JP4019935B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリングホイール等の操舵部材の操作に応じて軸長方向に移動する操舵軸を備え、該操舵軸の移動を操舵用の車輪に伝えて操舵を行わせる構成とした車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の操舵は、運転者によりなされる操舵部材の操作(一般的にはステアリングホイールの回転操作)を舵取機構中の操舵軸に伝え、該操舵軸の軸長方向の移動により操舵用の車輪(一般的には左右の前輪)を操舵せしめて行われる。
【0003】
このような車両用操舵装置として、近年、舵取機構の一部に付設された操舵補助用のモータ(回転駆動源)を運転者による操舵部材の操作に応じて駆動し、前記モータの回転力を操舵軸に伝えて操舵を補助する電動パワーステアリング装置が広く実用化されている。また、操舵部材から機械的に分離された舵取機構を備え、該舵取機構の一部に操舵用のモータ(回転駆動源)を付設し、操舵部材の操作方向及び操作量の検出結果、更には、車速の高低、旋回の有無、加減速の有無等の走行状態の検出結果に基づいて前記モータを駆動して、該モータの回転力を操舵軸に伝えて、この回転力のみにより舵取機構を動作させる構成とした分離式の操舵装置、所謂、ステアバイワイヤ式の操舵装置が開発されつつある。
【0004】
この種の車両用操舵装置においては、操舵補助用又は操舵用のモータの回転運動を直線運動に変換して操舵軸に伝えるための運動変換装置が用いられている。この運動変換装置は、舵取機構周辺の限られたスペース内に回転駆動源となるモータを含めて配設し得るように、コンパクトな構成であり、しかも高い伝動効率を有することが要求されている。
【0005】
このような要求に応え得る簡素な構成の運動変換装置の一つとして送りベアリングを用いてなる運動変換装置がある(例えば、特許文献1参照)。図5は、この運動変換装置を備える車両用操舵装置の要部を示す縦断面図であり、外周面に半円形断面を有するねじ溝10が形成された操舵軸1と、該操舵軸1と同軸上での回転自在に支持された回転筒2と、該回転筒2に内嵌保持された複数個(図においては4個)の送りベアリングRa 〜Rd とを備えて構成されている。
【0006】
回転筒2は、その中途部を内輪として一体形成された玉軸受Bにより、筒形をなすハウジングHの内部に回転自在に支持され、図示しないモータからの伝動により、操舵軸1と同軸上にて回転するようになしてある。回転筒2内部の送りベアリングRa 〜Rd は、外輪と内輪との間に多数のボールを保持し、内側に挿通された操舵軸1の外径よりも十分に大きい内径を有する玉軸受であり、回転筒2の内側に軸長方向に並設された各別の保持部2a〜2dの夫々に、ねじ溝10のリード角と略等しい傾斜角度を有して偏心保持されている。
【0007】
これらの送りベアリングRa 〜Rd の内輪の内周面には、ねじ溝10の断面に対応する半円形の突起が周設されており、各送りベアリングRa 〜Rd は、夫々の偏心により操舵軸1に近づいた周方向位置において前記突起を介してねじ溝10に係合させてある。なお、図中に白丸により示す両側の送りベアリングRa ,Rd の係合位置は、図の表面側に設定され、図中に黒丸により示す中央の送りベアリングRb ,Rc の係合位置は、図の裏面側に設定されており、更に、夫々の係合位置を軸心の両側に振り分け、4個の送りベアリングRa 〜Rd により操舵軸1の径方向の移動を拘束するようにしてある。
【0008】
以上の如く構成された車両用操舵装置において、モータからの伝動により回転筒2が軸回りに回転すると、該回転筒2に保持された4個の送りベアリングRa 〜Rd の内輪がねじ溝10との係合を保って転動し、操舵軸1には、夫々の送りベアリングRa 〜Rd の係合位置にねじ溝10の傾斜に沿って加わる作用力の軸方向分力が加わることとなり、この分力の作用により操舵軸1が軸長方向に移動して前述した操舵が補助される。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−315655号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
