JP4019368B2 - 型枠支承具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、コンクリート躯体を構築する型枠支承具に関し、現場においてコンクリート製の建築物や土木構築物を建設するのに簡単かつ確実に型枠の組付が行え、かつ型枠の反復使用が行え、しかも型枠の解体が容易な型枠支承具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の型枠支承具の軸体は、古くは堰板の損傷を防止するため、芯金の多角筒体の截頭円錐形からの出を堰板の厚さに合わせたものが開示されている(例えば特許文献1、特許文献2)。しかし、この芯金の製造方法は、当時は、ヘッダー加工機が無かったため別体で製造し組立てていた。すなわち、図7及び図8に示すように、芯金100の多角筒体101に別体の螺杆102をねじ込み、その螺杆102が多角筒体101に対してばらばらにならないようにカシメ加工されて一体化する方法で製造されていた。そのため、カシメ加工に不良があると、コンクリート型枠締付杆の取外し時に、コンクリート型枠締付杆に螺杆102が食い付いたまま外れると言う問題とともに芯金の製造に多数の加工工程を有し製造に手間が掛っていた。
【0003】
また、コンクリート型枠締付杆を取付けるときに空回りしないように、堰板に対する固定を確実にする押込体を設けたものが開示されている(例えば特許文献3)。そしてこの中心軸は、ヘッダー加工機(昭和40年代に導入された)により頭部からねじまでを塑性加工された一体物でできている。そして、この方法では、一つの機械で雌ねじと雄ねじ以外の加工ができるので作業性に優れ現在も使用されている。
【0004】
しかしながら、図9及び図10に示すように、雄ねじ110を堰板111に挿通し、コンクリート型枠締付杆112の雌ねじ113に螺合し、強く締め過ぎると、四角状押込体の長さが堰板111の板厚より短いため、コンクリート型枠締付杆112の雌ねじ113をねじ込むと鍔114が堰板111に食込み堰板111を損傷させるとともに、コンクリート型枠締付杆112の雌ねじ113の有効長さは、雄ねじ110よりも短いため、コンクリート型枠締付杆112の締め過ぎにより、雌ねじ113との間で、食い付きを生じ、コンクリート打設後の型枠解体時における、コンクリート型枠締付杆112を逆回転させて雄ねじ110との螺合を解除しようとしたときに、雌ねじ117とセパレータ116側の雄ねじ118との螺合部分が先に外れ、その部分が外れると、堰板111にはセパレータ用端子とコンクリート型枠締付杆112が接続されたままとなり、解体作業が進まなくなる問題があった。
【0005】
【特許文献1】
実公昭37−28931号公報(第1頁、第1図〜第5図)
【0006】
【特許文献2】
実公昭39−1548号公報(第1頁、第1図〜第2図)
【0007】
【特許文献3】
実公昭52−4750号公報(第1頁〜第2頁、第1図〜第5図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このようなコンクリート型枠締付杆112の締め過ぎにより、雄ねじ110との間で、食い付きを生じる問題は、特許文献1においても同様に、図7及び図8の多角筒体101の端部が締付杆103の先端鍔片104との間で食い付き、前記同様の解体作業が進まなくなる問題を有していた。
【0009】
なお、最近は組立て作業の促進のため、電動工具を用いてねじの結合を図るものが増えてきている。これらに使用する電動工具は、作業性を求めるため締付ける能力が大きいので、締め過ぎてしまう傾向にあり、その意味からも解体不能の問題は大きい。
【0010】
また、芯金と截頭円錐形体の結合は、古くは樹脂成型金型に芯金を装着して、樹脂を金型内に充填して一体化を図っていたが、加工性の観点から、芯金と樹脂を別体に製造し、後から樹脂の中心孔に芯金を圧入して組立てる方法へと変化したため特許文献3のように芯金の頭部に鍔が設けられ、現在に至っている。
【0011】
