JP3955665B2 - 無機質板の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は無機質板、特に、軽量で強度の大きい3層構造の無機質板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機質板としては、例えば、石膏ボード、珪酸カルシウム板等の無機質板が知られている。これらは強度、表面硬度、ビス止め性において十分な性能を有しているが、比重が大きいので、大版になると重い。このため、運搬性,施工性等が低かった。そこで、軽量で強度の大きい無機質板を得るため、3層構造の無機質板が提案されている。
【0003】
例えば、図2(a)に示すように、鉱物質繊維,無機質粉体およびスターチ等の有機質結合剤を必須成分とする上,下層部1,2の間に、無機質発泡体および結合剤を必須成分とする中層部3を形成した無機質板4が提案されている。
そして、この無機質板4の製造方法としては、図2(b)に示すように、鉱物質繊維,無機質粉体およびスターチ等の有機質結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して形成した下層部1の上に、無機質発泡体および結合剤を必須成分とする中層部3用混合物を散布,堆積する。ついで、その上に、前記下層部1と同様に処理して得た上層部2となる湿潤マットを載置して積層体5を得た後、熱圧プレス6,7で圧締一体化し、ドライヤーで加熱乾燥する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、中層部3と上,下層部1,2とでは含水率に大きな差がある。このため、前述の製造方法では、熱圧プレスで圧締一体化した後、温度200℃のドライヤーで乾燥すると、水分の少ない中層部3が過乾燥になりやすい。この結果、有機質結合剤や有機質繊維等の分解によって変色しやすい。
また、中層部3の有機質結合剤が無機質発泡体を結合する前に中層部が加熱されて急激に乾燥するので、壊れやすい。特に、中層部3の脆弱な縁部が壊れやすく、壊れた縁部の一部が製造装置内に散乱し、製造装置を傷める。
さらに、無機質板の縁部が脆弱であり、実用に供することができないので、その縁部を切除する必要があるが、品質に対する信頼性を維持するため、大きめに切除する場合が多く、歩留まりが悪いという問題点がある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、過乾燥を防止することにより、変色がなく、歩留まりが良く、製造装置を傷めない無機質板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる無機質板の製造方法は、前記目的を達成するため、湿式抄造で下層部となる湿潤マットを得る工程と、この湿潤マットの上面に、中層部用混合物を湿潤マットの両側縁部が露出するように散布,堆積する工程と、散布,堆積した中層部用混合物の上に、湿式抄造で得、かつ、下層部となる前記湿潤マットと略同一巾寸法の上層部となる湿潤マットを載置して積層体を得る工程と、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部を直接重ね合わせた状態で前記積層体を熱圧プレスで圧締一体化する工程と、圧締一体化した積層体を加熱乾燥する工程と、加熱乾燥した積層体の少なくも両側縁部を切除する工程とからなるものである。
【0007】
また、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤からなるスラリーから湿式抄造で下層部となる湿潤マットを得る工程と、この湿潤マットの上面に、無機発泡体および結合剤を必須成分とする中層部用混合物を、湿潤マットの両側縁部が露出するように散布,堆積する工程と、散布,堆積した中層部用混合物の上に、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤からなるスラリーから湿式抄造で得、かつ、下層部となる前記湿潤マットと略同一巾寸法の上層部となる湿潤マットを載置して積層体を得る工程と、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部を直接重ね合わせた状態で前記積層体を熱圧プレスで圧締一体化する工程と、圧締一体化した積層体を加熱乾燥する工程と、加熱乾燥した積層体の少なくも両側縁部を切除する工程とからなる無機質板の製造方法であってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる一実施形態を図1の添付図面に従って説明する。
本実施形態にかかる無機質板となる積層体10は、上,下層部11,12の間に、中層部13を積層一体化したものである。
【0009】
上,下層部11,12を形成する鉱物質繊維としては、例えば、ロックウール、スラグウール、ミネラルウール、または、グラスウール等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、鉱物質繊維の含有量は、上,下層部11,12全体の20〜80重量部とするのが好ましい。20重量部未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、80重量部を越えると、相対的に無機粉状体の割合が減少するため、所望の表面硬度を確保できないからである。
