JP4021667B2 - 塗布装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布装置に関し、詳しくは走行するフィルム状の可撓性支持体に塗布ヘッド(ダイ)を用いて塗布液を塗布する塗布装置に関し、さらに詳しくはその厚みが1.5〜5.0μmの可撓性支持体を用いて高速塗工に適用できる塗布装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗工液とも呼ばれる塗布液をフィルム状の可撓性支持体に塗布する方法としては、従来より例えばロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ダイコーター、あるいは種々のリバースコーター等の多種多様なコーティング方法が用いられている。この中でも、ダイコーターは、可撓性支持体への塗布の直前まで塗布液が空気にさらされることがないため塗布液の変化がないこと、形成された塗布膜の幅方向の膜厚均一性に優れていること、および塗布膜形成面の平滑性に優れていること等の理由により、近年その利用が増加している。
【0003】
このようなダイコーターを用いた塗布方法の代表的な例としては、例えば特開平11−319677号公報の図1等や、特開平11−333360号公報の図1や図6等に示されているように、いわゆる押出し塗布法が知られている。
すなわち、押出し塗布法は、コーターヘッドとも呼ばれる塗布ヘッドを中心として連続的に搬送される可撓性支持体の上流側および下流側に一定の間隔を置いて配置された一対のガイドロール(サポートロール)に可撓性支持体を連続的に案内して、これらのガイドロールの間に配置された塗布ヘッドから直接に可撓性支持体表面へ塗布液を押し出すことにより、均一かつ平滑に、なおかつ薄く塗布する方法である。
【0004】
押出し塗布法では、その生産性や膜厚制御の容易性等を考慮して、連続的に搬送される可撓性支持体を介して塗布ヘッドに対向する側(可撓性支持体を介して塗布ヘッドの反対側)には、バックアップのための何らの当接物(例えばバックアップロール等)が無い、いわゆるバックアップフリーの状態で塗布ヘッドを可撓性支持体に押し付ける方式が主に採用されている。
【0005】
上記したような押出し塗布法を使用すれば、例えば従来から行われている写真感光体や磁気記録媒体等のような比較的腰が強いフィルムシート(可撓性支持体)への塗布では、塗工前後や搬送でのシワ発生を無くすことは容易である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば1.5〜5.0μmの厚みのポリエチレンテレフタレート(PET)系のフィルムシート(可撓性支持体)を用いての高速塗工(大体10.0〜300m/min)では、その可撓性支持体自体の弛みによる塗工ムラが発生したり、その厚さが薄く腰が弱いことによる搬送時のシワの発生や塗工スジが発生したりする問題点がある。
【0007】
そのため、可撓性支持体のテンション(張力)を比較的大きくすると、その可撓性支持体がその幅方向に撓む「縦スジ」と呼ばれる不具合現象が発生してしまい、可撓性支持体の幅方向の塗布膜の均一性も失われてしまう結果となる。
【0008】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その主な目的とするところは、比較的撓みの大きい極薄フィルム状の1.5〜5.0μmの厚みの可撓性支持体を用いた高速塗工において、搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合が発生しない塗布装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決すると共に上記目的を達成するために、各請求項記載の発明では、以下の特徴ある構成を採っている。
請求項1記載の発明は、1.5〜5.0μmの厚みを有し走行するフィルム状の可撓性支持体の一方の面を所定間隔隔てた第1および第2のサポートロールで支持し、これらのサポートロールの間の略中間部の上記可撓性支持体の他方の面に塗布ヘッドの吐出口塗布面を押し付けて、該吐出口塗布面から塗布液を上記他方の面に塗布する塗布装置において、上記可撓性支持体のシワを延ばすための上記一方の面に接触する延伸部材であって、上記可撓性支持体の走行方向における第1のサポートロールの上流側に配置された第1の延伸部材と、上記走行方向における第2のサポートロールの下流側に配置された第2の延伸部材と、第2の延伸部材における上記走行方向の下流側に設けられ、上記一方の面に接触する無端ベルトを備えたベルト搬送手段とを有し、上記吐出口塗布面の中心に対して鉛直方向に延びた塗布面鉛直線と第1の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第1の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第1の直線距離、および上記塗布面鉛直線と第2の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第2の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第2の直線距離が、上記走行方向と直交する上記可撓性支持体の幅以内であり、かつ、第2の延伸部材の中心と上記一方の面と接触する第2の延伸部材の接点とを通る半直線と、上記一方の面と接触する上記無端ベルトにおける上記走行方向の上流端との間の直線距離が、上記幅以内であることを特徴とする。
【0010】
