JP4018162B2 - ヒドロキシフェニル酢酸の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明はヒドロキシフェニル酢酸の製造方法に関する。
【0002】
ハロゲン又はアルキル基又はアルコキシ基から選択した置換基の一つ以上によって芳香族核が置換された又は置換されていないo,m及びp−ヒドロキシフェニル酢酸は、有用な生理学的性質を有する生成物のための有機合成に普通に使用される原材料である。
【0003】
これらのヒドロキシフェニル酢酸を得るため多数の方法が知られている。これらの方法の中、対応するヒドロキシマンデロニトリルの加水分解から、又はそれらの中の幾つかは、グリオキシル酸と相当するフェノールの縮合から出発することができる相当するヒドロキシマンデル酸の触媒反応ルート又は化学ルートによる水素化分解をあげることができる(Beil. 10、410、10、I、199、10−III 、1471及び1474、10−V、1518、EP−A536960、FR−A2440350、2427322、2495137、2638740参照)。しかしながら、ヒドロキシマンデル酸の相当するヒドロキシフェニル酢酸への水素化分解のための既知の方法は、沃化水素酸、沃素、赤リン、亜リン酸又は錫又はクロム塩の如き高価な反応性薬剤のため工業的な規模で厳しい欠点を提供している(FR−A2426669、2445311、2588869、GB−A2078718、US−A5145994、EP−A028375、032374、526672及び224401、JP−A50/092344、58/052242、Beil. 10、187、189、190、10、I、81、82、10、II、112、10、III 422、428、430、10、IV536、541、543参照)。
【0004】
これらの欠点を克服するため、本発明者は驚いたことに、ヒドロキシフェニル酢酸の新規な製造方法を見出した。
【0005】
本発明の目的は、下記式(I)のヒドロキシフェニル酢酸の製造方法にある。:
【0006】
【化3】
【0007】
式中Rは水素、ハロゲン又はアルキル基又はアルコキシ基を表す。
【0008】
アルキル基には例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基の如きC1 〜C5 基を挙げることができる。
【0009】
アルコキシ基には例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基の如きC1 〜C5 基を挙げることができる。
【0010】
ハロゲンには塩素又は臭素を挙げることができる。
【0011】
本発明によれば、式(I)のヒドロキシフェニル酢酸及びそれらの塩の製造法は、式(II)
【0012】
【化4】
【0013】
(式中Rは前述した意義を有し、Mは水素、ナトリウム、カリウム又はアンモニウム基を表す)の遊離又は造塩化したヒドロキシマンデル酸を、式(I)のヒドロキシフェニル酢酸を得るため、2〜4の酸化度を有する硫黄の酸素化誘導体の触媒量の存在下に、ギ酸と、50℃以上の温度で水性媒体中で反応させることからなり、式(I)のヒドロキシフェニル酢酸はそのまま分離するか、又は所望により通常の方法に造塩化する。
【0014】
本発明で使用する2〜4の酸化度を有する硫黄の酸素化誘導体は、次のものである:亜硫酸水素ナトリウムもしくはカリウム、亜硫酸ナトリウムもしくはカリウム、二亜硫酸ナトリウムもしくはカリウム、チオ硫酸ナトリウムもしくはカリウム、亜ジチオン酸ナトリウムもしくはカリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、二酸化硫黄。
【0015】
本発明の意図する好ましい条件の下では、前記方法は次の方法で行う:
【0016】
(1)75〜150℃の温度、
(2)2〜10バールの圧力、
(3)二亜硫酸ナトリウムの触媒量の存在下。
【0017】
更に特に好ましい条件の下では、前記方法は次の方法で行う:
【0018】
(1)100〜130℃の温度、
(2)4〜5バールの圧力下。
【0019】
別の更に好ましい条件の下では、前記方法は次の方法で行う:
【0020】
(1)MがHである式(II)の対応するヒドロキシマンデル酸、
(2)開始時に使用する対応するヒドロキシマンデル酸1モルについて二亜硫酸ナトリウム0.10±0.02モルの存在下、
(3)開始時に使用する対応するヒドロキシマンデル酸1モルについてギ酸1.1±0.1モルの存在下。
【0021】
MがHである式(II)のヒドロキシマンデル酸は、塩酸、硫酸、オルトリン酸の如き鉱酸又は有機酸の理論量の作用によって、アルカリ金属又はアンモニウム塩の一つから反応媒体中で直ちに作ることができる。
【0022】
式(I)のヒドロキシフェニル酢酸の中には特に次のもの:
オルソヒドロキシフェニル酢酸、パラヒドロキシフェニル酢酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸、4−クロロ−2−ヒドロキシフェニル酢酸を挙げることができる。
【0023】
