JP4024054B2 - 水性溶液組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性溶液組成物に関し、さらに詳しくは水溶性キトサン誘導体を少なくとも含有する水性溶液組成物、該水性溶液組成物を用いる基材の処理方法および処理された物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、キトサンの応用研究の中で、紙への応用は最も古いものの一例である。その初期には紙力増強剤として、また、インキの受容体としても研究され、最近では最先端のインクジェットインクの受容体としての提案が多数なされており、その内の幾つかは実用化されている。また、キトサンを紙以外の各種機材にコーティングしてキトサンの機能を基材に付与する試みが広く為されている。例えば、繊維製品にキトサンをコーティングして、繊維製品に抗菌性を付与することが実用化され、肌刺激の少ない抗菌防臭繊維として評価されている。
【0003】
しかし、上記用途においてはキトサンについての提案はあるが、キトサンの誘導体が上記用途において実用化されたという報告はない。これは、基材にキトサンの機能を付与するという第一義的な目的には、化学修飾をしていないキトサンそのもので十分であると評価され、キトサンを化学修飾することにより、キトサン以上の明瞭な機能的かつコスト的なメリットが見出されなかったためと考えられる。換言すれば、化学修飾をしていないキトサンそのものには経時的な着色という本質的な問題があることに対する認識不足があり、また、該認識はあったとしても、キトサンの持つ機能を基材に付与するという第一義の目的のもとにキトサンの着色の問題が黙認され、さらには着色の問題の解決のためという明確な目的のために、キトサン誘導体は検討されていないのが原因と考えられる。
【0004】
一方、キトサンに関する実用経験が蓄積されるに従って、キトサンに対して一層の機能性アップおよび用途拡大が望まれるようになり、さらにこれまで黙認されてきた化学修飾をしていないキトサンそのものの経時的な着色の問題が顕在化し、その解決が要求されるようになってきている。特に上記例示の用途ではキトサンで処理した後の繊維、紙等の製品の白度が重要であるが、着色の問題は解決されていない。また、被処理製品に十分な機能を付与するには十分な量のキトサンを使用しなければならないという使用量に関する制約も、キトサンの利用拡大の妨げとなっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、早くからキトサンに基づく経時的な着色の問題に注目し、その解決に取り組んできた。その結果、キトサンの酸性水溶液の着色が、酸性亜硫酸塩の添加によって抑制されることを見出した。この方法は実用化され、有効に利用されているが、この溶液を基材に塗布した後は、その着色を抑制する効果は急速に消失することがわかっており、この点で上記方法はキトサンの着色を抑制する抜本的な解決手段になっていない。結局、現段階ではキトサンの経時的な着色の問題は、キトサンの本質的な性格であり、十分な酸素が存在する条件下においては不可避な問題と結論付けざるを得ない。
従って、本発明の基本的な目的は、紙や繊維などの基材を処理した際に経時的な着色の問題が解決されたキトサン誘導体を含む水性溶液組成物を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体と多塩基酸以外の架橋剤を少なくとも水性媒体中に含むことを特徴とする水性溶液組成物を提供する。
【0007】
上記水性溶液組成物は、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体中の第1級アミノ基またはその塩の基由来の窒素原子数の、キトサン由来の全窒素原子数に対する比率(以下「第1級アミノ基残存率」という)が50%以下であること;pHが3以上であること;第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体の濃度が、0.1〜30重量%であること;および架橋剤が、多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物および多価カルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0008】
また、本発明は、上記何れかの水性溶液組成物を、基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在している水分量の80重量%以上を除去して、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体を架橋させることを特徴とする基材の処理方法を提供する。
【0009】
