JP4017788B2 - 板状体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、板状体をホットプレスやドライヤーで加熱する際に、含有する水分や空気の膨張によるパンク現象を防止できる板状体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
繊維や粉体等の板状体構成要素に結合剤を添加,混合して得た混合物から板状体を製造する場合、加熱して温度を上げれば、結合剤が流動し易くなる。このため、結合剤の接着効率が上がると共に、硬化反応時間が短くなるので、板状体の生産性が向上する。
【0003】
しかし、これらの板状体に水分や空気が取り込まれ、外部に放出し難い場合は、加熱時に水分や空気が急激に膨張し、結合剤による板状体構成要素間の結合を切断する、いわゆるパンク現象が発生する。特に、厚い板状体の場合は中心部に水分や空気が封じ込められやすく、パンク現象が発生し易い。
【0004】
また、ホットプレスによって熱圧すれば、繊維や粉体に接着剤を十分に密着させることができ、より効果的に生産を行うことができる。しかし、その反面、板状体内の水分や空気が加熱によって膨張しても、板状体の両面がプレスの熱板によって密閉状態となり、放出が木口面だけとなる。このため、膨張蒸気または空気が板状体内に取り込まれやすい。この結果、接着力が不十分である場合には、プレスを開放した際に膨張蒸気または空気の圧力によって接着が剥離し、パンク現象が発生する。特に、湿式抄造等で含水率が高い場合にはパンク現象が起こりやすい。
【0005】
さらに、板状体構成要素として繊維材料を用いた場合、繊維材料のプレス後のスプリングバックによるパンク現象も考えられる。すなわち、プレスで圧締されていた繊維材料はプレスを開放すると、元の状態に戻ろうとする。そして、結合剤の結合力よりも繊維材料の復元力が大きい場合には、その復元力で結合状態が破壊され、パンク現象が生じる。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑み、板状体をホットプレスで熱圧成形する場合に、たとえ板状体の含水率が高いときでも、プレス開放時のパンク現象を防止できる板状体の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明者は、PVA(ポリビニルアルコール)とその架橋剤とを架橋反応させてゲル化すると、パンク防止に有効な接着力が迅速に発現することを知見し、この知見に基づいて本願発明を完成した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる板状体の製造方法は、前記目的を達成するため、板状体構成要素および結合剤の混合物がフォーミング工程、プレス工程および加熱工程を経て製造される板状体の製造方法において、結合剤として少なくともPVA(ポリビニルアルコール)とその架橋剤とを使用し、プレス工程時の圧力でPVAとその架橋剤とを接触,反応させてゲル化し、パンクを発生させない弾性的な接着力で板状体構成要素を結合した後、加熱工程で結合剤を硬化させて最終強度を発現させる工程からなるものである。
【0009】
また、板状体構成要素および結合剤の混合物がフォーミング工程、プレス工程、加熱工程を経て製造される板状体の製造方法において、結合剤として少なくともPVA(ポリビニルアルコール)を添加して得た板状体に、溶液とした架橋剤をプレス工程前に含浸させ、プレス工程時の圧力でPVAとその架橋剤とを接触,反応させてゲル化し、パンクを発生させない弾性的な接着力で板状体構成要素を結合した後、加熱工程で結合剤を硬化させて最終強度を発現させる工程からなるものであってもよい。
【0010】
さらに、板状体構成要素および結合剤の混合物がフォーミング工程、プレス工程、加熱工程を経て製造される複層板状体の製造方法において、基層に結合剤として少なくともPVA(ポリビニルアルコール)を添加する一方、積層する他の層にPVAの架橋剤を添加し、フォーミング工程で積層し、少なくともプレス工程で溶液とした架橋剤を基層に移動させ、接触反応させてゲル化し、弾性的な接着力で板状体構成要素を結合した後、加熱工程で結合剤を硬化させて最終強度を発現させる工程からなるものであってもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明にかかる板状体の製造方法は、大略、板状体構成要素と結合剤を混合する工程と、フォーミング工程と、プレス工程と、加熱工程とからなるものである。より具体的には、混合する工程としては、乾式で混合する方法、あるいは、水に分散させてスラリーとする方法が挙げられる。フォーミング工程としては、乾式で散布する方法、型枠に投入する方法、湿式抄造法があり、さらに、これらにはそれぞれ連続式とバッチ式がある。プレス工程としては、冷圧と熱圧とがあり、さらに、これらにはそれぞれ連続式とバッチ式とがある。加熱工程としては、冷圧とドライヤーとを組み合わせる方法、熱圧とドライヤーとを組み合わせる方法、あるいは、熱圧のみで行う方法が挙げられる。
【0012】
本発明にかかる板状体構成要素は、主材料および副材料からなる。そして、前記主材料,副材料は無機材料あるいは有機材料であってもよく、その形状は繊維、粉体、発泡体、小片を問わない。具体的には、繊維としては、木質繊維、ロックウール、スラグウール、グラスウール等の無機繊維、ポリプロピレン、ポリエステル、ビニロン等の合成繊維、麻、亜麻等の植物繊維が挙げられる。粉体としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、珪砂、スラグ等の無機質粉体が挙げられる。発泡体としては、パーライト、黒曜石発泡体、シラス発泡体、ガラス発泡体等が挙げられる。小片としては、木片、マイカ等の鉱物片が挙げられる。
【0013】
結合剤は、前記板状体構成要素を結合して板状体を結合するためのものであり、少なくともPVAと、架橋材とからなるものである。また、必要に応じ、結合剤として澱粉、耐水性を発現するためにフェノール樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)を用いても良く、さらに、セメント、石膏等の無機結合剤を用いてもよい。
