸化物のうちの1種以上とを含有する複合酸化物系セラミックスの群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0033】
この際、3)4)5)のセラミックスにおいては、MgOやY23および希土類元素酸化物は、いずれも酸化物換算で20〜90モル%の割合で含有されることによって、電気絶縁層5と固体電解質の熱膨張係数が近いために、発生する内部応力を低減することができる。
【0034】
また、この電気絶縁層5の厚みは、1〜100μm、特に2〜50μm、さらには3〜30μmであることが適当である。
【0035】
次に、スルーホール導体T1の構造について詳細に説明する。このスルーホール導体T1におけるスルーホール19は、セラミック絶縁層6およびセラミック保護層9を貫通するように前記検出素子1の表面に対して略垂直方向に形成されており、このスルーホール19の内壁面および上面に電気絶縁層5を形成する場合、スルーホールの径が0.4mmよりも小さい時には、スルーホール導体T1におけるスルーホール19の端子電極24と接続される端面角部19aをC面やR面等の面取りすることが望ましい。
【0036】
即ち、径の小さいスルーホール19の端面角部19aに面取りを形成せずにシャープエッジのまま電気絶縁層5を形成した場合は、図3(a)に示すように、スルーホール19を形成したセラミックグリーンシートを円筒管2に巻きつけて密着する際に、スルーホール19の端面角部19aに応力が掛かり、電気絶縁層5が割けてスルーホール導体T1がジルコニア固体電解質からなるセラミック保護層9と接触し、大きなリーク電流が流れるようになってしまう。また、スルーホール径が0.4mmよりも小さいと、端面角部19aにおける電気絶縁層5の厚みが薄くなったり、絶縁層の均一な厚みでの形成が容易でないなどの理由から、リーク電流が大きくなる場合が生じるためである。
【0037】
なお、スルーホール19の径が0.4mm以上の場合には、電気絶縁層5の厚みは均一に形成され易いために、上記面取りは必ずしも必要ではない。しかし、特に、スルーホール19の径があまり大きすぎると、Ptの使用量が多くなりコスト高となるため、スルーホール19、言い換えればスルーホール導体T1の径は、0.4〜1.2mm、特に0.5〜0.8mmが好ましい。
【0038】
なお、面取りを行う場合のスルーホール19の端面角部19aのC面の幅は、0.3mm以上が適当である。また、R面の場合、曲率半径が0.3mm以上が適当である。
【0039】
また、ジルコニア固体電解質からなるセラミック保護層9上に形成される電気絶縁層5は、各端子電極24毎に小さい面積で独立して形成することによって、電気絶縁層5と固体電解質からなるセラミック保護層9との熱膨張係数の違いにより、電気絶縁層5が剥離しやすくなるのを防止することができる。
【0040】
さらに、重要な点は、端子電極24に直流電圧印加時で、かつ該電極24が350℃以上、特に500℃以上に加熱されたとき、電気絶縁層5が独立していない場合は、電気絶縁層5内において生じる電界により電気絶縁層5内の微量不純物、例えばCa、Na等のアルカリ元素、アルカリ土類元素がイオンマイグレーションし、絶縁層が脆化し信頼性の劣化を引き起こす危険性がある。これは、電界強度は電位差が最大の箇所、すなわち端子間で最も大きくなるためである。これに対して、上述のように、電気絶縁層5を端子電極24毎に独立して形成することによって、端子電極間での電界を遮断することができる結果、上記のイオンマイグレーションを有効に防止することができる。
【0041】
また、スルーホール導体T1は、スルーホール19内に完全に導体18を充填した構造とすることによって、セラミック保護層9を成すジルコニア固体電解質からなるセラミックグリーンシートを密着させるときのスルーホール19の変形を抑制することができる。即ち、図4(a)のように前記スルーホール19内の壁面のみに導体18を塗布しただけのものは、セラミックグリーンシートを円筒管2に巻きつける際にスルーホール19が潰れるように変形して電気絶縁層5が部分的に断裂し、導体18が基材のジルコニア固体電解質と接触し、大きなリーク電流が流れるようになってしまう。これに対し、図4(b)のように、スルーホール19内に完全に導体18を充填すると、上記不都合を防止できる。