ここで、「上記吐出口塗布面の中心に対して鉛直方向に延びた塗布面鉛直線と第1の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第1の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第1の直線距離、および上記塗布面鉛直線と第2の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第2の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第2の直線距離が、上記走行方向と直交する上記可撓性支持体の幅以内」とは、「平面視で、第1の延伸部材の中心と上記吐出口塗布面の中心との間の直線距離、および第2の延伸部材の中心と上記吐出口塗布面の中心との間の直線距離が、上記走行方向と直交する上記可撓性支持体の幅以内」と言い替えることができる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の塗布装置において、第1および第2の延伸部材は、エキスパンダロールであることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の塗布装置において、請求項2記載の塗布装置において、上記エキスパンダロールは、少なくともその表面部が上記一方の面に密着する性質を有するゴムでできていることを特徴とする。
【0015】
請求項または記載の塗布装置において、上記2つのエキスパンダロールとしては、特に、以下の構成・機能を有するものが後述する効果を奏する上で好ましい。
すなわち、第1に、請求項または記載の塗布装置において、上記2つのエキスパンダロールは、上記可撓性支持体をその幅方向に張らせることによりシワを延ばす機能を有し、2つのエキスパンダロールは、上記走行方向と平行に弧高を合わせて不動部に固定された円弧状の支持軸と、この支持軸に軸支されて回転するロールとにより構成されていることである。
第2に、第1に記載の塗布装置において、上記2つのエキスパンダロールは、上記支持軸を中心に回転する複数(多数)の同径のベアリングと、これらのベアリングを共通に被覆する外装部材からなることである。
第3に、第1または第2に記載の塗布装置において、上記2つのエキスパンダロールは、それぞれ速度可変な異なる駆動源に連結されていることである。
【0016】
第4に、第1、第2または第3に記載の塗布装置において、上記2つのエキスパンダロールのうち、上記走行方向の下流側のエキスパンダロールの周速度を上流側のエキスパンダロールよりのそれよりも大きく設定したことである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態(以下「実施形態」という)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する部材や構成部品等の構成要素については、同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成要素は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。また、図および説明の簡明化を図るため、図に表されるべき構成要素であっても、その図において特別に説明する必要がない構成要素は適宜断わりなく省略することがある。
【0019】
(実施形態1)
図1ないし図4に、本発明の塗布装置に係る実施形態1を示す。
図1および図2において、符号50は、実施形態1の塗布装置を示す。塗布装置50は、走行する極薄フィルム状の可撓性支持体としてのフィルムシート1の一方の面1aを所定間隔隔てた位置で支持する第1のサポートロール2(以下「上流側サポートロール2」という)および第2のサポートロール3(以下「下流側サポートロール3」という)と、これらのサポートロール2,3の間の略中間部のフィルムシート1の他方の面1bにその吐出口塗布面4aを押し付けて、該吐出口塗布面4aのスリット4bから塗布剤である塗布液5を他方の面1bに塗布する塗布ヘッド4と、フィルムシート1のシワを延ばすための一方の面1aに接触する延伸部材であって、フィルムシート1の走行方向6における上流側サポートロール2の上流側に配置された第1の延伸部材としての上流側エキスパンダロール7と、走行方向6における下流側サポートロール3の下流側に配置された第2の延伸部材としての下流側エキスパンダロール8と、塗布液5を塗布ヘッド4へ供給するための塗布液供給装置9とから主に構成されている。
【0020】
フィルムシート1としては、従来の塗布装置で対象としていた写真感光体や磁気記録媒体等における厚み6.5μm〜15.0μmと比べて、その厚みが
1.5μm〜5.0μmというように極薄のものを対象としている。このように、本実施形態1で使用するフィルムシート1は、弛みがあり、かつ、比較的腰が弱いために、フィルムシート1の他方の面1bに塗布液5を塗布する前後において、従来のものと比べてシワや塗布スジが発生しやすいものとなっている。
フィルムシート1の具体例としては、例えば、後述する孔版印刷装置等で使用される熱可塑性樹脂フィルムでできた樹脂製の極薄フィルムや極薄の用紙等を挙げることができる。
【0021】
フィルムシート1は、図1および図2における上流側エキスパンダロール7の上流側において、図示しない不動の支持部材に回転自在に支持されロール状に巻かれて形成された繰り出しロール(図示せず)から繰り出し可能に設けられている。該繰り出しロールは、フィルムシート1を繰り出す方向と逆方向に付勢するゴム等の付勢部材により付勢されていて、フィルムシート1が通常の振動等の外力によって自然にフィルムシート1を繰り出さないようになっている。
【0022】
また、下流側エキスパンダロール8の下流側には、図示しない複数のガイドロールおよび乾燥手段等を備えた乾燥装置(図示せず)が配設されており、さらに該乾燥装置を経由して乾燥したフィルムシート1を巻き取るための巻き取りロール(図示せず)が配設されている。上記巻き取りロールは、図示しない不動の支持部材に回転自在に支持されていて、上記繰り出しロールに付与された上記付勢力よりも大きい力を生じさせるトルクで乾燥したフィルムシート1を巻き取るように、図示しない駆動モータで回転駆動されるようになっている。