結合剤の添加量は、必要とされる強度によって変わるが、有機系結合剤の場合は30重量%以下であれば、十分な実用強度を有する。なお、防火性を要求する場合には15重量%以下が好ましいが、無機系結合剤の場合は特に限定されない。
そして、PVAの添加量は、板状体の組成や要求される強度によって0.1〜15重量%の範囲で添加される。
【0014】
PVAの架橋材としては、グリオキザール等のジアルデヒド類、N−メチロール尿素,N−メチロールメラミン等のメチロール化合物、MDI等のジイソシアネート化合物、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物、および、硼砂,硼酸,炭酸ジルコニウム等の無機系架橋剤、ポリアクロレイン誘導体類が挙げられる。
そして、架橋剤の添加量は、架橋剤の種類、PVAの添加量に応じ、0.1〜20重量%の範囲で添加される。
【0015】
なお、本発明の板状体は単なる平板だけでなく、例えば、プレスによって表面に凹凸模様を形成した成形体も含む。
【0016】
以下、代表的な製造方法の一例を説明する。
まず、鉱物質繊維、無機粉体、補強繊維、結合剤を清水中に投入,攪拌してスラリーを得、このスラリーを長網式抄造機で抄造し、上層と下層となる湿潤マットを得る。
【0017】
一方、無機発泡体、無機粉体、補強繊維、結合剤に水を噴霧し、若干湿らせながら混合して混合物を得る。ついで、下層となる前記湿潤マット上に前記混合物を散布堆積して中層部を形成し、その上面に上層となる湿潤マットを積層し、積層体を得る。
【0018】
そして、この積層体をホットプレスで熱圧し、PVAおよび架橋剤を反応させてゲル化し、鉱物質繊維等を相互に接着させた後、ドライヤーで乾燥して結合剤を硬化させ、板状体を得る。
【0019】
なお、架橋剤は水溶液とし、プレス前に含浸させてもよい。また、上下層と芯層とに、PVAと架橋剤とをそれぞれ別々に添加し、プレス時に両者を反応させてゲル化してもよい。
また、上記実施形態は、火山性ガラス質複層板へ適用したものであるが、例えば、MDF(中質繊維板),鉱物質繊維板,セメント板等の製造にも適用できる。
さらに、本発明は単層のものに限らず、複数層の板状体に適用してもよい。また、板状体に限らず、その他の立体的な形状を有する成型体に適用してもよい。
【0020】
【実施例】
(実施例1)
鉱物質繊維としてロックウール54重量%、補強繊維として故紙3重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール6重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)2重量%、無機充填材として炭酸カルシウム35重量%に水を添加,混練してスラリーを得た。さらに、このスラリーにポリ塩化アルミニウムおよびアクリルアマイド凝集系を添加,攪拌し、抄造,脱水して含水率65%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0021】
一方、無機発泡体としてシラスバルーン50重量%、補強繊維として故紙5重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール5重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)3重量%、架橋剤として硼砂2重量%、無機充填材として炭酸カルシウム35重量%に水を噴霧しながら混合し、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の芯層となる混合物を得た。
【0022】
そして、下層となる前記湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、その上面に上層となる前記湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、この積層体を温度95℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、パンクの発生はなく、比重0.71、MOR(曲げ強度)22.5N/mm2の3層構造を有する無機板である火山性ガラス質複層板(商品名 ダイライト)が得られた。
【0023】
(比較例1)
鉱物質繊維としてロックウール54重量%、補強繊維として故紙3重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール6重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)2重量%、無機充填材として炭酸カルシウム35重量%に水を添加,混練してスラリーを得た。さらに、このスラリーにポリ塩化アルミニウムおよびアクリルアマイド凝集系を添加,攪拌し、抄造,脱水して含水率65%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0024】
一方、無機発泡体としてシラスバルーン50重量%、補強繊維として故紙5重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール5重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)3重量%、無機充填材として炭酸カルシウム37重量%に水を噴霧しながら混合し、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の芯層となる混合物を得た。
【0025】
そして、下層となる前記湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、その上面に上層となる前記湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、この積層体に温度95℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、芯層にパンクが発生し、無機板は得られなかった。