そこで、この発明は、コンクリート型枠締付杆を強く締めた場合であっても、堰板保護のための締め過ぎ防止と共に、コンクリート型枠締付杆の食い付きを防止して解体作業の容易性を図ることが可能な型枠支承具を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0013】
請求項1に記載の発明は、別体に製造される樹脂製の截頭円錐形体と、
鉄製で一体加工され軸頭部側に鍔を設け、前記軸頭部側に前記鍔を貫通し胴部に至るセパレータに接続される雌ねじを備え、前記胴部から連なる先端にコンクリート躯体から解体のためのボックススパナ掛け部である六角部とコンクリート型枠締付杆に螺合される雄ねじ部を備えた軸体と、
の組合せによる型枠支承具において、
前記胴部に連なる先端の前記六角部の先端の位置は、前記截頭円錐形体の大径側端部から堰板の板厚に合わせた長さとすると共に、前記六角部の端面外周側には、前記コンクリート型枠締付杆と当接する突起を設けたことを特徴とする型枠支承具である。
【0014】
この請求項1に記載の発明によれば、胴部に連なる先端の六角部の先端の位置は、截頭円錐形体の大径側端部から堰板の板厚に合わせた長さとすると共に、六角部の端面外周側には、コンクリート型枠締付杆と当接する突起を設けたので、コンクリート型枠締付杆を強くねじ込んだ場合(手締めや電動工具の使用)でも、突起がコンクリート型枠締付杆に当接して、堰板を締め込まないので、堰板の損傷を防げると共に、コンクリート型枠締付杆の軸に対する接触が突起となり、その接触面積が小さいので食い付き力が弱く、型枠解体時のコンクリート型枠締付杆を取り外す作業のときに、型枠支承具とセパレータ側との螺合より早く縁が切れて、取外しが可能となり型枠の解体が手順通りに行える。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記軸頭部側の鍔端部に、突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の型枠支承具である。
【0016】
この請求項2に記載の発明によれば、軸頭部側の鍔端部に、突起を設けたので、型枠解体時にコンクリート型枠締付杆を取外そうとしたときに、その鍔部の突起がコンクリートに対し抵抗して、型枠支承具の雄ねじ部とコンクリート型枠締付杆の雌ねじ部の螺合が先に解除され、型枠の解体が手順通りに行える。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記胴部の太さを前記堰板の取付孔の孔径と等しい太さと共に、前記胴部は前記堰板の前記取付孔に若干挿入される長さを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の型枠支承具である。
【0018】
この請求項3に記載の発明によれば、胴部の太さを堰板の取付孔の孔径と等しい太さと共に、胴部は堰板の取付孔に若干挿入される長さを有するので、型枠の組立て時に型枠の内側から型枠支承具を堰板に挿入後、型枠の外側からコンクリート型枠締付杆を回転しながらねじ込むときに、その胴部と取付孔がきつく接しているので、共廻りし難く組立てが容易となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の型枠支承具の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明するが、この発明は、この実施の形態に限定されない。
【0020】
図1は型枠支承具の正面図、図2は型枠支承具の左側面図、図3は型枠支承具の右側面図、図4は型枠支承具の断面図、図5は型枠支承具の使用状態を示す図、図6は使用状態の型枠支承具部分の拡大図である。
【0021】
この実施の形態の型枠支承具1は、図1乃至図4に示すように、截頭円錐形体2と軸体3とを組合せてなる。
【0022】
截頭円錐形体2は、樹脂製で軸体3とは別体に製造され、組付軸孔部2aと、組付軸孔部2aの一方に連なる小径凹部2bと、組付軸孔部2aの他方に連なる大径凹部2cとを有している。組付軸孔部2aには、軸方向に溝2a1が複数等間隔で形成され、軸体3との組付け状態で回転方向の抵抗を増すようになっている。また、大径凹部2cには、軸方向にリブ2c1が形成され、截頭円錐形体2の強度を増すようになっている。