上記処理方法においては 基材が、紙、繊維、織布、不織布またはフィルムであり、架橋物が、基材の0.1〜5重量%であること;基材が、印刷シート(なお、本発明における「印刷シート」とは紙、樹脂フィルムまたはそれらの複合物などを含む意味で用いられている)であること;印刷シートが、インクジェットプリンター用印刷シートであること;基材が感熱印刷シートであることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、表面または表面近傍に、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体の架橋物を含有していることを特徴とするインクジェットプリンター用印刷シート、および表面または表面近傍に、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体の架橋物を含有していることを特徴とする感熱印刷シートを提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明者は、従来の検討をさらに進めた結果、従来の化学修飾をしていないキトサンそのものの代わりに、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体(以下単に「水溶性キトサン誘導体」と云う場合がある)を使用すると、目的に応じた機能を強化できるばかりか、キトサンの本質的な問題であった経時的な着色をも有意に抑制できることを見出した。
【0012】
キトサンそのものは、菌類の細胞壁の構成要素として存在することが知られている天然機能性高分子であるが、工業的にはカニやエビなどの甲殻類の外皮などから得られるキチンを脱アセチル化することによって製造されている。入手しやすさから、本発明で用いる水溶性キトサン誘導体の原料としては一般工業用キトサンで十分である。また、出発物質であるキトサンの分子量や脱アセチル化度に特別の制限はないが、脱アセチル化度についていえば30〜100モル%、さらにキトサン誘導体の合成の容易性を考えれば、脱アセチル化度が50〜100モル%が好ましい。
【0013】
本発明で使用する水溶性キトサン誘導体とは、上記キトサンを従来公知の方法で化学修飾して得られる誘導体であり、第1級アミノ基残存率が50%以下であるものが好ましい。上記第1級アミノ基残存率が60%以上になると、該水性溶液組成物を用いて種々の基材を処理した場合において、処理基材の顕著な経時的な着色が観測されることが多くなる。また、本発明で使用する水溶性キトサン誘導体は、第4級アンモニウム基を有する。例えば、キトサンのアミノ基に3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、或いは2,3−エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを反応させて得られる化合物が挙げられる。
【0014】
本発明の水性溶液組成物は、水溶性キトサン誘導体を、水性媒体(「水性媒体」とは、水を主たる溶媒とし、さらに有機溶剤を含有してもよいことを意味している)に溶解したものである。水溶性キトサン誘導体の溶解性を増すために、水性媒体を加熱或いは冷却してもよいし、また、水性媒体に酸またはアルカリを加えて液のpHを調整してもよいが、本発明の目的である処理基材の経時的な着色を抑制するためには、最終的に水性溶液組成物のpHを3以上に調整することが望ましい。最終pHが3.0未満では水性溶液組成物それ自体、或いは該組成物で処理された基材(複合材料)において経時的な着色が観測されることがある。
【0015】
上記水性溶液組成物に使用する水性媒体は通常水に限定されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、水道水など、本発明の水性溶液組成物の用途に応じて選択できる。また、用途に応じた適性を付与するために、上記水に、アセトンなどのケトン類、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、界面活性剤を加えることもできる。
【0016】
また、本発明の水性溶液組成物の使用に際しては、耐水性皮膜を得る目的などのために、該水性溶液組成物中に多塩基酸を除く架橋剤を加える。特に、水溶性キトサン誘導体が本来有する触媒作用以外に、特別な触媒の存在なしに100℃以下でアミノ基と反応して共有結合を形成し得る水溶性架橋剤、具体的にはグリオキザール、グルタールアルデヒドなどの多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価カルボジイミド化合物などを用いることができる。これらの架橋剤を使用する場合には、架橋剤の量は、水溶性キトサン誘導体(固形分)の0.1〜200重量%が好適である。
【0017】