【0042】
次に、上記の端面角部19aをC面あるいはR面取りしたスルーホール19を形成する方法を以下に説明する。
【0043】
まず、ジルコニア等の固体電解質からなるシート状のセラミック保護層9の所定の位置に、シートの表裏を貫通するように開孔してスルーホール19を形成する。このとき、スルーホール19の両方の端面角部19aに、先端が鈍角な円錐形状を有する円柱状の治具(金属加工の際、目印を付けるに用いられるポンチのような治具)を押しつけるようにしてC面あるいはR面となるように面取り加工する。また別な方法として、固体電解質からなるシート状のセラミック保護層9に貫通する孔を開ける際に、パンチング打ち抜き金型の金型上下面のピン上下摺動部周囲に、円錐状の凸面加工を施した金型を使用することによって、スルーホール19の孔開けと同時に、端面角部19aがC面あるいはR面となるように面取り加工を行うこともできる。
【0044】
ところで、端面角部19aの面取り加工を上述の如く、機械的なプレス手法により形成する場合、C面、R面サイズが0.3mm以上になると端面角部19a近傍にシートクラックが多発する問題が生じる。この場合は、上述の先端円錐形状の治具等を加熱し、シートに対し面取り部を加熱溶融形成するとよい。この際、治具の加熱温度は、シートに使用するバインダのガラス転移温度に50℃から150℃程度加えた温度で加熱するとクラックを抑制しつつ面取り部を形成可能で好ましい。また、先端円錐形状のドリル、ダイヤモンド研磨治具等で、面取り部を研削形成しても上述のシートクラックを回避でき好ましい。
【0045】
この端面角部19aがC面あるいはR面加工されたスルーホール19の内壁全面に電気絶縁層5を塗布し、シート状のセラミック保護層9の表裏両面あるいは片面に電気絶縁層5を塗布あるいは積層することにより、セラミック保護層9に孔開けされたスルーホール19の表面を覆うように電気絶縁層5またはセラミック絶縁層6で機械的に隔離し電気的に絶縁する。
【0046】
また、スルーホール19の内壁全面に上記電気絶縁層5のペーストを塗布する方法としては、スルーホール19の上にペーストを滴下して、下から真空ポンプで吸引し塗布する方法や、流動性の高い柔らかいペーストにして、注射針のような治具を用いて流し込んで塗布する方法、細い針や絵筆を用いて塗り込むようにして塗布する方法がある。
【0047】
そして、上記の電気絶縁層5およびセラミック絶縁層6のペースト乾燥後に、シート状のセラミック保護層9の表裏を貫通するように導体18を、電気絶縁層5およびセラミック絶縁層6により絶縁されたスルーホール19内に充填する。この導体18をスルーホール19内に完全に充填することで、導体18の機械的強度を向上させて、さらには外気に露出された導体18の表面積の減少によって、水蒸気などの水分を含む外気との接触面積が減少することから、導体18の酸化、腐食を最小限に押さえることができ、より高い信頼性を有する検出素子1が得られる。
【0048】
この導体18を充填する方法としては、導体18をペースト化し、前述した注射針のような治具を用いて流し込んで塗布する方法や、やや硬めのペーストにしてスルーホール19の上に塗り込んだ後、治具を用いて上から加圧して充填する方法がある。
【0049】
このようにして得られた、すなわちセラミック保護層9と導体18が、均一な厚みの電気絶縁層5により電気的に隔てられた構造を有するスルーホール導体T1を具備することで、固体電解質からなるセラミック保護層9を経由して他の端子電極に電流がリークしたり、電圧が印加されてノイズを生じたりすることを防止でき、信頼性の高い検出素子1を提供することができる。
【0050】