【0023】
それ故に、上記繰り出しロールと上記巻き取りロールとの間のフィルムシート1には、常に一定の張力が作用するようになっている。また、後述するように上流側サポートロール2および下流側サポートロール3との間で所定の張力に調整されるようにもなっている。
【0024】
上流側サポートロール2および下流側サポートロール3は、図1および図2示すように、塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aを挟んで走行方向6の上流側および下流側にそれぞれ図示しない軸受けを介して回転可能に配置されていて、フィルムシート1の搬送力によって従動回転する。各サポートロール2,3としては、耐溶剤性等を確保する点等から、例えばアルミニウム等の金属に適宜の表面処理を施したものが用いられる。上流側サポートロール2および下流側サポートロール3は、部品の共通化を図るために、本実施形態1を含め後述する実施例等では同様の材質、形状・寸法のものを用いたが、その用途や目的によってはこの限りでない。
【0025】
各サポートロール2,3は、図示しない接触角可変手段によってフィルムシート1の一方の面1aに接触して図1中矢印で示す上下方向に変位可能であり、各サポートロール2,3間のフィルムシート1に付与する張力を変えることができるようになっている。上記接触角可変手段は、各サポートロール2,3間を走行するフィルムシート1の他方の面1bと吐出口塗布面4aの押し付け方向とのなす接触角θ1(図1においては、右側だけを図示したが左側も同様である)を変えることにより上記張力を調整するものであり、その具体例としては、例えば特開平11−319677号公報の図3ないし図5に示されている機構やその他周知の機構によって容易に構成し得る。
【0026】
塗布ヘッド4は、図1および図2に示すように、走行方向6と直交するシート幅方向7に延びて配置されている。塗布液5は、図1および図2において梨地模様で示されており、塗布ヘッド4の内部においてシート幅方向7に形成されたポケットあるいはマニホールドとも呼ばれる円筒形状の塗布液溜め部4cからスリット4bを経てその吐出口から押し出され、該吐出口を囲むように形成された平坦面をなす吐出口塗布面4aに直接的に接触・押し付けられて連続的に走行するフィルムシート1の他方の面1bに塗布される。
【0027】
塗布液供給装置9は、図1に示すように、塗布液5を貯蔵するタンク12と、タンク12から塗布液5を吸い上げ圧送するポンプ13と、ポンプ13により圧送された塗布液5を開閉する弁14と、塗布ヘッド4の塗布液溜め部4cに連通され塗布液5を塗布液溜め部4cに供給するための塗布液供給管15とから主に構成される。
【0028】
第1の延伸部材としての上流側エキスパンダロール7および第2の延伸部材としての下流側エキスパンダロール8は、主としてフィルムシート1をシート幅方向7に張らせてそのシワを延ばす機能・構成を有する。第1の延伸部材および第2の延伸部材の上記機能を持たせて後述する効果を奏するものとしては、図1ないし図3に示すような特有の構成を有する上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8を挙げることができ、これらが特に好ましい。
【0029】
それ程の効果を期待しなくてもよいのであれば、第1の延伸部材および第2の延伸部材としては、例えば溝付きロールや回転コロ等であってもよい。上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8は、部品の共通化を図るために、本実施形態1を含め後述する実施例等では同様の材質、形状・寸法のものを用いたが、その用途や目的によってはこの限りでない。
【0030】
次に、上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8の特有の配置・構成について、詳述する。
上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8は共に、走行方向6と平行に弧高(円弧の高さ方向)を合わせ、かつ、走行方向6の上流側に弧の中心が位置するようにして軸の両端部を不動部に固定された円弧状の支持軸7a,8aと、これらの支持軸7a,8aに軸支されて回転するロール7b,8bとにより構成されている。なお、上流側エキスパンダロール7の支持軸7aの両端部は、図3に示すように、装置本体側に固定された不動部としての固定軸受16に固定支持されている。
【0031】
図2に示すように、上流側エキスパンダロール7における支持軸7aの中心線O1−O1は、任意の仮想水平面内に位置している。この中心線O1−O1は、上記仮想水平面内においてシート幅方向7でのフィルムシート1の中心を通る中心線O2−O2の延長上であって上流側エキスパンダロール7よりも走行方向6での上流側に位置する中心O3を中心とした円弧である。
下流側エキスパンダロール8についても、上記した上流側エキスパンダロール7における上記仮想水平面内に支持軸8aの中心線を有していて、支持軸8aの中心は支持軸7aと同じ曲率で走行方向6と平行に弧高を合わせてある。
【0032】
このように、走行方向6と平行に弧高を合わせるとは、別の表現をすれば、上述したように、任意の仮想平面内にあり円弧の一部をなす中心線O1−O1の円弧の中心が、フィルムシート1の幅Bの中心を通る同一仮想平面内における中心線上であって走行方向6の上流側に位置する関係となっていることをいう。
【0033】
上流側エキスパンダロール7を中心として、この上流側エキスパンダロール7から下流側エキスパンダロール8側へ向かうフィルムシート1と、上流側エキスパンダロール7から上記繰り出しロール側へ向かうフィルムシート1とがなす角度θ2は、略30°〜70°の範囲、好ましくは45°がよい。