本発明の水性溶液組成物を用いる基材の処理方法では、水性溶液組成物を基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在している水分量の80重量%以上を除去して、水溶性キトサン誘導体を架橋させて、処理された基材(複合材料)とすることができる。
【0018】
本発明の水性溶液組成物の使用に際しては、前記の如き架橋剤を用いることによって、適当な架橋条件を選択し、より効率的に上記の如き処理された基材(複合材料)を得ることができる。また、本発明の水性溶液組成物中に存在する成分の熱感受性に応じて、架橋時の加熱温度と時間を選べばよく、感熱印刷シートなどのように熱に敏感な化合物を含む基材に応用する場合は、50℃以下で水性溶液組成物を塗布および乾燥すればよく、さらに低温で脱水するには減圧乾燥などの方法を使用することもできる。逆に100℃以上の耐熱性を持つ基材を処理する場合には、100℃以上で乾燥および架橋すればよい。以上において水性溶液組成物中に存在した水分量の80重量%以上を除去する方法には特別な条件はない。
【0019】
水性溶液組成物中の水溶性キトサン誘導体の架橋を進行させる条件についても同様であり、水溶性キトサン誘導体が本来有する触媒作用以外に、特別な触媒の存在なしに100℃以下でアミノ基と反応して共有結合を形成し得る水溶性化合物を架橋剤として使用する場合は、100℃以下で加熱すれば目的は達成される。特にグリオキザール、グルタールアルデヒドなどの多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価カルボジイミド化合物を架橋剤として使用する場合は、100℃以下で1秒から180秒程度加熱すればよい。感熱印刷シートなどのように熱に敏感な化合物を含む基材を処理する場合など、50℃以上に加熱できない場合は、低温架橋性の良さからグリオキザールが架橋剤として最適である。グリオキザールを使用する場合、時間を延長すれば40℃以下での架橋も可能である。
【0020】
このように本発明の基材の処理方法では、脱水工程を含む関係上、本発明の水性溶液組成物において水溶性キトサン誘導体の濃度が0.1重量%以上であることが好ましい。これ以下では脱水に多大のエネルギーを必要とする点で不利である。また、本発明の水性溶液組成物の用途のひとつはコーティング剤であることから、水溶性キトサン誘導体濃度が30重量%以下であることが好ましい。これ以上の濃度では、水性溶液組成物があまりに高粘度になるため、コーティング適性に劣る。
【0021】
水性溶液組成物を基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在していた水分量の80重量%以上を除去して得られる処理済基材(複合材料)、および架橋剤を含む本発明の水性溶液組成物を基材の表面および/または内部に付与した後、架橋を進行させる条件にて処理した基材(複合材料)は、第4級アンモニウム基を含むために、キトサン本来の抗菌性、インキ中の染料との反応性、架橋性などが保持、或いはより強化された能力を持つ。
【0022】
その上、本発明の水性溶液組成物を用いて処理された基材(複合材料)は、キトサンの本質的問題である経時的な着色が有意に抑制されている。特に第1級アミノ基残存率が50%以下、より好ましくは0〜25%であるキトサン誘導体による経時的な着色は、実用上無視できるほどに抑制されている点が特記される。
【0023】
上記特徴を生かす用途として、本発明の水性溶液組成物で処理される基材は、例えば、紙、繊維、織布、不織布およびフィルム基材などが好適である。特にその特徴は、紙やフィルムなどの印刷シート、さらに具体的にはインクジェットプリンター用印刷シートにおいて最大に発揮される。この様な用途において、基材に付与される水溶性キトサン誘導体の架橋物は、基材の0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0024】
インクジェットプリンター用印刷シートの製造は、例えば、通常の紙やフィルムの表面またはその近傍に本発明の水性溶液組成物を塗布または含浸した後、100℃前後で乾燥し、水性溶液組成物中に存在していた水分量の80重量%以上を除去することによって行なわれるが、インクジェットプリンター用印刷シートの製造方法は、この方法に限定されるものではない。なお、上記において好ましい塗布量は固形分で0.5〜3g/m2である。
【0025】
このようにして得られた本発明のインクジェットプリンター用印刷シートを使用して、実際に染料インキを使用するインクジェットプリンターにて印字を行ってみたところ、未処理のシートに比べて印字の滲みが少なく、画像の鮮明性が増し、さらに印字30秒後、該印字物に水滴を滴下したが、未処理のシートに印字したものは印字が滲んで印字が判読できなくなったのに対し、本発明のインクジェットプリンター用印刷シートの場合には滲みの発生が殆ど見られず、問題なく判読できた。
【0026】
