JP4020173B2 - シールドセグメント - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、シールドセグメント、特に、製造コストを低減でき、しかも、組立てが簡単に行える、トンネルのシールド工法に使用されるシールドセグメントに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
シールドセグメント(以下、単にセグメントという)は、トンネルのシールド工法における覆工材として一般的に使用されている。セグメントには、鋼製及びコンクリート製のものがあるが、何れのものも、ボルト、ナットによる結合により組み立てられていた。しかしながら、ボルト、ナットによる組立て作業は、多大の労力と時間を要していた。
【0003】
そこで、この問題を解決するセグメントが、例えば、特開平8−296397号公開公報に開示されている。以下、このセグメントを従来セグメントといい、図面を参照しながら説明する。
【0004】
図5は、従来セグメントの組立て方法を示す斜視図、図6は、従来セグメントの組立て方法を示す平面図、図7は、従来セグメントの凸形継手部を示す斜視図、図8は、従来セグメントの凹形継手部を示す斜視図である。
【0005】
図5から図8において、1は、平面形状が四角形のコンクリート又鋼製セグメント本体、2は、セグメント本体1のトンネル周方向の一方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた凸形継手部である。凸形継手部2は、図7に示すように、凸側係合面2Aを有する断面T字形に形成された雄継手金物からなり、この雄継手金物が前記一方の継手面に固定されている。3は、セグメント本体1のトンネル周方向の他方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた凹形継手部である。凹形継手部3は、図8に示すように、凸側係合面2Aに係合可能な凹側係合面3Aを有する断面C字形に形成された雌継手金物からなり、この雌継手金物が前記他方の継手面に固定されている。
【0006】
凸側係合面2A及び凹側係合面3Aは、それぞれセグメント本体1の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配でV字状に傾斜している。そして、図6に示すように、凸形継手部2のウェブ2B高さ、即ち、セグメント本体1の継手面1Aと凸側係合面2Aとの間の距離(T1 )は、凹形継手部3の溝深さ、即ち、凹形継手部3の端面3Bと凹側係合面3Aとの間の距離(T2 )より短く形成されている。
【0007】
従って、セグメント組立てに際して、凸形継手部2を凹形継手部3内に押し込むと、凸形係合面2Aと凹側係合面3Aとは面接触により互いに係合して、楔効果により凸形継手部2のウェブ2Bに引張力が生じ、かくして、一方のセグメント本体1と他方のセグメント本体1とがセグメント幅の半分だけ嵌合可能となる。この作業を繰り返し行ってセグメントの組立てが終了したら、既設のセグメントからの反力を得てシールドマシンを発進させて次の掘削を行う。
【0008】
上述した従来セグメントによれば、ボルト、ナットによる結合に比べて高剛性且つ高強度の継手による結合が可能となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来セグメントは、凸形係合面2Aと凹側係合面3Aとが、凸形継手部2と凹形継手部3の係合面とのトンネル軸方向全長に亘る面接触によって互いに係合することから、以下のような問題点を有していた。
▲1▼ 凸形係合面2Aと凹側係合面3Aとを完全に面接触させるためには、これら係合面の平坦度及び勾配に高い精度が必要となり、結果としてセグメントの製造コストが上昇する。
▲2▼ 凸形継手部2を凹形継手部3内に押し込む際に、大きな押込み力が必要となる。
【0010】
従って、この発明の目的は、凸形係合面と凹側係合面とを面接触により係合させずに、部分的接触により係合させることによって、継手部の寸法精度をある程度粗くすることができ、結果としてしてセグメントの製造コストを低減でき、しかも、小さな力で凸形継手部を凹形継手部内に押し込むことができることから、組立てが簡単に行えるセグメントを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、セグメント本体と、前記セグメント本体のトンネル周方向の一方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた、凸側係合面を有する凸形継手部と、前記セグメント本体のトンネル周方向の他方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた、凹側係合面を有する凹形継手部とからなり、一方のセグメント本体の凸側係合面と他方のセグメント本体の凹側係合面とを互いに係合させて、セグメント本体同士の結合が可能な、トンネルのシールド工法に使用されるシールドセグメントにおいて、前記セグメント本体は、平面形状が四角形をなし、前記凸側係合面及び前記凹側係合面は、それぞれ前記セグメント本体の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配で略V字状に傾斜し、且つ、前記中央部を中心としてその両側の前記凸側係合面又は前記凹側係合面は、V字状に傾斜し、前記凸側係合面と前記凹側係合面とを部分接触により互いに係合させ、かくして、前記一方のセグメント本体と前記他方のセグメント本体とがセグメント幅の半分だけ結合可能なことに特徴を有するものである。