なお、本発明は、図1のみならず、素子内部に形成された発熱抵抗体用リード端子8と、素子の表面に形成された発熱抵抗体用の端子電極24間を接続するために、ジルコニア固体電解質からなるセラミック保護層9を貫通して設けられ、スルーホール19内に発熱抵抗体用の導体18を充填して形成されたスルーホール導体T1を具備する検出素子であれば、あらゆる検出素子に適用できる。
【0051】
そこで、本発明の検出素子の他の実施態様について、図6から図8に基づき説明する。なお、図1から図2と同じ機能を有する箇所については同じ符号を付して説明する。
【0052】
まず、図1では、測定電極10と端子電極4bとを接続するリード端子12をセラミック保護層9の表面に形成したが、図1におけるB−B断面図の他の実施態様である図6に示すように、リード端子12をセラミック絶縁層6内に形成し、そのリード端子12とセラミック保護層9の表面に形成された端子電極4bとをセラミック絶縁層6およびセラミック保護層9を貫通して形成されたスルーホール導体T2によって接続することができる。
【0053】
また、図1の検出素子1においては、測定電極10を1箇所形成しているが、図7(b)の概略斜視図、およびそのD−D断面図である図7(a)では、測定電極10が円筒体の互いに対向する箇所に2つ設けられたものであってもよい。このように、測定電極10を複数箇所形成すれば、アッセンブル金具内での排気ガスに対する検出素子1の指向性をなくすることができる。
【0054】
かかる図7(b)においても少なくとも検知部の全体表面を多孔質のセラミック保護層14によって被覆されるが、説明の便宜上、省略した。
【0055】
この際、測定電極10と端子電極4bとの接続にあたっては、2つの測定電極10を直列的に接続し、リード端子12を介して端子電極4bに接続することもできるが、各測定電極10に対してそれぞれリード端子12を形成し、端子電極4bに対してそれぞれ接続するか、あるいは図7(b)に示すように、途中でリード端子12同士を接続して端子電極4bに接続すればよい。また、基準電極3は、各検知部に合わせて2つ形成してもよいし円筒管2の内面全面に基準電極3を形成すれば基準電極3を共有化することもできる。
【0056】
また、本発明の検出素子1は、上記のように円筒形状のみならず、平板型の検出素子1における端子構造に対しても適用できる。そこで、図8に平板型の検出素子1を示した。(a)は斜視図、(b)はE−E断面図、(c)はF−F断面図である。この検出素子は、図上から検知部、空気導入孔25、ヒータ部が積層された構造となっている。固体電解質基体20の外面に測定電極10、大気導入孔25側の内面には基準電極3が形成されている。
【0057】
そして、測定電極10は固体電解質基体20の外面に形成されたリード端子12を経由して同じく固体電解質基体20の外面に形成された端子電極4bに接続されている。また、空気導入孔25内壁に形成された基準電極3は端子電極4aの真下に引き出されスルーホール導体T3により端子電極4aに接続される。
【0058】
一方、固体電解質基体20の大気導入孔25を挟んで検知部と対向する部分には、アルミナ等のセラミックスからなる絶縁層6を介して発熱抵抗体7が内蔵されている。そして、発熱抵抗体7は、図8(c)に示すようにリード端子8が端子電極24の真下まで延長され、直径が0.4〜1.2mmのスルーホール導体T4により発熱抵抗体用端子電極24に接続される。
【0059】
かかる平板型検出素子においても、本発明に基づき、検知電極用の端子電極4aと発熱抵抗体用の端子電極24との間に流れるリーク電流値が200μA以下に制御する。
【0060】
その好適な構造として、発熱抵抗体用の端子電極24とリード端子8とを接続するスルーホール導体T4におけるスルーホールの内壁面および端子電極24と接続される側の端面周囲の端子電極24とセラミック保護層9との間に、電気絶縁層5を形成する。特に、スルーホールの端子電極24と接続される側の端面角部は、C面またはR面に面取りする。また、端子電極24とセラミック保護層9間に形成された電気絶縁層5は、各端子電極24、24毎に独立して形成する。
【0061】