【0010】
上,下層部11,12に添加される無機粉状体は、防火性を維持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるためのものが考えらる。この無機粉状体としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硅砂、マイクロシリカ、スラグ等を挙げることができ、これらは単独、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、これらの無機粉状体は、上,下層部11,12全体の10〜60重量部とするのが好ましい。10重量部未満であると、所望の表面硬度が得られず、60重量部を越えると、強度を付与する鉱物質繊維の割合が少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0011】
上,下層部11,12を形成する結合剤は、前記無機発泡体を結合一体化するために添加されるものであるが、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂あるいはデンプン等が挙げられ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、結合剤の添加量は、上,下層部11,12全体の5〜20重量部であることが好ましい。5重量部未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量部を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0012】
さらに、上,下層部11,12には、必要に応じ、鉱物質繊維の他、別の繊維状物を添加してもよい。別の繊維状物としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂繊維、パルプ、麻,亜麻等の天然繊維を挙げることができ、これらは単独、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、前記繊維状物の添加量は、上,下層部11,12全体の3〜15重量部であることが好ましい。3重量部未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、15重量部を越えると、重量軽減効果が得られないからである。
なお、必要に応じ、結合剤としての機能を兼ね備えた熱融着繊維を使用してもよい。
【0013】
前記中層部13を形成する無機発泡体は圧縮強度を維持しつつ、軽量化のために添加されるものであり、例えば、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体、バーミキュライト、黒曜石発泡体等があり、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、前記無機発泡体の添加量は、中層部全体の40〜80重量部とするのが好ましい。40重量部未満であると、所望の重量軽減効果が得られないからであり、80重量部を超えると、無機粉状体および結合剤の割合が小さくなり、所望の圧縮強度が得られないからである。
【0014】
中層部13を形成する結合剤は、前記無機発泡体を結合一体化するためのものであり、その種類,添加量は前述の上,下層部の結合剤とほぼ同様である。
【0015】
中層部13には、必要に応じ、防火性を維持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるため、増量材として無機粉状体を添加してもよい。このような無機粉状体としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硅砂、マイクロシリカ、スラグ等を挙げることができる。
そして、中層部13における前記無機粉状体の含有量は、中層部全体の40重量部以下とするのが好ましい。40重量部を越えると、無機発泡体の添加量が減少して板材が重くなるからである。
【0016】
また、中層部13には、必要に応じ、前記無機発泡体を連結する繊維状物を添加してもよい。繊維状物としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂繊維、パルプ、麻,亜麻等の天然繊維を挙げることができ、これらは単独、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、前記繊維状物の含有量は、中層部13全体の3〜15重量部であることが好ましい。3重量部未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、15重量部を越えると、重量軽減効果が得られないからである。
なお、必要に応じて結合剤としての機能を兼ね備えた熱融着繊維を使用してもよい。
【0017】
次に、本発明にかかる無機質板の製造方法の一例について説明する。
