JP4020776B2 - 電解コンデンサの駆動用電解液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解コンデンサの駆動用電解液(以下、電解液と称す)に関するものであり、特に電解液の耐電圧の向上と、製品での長期信頼性を改善するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、中高圧用のアルミニウム電解コンデンサの電解液としては、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、安息香酸、高級二塩基酸、ホウ酸またはそのアンモニウム塩を溶解し、さらに耐電圧向上を目的としてマンニトール、ソルビトール等の炭素数6程度の多価アルコール類、または、合成高分子であるポリエチレングリコールやポリビニルアルコールを添加していた(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公平7−48460号公報(第2頁、表)
【特許文献2】
特公平7−63047号公報(第3頁、表1)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、マンニトール、ソルビトール等は、電解液の耐電圧を向上させるために多量の添加が必要であり、多量に添加すると比抵抗が上昇するという問題がある。
【0005】
また、平均分子量が1000以下の比較的重合度の小さいポリエチレングリコールは、電解液に対する溶解性は高いが耐電圧向上の効果が小さい。一方、平均分子量が1000を超えるポリエチレングリコールは、耐電圧向上の効果は高いが、電解液に対する溶解性が低く、多量に添加できないという問題がある。そして、ポリビニルアルコールも少量の添加で電解液の耐電圧向上を図れるが、電解液に対する溶解性が著しく低いため、長時間の加熱、撹拌を必要とし、作業性にも問題があった。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、溶媒に対する溶解性に優れ、かつ、比抵抗が低く、耐電圧の向上を図る電解コンデンサの駆動用電解液を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために各種検討した結果、シトラコン酸とアリルアルコールの共重合体が、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールよりも、エチレングリコールに対する溶解性が高く、耐電圧の向上が図れることを見出し、その特性を電解液に適用することにより課題の解決を図ろうとするものである。
【0008】
すなわち、本発明に係る電解液では、エチレングリコールを主溶媒とし、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはその塩と、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体とを溶解したことを特徴とする。
【0009】
本発明において、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量が、400〜5000であることが好ましい。シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量が400未満では耐電圧向上の効果が少く、5000を超えるとシトラコン酸−アリルアルコール共重合体の粘度が高くなる傾向にあり、電解液の調合に時間がかかるようになる。
【0010】
本発明において、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の配合量は、電解液全体に対して1.0〜30.0wt%であることが好ましい。シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の配合量が1.0wt%未満であると、十分な効果が得られず、30.0wt%を超えると、比抵抗が高くなる傾向にある。
【0011】
本発明において、有機カルボン酸としては、安息香酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,6−デカンジカルボン酸、5,6−デカンジカルボン酸、7−ビニルヘキサデセン−1,16−ジカルボン酸等を例示することができる。
【0012】
さらに、有機カルボン酸あるいはホウ酸の塩としては、アンモニウム塩の他、メチルアミン、エチルアミン、t−ブチルアミン等の一級アミン塩、ジメチルアミン、エチルメチルアミン、ジエチルアミン等の二級アミン塩、トリメチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエチルアミン等の三級アミン塩、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等の四級アンモニウム塩等を例示することができる。
【0013】
また、上記エチレングリコールに混合する副溶媒としては、水の他、プロピレングリコール等のグリコール類、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等のラクトン類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等のアミド類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等の炭酸類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルスルホキシド等のオキシド類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を例示することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係るアルミニウム電解コンデンサの駆動用電解液を調製するにあたっては、エチレングリコールを主成分とする溶媒に、少なくとも、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはその塩と、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体とを溶解する。ここで、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量については、400〜5000のものを用いる。また、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の配合量については、電解液全体に対して1.0〜30.0wt%とする。