なお、電気絶縁層5の材質は、前述した通り、300℃における電気抵抗が106Ωcm以上の種々のセラミック絶縁材料によって形成することができる。
【0062】
本発明によれば、平板型検出素子においても、上記の構成によって、リード端子8と端子電極24間を接続するスルーホール導体T4間の良好な電気的絶縁性を維持し、発熱抵抗体の電流が測定電極側にリークして測定出力に対してノイズを生じることを防止し、信頼性の高い平板型の検出素子を得ることができる。
【0063】
【実施例】
(実施例1)
まず、評価用サンプルの作製にあたり、以下のものを準備した。
a)共沈法により作製した5モル%Y23含有のZrO2粉末
(円筒管2用、セラミック保護層9用)
b)MgO含有量が10ppm以下の微粒Al23粉末
(セラミック絶縁層6、電気絶縁層5用)
c)Al23を10体積%含有するPtペースト
(発熱抵抗体7、リード端子8)
d)5モル%Y23含有のZrO2粉末を30体積%含有するPtペースト
(基準電極3、測定電極10、電極または抵抗体リード端子8、12用)
e)5モル%Y23含有のZrO2粉末を40体積%含有するPtペースト
(端子電極4a、4b、発熱抵抗体用端子電極24)
なお、上記e)のPtペーストに使用されたZrO2粉末の粒径は、端子電極4のセラミック−金属複合導体層において隣り合う金属相の距離を制御する目的で、平均2次粒径(D50)で0.5〜5.0μmとした。
【0064】
まず、a)のZrO2粉末にポリビニルアルコール溶液を添加して坏土を作製し、押出成形により外径が約4mm、内径が2.3mmの円筒管2を作製した。また、a)のZrO2粉末に、アクリル系のバインダーを所定量添加しスラリーを作製した後、ドクターブレード法により200μm厚みのZrO2のセラミック保護層9用のグリーンシートを作製した。
【0065】
セラミック保護層9用のグリーンシートの表面に、上記b)のAl23粉末からなるスラリーを焼成後、約10〜15μmの厚みになるように塗布した。そして、そのAl23層の表面に、発熱抵抗体7と抵抗体用のリード端子8を上記c)のPtペーストを用いてスクリーン印刷により形成した。
【0066】
次に、本発明の効果を調べるため、種々の形状の面取りを有するスルーホール19のサンプルを下記のような方法で作製した。まず、セラミック保護層9の所定の位置に、焼成後の直径が0.3mmになるようにシートの表裏を貫通する孔をあけてスルーホール19とし、その端子電極24と接続する側の端面角部19aに先端が鈍角な円錐形状を有する円柱状の治具を孔に垂直に加圧し、接触する孔の角部を変形させることによって幅の異なる種々のC面加工を行い面取りとした。しかるに、先端が鈍角な円錐形状を有する円柱状の治具の押しつける圧力を変化させることで種々の面取り形状を有するサンプルを作製した。
【0067】
上記のように、端面角部19aが種々の面取り加工されたスルーホール19の内壁全面にb)の電気絶縁層5を塗布し、さらにシート状セラミック保護層9の片面にb)の電気絶縁層5を塗布し、もう片方の表面にb)セラミック絶縁層6を塗布した。
【0068】
そして、上記のb)電気絶縁層5およびb)セラミック絶縁層6のペースト乾燥後にd)の導体としてPtペーストを加圧して完全に充填して、スルーホール導体T1を形成した。
【0069】
次に、セラミック保護層9用のグリーンシートを反転させ、測定電極10と接続されるリード端子12、測定電極10と接続される端子電極4b、発熱抵抗体用リード8と発熱抵抗体用端子電極24をそれぞれd)あるいはe)のPtペーストを用いて、所定の位置にスクリーン印刷により形成した。なお、測定電極10と接続されるリード端子12上には、セラミック保護層122として、グリーンシートを形成する前述のa)のZrO2スラリーと同一のスラリーを、焼成後、約5〜20μmの厚みとなるようにスクリーン印刷した。
【0070】
この後、再度グリーンシートを反転させ、前記発熱抵抗体7がAl23層に内包されるように、前記c)のAl23粉末からなるスラリーを焼成後、約10〜15μmとなるように塗布した。
【0071】