【0026】
(実施例2)
前述の実施例1と同一組成のスラリーを使用し、このスラリーを抄造,脱水して含水率75%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0027】
前述の実施例1と同一組成で、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の混合物を得た。
【0028】
そして、下層となる前記湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、その上面に上層となる湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、この積層体に温度85℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、パンクの発生はなく、比重0.71、MOR(曲げ強度)22.1N/mm2の3層構造を有する無機板が得られた。
【0029】
(比較例2)
前述の比較例1と同一組成のスラリーを使用し、このスラリーを抄造,脱水して含水率75%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0030】
前述の比較例1と同一組成で、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の混合物を得た。
【0031】
そして、下層となる湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、上層となる湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、この積層体に温度85℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、芯層にパンクが発生し、無機板が得られなかった。
【0032】
(実施例3)
鉱物質繊維としてロックウール54重量%、補強繊維として故紙3重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール6重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)2重量%、無機充填材として炭酸カルシウム35重量%に水を添加,混練してスラリーを得た。さらに、このスラリーにポリ塩化アルミニウムおよびアクリルアマイド凝集系を添加,攪拌し、抄造,脱水して含水率65%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0033】
一方、無機発泡体としてシラスバルーン70重量%、補強繊維として故紙5重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール5重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)8重量%、架橋剤として硼砂2重量%、無機充填材として炭酸カルシウム10重量%に水を添加,混合し、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の芯層となる混合物を得た。
【0034】
そして、下層となる湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、その上面に上層となる湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、温度85℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、パンクの発生はなく、比重0.70、MOR(曲げ強度)23.3N/mm2の3層構造を有する無機板が得られた。
【0035】
(比較例3)
鉱物質繊維としてロックウール54重量%、補強繊維として故紙3重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール6重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)2重量%、無機充填材として炭酸カルシウム35重量%に水を添加,混練してスラリーを得た。さらに、このスラリーにポリ塩化アルミニウムおよびアクリルアマイド凝集系を添加,攪拌し、前記スラリーを抄造,脱水して含水率65%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0036】
一方、無機発泡体としてシラスバルーン70重量%、補強繊維として故紙5重量%、耐水性バインダーとして粉体フェノール5重量%、バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール)8重量%、無機充填材として炭酸カルシウム12重量%に水を添加,混合し、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の芯層となる混合物を得た。
【0037】
そして、下層となる湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、その上面に上層となる湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、温度85℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、芯層にパンクが発生し、無機板が得られなかった。
【0038】
(実施例4)
前述の実施例3と同一組成のスラリーを使用し、このスラリーを抄造,脱水して含水率75%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0039】
前述の実施例3と同一組成で、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の芯層となる混合物を得た。
【0040】