【0023】
軸体3は、鉄製で一体加工されてなり、軸頭部側に鍔3aを設け、軸頭部側に鍔3aを貫通し胴部3bに至るセパレータ20に接続される雌ねじ3cを備え、胴部3bから連なる先端にコンクリート躯体から解体のためのボックススパナ掛け部である六角部3dとコンクリート型枠締付杆13に螺合される雄ねじ部3eを備えている。
【0024】
この型枠支承具1は、截頭円錐形体2の小径凹部2b側に、軸体3の雄ねじ部3e側から挿入して組合せ、截頭円錐形体2の組付軸孔部2aに軸体3の胴部3bが圧入して一体に組合せてなる。截頭円錐形体2の小径凹部2bに、軸体3の鍔3aが位置し、大径凹部2cに胴部3bの六角部3d側が位置している。
【0025】
この軸体3の胴部3bに連なる先端の六角部3dの先端には、突起3fが設けられており、その突起3fの位置は、截頭円錐形体2の大径側端部から堰板10の板厚tに合わせた長さLとする。そして、この突起3fは、リング状に突出する連続突起でも、部分的に突出する半球状や放射状の突起でもよく、要は、コンクリート型枠締付杆13の鍔部13b側との接触面積が小さく、強く締めた場合でも変形しない大きさであれば良い。
【0026】
この軸体3の軸頭部側の鍔端部には、突起3gが斜め放射状に設けられている。この突起3gは、斜め放射状に突出する不連続突起以外に、部分的に突出する半球状や放射状の突起でもよく、また楕円や角型の連続突起でもよく、要は、コンクリート側へ突出して解体時抵抗する形状であれば良い。
【0027】
また、胴部3bの太さDは、堰板10の取付孔12の孔径と等しい太さと共に、胴部3bは堰板10の取付孔12に若干挿入される長さを有する。
【0028】
この型枠支承具1は、現場において、図5及び図6に示すように、堰板10を組付けてコンクリート構築物を構築するのには、先ず、ベニヤ合板よりなる堰板10を所望場所に対向して配置する。
【0029】
次に、型枠の組立てについて説明すると、同時に両側の堰板10を所定位置に配置すると、中に入れるセパレータと2個の型枠支承具の長さが長いので、挿入できなくなるため、まず堰板の片方を配置して、セパレータと2個の型枠支承具を組立てたものの型枠支承具1の雄ねじ部3eを堰板10の取付孔12に挿入して、コンクリート型枠締付杆13をねじ込んで固定し、縦端太23、横端太24を保持しながら横端太24に座金21を沿わせてナット22の締付で固定し、片側の組立てを完了する。
【0030】
次いで、前記反対側の図示しない型枠支承具の雄ねじ部に対して、反対側の堰板の孔を挿入して、そこにコンクリート型枠締付杆をねじ込んで固定し、縦端太、横端太を保持しながら横端太に座金を沿わせてナットの締付で固定され全体の組立てが完了する。
【0031】
このように、両側の堰板10により形成されるコンクリート打設空間部内にコンクリート11を打設し、その後にコンクリート11は養生・固化される。コンクリート11が養生・固化された後は、ナット22、座金21をコンクリート型枠締付杆13から取り外し、さらに縦端太23、横端太24を取り外してコンクリート型枠締付杆13を型枠支承具1から螺退すると、堰板10をコンクリート11から離型してコンクリート構築物を得ることができる。そして、型枠支承具1の六角部3dに、図示しないボックススパナを掛けて、セパレータ20から型枠支承具1を螺退しコンクリート躯体から解体する。
【0032】
この型枠支承具1は、胴部3bに連なる先端の六角部3dの先端の位置は、截頭円錐形体2の大径側端部から堰板10の板厚tに合わせた長さLとすると共に、六角部3dの端面外周側には、突起3fを設けたので、コンクリート型枠締付杆13を強くねじ込んだ場合(手締めや電動工具の使用)でも、突起3fがコンクリート型枠締付杆13の鍔部13bに当接して、堰板10を締め込まないので、堰板10の損傷を防げると共に、コンクリート型枠締付杆13の軸13cに対する接触が突起3fとなり、その接触面積が小さいので食い付き力が弱く、型枠解体時のコンクリート型枠締付杆13を取り外す作業のときに、型枠支承具1とセパレータ20側との螺合より早く縁が切れて、取外しが可能となり型枠の解体が手順通りに行える。