鉱物質繊維、無機粉状体、結合剤および繊維状物を清水中に適宜投入,撹拌して所定濃度のスラリーを得、これを長網式抄造機に導いて巾広の上,下層部11,12となる湿潤無機マットを抄造する。
一方、無機発泡体、繊維状物、無機粉状体および結合剤を、清水を噴霧しながら混合して中層部13用混合物を得る。そして、この中層部13用混合物を下層部11となる前記湿潤無機マットの上面に、その両側縁部が露出するように均一に散布,堆積して積層する。
ついで、上層部12となる前記湿潤マットを、散布,堆積した前記中層部13用混合物に重ねて積層体10を得る。そして、この積層体10を熱圧プレス6,7で圧締一体化する。このとき、上,下層部11,12となる湿潤無機マットの両側縁部11a,12aが相互に直接接触して水分の拡散を防止し、中層部13の過乾燥を防止する。そして、熱圧一体化した積層体10をドライヤーで乾燥したのち、両側縁部11a,12aを切除して無機質板を得る。
なお、前述の実施形態では、連続生産する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、1枚ずつ生産してもよいことは明らかである。
【0018】
【実施例】
(実施例)
鉱物質繊維としてロックウール65重量%、無機粉状体として水酸化アルミニウム20重量部、パルプ5重量%、結合剤として粉末フェノールおよびスターチ10重量%を清水中に投入,撹拌して得た約2%のスラリーを得た。そして、このスラリーを長網式抄造機で抄造し、上層部および下層部となる厚さ8mm、巾1000mmの湿潤マットを得た。
【0019】
一方、無機発泡体としてパーライト65重量%、無機粉状体として水酸化アルミニウム20重量%、パルプ5重量%、結合剤として粉末フェノールおよびスターチ10重量%に清水を噴霧化して吹き付けながら混合し、中層部用混合物を得た。
【0020】
この混合物を、下層部となる前記湿潤マットの両端から約25mmずつ離れた部分を除き、散布,堆積して中層部を形成した。ついで、その上面に上層部となる前記湿潤マットを積層して厚さ56mmの積層体を得た。そして、この積層体を温度100℃の熱圧プレスで5分間プレスした後、温度200℃の熱風ドライヤーで60分間乾燥し、上,下層部だけからなる端部を切除することにより、比重0.7mm、厚さ18mmの無機質板を得た。
【0021】
(比較例)
上下層部と中層部とを略同一巾とした点を除き、他は前述の実施例と同様に処理して無機質板を得た。
【0022】
実施例の無機質板を目視で観察したところ、中層部が上,下層部で完全に被覆されており、中層部のはみ出しは見受けられなかった。さらに、実施例の無機質板は、パルプや結合剤の変色はなく、その両側縁部も脆弱でないので、実用に供することができた。
これに対し、比較例の無機質板では、中層部用混合物のはみ出しを確認でき、乾燥工程で崩れた中層部粉末がドライヤーの熱風で吹き飛ばされ、ドライヤー内を汚した。また、得られた無機質板の縁部から数cm離れた部分においても実用的強度がほとんど無く、切断時に崩れた。さらに、パルプや結合剤の変色も確認できた。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1に記載の無機質板の製造方法によれば、熱圧プレスで圧締一体化する際に、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部が直接接触した状態にある。このため、熱圧プレスで圧締一体化した後、ドライヤーで乾燥しても、水分が外部に漏れにくく、過乾燥状態になることがない。このため、有機質結合剤や有機質繊維等の分解による変色を防止できる。また、無機質板の縁部が脆弱にならず、崩れることがない。このため、従来例のように崩れた縁部が散乱して製造装置を傷めることもない。
さらに、従来例のように品質に対する信頼性を維持するため、縁部を大きめに切除する必要がなく、歩留まりが向上する。
【0024】
請求項2によれば、中層部が無機発泡体を含有しているので、前述の効果に加え、より一層軽量で運搬,施工しやすい無機質板が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる無機質板の製造方法を示し、図(a)は熱圧プレス前の積層体を示す断面図、図(b)は熱圧プレスで圧締する状態を示す断面図である。
【図2】 従来例にかかる無機質板の製造方法を示し、図(a)は熱圧プレス前の積層体を示す断面図、図(b)は熱圧プレスで圧締する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
6,7…熱圧プレス、10…積層体、11,12…上下層、11a,12a…側縁部、13…中層部。
【発明の属する技術分野】
本発明は無機質板、特に、軽量で強度の大きい3層構造の無機質板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、無機質板としては、例えば、石膏ボード、珪酸カルシウム板等の無機質板が知られている。これらは強度、表面硬度、ビス止め性において十分な性能を有しているが、比重が大きいので、大版になると重い。このため、運搬性,施工性等が低かった。そこで、軽量で強度の大きい無機質板を得るため、3層構造の無機質板が提案されている。