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記セグメント本体は、平面形状が六角形をなしていることに特徴とするものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記凸形継手部は、断面T字形状に形成され、前記凹形継手部は、前記凸形継手部が嵌合可能なように断面C字形状に形成されていることに特徴を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、この発明のセグメントの一実施態様を、図面を参照しながら説明する。
図1は、 この発明の一実施態様によるセグメントの結合状態を示す部分平面図である。
【0016】
図1において、4は、平面形状が四角形のコンクリート又は鋼製セグメント本体、5は、セグメント本体4のトンネル周方向の一方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた凸形継手部である。凸形継手部5は、凸側係合面5Aを有する断面T字形状に形成された雄継手金物からなり、この雄継手金物が前記一方の継手面に固定されている。6は、セグメント本体4のトンネル周方向の他方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた凹形継手部である。凹形継手部6は、凸側係合面5Aに係合可能な凹側係合面6Aを有する断面C字形状に形成された雌継手金物からなり、この雌継手金物が前記他方の継手面に固定されている。
【0017】
凸側係合面5Aは、セグメント本体4の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配でV字状に傾斜している。一方、凹側係合面6Aもセグメント本体4の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配で略V字状に傾斜しているが、セグメント本体4の幅方向中央部を中心としてその両側の凹側係合面6Aの各々が更にV字状に傾斜している。そして、凸形継手部5を凹形継手部6内に押し込んだときに、凹側係合面6Aの突部6Cと接触する部分の凸形継手部5のウェブ5B高さ、即ち、セグメント本体4の継手面4Aと凸側係合面5Aとの間の距離(T3 )は、突部6C部分の溝深さ、即ち、突部6Cと凹形継手部6の端面6Bとの間の距離(T4 )より短く形成されている。
【0018】
従って、セグメント組立てに際して、凸形継手部5を凹形継手部6内に押しむと、凸形係合面5Aと凹側係合面6Aとは、突部6Cを中心とする部分的接触により互いに係合して、楔効果により凸形継手部5のウェブ5Bに引張力が生じ、かくして、一方のセグメント本体1と他方のセグメント本体1とがセグメント幅の半分だけ嵌合可能となる。この作業を繰り返し行ってセグメントの組立てが終了したら、既設のセグメントからの反力を得てシールドマシンを発進させて次の掘削を行う。
【0019】
このように、この発明のセグメントによれば、凸形係合面5Aと凹側係合面6Aとが従来セグメントのように、継手金物全長に亘る面接触により係合するのではなく、部分的接触により互いに係合するので、継手部の寸法精度をある程度粗くすることができ、結果としてしてセグメントの製造コストを低減でき、しかも、小さな力で凸形継手部を凹形継手部内に押し込むことができることから、組立てが簡単に行える。
【0020】
凸側係合面5Aと凹側係合面6Aとを部分的接触により係合させるには、上述したように、両側の凹側係合面6AをそれぞれV字状に形成して凹側係合面6Aの中央部に突部6Cを形成する以外に、図2に示すように、両側の凹側係合面6Aをそれぞれ逆V字状に形成して、凸側係合面5Aと凹側係合面6Aとがこれらの両端において接触するようにしても良い。
【0021】
更に、図3に示すように、凹側係合面6Aは、セグメント本体4の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配でV字状に傾斜させ、両側の凸側係合面5Aの各々を更にV字状に傾斜させて、凹側係合面6Aと接触する突部5Cを凸側係合面5Aの中央部に形成しても良い。