また、発明のインクジェットプリンター用印刷シートを、相対湿度70%、温度30℃にて1ヶ月放置したものの白度に殆ど変化は見られなかった。これに対し、水溶性キトサン誘導体の代わりにキトサンそのものを使用して作成したインクジェットプリンター用印刷シートは、相対湿度70%、温度30℃で1ヶ月放置で黄変していた。
【0027】
さらに本発明の水性溶液組成物は、基材に塗布または含浸後において低温架橋性に優れ、得られた処理基材(複合材料)は、50℃以下での低温架橋処理であっても十分な強度、耐水性および耐油性を有している。従って本発明の水性溶液組成物は、熱によって影響されやすい感熱印刷シート(例えば、バーコードラベルなど)の表面処理剤として非常に有用である。なお、上記において好ましい塗布量は固形分で0.1〜1.0g/m2である。
【0028】
【実施例】
次に、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。文中の「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
実施例として用いた水性溶液組成物の組成内容を表1に示し、それらの作成方法を以下に記した。
【0029】
<実施例1>
カチオン化キトサン(置換度0.6、第1級アミノ基残存率=25%)10部を酢酸水溶液に溶解し、固形分濃度13%の水溶液を調製後、40%グリオキザール水溶液12.5部を加えて、本発明の水性溶液組成物(pH=3.7)を得た。なお、上記のカチオン化キトサンは、キトサンにグリシジルトリメチルアンモニウムクロライドを70%のイソプロピルアルコールを含む水中で反応させた反応生成物である。
【0030】
<実施例2〜10>
キトサン誘導体(A成分)および架橋剤(B成分)の種類および配合比を表1に示すように変えた水性溶液組成物を、実施例1と同様の方法により調製した。なお、各水性溶液組成物のpHは3.5〜10.3である。
【0031】
<比較例>
比較例として用いた水性溶液組成物の組成内容を表1に示し、それらの作成方法を以下に記した。
【0032】
<比較例1>
キトサン(分子量8万、脱アセチル化度87%)10部を酢酸水溶液に溶解し、固形分濃度15%の水溶液を調製後、40%グリオキザール水溶液12.5部を加えて、比較例1の水性溶液組成物(pH=3.5)を得た。
【0033】
<比較例2>
比較例1の水性溶液組成物に、亜硫酸水素ナトリウム0.5部およびヒドロキノンモノメチルエーテル0.5部を配合し、比較例2の水性溶液組成物(pH=3.5)を調製した。
【0034】
<比較例3>
架橋剤を配合しなかった以外は実施例1と同様にして水性溶液組成物(pH=4.8)を調製した。
【0035】
表1に示す組成により調製した水性溶液組成物を用い、下記の皮膜形成方法により得られた皮膜の耐水性評価試験を行った。評価結果を表1に示す。
<皮膜形成方法ならびに耐水性評価方法>
実施例1〜10および比較例1、2、3の水性溶液組成物2gを、それぞれ直径9cmのガラスシャーレ内に流延し、50℃で乾燥し皮膜を作成した。皮膜作成後、ガラスシャーレに40℃の水80mlを注ぎ、40℃の恒温槽内に静置した。8時間毎、計2回、40℃の水を取り替え、24時間後の皮膜の状態を観察し皮膜の耐水性を評価した。評価は下記の基準に従い4段階にて行った。なお、3以上であれば皮膜としての十分な耐水性を有している。
【0036】
<皮膜耐水性評価基準>
4:不溶かつ膨潤も殆ど見られない。
3:不溶であるが若干膨潤している。
2:一部溶解している或いは崩れている。
1:全部溶解或いは殆ど溶解している。
なお、表中の置換度とは、キトサンのピラノール環1個当たりに反応した反応物の平均モル数であり、本発明においては上記置換度が0.5以上であることが好ましい。
【0037】
【0038】
【0039】
表1に示した耐水性評価結果より、本発明の水性溶液組成物から得られる皮膜は、50℃程度の低温乾燥においても、十分な耐水性を有していることが分かる。実施例1〜3は水溶性キトサン誘導体の置換度を変えたもので、結果は良好であった。実施例4〜6は各成分の配合割合を変えたものであるが、十分な耐水性を示した。実施例7〜10は架橋剤の種類をそれぞれ変えたものであるが、いずれも良好な結果であった。比較例3は架橋剤を配合していなので皮膜は全て溶解してしまった。
【0040】
<実施例11〜13、比較例4、5>
本発明の水性溶液組成物を、ステキヒトサイズ度25秒の上質紙を基材として用い、バーコーターにより固形分で5.0g/m2を片面に塗工後、50℃で乾燥し塗工紙を得た。この塗工紙を40℃、相対湿度90%の環境に放置し、2ヶ月間塗工紙の経時的な着色の変化を色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CR−321)により、色差b値を測定し評価を行った。
なお、実施例11〜13はそれぞれ実施例1、2、3で調製した水性溶液組成物を、比較例4、5は比較例1、2で調製した水性溶液組成物をそれぞれ用いた。評価結果を表2に示す。