【0034】
このような条件の下で、上記巻き取りロールで乾燥したフィルムシート1を巻き取ることにより、走行方向6にフィルムシート1を搬送するとき、上流側エキスパンダロール7の部位においてフィルムシート1は、図4に破線矢印で示すように中心線O2−O2から振り分けて外側に向かう向きに送られることとなる。
【0035】
つまり、上流側エキスパンダロール7は円弧状をしたその中心線O1−O1の軸直角方向にフィルムシート1を送るのであるから、中心線O2−O2上では走行方向6と合致しており、中心線O2−O2から外側に離れるに従い、より外側に送り方向が傾く。従って、フィルムシート1はフィルムシート1の幅Bの中央を境として、シート幅方向7の両外側に向けて力を受けて引っ張られてシワが延ばされる。
【0036】
仮に、弧高の方向をフィルムシート1側に倒すと支持軸の中心線は下に凸の湾曲となり、フィルムシート1の中央部は延びるがその両端側に弛みやシワができるし、弧高の方向をフィルムシート1と反対側に倒すと、支持軸上に凸の湾曲となり、フィルムシート1の中央部は延びるがその両端側に弛みやシワが入る。従って、上流側エキスパンダロール7は、走行方向6と平行に弧高を合わせるのが最もよい。
【0037】
上流側エキスパンダロール7と下流側エキスパンダロール8とは、同様の構成を有するため、以下、上流側エキスパンダロール7を代表して説明する。
図3に示すように、上流側エキスパンダロール7は、支持軸7aとロール7bとを有している。ロール7bは、支持軸7bを中心に回転する多数の同径のベアリング7cと、これらのベアリング7cを共通に被覆し摩擦係数が大きく、かつ、弾性を有する外装部材7dと、両端部で外装部材7dおよびベアリング7cに固定されている止め輪7eと、支持軸7aと一体的に固定されてロール7bの軸方向での位置ずれを防止する抜け止め10gとから主に構成されている。
【0038】
図3における上流側エキスパンダロール7の右端部には、ロール7bに回転駆動力を伝達するためのプーリ10fが止め輪7eと抜け止め7gとの間に設けられている。プーリ10fは、支持軸7aの周りに回転自在である。
【0039】
上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8を構成する回転部分としてのロール7b、8bの表面部を形成する外装部材7dは、フィルムシート1の一方の面1aに接触してある程度の密着性を持つ方がフィルムシート1を延ばす働きがあるため、ゴムで形成することが好ましい。さらに具体的には、後述する実施例等で用いたような耐油性、耐摩耗性、耐老化性等に優れたニトリルゴム(NBR)等が特に好ましい。
【0040】
ゴムは、弾性を有するので、湾曲した支持軸7aに装着された多数のベアリング7cを覆いつつ当該ベアリング7cと一体的に回転することができるし、フィルムシート1に対して高摩擦係数であるから、フィルムシート1に接触しつつ回転することによってフィルムシート1をシート幅方向7に延ばすことができ、フィルムシート1を常に鏡面状態に維持し塗布液5を塗布することによって塗工ジワ、スジを発生させないようにすることができる。
【0041】
ロール7bは、支持軸7bを中心に回転する多数の同径のベアリング7cと、これらのベアリング7cを共通に被覆するゴムからなる外装部材7dとで構成されているので、ロール7bを無理なく支持軸7aの周りに回転させることができる。
【0042】
2つのエキスパンダロール7,8は、図2に示すように、それぞれ速度可変な異なる駆動源としてのモータM1,M2に連結されている。上流側エキスパンダロール7のプーリ7fとモータM1の出力軸に固設されたモータプーリ18との間には、二点鎖線で示すベルト17が掛け渡されていて、モータM1の駆動力によって上流側エキスパンダロール7が回転駆動される。
同様に、下流側エキスパンダロール8のプーリ8fとモータM2の出力軸に固設されたモータプーリ20との間には、二点鎖線で示すベルト19が掛け渡されていて、モータM2の駆動力によって下流側エキスパンダロール8が回転駆動される。モータM1,M2は、速度を変えることができるモータ、例えばサーボモータを用いる。
【0043】
このように、上流側エキスパンダロール7と下流側エキスパンダロール8とを、それぞれ速度可変な異なる駆動源であるモータM1,M2で駆動することによって、フィルムシート1という極薄フィルム搬送時のテンションバランスを整え、フィルムシート1を鏡面状態に維持して塗布液5を塗布することによって塗工シワ、スジを発生させないようにすることができる。
【0044】
加えて、下流側エキスパンダロール8の周速度を上流側エキスパンダロール7よりのそれよりも大きく設定することにより、フィルムシート1の中央部の弛みを防止して適正なテンションを維持することができる。
【0045】
上述した塗布装置50において、本実施形態1では上流側エキスパンダロール7、塗布ヘッド4および下流側エキスパンダロール8の配置関係において、特有の配置構成を採っていることが一つの特徴となっている。
すなわち、図1の正面視または図2の平面視で、上流側エキスパンダロール7の支持軸7a中心と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aの中心との間の直線距離L1、および下流側エキスパンダロール8の支持軸8a中心と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aの中心との間の直線距離L2が、フィルムシート1の幅B以内に設定されている(L1,L2≦B)。以下、直線距離L1,L2を、簡単に、上・下流側エキスパンダロール7,8と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aとの直線距離L1,L2という。
