JP4023894B2 - 構造下地材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造下地材に関し、詳しくは、木質材に迅速且つ確実に固定でき、木造建築物における壁や天井等の反りや寸法変化を効果的に防止することのできる構造下地材、及び該構造下地材を用いた間仕切り壁、建具等に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、木造建築物においては、構造材は勿論、方立、胴縁等の壁下地材や天井下地材は全て木質材で構成されており、軽量鉄骨やコンクリート造りの建築物で用いられるような鋼製の下地材は使用されていなかった。
しかし、従来の木造建築におけるように、壁下地材や天井下地材等の構造下地材として、木質材のみを用いた場合には、壁や建具を薄い厚さで仕上げた場合、反りや寸法変化等の不都合を生じることがある。
そのため、木造建築物においても鋼製の下地材を用いることが考えられるが、資材調達や職種の複雑化、加工の困難性、木質材との接着性の悪さ等の観点から、木造建築物に鋼製の下地材を用いることは困難であった。
【0003】
従って、本発明の目的は、木質材に迅速且つ確実に固定でき、木造建築物における壁や天井等の反りや寸法変化を効果的に防止することのできる構造下地材、該構造下地材を用いた間仕切り壁及び建具、構造下地の施工性を向上させる横材及び構造下地用枠体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の固定用孔及び操作用孔を有する特定形態の構造下地材が上記課題を解決し得ることを知見した。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、請求項1に記載の発明は、断面直角四角形状の角筒状の形態を有し、木質材に併設される鉄又はアルミ製の構造下地材であって、周面を構成する四面の全てに固定用孔が穿設され、該四面の内の任意の面を木質材に当接させ、該固定用孔を介してビス、釘等の固定具により、該木質材に当接固定可能になされており、上記各固定用孔に対向する位置に、上記固定具の操作用孔が穿設されており、上記各固定用孔が、構造下地材の長手方向の中央部を避けた位置に設けられており、該構造下地材の上記四面の内、上記木質材に当接させる面以外の面における長手方向中央部に、ボード等の壁材を外部よりビス等の固定具で直接固定可能になされていることを特徴とする構造下地材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0006】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の構造下地材を、木質材に当接固定し、該構造下地材における該木質材への当接面とは異なる面にボード等の壁材を固定してなり、その厚みが20〜90mmであることを特徴とする間仕切壁を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
請求項に記載の発明は、引込み戸の袖壁であることを特徴とする請求項に記載の間仕切壁を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の構造下地材を、建具の框材に内側から当接固定してあることを特徴とする建具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0009】
請求項に記載の発明は、断面直角四角形状の角筒状の形態を有し、木質材に併設される鉄又はアルミ製の構造下地材であって、周面を構成する四面の全てに固定用孔が穿設され、該四面の内の任意の面を木質材に当接させ、該固定用孔を介してビス、釘等の固定具により、該木質材に当接固定可能になされており、上記各固定用孔に対向する位置に、上記固定具の操作用孔が穿設されている構造下地
組み合わせて用いる長尺状の横材であって、
記構造下地材の上端部又は下端部に嵌合する断面コ字状の形態を有し、上記構造下地材に面する立面部に、所定の間隔で複数の切り込みが設けられており、該立面部の一部を内方に折曲することにより該構造下地材の結合位置を仮固定することができるようになっていることを特徴とする横材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の構造下地材を少なくとも一対備えており、各構造下地材の上端部間および下端部間が横材により連結されてなることを特徴とする構造下地用枠体を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構造下地材、間仕切壁、建具、横材及び構造下地用枠体それぞれの好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