以上、各印刷体が積層したグリーンシート(以下、シート状積層体と称する)シート状積層体のうち、測定電極10を形成する領域をパンチングにより開口し、開口部11を形成した後、上記の円筒管2の表面に、接着層としてアクリル系樹脂に上記の5モル%Y23含有のZrO2粉末を分散させた密着液を用いて巻き付け、円筒状積層体を作製した。
【0072】
次に、d)のPtペーストを用い、円筒状積層体において円筒管2の内側に基準電極3を、また、開口部11内に測定電極10を、それぞれ焼成後に10μmの厚みになるように印刷形成した。その後、この円筒状積層体を大気中にて1400〜1500℃で2時間焼成し一体化した。なお、焼成後、本検出素子1において円筒管2の外径は3.0〜3.1mmであり、内径は1.7〜1.8mmであった。
【0073】
さらに、測定電極10の表面には、プラズマ溶射法を用いてスピネルからなる気孔率が約30%のセラミック多孔質層14を約100μmの厚みになるよう形成して検出素子1を作製した。
(測定/評価)
かくして得られた検出素子1において、リーク電流値とスルーホール19の面取りの大きさとの関係を調べた。まず、リーク電流の測定方法について説明する。前記スルーホール19を有する発熱抵抗体用端子電極24の周辺を外部ヒータで覆い、発熱抵抗体用端子電極24の周辺がおよそ400℃になるよう外部ヒータに通電して加熱する。この状態を保持しつつ、発熱抵抗体用プラス極端子電極と検知部の測定出力用の端子電極4aまたは4b、さらに発熱抵抗体用マイナス極端子電極と検知部の測定出力用の端子電極4aまたは4bに10Vの電圧を印加した時に流れる電流をリーク電流として測定し、そのときの最大値をリーク電流値とした。
【0074】
その時のリーク電流値の測定結果と上記の発熱抵抗体用端子電極24の周辺をおよそ400℃に保持した状態で、発熱抵抗体用端子電極24に12Vの電圧を20時間通電試験後のスルーホール導体T1周囲の外観変化、スルーホール導体角部の黒変化、および検出素子1の長手軸方向に対して直角方向にカットしたスルーホール導体T1の断面を150〜200倍に拡大して測定した、端面角部19aのC面の大きさと、スルーホール導体T1の上面側の端面周囲における絶縁層5の最小厚みx、スルーホール導体T1の端面角部での絶縁層5での最小厚みy、スルーホール内壁における最小厚みzを測定し表1にまとめた。
【0075】
【表1】
Figure 0004025564
【0076】
表1から判るように、各絶縁層の最小厚みx、y、zをいずれも1μm以上とすることによって、リーク電流値を200μA以下に抑制することができるとともに、通電耐久後の素子表面からの外観変化においてもスルーホール導体T1の近傍でジルコニア保護層9の黒変化を防止することができた。なお、黒変化は、発熱抵抗体用端子電極24に印加した電圧がジルコニア保護層9に流れ込み固体電解質が劣化していることを示している。これは同時に観察した面取りのC面の大きさにも相関が見られ、C面の大きさが0.3mm未満の場合、絶縁層の厚みを厚くしないと、C面部において電気絶縁層5の厚みが1μmよりも薄くなる部分が形成されやすい。特に、C面加工を行わなかったNo.1、電気絶縁層5を形成しなかったNo.7は、いずれもリーク電流値が300μA以上と大きく、通電耐久後の外観変化でも黒変化の領域が広く、絶縁性が低く信頼性に乏しい構造であると言える。
【0077】
これに対して、面取り部の大きさがC=0.3mm以上の面取りを行い、電気絶縁層を形成したNo.2、8〜11は、発熱抵抗体用端子電極24と検出部の測定出力の端子電極4aおよび4bとの間の最大リーク電流値が200μA以下で、特にNo.8〜11はリーク電流値が40μA以下を示し、通電耐久後の外観変化や黒変化もなく、信頼性の高い構造と言える。今回のリーク電流測定方法は、検出素子1の実際の使用条件に比較して過酷な条件であると考えられるためリーク電流値が200μAでも実際の使用には耐えうると判断できる。
【0078】
(実施例2)