図6は、回転筒2への送りベアリングRa の保持状態の説明図である。図示の如く、送りベアリングRa を保持するための保持部2aは、送りベアリングRa の外形に対応する半円形断面の凹所を回転筒2の内部に形成し、該凹所の開放側を接線方向に延長して、回転筒2の外周面に送りベアリングRa の縦断面に対応する矩形断面の挿入口を開口せしめて構成されている。
【0011】
このような保持部2aへの送りベアリングRa の保持は、該送りベアリングRa を、図6中に矢符により示す如く、回転筒2外周の挿入口を経て保持部2a内に押し込み、保持部2aの底部を形成する半円形の凹所に突き当ててなされている。なお他の3つの送りベアリングRb 〜Rd の保持部2b〜2d(図5参照)も、前記保持部2aと同様にして構成されている。
【0012】
図7は、以上の如き保持部2aの形成手順の説明図である。前述した形態をなす保持部2aは、まず図7(a)に示す如く、回転筒2の内部に一側に偏心した円形断面の空洞部2fを形成し、次に図7(b)に示す如く、空洞部2fの偏心側に延びる2本の接線間に挾まれた領域2gを回転筒2の外周面に至るまで除去することにより、図7(c)に示す如く、空洞部2fの半部を送りベアリングRa を支持する半円形の凹所として残して実現される。
【0013】
さて、以上の如き保持部2aの形成手順において、空洞部2fは、例えば、回転筒2の端面からの中ぐり加工により形成され、この空洞部2fに連続する前記領域2gの除去は、例えば、回転筒2の外側からの放電加工により実現される。ところが保持部2aは、回転筒2の軸心に対して所定角度傾斜していることから、前述した形成手順において、特に、回転筒2の内側に形成される空洞部2fと、回転筒2の外側から除去される領域2gとの位置合わせが困難であり、保持部2aの加工に多大の工数を要する上、不良品の発生が避けられず、製品歩留りの悪化を招来するという問題があり、このことが、量産を難しくする要因となっている。
【0014】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、回転筒内に保持させる送りベアリングの改良により、該送りベアリングを保持する保持部の形成を多大の工数を要することなく高精度に行わせ得るようにし、量産性に優れ、操舵用の回転駆動源から操舵軸への伝動を確実に行わせることができる車両用操舵装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1発明に係る車両用操舵装置は、軸長方向への移動自在に支持され、外周面にねじ溝が形成された操舵軸と、該操舵軸と同軸上での回転自在に支持された回転筒と、該回転筒の内部に軸長方向に並設された複数の保持部の夫々に偏心保持され、内周面の一か所を前記ねじ溝に係合させてある複数の送りベアリングとを備え、操舵用の回転駆動源からの伝動による前記回転筒の回転を、前記ねじ溝を案内とする前記送りベアリングの転動により前記操舵軸の軸長方向の移動に変換して操舵を行わせる車両用操舵装置において、前記送りベアリングは、前記保持部に嵌合保持される外輪と、該外輪の幅内にて前記ねじ溝のリード角と略等しい角度を有して傾斜する内輪と、該内輪と前記外輪との間に介装された複数の転動体とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明においては、回転筒の内部に保持される送りベアリングが、外輪の幅内においてねじ溝のリード角に対応する角度にて傾斜する内輪を備え、この送りベアリングを回転筒の内部に軸と直交する面内にて形成された保持部に保持させたとき、内輪がねじ溝に沿って傾斜して従来と同様にねじ溝に係合する構成とし、操舵用の回転駆動源からの伝動による回転筒の回転を操舵軸の軸長方向の移動に変換して操舵を行わせる。送りベアリングの保持部は、回転筒の軸と直交する面内に位置するから、多大の工数を要することなく高精度に形成できる。
【0017】
また本発明の第2発明に係る車両用操舵装置は、第1発明における回転筒が、軸長方向の一側において所定の径方向ギャップを有して支持してあることを特徴とする。
【0018】