【0003】
例えば、図2(a)に示すように、鉱物質繊維,無機質粉体およびスターチ等の有機質結合剤を必須成分とする上,下層部1,2の間に、無機質発泡体および結合剤を必須成分とする中層部3を形成した無機質板4が提案されている。
そして、この無機質板4の製造方法としては、図2(b)に示すように、鉱物質繊維,無機質粉体およびスターチ等の有機質結合剤を必須成分とするスラリーを湿式抄造して形成した下層部1の上に、無機質発泡体および結合剤を必須成分とする中層部3用混合物を散布,堆積する。ついで、その上に、前記下層部1と同様に処理して得た上層部2となる湿潤マットを載置して積層体5を得た後、熱圧プレス6,7で圧締一体化し、ドライヤーで加熱乾燥する方法がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、中層部3と上,下層部1,2とでは含水率に大きな差がある。このため、前述の製造方法では、熱圧プレスで圧締一体化した後、温度200℃のドライヤーで乾燥すると、水分の少ない中層部3が過乾燥になりやすい。この結果、有機質結合剤や有機質繊維等の分解によって変色しやすい。
また、中層部3の有機質結合剤が無機質発泡体を結合する前に中層部が加熱されて急激に乾燥するので、壊れやすい。特に、中層部3の脆弱な縁部が壊れやすく、壊れた縁部の一部が製造装置内に散乱し、製造装置を傷める。
さらに、無機質板の縁部が脆弱であり、実用に供することができないので、その縁部を切除する必要があるが、品質に対する信頼性を維持するため、大きめに切除する場合が多く、歩留まりが悪いという問題点がある。
【0005】
本発明は、前記問題点に鑑み、過乾燥を防止することにより、変色がなく、歩留まりが良く、製造装置を傷めない無機質板の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる無機質板の製造方法は、前記目的を達成するため、湿式抄造で下層部となる湿潤マットを得る工程と、この湿潤マットの上面に、中層部用混合物を湿潤マットの両側縁部が露出するように散布,堆積する工程と、散布,堆積した中層部用混合物の上に、湿式抄造で得、かつ、下層部となる前記湿潤マットと略同一巾寸法の上層部となる湿潤マットを載置して積層体を得る工程と、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部を直接重ね合わせた状態で前記積層体を熱圧プレスで圧締一体化する工程と、圧締一体化した積層体を加熱乾燥する工程と、加熱乾燥した積層体の少なくも両側縁部を切除する工程とからなるものである。
【0007】
また、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤からなるスラリーから湿式抄造で下層部となる湿潤マットを得る工程と、この湿潤マットの上面に、無機発泡体および結合剤を必須成分とする中層部用混合物を、湿潤マットの両側縁部が露出するように散布,堆積する工程と、散布,堆積した中層部用混合物の上に、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤からなるスラリーから湿式抄造で得、かつ、下層部となる前記湿潤マットと略同一巾寸法の上層部となる湿潤マットを載置して積層体を得る工程と、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部を直接重ね合わせた状態で前記積層体を熱圧プレスで圧締一体化する工程と、圧締一体化した積層体を加熱乾燥する工程と、加熱乾燥した積層体の少なくも両側縁部を切除する工程とからなる無機質板の製造方法であってもよい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる一実施形態を図1の添付図面に従って説明する。
本実施形態にかかる無機質板となる積層体10は、上,下層部11,12の間に、中層部13を積層一体化したものである。
【0009】
上,下層部11,12を形成する鉱物質繊維としては、例えば、ロックウール、スラグウール、ミネラルウール、または、グラスウール等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、鉱物質繊維の含有量は、上,下層部11,12全体の20〜80重量部とするのが好ましい。20重量部未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、80重量部を越えると、相対的に無機粉状体の割合が減少するため、所望の表面硬度を確保できないからである。
【0010】
上,下層部11,12に添加される無機粉状体は、防火性を維持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるためのものが考えらる。この無機粉状体としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硅砂、マイクロシリカ、スラグ等を挙げることができ、これらは単独、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、これらの無機粉状体は、上,下層部11,12全体の10〜60重量部とするのが好ましい。10重量部未満であると、所望の表面硬度が得られず、60重量部を越えると、強度を付与する鉱物質繊維の割合が少なくなり、所望の曲げ強度が得られないからである。