先ず、本発明の構造下地材の一実施形態について図1〜図3を参照して説明する。ここで、図1は、本発明の構造下地材の一実施形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1の構造下地材を木質材に併設した状態を示す図であり、図3は、図1の構造下地材に壁材を固定した状態を示す斜視図である。
【0011】
本形態の構造下地材1は、図1及び図2に示されるように、角筒状の形態を有し、木質材2に併設される鉄製の構造下地材であり、上記木質材2に当接される面に固定用孔3が穿設され、該固定用孔3を介してビス、釘、ネジ等の固定具4により、該木質材2に当接固定されるようになっており、上記固定用孔3に対向する位置に、上記固定具4の操作用孔5が穿設されている。
【0012】
本形態の構造下地材1は、普通鋼、ステンレス鋼、特殊鋼等の鉄からなる鉄製の構造下地材であり、釘、ネジ等の固定具4の頭部を係止可能な固定用孔3が、該構造下地材1の周面を構成する四面の全てに設けられている。即ち、本形態の構造下地材1においては、上記四面のいずれもが木質材2への当接面となり得る。
【0013】
上記各固定用孔3に対向する位置には、各固定用孔3に対応させて上記固定具4を操作するための操作用孔5が穿設されており、該各操作用孔5は、対応する上記各固定用孔3よりも大径に形成されており、該操作用孔5を介して、ビス、釘、ネジ等の固定具4を固定するための操作、例えば、ビス、釘については打着、ネジについては回転等の操作を行うことができるようになっている。
上記固定具4としては、従来公知の各種の固定具を用いることができるが、迅速且つ確実な木質材への固定の観点からビス、釘又はネジ用いることが好ましい。尚、固定具4の操作の手段に特に制限はないが、例えば、ビス、釘等については当て金と金槌や、コンプレッサーによる専用打込機等が用いられ、ネジ等については、ドライバーや専用電動工具等が用いられる。
【0014】
本形態の構造下地材1には、上記固定用孔3が、その周面を構成する四面の全てに、それぞれに複数設けられており、該四面の内の任意の面を木質材2への当接面とすることができる。そのため、本形態の構造下地材1を木質材2に固定する際に、面を選択する必要がないので木質材への迅速な固定が可能である。更に、図2に示すように隣接する二面に木質材2,2を当接させて固定することも可能である。
【0015】
本形態の構造下地材1においては、上記各固定用孔3は、図1に示すように、それぞれ該構造下地材1の長手方向の中央部を避けた位置に設けられ、図3に示すように、該中央部に、ボード等の壁材6を外部より釘、ビス等の固定具4で直接固定できるようになっている。上記中央部とは、中心線Cを含む所定幅の領域であり、該中央部を避けた位置に固定用孔3を設けることにより、木質材(図示せず)への当接面(図3中、1a及び/又は1b)とは異なる構造下地材1の面1cに、ボード等の壁材6を当接固定する際、該構造下地材1の上記固定用孔3の穿設位置を気にせず迅速且つ確実な固定が可能である。即ち、上記中央部には、上記固定用孔3が存在しないので、該中央部にビスや釘、ネジを打着等すれば、打着位置が上記固定用孔3に重なって固定が不十分となる等の不都合を生じない。尚、本形態の構造下地材1は、断面四角形の形態を有しているため、上記操作用孔5も上記固定用孔3と同様に構造下地材1の長手方向の中央部を避けた位置にあり、これにより壁材6を固定するためのビスや釘、ネジ等と該操作用孔5との重なりも同時に防止される。尚、上記中央部には、外部からの固定具の打ち込み等を容易にするために、刻印等の表面凹凸処理が施されていることが好ましい。
【0016】
また、本形態の構造下地材1においては、図1に示すように、対向する一対の面における上記固定用孔3,3同士が、異なる水平面上に位置するように設けられており、上記固定用孔3と上記操作用孔5とが同一面上で横に並ぶことによる強度の低下が生じない。
【0017】
本形態の構造下地材1は、好ましくはその周面を構成する四面の内の任意の一面、又は、図2に示すように隣接する二面が、該面に設けられた上記固定用孔3を介してビス等の固定具4により木質材2に当接固定される。尚、構造下地材1が併設される木質材2は、木造建築物における長尺材であれば特に制限されないが、例えば、柱、間柱、開口部の枠材、建具の框材、木質天井下地材等が挙げられる。
【0018】
本形態の構造下地材1によれば、木質材に迅速且つ確実に固定でき、木造建築物における壁や天井等の反りや寸法変化を効果的に防止することが可能であると共に、上記各固定用孔3及び各操作用孔5を特定の位置に設けてあるので、高強度であり、壁材の固定性に優れる等の上述した各効果が奏される。