【0046】
上記したL1,L2≦Bの関係を満足するように、上流側エキスパンダロール7、塗布ヘッド4および下流側エキスパンダロール8を配置しないと、特有の構成を備えた上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8を有していても、後述する実施例等で述べるように搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合が発生してしまう。
【0047】
一部説明が前後するが、図1ないし図5において、上流側サポートロール2、下流側サポートロール3、塗布ヘッド4、上流側エキスパンダロール7、下流側エキスパンダロール8等の外径や外周形状については、拡大誇張して描いており、それ故に各支持軸7a、8aの曲がりの程度は、各直線距離L1,L2と比較して無視できる程微小であり、これを考慮する程の精度は意味がない。
【0048】
次に、塗布装置50の動作を説明する。
【0049】
走行方向6の下流端側に配設された上記巻き取りロールが上記駆動モータの起動により回転駆動されると同時に、各モータM1,M2の起動によって上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8が図1においてそれぞれ矢印方向に回転駆動されることにより、フィルムシート1が上記繰り出しロールから繰り出されつつ走行方向6に搬送される。そして、フィルムシート1の走行方向6の搬送力によって、上流側サポートロール2および下流側サポートロール3がそれぞれ矢印方向に従動回転すると共に、搬送されるフィルムシート1に所定のテンションが付与される。
【0050】
フィルムシート1が走行方向6に搬送される際、先ず、図4を参照して説明した上流側エキスパンダロール7の作用によって、フィルムシート1は図4に破線矢印で示すように中心線O2−O2から振り分けて外側に向かう向きに送られることとなり、フィルムシート1はフィルムシート1の幅Bの中央を境として、シート幅方向7の両外側に向けて力を受けて引っ張られてシワが延ばされて鏡面状態に維持される。このとき、フィルムシート1は上流側サポートロール2および下流側エキスパンダロール8によって所定の張力を付与されているので、他方の面1bが塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aに押し付けられる。
【0051】
そして、塗布液供給装置9が適宜のタイミングで作動することにより、塗布ヘッド4に塗布液5が供給され、塗布ヘッド4によって塗布液5がフィルムシート1の他方の面1bに塗布されて塗布膜5aが形成される。上流側エキスパンダロール7によりシート幅方向7に延ばされたフィルムシート1は上流側エキスパンダロール7から離れる間に縮む傾向にあるが、下流側エキスパンダロール8によって上記したと同様に再びシート幅方向7に延ばされて送られる。こうして、塗布ヘッド4の走行方向6の前後に上流側エキスパンダロール7および下流側エキスパンダロール8をL1,L2≦Bの関係をもって配置したことにより、1.5μm〜5.0μmという極薄のフィルムシート1であってもシート幅方向7に延ばされてその弛みが取り除かれることによって、常に鏡面状態に保持されて搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合発生を防止することができる。
塗布膜5aが形成されたフィルムシート1は上記乾燥装置に送られて乾燥され、所定の塗布膜5aの厚みが確保されて上記巻き取りロールによって巻き取られることとなる。
【0052】
(実施形態2)
図5に実施形態2の塗布装置60を示す。
塗布装置60は、実施形態1の塗布装置50と比較して、下流側エキスパンダロール8における走行方向6の下流側に、フィルムシート1の一方の面1aに接触する無端ベルトとしての搬送ベルト22を備えたベルト搬送手段21を付加して設けたことが主に相違する。
【0053】
ベルト搬送手段21は、駆動源としての図示しないモータと、このモータにギヤあるいはベルト等の回転伝達手段により連結され軸を持って回転駆動される駆動プーリ23と、この駆動プーリ23の走行方向6の下流側に配置され軸を持って回転自在な従動プーリ24と、駆動プーリ23と従動プーリ24との間に張り渡された上記搬送ベルト22とから主に構成されている。
【0054】
搬送ベルト22としては、可撓性で、つなぎ目の段差が無いものが好ましい。さらに、搬送ベルト22は、その厚み(肉厚)が0.1mm〜0.3mmで走行方向6と直行する搬送ベルト22の幅方向および走行方向6の何れの方向にも厚みのバラツキの無いものが好ましい。
【0055】
搬送ベルト22の材質としては、塗工の下流側に配置されているため、耐溶剤性かつ柔軟性のある、後述する実施例のようにテフロン(登録商標)等が好ましく使用される。また、変形を極力防ぐためにガラス繊維が内添されているものが好ましい。
【0056】
上述した塗布装置60において、本実施形態2では下流側エキスパンダロール8と搬送ベルト22との配置関係において、特有の配置構成を採っていることが一つの特徴となっている。
すなわち、図5の正面視で、下流側エキスパンダロール8における走行方向6の中心と、搬送ベルト22における走行方向6のフィルムシート1の一方の面1aと接触する上流端との直線距離L3が、フィルムシート1の幅B以内に設定されている(L3≦B)。以下、直線距離L3を、簡単に、下流側エキスパンダロール8と搬送ベルト22上流端との直線距離L3という。
【0057】
上記したL3≦Bの関係を満足するように、下流側エキスパンダロール8と搬送ベルト22を配置しないと、特有の構成を備えた上流側エキスパンダロール7、下流側エキスパンダロール8およびベルト搬送手段21を有していても、後述する実施例等で述べるように塗工後搬送時のシワ等の不具合が発生してしまう。