この発明においては、回転筒の一側の支持を所定の径方向ギャップを介して実現し、種々の外力の作用により生じる操舵軸の撓みを径方向ギャップの範囲内において許容し、回転筒の回転を滑らかに操舵軸に伝達する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る車両用操舵装置の全体構成を示す模式図であり、操舵部材としてのステアリングホイールSの回転操作に応じて動作するラックピニオン式の舵取機構と、該舵取機構に付設された操舵補助用のモータ(回転駆動源)3とを備える電動パワーステアリング装置として構成されている。
【0020】
舵取機構は、図示しない車体の左右方向に延設された円筒形のラックハウジングH1 と、該ラックハウジングH1 の内部に軸長方向への移動自在に支持された操舵軸(ラック軸)1とを備えている。該操舵軸1の両端は、ラックハウジングH1 の両側に突出され、操舵用の車輪としての左右の前輪11,11のナックルアーム12,12に各別のタイロッド13,13を介して連結されており、操舵軸1の両方向の移動によりタイロッド13,13を介してナックルアーム12,12を押し引きし、左右の前輪11,11を操舵せしめる構成となっている。
【0021】
ラックハウジングH1 の一側半部には、これと軸心を交叉させてピニオンハウジングH2 が連設されており、該ピニオンハウジングH2 の内部には、軸回りでの回転自在にピニオン軸14が支持されている。ピニオン軸14は、ピニオンハウジングH2 の上方への突出部のみが図示してあり、この突出部は、両端にユニバーサルジョイント15,15を備える中間軸16を介してコラム軸17に連結されている。
【0022】
ピニオンハウジングH2 の内部に延設されたピニオン軸14の下部には、図示しないピニオンが一体に設けてある。また、ラックハウジングH1 の内部に支持された操舵軸1には、ピニオンハウジングH2 との交叉位置を含めた適長に亘ってラック歯が形成されており、このラック歯が、ピニオン軸14下部の前記ピニオンに噛合させてある。
【0023】
コラム軸17は、円筒形をなすコラムハウジングH3 の内部に同軸上での回転自在に支持され、図示しない車室の内部に後上方に傾斜して固定支持されており、ステアリングホイールSは、コラムハウジングH3 の上部に突出するコラム軸17の上端部に嵌着固定されている。
【0024】
以上の構成により、操舵のためにステアリングホイールSが回転操作された場合、該ステアリングホイールSが嵌着固定されたコラム軸17が軸回りに回転し、この回転が中間軸16を介してピニオン軸14に伝わり、このピニオン軸14の回転が前記ピニオン及びラック歯の噛合部において操舵軸1の軸長方向の移動に変換され、この移動により前述の如く左右の前輪11,11が操舵される。
【0025】
このような操舵を補助する操舵補助用のモータ3は、ラックハウジングH1 の他側半部に、これと軸心を交叉させて取付けられ、ラックハウジングH1 内部の操舵軸1に以下の如く伝動構成されている。
【0026】
図2は、操舵補助用のモータ3の取付け部近傍のラックハウジングH1 の内部構成を示す縦断面図である。本図に示す如くモータ3は、ラックハウジングH1 に連設され、径方向外向きに突出する円筒形のモータハウジングH4 の端部に、軸長方向の位置調整のためのシム30を介してフランジ固定されており、ラックハウジングH1 の内部に突出するモータ軸31の先端部には、小傘歯車32が一体形成されている。
【0027】
ラックハウジングH1 の内部には、以上の如きモータ3の取付け位置に対応するように回転筒2が配してある。回転筒2は、軸長方向の一側を一対のアンギュラ玉軸受25,25により支持し、ラックハウジングH1 内部の操舵軸1と同軸上での回転自在とされている。アンギュラ玉軸受25,25は、ラックハウジングH1 に内嵌され、軸長方向の一側からの予圧ナット26の締め付けにより所定の予圧を付与して固定されており、回転筒2をラジアル方向及びスラスト方向に移動不可に支持している。
【0028】
予圧ナット26とラックハウジングH1 との螺合部は、内奥側に向けて縮径するテーパねじとしてあり、予圧ナット26の緩みによる回転筒2の支持状態の不安定化を防止するようになしてある。予圧ナット26の緩みは、車両の走行中に加わる振動によって生じる外、ラックハウジングH1 と予圧ナット26の材質の相違による熱膨張率の差によっても生じる。前述の如くテーパねじによる緩み止めは、専用部品を追加することなく実現することができ、組み付け段階にて付与された予圧を維持し、回転筒2の確実な支持状態を保つことが可能となる。