【0041】
【0042】
表2の結果より、本発明の水性溶液組成物を用いて紙を処理した際、該処理紙は経時的な着色が著しく抑制されていることが分かる。実施例11〜13はキトサン誘導体の置換度を変えたもので、置換度が高くなる程、着色を抑制する効果がより優れることが分かる。比較例4はキトサンそのものを用いたもので、経時的にかなり着色が進行している。比較例5は、比較例4にキトサン酸水溶液の着色を抑制する効果がある亜硫酸水素ナトリウムを配合したもので、未添加の比較例4に比べると幾分着色が抑制されているものの、十分な経時的な着色を抑制する効果は有していない。この結果より、キトサン誘導体の置換度が高く、かつ第1級アミノ基残存率が50%以下、より好ましくは25%以下であることが望ましいことが分かる。
【0043】
<実施例14〜16、比較例6>
水性溶液組成物No.1〜3(それぞれ実施例14〜16に対応)を実施例11〜13と同様な方法で上質紙に塗工した。得られた塗工紙に対しセイコーエプソン(株)製PM−700C型インクジェットプリンターにてカラー印刷後、印字の耐水性を下記の方法で評価した。なお、カラー印刷はマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの各色についてベタ印字した。比較として未処理の上質紙に対してもベタ印字を行なって評価した(比較例6)。評価結果を表3に示す。
【0044】
<印字耐水性試験方法>
ベタ印字した画像を2リットル/分の流水中に15分間浸漬し、試験前後の画像濃度を5段階にて評価した。
<印字耐水性評価基準>
5:全く滲まない。
4:微かに色が滲み出る。
3:少し色落ちがある。
2:色落ちが大きい。
1:殆ど脱色。
【0045】
【0046】
表3の結果より、本発明における水性溶液組成物を用いて紙を処理した際、印字の境界滲みなどもなく、印字耐水性に優れるインクジェットプリンター用印刷シートが得られることが分かる。
【0047】
【発明の効果】
以上の如き本発明によれば、紙などの基材を処理した際に経時的な着色の問題が解決されたキトサン誘導体を含む水性溶液組成物、該水性溶液組成物を用いる基材の処理方法および経時的な着色性が十分に抑制された物品が提供される。
Claims (12)
- 第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体と多塩基酸以外の架橋剤を少なくとも水性媒体中に含むことを特徴とする水性溶液組成物。
- 第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体中の第1級アミノ基またはその塩の基由来の窒素原子数の、キトサン由来の全窒素原子数に対する比率が50%以下である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- pHが、3以上である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- 第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体の濃度が、0.1〜30重量%である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- 架橋剤が、多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物および多価カルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の水性溶液組成物を、基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在している水分量の80重量%以上を除去して、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体を架橋させることを特徴とする基材の処理方法。
- 基材が、紙、繊維、織布、不織布またはフィルムであり、架橋物が、基材の0.1〜5重量%である請求項6に記載の基材の処理方法。
- 基材が、印刷シートである請求項7に記載の基材の処理方法。
- 印刷シートが、インクジェットプリンター用印刷シートである請求項8に記載の基材の処理方法。
- 基材が、感熱印刷シートである請求項7に記載の基材の処理方法。
- 表面または表面近傍に、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体の架橋物を含有していることを特徴とするインクジェットプリンター用印刷シート。
- 表面または表面近傍に、第4級アンモニウム基を有する水溶性キトサン誘導体の架橋物を含有していることを特徴とする感熱印刷シート。
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