【0033】
また、この型枠支承具1は、軸頭部側の鍔端部に、突起3gを設けたので、型枠解体時にコンクリート型枠締付杆13を取外そうとしたときに、その鍔部3aの突起3gがコンクリートに対し抵抗して、型枠支承具1の雄ねじ部3eとコンクリート型枠締付杆13の雌ねじ13aの螺合が先に解除され、型枠の解体が手順通りに行える。
【0034】
また、この型枠支承具1は、胴部3bの太さを堰板10の孔径と等しい太さと共に、胴部3bの長さを、堰板10の取付孔12に若干挿入される長さを有するので、型枠の組立て時に型枠の内側から型枠支承具1を堰板10に挿入後、型枠の外側からコンクリート型枠締付杆13を回転しながらねじ込むときに、その胴部3bと取付孔12がきつく接しているので、共廻りし難く組立てが容易となる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に記載の発明では、コンクリート型枠締付杆を強くねじ込んだ場合でも、突起がコンクリート型枠締付杆に当接して、堰板を締め込まないので、堰板の損傷を防げると共に、コンクリート型枠締付杆の軸に対する接触が突起となり、その接触面積が小さいので食い付き力が弱く、型枠解体時のコンクリート型枠締付杆を取り外す作業のときに、型枠支承具とセパレータ側との螺合より早く縁が切れて、取外しが可能となり型枠の解体が手順通りに行える。
【0036】
請求項2に記載の発明では、型枠解体時にコンクリート型枠締付杆を取外そうとしたときに、その鍔部の突起がコンクリートに対し抵抗して、型枠支承具の雄ねじ部とコンクリート型枠締付杆の雌ねじ部の螺合が先に解除され、型枠の解体が手順通りに行える。
【0037】
請求項3に記載の発明では、型枠の組立て時に型枠の内側から型枠支承具を堰板に挿入後、型枠の外側からコンクリート型枠締付杆を回転しながらねじ込むときに、その胴部と取付孔がきつく接しているので、共廻りし難く組立てが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】型枠支承具の正面図である。
【図2】型枠支承具の左側面図である。
【図3】型枠支承具の右側面図である。
【図4】型枠支承具の断面図である。
【図5】型枠支承具の使用状態を示す図である。
【図6】使用状態の型枠支承具部分の拡大図である。
【図7】従来の型枠支承具の断面図である。
【図8】従来の型枠支承具の使用状態を示す図である。
【図9】従来の型枠支承具の断面図である。
【図10】従来の型枠支承具の使用状態を示す図である。
【符号の説明】
1 型枠支承具
2 截頭円錐形体
2a 組付軸孔部
2b 小径凹部
2c 大径凹部
3 軸体
3a 鍔
3b 胴部
3c 雌ねじ
3d 六角部
3e 雄ねじ部
3f 突起
10 堰板
13 コンクリート型枠締付杆
20 セパレータ

Claims (3)

  1. 別体に製造される樹脂製の截頭円錐形体と、
    鉄製で一体加工され軸頭部側に鍔を設け、前記軸頭部側に前記鍔を貫通し胴部に至るセパレータに接続される雌ねじを備え、前記胴部から連なる先端にコンクリート躯体から解体のためのボックススパナ掛け部である六角部とコンクリート型枠締付杆に螺合される雄ねじ部を備えた軸体と、
    の組合せによる型枠支承具において、
    前記胴部に連なる先端の前記六角部の先端の位置は、前記截頭円錐形体の大径側端部から堰板の板厚に合わせた長さとすると共に、前記六角部の端面外周側には、前記コンクリート型枠締付杆と当接する突起を設けたことを特徴とする型枠支承具。
  2. 前記軸頭部側の鍔端部に、突起を設けたことを特徴とする請求項1に記載の型枠支承具。
  3. 前記胴部の太さを前記堰板の取付孔の孔径と等しい太さと共に、前記胴部は前記堰板の前記取付孔に若干挿入される長さを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の型枠支承具。
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