【0029】
このように支持された回転筒2は、中途部外周に周設された大傘歯車27を備えており、この大傘歯車27は、モータ3のモータ軸31の先端に設けられた小傘歯車32に噛合させてある。ここで小傘歯車32は、前述の如く操舵補助用のモータ3のモータ軸31に一体形成され、該モータ軸31に対して高い同心性を有しており、大傘歯車27との噛合は、モータハウジングH4 へのモータ3の組み付け時に、両者間に介装される前記シム30の厚さ調整により良好に実現される。
【0030】
以上の構成により回転筒2には、操舵補助用のモータ3の駆動に伴うモータ軸31の回転が小傘歯車32及び大傘歯車27を介して伝動され、この伝動に応じて回転筒2は、アンギュラ玉軸受25,25による支持下にて軸回りに回転する。
【0031】
一方、回転筒2の他側は、ラックハウジングH1 の内面に嵌着された環状の支持ブッシュ28に所定の径方向ギャップδを有して対向させ、この径方向ギャップδの範囲内での変位を許容して支持されている。このような支持により回転筒2は、前述した回転中に操舵軸1の撓みに追随した変位が可能である。操舵軸1の撓みは、両端に連結された左右の前輪10,10に加わる路面反力、及び前述したピニオンとラック歯との噛合部に加わる噛合反力等の外力の作用により不可避に生じるものであり、この撓みに追随した回転筒2の変位により、後述する運動変換を高効率に行わせることができる。
【0032】
なお図2においては、ラックハウジングH1 に内嵌された支持ブッシュ28と回転筒2の外周面との間に径方向ギャップδを確保してあるが、これとは逆に、回転筒2に環状の支持ブッシュを外嵌し、ラックハウジングH1 の内周面との間に径方向ギャップを確保する構成としてもよく、更には、ラックハウジングH1 及び回転筒2の双方に環状の支持ブッシュを嵌着し、これらの支持ブッシュ間に径方向ギャップを確保する構成としてもよい。また図2においては、ラックハウジングH1 と回転筒2との間の径方向ギャップδを拡大して示してあるが、この径方向ギャップδの適正値は 0.1〜 0.2mm程度である。
【0033】
以上の如く支持された回転筒2の内部には、4個の送りベアリングR1 〜R4 が内嵌保持されている。また回転筒2の内側に同軸をなして挿通された操舵軸1の外周面には、半円形断面を有するねじ溝10が回転筒2の内側への対向部を含めて、操舵軸1の移動ストロークに対応する長さ範囲に亘って形成されている。
【0034】
図3は、本発明に係る車両用操舵装置において用いられる送りベアリングの縦断面図である。なお本図には、送りベアリングR1 が図示されているが、他の送りベアリングR2 〜R4 も同一の構成を有している。
【0035】
図示の如く送りベアリングR1 は、ともに円環状をなす外輪40と内輪41とを、両者の対向周面に形成された転動溝に係合する多数のボール(転動体)42,42…を介して組み付けてなる玉軸受として構成されている。ここで外輪40は、内側に位置する内輪41に比して広幅に形成されており、内輪41は、外輪40の幅内において所定の傾斜角度θだけ傾斜させて組み付けられている。この組み付けは、外輪40の内周面に設けたボール42,42…の転動溝を前述した傾斜角度θを有して加工することにより実現し得る。なお、内輪41の傾斜角度θは、操舵軸1の外周面に設けたねじ溝10のリード角θ0 (図2参照)と略等しくなるように設定されている。
【0036】
また、送りベアリングR1 の内輪41は、操舵軸1の外径よりも十分に大きい内径を有しており、この内輪41の内周面には、図示の如く、操舵軸1の外周面に設けられたねじ溝10と対応する半円形断面を有する係合突起43が周設されている。
【0037】
このように構成された送りベアリングR1 は、回転筒2の内側に設けた保持部21に外輪40を嵌め込み、径方向に所定の偏心量を有して偏心保持させてあり、この偏心により操舵軸1に最も近付いた周方向位置において、内輪41に周設された係合突起43を操舵軸1外周のねじ溝10に係合させてある。
【0038】
この係合位置は、図2中に白丸により示す如く、係合突起43を備える内輪41の傾斜がねじ溝10のリード角θ0 と整合する位置にてなされるが、本発明において用いる送りベアリングR1 の内輪41は、外輪40に対して傾斜角度θを有して傾けてあり、この傾斜角度θがリード角θ0 と略等しく設定してある上、外輪40の幅内に収めてあることから、外輪40を保持する保持部21は、回転筒2の軸心と直交する面内において所定長偏心した円孔とすることができる。