実施例1と同様の手法にて得られた検出素子1において、直径が0.3mmのスルーホール19の端面角部19aに形成された種々のC面形状とその表面に塗布された電気絶縁層5の厚みばらつきの関係を調べた結果を図5に示す。
【0079】
図5において、面取りのC面の大きさおよび電気絶縁層5の厚みばらつきの値は、検出素子1の長手軸方向に対して直角方向にカットしたスルーホール19断面を150〜200倍に拡大して測定した。このときの、電気絶縁層5の厚みばらつきの値は、図3に示す絶縁層5の厚みx、yおよびyの中での(最大値−最小値)の差である。
【0080】
図5より、C面の大きさが0.3mm未満であると絶縁層5の厚みばらつきが大きい。これは図3(a)に示すようにスルーホール19の端面角部19aにおいて絶縁層5が極端に薄い部分が存在するからである。これに対して、C面の大きさが0.3mm以上になると絶縁層5の厚みばらつきが小さく、ほぼ均一な絶縁層5の厚みであることを示している。
【0081】
上記の結果より、スルーホール19の端面角部に施す面取り加工として、C=0.3mm以上またはR=0.3mm以上とすることが望ましい。
【0082】
(実施例3)
スルーホール導体におけるスルーホール径の大きさと電気絶縁層5の厚みとの関係を調査するため、実施例1と同様な方法によりスルーホールの大きさとスルーホール端面角部のC面を変化させた素子を作製し、リーク電流を実施例1に従い測定した。この際、スルーホール端面角部およびスルーホール内壁の電気絶縁層5の厚みはスルーホール導体の断面を150〜200倍に拡大して測定した。測定結果を表2に示す。
【0083】
【表2】
Figure 0004025564
【0084】
表1のNo.7から、スルーホール径が0.3mmの場合以下の場合、面取りが必要であったが、表2より、スルーホールの直径が0.4mm以上の場合、スルーホール孔端部の角部がシャープエッジであっても、スルーホールの端面角部や内壁において最小厚みが1μmの絶縁層の厚みが確保でき、その結果リーク電流の漏れを100μA以下に抑制することができた。
【0085】
従って、スルーホールの端面角部にC面を施さない場合には、スルーホール径を0.4mm以上、特に0.5〜0.8mmとし、スルーホール径が0.4mmよりも小さい場合には、C面やR面などの面取りが必要である。
(実施例4)
電気絶縁層5を一対のヒータ端子電極24間でそれぞれ独立させた構造とする場合と、非独立構造とする場合(一対のヒータ用端子電極24直下に設けられた電気絶縁層5が連結している構造)における、高温下での耐久性能を調査するため実施例1と同様な手法により、電気絶縁層5を独立構造とした試料、および非独立構造とした試料を各々10本準備した。
【0086】
なお、全試料において、スルーホール19の直径を0.5mm(C=0.3mm)、スルーホール端面角部19aの電気絶縁層5の厚みyを5μm以上かつヒータ用端子電極24直下の電気絶縁層5の厚みxを約10μm、スルーホール内壁部の電気絶縁層5厚みzを約8μmとした。
【0087】
なお、電気絶縁層5のペースト中には、後述のように一対のヒータ用端子電極24間の電界の影響を確認するため、SiO2を5質量%添加した。また、バインダに由来するNa量は100ppmとした。
【0088】
これらの全試料を初期のリーク電流値を実施例1と同様の方法で確認したところ、すべて50μA以下であった。この後、ヒータ用端子電極24間に直流20Vを印加しつつ、ヒータ用端子電極24が500℃以上となるように外部から加熱した。1000時間経過後、リーク電流値を再測定した。結果を表3に示す。
【0089】
【表3】
Figure 0004025564
【0090】
表3から明らかなように、電気絶縁層5を独立構造とした場合は、1000時間耐久後にリーク電流値は初期値を維持した。ところが、被独立構造としたNo.31〜40の試料はいずれも、リーク電流値が150μA以上に増大していた。これらの試料において、ヒータ用マイナス極端子電極24下部組織、特に電気絶縁層5の断面を詳細に波長分散型マイクロアナライザー(WDS)により調査したところ、ヒータ用マイナス極端子電極24直下の電気絶縁層5に、Na元素が集中するイオンマイグレーション現象が確認された。Na等のアルカリ元素はSiO2のネット構造分解成分として公知であるが、電界強度の最も強いヒータ用端子電極24間の電界が、Naの移動を助長し、その結果、電気絶縁層5のうち特に粒界部のSiO2を軟化させ、絶縁抵抗が劣化し、リーク電流の増大に至ったものと考えている。