【0011】
上,下層部11,12を形成する結合剤は、前記無機発泡体を結合一体化するために添加されるものであるが、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の合成樹脂あるいはデンプン等が挙げられ、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、結合剤の添加量は、上,下層部11,12全体の5〜20重量部であることが好ましい。5重量部未満であると、十分な強度が得られないからであり、20重量部を越えると、防火性が損なわれるからである。
【0012】
さらに、上,下層部11,12には、必要に応じ、鉱物質繊維の他、別の繊維状物を添加してもよい。別の繊維状物としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂繊維、パルプ、麻,亜麻等の天然繊維を挙げることができ、これらは単独、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、前記繊維状物の添加量は、上,下層部11,12全体の3〜15重量部であることが好ましい。3重量部未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、15重量部を越えると、重量軽減効果が得られないからである。
なお、必要に応じ、結合剤としての機能を兼ね備えた熱融着繊維を使用してもよい。
【0013】
前記中層部13を形成する無機発泡体は圧縮強度を維持しつつ、軽量化のために添加されるものであり、例えば、パーライト、シラス発泡体、シリカフラワー、ガラス発泡体、バーミキュライト、黒曜石発泡体等があり、これらは単独で、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、前記無機発泡体の添加量は、中層部全体の40〜80重量部とするのが好ましい。40重量部未満であると、所望の重量軽減効果が得られないからであり、80重量部を超えると、無機粉状体および結合剤の割合が小さくなり、所望の圧縮強度が得られないからである。
【0014】
中層部13を形成する結合剤は、前記無機発泡体を結合一体化するためのものであり、その種類,添加量は前述の上,下層部の結合剤とほぼ同様である。
【0015】
中層部13には、必要に応じ、防火性を維持しつつ、硬度を高めてネジ止め性能を高めるため、増量材として無機粉状体を添加してもよい。このような無機粉状体としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硅砂、マイクロシリカ、スラグ等を挙げることができる。
そして、中層部13における前記無機粉状体の含有量は、中層部全体の40重量部以下とするのが好ましい。40重量部を越えると、無機発泡体の添加量が減少して板材が重くなるからである。
【0016】
また、中層部13には、必要に応じ、前記無機発泡体を連結する繊維状物を添加してもよい。繊維状物としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル等の合成樹脂繊維、パルプ、麻,亜麻等の天然繊維を挙げることができ、これらは単独、あるいは、2種以上組み合わせて使用できる。
そして、前記繊維状物の含有量は、中層部13全体の3〜15重量部であることが好ましい。3重量部未満であると、所望の曲げ強度が得られないからであり、15重量部を越えると、重量軽減効果が得られないからである。
なお、必要に応じて結合剤としての機能を兼ね備えた熱融着繊維を使用してもよい。
【0017】
次に、本発明にかかる無機質板の製造方法の一例について説明する。
鉱物質繊維、無機粉状体、結合剤および繊維状物を清水中に適宜投入,撹拌して所定濃度のスラリーを得、これを長網式抄造機に導いて巾広の上,下層部11,12となる湿潤無機マットを抄造する。
一方、無機発泡体、繊維状物、無機粉状体および結合剤を、清水を噴霧しながら混合して中層部13用混合物を得る。そして、この中層部13用混合物を下層部11となる前記湿潤無機マットの上面に、その両側縁部が露出するように均一に散布,堆積して積層する。
ついで、上層部12となる前記湿潤マットを、散布,堆積した前記中層部13用混合物に重ねて積層体10を得る。そして、この積層体10を熱圧プレス6,7で圧締一体化する。このとき、上,下層部11,12となる湿潤無機マットの両側縁部11a,12aが相互に直接接触して水分の拡散を防止し、中層部13の過乾燥を防止する。そして、熱圧一体化した積層体10をドライヤーで乾燥したのち、両側縁部11a,12aを切除して無機質板を得る。
なお、前述の実施形態では、連続生産する場合について説明したが、必ずしもこれに限らず、1枚ずつ生産してもよいことは明らかである。
【0018】