【0039】
送りベアリングR1 と同一の構成を有する送りベアリングR2 ,R3 ,R4 も同様に、前記保持部21の一側に軸長方向に並べて設けた各別の保持部22,23,24に夫々の外輪40を保持させ、内輪42に設けた係合突起43をねじ溝10に係合させてあり、これらの保持部22,23,24も、回転筒2の軸心と直交する面内において所定長偏心した円孔とすることができる。
【0040】
なお、図2中に白丸により示す両側の2個の送りベアリングR1 ,R4 の係合位置は、図の表面側に設定され、図2中に黒丸により示す中央の2個の送りベアリングR2 ,R3 の係合位置は、図の裏面側に設定されており、更に、夫々の側の係合位置を、操舵軸1の軸心の両側に振り分けてあり、4個の送りベアリングR1 〜R4 により操舵軸1の径方向の移動を拘束するようにしてある。
【0041】
以上の如く構成された車両用操舵装置においては、操舵補助用のモータ3からの伝動により回転筒2が軸回りに回転した場合、送りベアリングR1 〜R4 の内輪がねじ溝10との係合を保って転動し、操舵軸1には、各送りベアリングR1 〜R4 にねじ溝10の傾斜に沿って加わる作用力の軸方向分力が加わり、この分力の作用により操舵軸1が軸長方向に移動し、この移動に応じて前述の如くなされる操舵が補助される。
【0042】
以上の操舵補助を高効率にて行わせるには、操舵軸1外周のねじ溝10と送りベアリングR1 〜R4 の夫々とが良好な係合状態を保つ必要があり、このために、回転筒2に設けた保持部21〜24に保持された送りベアリングR1 〜R4 が高精度に位置決めされ、またこの位置決めが、多大の工数を要することなく実現される必要がある。
【0043】
図4は、回転筒2への送りベアリングR1 の保持状態の説明図である。送りベアリングR1 を保持する保持部21は、図中に破線により示す如く、送りベアリングR1 の外形に対応する半円形断面の凹所を回転筒2の内部に形成し、該凹所の開放側を接線方向に延長して、回転筒2の外周面に送りベアリングR1 の縦断面に対応する矩形の挿入口を開口せしめて構成されている。図4中に2点鎖線により略示する送りベアリングR1 の組み付けは、図4中に矢符により示す如く、回転筒2外周の挿入口を経て保持部21内に押し込み、保持部21の底部を形成する半円形の凹所に突き当て、この突き当て部の内周面を操舵軸1外周のねじ溝10に係合させて、図2に示す如くなされる。
【0044】
以上の如き保持部21は、前記図7に示すように、回転筒2の内側での中ぐり加工により、一側に偏心した円形断面の空洞部2fを設け、次に、回転筒2の外側からの放電加工により、空洞部2fの偏心側に延びる2本の接線間に挾まれた領域2gを除去するという従来と同様の加工手順により形成することができる。
【0045】
ここで、送りベアリングR1 の保持部21は、前述の如く、回転筒2の軸心と直交する面に対して傾斜を有しない円孔であり、空洞部2fの形成のための中ぐり加工を高精度に行わせることができる上、これに続く領域2gの除去時に、回転筒2の外側からの正確な加工位置の割り出しが可能であり、回転筒2の内側空洞部2fに対して正確に連続する領域2gが除去され、図4に示す保持部21を精度良く形成することができる。
【0046】
他の送りベアリングR2 〜R4 の保持部22〜24についても同様に、多くの工数を要することなく高精度に形成することができ、保持部21〜24に保持された送りベアリングR1 〜R4 の正確な位置決めが可能となり、操舵補助用のモータ3からに伝動による操舵補助を高効率にて行わせることができる。
【0047】
以上の如きモータ3からの伝動による操舵補助がなされた場合、操舵軸1を支持するラックハウジングH1 には、モータ3の回転反力及び回転慣性の作用により軸回りの回転モーメントが発生する。図1に示す如くラックハウジングH1 には、ピニオンハウジングH2 の交叉位置の近傍に、内部のラック軸1を挾んだ両側に張り出すように固定ブラケット18,18が設けてあり、これらの固定ブラケット18,18により車体に固定されている。この固定により、前記回転モーメントの影響を排除し、前述した操舵補助を安定して行わせることができる。なおこの支持構造は、モータ3の回転運動を操舵軸1の移動に変換すべく、ボールねじ等の他の運動変換装置を備える場合にも有効である。