【0091】
したがって、電気絶縁層5が非独立構造を有する場合は、500℃以上の環境下では、プラス・マイナス極端子電極24間の電界形成を無視できないことが判った。一方、電気絶縁層5を独立構造とする場合は、電界が遮断されたため、イオンマイグレーションが阻害され、その結果、電気絶縁層5の絶縁劣化が抑制されたと考えられる。
【0092】
【発明の効果】
以前記述したように、本発明を用いることにより、検出部での安定した測定出力が得られ、信頼性が高く耐久性にも優れた検出素子が提供できる。また、電気絶縁層と固体電解質との熱膨張を緩和し、電気絶縁層の固体電解質への接着力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の検出素子の一実施態様を説明するための概略斜視図である。
【図2】(a)は図1の検出素子のA−A断面図、(b)は同じくB−B断面図、(c)は同じくC−C断面図である。
【図3】(a)(b)は、端子電極の構造を説明するための概略断面図である。
【図4】(a)(b)は、端子電極におけるスルーホールへの導体の充填構造について説明するための概略断面図である。
【図5】本発明の検出素子のスルーホールの面取り形状と絶縁層の厚みばらつきの関係を示したグラフである。
【図6】本発明の検出素子の他の実施態様を説明するための端子電極付近の横断面図である。
【図7】本発明の検出素子の他の実施態様を説明するための図であり、(a)は検知部付近(D−D)の横断面図、(b)は概略斜視図である。
【図8】本発明の検出素子の他の実施態様を説明するための図であり、(a)は概略斜視図、(b)はE−E断面図、(b)はF−F断面図である。
【図9】(a)は従来の検出素子の概略平面図、(b)はそのG−G断面図である。
【符号の説明】
1 検出素子
2 円筒管
20 固体電解質基体
3 基準電極
4a、4b 端子電極
5 電気絶縁層
6 セラミック絶縁層
7 発熱抵抗体
8 リード端子
9 セラミック保護層
10 測定電極

Claims (3)

  1. ジルコニア固体電解質基体の両主面に少なくとも一対の検知電極を形成して成る検知部と、該検知部を加熱するための発熱抵抗体を埋設したセラミック絶縁層からなる加熱部とを備え、少なくとも前記セラミック絶縁層をジルコニア固体電解質からなるセラミック保護層で覆うとともに、該セラミック保護層上に記検知電極に接続された一対の第1端子電極と、前記発熱抵抗体に接続された一対の第2端子電極を備えてなる検出素子であって、
    前記発熱抵抗体用の第2端子電極が、前記セラミック絶縁層とセラミック保護層を貫通するように形成されたスルーホールに導体を充填して構成されるスルーホール導体および発熱抵抗体用リード端子を経由して前記発熱抵抗体と電気的に接続されており、前記スルーホールの少なくとも内壁面および前記第2端子電極と接続される側の端面周囲の第2端子電極とセラミック保護層との間に、電気絶縁層が形成されており、
    前記第2端子電極と前記セラミック保護層間に形成された前記電気絶縁層が、前記第2端子電極毎に独立して形成されていることを特徴とする検出素子。
  2. 前記電気絶縁層は、前記セラミック保護層の表裏両面に形成されていること特徴とする検出素子。
  3. 前記スルーホールの第2端子電極と接続される側の端面角部は、C面になるように面取り加工がされており、
    前記C面の大きさが3mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の検出素子。
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