【実施例】
(実施例)
鉱物質繊維としてロックウール65重量%、無機粉状体として水酸化アルミニウム20重量部、パルプ5重量%、結合剤として粉末フェノールおよびスターチ10重量%を清水中に投入,撹拌して得た約2%のスラリーを得た。そして、このスラリーを長網式抄造機で抄造し、上層部および下層部となる厚さ8mm、巾1000mmの湿潤マットを得た。
【0019】
一方、無機発泡体としてパーライト65重量%、無機粉状体として水酸化アルミニウム20重量%、パルプ5重量%、結合剤として粉末フェノールおよびスターチ10重量%に清水を噴霧化して吹き付けながら混合し、中層部用混合物を得た。
【0020】
この混合物を、下層部となる前記湿潤マットの両端から約25mmずつ離れた部分を除き、散布,堆積して中層部を形成した。ついで、その上面に上層部となる前記湿潤マットを積層して厚さ56mmの積層体を得た。そして、この積層体を温度100℃の熱圧プレスで5分間プレスした後、温度200℃の熱風ドライヤーで60分間乾燥し、上,下層部だけからなる端部を切除することにより、比重0.7mm、厚さ18mmの無機質板を得た。
【0021】
(比較例)
上下層部と中層部とを略同一巾とした点を除き、他は前述の実施例と同様に処理して無機質板を得た。
【0022】
実施例の無機質板を目視で観察したところ、中層部が上,下層部で完全に被覆されており、中層部のはみ出しは見受けられなかった。さらに、実施例の無機質板は、パルプや結合剤の変色はなく、その両側縁部も脆弱でないので、実用に供することができた。
これに対し、比較例の無機質板では、中層部用混合物のはみ出しを確認でき、乾燥工程で崩れた中層部粉末がドライヤーの熱風で吹き飛ばされ、ドライヤー内を汚した。また、得られた無機質板の縁部から数cm離れた部分においても実用的強度がほとんど無く、切断時に崩れた。さらに、パルプや結合剤の変色も確認できた。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の請求項1に記載の無機質板の製造方法によれば、熱圧プレスで圧締一体化する際に、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部が直接接触した状態にある。このため、熱圧プレスで圧締一体化した後、ドライヤーで乾燥しても、水分が外部に漏れにくく、過乾燥状態になることがない。このため、有機質結合剤や有機質繊維等の分解による変色を防止できる。また、無機質板の縁部が脆弱にならず、崩れることがない。このため、従来例のように崩れた縁部が散乱して製造装置を傷めることもない。
さらに、従来例のように品質に対する信頼性を維持するため、縁部を大きめに切除する必要がなく、歩留まりが向上する。
【0024】
請求項2によれば、中層部が無機発泡体を含有しているので、前述の効果に加え、より一層軽量で運搬,施工しやすい無機質板が得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる無機質板の製造方法を示し、図(a)は熱圧プレス前の積層体を示す断面図、図(b)は熱圧プレスで圧締する状態を示す断面図である。
【図2】 従来例にかかる無機質板の製造方法を示し、図(a)は熱圧プレス前の積層体を示す断面図、図(b)は熱圧プレスで圧締する状態を示す断面図である。
【符号の説明】
6,7…熱圧プレス、10…積層体、11,12…上下層、11a,12a…側縁部、13…中層部。
Claims (2)
- 湿式抄造で下層部となる湿潤マットを得る工程と、この湿潤マットの上面に、中層部用混合物を湿潤マットの両側縁部が露出するように散布,堆積する工程と、散布,堆積した中層部用混合物の上に、湿式抄造で得、かつ、下層部となる前記湿潤マットと略同一巾寸法の上層部となる湿潤マットを載置して積層体を得る工程と、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部を直接重ね合わせた状態で前記積層体を熱圧プレスで圧締一体化する工程と、圧締一体化した積層体を加熱乾燥する工程と、加熱乾燥した積層体の少なくも両側縁部を切除する工程とからなることを特徴とする無機質板の製造方法。
- 鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤からなるスラリーから湿式抄造で下層部となる湿潤マットを得る工程と、この湿潤マットの上面に、無機発泡体および結合剤を必須成分とする中層部用混合物を、湿潤マットの両側縁部が露出するように散布,堆積する工程と、散布,堆積した中層部用混合物の上に、鉱物質繊維,無機粉状体および結合剤からなるスラリーから湿式抄造で得、かつ、下層部となる前記湿潤マットと略同一巾寸法の上層部となる湿潤マットを載置して積層体を得る工程と、上,下層部となる湿潤マットの両側縁部を直接重ね合わせた状態で前記積層体を熱圧プレスで圧締一体化する工程と、圧締一体化した積層体を加熱乾燥する工程と、加熱乾燥した積層体の少なくも両側縁部を切除する工程とからなることを特徴とする無機質板の製造方法。
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