【0058】
搬送ベルト22の作用としては、ロールのような線接触状態での搬送と違い、フィルムシート1の一方の面1aの全体が面接触状態で搬送・保持されるので、塗工直後の搬送過程においてフィルムシート1の一方の面1aが鏡面状態で保持されながら搬送されることにある。
【0059】
【実施例】
以下、上記実施形態2のさらに具体的な実施例について詳細に説明する。
【0060】
(実験例1)
図5に示した塗布装置60と同様の装置を使用し、以下に述べる各種条件・各構成要素の仕様で、下記表1に示す比較例1〜6、実施例1〜8について、図5に示した各直線距離L1,L2,L3を250〜600mmの範囲の7段階に、およびフィルムシート1の幅B(以下「基材幅B」というときがある)=400mmで、フィルムシート1の厚みtを1.5〜5.0μmの間の3段階とした場合の組み合わせ実験を行い、フィルムシート1搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合発生の有無を目視にて確認し、下記表1にその総合評価判定結果をまとめた。各直線距離L1,L2,L3およびフィルムシート1の厚みtは、実験例1ではいわゆるパラメータ(助変数)である。
【0061】
フィルムシート1に相当する使用基材であって塗布装置60で使用したいものとしては、熱可塑性樹脂フィルムの一種であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムで、その厚みt=1.5μm、2.0μm、5.0μmの3種類を用いた。
【0062】
塗布ヘッド4からフィルムシート1に塗布する塗布液5としては、次のものを用いた。
アセタール樹脂… 2.5重量部
タルク… 1.9重量部
低分子乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステル(界面活性剤)):日光ケミカルズ株式会社製SO15U)… 0.1重量部
低分子乳化剤(変性シリコンオイル:信越化学工業株式会社製KF6012)… 0.1重量部
低分子乳化剤(アクリル系ポリマーO/Wエマルション:ジョンソンポリマー株式会社製Joncry1−711)… 0.2重量部
溶媒(酢酸エチル)… 43.0重量部
上記処方量に従ってアセタール樹脂、タルク、各低分子乳化剤を攪拌しながら上記溶媒(酢酸エチル)中に均一に溶解する。そして、この溶液を攪拌しながら非溶媒である水(HEC1%)20.0重量部を滴状に添加して乳化液を作り、塗布液5とする。また、この塗布液5の粘度は300〜600cp(0.3〜0.6Pa・s)である。
【0063】
以下に、フィルムシート1の走行・塗布条件、上・下流側サポートロール2,3、上・下流側エキスパンダロール7,8および搬送ベルト22の仕様等について列記する。
【0064】
フィルムシート1の搬送速度…15m/minで、かつ、下流側エキスパンダロール8の周速度15.0〜15.2m/min≒上流側エキスパンダロール7の周速度15.0〜15.2m/minに設定した
フィルムシート1のテンション…29.4N/400mm(3kgf/400mm)(基材幅B=400mm)に設定した
乾燥後のフィルムシート1の塗布膜5aの厚み…20〜50μm
上・下流側サポートロール2,3の外径…φ40mm、長さ…500mm、材質…アルミニウムでHCrメッキ(ハードクロムメッキ)の表面処理有り
上・下流側サポートロール2,3の配置位置…上流側サポートロール2の軸中心と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aの中心との間の直線距離、および下流側サポートロール3の軸中心と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aの中心との間の直線距離は共に、90mmに設定した
上・下流側エキスパンダロール7,8の外径(ゴム表面部の外径)…φ75.5mm(規格75.0〜76.0mm)、ゴム表面部の模様無し、ゴム材質…ニトリルゴム(NBR)、ゴム硬度(かたさ)Hs…JIS−Aスケールで70°(規格70°〜72°):ゴム硬度測定時の雰囲気温度23℃、表面ゴム部の長さ…500mm、軸全長…760mm、図3に示す両端の各支持軸7a,8aに対する中央部のベンド量δ…2.0mm(規格2.0mm〜4.0mm)、始動トルク…9.19N・cm
搬送ベルト22の材質…テフロン(登録商標)に変形を防ぐためのガラス繊維が内添されているもので、厚みが0.1mm(規格0.1〜0.3mm)、走行方向6の長さ4000mm、シート幅方向7の幅450mmのものを用いた。
【0065】
下記表1にまとめた総合判定基準○、△、×の記号の意味内容は次の通りである。
○:フィルムシート1搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合発生が全く無く、良好に使用可能で出荷OK(オーケー)レベルの品質水準のもの
△:フィルムシート1搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合発生が非常に軽微であり、使用可能で出荷OKレベルの品質水準のもの
×:フィルムシート1搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジの不具合発生が有り、使用不可で出荷NG(エヌジー)の品質水準のもの
【0066】
【表1】
Figure 0004021667
【0067】
比較例1