【0019】
次に、本発明の間仕切壁及び建具の一実施形態について図4を参照して説明する。ここで、図4は、本発明の間仕切壁及び建具の一実施形態を示す横断面図である。
本実施形態の間仕切壁7は、図4に示すように、引込み戸の袖壁であり、上記構造下地材1を木質材2に当接固定し、該構造下地材1における該木質材1への当接面とは異なる面にボード等の壁材6を固定してなる。
【0020】
本形態の間仕切壁7においては、一対の上記構造下地材1,1が、該間仕切壁7の両端部に配された一対の木質材2,2に、それぞれ上述のように上記固定用孔3を介してビス等の固定具(図示せず)により当接固定されている。
そして、各構造下地材1の該木質材2への当接面と異なる一対の面(該当接面に隣接する両側の面)に壁材としてのボード6,6がそれぞれビス等の固定具(図示せず)を用いて固定されている。本袖壁の厚み(上記ボード6,6の外側面間の距離)は、20〜90mm、より好ましくは40〜60mmである。
【0021】
本形態の間仕切壁7によれば、該間仕切壁7の両端部に配された一対の木質材2,2それぞれに上記構造下地材1,1が併設されているため、該木質材2,2の反りを効果的に防止することができる。これにより、例えば、引込み戸8のスムーズな開閉を長期間維持可能である。また、本形態の間仕切壁7においては、上記構造下地材1を用いているため、該構造下地材1と上記木質材2との固定、及び該構造下地材1への上記壁材6,6の固定を迅速かつ確実に行うことができ、施工性にも優れている。
【0022】
図4に示される引込み戸8は、本発明の建具の一実施形態であり、この引込み戸8においては、上述の構造下地材1,1を一対、それぞれ該引込み戸8の框材8a,8aに内側から当接固定してある。尚、本引込み戸8における特に言及しない部分の構成は、従来の引込み戸8におけるのと同様である。
【0023】
本形態の建具8においては、該建具8の両端部に配された一対の框材8a,8aそれぞれに、上記鉄製構造下地材1,1が併設されているため、建具8の反りや寸法変化の効果的に防止することができ、例えば戸の良好な開閉を長期間維持可能である。また、上記構造下地材1を用いているため、該構造下地材1と上記框材8a,8aとの固定を迅速かつ確実に行うことができ、施工性にも優れている。
【0024】
次に、本発明の横材及び構造下地用枠体の一実施形態について図5及び図6を参照して説明する。ここで、図5は、本発明の横材の一実施形態を示す斜視図であり、図6は、本発明の構造下地用枠体の一実施形態を示す正面図である。
本形態の横材9は、上記構造下地材1の上端部又は下端部に嵌合する断面コ字状且つ長尺状の鉄製の横材であって、構造下地材1に面する立面部9aに、所定の間隔で複数の切り込み9b,9b・・が設けられており、該立面部9aの一部を内方に折曲することにより該構造下地材1の結合位置を仮固定することができるようになっている。
【0025】
本形態の横材9においては、断面四角形の上記構造下地材1における互いに対向する一対の壁面に、それぞれ立面部9a,9aが当接するようになっており、その両方の立面部9a,9aに、その端縁から中央部に至る複数の切り込み9b,9b・・が設けられている。そして、図5に示されるように、立面部9a,9aそれぞれの一部9cを内方に折曲することにより上記構造下地材1の結合位置を仮固定し、折曲した部分9cを元の状態に戻すことにより該仮固定を解除することができるようになっている。
【0026】
本形態の横材9によれば、鉛直方向に配される壁下地材や水平方向に配される天井下地材等の構造下地材1と仮固定することができるので、壁下地や天井下地の施工性を向上させることができる。例えば、該横材9と該構造下地材1を仮固定した状態での取り扱いが可能となり、該横材9と該構造下地材1とを組み合わせた構造下地用枠体10として所定箇所に配設した後、微調整して該構造下地材1を適切な位置に配することも可能である。
【0027】
上記構造下地用枠体10は、本発明の構造下地用枠体の一実施形態であり、該構造下地用枠体10は、上記構造下地材1を左右に一対備えると共に中央部に、上記固定用孔3のような固定用孔を有しない角筒状且つ鉄製の構造下地材11を備え、各構造下地材1,1,11の上端部間および下端部間が一対の上記横材9,9により連結されてなる。
【0028】
本形態の構造下地用枠体10によれば、上記構造下地材1を鉛直方向に配された木質材2に固定する際や、上記横材9を上方に固定する際などに、該構造下地材1や該横材9が枠構造により支持されるため、該構造下地材1や該横材9の被固定材への固定が容易である。また、構造下地材1が倒れたり、横材9が落下する等の危険が防止される。