【0015】
本発明に係る電解液に用いたシトラコン酸−アリルアルコール共重合体は、シトラコン酸とアリルアルコールを付加重合して得られるポリマーである。シトラコン酸とアリルアルコールの共重合体の構造を持つことにより、単独では得られなかった電解液の比抵抗上昇を抑えながら耐電圧の向上を図るという効果を奏する。溶解性は、平均分子量が1000を超えるポリエチレングリコールは、溶解性が低下し数パーセントの添加が限界であったが、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体は、アルカリでpH調節することにより、エチレングリコールに対する溶解性が向上し、平均分子量が3000程度であっても容易に電解液に溶解する。また、アリルアルコールの水酸基が電極箔に対する保護作用を示すため、製品での長期信頼性が改善される。さらに熱に対しても分解しにくく安定であり、高温での製品の特性安定化を図ることができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
【0017】
表1,2に示す組成で電解液を調合し、30℃における電解液の比抵抗および85℃における電解液の火花発生電圧(耐電圧)を測定した結果を表1,2に示す。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
次に、タブ端子を陽極箔および陰極箔に固着し、セパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、表1に示す電解液を各々含浸した後、アルミニウム製外装ケース内に封口ゴムと共に挿入し、直径35.0mm、長さ35.0mm、定格電圧400V、静電容量390μFの電解コンデンサを各10個作製しエージングを行った。
【0021】
これらの電解コンデンサを105℃の恒温槽中で定格電圧を2000時間印加し、静電容量、tanδ、漏れ電流を測定したので、その結果を表3に示す。
【0022】
【表3】
【0023】
表1、2に示すように、シトラコン酸−アリルアルコールを溶解した実施例は、マンニトールを多量に溶解させた従来例2や、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコールを溶解した従来例3,5より比抵抗の上昇を抑えながら、耐電圧を向上させていることが分かる。また、ポリエチレングリコールやポリビニルアルコールの量を増やした従来例4,6は、完全に溶解しなかった。
【0024】
なお、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の配合量が1.0wt%未満では耐電圧向上の効果が少なく、30.0wt%を超えると耐電圧は向上するが、比抵抗が高くなり低比抵抗用途に不向きとなる。よって、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の配合量は、1.0〜30.0wt%の範囲が好ましい。
【0025】
なお、実施例4の電解液組成で、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量と電解液の耐電圧との関係を検討した結果を図1に示す。
【0026】
図1に示すように、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量が200未満では耐電圧向上の効果が少ないが、400以上で耐電圧向上の効果が得られることが分かる。但し、平均分子量が5000を超えるとシトラコン酸−アリルアルコール共重合体の粘度が高くなるため、電解液の調合に時間がかかるようになる。よって、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量は、400〜5000の範囲が好ましい。
【0027】
また、表3に示すように、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体を溶解した本発明の実施例では、製品の容量減少、tanδ上昇が抑えられ、安定した特性を示している。しかし、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体を溶解しなかった従来例は、製品のtanδ上昇が大きい傾向にあった。
【0028】
なお、本発明による電解液に、火花発生電圧安定化のために、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコールや、リン酸またはその塩等の無機酸類を溶解してもよい。
【0029】
また、本発明による電解液が含有する水分量は、低いほど好ましいが、8.0wt%以下が好ましい。さらに電解液のpHは、必要に応じアンモニア水等のpH調整剤でpH4〜8、好ましくはpH5〜7に調整する。
【0030】
【発明の効果】
上記したとおり、本発明に係る電解液に用いたシトラコン酸−アリルアルコール共重合体は、エチレングリコールを主成分とする有機極性溶媒に容易に溶解し、電解液の比抵抗の上昇を抑えながら耐電圧を向上させることができる。また、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体は、高温でも分解しにくいので、長期信頼性に優れた製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量と電解液の耐電圧との関係を示すグラフである。
Claims (3)
- エチレングリコールを主溶媒とし、有機カルボン酸またはその塩と、ホウ酸またはその塩と、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体とを溶解したことを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
- 請求項1において、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の平均分子量が、400〜5000であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
- 請求項1または請求項2において、シトラコン酸−アリルアルコール共重合体の溶解量が、電解液全体に対して1.0〜30.0wt%であることを特徴とする電解コンデンサの駆動用電解液。
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