そして、下層となる湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、上層となる湿潤マットを積層した。ついで、温度95℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、パンクの発生はなく、比重0.70、MOR(曲げ強度)23.8N/mm2の3層構造を有する無機板が得られた。
【0041】
(比較例4)
前述の比較例1と同一組成のスラリーを使用し、このスラリーを抄造,脱水して含水率75%、絶乾重量1.9kg/m2の上下層となる湿潤マットを得た。
【0042】
前述の比較例1と同一組成で、含水率25%、絶乾重量2.6kg/m2の芯層となる混合物を得た。
【0043】
そして、下層となる湿潤マットの上に前記混合物を散布,堆積させて芯層を形成した後、その上面に上層となる湿潤マットを積層して積層体を得た。ついで、温度95℃の熱盤で120秒のプレスを行い、厚さ8.5mmまで圧締した後、温度180℃の熱風ドライヤーで90分間乾燥した。この結果、芯層にパンクが発生し、無機板は得られなかった。
【0044】
前述の実施例1ないし4でパンクが生じなかったのは、以下の理由であると考えられる。
すなわち、実施例組成の三層構造では、その表裏層にパンク現象が発生し難いことから、芯層にのみ本発明を適用している。したがって、実施例1ないし4および比較例1ないし4における表裏層のPVAは、澱粉等と同様に単なる結合剤として用いられているだけであり、表裏層部のPVAは基本的には単に溶融した後、乾燥により硬化しているだけである。
一方、実施例1ないし4においては、芯層の結合剤としてPVAと架橋剤である硼砂とを用いている。そして、ホットプレス(熱盤温度85〜95℃、120秒)によってPVAと硼砂とが溶液状態で接触すると、両者は低温で急速に反応し、ゲル化する。ゲル化した結合剤は芯層のシラスバルーン等の板状体構成要素を弾性的に結合する。このため、プレス開放時、および、それ以後の乾燥工程において、水蒸気や空気の急激な膨張によって圧力が板状体構成要素に負荷されても、これを結合剤が弾性変形して吸収,緩和するので、パンク現象が発生しないと考えられる。
また、表裏層と芯層との界面部において、表裏層に含有されるPVAと芯層に含有される硼砂とでゲルが生成し、界面の剥離,パンク現象を防止するのに有効に作用する。
【0045】
【発明の効果】
本発明の請求項1によれば、プレス工程時の圧力でPVAとその架橋剤とが接触,反応し、低温でゲルを生成する。このゲルはパンクを発生させない弾性的な接着力を有し、硬化した接着剤のように硬くない。このため、板状物に取り込まれた蒸気が板外に拡散しようとして板状体構成要素を押し広げると、接着剤が伸縮して吸収,緩和するので、接着剤の結合が切れず、パンク現象は発生しない。
なお、ゲルはプレス工程時には生成するようにPVAとその架橋剤とを反応させるので、その後の加熱工程において板内の水蒸気が膨張する前に板状体構成要素を結合する。このため、水蒸気が放出しようとしても板状体構成要素を弾性的に結合しているので、パンク現象は発生しない。
また、このゲルは高温になって水分が蒸発した際には硬化して最終的な強度を発現する。そして、ゲルが硬化した時点においては板内の水分も乾燥しているので、パンク現象は発生しない。
【0046】
PVAとその架橋剤とは溶液として接触,反応してゲル化する。しかし、架橋剤の種類によっては極めて急速にゲル化するものがあり、混合時やフォーミング時にゲル化すると、結合剤が団子状になって均一に分散せず、十分な強度を発揮できない。したがって、フォーミングが終了した段階でゲル化させる必要がある。この点、請求項2よれば、最初の混合物にPVAを添加して板状体をフォーミングし、プレス工程前に溶液とした架橋剤を前記板状体に含浸させる。このため、フォーミングが完了するまでゲルが生じず、結合剤が団子状になることがない。この結果、結合剤が均一に分散し、十分な強度を有する板状体が得られる。また、架橋剤を含浸させることにより、板全体にわたって均一にゲル化でき、より一層高い強度を有する板状体が得られる。
【0047】
請求項3によれば、複数の層を積層した板状体を製造する際に、積層する層にPVAとその架橋剤とをそれぞれ別々に添加する。そして、プレス工程で圧締した際に溶液とした架橋剤が基層に移動し、PVAと接触反応してゲル化する。このため、複層構成の板状体は板厚が厚くなりやすく、パンクが発生しやすいにもかかわらず、本発明を適用することでパンクを確実に防止できるという効果がある。
Claims (3)
- 板状体構成要素および結合剤の混合物がフォーミング工程、プレス工程および加熱工程を経て製造される板状体の製造方法において、
結合剤として少なくともPVA(ポリビニルアルコール)とその架橋剤とを使用し、プレス工程時の圧力でPVAとその架橋剤とを接触,反応させてゲル化し、パンクを発生させない弾性的な接着力で板状体構成要素を結合した後、加熱工程で結合剤を硬化させて最終強度を発現させることを特徴とする板状体の製造方法。 - 板状体構成要素および結合剤の混合物がフォーミング工程、プレス工程、加熱工程を経て製造される板状体の製造方法において、
結合剤として少なくともPVA(ポリビニルアルコール)を添加して得た板状体に、溶液とした架橋剤をプレス工程前に含浸させ、プレス工程時の圧力でPVAとその架橋剤とを接触,反応させてゲル化し、パンクを発生させない弾性的な接着力で板状体構成要素を結合した後、加熱工程で結合剤を硬化させて最終強度を発現させることを特徴とする板状体の製造方法。 - 板状体構成要素および結合剤の混合物がフォーミング工程、プレス工程、加熱工程を経て製造される複層板状体の製造方法において、
基層に結合剤として少なくともPVA(ポリビニルアルコール)を添加する一方、積層する他の層にPVAの架橋剤を添加し、フォーミング工程で積層し、少なくともプレス工程で溶液とした架橋剤を基層に移動させ、接触反応させてゲル化し、弾性的な接着力で板状体構成要素を結合した後、加熱工程で結合剤を硬化させて最終強度を発現させることを特徴とする板状体の製造方法。
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