上・下流側エキスパンダロール7,8と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aとの直線距離L1,L2(以下、単に「直線距離L1,L2」というときがある)=600mmで、かつ、下流側エキスパンダロール8と搬送ベルト22上流端との直線距離L3(以下、単に「直線距離L3」というときがある)=600mmであり、フィルムシート1の厚みt(以下、単に「厚みt」というときがある)=5.0μmの場合では、塗布ヘッド4による塗布液5の塗布前の途中まで、すなわち塗工部前の途中まではフィルムシート1を一度十分に延ばし弛みも消え、鏡面状態を保つことが確認できた。しかし、距離が長いためその効果が長続きせず、塗工部手前で弛み、搬送シワが発生すると共に塗布ムラおよび縦スジが発生してしまい、評価判定結果×となった。
【0068】
なお、厚みt=2.0μm、1.5μmの場合は、フィルムシート1が薄く腰が弱いことから比較例1よりフィルムシート1に搬送シワが発生すると共に塗布ムラおよび縦スジが発生してしまうことが十分に予測できたのでその実験を省略した。これは後述する比較例2,3でも同様である。
【0069】
比較例2,3
直線距離L1,L2=500mmで、かつ、直線距離L3=500mmであり、厚みt=5.0μmの場合では、比較例1より良い状態ではあるが、フィルムシート1の弛みおよび搬送シワが無くならず、評価判定結果×となった(比較例2)。また、厚みt=2.0μmの場合では、フィルムシート1が薄く腰が弱いため、フィルムシート1の弛みおよび搬送シワ等が無くならず、評価判定結果×となった(比較例3)。
【0070】
比較例4,5,6
直線距離L1,L2=450mmで、かつ、直線距離L3=450mmであり、厚みt=5.0μmの場合では、フィルムシート1が比較的厚いため、比較例2より良い状態となり、フィルムシート1の弛み、搬送シワの発生、塗布ムラおよび縦スジの発生が極軽微であり、使用可能な評価判定結果△となった(比較例4)。厚みt=1.5μm、2.0μmの場合では、フィルムシート1が薄く腰が弱いため、フィルムシート1の弛みおよび搬送シワ等が無くならず、評価判定結果×となった(比較例5,6)。
【0071】
実施例1,2,3
直線距離L1,L2=400mmで、かつ、直線距離L3=400mmであり、厚みt=2.0μm、5.0μmの場合では、塗工部前および塗工部後の何れにおいてもフィルムシート1を十分に延ばし弛みも消え、鏡面状態を保つことが確認でき、評価判定結果○となった(実施例1,2)。
厚みt=1.5μmの場合では、フィルムシート1の弛みおよび搬送シワ等の発生が極軽微であり、評価判定結果△となった(実施例3)。
【0072】
実施例4,5,6
直線距離L1,L2=350mmで、かつ、直線距離L3=350mmであり、厚みt=1.5μm、2.0μm、5.0μmの全ての場合では、塗工部前および塗工部後の何れにおいてもフィルムシート1を十分に延ばし弛みも消え、鏡面状態を保つことが確認でき、評価判定結果○となった(実施例4,5,6)。
【0073】
実施例7
直線距離L1,L2=300mmで、かつ、直線距離L3=300mmであり、厚みt=1.5μmの場合では、塗工部前および塗工部後の何れにおいてもフィルムシート1を十分に延ばし弛みも消え、鏡面状態を保つことが確認でき、評価判定結果○となった。なお、厚みt=2.0μm、5.0μmの場合は、フィルムシート1が比較的厚いので、実施例1および2からフィルムシート1を延ばす効果および鏡面状態を保つ効果を十分奏することが分かったのでその実験を省略した。これは後述する実施例8でも同様である。
【0074】
実施例8
直線距離L1,L2=250mmで、かつ、直線距離L3=250mmであり、厚みt=1.5μmの場合では、塗工部前および塗工部後の何れにおいてもフィルムシート1を十分に延ばし弛みも消え、鏡面状態を保つことが確認でき、評価判定結果○となった。
【0075】
上述の比較例1〜6、実施例1〜8の実験例1の実験結果から、基材幅B=400mmのとき、直線距離L1,L2=400mmかつ直線距離L3=400mmの場合に評価判定結果○および△となったことにより、基材幅B=400mmを超えて各直線距離L1,L2,L3を設定すると、弛みを除去して鏡面状態を保つ効果の無いことが分かった。
【0076】
実験例1では、表としては記載していないが、基材幅Bのみを400mmから300mmに変えたときについても、比較例1〜6および実施例1〜8に準じた実験を行ったみたが、上記表1に準じた評価判定結果が得られたことを付記しておく。ちなみに、基材幅B=300mmのとき、直線距離L1,L2=300mmかつ直線距離L3=300mmの場合に評価判定結果○および△となったことにより、基材幅B=300mmを超えて各直線距離L1,L2,L3を設定すると、弛みを除去して鏡面状態を保つ効果の無いことが分かった。
【0077】
実験例1の結果から、上・下流側エキスパンダロール7,8と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aとの直線距離L1,L2が、基材幅B以内に設定されていて(L1,L2≦B)、かつ、下流側エキスパンダロール8と搬送ベルト22上流端との直線距離L3が、基材幅B以内に設定されている(L3≦B)ことが、上記および後述する効果を奏する上で必要な条件であることが分かった。
【0078】
(実験例2)
図5に示した塗布装置60に代えてベルト搬送手段21のみを除去した、図1ないし図4に示したと同様の実施形態1の塗布装置50を使用し、これ以外は実験例1と同様の各種条件・各構成要素の仕様で実験を行った実験例2では、上記表1の結果から、少なくとも次のことがいえる。
すなわち、上・下流側エキスパンダロール7,8と塗布ヘッド4の吐出口塗布面4aとの直線距離L1,L2が、基材幅B以内に設定されている(L1,L2≦B)ことが、上記および後述する効果を奏する上で必要な条件であることが容易に分かる(請求項1参照)。
【0079】
以上述べたとおり、本発明を特定の実施形態および実施例等について説明したが、本発明の構成は、上述した実施形態や実施例等に限定されるものではなく、これらを適宜組み合わせて構成してもよく、本発明の範囲内において、その必要性および用途等に応じて種々の実施形態や実施例を構成し得ることは当業者ならば明らかである。