反応終了時に、式(I)のヒドロキシフェニル酢酸は、それ自体知られている方法によって反応媒体から分離する。その中で最も簡単な方法の一つは、反応媒体を濃縮し、所望の酸が結晶化するまで減圧下に鉱酸でpHを2以下に酸性にし、次いで濾過によって分離することからなる。
【0024】
目的の酸は、又エチルアセテート、ジエチルオキサイドの如き水に不溶性である好適な溶媒で抽出することもできる。
【0025】
式(II)の出発生成物は、既知の生成物であり、又はシアン化ナトリウムと対応するヒドロキシベンズアルデヒドと縮合し、続いて得られるヒドロキシマンデロニトリルを加水分解する既知の方法で容易に得られる生成物がある。
【0026】
下記実施例は本発明を示すが、限定するものではない。
【0027】
実施例 1
水1分子で結晶化した純粋のパラヒドロキシマンデル酸ナトリウム104g(0.5モル)を水400g中に溶解し、次いで撹拌下に次の成分:
85%水溶液の形でのオルトリン酸57.6g(0.5モル)を導入し、次いで得られた溶液に撹拌下次の成分:
純粋のメタ重亜硫酸ナトリウム(重亜硫酸ナトリウム)7.6g(40ミリモル)及び98〜100%のギ酸25.3g(0.55モル)を加えた。
【0028】
次にこの溶液を、5バールの圧力下120℃で9時間撹拌しつつオートクレーブ中で加熱した。
【0029】
次に反応媒体を常温まで冷却し、次いで大気圧にする。得られた溶液中にパラヒドロキシフェニルマンデル酸(以後APHPAと表示する)74.5gが、高性能液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された。即ち使用したパラヒドロキシマンデル酸ナトリウムに対する計算理論値の98%の収率であった。
【0030】
反応媒体を、85%水溶液の形のオルトリン酸15g(0.13モル)でpH2に酸性化し、次いで減圧下に蒸留して200gの水を除去した。常温に反応媒体を冷却することにより、目的のパラヒドロキシフェニル酢酸が自然に結晶化した。第一バッチで150℃の融点を有する結晶化した純粋なパラヒドロキシフェニル酢酸55.3g(0.3635モル)が得られた。母液を濃縮することにより、13.5g(0.09モル)の第二バッチが得られた、これを水から再結晶して純粋なAPHPAを得た。
【0031】
実施例 2
水1分子で結晶化した純粋なパラヒドロキシマンデル酸ナトリウム104g(0.5モル)、水400g、純ギ酸25.3g(0.55モル)、純メタ重亜硫酸ナトリウム7.6g(0.55モル)からなる溶液を、オートクレーブ中で、2バールの圧力下に、100℃で12時間撹拌加熱した。
【0032】
反応が終了したとき、反応溶液中にHPLCにより46.4gのAPHPAが測定された、即ち使用したパラヒドロキシマンデル酸ナトリウムに対する計算理論値の61%の収率であった。
【0033】
実施例 3
操作は実施例2と同様に行ったが、加熱は5バールの圧力の下、100℃で9時間だけ行った。反応終了時に、反応溶液中に45.6gのAPHPAが測定された(収率60%)。
【0034】
実施例 4
操作を実施例1と同様に行ったが、加熱は5バールの圧力の下、100℃で9時間だけ行った。反応終了時に、反応溶液中に69.2gのAPHPAが測定された(収率91%)。
【0035】
実施例 5
水1分子で結晶化したパラヒドロキシマンデル酸ナトリウム104g(0.5モル)、純ギ酸23g(0.5モル)、水中85%でオルトリン酸57.6g(0.5モル)、純亜ジチオン酸ナトリウム10.4g(0.06モル)、水400gをオートクレーブ中で、5バールの圧力の下、撹拌しつつ100℃で8時間加熱した。
【0036】
反応終了時に、反応溶液中に0.425モルのパラヒドロキシフェニル酢酸が測定された(収率85%)。
Claims (8)
- 下記一般式(I):
- 75〜150℃の温度で行うことを特徴とする請求項1の方法。
- 2〜10バールの圧力下に行うことを特徴とする請求項1又は2の方法。
- 式(II)の出発生成物が、Mが水素原子である式(II)のヒドロキシマンデル酸であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項の方法。
- 式(II)の出発生成物1モルについてギ酸1.1±0.1モルの存在下に行うことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項の方法。
- 4〜5バールの圧力下に、100〜130℃の温度で行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項の方法。
- 二亜硫酸ナトリウムの触媒量の存在下に行うことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項の方法。
- 式(II)の出発生成物1モルについて二亜硫酸ナトリウム0.10±0.02モルの存在下に行うことを特徴とする請求項1〜7の何れか1項の方法。
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