【0029】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されることなく本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、本発明の構造下地材は、平断面形状が直角四角形状であるが、特に正方形であることが好ましい。また、構造下地材の材質は、普通鋼、ステンレス鋼、特殊鋼等の他アルミ等鉄に類似する金属であっても良い。
【0030】
また、本発明の間仕切壁及び建具においては、上記固定用孔及び上記操作用孔を有する構造下地材が一本のみ用いられているものであっても良い。また、本発明の構造下地用枠体における上記横材は、上述の横材9に限定されず、一対の上記構造下地材間を連結できるものであれば良い。
その他各部材の形成材料や寸法等は本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜に変更することができることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、木質材に迅速且つ確実に固定でき、木造建築物における壁や天井等の反りや寸法変化を効果的に防止することのできる構造下地材、該構造下地材を用いた間仕切り壁及び建具、構造下地形の施工性を向上させる横材及び構造下地用枠体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の構造下地材の一実施形態を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2は、図1の構造下地材を木質材に併設した状態を示す図である。
【図3】図3は、図1の構造下地材に壁材を固定した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の間仕切壁及び建具の一実施形態を示す横断面図である。
【図5】図5は、本発明の横材の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】図6は、本発明の構造下地用枠体の一実施形態を示す正面図である。
【符号の説明】
1 構造下地材
2 木質材
3 固定用孔
4 固定具
5 操作用孔
6 壁材
7 間仕切壁(袖壁)
8 建具(引込み戸)
9 横材
10 構造下地用枠体

Claims (6)

  1. 断面直角四角形状の角筒状の形態を有し、木質材に併設される鉄又はアルミ製の構造下地材であって、
    周面を構成する四面の全てに固定用孔が穿設され、該四面の内の任意の面を木質材に当接させ、該固定用孔を介してビス、釘等の固定具により、該木質材に当接固定可能になされており、
    上記各固定用孔に対向する位置に、上記固定具の操作用孔が穿設されており、
    上記各固定用孔が、構造下地材の長手方向の中央部を避けた位置に設けられており、該構造下地材の上記四面の内、上記木質材に当接させる面以外の面における長手方向中央部に、ボード等の壁材を外部よりビス等の固定具で直接固定可能になされていることを特徴とする構造下地材。
  2. 請求項1に記載の構造下地材を、木質材に当接固定し、該構造下地材における該木質材への当接面とは異なる面にボード等の壁材を固定してなり、その厚みが20〜90mmであることを特徴とする間仕切壁。
  3. 引込み戸の袖壁であることを特徴とする請求項に記載の間仕切壁。
  4. 請求項1に記載の構造下地材を、建具の框材に内側から当接固定してあることを特徴とする建具。
  5. 断面直角四角形状の角筒状の形態を有し、木質材に併設される鉄又はアルミ製の構造下地材であって、周面を構成する四面の全てに固定用孔が穿設され、該四面の内の任意の面を木質材に当接させ、該固定用孔を介してビス、釘等の固定具により、該木質材に当接固定可能になされており、上記各固定用孔に対向する位置に、上記固定具の操作用孔が穿設されている構造下地
    組み合わせて用いる長尺状の横材であって、
    上記構造下地材の上端部又は下端部に嵌合する断面コ字状の形態を有し、上記構造下地材に面する立面部に、所定の間隔で複数の切り込みが設けられており、該立面部の一部を内方に折曲することにより該構造下地材の結合位置を仮固定することができるようになっていることを特徴とする横材。
  6. 請求項1に記載の構造下地材を少なくとも一対備えており、各構造下地材の上端部間および下端部間が横材により連結されてなることを特徴とする構造下地用枠体。
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