【0022】
また、図4に示すように、凹側係合面6Aは、セグメント本体4の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配でV字状に傾斜させ、両側の凸側係合面5Aの各々を更に逆V字状に傾斜させて、凸側係合面5Aと凹側係合面6Aとがこれらの両端において接触するようにしても良い。V字状傾斜は、必ずしも直線から構成されるものでなくとも良い。
【0023】
これ以外に、凸側係合面5A及び凹側係合面6Aの少なくとも一方に溶接肉盛り等により局所的突起を形成しても、あるいは、凸側係合面5A又は凹側係合面6Aの少なくとも一方を波状に形成して、凸側係合面5Aと凹側係合面6Aとが部分的に接触するようにしても良い。
【0024】
この発明は、上述したように、平面形状が四角形のセグメント本体以外に、図9及び図10に示すように、平面形状が六角形のセグメント本体7、又は、図11に示すように、平面形状が台形状のセグメント本体8にも適用することが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、凸形係合面と凹側係合面とを継手金物全長に亘る面接触により係合させずに、部分的接触により係合させることによって、継手部の寸法精度をある程度粗くすることができ、結果としてしてセグメントの製造コストを低減でき、しかも、小さな力で凸形継手部を凹形継手部内に押し込むことができることから、組立てが簡単に行えるといった有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施態様によるセグメントの結合状態を示す部分平面図である。
【図2】この発明の別の実施態様によるセグメントの結合状態を示す部分平面図である。
【図3】この発明の更に別の一実施態様によるセグメントの結合状態を示す部分平面図である。
【図4】この発明の更に別の一実施態様によるセグメントの結合状態を示す部分平面図である。
【図5】従来セグメントの組立て方法を示す斜視図である。
【図6】従来セグメントの組立て方法を示す平面図である。
【図7】従来セグメントの凸形継手部を示す斜視図である。
【図8】従来セグメントの凹形継手部を示す斜視図である。
【図9】平面形状が六角形のセグメントの組立て方法を示す斜視図である。
【図10】平面形状が六角形のセグメントの継手部を示す部分斜視図である。
【図11】平面形状が台形のセグメントの組立て方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
1:セグメント本体
1A:継手面
2:凸形継手部
2A:凸側係合面
2B:ウェブ
3:凹形継手部
3A:凹側係合面
3B:凹形継手部の端面
4:セグメント本体
4A:継手面
5:凸形継手部
5A:凸側係合面
5B:ウェブ
5C:突部
6:凹形継手部
6A:凹側係合面
6B:凹形継手部の端面
6C:突部
7:六角形状のセグメント本体
8:台形状のセグメント本体
Claims (3)
- セグメント本体と、前記セグメント本体のトンネル周方向の一方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた、凸側係合面を有する凸形継手部と、前記セグメント本体のトンネル周方向の他方の継手面にトンネル軸線方向に設けられた、凹側係合面を有する凹形継手部とからなり、一方のセグメント本体の凸側係合面と他方のセグメント本体の凹側係合面とを互いに係合させて、セグメント本体同士の結合が可能な、トンネルのシールド工法に使用されるシールドセグメントにおいて、
前記セグメント本体は、平面形状が四角形をなし、前記凸側係合面及び前記凹側係合面は、それぞれ前記セグメント本体の幅方向端部から中央部に向けて下り勾配で略V字状に傾斜し、且つ、前記中央部を中心としてその両側の前記凸側係合面又は前記凹側係合面は、V字状に傾斜し、前記凸側係合面と前記凹側係合面とを部分接触により互いに係合させ、かくして、前記一方のセグメント本体と前記他方のセグメント本体とがセグメント幅の半分だけ結合可能なことを特徴とするシールドセグメント。 - 前記セグメント本体は、平面形状が六角形をなしていることを特徴とする、請求項1記載のシールドセグメント。
- 前記凸形継手部は、断面T字形状に形成され、前記凹形継手部は、前記凸形継手部が嵌合可能なように断面C字形状に形成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載のシールドセグメント。
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- 1998-03-05 JP JP05388698A patent/JP4020173B2/ja not_active Expired - Lifetime
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