【0048】
なお以上の実施の形態においては、4個の送りベアリングR1 〜R4 を備える構成について述べたが、3個、又は5個以上の送りベアリングを備える構成とすることもできる。
【0049】
また以上の実施の形態においてはラックピニオン式の舵取機構を備える車両において、操舵軸としてのラック軸に操舵補助用のモータの回転を伝える電動パワーステアリング装置への適用例について述べたが、本発明は、操舵のために軸長方向に移動する操舵軸を備え、該操舵軸に操舵補助用のモータの回転を伝達する構成としたあらゆる形式の電動パワーステアリング装置への適用が可能であり、更には、電動モータ3以外の回転駆動源を備える場合にも適用可能である。
【0050】
また本発明は、パワーステアリング装置に限らず、操舵部材から機械的に分離された舵取機構を備え、該舵取機構の一部に操舵用のモータを付設して、該モータの回転のみによって操舵を行わせる構成としたステアバイワイヤ式の操舵装置においても、前記モータから操舵軸への伝動のために適用することができ、同様の効果が得られる。
【0051】
【発明の効果】
以上詳述した如く本発明に係る車両用操舵装置においては、回転筒に保持され操舵軸の外周のねじ溝に係合する送りベアリングの保持部を、回転筒の軸断面内に多くの工数を要することなく高精度に形成することができ、回転筒の回転から操舵軸の軸長方向移動への確実な運動変換を量産可能に提供することが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用操舵装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】操舵補助用のモータの取付け部近傍のラックハウジングの内部構成を示す縦断面図である。
【図3】本発明に係る車両用操舵装置において用いられる送りベアリングの縦断面図である。
【図4】回転筒への送りベアリングの保持状態の説明図である。
【図5】送りベアリングを用いた運動変換装置を備える従来の車両用操舵装置の要部を示す縦断面図である。
【図6】従来の車両用操舵装置における回転筒への送りベアリングの保持状態の説明図である。
【図7】送りベアリングの保持部の形成手順の説明図である。
【符号の説明】
1 操舵軸
2 回転筒
3 モータ(回転駆動源)
10 ねじ溝
40 外輪
41 内輪
42 ボール(転動体)
21〜24 保持部
R1 〜R4 送りベアリング
δ 径方向ギャップ
Claims (2)
- 軸長方向への移動自在に支持され、外周面にねじ溝が形成された操舵軸と、該操舵軸と同軸上での回転自在に支持された回転筒と、該回転筒の内部に軸長方向に並設された複数の保持部の夫々に偏心保持され、内周面の一か所を前記ねじ溝に係合させてある複数の送りベアリングとを備え、操舵用の回転駆動源からの伝動による前記回転筒の回転を、前記ねじ溝を案内とする前記送りベアリングの転動により前記操舵軸の軸長方向の移動に変換して操舵を行わせる車両用操舵装置において、
前記送りベアリングは、前記保持部に嵌合保持される外輪と、
該外輪の幅内にて前記ねじ溝のリード角と略等しい角度を有して傾斜する内輪と、
該内輪と前記外輪との間に介装された複数の転動体と
を備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 前記回転筒は、軸長方向の一側において所定の径方向ギャップを有して支持してある請求項1記載の車両用操舵装置。
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JP (1) | JP4019935B2 (ja) |
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WO2019142378A1 (ja) * | 2018-01-19 | 2019-07-25 | 日本精工株式会社 | ナット、送りねじ機構およびステアリングホイールの電動位置調節装置 |
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