【0080】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、上述したような従来装置の有する諸問題点を解決して新規な塗布装置を提供することができる。請求項毎の効果を挙げれば次のとおりである。
請求項1記載の発明によれば、塗布ヘッドの吐出口塗布面の中心に対して鉛直方向に延びた塗布面鉛直線と第1の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第1の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第1の直線距離、および塗布面鉛直線と第2の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第2の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第2の直線距離が、走行方向と直交する可撓性支持体の幅以内であることにより、第1および第2の延伸部材によって塗工前後の可撓性支持体がその幅方向に延ばされて常に鏡面状態に保持されるので、可撓性支持体の厚みが1.5〜5.0μmという比較的撓みが大きくシワの生じやすい極薄フィルム状のものであっても、搬送時のシワや塗布ムラあるいは縦スジ等の塗布スジを発生させずに、塗布液を塗布して搬送することができ、加えて、第2の延伸部材の中心と可撓性支持体の一方の面と接触する第2の延伸部材の接点とを通る半直線と、可撓性支持体の一方の面と接触する無端ベルトにおける走行方向の上流端との間の直線距離が、可撓性支持体の幅以内であることにより、塗布液を塗布された可撓性支持体と反対側の一方の面の全体が面接触状態で無端ベルトに接触保持され、塗工直後の搬送過程においても鏡面状態に保持されるので、第2の延伸部材における走行方向の下流側においても搬送時のシワ等の発生を確実に防止することができる。
【0083】
請求項記載の発明によれば、第1および第2の延伸部材は、エキスパンダロールであるので、塗工前後において可撓性支持体をその幅方向に延ばす作用が確実に働くので、請求項1記載の発明の効果をより確実に奏する。
【0084】
請求項記載の発明によれば、エキスパンダロールは、少なくともその表面部が可撓性支持体の一方の面に密着する性質を有するゴムでできているので、塗工前後において可撓性支持体をその幅方向に延ばす作用がより一層確実に働くので、請求項記載の発明の効果をより一層確実に奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示す塗布装置の要部の一部断面正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】実施形態1のエキスパンダロールの構造を一部破断して示した平面図である。
【図4】図3のエキスパンダロールによりフィルムシートがシート幅方向に押し広げられ延ばされる状態を説明した平面図である。
【図5】本発明の実施形態2を示す塗布装置の要部の一部断面正面図である。
【符号の説明】
1 可撓性支持体としてのフィルムシート
1a 一方の面
1b 他方の面
2 第1のサポートロールとしての上流側サポートロール
3 第2のサポートロールとしての下流側サポートロール
4 塗布ヘッド
4a 吐出口塗布面
5 塗布液
6 走行方向
7 第1の延伸部材としての上流側エキスパンダロール
8 第2の延伸部材としての下流側エキスパンダロール
10 シート幅方向
21 ベルト搬送手段
22無端ベルトとしての搬送ベルト
50,60 塗布装置
B 可撓性支持体の幅としてのフィルムシートの幅
L1 直線距離
L2 直線距離
L3 直線距離
θ1 接触角
θ 角度

Claims (3)

  1. 1.5〜5.0μmの厚みを有し走行するフィルム状の可撓性支持体の一方の面を所定間隔隔てた第1および第2のサポートロールで支持し、これらのサポートロールの間の略中間部の上記可撓性支持体の他方の面に塗布ヘッドの吐出口塗布面を押し付けて、該吐出口塗布面から塗布液を上記他方の面に塗布する塗布装置において、
    上記可撓性支持体のシワを延ばすための上記一方の面に接触する延伸部材であって、上記可撓性支持体の走行方向における第1のサポートロールの上流側に配置された第1の延伸部材と、上記走行方向における第2のサポートロールの下流側に配置された第2の延伸部材と、第2の延伸部材における上記走行方向の下流側に設けられ、上記一方の面に接触する無端ベルトを備えたベルト搬送手段とを有し、
    上記吐出口塗布面の中心に対して鉛直方向に延びた塗布面鉛直線と第1の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第1の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第1の直線距離、および上記塗布面鉛直線と第2の延伸部材の中心に対して鉛直方向に延びた第2の延伸部材の鉛直線との間の水平方向の第2の直線距離が、上記走行方向と直交する上記可撓性支持体の幅以内であり、かつ、第2の延伸部材の中心と上記一方の面と接触する第2の延伸部材の接点とを通る半直線と、上記一方の面と接触する上記無端ベルトにおける上記走行方向の上流端との間の直線距離が、上記幅以内であることを特徴とする塗布装置。
  2. 請求項1記載の塗布装置において、
    第1および第2の延伸部材は、エキスパンダロールであることを特徴とする塗布装置。
  3. 請求項2記載の塗布装置において、
    上記エキスパンダロールは、少なくともその表面部が上記一方の面に密着する性質を有するゴムでできていることを特徴とする塗布装置。
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